メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

舞台『浮標』 三好十郎/作

2017-05-05 11:49:51 | 演劇・オペラ
舞台『浮標』@Eテレセレクション お願い!編集長(2011年4月放送)
三好十郎/作 長塚圭史/演出 2011年1月 神奈川芸術劇場 大スタジオ

出演:
田中哲司:久我五郎
藤谷美紀:美緒(五郎の妻)

佐藤直子:小母さん(世話人)
深貝大輔:裏天さん(大家)

大森南朋:赤井源一郎(五郎の親友)
安藤 聖:伊佐子(赤井の妻)

峯村リエ:お貞(美緒の母) 夫・津村
江口のりこ:恵子(美緒の妹)
遠山悠介:利男(美緒の弟・長男)

長塚圭史:比企正文(医師)
中村ゆり:京子(比企の妹)

山本剛史:尾崎謙(金貸し)



葛河思潮社 第三回公演『冒した者』、第四回公演『背信』等は
「ドラマのマイベスト」の「俳優別のまとめ」参照


哲さんが長台詞に悶絶しながらも「ノーギャラでも演りたい」と、毎回全身全霊で臨んでいるこの舞台
予録してからずーーーーーーと観ようと思いつつ、観たいものほど「後でじっくり」と思っているうちに
こんなに経ってしまった

4時間を超える舞台だから、番組冒頭で
“放送上、不適切な表現を部分的に編集しています
 時間の都合により、一部割愛してお送りします”とあるが残念


あらすじ(ネタバレ注意

黒い衣装で揃った演者


長塚圭史さん:


神奈川芸術劇場のこけら落としでもあります
初演は1940年 日中戦争が舞台ですが、時は現代、千葉市の郊外にしてあります

大変長いお芝居なので、皆さん、あまり肩に力を入れすぎて観ると
後で大変なことになってしまうと思うので、肩の力を緩めてご覧頂ければと思います
では、哲っちゃんいいですか?

哲司:はい


***

四角い中に砂が敷き詰められている 波の音
他の演者が見つめる中で哲さんだけが演じ始める



砂の中から本を見つけて読みふけていると
砂浜で休む妻の姿が現れて、その場を去る












1.家で



小母さんが魚を持ってくるが「2ヶ月支払いがたまっている」とミオが心配する

小母さん:お金なんかあるところにはいっぱいある 五郎はんが画を描いてくれますよ

日曜に東京の親類が見舞いに来るという

「食事前は話してはいけない」と怒る五郎 体中に絵の具がついている
「今大切なのはノドと、食欲を保つことだ」

外で食事をするにも、噛むほど栄養になると言い聞かせる五郎
ミオは帽子を大事にしている

 

「おばさんは親切すぎるから、結局不幸せだ
 こないだお前の痰が詰まった時、口で吸い出したのには驚いた
 伝染するなんてまるで考えていない」


五郎が痩せたのを心配するミオ
「後家さんらをうならしてやる これでなかなかモテるんだぞ」

食事中にも痰が絡んでしまう

ミオ:時々、本当の絵を描いてよ

五郎:
またその話か 子どもの絵だっていいじゃないか
美しい絵本を描いて、日本中の子どもがそれを見る
やっつけ仕事で儲けることなんて出来ないことは知ってるはずだ

ミオ:私が観たいのよ あなたは天才と言われた男よ

五郎:
あれは形容詞だ “私のために”か、しょってらあ!
今、日本は戦争している お前も戦争しているんだ


目黒診療所のヒキ医師が来る


ミオ:ご飯済んだらまた『万葉集』詠んでね
五郎:オレの解釈が可笑しいんだろ?


妹・恵子が見舞いに来る 雪印のバターをやっと手に入れたと話す



おばさんの勧めるお茶を断る恵子に「その茶碗は消毒してあるから大丈夫よ」とミオ
ためらって、やはり飲まない恵子

(あ、伝染するからあんなに離れて話しているのか
 江口さん、『ツィゴイネルワイゼン』の大楠道代さんみたい

恵子:それじゃ描けないでしょうね 惜しいわ あなたほどの人が

母・お貞
血色が良くなって、太ったみたいじゃないか? 何事も気のものだから
病気になると気が強くなるって 東京の医者にかえたほうがよくない?

本当は名古屋の不動産のことで来た2人 五郎はミオに心配かけないよう隠している


金貸し・尾崎謙が来る



2.金
(カットした分はナレが入る

五郎は尾崎の話に激怒するが、医療費、食費に困っているため追い込まれる

大家・裏天さんが来る


「心配しなくてええよ あんたは金がある時はちゃんとくれてたから
 わしは信用しとる お互い様だ」

尾崎:オレが払おうか? 50円を貸してやるよ

すぐにそのまま大家に渡すと喜んで去る

五郎:
あの夫婦を見てると時々泣きたくなる 無知は無知なりにあんなに美しい連中が時々いるんだ
さっきは癇癪をおこしてすまなかった 最近は神経衰弱なんだ

尾崎:僕は君の言うようにサルだ そのサルのお金で君は助かったんだ キイーw


母と恵子が来る

名古屋の家の名義がミオになっているのは、道楽の父が次々家を買って使い込むから
このままだと子どもたちの養育費がなくなると心配している

お貞:
トシオが大きくなれば、あれは長男なんだから、トシオのものにしてやらなきゃならないんです

五郎:ご自由に書き換えてもらって構いません

お貞:
ミオは腹を痛めた子です このままポックリ逝かれてたまるものですか!
でも今の状態じゃ安心できないから 死ぬ病人はキレイになるものだから
あの子の顔を見るたびドキっとするんですよ(泣く

あの子に死なれたらどうしたらいいんだか 30そこいらで貧乏ばかりして
気立てのいい子は早く死ぬと言うけど(妹がそばにいるのに、その言い方もあんまりだな
トシオは今はそんな話をするのはあれだから後にしろと言うんです

五郎:
もし万万が一のことがあっても、結局不動産はトシちゃんにいくんだから

お貞:だから、あなたにも少し回そうと思っているんです

五郎:
僕もミオも要らないんです!
もしかしてお義母さんは、ミオに万一があれば、僕が遺産を全部もらうと思っているのでは?
僕にはそんな気はありません

お貞:ミオの承諾が要るんです
五郎:今、ミオに聞かせることはお断りします


悲鳴が聞こえる おばさんはミオがひどく吐血したという

五郎:まさか、ミオにその話したのでは?
お貞:・・・言いませんよ

尾崎が戻る



3.家で
五郎は注射の準備をするが「痛いから嫌だ」
五郎:ヒキさんが止血に手脚をきつく縛ったのは、原始的だが一番効果があるよ

四日四晩寝てない五郎を心配するミオ

ミオ:
私が咳をしたら伝染するかも
私、時々、あなたも病気にしてやりたくなるの 意地が悪いでしょ

五郎:お前が悪魔なら オレも悪魔だ うつしたきゃうつせ 2人で一緒に死ぬかw

ミオ:
神さまはあるの?
私あなたの言う通りに信じるから 理屈はいらない 本当のことをひと言で言って 神さまはある?!

五郎:ある! お前はオレの神さまだ お前は託児所で育ててやった子どもたちの神さまだよ
ミオ:そうじゃない 死んでからそんな世界がある?
五郎:いるよ!

「いつまでも痛い注射をする代わりに、30号の油絵が観たい」と約束させるミオ

五郎:仕方がない描くよ だが30号は絵の具が足りない
ミオ:お金はあるの 母さんがくれたの トシオに書き換えたら300円を分けてくれるって

五郎:無知だからって実の娘に対してこんな毒々しいことをやれるものかっ!
ミオ:こんなことでサッパリ縁が切れればいいじゃない

五郎:
それが人間かも分からんな 人間それでいいんだ
生きることが一切だ 善いも悪いもあるもんか


ミオ:トシも来たら、ここで話して 私淋しいわ あなたったら誰でも浜へ連れて行ってしまうんですもの


ヒキの妹・京子は明るく音楽や芝居の話をする


モダンガールの京子が五郎を好きなのではと嫉妬し、恐る恐る鏡を見て化粧し、泣くミオ


3ヶ月ぶりに「兵隊さん」と呼ばれている赤井が来て、喜び走ってくる五郎


刀を見せて出征が近いことを告げる
赤井:ここに来るのも最後になる 今日がさよならだな

飲めない赤井に酒を飲ませる
五郎:オレたちの前にはギリギリの絶壁があるだけだ 赤井、戦ってきてくれ!

6時に汽車が出るから2時間はある

赤井:五郎、絵を描け

五郎:
分からないが、もしかして僕たちは素晴らしい時代を生きてる気がするんだ
もともとオレの絵が生きたものではなかったからかもしれん

赤井:君は本物の絵描きだ 近頃オレはお世辞なんて言わない 子どものような頭になっちまった
五郎:じゃ、ほんとにそう思うんだな!?

赤井:ああ、君はオレたち仲間の中で一番ホンモノだ
五郎:芸術より生きていることのほうがずっと素晴らしいことだ

赤井:
赤紙が来た時は震えが止まらなかった 5、6年前の当時につかんだ本質的なもの
人間への信頼はなくなってはいない 部下から信頼されているのも、あの頃掴んだ本質だと思うんだ

君が絵を描かないことには反対だ 僕が今まで書いてきた小説なんかどうでもいい
書けなくなったからこそ、君には絵を描いて欲しい

僕が向こうにいる間、君が絵を描いていると、なんだか心丈夫な気がするんだ
追い詰めるのは君の悪いクセだ 君は生まれつきの絵描きだ それが何をするんだ

五郎:オレも戦争に行きたい
赤井:覚悟はできていたつもりだったが、全部がガラリを変わってしまう 紙一重だ

五郎:そいつが絶対だよ!

赤井:
僕の小隊に一度戦争に行った奴がいる 何度も気持ちが変わったが
戦地に着くと、国のために戦おうという気になるんだそうだ

戦争が僕には全体分からない でも今はひどくサッパリしている
ひとりの日本人として裸になってぶつかろうという気持ちだ
絵が君の絶対さ!

うなだれる五郎 「すまん! 描く! 描くっ!!」

赤井:未発表の小説が3つある イサコ(妻)が持っているが、お前に一任するよ
五郎:手か足がなくなってもいいから、とにかく帰ってきてから決めろよ!

赤井:
イサコのことも頼む 家とうまくいってない 相当酷い目に遭うことは間違いない
君が相談して、一番いいと思うようにしてくれ

蟻地獄から抜け出したのはあいつのお陰だ
オヤジが病身だから遺産でゴタゴタすると思う きょうだいは多いし
これでもう心配なことは1つもないよ

五郎:
託児所がやっと続いているんだ 育てた子どもたちが職工になったりして挨拶に来た
一人の男の子は勉強したいが、働かなきゃならないと悩んでいるし
もう一人の男の子は、来年には満州に働きに行くんだと満州語を習っている


赤井:
いい仕事というものは、いつの時代もあとに何か残すものだ 消えてなくなりゃしない
僕が死んだ後で、この自然や、大勢が僕がいなくなったことなど知らずに
以前通りに平然な顔してずーっと続いていくと考えると頼もしい気がする


ミオ:
私ももう一度生まれ変わるかしたら、過労でこんな病気になるとしてもまた託児所をやる気がします

五郎:死んだらいかん!


伊佐子とトシオが着く
 

トシオは大学で軍事訓練をしているが、赤紙が来た場合、
補充兵がどんなことをするのか赤井に熱心に聞く

トシオは家のことを話し出すが、「浜に行ってきたら?」とうながすミオ

ヒサコは急に泣き出し、子どもが出来たことを言い出す

五郎:いいんだ、それでいいんだ!
ミオ:おめでとう

ミオは五郎にも浜へ行くよう必死にすすめて泣き出す




4.浜で
なにか分からず浜に来る五郎
一時期は本当に危なかったことをトシオに話す

トシオ:名古屋の家なんかどうでもいいんだ
五郎:僕は印をしてしまったほうがいいと思ってる


トシオは京子を貸しボート屋に誘うが「あとにするわ」と、五郎と浜に残る
突然、水着姿の京子を凝視する五郎



五郎:あなた、目方はどのくらいあるんですか?
京子:14貫500

五郎:
思ったよりないな ミオの目方のことを考えてるんです
8貫 恐ろしく軽い 僕の片手で持ち上がるんです
丈夫な頃は13貫くらいあったのに
僕はそのたびにズキっとするんです
あいつはもう女ではない でも女なんです 妙な気がする


五郎の体を心配する京子


五郎:
ミオはいい奴でも でも貪欲です なにもかも取り上げないと承知しないのです
死に掛かっているのに、全部の空気まで自分のものにしないと承知しない


僕はあいつを大事に思っているのか、憎んでいるのか分からない時がある
ミオじゃない 生命がもっている貪欲さです! 執念深い!
愛情なんて甘っちょろいもんじゃ間に合わない
ミオをひと思いに殺してやろうと思うことがある

人間は自分でも知らない間に 一刻一刻に死んでるんです
この地面はかつて死んだ者で埋め尽くされているんです

戦争が合っています! 戦争が合っています!
赤井は向こうで倒れる、どうもそんな気がします

あなたも同じです 僕は絵描きだから美しいものは見える
あなたの中に始終死んでるものがあるからですよ 同じだ!

京子さん、僕を好きですか?


泣き出す京子



ヒキが戻ってくる トシオがボートに誘って、京子は去る

五郎:
ミオのほんとのことを聞きたい 気持ちが現実離れしてる
自分がもう向こうの世界にいて、現実の世界にいる僕に親切にしてるみたいなんだ

ヒキ:
それはあの人の本質じゃないかな 体は虚脱した状態だ
病気全体の経過としてはあまりよくない
熱がないのはよくない 発熱は病気と戦っている状態だからね
君も2年も看病してるんだから隠しても仕方ない

五郎:病院やサナトリウムは?

ヒキ:
金がかかるからね 結核は社会病だ 勤労者に多いんだから
国がもっと安価に入れるサナトリウムを建てるべきなんだ
君の看病はサナトリウムにも劣っていない

五郎:でもなんにもならないじゃないですか 死なせたくないんだ!

ヒキ:君も科学的にベストを尽くしている ダメなら仕方ないんだ

五郎:科学を信じてるか?

ヒキ:
信じてもいるし、信じていない 科学のプロバビリティ(見込み・確率)は信じているよ
じゃなきゃ医者なんてやっていけるもんじゃない

医者は病気を治したり出来るものじゃないと思ってる
患者に忠告する役目だけだな(同意 自分の免疫力だ

五郎:そのプロバビリティにとり殺されている人間がますます多くなってる気がする
(プロバビリティがいっぱい出てきて噛みそうなシーンだね

ヒキ:
内科だってある程度は実証だからね
科学も過渡期だが仕方がないんだ いつまで経っても過渡期さ

五郎:どうしても諦めきれない者はどうしたらいいんです!

ヒキ:医学が人間のすべてに責任があると誤解してるんじゃないか?
五郎:そういう誤解を植えつけてきたのも医学です

ヒキ:人間にそんな妄信性が本来あるんだ
五郎:世の中にそんな抽象された科学など存在しない

ヒキ:
医者は治せるという顔をしてるよ 営業だからね 信頼が必要だ
君の言うのは哲学か宗教の範囲だろう 僕は科学者だからよく分からん
君は人間が一人残らず死ぬことを忘れているんじゃあるまいね

五郎:あいつをこの世に繋ぎとめていくためなら何だっていい 漢方はどうでしょう?
ヒキ:素人療法や、迷信もだいぶ入りこんでいるからねえ

五郎:体験的に効果があればいいのでは?
ヒキ:その体験が非常に危険なんだ 結局君は科学的な人間なんだ

五郎:医学はもうまったく無力だと言ったらどうなんです!
ヒキを猛烈に侮辱して、我に返り、「言い過ぎた 勘弁してください」と土下座する



ヒキ:
イデオロギーとしては僕は君の言う通りかもしれない でも良心だけは持っているつもりだ
君の奥さんについて診断を下すのはこれが最後になるだろう

一番最初に連れてきた時にすでに悪化していた 半年もてばいいと思っていた
それが2年 君の手当ては医者として認める でももうダメだ 100%見込みはない
長くて20日間 会わせたい人がいるなら出来るだけ早く

(良心があるほど、辛い仕事だなあ
 ミオさんが執着だというなら、妻をこれだけ引き留める夫の執着心も相当だ
 死が一貫の終わりだと思っているんだな その点、女性のほうがしっかりしてるのでは?


歌声がする ♪君の手をとりて~ いと甘き声に 君を誘うよ~ 帰れソレントへ~





5.家で
赤井が行ってから4、5日後
五郎は写生に行ってる

おばさん:今度わてが生まれ変わったら、たーんと可愛がってもらいますよ
ミオ:私がいなくなったら五郎はどうなるか、それだけが心配なの

五郎が戻る
描きかけの絵を見たいというミオに仕方なく見せると「ああ、キレイだ」と泣く





五郎:
これからいくらでも描いてやる ヒキを怒らせたことを後悔している
オレはどこ行っても赤っ恥をかくように出来ている
赤井にもすまない 生まれてくる赤ん坊の面倒だってみれない

『万葉集』を詠もうか
ほんとの古典というものは、どんなに無学でも分かる、そういうもんだ


ミオから毛利からきた手紙を渡されて読むと、尾崎がすすめた仕事を断ったために、仕事がなくなる

五郎:
仕事はまた他で探すよ 絵本、紙芝居、似顔絵
首が飛んでも死ぬものかあああ!w
イサコさんが来た時、散歩に行けと言って怒ったのはどうしてだ?

ミオ:赤井さんたちを2人きりにさせてあげたかったのよ(ミオも妊娠している?
五郎:その調子だ! お前、ほんとにいい女だ



缶の中身を見たおばさんは悲鳴をあげる
おばさんが冒頭でゆってた、ヘビを黒焼きにしてミオに食わせる(漢方)という五郎


『万葉集』を詠み、絵の解釈と一緒に語る



五郎:
夜通し歩いて、恋人に「戸を開けてくれ」と頼む男の歌だ

生きることが最高の歓びなんだ
生きているこの時こそが唯一の尊いもの

死んじまえば真っ暗になって一切がなくなる 来世などありゃしない
この世界は生きても生き足りないほど豊かな、もったいないほど素晴らしい所なんだ!


いつか「神さまはあるか?」なんて言っていたな
そんなものがあるもんかい 欲張るな 生きてることがアルファでオメガだ

神さまなんて、生きることを粗末した奴が考えることだ
生き抜いた者には神さまなんていらない(一理ある
その証拠に結核菌なんてなんで作ったんだ バカにすんなっ!

神さまなんて考え出したのは、近代の弱くなった人間の病気だ
オレたちはみんな病気になってる

それを治してくれるのは、先祖たちが生きている通りに生きるしかない
自分の肉体で動物のように生きるしかない
一人ひとりが神になるんだ

今戦争に行ってる兵隊たちがそれだ 動物でもあり、神々でもある
オレたちは美しい 楽しい 石にかじりついても 赤っ恥をかいても構わない




おばさんに呼ばれる 生徒さんが3人見舞いに来て、とても会いたがるミオ
五郎:庭に回すから、ほんの1分間だよ!

(声だけ みんな働いていてヒマがないから代表で3人がきた
 オルガンにミオの写真が飾ってある
 「早くよくなって戻ってきてください ミオ先生」
 みんなが8円50銭を集めて持ってきてくれた

ミオ:
みんなに言ってちょうだい 私、あなたたちのことほんとに好きだった
自分より愛していた 私の分まで元気でいてちょうだいって言ってね


泣いて帰る生徒たち


過去形で言ったことに怒るが、脈をはかり心配する五郎
ミオ:万葉また詠んで

静かに目を閉じ、脈が危ない
おばさんに医者を呼びに行かせる「カンフルの用意!早く!!」

ミオ:もっと詠んで 詠んでくれないと眠い
五郎:眠るな! チキショー! バカヤロー!(万葉を詠みながら叫ぶ



本を持って呆然に立つ五郎 最初の場面に戻って終わるって・・・悲しすぎる
演者が砂場を囲んで一礼する




***

ミオは、夫の言う来世のない世界を信じたろうか?

劇場で観たら、より強烈だったことだろう
4時間、同じ砂場と、夫婦の生死の葛藤を観続ける気力が、今の私にはないけれども
こうして家でなら、また冒頭から観たくなる芝居

きっと原作は旧仮名遣いでより味わい深いだろう
これを読んで号泣したという長塚さんの気持ちが分かった気がする

第一回公演 2011年2月1日~13日 吉祥寺シアター

長塚圭史 演出、葛河思潮社「浮標(ぶい)」が三たび上演/田中哲司、原田夏希らが出演(2016.5.31)

【口コミ・感想】舞台『浮標』の評判、評価
“死にゆく妻、迫り来る戦争の影─。芸術にも、宗教にも、科学にも、経済にも頼れない中で、
 画家・久我五郎が見せる「生」への執着。4時間を超える三好十郎の傑作戯曲が、この夏3度目の上演!-葛河思潮社”

「浮標」 葛河思潮社 第五回公演@世田谷パブリックシアター



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