■『海のオーロラ 5』(全6巻)(中公文庫―コミック版)
里中満智子/著
▼あらすじ(ネタバレ注意
【第2部 ヤマタイ国編】
魏の国から流れ着いたレイを見つけたのは、ヤマタイ国のルツと友だちのモエ。
レイは海中から真珠をとってルツにあげるが、卑弥呼への貢物として家族に取られてしまったことに責任を感じて、
レイを避けていると、ルツに嫌われたと誤解するレイ。
成長し、真珠のことを打ち明けて誤解が解けると、「もっと大きいのをとってくる」と約束するレイ。
レイは前世の記憶を覚えているが、今度はルツが忘れている。
ルツの両親は、貢物のために荒れた海に漁に行って亡くなる。
ルツも海に飛び込み、レイも後を追って愛を伝え、そのまま行方不明になる。
貢物がない代わりにルツが巫女として、卑弥呼に仕えよと言われる。
レイは泳いで戻るが、レイが好きなモエはルツに言えないまま、ルツは故郷を発つ。
卑弥呼とイサギは人々の願いを聞き、お告げをしていたが、
巫女の1人、トヨはイサギが好きなために心が乱れて悩む。
イサギは、ルツに「卑弥呼の代わりにならないか」と誘うが断られる。
それを見ていた卑弥呼は「誰かが汚れた心を持っているため、神がお怒りになっている」
ルツ「私は恋をしています。でも、そのために心が汚れたなんて思っていません」
その相手がイサギではなく、故郷の幼なじみと知る卑弥呼。
「恋は人を愚かにさせる。嫉妬、欲望、思いあがり。人の心の醜い面をあらわにする。恋は人を堕落させる。
神の前で誓いなさい。恋など忘れると」
「忘れません。愛しています」
卑弥呼“私は何を信じている? 神の存在? 自分の権力? いいえ、いずれ私は年老いて死んでゆくということ”
イサギ「国はオレが治める。お前は国の象徴になれ」
貢物の中に、レイが教えてくれた名前の文字が書かれていて、生きているしるしと分かるルツ。
レイは大きな真珠を持って、ルツのいる所に旅立つ。
ヤマタイには、魏から使者が来ていた。馬を初めて見て驚く民衆。
「後進国を手なずけるのが先進国の力につながる。この国はないものだらけだ」
魏にルツを差し出せと命じる卑弥呼。イサギは「ルツを愛しています」と告白するが、
そこにレイが入ってきて2人は再会し、馬に乗って逃げようとし、
ルツはイサギの放った毒入りの槍で腕を刺され、ライラの幻影を見る。
薬草で熱は下がったが、ルツは目が見えなくなる。
それでも献身的に世話をし、2人が愛し合うために生まれ変わってきたことを告げるレイ。
イサギはルツを取り戻しに来る。
卑弥呼“憎い。愛し、愛され、満たされようと願うなど。この私が求めて得られなかったものを得るなんて。
許せない。一生がんじがらめにしてやる”
卑弥呼は死ぬ間際に、神のお導きでルツの体で蘇ると皆に告げる。
トヨ「卑弥呼さまも神の声など聞こえてなかったのよ。
どう言えば国民の心が希望に満ちるのか、この国が平和で豊かになれるか、
自分で考えて、それを“神の声”として人々に告げたのよ。
あなたにも出来るわ。ほら人々が待っているわ。
あなたの温かい言葉が、あの人たちの心を救うのよ」
卑弥呼の言葉は人民を力づけ、国を大きく発展させた。
卑弥呼がどんな人間だったか誰も知らない。
その卑弥呼の心を支えた存在がなんであるのか、それは誰も知らない。
【第3部 ドイツ編】
1933年。ベルリン。
第一次大戦で敗れたドイツでは、ナチ党が勢力を拡大しつつあった。
ユダヤ人のルツはドイツ人から差別を受ける。街には「ユダヤ人専門店」があり、六芒星のマークが目印。
ルツの父・デュッセル博士は、エジプトで研究しているため、ルツも会いに行く。
同級生で日本人のレイは、ルツを妹のように思っている。
レイの親友・フランツは、プレイボーイで女性にモテて、ルツの親友ハンナも彼のことが好き。
でも、ハンナは「フランツはいつも目の端でルツを見ている。彼はルツに恋してるわ」と言う。
デュッセル博士は、妻マリアが亡くなった後もずっと愛していて、日に日にマリアに似てくるルツも大切にしている。
レイの母・高見沢ヨウコ博士も有能な研究者でマリアの友人だったが、デュッセル博士を想っている。夫は亡くなった。
レイ「平安時代、恋をして、その人が夢に出てくると、夢になって会いに来てくれたと思ったんだ」
王家の谷の西のほうで男女の遺体が見つかったという(エジプト編の!?
それを見たルツは失神し、自分があの女性だったという夢を見る。
「愛する人を追って、砂漠へ出て、砂嵐に巻き込まれて死んだのよ」
「ユダヤ人はね、昔はイスラエルの民と呼ばれ、国土がなく、あちこちの国で奴隷のように使われていたの。
ラムセス二世の時代にエジプトから逃げて、海を渡ってつくりあげたのがユダヤ。
ダビデ王、ソロモン王、しばらく栄えたけど、ローマ時代に占領されて、反乱を起こして負け、世界中に散らばった。
どこの国でも邪魔者扱いされたために、人一倍努力し、だから余計目だって・・・
どこの国でも“ユダヤ人さえ出ていってくれたら”と思われている。ドイツでも」
ナチ党の勝利がニュースで流れ、デュッセル博士は強制帰国命令が出される。
「ヨウコ、ルツを頼む。もし何かあった時は守ってやって欲しい」
その後、高見沢博士もレイとルツを連れてドイツに帰る。
(不穏な空気の中にわざわざ戻ることないのに。国籍を変えるとか・・・
ドイツではユダヤ人商店がみな閉店となっていた。
父は「ユダヤ人対策委員会」から呼び出されたきり帰っていない。
実は、ルツを守るために、ドイツの研究に狩り出された。
国のあちこちに「ユダヤ人特別地区」を作った政府。名目は「ユダヤ人を差別から守るため」
しかし、そこに行った人々とは連絡が取れない。
ルツは、ユダヤ人を守るために、ユダヤ人だという印がついた服を着るよう強制される。
その服を着ていると、交通機関利用は禁止され、自分たちが憎まれていることを知る。
ユダヤ人は商売許可証を取り上げられ、学校でも黙って引っ越す学生が増えた。
創立記念パーティにも来るなと言われたルツのもとへ、レイとフランツがやって来る。
フランツはルツに告白する。
そこに政府の役人が来て、ユダヤ人地区に引っ越せと命令する。
レイはルツを守るため、博士の連絡が届くまで待ってくれと粘る。
フランツはルツを守るというが、
レイ「ルツのためなら、ドイツ人だということを捨てられるか?」
と聞かれて戸惑う。
里中満智子/著
▼あらすじ(ネタバレ注意
【第2部 ヤマタイ国編】
魏の国から流れ着いたレイを見つけたのは、ヤマタイ国のルツと友だちのモエ。
レイは海中から真珠をとってルツにあげるが、卑弥呼への貢物として家族に取られてしまったことに責任を感じて、
レイを避けていると、ルツに嫌われたと誤解するレイ。
成長し、真珠のことを打ち明けて誤解が解けると、「もっと大きいのをとってくる」と約束するレイ。
レイは前世の記憶を覚えているが、今度はルツが忘れている。
ルツの両親は、貢物のために荒れた海に漁に行って亡くなる。
ルツも海に飛び込み、レイも後を追って愛を伝え、そのまま行方不明になる。
貢物がない代わりにルツが巫女として、卑弥呼に仕えよと言われる。
レイは泳いで戻るが、レイが好きなモエはルツに言えないまま、ルツは故郷を発つ。
卑弥呼とイサギは人々の願いを聞き、お告げをしていたが、
巫女の1人、トヨはイサギが好きなために心が乱れて悩む。
イサギは、ルツに「卑弥呼の代わりにならないか」と誘うが断られる。
それを見ていた卑弥呼は「誰かが汚れた心を持っているため、神がお怒りになっている」
ルツ「私は恋をしています。でも、そのために心が汚れたなんて思っていません」
その相手がイサギではなく、故郷の幼なじみと知る卑弥呼。
「恋は人を愚かにさせる。嫉妬、欲望、思いあがり。人の心の醜い面をあらわにする。恋は人を堕落させる。
神の前で誓いなさい。恋など忘れると」
「忘れません。愛しています」
卑弥呼“私は何を信じている? 神の存在? 自分の権力? いいえ、いずれ私は年老いて死んでゆくということ”
イサギ「国はオレが治める。お前は国の象徴になれ」
貢物の中に、レイが教えてくれた名前の文字が書かれていて、生きているしるしと分かるルツ。
レイは大きな真珠を持って、ルツのいる所に旅立つ。
ヤマタイには、魏から使者が来ていた。馬を初めて見て驚く民衆。
「後進国を手なずけるのが先進国の力につながる。この国はないものだらけだ」
魏にルツを差し出せと命じる卑弥呼。イサギは「ルツを愛しています」と告白するが、
そこにレイが入ってきて2人は再会し、馬に乗って逃げようとし、
ルツはイサギの放った毒入りの槍で腕を刺され、ライラの幻影を見る。
薬草で熱は下がったが、ルツは目が見えなくなる。
それでも献身的に世話をし、2人が愛し合うために生まれ変わってきたことを告げるレイ。
イサギはルツを取り戻しに来る。
卑弥呼“憎い。愛し、愛され、満たされようと願うなど。この私が求めて得られなかったものを得るなんて。
許せない。一生がんじがらめにしてやる”
卑弥呼は死ぬ間際に、神のお導きでルツの体で蘇ると皆に告げる。
トヨ「卑弥呼さまも神の声など聞こえてなかったのよ。
どう言えば国民の心が希望に満ちるのか、この国が平和で豊かになれるか、
自分で考えて、それを“神の声”として人々に告げたのよ。
あなたにも出来るわ。ほら人々が待っているわ。
あなたの温かい言葉が、あの人たちの心を救うのよ」
卑弥呼の言葉は人民を力づけ、国を大きく発展させた。
卑弥呼がどんな人間だったか誰も知らない。
その卑弥呼の心を支えた存在がなんであるのか、それは誰も知らない。
【第3部 ドイツ編】
1933年。ベルリン。
第一次大戦で敗れたドイツでは、ナチ党が勢力を拡大しつつあった。
ユダヤ人のルツはドイツ人から差別を受ける。街には「ユダヤ人専門店」があり、六芒星のマークが目印。
ルツの父・デュッセル博士は、エジプトで研究しているため、ルツも会いに行く。
同級生で日本人のレイは、ルツを妹のように思っている。
レイの親友・フランツは、プレイボーイで女性にモテて、ルツの親友ハンナも彼のことが好き。
でも、ハンナは「フランツはいつも目の端でルツを見ている。彼はルツに恋してるわ」と言う。
デュッセル博士は、妻マリアが亡くなった後もずっと愛していて、日に日にマリアに似てくるルツも大切にしている。
レイの母・高見沢ヨウコ博士も有能な研究者でマリアの友人だったが、デュッセル博士を想っている。夫は亡くなった。
レイ「平安時代、恋をして、その人が夢に出てくると、夢になって会いに来てくれたと思ったんだ」
王家の谷の西のほうで男女の遺体が見つかったという(エジプト編の!?
それを見たルツは失神し、自分があの女性だったという夢を見る。
「愛する人を追って、砂漠へ出て、砂嵐に巻き込まれて死んだのよ」
「ユダヤ人はね、昔はイスラエルの民と呼ばれ、国土がなく、あちこちの国で奴隷のように使われていたの。
ラムセス二世の時代にエジプトから逃げて、海を渡ってつくりあげたのがユダヤ。
ダビデ王、ソロモン王、しばらく栄えたけど、ローマ時代に占領されて、反乱を起こして負け、世界中に散らばった。
どこの国でも邪魔者扱いされたために、人一倍努力し、だから余計目だって・・・
どこの国でも“ユダヤ人さえ出ていってくれたら”と思われている。ドイツでも」
ナチ党の勝利がニュースで流れ、デュッセル博士は強制帰国命令が出される。
「ヨウコ、ルツを頼む。もし何かあった時は守ってやって欲しい」
その後、高見沢博士もレイとルツを連れてドイツに帰る。
(不穏な空気の中にわざわざ戻ることないのに。国籍を変えるとか・・・
ドイツではユダヤ人商店がみな閉店となっていた。
父は「ユダヤ人対策委員会」から呼び出されたきり帰っていない。
実は、ルツを守るために、ドイツの研究に狩り出された。
国のあちこちに「ユダヤ人特別地区」を作った政府。名目は「ユダヤ人を差別から守るため」
しかし、そこに行った人々とは連絡が取れない。
ルツは、ユダヤ人を守るために、ユダヤ人だという印がついた服を着るよう強制される。
その服を着ていると、交通機関利用は禁止され、自分たちが憎まれていることを知る。
ユダヤ人は商売許可証を取り上げられ、学校でも黙って引っ越す学生が増えた。
創立記念パーティにも来るなと言われたルツのもとへ、レイとフランツがやって来る。
フランツはルツに告白する。
そこに政府の役人が来て、ユダヤ人地区に引っ越せと命令する。
レイはルツを守るため、博士の連絡が届くまで待ってくれと粘る。
フランツはルツを守るというが、
レイ「ルツのためなら、ドイツ人だということを捨てられるか?」
と聞かれて戸惑う。