メランコリア

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つげ義春コレクション『苦節十年記/旅籠の思い出』

2010-05-25 18:15:06 | 
つげ義春コレクション『苦節十年記/旅籠の思い出』
(エッセイ) / 旅籠の思い出 / 上州湯宿温泉の旅 / 颯爽旅日記 / 東北の湯治場にて / 夢日記 / 断片的回想記 / 密航 / 自殺未遂 / 四倉の生 / 万引き / クロという喫茶店 / 妻のアルバイト / カメラ商開業未遂 / 最初のひとつ / いつも変わらぬ貧乏話 / つげ忠男の暗さ / つげ忠男の不運 / 苦節十年記 / つげ義春自分史 / (イラスト) / 旅の絵本 / 桃源行 / つげ義春流れ雲旅
解題・高野慎三 解説・名人伝 池内紀

借りて見て、マンガでなくエッセイ集だと気づいて驚いた。それでも、帰りの高速バスの中と自宅で一気読み。
義春が4歳くらいまでは、腕のたつ板前さんだった父の稼ぎで安穏に暮らしていた家族らが、
父の病死以降は一変し、つげは義父に、弟は義祖父に虐待され、兄弟みな小学校を出てすぐ働かされ、
それからずぅっと壮絶なビンボー話がつづく。

メッキ工ほかさまざまな職の変遷、引越しも多いし、貸し本屋ブームの頃に漫画家を目指して出版社を回り、その日暮らしの日々。
いろんな女性と同棲するたびにマンガを量産するがまとまった金にもならず、別れ話のもつれから自殺未遂をはかる。
そんな実話を基にして描いた作品との関連性も分かって興味深い。

山間や海沿いの寂れた湯治場にある宿の話、弟・忠男のデビュー作をもらったり、共同で量産しようという計画も破れた話、
中古カメラを売りさばいたり、河川敷の石を集めて売ったり・・・こんなフシギな生活もあるんだなあと妙に感心。
ほかにも略歴、イラスト、夢日記も収録されている(夢から得たアイデアで描いたマンガも多い)。


本書にたくさんの喫茶店が登場してきて、いちいち気になった。漫画家はけっこう喫茶店を拠点にしてるのか?

▼水道橋 「セントルイス」
▼御徒町 「寿苑」
▼池袋 西武デパート前 「小山」
▼錦糸町駅前 「コンパル」(美人喫茶店なんてゆうのもあったらしいw

水木しげるとの交流も書かれているから、『ゲゲゲの女房』にも登場する?!
精神的にまいってた時の「森田療法」っていうのも気になった。
「一切の関係から切れた単独の乞食こそ最高の生き方だと思う。」ちょっと分かる気がする。

映画化もされている(まだ観てないもの)↓↓↓
▼『ゲンセンカン主人』 石井輝男監督
▼『蒸発旅日記』 山田勇男監督
▼『リアリズムの宿』 山下敦弘監督



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