メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1994.10~ part8)

2013-02-18 13:25:31 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part7からのつづきで、草色のノートはこれでラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ミスター・サタデー・ナイト』(1992)
監督・出演:ビリー・クリスタル 出演:デビッド・ベイマー ほか
『恋人たちの予感』『シティ・スリッカーズ』で演技のうまさも証明したクリスタルが3役兼ねて
ショービジネスへの想い入れたっぷりに撮り上げた、笑いあり、涙ありのヒューマン・コメディ。
スターとして名を馳せた頃と、歳とともに落ち目になったシーンを絶妙に組み合わせてそれぞれを見事に演じきっている。
彼自身、SNL出身のスタンダップ・コメディアンから今じゃアカデミー賞の名物司会者にまで成功した売れっ子。
自らの自伝的作品かどうかは分からないけど、細部にまで行き届いた数々のエピソードがリアルだし、
終始飛び出す可笑しいギャグの連発もアドリブ的セリフもあり、
思い切り笑かした後に兄弟愛や夫婦愛、父娘愛でホロっと泣かせるあたりは本当にうまい。
スポットと歓声を浴びてステージに立ち、大勢の人を笑わせ、喜ばせる興奮てきっとたまらないものなんだろうね。
そんないにしえのコメディアンたちは今ごろどうしているのかしら?
時代の流れに沿って変わる笑いのスタイルやセンス、次々と若いパワーが出てくる。
どんな世界でもそれは同じだろうけど、その華やかな花道と静かな老後のギャップになんともいえない哀愁が感じられる。
散りばめられたサッチモのジャズが粋。


『SWEET TRONT Rockn' Roll Revival Festival 1969』(1988)
出演:THE PLASTIC ONO BAND, ERIC CLAPTON, KLAUS VOORMAN, ALAN WHITE
KEEP ON ROCKIN'!!! これは参った、完璧に。バンド結成のエピソードの後にヨーコが振り返る。
「ジョンのユーモアは独特で、他に例はない」と言うシーンから、'69のステージへターン。
ビッグなロックスターが一堂に会してモンタレーポップフェスティバル風の雰囲気。
リトル・リチャードの妖しさにはビックリ。「未完成なプリンス」みたいだもの

夜になって噂のバンドが出現。顔中クッションみたいなヒゲに覆われたジョンと、常に傍に影のように居るヨーコ。
彼女が♪Yer Blues から不気味な裏声でバックコーラスを入れ始めてステージはだんだん異様な雰囲気に。
そして出たっ タイトルも♪京子ちゃん心配しないで
「ア~~~~ア~~~~ア~~~~イ~~~~ハァアアア~~~~ア~~~~」
延々と続く続く。次の曲も似たり寄ったり。これはすごい。なんとも言いがたい。
一応なにかしらのコンセプトを基に演ってるんだろうね。白い布をかぶってステージ中央にうずくまったり、
曲目を書いたメモを見ながら進行し、見ながら歌ったり。
このオノバンドは音楽の域を超えてアート化してる。じゃなきゃ呪われてるか、
stonedしちゃってるとしかいいようのない、彼女のこのキョーレツなキャラクター
これを何千人、もしかしたら何万人の前で堂々と披露できるとは並の人間じゃないゾ。

それにジョンやクラプトン他のメンバーも笑いもしなければ無表情で、ア~~~~の声にあわせて
しきりにギターをハウリングさせたり、ドラムを加えたり、真面目にプレイしてるのがまたなんとも可笑しいやら不思議やら。
そしておもむろにステージを去って、ハウリングさせたままのギターを残してライトが消えて“KEEP ON ROCKIN'”のテロップ。
観客もさぞかしヤラれたって気がしたんじゃないかしら? まさになんでもありのヒッピーの祭典。
これをもう一度試みようとするアーティストはまず出てこないだろうね。
同じ日本人女性とは思えないオノ・ヨーコ。彼女はただ者じゃないな。


『LOVE HAPPY』(1949)
 
監督:デビッド・ミラー 出演:グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、マリリン・モンロー、エリック・ブロア、イローナ・マッセイ ほか
コメディ界で伝説的存在の「マルクス兄弟」。実は観るのは今回が初めて。
'49だもんね。モノクロでコマ送りの映像がチャップリンの無声映画を思わせる。
でも、これは声も音楽もあり。昔は今と違って本物の芸で笑わせてたんだよね。
ドタバタ喜劇の中に楽器演奏まであって、ピアノやハープまで聴かせてくれる。コメディにはもったいないくらい

ハーポのなんともいえない天真爛漫さがイイ。
彼の不思議な上着のポケットから出るわ出るわ何から何まで。犬まで出てきたのには笑った。
自称、読心術が出来るというピアノ弾きとのジェスチャー連想ゲーム状態のやりとりも楽しい。
逃げ回るシーンでも夜のネオン街を最大限に利用して、ネオンの馬に乗ったり、
カーテンのパラシュート等、ファンタジックな要素もある。本物のミュージカルも観れるし。
ちょっと色っぽいシーンでは「フランス映画ならあり得るけどね」なんてセリフもある。
マリリンの出演にはビックリしたけど、なんてこたない、探偵事務所を訪れる客の1カットのみ。
催眠術師の婦人がどことなくディートリヒ調で時代を感じさせる。

(そっかマルクス兄弟に出会った年でもあったんだ!グルーチョ大好き


『LISZTOMANIA』(1975)
監督:ケン・ラッセル 出演:ロジャー・ダルトリー、リンゴ・スター ほか
ロジャー・ダルトリー主演のロックオペラ『トミー』と同じ年に撮られた今作。同系だけどもっと難解。
退屈で宗教的なクラシックをオチョクったのか、それともあまりに巨大なマーケットと化した商業的ロック業界をオチョクったのか。
とにかく金のかかったゴージャスなセットは、イギリス版フェリーニ風に大掛かりで、
特にピアノと結婚したリストのピアノ・ローブやピアノ・カーテンetc ここまで凝るか!?
ダルトリーが演じればどことなく無邪気で、リスト役も嫌味でなくなる。
その魅力は青い眼よりも、どこまでもクルクルのヘアスタイルにあるとみた。
途中初めて見るストレートスタイルに魅力半減して証明された。
ちょっとテンポのズレた歌声も、上手いのかヘタなのかとっても微妙だし。
ザ・フーのメンバも顔を出して、とにかく自由気ままなイメージと幻想世界へトリップ。
なにが不満って、女性が男性を崇めて狂信し、裸で踊る性の道具にしか見えないのかしら?
魔女か子羊のどちらかなのね。ユダヤ人虐殺シーンやら、なんだか行き過ぎたブラックユーモアは笑えない。


『メル・ブルックスの大脱走』(1983)
 
監督:アラン・ジョンソン 出演:メル・ブルックス、アン・バンクラフト、クリストファ・ロイド、チャールズ・ダウニング ほか
監督兼主演が主なキング・オブ・コメディのメル・ブルックスが、今作では奥さんと共演して出演のみだけど、
彼流の笑いのセンスが保たれているのは、彼がプロデュースしているせいかな。
思い切りナチ占領下の話で、ともすれば湿りがちなところを、夫婦愛、不倫騒動、スリ替わりのドタバタで明るく乗り切っている。
最初、幕開けがワケの分からんあやしいポーランド語で始まって「健康と理解のため英語でやろう」なんていう細かい芸も忘れない。
実際もこんなスリ替わり劇で命を助けることができたらよかったのに。

名コメディアンと名女優。とっても奇妙な組み合わせなのに息もピッタリで仲がいいんだね、この2人
ヒットラーをジョークのネタにする処刑室の鬼役にC.ダウニング、マヌケなドイツ兵役にC.ロイドがチョイ役で出てる。
テーマがテーマだけにブルックスの徹底的ナンセンス・ギャグが少ないのがちょっと淋しい。


『コールド・ドッグ・スープ』(1989)
製作総指揮:ジョージ・ハリスン、デニス・オブライエン
監督:アラン・メッター 出演:ランディ・クエイド、フランク・フェリー、クリスティン・ハーノス ほか
なぜかMP関連らしいけど、製作に関わっているのかしら。
全然笑えないB級映画だけど、ラストの終わり方だけ妙に解放された思いがして気に入った。
ちょうど今みたいなウィークエンドの小春日和で、さんざんな目に遭った主人公の青年マイケルが
別の犬を埋めに来た男に出会って、同じように「この犬は売れるよ」ともちかける。
流れる音楽が'80代で懐かしさと一抹の淋しさまで覚える。きっと今日のわたしの気分が妙なんだわ。。


『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(1988)
監督:チャールズ・クライトン 出演:ジョン・クリーズ、ジェイミー・リー・カーティス、ケヴィン・クラインマイケル・ペイリン ほか
これは文句なく面白い MPの存在を知る前に観ても同様に楽しめただろうけど、
これをジョンやペイリンがやってると思い入れがあるからなおさら一層可笑しい。
お互い歳はとったけど、裁判官のコントはお手のものだし、映画作りも鮮やかなお手並み。
ロマンス、アクション、コメディ、あらゆる要素がいっぱい詰まって、2時間たっぷり満足できる痛快コメディ。
原作はジョン・クリーズ自身で製作にも関わっている。
「英国人でいるのは窮屈だ。いつもマヌケなことをするんじゃないかとビクビクする死人だ」なんてセリフは本音かな?
アメリカ人に対しての最悪の悪口「ベトナム戦争で完敗した」なんてのもキョーレツ。
英米合作とあってお互いタブーもとっぱらった自由さが溢れてる。


『アメリカン・パロディ・シアター』(1987)
監督:ジョン・ランディ 出演:ジョー・ダンテ、ロバート・K・ワイス、カール・ゴットリーブ ほか
とことんツイてない黒人の話。ビールは吹きだすわ、流しにネクタイを吸い込まれるわ、間違い電話、感電
ビデオテープは顔めがけて飛ぶ、テレビは爆発、本棚の下敷きになって窓から落ちちゃう最初から爆笑もの。
(ネタ部分のメモは割愛)
ほとんどMPのノリでよかったのに、やっぱ最初のが一番爆笑。1人の部屋でバカをやってるのが妙に孤独で笑える。


『バロン』(1989)
 
監督:テリー・ギリアム 出演:ジョン・ネビル、エリック・アイドル ほか
一度観たから詳細は省くけど、観たのは随分と前で確かスティングシリーズじゃなかったかな?
結局1カットのみのチョイ役でしかなかったんだけど。
改めて観たら『はてしない物語』ばりの空想ファンタジー。「夢は信じなきゃ」って子どもへのスピルバーグ的メッセージ。
ミッキー・ルーニーの年寄り版みたいな格好のエリック登場。そっか彼だったのかあ! いやあ'89の彼が観れるだけで価値あり。
でもメンバー総動員なんて、目を凝らして観てたけど、彼1人だったよ。
あと、役人役に『未来世紀ブラジル』のジョナサン・プライス。やっぱり時の流れは隠せない。
少女が言う「みんな年老いて疲れてるわ。昔のようにはいかないのよ」ってセリフが妙に心に染みる。

キャストはスゴイし、製作費用が70億だっけ?豪華、豪華。BBCの低予算でやってた頃とは大違い。
でも時間オーバーで、完成後、プロデューサーと相当モメて、結局ギリアムが勝って、
英、仏、日版の3カ国で出回ったっていう因縁があるらしい。
過去の映画も忘れずにみて、MPの後々の活躍の経緯を追ってゆくのも楽しい。
エリックは監督やらないのね。彼のありあまるタレントは、その後一体どこに費やされたのかしら?
とにかく今、イギリスのコメディ映画が面白い。同じ英語圏でもアメリカとは、感覚や歴史、文化もろもろ違う。
今後の研究課題にピッタリ。


『ローズランド』(1977)
監督:ジェームズ・アイボリー 出演:クリストファー・ウォーケン、ジェラルディン・チャップリン ほか
なんと長く待ったことか! 6~7年前、ウォーケンシリーズで観たくて観れずにいた今作にやっとお目にかかれた。
'77とあって、若くてハンサムなジゴロ役の彼の魅力がたっぷり撮られている。吹き替えで声が聴けないのが残念。
N.Y.に実在している由緒あるダンスホールにおける人間模様をダンスナンバーとともに3つのエピソードから成っている。
ウォーケンもダンスとは切っても切れない関係で、クラシックダンスを優雅にスマートに踊るシーンはサマになってる。
退廃的ムードが漂い、夜年波でパートナーや人生の目的を失った人々、ダンスに熱狂的な人ばかりが集う特殊な場所は都会の1つの顔。

「いつまでも人生をエンジョイする気持ちは大切だ」と高齢化社会を迎えた都市で繰り返し言われるが、
剥げ落ちた化粧、息切れ、重く鈍くなった体、皺になった肌にまとった宝石、派手なドレスは
どれも過ぎ去ってしまった時を思わせるだけの空しい努力に見えてくる。
過去と自分を隠して、まるでホールでしか生きられないかのように、
着飾ってダンスに没頭する人々の光景は一種異様なものさえ感じる。
優雅な老後生活と思いきや、ほとんどが地下鉄やバスを利用する年金生活者らしい。
ホールにいても全然誘われない日もある。若さと老いの意味を改めて考えさせられる気がした。


『バトル・オブ・バロン~テリー・ギリアム創作の秘密』(1989)
『バロン』の製作を通じてギリアムワールドのタネ明かしをしてくれる。
75億円の製作費、企画から製作に取り掛かるまでがまず最初の難関で、気づけば撮影開始12週間前になっていたとか。
中世劇でもあるし、幻想ストーリー、大ボラ吹きの話でもあるSFファンタジーの大半は特殊撮影のたまもの。
出演者ソックリの人形やスタント、スペイン、ローマをロケ地にして、
フェリーニとともに製作に参加した腕のいいスタッフに助けられ、
書割の建物、エキストラ全員にまで及んだ衣装や細かな小道具から、月世界、火山、下着の気球、
あらゆるシーン、1カットごとが並々ならぬ大掛かりなプロジェクトで、
大勢のスタッフと時間、費用が費やされて作られていく過程が分かる。

監督のコメントもあり「私はバロンになっていた。ムリだというスタッフに無理難題を押しつけた。映画自体が勝手に作りだしたのさ。
苦しい時には♪バロンは絶体絶命、彼の運命はどうなる? という節が頭の中をいつもめぐった」
同じロンドンに住んでいるというスティングが出演にすぐOKしたと答えるくだりもあり。
大ファンらしいけど、あんな大げさなメイクアップでもたったの1カットに終わっている。

それぞれのコメントの中にエリックもチラっと出てくるのは見逃せない。
その後、作家になったのか。へえ!小説?それともTV作家?書くほうに回ったってわけね。
大量のフィルムが編集されて、やっと1本の映画が創られる。こうゆういきさつを見るのもなかなか楽しい。
SFファンタジーにメイキングはありがちだけど、ぜひギイアム作品のほかのメイキングも一緒に発売してくれたらいいのに。
『未来世紀ブラジル』の近未来的映像の裏側もとっても興味深い。
ところで、彼は今現在何を撮っているのかしら?
ほかのMPメンバをもっと起用してまた揃って元気な姿が見たいものだ。


『CAROL KING IN CONCERT』(1994)
♪NATURAL WOMAN、SO FAR AWAY、JAZZMAN、BEAUTIFUL、SMACK WATER JACK、I FEEL THE EARTH MOVE、IT'S TOO LATE、
LOCOMOTION、YOU'VE GO A FRIEND、WILL YOU STILL LOVE ME TOMMOROWなど
多数の名曲を生み出したシンガーソングライター、キャロル・キング最新のライヴビデオ。
グレン・クローズみたいなクリクリのブロンド、スリムなボディで動き回る姿は、
フォーク・ロックをイメージしていたけど大違い。
彼女自身ギターとピアノを弾くけど、ガンズのギタリスト、スラッシュらを迎えて、
ベストヒットナンバーにアレンジを加え、ホットなステージを見せてくれる。

「'60を覚えてる人はいる? 覚えてない人は何人? '60を過ごした人には懐かしく、そうでない人は音楽のお勉強の時間」
というわけで、アニマルズほかの曲をメドレーで紹介。
客席ではそれぞれの思いを馳せて口ずさむ人々の様子、見ればけっこう年齢層は高い。ロックンロールチルドレンってとこかな。
ちらほらティーンエイジャーもいて時代を超えて愛されていることが分かる。
アメリカの音楽の芯を支えるミュージシャンの1人なんだ。ジャズあり、フォークあり、ブルースあり、
その他あらゆる要素を含んだ幅広いアレンジに彼女のハスキーでソウルフルな独特の声、
あっちこっちをピョンピョン跳び回るヤンキーでもあるし、しっとりとピアノの弾き語りもきかせる。
才能と実力あるキャロルの世界が存分に楽しめるライヴビデオ。ほかのアルバムも聴いてみたくなる。


『ERIC THE VIKING』(1990)
監督・出演:テリー・ジョーンズ 出演:ティム・ロビンス、ジョン・クリーズ ほか
テリーが子どものために作ったというバイキングの冒険物語。
MPのメンバってこうゆう夢あふれる古代ロマンみたいなのが好きなのかしら?
『バロン』を思い起こさせる今作にはかのメンバのうち、テリー、クリーズが出演。
なぜか関根勤がオールを漕ぐ男をせっつく文句たらたらの男、日本語のセリフに英訳がついてるチョイ役で出演。

いろんなアイデアが次々と現れ、冒険談や笑いの中にもメッセージがある。
自分の力を信じれば隠れみのがなくても戦えるとか、争うのを止めて互いに仲良くしようだとか。
女性は男を産み、育て、大人へと成長させる勇気の源であり、知恵でもある。
冒険に勇ましく出かけるのも、女、子どもが泣いて引きとめ、彼らの帰りを待っているからであり、
彼女たちを守りたいという理由がそこにあるから。
ちょっとトボけたヴァイキングのエリックも長い旅を通じて、その辺を学んだんじゃないかしら?
今作も負けじと金がかかっていそう。島の宮殿やら神々の住む星に囲まれた城等々
イメージの世界がどこまでも広がってゆくファンタジックワールドだ。


『イマジン』(1988)
 
監督:アンドリュー・ソルト  出演:ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、シンシア・レノン ほか
今なお世界中で愛され、指示され続けるビートルズと、カリスマ的存在であるジョン・レノンの軌跡。
100分にも渡るインタビューと貴重な記録フィルム、数々の歴史的偉業をうちたてた活動と、名セリフetc..
これを見ると今まで何気なく聴いてきた曲に、それぞれ想い入れや強烈なメッセージがあり、
ジョンとヨーコがどんなに結び付けられた関係だったかとか、ジョンがどれほど音楽、政治、思想、価値観に影響を与え続けているか、
等身大の彼がこんなに人間的でユーモアがあるアーティストで、今までの漠然としたイメージが刷新された感じ。
先日観た『バック・ビート』と重なる部分もあって、本当のスーパースターとはこれだ!て感じ。
今後これほど全世界を巻き込んで一挙手一投足に大騒ぎされるスターは出現しないだろう。

リバプールのクラブから、ブライアン・エプスタインのマネッジもあって、英国から賞までもらい、アメリカほかのツアーでも大人気。
あまり信じがたい映像に、この映画自体ジョンの指揮によるコメディ仕掛けになってるんじゃないかって疑いたくなるくらい。
インタビュアーの喋り方がまるでモンティ・パイソンなんだもの!
ブライアンのオーバードゥース死後、宗教にハマって、ヨーコとの運命的出会い、グループの解散。
個展でのオブジェがキッカケで18ヶ月後バツイチのレノンはヨーコと再婚した。先妻との別れで、列車に乗り遅れたエピソードにも説得力がある。
体の一部となったヨーコ。彼女の声といい容姿といい、すごいキャラクターだよね。
でも、ベッドインでの記者会見では漫画家との辛らつな会話で無視されてたりしている場面もあり。
すっかり成長したジュリアンとショーンの話もある。
同じ血をひいてるけど、育った環境がかなり違っているのが興味深い。

ジュリアンはジョンが24~25歳の時の子ども。仕事に忙殺されて、イギリス郊外で母に預けっぱなし。その後は関係が回復したらしい。
ショーンは“専業主夫”てイメージに変わったジョンが子育てに専念して育てあげた。
しかし、1980年。40歳で銃に撃たれ、病院で死亡したジョン。
「しばらくは父の曲を聴くたびに泣いてばかりいた。周りにいないのが寂しい」というショーンのセリフは心に残る。

「キリストより有名だ」ほかの発言や行動で常にカメラに追われ、新聞に載り、人気と同時に悪意に満ちた批判に曝されたジョン。
レノンは「ただLOVE & PEACE を唱える1人の人間だ」と強調していた。
ファンは勝手に崇め、人以上の存在を求めて、彼に押し付けていた。
さかんに拍手を送り、塔のてっぺんまで持ち上げて、見事そこから突き落とす。
D.ボウイと共作した♪FAME がそれを歌っている。
幸か不幸か激動の時代のトップを走り続け、焦点のボヤけた生ぬるい時代になる前にこの世を去ってしまった。
「彼は私の夫であり、恋人であり、パートナーであり、一緒に戦う戦士だった」ヨーコのラストのセリフに重い響きが宿っている。

自らの半生、ビートルズからヨーコとのバンドほかもろもろについて語るジョン。
これを観るかぎり、彼がもうここにいないとは思えない。
♪LOVE ME DO から♪IMAGINE までヒット曲もズラリ。♪ヨーコー!と気恥ずかしくなるようなストレートなラブソングを
閉口気味のスタッフとレコーディングするシーンまであって、ヒット曲を振り返ることもできる。
ジョンの“愛と平和”の思想はまだまだ実現されず、信じない人々も多いことが残念に思われる。




【読書感想メモ】
「天使の自立」シドニー・シェルダン
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「SILSIE」Marie Redonnet
「A SIMPLE PLAN」SCOTT SMITH


【歌詞をメモした曲】
♪(YOU MAKE ME FEEL LIKE) A NATURAL WOMAN/CAROL KING
♪JESSE/JANIS IAN
♪COME ON HOME/C.LAUPER
♪WAY OVER YONDER/C.KING
♪HELLO IN THERE/JOHN PRINE
♪SOMEBODY CHANGED THE LOCK/MAC REBENNACK


コメント    この記事についてブログを書く
« 裸足の学校@スーパープレゼ... | トップ | notes and movies(1994.10~... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。