メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1998.9~ part5)

2013-10-20 14:03:56 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづきで、猫のイラストがある黄色のノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『華原朋美 keep yourself alive』(1995)
コレって新譜のプロモと、そのメイキングだけじゃん。本当にコレクターズアイテム。
まだデビューしてからライヴビデオって出してないのかも。コンサートツアーはさすがに行ってるんだろうね。
そっちのほうが見たいな。新しめのヴィデオも20min単位の小売りだし。なんでだろ?

撮影風景と、小室&華原の別撮りインタビュー。
小室「時代を映す鏡、朋美というフィルターを通じてその世代観を吸収する」
蛍光灯とたわむれたり、目の周りを真っ白に塗って近未来的な雰囲気。

華原「変わっていく私を見てほしい。飾ってない自分が一番輝いてて、それが自分だ。この曲は自身を歌っている」(とかそんなこと
とにかく小室ファミリーもいろいろ定着してきてる昨今、その詩、メロディともにイイ仕事してる。
ヒトによっちゃシンガーソングライターで売れるヒト、ヒトを通して芸術を完成させるヒトがいるんだな。


『THE X-FILES SEASON 4』

監督:クリス・カーターほか 出演:デイヴィッド・ドゥカヴニー、ジリアン・アンダーソン ほか

【FILE No.411 El Mundo Gira】
だんだんミステリーより宇宙ネタをかませたドロドロスプラッタ系にいくな。移民問題をとりあげてる。
エイリアンみたいな顔になちゃった2人は「見つけることはできない。They're invisible. 誰も気にしない」
本気で動かない移民局や、警察、金のため、低賃金労働や犯罪に走り、保障もないから迷信に頼る人々。
カビカビ死体はウッてくるほどおぞましい。


【FILE No.412 kaddish】
ついに出た伝説の巨人ゴーレム。それをユダヤ系家族の愛と結びつけたら、こんなイイドラマとなった。純真な花嫁がイイ。
村の繁栄のシンボルの指輪をはめて、式を挙げてから、呪文が書かれた手の1文字を消して「死」とし、
泥に戻ってゆく感動的シーンは完璧。
ちょっと考えれば「何か変、ププ」って思うだろうに、本人らは大真面目な伝統と格式を守り続けている。
その信奉ゆえに今までのメチャクチャな殺戮の歴史があるのに、ヒトってフシギな生き物だな。
スカリーもモルダーもここまでくると変なものに目が慣れすぎて全然驚かなくなってる。
今、第5シーズン「日曜日は観てね」ってCM2本入り。


【FILE No.413 Never Again】
初めてスカリーの“女の顔”が見れる1話。「堂々巡りはどこまで続くのかしら?」ってセリフは、
そのまま4シーズンまで迎えて行き詰ってきたスタッフの苦渋のうめきにもつながるのでは?
狂気に悩む俳優がなかなかカッコいい。いつのまにかショートカットのスカリーの色っぽさが光る。
さすがのFBIの俊敏な動き、攻めと防衛が見物。
「自分の机を与えなかったからかい?」「あなた中心に私の人生回ってるんじゃないのよ」「しかし・・・」
すごい半端な終わり方。


【FILE No.414 Leonard Betts】
今日だけでエグイシーンは限界値 そのとどめがコチラ。人の体がトカゲみたく再生する?
この俳優どっかで観たのがすごい気になるんだけど。
こんなに死体に慣れちゃってるスカリーもすごいけど、彼女もがんに冒されてるって衝撃のシーンで次回へ。
「いいペーパーウェイトになるぞ」ってジョークはモルダーにしちゃ珍しく笑える。とにかく笑うしかない、ここまでくると。
死体置き場のゴミ箱をグチャグチャ漁って取ってきた頭がまばたきするんだから!
「段階的に進化するのでなく、急に変異するんだ」ダーウィン説を破るのもいいけど、ここまでブッ飛ぶとは。


『世にも憂鬱なハムレットたち』(1995)
監督:ケネス・ブラナー 出演:マイケル・マロニー ほか
ブラナーはコチコチの古典一筋かと思えば、合間にこんな現代喜劇も撮れる。
前観た『ハムレット』と同時期なら、壮麗なドラマの舞台裏話ともとれる。
前は敵役だった俳優が、今度はハムレット、それも貧乏役者の監督役で、
これで役者をまとめて劇をつくる側の苦労も分かったことだろう。挿入歌がアイドルっぽい。
ほんと、役者熱にとりつかれたら、病み付きになる気分がちょっと分かる。

「金のためじゃなく、自分に必要だからやる」
役者のポリシーはもっと誇り高いものなんだ。

オフィリア役の子には父、王妃役には息子、Aには母が会いにきて皆幸せ。
観てるだけじゃわからない、演じてみて、その深み、家族の愛憎劇の深淵が見えてくる。
噛めば噛むほど味が出るのがシェイクスピア劇か。

『ハムレット』中のセリフもイイ。
「今来なきゃ後でくる、後で来なきゃ今来る。今来ないなら、いずれは来る。肝心なのは覚悟だ」
真理は歳をとらないし、本当に素晴らしい台本も時代や客層を選ばないワケだ。
役者を愛し、劇を愛し、観客を愛するブラナーの温かい視線が感じられる1作。


『オセロ』(1996)

監督:オリバー・パーカ 出演:ローレンス・フィッシュボーン、イレーヌ・ジャコブ、ケネス・ブラナー ほか
『ハムレット』に続いて、これがかの有名なオセロか。今度はヒトは夫婦愛を試される。
ヒトと獣の違いは「言葉」にあるというけれど、そのせいで起きた禍がなんと多いことか。
この悲劇はすべてイアーゴの舌先三寸の仕業。そして、その動機もまた確証のない噂話から。

「神とは我々の痛みをはかる1つの考え方にすぎない」と言ったジョン。
神と悪魔が存在するとしたら、それはヒトの良心と悪意だ。

シェイクスピア作品は読むものでなく、観るものだと分かった。
ヒトが関心を寄せる日常と感情の世界を見事にドラマ化する、その脚本力の素晴らしさが初めて分かった。

「おまえの死ぬ時、私はその唇に口づけた。私の死ぬ時も口づけしながら死のう」

「嫉妬などしない。妻を愛するのをやめるだけだ」と言ってた男が、1人の男の話でいとも簡単に勝手に邪推をふくらませて、
どんな毒を盛られたよりも早急に強い効き目で嫉妬の発作を起こす。
嫉妬を裏返せば愛情。相手を愛すれば愛するほど、その反動は大きい。
「恋は盲目」疑いひとつで、天使のごとき女を自分で殺すことになるとは!

今作には人種差別の要素も強い。身分の違いからというより、肌の色や国の違いがさらに疑心の火付け役となっているのがポイント。
「どんな魔法を娘にかけた?」と父も言う。
エミリアは浮気をつま先ほども信じないDに
「妻も夫と同じ感情をもつ人間。妻が浮気をしたら、夫から学んだことなのです」
女に厳しいシェイクスピアには珍しい発言。

『ハムレット』でもオフィリア悲劇のヒロインの最期を迎える前の歌が印象的。
♪あの人はもう帰らない だったか。今作でも死を予感してか、Dが柳の歌をうたうシーンがある。
「ハクチョウは死ぬ直前歌うという」
そういえば、I役のブラナーまで2、3節だけ歌ってる。なかなか美声
彼の監督作ではないが、役者としても一流。悪役もいける。『ハムレット』では今作のメンツを集めたんだな。

少々頭が足りずに恋の奴隷でIにいいように使われているL役のマロニーは、悲劇の中にコミカルな部分を出しててイイ。
時々カメラ(観客)に向かってのセリフは舞台劇の演出。
なんといっても清純潔白なヒロイン役にジャコブはこれ以上ないキャスティングの成功例。


『ジェイン・エア』(1996)

監督:フランコ・ゼフィレッリ 出演:ウィリアム・ハート、シャルロット・ゲンズブール、ジェラルディン・チャップリン ほか
晩秋の夜長に名作文学に酔うのもイイ
学生の頃『風と共に去りぬ』『嵐が丘』等と一緒に読んだ気がするんだけど、忘れちゃなんにもならない。
単純に言えばシンデレラ・ストーリーだけど、1人の女性の半生をドラマティックな長編に書き上げた、
ブロンテの女性的繊細さと、感情の豊かさに魅かれ、18Cにあって女性の自立をうたったことに敬服。

「婚儀に愛はない。結婚してくれジェーン。そして名を呼んでくれ」

美しい英国の緑にたたずむ2人がそのままスケッチとなるラストは美しい。
「私は枯れ木だ」「いいえ、芽から出て、また枝が伸びるでしょう。あなた自身の力で」
久々胸がキューンと締め付けられるときめきを感じるロマンス作品
「君なら私を救ってくれる気がした。心臓から出たヒモが君の心臓とつながっていて、遠く離れたらプッツリ切れてしまいそうだ」
白馬の王子さまじゃなくても、自分を必要とし、愛してくれる存在を女性は心から忠実に欲するものだ。


『「もののけ姫」はこうして生まれた。第3章 記録を超えた日』(1998)


「創りたい作品へ、造る人たちが可能な限りの到達点へとにじりよってゆく。その全過程が作品を創るということなのだ」

1本の映画に対して各2時間を越える、3本のメイキングビデオってのもスゴイ。
その最終章は本気で慌てながらもCGを利用して期限までに仕上げた動画に、
これまでにない豪華キャスティングのアフレコ風景が見れる楽しさと、
作品を創る側と、売る側、主要スタッフが上演までの宣伝攻略の裏話を披露するという前代未聞の企画は面白い。
すべて仕切っていたのは鈴木プロデューサーってことだ。

製作費20億円。ライバルは『ロスト・ワールド』という状況で、日本生命が予告編をCMで使い、
かつてないほどメディア取材に応じ、徳間書店のバックアップを得て、前日からの座りこみまで出て、
全国各地はただならぬイベント会場と化し、早められた舞台挨拶、そして『ET』の観客動員数を超え、邦画最高記録を樹立。
すぐ後『タイタニック』にあっさり抜かれた時は、みんな笑ったろうね

「監督は完成した時が一番辛い」「子どもに観てほしい。一番分かってくれるはず」
「まだ創った意味が分かっていない。後からついてくるんだろう」
「主人公はアシタカ。エイズやアトピー等を背負っていかなきゃならない、これからの子どもたちが明るく生きていない」と宮崎語録も健在。
「ジブリをやめてシニアジブリに入る。もし力が必要な時はちゃんと契約してから・・・」
本当にこれが総体性なんだろうか? もうひと言ももらさず言いたい事をすべて吹き込んだのか?

「村に残ったアシタカは木材が必要になって、サンに申し訳ないけど切らせてくれと頼みに行く。生きるってことはそういうこと」
「人口が10億から2億になっても絶滅したとはいえない。汚染されてるって分かってても食べたロシア人のように、
 そうなっても人はけっこう明るく生きてるんじゃないかな」

こんなに人生を分かってる宮崎さんも美輪さんと、森繁さんにはたじたじ。
絵ができる前、台本だけで吹き込んだ美輪さんってやっぱスゴイ。
田中裕子さん、小林薫さん、西村雅彦さんもアフレコ初めてかそれに近いだろうに、役者魂を見た感じ。
ガス抜きに参加した“ツールド信州”自転車レース、別荘も持っているらしい。
今頃は山の中で一服か。そんな中でも次の案を考えちゃうのがクリエイターなんだろうけどね。


『2 days』(1996)

監督:ジョン・ハーツフェルド 出演:ジェイムズ・スペイダー、ダニー・アイエロ ほか
ありそでなかった数字をタイトルに入れるパターンが興味をひいた。
その上J.スペイダーが十八番の嫌味でスノッブな悪役、他にも意外な人がポッと出てるかなり豪華なキャストに
オーティス・レディング♪ とってもロスの香りがする凝った構成の人情劇。

誰もが主人公仕立ての群像劇。人の争いの元凶は、常に金と異性間のもつれってワケで、
撮り方、作り方がとってもアメリカンなのが特徴。
妻子持ちと思えないスペイダーのキレっぷりが気持ちいいくらい。
人間臭いヒッターのアイエロ他ハマリにハマったキャスティングが見物。


『ヘンリー5世』(1991)

監督・出演:ケネス・ブラナー 出演:クリスチャン・ベール、ブライアン・ブレスト ほか
『乱』のような迫力ある、長時間におよぶ戦闘シーンに、笛を使った音楽効果。顔ぶれは同じだがみんな若い!
欧米人は日本人を「野蛮な侍」というけど、彼らもまた泥にまみれて、ムダな名誉のため
剣で血生臭く戦った歴史をもっていることをシェイクスピアはその筆で書き残している。
今作は作者自身が案内役を買って出て、重い鉄の扉を開けることでドラマが始まり、再び閉じることで幕がおりる演出が面白い。
ああなんて意味のない犠牲だったろう! 放蕩生活を共にした、ひどく貧しい下級兵の視点から描いているのも面白い。

「長い戦闘を短縮し、広い戦場を狭い舞台で、いたらない役者が英雄を演じることを免じて、どうぞ想像力を使ってください」


『エイリアン4』(1997)

監督:ジャン・ピエール・ジュネ 出演:シガニー・ウィーヴァー、ウィノナ・ライダー ほか
どこまで行くんだエイリアン しかも回を重ねるごとにタフになり、アートになり、面白くなっていくのは
シガニー健在と、優秀な監督選びのせいか。『ロスト・チルドレン』の彼なら納得。
クローン復活して「何度も死んでるわ」なんて冗談まで言う余裕のリプリーとエイリアンが母子関係
人の骨格をもつ混合児が宇宙に吸い込まれバラバラになるクライマックスには悲哀さえ感じる。
数十分間の水中シーンにはみんな非常に苦労したという。エイリアンの流線型は泳ぎにも最適。美しささえ漂う。

吐く息で固体識別してセキュリティに活用したり、まるで本当に宇宙船にいるかのようなリアルな近未来描写はSFの醍醐味。
そのくせ相変わらずグリースで靴を磨いたり、私欲のために化け物を利用しようとする驕った心はそのまま。
何百年経っても人の倫理観に進歩がないのは悲しい。
これで絶滅したと思うなエイリアン。彼らはかつて大都市を襲ったゴジラの如く、宇宙侵略に夢中になる人に警告しつづける存在。
彼らの懐に抱かれて一時の安らぎを覚えるリプリーの気持ちに共感さえ感じてくる。


『カウチ・イン・ニューヨーク』(1996)

監督:シャンタル・アケルマン 出演:ウィリアム・ハート、ジュリエット・ビノシュ ほか
都市生活でホッとひと息のカプチーノって感じの佳作。
アパートの交換なんてあんましない状況でも、ごく日常的なセリフと成り行きが心地いい。
ハイソなNYとパリの生活臭どちらも憧れの街。J.レモンとS.マクレーンでビリー・ワイルダーが撮りそうな題材。
皆が飼いたいレトリバー君の助演にも注目!

セラピーの方法は「うーむ」と「イエス」そして最後の言葉を静かに繰り返すこと。
それで確かに大抵の小さな悩み事など解決できるかも。
「小切手じゃなく現金で。出された金は遠慮なく」セラピー社会ならではの風刺。


『ELEVATED』
『CUBE』の元になった映画らしい。で、どうしたの?って感じ。

『CUBE』(1997)(劇場にて

監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ 出演:モーリス・ディーン・ウィント、デヴィッド・ヒューレット ほか
いきなり四角い中で目覚めた男が隣りの部屋に移った途端、芸術的なまでに細切れになるショッキングなつかみで
サイコーにブルブルっとくる。
そして刑事、学生、開業医、脱獄名人、設計者、精神異常者が脱出を試みる話がスタートする。

本当にワンセットなのに、永遠に広がる地獄のように感じる演技と演出。
無機質な空間に閉じ込められ、いやでも自分がさらけ出され、相手の仮面もひきはがし、原点に返り、
“人生とは何ぞや”と考えさせられ、悲しいほどに生きることに意味を見出せないで迷っている登場人物たちと
いやでも自分の姿を重ね合わせなきゃならなくさせる。

公開された劇場自体がCUBEの部屋と化し「もし自分だったら?」と思わせるのがツボ。
私だったら青空の下、草木の茂る自然をもう1度見て歩きたいってことだけで十分だと思うんだけど、
生きるってことそれ自体が生きる意味だと思うから。
でも、あんな狭いところに閉じ込められたら悲観的になるのも当然。無の状態に後退するか、キレて自分じゃなくなるかも。
一番マトモそうな刑事が一番危険だったように。観ている間中、体中固まって、後はとにかく外の空気を吸いたくなる


『ジャングル大帝』(1997)

原作:手塚治虫 監督:竹内啓雄 声の出演:倍賞千恵子、椎名へきる、伊武雅刀、鈴木蘭々 ほか
手塚治虫の死後、次々と名作が劇場版アニメ映画で復活。知っているようで知らない作品を改めて鑑賞できる。
「マンガが本妻で、アニメは愛人」といって日本のアニメを低予算の中で実現し、実験を繰り返した手塚治虫。
CGと北京スタッフ、豪華アフレコメンバーで、不変の親子の絆と、自然と人との共生をうたいあげた感動の1本。
レオって父の名と初めて知った。原作もぜひ読みたい。
ライオンにしては身が軽く、宙を駆け巡る。途中ルネが人間世界を夢見るシーンがやけに安っちいのが気になったが、
人の欲と壮大な自然とのドラマが心をつかむ。


【イベントメモ】
「ユニヴァーサルスタジオ」@L.A.、ディズニーランド@アナハイム
「マンガの世界」@東京都現代美術館


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