メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『陽だまりの樹2~7』

2010-04-04 12:32:07 | マンガ&アニメ
『陽だまりの樹2』 手塚治虫/著 小学館文庫
M6.9という安政の大地震で逃げのびた市民を、風を読んで浜へ逃がした功績を老中・阿部に買われて、
万次郎は下田に着いて交渉を求めるアメリカ使節のハリスとヒュースケンの護衛に抜擢される。
緒方洪庵は牛を介した種痘で疫病が拡がるのを事前に食い止めようと、お札や食べ物を利用して苦戦していた。
商家の主人が旅の途中で痘瘡を移していたことが分かり、周囲の者にも種痘をススメるが、
「種痘を受けたら牛になる」と本気で迷信を信じている民衆に広めるのは至難の業だった。
商家の娘・お品に惚れた良庵だったが、お品は安政の大地震で命を救ってくれた万次郎に一目ぼれしていた。
緒方洪庵の弟子の一人・福沢愉吉は外国へ渡って文化を学ぶと夢を語る。

藤田東湖:水戸藩士。碩学を教えていた。
「徳川の世はこの陽だまりの桜の樹のようなものだ。太平の夢をむさぼるうちに幕府の中にも外にも白蟻共や木喰い虫共がわいて、樹を食いあらした。孟子は「天、まさに大任をこの人におろさんとするや、その筋骨を労し、その身を空乏にする」といった。つまり、人は安泰の時には仕事をなまけ、苦しい時には励むものだ。だから苦しみにあうことは、次の発憤のきっかけになることだ。若い時は苦しめば苦しむほどよい」

ヒュースケン曰く「勤労!日本の農民はそれが人生すべてのように働いている。女子供まで野良で一日中当たり前のように汗を流すのだ」

『陽だまりの樹3』 手塚治虫/著 小学館文庫
ハリスの通訳ヒュースケンは下田に来てから半年以上女っ気なしだったため、銭湯で見かけた貧しい娼婦・お吉を見て家に押しかけレイプした。
万次郎は、韮山で橋本左内に会い、ドでかい反射炉を見て驚く。藤田東湖を師とする共通点ですっかり意気投合し、
「政府を根本から入れ替えるべき」との左内の話に、夢物語りと思う万次郎。
その帰り、猟師の平助という男から剣を習いたいとしつこくつきまとわれる。
父が良仙の命を狙った漢方医の刺客から守るために凍てつく川に落ちて心臓麻痺で他界し、万次郎は江戸に戻り仇をとると誓う。
50石加増した万次郎は、千鳥が淵で仇を討とうとして川に落ち、高熱を出したまま登城し、海軍伝習所の勝麟太郎と出会う。
フラフラしながらも勘定奉行・川路聖謨に江戸に種痘所を設ける嘆願書の直訴に成功する。
大坂のお品が所用で江戸に来た際、万次郎に会って礼を述べる。商人の身分で侍の嫁になることは叶わず、
妻を蘭医学の誤診で殺された恨みを持つ陶兵衛から侍の系図を売ってもらうはずだったが、
万次郎を想ってると知ると逆上し手篭めにされる。
阿部伊勢守が急死。種痘所の目途もついたので、良庵は江戸に帰される際、船の中で見つけた美人に手をつけたが、
それは父が持ってきた見合いの相手で、とうとう婚礼をあげて観念することに

『陽だまりの樹4』 手塚治虫/著 小学館文庫
謁見の際は決まって震えが止まらない将軍家定にハリスが会うといってきかず、良庵の妙案で殿が座る下に仕掛けを作り、仕掛け内の部下が喋る一大計画をたてる。
仕掛けは失敗したが、謁見自体は滞りなく終わる。が殿が急に重態となり騒動に。
奥医師は「いつもと同じ」と診断を下すが、漢方医の多紀は蘭方医の伊東玄朴に助けを求める。
良庵は大坂へ戻り、あらゆる医学書を読みあさり、最後の手段としてイギリスの本を万次郎のツテでヒュースケンに翻訳してもらい、将軍の病理をやっとつきとめるも時遅し。多紀は奥医師らに監禁されてしまった。
ハリスの暗殺未遂犯人を斬り、万次郎は西郷はんと出会い(!)「そのうち力を貸してくれ」と言われる。
ハリスの宿泊所としておせきの寺が選ばれ、「不名誉なことを訴えてくれたら娘をやる」と住職から頼まれるが万次郎は怒って断ってしまう。
西洋嫌いな井伊直弼が大老となり一橋慶喜派を追放、とばっちりを受けて万次郎もアメリカ人警護勤務を解かれてしまう。
伊東玄朴が急に奥医師として任命され喜び勇んで登城するも誤解と分かり、泣く泣く渡した種痘所の嘆願書が受理された。
「お玉が池種痘所」が開かれ、明治には本郷の加賀公前田邸あとへ移り、「東京医学校」とされ、「東大医学部」となった/驚×5000

こないだチラっと見た前田邸の話だったんだ!すごいリンク。。

『陽だまりの樹5』 手塚治虫/著 小学館文庫
長崎に上陸したアメリカ人の持ち込んだコレラ菌があっという間に日本に広まり、良庵がお紺の看病をしている間に母が亡くなる。
安藤広重ほか政治・文化人も例外ではなく、医者も間に合わず死んでしまうことから「コロリ」と呼ばれた。
西郷どんに呼ばれて行った磯貝の屋敷で万次郎は囚われる。黒幕は長野主膳。平助が火をつけ助けたことで、岡っ引の伝吉と出会う。
万次郎が捕らえられた地下道は神田川に通じていたことから、井伊直弼が小判を細工して貯め込んでいた汚職を暴く。
コロリで死んだと思わせ、拷問から逃れた万次郎は、井伊の敵である水戸藩に赴き、井伊暗殺の動きに誘われる。
おつねの帝王切開中に火事騒ぎが起こり、種痘所が焼けたことを聞いて、その日から良仙はすっかり老け込む。
種痘所の再建資金としてお紺から材木商・多磨屋を紹介してもらうが、養子・成吉の刺客・陶兵衛によって殺されてしまう。

毎回、表紙に使われれている幕末当時の写真とその説明も興味深いところ。

『陽だまりの樹6』 手塚治虫/著 小学館文庫
咸臨丸は勝海舟、福沢諭吉らを乗せてアメリカへ旅立つ。井伊暗殺の動きを聞き伝えに行こうとした磯貝を万次郎は止め、汚職を暴こうとして斬りあいとなる。
ヒュースケンがハリスと対立したことで安藤対馬に呼ばれた万次郎は和解に力を貸したことでヒュースケンはおせきを見初める。
その後ハリスがいる寺(おせきの実家)に入った刺客・陶兵衛と斬りあい、万次郎はお品(陶兵衛との間に息子あり)と再会するも思い出さない。
ヒュースケンがおせきをレイプしたことを知り逆上する万次郎。警護の任務を解かれた後、ヒュースケンは尊皇攘夷派に殺される。
おせきは尼寺に入る。その後も外国人の暗殺はつづき、生麦事件も起きる。
良仙が脳卒中で倒れ、半身不随が残り、痴呆となり死去。弟子の大槻俊斎もまた胃ガンで急死したため西洋医学所頭取に緒方が就く。

『陽だまりの樹7』 手塚治虫/著 小学館文庫
良庵は父の名を次ぎ三代目良仙となるが、なじみの患者は離れるばかり。
安藤対馬を襲った刺客を緊急手術した腕を買われて、新たに創設される歩兵軍医として抜擢され、緒方から推挙され悩むが、緒方光琳が急死したことで軍医となる決心をする。
万次郎は勝海舟から農民を集めて歩兵隊を作れと命じられ、困った末に故郷の府中藩永沢村に帰り、人を募ることに。
近隣の村で禁じられた賭博屋がいかさまをして、農民は借金が返せずに困っていたのを救って、みなを連れて江戸へ戻り訓練が始まる。
尊皇攘夷の義勇を集める清河八郎に万次郎も誘われるが断る。歩兵隊の農民が武士と偽って3人入ってしまったため、取り返しにいって芹沢鴨とモメる。
伝通院では浪士組を集め、平助も入るが、組の者を斬ったことで抜け、楠音次郎の農兵隊に加わる。
お紺は店を持ち、歩兵組の兵舎を造る材木買い付けの入札で一山あてようとしていたところに、多磨成吉が割り込み、
以前夜鷹をしていた頃の証拠として臀部の刺青を見せろといい、お紺は良仙に相談し、皮膚移植手術を受けて難を逃れる。
楠音次郎が農兵を集めて農民を救うと称して村を荒らしてるため、歩兵軍を初めて出動させることとなる万次郎は途中で楠の妹・綾を見初める。


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