■『「わたし」という人間がよくわからなくなったときに読む本』(KKベストセラーズ)
井内紀代/著
図書館巡りで見つけた1冊。
タイトルに惹かれたのと、著者が数十年のカウンセリングで見えてきた実例を挙げて説明していることで
とても分かりやすく、どんな説明もいちいち自分に当てはまって、いろいろな見方の勉強になった。
【内容抜粋メモ】
自分が分からないと、自分が本当に望んでいることがはっきりせず、心から幸せを感じ、満足できる人生を送ることができない。
そういう人たちは、実は平均以上の能力を持つ人が多い。
「私は○○である」という言葉で表現しうる自己イメージのことを「自己概念」という。
自己概念が本当の私とはかぎらない。
身体的心理的体験(経験)はごく一部しか意識化できないため。体験のほとんどは意識下にある。
例:テレビを見ながら約束したことを、意識では覚えていない。
一度できあがった自己イメージと矛盾する新しい体験を、無意識に排除する傾向がある。
例:勉強がうまくいかなくなり、登校時に腹痛になる。
→不運と嘆くが、病気になることで自己イメージは維持できる。
無意識で心のバランスをとっている。
他人から見たらバカバカしいことでも、本人には自己を守るため意味がある。
自己イメージに固執して、不自然にふるまっていると疲れる
事実を容認できずに「別人格を演じている」人は意外と多い。
この不一致は「不安」という副産物となり、「自分のことがよくわからない」、
焦燥感、軽うつ、不眠、食欲不振、過食拒食などの症状になって出る。
*******「見る」「見られる」関係
人は「わたし」と「あなた」が共存する場面で「見る」「見られる」関係にある。=「対人関係」
「こんな人」という印象は言動からのイメージを基に作られる。
見る人の認識は常に正確ではなく、「思いこみ」、過去の印象で見てしまい、一度できあがった印象はなかなか変えられない。
他人への理解は「わたしにはこう見えた」という領域を越えない曖昧なもの。
言葉よりも、体の反応のほうがよりその人を物語る。
パーソナリティの変化は、自分の現実を骨身に染みて知った時のみ起こる。
自己イメージが修正され、起きている心理的経験をそのまま受け入れることで、やわらかく自己が拡大し、新しい「わたし」が誕生する。
パーソナリティとは、「人格・個性。性格とほぼ同義だが、個人が同一で統一を保っていることを表す」
ギリシャ語のペルソナ(仮面)が語源。
演じることも人間の特性。その自覚が自分にあるかがポイント。
人は多面性があるから、タイプ分けするのはあまり意味がないが、知る手がかりにはなる。
*******典型的な13タイプの性格と、背後にある生育歴の関係
健康な人の心理と、病む人の病理は無縁でなく、歪みの程度の問題。
必ず共通性があり、それぞれの時代の社会を反映している。
(どれも全部自分に当てはまるんですけど???
1.いちばんでないと気がすまない、がんばり屋
一流大学を出て、大手商社に入社。けれども空しくふさぎこむことが多くなった女性。
父はエリートサラリーマン、仕事だけに専心し、家族には無関心。その後両親は離婚。
妹の世話をして、頼りになるお姉ちゃんを演じなければならなかったため、
自分の気持ちを抑え、相手の顔色をうかがっているうちに、
「できない」と言うことも、弱音を吐くこともできず、ただの「都合のいい人」になってしまった。
2.本心を言えない、いい子ぶりっこ
親友から「いい子ぶりっこ」だと紹介され、傷ついたと言えなかった。
従順で、表面の言動と、心の中で思っていることが正反対。反撃が怖くて本心が言えない。
親友ならば配慮してくれて当然と思っている。
口うるさく感情的な父から、一人っ子の娘を守り保護してきた母のもとで依存的な性格となった。
3.要領がいい、ちゃっかり屋さん
5人兄弟での生存競争、信頼できる両親の関係性でできあがった性格。
子どもの頃のちゃらんぽらんさは会社で通用せず、叱られてばかりでノイローゼになりそうだと訴えにきた。
4.背伸びしすぎて、疲れるタイプ
働く美人ママ。離婚して母と暮らしている。母は有能な保健婦、父はアルコール中毒症
社会的に立派な母からの親離れの失敗と、カトリック系のお嬢さま大学になじめなかった体験が影響。
5.なんでも仕切るのが得意な姉御タイプ
ベテラン編集者だったが、編集長の座は同期の男性に奪われ、仕事がやりづらくなる。
家政婦のような母と同じになりたくないと自問自答するうち胃潰瘍に。
厳格な両親のもとで「男尊女卑」の中で育てられた。
兄は男だという理由だけであからさまに優遇され、妹は無意識に外で注目されようとした。
カウンセリングを受け、仕切り屋を活かして独立した。
6.ブランドに走る、見栄っ張り
小心者だが、人から見栄っ張りと言われて傷つく。
父は敬虔なクリスチャン、母は父不在の間に不倫。娘はそれをかばってきた。
子どもが母親から見捨てられるかもしれないという恐怖は、言葉に尽くしがたい。直接生死に関わるから。
傷ついた年齢が若く、傷が深かったため、自分探しに時間がかかった。
「アンビバレント」=何かに対する気持ちがプラスとマイナス混在した状態。
7.ソツがない、おりこうさんタイプ
自分も夫も両親も教師。反抗期もなく、のんきにこなしてやっていたが不定愁訴が続き、過労が原因のうつと診断された。
原因は、父ががんで亡くなり、同居した母の愚痴を聞かねばならず、母と折り合いの悪い兄との間に挟まれ
敵を作らず、素直に従う処世術が、社会的責任が加わったことで変えざるを得なくなったことを自覚できなかった。
体力・能力の過信をやめ「ムリをしない」軌道修正をして教壇に復帰した。
8.異性に興味がなさそうな男っぽいタイプ
友だちが年下ばかりなことが気になりはじめ、異性と交際しても頼りになるお姉さん役になってしまう。
「女性性の獲得」が問題。父に「男の子だったら・・・」と言われ続けたこと、美人の母、姉に対する劣等感への反発。
9.男に媚を売って「女」を利用するタイプ
「男に媚を売ってる」と言われ、同級の女子とどう付き合ったらいいか分からなくなった。
両親は学生結婚。兄妹を育てたのは厳格な祖母。いつも兄と比較され、母の愛情の記憶がない。
母とのスキンシップが不十分だと、心の安定が得られない。
異性との性的関係も母性とのスキンシップを求める行為の代償だと思われる。
祖母に管理されすぎて、仲間づくりという課題を学べなかった。
援助交際をするコ、妻子持ちの年長者と不倫するコにも、相手に「親の役割」を求めているケースが多い。
10.自分はいなくてもいい存在と思っている、窓際っコ
父は給料を運ぶだけで、家族に無関心、虐待していた。
自分の欠点ばかりあげる彼女は、実は頭の回転が早く、感受性が鋭い人。
頭で分かっていても行動に移そうとすると否定的に考えてジレンマから脱せない。
もっとも信頼すべき親から虐待された子どもは、深い人間不信に陥り、他者から身を守るために攻撃的になる。
他者に対する「闘争的競争意識」は、若い女性に増えている。
11.悪いことはほかの人のせいにする、おスネ虫
定時に退社しようとして「残業して」と言われ「イヤだ」とさっさと帰ってしまい、以後いづらくなってしまった。
感情のコントロールができない父の暴言を浴びながら育った女性。母はかばってくれず、愚痴をこぼすばかり。
何かを手に入れるための努力をしたことがない彼女は、これまで社会に出る躾らしいものを受けられなかった。
濃い化粧も自信のなさを隠すバリア。今では素直に自分の気持ちを言葉にする努力をしている。
12.本当は疲れている、八方美人
出勤中に急に動悸、呼吸困難となり、電車に乗れなくなった(パニ障じゃん
すっかり体力に自信をなくして退社。
子どもの頃から人見知りしない子だったが、カウンセリングで「その時どう感じましたか?」と聞かれると頭が真っ白になってしまう。
話しベタのせいと思っていたが、「自分がない」と気づき、人を怖がっていることに気づいて愕然とした。
中学時代のイジメで、自分をなくして「八方美人」になることで防御していた。
今は、群れるのは疲れるからほどほどにし、人のいいなりにならないように心がけている。
自分を「バラになりたいと泣いているタンポポのようだった」と分析している。
13.いつも夢見る、夢子さん
内向的で内面の豊かさを感じさせる女性。職場で疲れがたまり転職しようか悩んでいた。
現実世界とつながらず、非現実的な繭の中ではイキイキとしている。
小さい頃、母に理解されることを諦めたり、人と競い合うのを止めた場合に多い。
母は病弱の兄につききり、父も帰りが遅く、一人遊びが多かったという。
*******母親のタイプ分け
親との関係で「わたし」の原型がつくられる。
親の役目は、子どもの命を危険から「保護」し、ひとりで生きる力をつけること。
この「保護」と「手放す」という矛盾が、親離れ・子離れができない時代の原因をつくっている。
子どもは親のプラス面ばかりでなく、マイナス面も引きつぐ。
子どもはプラス面を見ず、マイナス面ばかり気になってしまう。
「自立」=親の庇護を乗り越えること。
支配から解放されたいと願う子ども、心配でつい手や口出しする親との間に葛藤が生まれる。
命に支障のないことはただ見守ればいい。「見守る」ことこそが、子どもに心理的安定を与える。
親という字は、「木の上に立って見る」(なるほど
1.すぐにキレるヒステリーママ
母は首尾一貫して怒るわけじゃないため、子どもはいつも母親の顔色をうかがわなければならない。
そのたびに子どもは混乱し、社会的な価値基準を身につけるのが困難。
萎縮した内向的、消極的な性格になる。父が依存的、祖母と険悪な状態にあるなど、母に余裕がないことにも注目。
2.完璧を求めるパーフェクトママ
何をしても越えがたい存在になる。母の性格的傾向と、父の酒乱は無関係ではない。
家族は、それを構成するメンバによって相互に影響し合っている。
ダメ人間の役割にハマってしまうのが一番楽な生き方になってしまう。
3.口も手も出す仕切り屋ママ(過保護・過干渉
現代っ子の本音は、保護してほしいが干渉はされたくない。社会人になっても勉強が仕事に変わっただけ。
なんとなく自信が持てなくなる。生活者としての実感のなさからきている。
4.議論が好きな評論家ママ
テレビや雑誌からの耳学問で話し、知的で批判的。情緒的なコミュニケーションが成立しない。
幼児期に情緒的な共感を得ることは、自分の感覚を信頼できる人に育ち、他者の心を共感できる力を育む。
5.子どもはただの道具にすぎない虚栄心ママ
子どもにとって困るのは、母の虚栄心を満足させる道具として使われること。
母がパートで学費を払い、ピアノ、家庭教師、私学に通わされ、恩着せがましく「おまえのため」と言われることが強迫的となる。
社会人になって、自分がひ弱に思えて焦ってしまう原因は、母が彼女自身の劣等感を穴埋めするために子どもを身代わりにしてきたこと。
6.『白雪姫』のお母さんとそっくりなママ
娘と「女であること」を競っている。母娘も葛藤に気づいていない。女王様とメイドの関係。
摂食障害の病理の1つは、母娘関係における「女性性獲得の葛藤」。
母から母性の温かさを得られず、女性であることを拒否してしまう。
子どもが嫌いなら母親にならなければいい。
周りが出産したから、親や親戚がうるさいからというだけの理由で安易に産まないこと。
子ども嫌いな母のほとんどが、パートナーとの関係が幸せでなく、イライラしている状態にある
7.娘のほうがしっかり者の逆転ママ
母を助けることで、兄弟の中で特別扱いされることに優越感と不自由を感じながら、父や祖母の愚痴をいう母を軽蔑していた。
社会に出て、対人関係で疲れてしまう。人といると緊張してしまう。
子ども時代に大人の役割を演じることは不自然で、そのムリな環境が、
対等な対人関係の場で自分のスタンスをはかる学習行動の妨げになった。
8.オロオロするだけの役立たずママ
本当に子どもが困って助けが必要な時に役に立たない母が意外に多い。
叱るべき時に叱れず、不安感が強く、子どもの顔色をうかがっているため子どもは荒れる。
9.オープンな関係を好むカウンセラーママ
いまやカウンセリングブームで養成講座や、カルチャーセンターはお母さんでにぎわっている。
カウンセリングの基本は「受容」と「共感」。
でも、母親は子どものカウンセラーではない。
子どもの全部を知りたいという母のエゴイズムと、自分の行動の責任を親に半分背負わせたい娘の相互依存。
「おじさんが怒るから静かにしなさい」子どもを恐れて叱ることができない。
物分りのいい母は、度を越すと子どもの依存を生み、巣離れできなくさせる。
10.なかよしこよしのお友だちママ
親と子は同じではない。母娘それぞれが別の世界を持って、互いに外での体験を語り合える場が家庭であり、自立した親子。
母娘の癒着した関係は、社会的な環境とも関わっている。地域・近隣のつながりが希薄となり、家族が孤立している。
母娘ともに精神的に自立できていない。
11.いまはなき肝っ玉かあさん
このタイプはカウンセリングには来る必要がない。
*******父親のタイプ分け
1.口うるさいガミガミパパ
父の役割の1つは、社会規範のモデルであること。心理的脅威は避けること。言葉も過ぎると暴力になる。
2.気が小さい心配性パパ
直接子どもに心配だと言わず、母親経由で伝えるのが特徴。
子育ては母の責任と思っているか、または、子どもを恐れているため。
外国人から見ると「あなたの子どもにはなにかハンデがあるのか?」と過保護に映るという。
3.家族に必要ない粗大ゴミパパ
父が粗大ゴミと言われるようになったのは、皮肉にもバブル全盛期のころ。
仕事に専心していた間に家庭での居場所がなくなってしまった。
第二次世界大戦後の日本は、なにか大切なものを失ってきた。
個人主義というにはお粗末で、父はカルト集団的な日本企業の「働け」という声に洗脳されていた
個人の一生が仕事だけとは、あまりにも貧しい気がする。
核家族になって、家族を束ねる核としての役割も担わなければならない。
4.いばりちらす王様パパ
自分の価値観を絶対と思い、家族に押しつける。
「誰のおかげで食わしてもらってるんだ」というひと言で母は離婚を決意した。
権威主義は、リーダーシップのように思われがちだが、実は家族を疲れさせるだけ。
王様パパの根底には、外でムリしているから、家族には許されるだろうという甘えがある。
定年を待って妻から申し立てる熟年離婚の典型。
5.ネコかわいがりするいいとこどりのパパ
協議離婚した両親。父と恋人のようにデートする娘は、同年代の男性が物足りなくて、恋人ができないという悩みがあった。
その背後には、両親のように破局を恐れて、異性を信用できないことがある。
6、大人になれないピーターパンパパ
自分の関心のあることだけをやるタイプ。浮気、ギャンブルが絶えず、借金を抱えてしまった。
母と父どちらが問題かということではなく、2人の間の出来事を話しあうことを避け、なあなあに容認してきた関係に問題がある。
総じて、母が子どもをコントロールしすぎる傾向がある。
両親の精神的なつながりのなさが原因。
人間の行動や判断に絶対正しいということはない。マイナス面を自覚し、自力で取り除くしかない。
*******コンプレックスのタイプ分け
コンプレックス=劣等感ではなく、心理学用語で「葛藤」の意。
幼児期は自分中心→自分と他者の違いが分かり比較する→絶対的だった両親に逆らい、対立する
→自分の中にいろいろな自分が存在すると知り、現実と辻褄があわずに不安になり、集団で孤立する恐怖を自覚する=葛藤
1.学歴コンプレックス
日本は学歴偏重社会。学歴はもっと重要な葛藤の「隠れみの」の場合が多い。
2.容姿コンプレックス
容姿が気になる思春期にからかわれたことは心理的な傷が深く、いつまでも尾をひく。
見た目だけがもてはやされる、社会的価値観の影響か。
3.健康コンプレックス
生まれつき病弱だと、親が過保護になり、臆病な性格になる。
→対人関係が苦手、人とのスタンスのとりかたが分からないと悩む。
過保護・過干渉は、子どもが精神的に成長するために必要な自由を奪いすぎ、社会でやっていく自信を育めなかった。
4.出生コンプレックス
昔ならともかく、現代では親が自分の理想ではないという程度。
「こんな家に生まれなければよかった」というのは若い人の中で越えなければならない葛藤として根強い。
5.職業コンプレックス
キャリアとは、その人の努力・精進によって時間をかけてつくりあげていくもの。
仕事とは、人のために自分の労力と時間を売って生計を立てること。
「やりがいがないから辞めたい」というのは、職場に溶け込めないなどの対人関係の問題であることが多い。
優越感と劣等感は紙の裏表。同じ尺度の差別意識
医者、弁護士などの肩書きにこだわるのでなく、自分に合った、好きな仕事を誇りをもってやりたいもの。
*******コンプレックスに隠された別の葛藤とは?
「かわいそうに・・・」というのは、自分は大丈夫だという前提での言葉であり、人間として対等な関係ではない差別の一種
日本は単一民族のせいか、これに関する人々の意識が低い。
生き方の問題には、他者との関係の持ち方の未熟さ、利己主義が根底にあり、
社会における深刻な差別問題と同質、無関係ではない。
コンプレックスを持つ人は、そのために「自信がない」と言う。
上下・優劣に過敏になるあまり、他人ではなく自分自身がそう思っているのに、他者にそう思われていると気にしている。
客観的に見れば、優劣の差など五十歩百歩。
●劣等感と自己否定はつねにセット→自信喪失を招く
他者に対して暗く映りはしないかと心配し、逆にムリに明るく振る舞って不自然な行動になってしまう。
→「自意識過剰」のストレスで疲れ果てる→交友関係が狭くなる→学歴・容貌・親がダメだからという他罰的な訴えになる。
自分のあり方を振り返らず、周りのせいにしてしまう。
自信とは?
てっとりばやくつく自信などない。
自信とは、どんな状況に陥ってもやっていけるという「自己への信頼」。
これは、自己責任において、けして人任せにせず、生活体験を積み重ねる以外に得ることはできない。
コンプレックスにこだわる人の多くが、その隠れみのの下で生きることの不安とすり替えている。
*******社会問題としての現代特有の葛藤
30年前の「モーレツ社員」という言葉が現代の若い女性にあてはまる。
男の場合は、仕事だけの「滅私奉公」だったが、現代女性は、社会進出、結婚、母親、すべて一流じゃないと気がすまない。
「勝つか負けるか」が尺度のため、疲れ果てて心身症になる。
一方、社会構造は相変わらず男性に有利なまま。
完璧にこなそうとせず、自分にとって何がもっとも大事か見極めて、力の入れ方の配分を考える。
●就学ノイローゼにかかった母親たち
不登校やひきこもりは、今の学校が人間性を欠き、居心地のいい場所でないことを表している。
人にとって大切な物差しは、「快・不快」という尺度。
精神的に快適か、不快かを基準に行動することを選択する豊かさがあっていいはず。
*******「ノー」と言うこと・言われること
国民全体が大変ゆがんだ危機的な精神文化の中で生活している。
たかが食事を断られただけで、全人格を否定されたと思い込むほど、不健康で未熟な付き合いになっている。
大抵は、相互のコミュニケーションミスが原因。
こんなにも傷つきやすい人が増えているのは、自ら孤立し、心を閉ざしているから。
傷つきやすいと、ひとりに耐えられず、常に緊張状態を余儀なくされる。
●心の扉の二重構造
若者の社交センスは、けして心を開いているわけではなく、テクニックとしての社交術を身につけているだけ。
「ノー」と言われて傷ついたら、素直に「傷ついた」と言えばいい。
嫌われることに過敏なら、あなた自身に「人への好き嫌い」があるのではと自問自答してみる。
自分がそうだから、他者も同じ尺度で見ていると勘違いし、嫌われると恐れるのはよくある。
●ガマンばかりする理由
人になにか聞かれて頭が真っ白になってしまうのは自分自身がない証拠。
人は自身にメリットがない行動はしない生命体。
理想的な母も
「私はあなたのために、これだけ尽くして、自己犠牲を強いられています。
だから、あなたは私を裏切り見捨ててはいけません」
という裏メッセージの発信に気づいていないが、子どもはそれをキャッチして、息苦しく縛られている感覚を抱くようになる。
人間関係が無償ではなく、ガマンが見返りとして相手を拘束するための手段になっている。
●足し算上手になるために
若い女性の特徴は、他者との比較による自己否定。
今の学校は「減点法」で個人の成績が評価され、それによって集団の中の位置が決められる。
たとえ、同じ場面に遭遇しても、それぞれ個別の感性を持っているので、違った受け取り方、反応があって当然。
他者との比較で上下の位置づけ自体がナンセンス。
満点ばかり狙う完璧主義者では息切れする。引き算上手な背後に「能力過信」もある。
●社会は学校・家庭とは違う
会社でも愛され、いい子であろうとし、特別扱いを望む女性が多い。
親、先生から褒められることに快感を覚え、自分の存在を確認する子どもの頃のやり方を
社会にそのまま持ち込んでもうまくいかない。仕事の見返りは給料として支給される仕組み。頭をなでられることではない。
社会は役割で動いている。自分の置かれている立場、役割を見極めないとならない。
状況の変化、相手、自分の精神状態の変化を見極め、柔軟に対応すること。甘えは落とし穴になる。
●自由とわがままは違う
権利ばかり主張する傾向の強い人もいる。自由には必ず義務と責任がともなう。
●一人暮らしのすすめ
給料をもらうことが、即自立ではない。あなたは自分で洗濯をしていますか?
一人暮らしで友人の大切さ、ゴミの始末など生活の煩雑さを知ることができる。
●マイナス感情も大切
今ほどマイナス感情を忌み嫌う時代はない。
暗さも、明るさも、同じ心の状態。
マイナス感情をムリに押し殺すと、逆に表層的になり、暗く寒々としたものを感じさせる。
●対人関係は五分五分
自罰か他罰かゼロか100になっている。
どちらか一方に、すべての非があることなどあり得ない。
対人関係は五分五分なので、自分の五分を工夫し、在り方を変えれば、その関係は確実に変化する。
わたしたちは、自分以外の人を変えるのは不可能。
●真のパートナーシップとは?
ケンカをすることで、相手と一生の付き合いになるほど友だちになるという話はよくある。
人を愛するということは、互いが違う色であることを許しあうこと。
「イジメ」は、異質なものへの徹底的な排除。
*******あなたを癒してくれる相手の3つのポイント
あなたがあなたらしくあるための、クリエイティブな対人関係をつくるには、
1.葛藤を持ち、悩んでいる今の自分を本気でなんとかしたいと思うかどうか。悲劇のヒロインではなく。
2.癒すためにどういう相手を選ぶか。色恋は関係なく。あなたに対する態度の問題。
3.相手と心理的交流があること。
●3つのポイント
1.その人に裏表がないこと。
2.あなたの話を否定しないで、肯定的に聞く配慮ができる人であること。
3.あなた自身に共感できる優しさと、心の広さを持っている人であること。
ひとりで悩むと堂々巡りで終わるが、触れ合い、受け入れられると、違う方向に流れ始める。
孤立した心は、薄っぺらな社交術では癒されない。
信頼関係をつくれる友人を持つことは、大きな財産
●自分で行動し、決断する
自分を知りたいなら自分に聴くしかない。
入り組んだ複雑な問題も、整理すると二者択一「する」か「しない」か。
自分のことを自分で決められない人は、失敗を危惧し、その責任を誰かに転嫁したがっている。
自分が自分に対して「支配権」を取り戻した時、男性はたくましく、女性は美しく変化する。
まず、手始めに、会話する時、考える時は、「わたしは」と、主語をハッキリ言う習慣をつける。
自信がない人は、主語が曖昧。一般論にすり替えることが多い
自分のことを伝えなければ、人に理解されることはない。伝えずに相手に察して欲しいというのは虫がよすぎる話。
相手の言うことは、言われただけ理解すればいい。
言われないことまで気を回したり、裏を読んでも外れるもの。
現代は、「価値観の多様化」と言われるが、現実は情報が氾濫していて、選びとる規範がまったくないということ。
他者は敵(競争相手)にするより、味方(仲間)にしたほうが楽で快適。
人の長所は欠点と裏表。基本的には、今のあなたはそのままでいい。
政治が悪い、世の中が悪いといってもはじまらない。社会を作っているのは私たち。
改革は個人のレベルで精神的意識を変えることによって、よりよい明日がはじまる(そう思う
まずは、自分の個性、能力、置かれている環境を見極める勇気をもとう。現実を認めること、これが「自己受容」。
井内紀代/著
図書館巡りで見つけた1冊。
タイトルに惹かれたのと、著者が数十年のカウンセリングで見えてきた実例を挙げて説明していることで
とても分かりやすく、どんな説明もいちいち自分に当てはまって、いろいろな見方の勉強になった。
【内容抜粋メモ】
自分が分からないと、自分が本当に望んでいることがはっきりせず、心から幸せを感じ、満足できる人生を送ることができない。
そういう人たちは、実は平均以上の能力を持つ人が多い。
「私は○○である」という言葉で表現しうる自己イメージのことを「自己概念」という。
自己概念が本当の私とはかぎらない。
身体的心理的体験(経験)はごく一部しか意識化できないため。体験のほとんどは意識下にある。
例:テレビを見ながら約束したことを、意識では覚えていない。
一度できあがった自己イメージと矛盾する新しい体験を、無意識に排除する傾向がある。
例:勉強がうまくいかなくなり、登校時に腹痛になる。
→不運と嘆くが、病気になることで自己イメージは維持できる。
無意識で心のバランスをとっている。
他人から見たらバカバカしいことでも、本人には自己を守るため意味がある。
自己イメージに固執して、不自然にふるまっていると疲れる
事実を容認できずに「別人格を演じている」人は意外と多い。
この不一致は「不安」という副産物となり、「自分のことがよくわからない」、
焦燥感、軽うつ、不眠、食欲不振、過食拒食などの症状になって出る。
*******「見る」「見られる」関係
人は「わたし」と「あなた」が共存する場面で「見る」「見られる」関係にある。=「対人関係」
「こんな人」という印象は言動からのイメージを基に作られる。
見る人の認識は常に正確ではなく、「思いこみ」、過去の印象で見てしまい、一度できあがった印象はなかなか変えられない。
他人への理解は「わたしにはこう見えた」という領域を越えない曖昧なもの。
言葉よりも、体の反応のほうがよりその人を物語る。
パーソナリティの変化は、自分の現実を骨身に染みて知った時のみ起こる。
自己イメージが修正され、起きている心理的経験をそのまま受け入れることで、やわらかく自己が拡大し、新しい「わたし」が誕生する。
パーソナリティとは、「人格・個性。性格とほぼ同義だが、個人が同一で統一を保っていることを表す」
ギリシャ語のペルソナ(仮面)が語源。
演じることも人間の特性。その自覚が自分にあるかがポイント。
人は多面性があるから、タイプ分けするのはあまり意味がないが、知る手がかりにはなる。
*******典型的な13タイプの性格と、背後にある生育歴の関係
健康な人の心理と、病む人の病理は無縁でなく、歪みの程度の問題。
必ず共通性があり、それぞれの時代の社会を反映している。
(どれも全部自分に当てはまるんですけど???
1.いちばんでないと気がすまない、がんばり屋
一流大学を出て、大手商社に入社。けれども空しくふさぎこむことが多くなった女性。
父はエリートサラリーマン、仕事だけに専心し、家族には無関心。その後両親は離婚。
妹の世話をして、頼りになるお姉ちゃんを演じなければならなかったため、
自分の気持ちを抑え、相手の顔色をうかがっているうちに、
「できない」と言うことも、弱音を吐くこともできず、ただの「都合のいい人」になってしまった。
2.本心を言えない、いい子ぶりっこ
親友から「いい子ぶりっこ」だと紹介され、傷ついたと言えなかった。
従順で、表面の言動と、心の中で思っていることが正反対。反撃が怖くて本心が言えない。
親友ならば配慮してくれて当然と思っている。
口うるさく感情的な父から、一人っ子の娘を守り保護してきた母のもとで依存的な性格となった。
3.要領がいい、ちゃっかり屋さん
5人兄弟での生存競争、信頼できる両親の関係性でできあがった性格。
子どもの頃のちゃらんぽらんさは会社で通用せず、叱られてばかりでノイローゼになりそうだと訴えにきた。
4.背伸びしすぎて、疲れるタイプ
働く美人ママ。離婚して母と暮らしている。母は有能な保健婦、父はアルコール中毒症
社会的に立派な母からの親離れの失敗と、カトリック系のお嬢さま大学になじめなかった体験が影響。
5.なんでも仕切るのが得意な姉御タイプ
ベテラン編集者だったが、編集長の座は同期の男性に奪われ、仕事がやりづらくなる。
家政婦のような母と同じになりたくないと自問自答するうち胃潰瘍に。
厳格な両親のもとで「男尊女卑」の中で育てられた。
兄は男だという理由だけであからさまに優遇され、妹は無意識に外で注目されようとした。
カウンセリングを受け、仕切り屋を活かして独立した。
6.ブランドに走る、見栄っ張り
小心者だが、人から見栄っ張りと言われて傷つく。
父は敬虔なクリスチャン、母は父不在の間に不倫。娘はそれをかばってきた。
子どもが母親から見捨てられるかもしれないという恐怖は、言葉に尽くしがたい。直接生死に関わるから。
傷ついた年齢が若く、傷が深かったため、自分探しに時間がかかった。
「アンビバレント」=何かに対する気持ちがプラスとマイナス混在した状態。
7.ソツがない、おりこうさんタイプ
自分も夫も両親も教師。反抗期もなく、のんきにこなしてやっていたが不定愁訴が続き、過労が原因のうつと診断された。
原因は、父ががんで亡くなり、同居した母の愚痴を聞かねばならず、母と折り合いの悪い兄との間に挟まれ
敵を作らず、素直に従う処世術が、社会的責任が加わったことで変えざるを得なくなったことを自覚できなかった。
体力・能力の過信をやめ「ムリをしない」軌道修正をして教壇に復帰した。
8.異性に興味がなさそうな男っぽいタイプ
友だちが年下ばかりなことが気になりはじめ、異性と交際しても頼りになるお姉さん役になってしまう。
「女性性の獲得」が問題。父に「男の子だったら・・・」と言われ続けたこと、美人の母、姉に対する劣等感への反発。
9.男に媚を売って「女」を利用するタイプ
「男に媚を売ってる」と言われ、同級の女子とどう付き合ったらいいか分からなくなった。
両親は学生結婚。兄妹を育てたのは厳格な祖母。いつも兄と比較され、母の愛情の記憶がない。
母とのスキンシップが不十分だと、心の安定が得られない。
異性との性的関係も母性とのスキンシップを求める行為の代償だと思われる。
祖母に管理されすぎて、仲間づくりという課題を学べなかった。
援助交際をするコ、妻子持ちの年長者と不倫するコにも、相手に「親の役割」を求めているケースが多い。
10.自分はいなくてもいい存在と思っている、窓際っコ
父は給料を運ぶだけで、家族に無関心、虐待していた。
自分の欠点ばかりあげる彼女は、実は頭の回転が早く、感受性が鋭い人。
頭で分かっていても行動に移そうとすると否定的に考えてジレンマから脱せない。
もっとも信頼すべき親から虐待された子どもは、深い人間不信に陥り、他者から身を守るために攻撃的になる。
他者に対する「闘争的競争意識」は、若い女性に増えている。
11.悪いことはほかの人のせいにする、おスネ虫
定時に退社しようとして「残業して」と言われ「イヤだ」とさっさと帰ってしまい、以後いづらくなってしまった。
感情のコントロールができない父の暴言を浴びながら育った女性。母はかばってくれず、愚痴をこぼすばかり。
何かを手に入れるための努力をしたことがない彼女は、これまで社会に出る躾らしいものを受けられなかった。
濃い化粧も自信のなさを隠すバリア。今では素直に自分の気持ちを言葉にする努力をしている。
12.本当は疲れている、八方美人
出勤中に急に動悸、呼吸困難となり、電車に乗れなくなった(パニ障じゃん
すっかり体力に自信をなくして退社。
子どもの頃から人見知りしない子だったが、カウンセリングで「その時どう感じましたか?」と聞かれると頭が真っ白になってしまう。
話しベタのせいと思っていたが、「自分がない」と気づき、人を怖がっていることに気づいて愕然とした。
中学時代のイジメで、自分をなくして「八方美人」になることで防御していた。
今は、群れるのは疲れるからほどほどにし、人のいいなりにならないように心がけている。
自分を「バラになりたいと泣いているタンポポのようだった」と分析している。
13.いつも夢見る、夢子さん
内向的で内面の豊かさを感じさせる女性。職場で疲れがたまり転職しようか悩んでいた。
現実世界とつながらず、非現実的な繭の中ではイキイキとしている。
小さい頃、母に理解されることを諦めたり、人と競い合うのを止めた場合に多い。
母は病弱の兄につききり、父も帰りが遅く、一人遊びが多かったという。
*******母親のタイプ分け
親との関係で「わたし」の原型がつくられる。
親の役目は、子どもの命を危険から「保護」し、ひとりで生きる力をつけること。
この「保護」と「手放す」という矛盾が、親離れ・子離れができない時代の原因をつくっている。
子どもは親のプラス面ばかりでなく、マイナス面も引きつぐ。
子どもはプラス面を見ず、マイナス面ばかり気になってしまう。
「自立」=親の庇護を乗り越えること。
支配から解放されたいと願う子ども、心配でつい手や口出しする親との間に葛藤が生まれる。
命に支障のないことはただ見守ればいい。「見守る」ことこそが、子どもに心理的安定を与える。
親という字は、「木の上に立って見る」(なるほど
1.すぐにキレるヒステリーママ
母は首尾一貫して怒るわけじゃないため、子どもはいつも母親の顔色をうかがわなければならない。
そのたびに子どもは混乱し、社会的な価値基準を身につけるのが困難。
萎縮した内向的、消極的な性格になる。父が依存的、祖母と険悪な状態にあるなど、母に余裕がないことにも注目。
2.完璧を求めるパーフェクトママ
何をしても越えがたい存在になる。母の性格的傾向と、父の酒乱は無関係ではない。
家族は、それを構成するメンバによって相互に影響し合っている。
ダメ人間の役割にハマってしまうのが一番楽な生き方になってしまう。
3.口も手も出す仕切り屋ママ(過保護・過干渉
現代っ子の本音は、保護してほしいが干渉はされたくない。社会人になっても勉強が仕事に変わっただけ。
なんとなく自信が持てなくなる。生活者としての実感のなさからきている。
4.議論が好きな評論家ママ
テレビや雑誌からの耳学問で話し、知的で批判的。情緒的なコミュニケーションが成立しない。
幼児期に情緒的な共感を得ることは、自分の感覚を信頼できる人に育ち、他者の心を共感できる力を育む。
5.子どもはただの道具にすぎない虚栄心ママ
子どもにとって困るのは、母の虚栄心を満足させる道具として使われること。
母がパートで学費を払い、ピアノ、家庭教師、私学に通わされ、恩着せがましく「おまえのため」と言われることが強迫的となる。
社会人になって、自分がひ弱に思えて焦ってしまう原因は、母が彼女自身の劣等感を穴埋めするために子どもを身代わりにしてきたこと。
6.『白雪姫』のお母さんとそっくりなママ
娘と「女であること」を競っている。母娘も葛藤に気づいていない。女王様とメイドの関係。
摂食障害の病理の1つは、母娘関係における「女性性獲得の葛藤」。
母から母性の温かさを得られず、女性であることを拒否してしまう。
子どもが嫌いなら母親にならなければいい。
周りが出産したから、親や親戚がうるさいからというだけの理由で安易に産まないこと。
子ども嫌いな母のほとんどが、パートナーとの関係が幸せでなく、イライラしている状態にある
7.娘のほうがしっかり者の逆転ママ
母を助けることで、兄弟の中で特別扱いされることに優越感と不自由を感じながら、父や祖母の愚痴をいう母を軽蔑していた。
社会に出て、対人関係で疲れてしまう。人といると緊張してしまう。
子ども時代に大人の役割を演じることは不自然で、そのムリな環境が、
対等な対人関係の場で自分のスタンスをはかる学習行動の妨げになった。
8.オロオロするだけの役立たずママ
本当に子どもが困って助けが必要な時に役に立たない母が意外に多い。
叱るべき時に叱れず、不安感が強く、子どもの顔色をうかがっているため子どもは荒れる。
9.オープンな関係を好むカウンセラーママ
いまやカウンセリングブームで養成講座や、カルチャーセンターはお母さんでにぎわっている。
カウンセリングの基本は「受容」と「共感」。
でも、母親は子どものカウンセラーではない。
子どもの全部を知りたいという母のエゴイズムと、自分の行動の責任を親に半分背負わせたい娘の相互依存。
「おじさんが怒るから静かにしなさい」子どもを恐れて叱ることができない。
物分りのいい母は、度を越すと子どもの依存を生み、巣離れできなくさせる。
10.なかよしこよしのお友だちママ
親と子は同じではない。母娘それぞれが別の世界を持って、互いに外での体験を語り合える場が家庭であり、自立した親子。
母娘の癒着した関係は、社会的な環境とも関わっている。地域・近隣のつながりが希薄となり、家族が孤立している。
母娘ともに精神的に自立できていない。
11.いまはなき肝っ玉かあさん
このタイプはカウンセリングには来る必要がない。
*******父親のタイプ分け
1.口うるさいガミガミパパ
父の役割の1つは、社会規範のモデルであること。心理的脅威は避けること。言葉も過ぎると暴力になる。
2.気が小さい心配性パパ
直接子どもに心配だと言わず、母親経由で伝えるのが特徴。
子育ては母の責任と思っているか、または、子どもを恐れているため。
外国人から見ると「あなたの子どもにはなにかハンデがあるのか?」と過保護に映るという。
3.家族に必要ない粗大ゴミパパ
父が粗大ゴミと言われるようになったのは、皮肉にもバブル全盛期のころ。
仕事に専心していた間に家庭での居場所がなくなってしまった。
第二次世界大戦後の日本は、なにか大切なものを失ってきた。
個人主義というにはお粗末で、父はカルト集団的な日本企業の「働け」という声に洗脳されていた
個人の一生が仕事だけとは、あまりにも貧しい気がする。
核家族になって、家族を束ねる核としての役割も担わなければならない。
4.いばりちらす王様パパ
自分の価値観を絶対と思い、家族に押しつける。
「誰のおかげで食わしてもらってるんだ」というひと言で母は離婚を決意した。
権威主義は、リーダーシップのように思われがちだが、実は家族を疲れさせるだけ。
王様パパの根底には、外でムリしているから、家族には許されるだろうという甘えがある。
定年を待って妻から申し立てる熟年離婚の典型。
5.ネコかわいがりするいいとこどりのパパ
協議離婚した両親。父と恋人のようにデートする娘は、同年代の男性が物足りなくて、恋人ができないという悩みがあった。
その背後には、両親のように破局を恐れて、異性を信用できないことがある。
6、大人になれないピーターパンパパ
自分の関心のあることだけをやるタイプ。浮気、ギャンブルが絶えず、借金を抱えてしまった。
母と父どちらが問題かということではなく、2人の間の出来事を話しあうことを避け、なあなあに容認してきた関係に問題がある。
総じて、母が子どもをコントロールしすぎる傾向がある。
両親の精神的なつながりのなさが原因。
人間の行動や判断に絶対正しいということはない。マイナス面を自覚し、自力で取り除くしかない。
*******コンプレックスのタイプ分け
コンプレックス=劣等感ではなく、心理学用語で「葛藤」の意。
幼児期は自分中心→自分と他者の違いが分かり比較する→絶対的だった両親に逆らい、対立する
→自分の中にいろいろな自分が存在すると知り、現実と辻褄があわずに不安になり、集団で孤立する恐怖を自覚する=葛藤
1.学歴コンプレックス
日本は学歴偏重社会。学歴はもっと重要な葛藤の「隠れみの」の場合が多い。
2.容姿コンプレックス
容姿が気になる思春期にからかわれたことは心理的な傷が深く、いつまでも尾をひく。
見た目だけがもてはやされる、社会的価値観の影響か。
3.健康コンプレックス
生まれつき病弱だと、親が過保護になり、臆病な性格になる。
→対人関係が苦手、人とのスタンスのとりかたが分からないと悩む。
過保護・過干渉は、子どもが精神的に成長するために必要な自由を奪いすぎ、社会でやっていく自信を育めなかった。
4.出生コンプレックス
昔ならともかく、現代では親が自分の理想ではないという程度。
「こんな家に生まれなければよかった」というのは若い人の中で越えなければならない葛藤として根強い。
5.職業コンプレックス
キャリアとは、その人の努力・精進によって時間をかけてつくりあげていくもの。
仕事とは、人のために自分の労力と時間を売って生計を立てること。
「やりがいがないから辞めたい」というのは、職場に溶け込めないなどの対人関係の問題であることが多い。
優越感と劣等感は紙の裏表。同じ尺度の差別意識
医者、弁護士などの肩書きにこだわるのでなく、自分に合った、好きな仕事を誇りをもってやりたいもの。
*******コンプレックスに隠された別の葛藤とは?
「かわいそうに・・・」というのは、自分は大丈夫だという前提での言葉であり、人間として対等な関係ではない差別の一種
日本は単一民族のせいか、これに関する人々の意識が低い。
生き方の問題には、他者との関係の持ち方の未熟さ、利己主義が根底にあり、
社会における深刻な差別問題と同質、無関係ではない。
コンプレックスを持つ人は、そのために「自信がない」と言う。
上下・優劣に過敏になるあまり、他人ではなく自分自身がそう思っているのに、他者にそう思われていると気にしている。
客観的に見れば、優劣の差など五十歩百歩。
●劣等感と自己否定はつねにセット→自信喪失を招く
他者に対して暗く映りはしないかと心配し、逆にムリに明るく振る舞って不自然な行動になってしまう。
→「自意識過剰」のストレスで疲れ果てる→交友関係が狭くなる→学歴・容貌・親がダメだからという他罰的な訴えになる。
自分のあり方を振り返らず、周りのせいにしてしまう。
自信とは?
てっとりばやくつく自信などない。
自信とは、どんな状況に陥ってもやっていけるという「自己への信頼」。
これは、自己責任において、けして人任せにせず、生活体験を積み重ねる以外に得ることはできない。
コンプレックスにこだわる人の多くが、その隠れみのの下で生きることの不安とすり替えている。
*******社会問題としての現代特有の葛藤
30年前の「モーレツ社員」という言葉が現代の若い女性にあてはまる。
男の場合は、仕事だけの「滅私奉公」だったが、現代女性は、社会進出、結婚、母親、すべて一流じゃないと気がすまない。
「勝つか負けるか」が尺度のため、疲れ果てて心身症になる。
一方、社会構造は相変わらず男性に有利なまま。
完璧にこなそうとせず、自分にとって何がもっとも大事か見極めて、力の入れ方の配分を考える。
●就学ノイローゼにかかった母親たち
不登校やひきこもりは、今の学校が人間性を欠き、居心地のいい場所でないことを表している。
人にとって大切な物差しは、「快・不快」という尺度。
精神的に快適か、不快かを基準に行動することを選択する豊かさがあっていいはず。
*******「ノー」と言うこと・言われること
国民全体が大変ゆがんだ危機的な精神文化の中で生活している。
たかが食事を断られただけで、全人格を否定されたと思い込むほど、不健康で未熟な付き合いになっている。
大抵は、相互のコミュニケーションミスが原因。
こんなにも傷つきやすい人が増えているのは、自ら孤立し、心を閉ざしているから。
傷つきやすいと、ひとりに耐えられず、常に緊張状態を余儀なくされる。
●心の扉の二重構造
若者の社交センスは、けして心を開いているわけではなく、テクニックとしての社交術を身につけているだけ。
「ノー」と言われて傷ついたら、素直に「傷ついた」と言えばいい。
嫌われることに過敏なら、あなた自身に「人への好き嫌い」があるのではと自問自答してみる。
自分がそうだから、他者も同じ尺度で見ていると勘違いし、嫌われると恐れるのはよくある。
●ガマンばかりする理由
人になにか聞かれて頭が真っ白になってしまうのは自分自身がない証拠。
人は自身にメリットがない行動はしない生命体。
理想的な母も
「私はあなたのために、これだけ尽くして、自己犠牲を強いられています。
だから、あなたは私を裏切り見捨ててはいけません」
という裏メッセージの発信に気づいていないが、子どもはそれをキャッチして、息苦しく縛られている感覚を抱くようになる。
人間関係が無償ではなく、ガマンが見返りとして相手を拘束するための手段になっている。
●足し算上手になるために
若い女性の特徴は、他者との比較による自己否定。
今の学校は「減点法」で個人の成績が評価され、それによって集団の中の位置が決められる。
たとえ、同じ場面に遭遇しても、それぞれ個別の感性を持っているので、違った受け取り方、反応があって当然。
他者との比較で上下の位置づけ自体がナンセンス。
満点ばかり狙う完璧主義者では息切れする。引き算上手な背後に「能力過信」もある。
●社会は学校・家庭とは違う
会社でも愛され、いい子であろうとし、特別扱いを望む女性が多い。
親、先生から褒められることに快感を覚え、自分の存在を確認する子どもの頃のやり方を
社会にそのまま持ち込んでもうまくいかない。仕事の見返りは給料として支給される仕組み。頭をなでられることではない。
社会は役割で動いている。自分の置かれている立場、役割を見極めないとならない。
状況の変化、相手、自分の精神状態の変化を見極め、柔軟に対応すること。甘えは落とし穴になる。
●自由とわがままは違う
権利ばかり主張する傾向の強い人もいる。自由には必ず義務と責任がともなう。
●一人暮らしのすすめ
給料をもらうことが、即自立ではない。あなたは自分で洗濯をしていますか?
一人暮らしで友人の大切さ、ゴミの始末など生活の煩雑さを知ることができる。
●マイナス感情も大切
今ほどマイナス感情を忌み嫌う時代はない。
暗さも、明るさも、同じ心の状態。
マイナス感情をムリに押し殺すと、逆に表層的になり、暗く寒々としたものを感じさせる。
●対人関係は五分五分
自罰か他罰かゼロか100になっている。
どちらか一方に、すべての非があることなどあり得ない。
対人関係は五分五分なので、自分の五分を工夫し、在り方を変えれば、その関係は確実に変化する。
わたしたちは、自分以外の人を変えるのは不可能。
●真のパートナーシップとは?
ケンカをすることで、相手と一生の付き合いになるほど友だちになるという話はよくある。
人を愛するということは、互いが違う色であることを許しあうこと。
「イジメ」は、異質なものへの徹底的な排除。
*******あなたを癒してくれる相手の3つのポイント
あなたがあなたらしくあるための、クリエイティブな対人関係をつくるには、
1.葛藤を持ち、悩んでいる今の自分を本気でなんとかしたいと思うかどうか。悲劇のヒロインではなく。
2.癒すためにどういう相手を選ぶか。色恋は関係なく。あなたに対する態度の問題。
3.相手と心理的交流があること。
●3つのポイント
1.その人に裏表がないこと。
2.あなたの話を否定しないで、肯定的に聞く配慮ができる人であること。
3.あなた自身に共感できる優しさと、心の広さを持っている人であること。
ひとりで悩むと堂々巡りで終わるが、触れ合い、受け入れられると、違う方向に流れ始める。
孤立した心は、薄っぺらな社交術では癒されない。
信頼関係をつくれる友人を持つことは、大きな財産
●自分で行動し、決断する
自分を知りたいなら自分に聴くしかない。
入り組んだ複雑な問題も、整理すると二者択一「する」か「しない」か。
自分のことを自分で決められない人は、失敗を危惧し、その責任を誰かに転嫁したがっている。
自分が自分に対して「支配権」を取り戻した時、男性はたくましく、女性は美しく変化する。
まず、手始めに、会話する時、考える時は、「わたしは」と、主語をハッキリ言う習慣をつける。
自信がない人は、主語が曖昧。一般論にすり替えることが多い
自分のことを伝えなければ、人に理解されることはない。伝えずに相手に察して欲しいというのは虫がよすぎる話。
相手の言うことは、言われただけ理解すればいい。
言われないことまで気を回したり、裏を読んでも外れるもの。
現代は、「価値観の多様化」と言われるが、現実は情報が氾濫していて、選びとる規範がまったくないということ。
他者は敵(競争相手)にするより、味方(仲間)にしたほうが楽で快適。
人の長所は欠点と裏表。基本的には、今のあなたはそのままでいい。
政治が悪い、世の中が悪いといってもはじまらない。社会を作っているのは私たち。
改革は個人のレベルで精神的意識を変えることによって、よりよい明日がはじまる(そう思う
まずは、自分の個性、能力、置かれている環境を見極める勇気をもとう。現実を認めること、これが「自己受容」。