メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1995.9~ part3)

2013-05-10 15:16:52 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『プロデューサーズ』(1968)

監督・脚本:メル・ブルックス 出演:ゼロ・モステル、ジーン・ワイルダー ほか
これぞメル・ブルックス大先生のあっけらかん豪華ハリウッド式コメディの世界。
しばらく新しい作品にお目にかかってなかったから嬉しいかぎり。初監督作なのかな?
オスカーを受賞したんだよね。脚本賞。ノリまくって、パワーがみなぎってる。舞台にも合うんじゃないかな?
なんといっても主演のゼロとジーンがイイ。太って金作りに賭けてる落ち目のプロデューサーと、
なぜか幼児期のまま情緒が止まったような会計士。子どもの頃から愛用のタオルを肌身離さず持っていて、
人に取られるとヒスを起こす。始終通してハイテンションに叫んでる彼らと、思いっきりオカマちゃんの演出家、
LSDってそのまんまの名前の完全にイッちゃってる主演俳優のサイケデリックな歌♪Power of Love
Love & Peace の時代だからねえ。それにしてもブルックスはナチを徹底的におちょくって、平和主義者なんだよね。
ヒトラーがトロンボーン!を吹いて、スラングで喋ったり、
「俺たちはドイツ人だって?!じゃあドイツを攻められないじゃないか!」なんてセリフまである。
いやはやこのいきさつは全くコメディのフィクションとは言えないみたいね。
なんと、今作でワイルダーはオスカーにノミネートされてる!


『おかしな夫婦』(1969)
監督:アーサー・ヒラー 脚本:ニール・サイモン 音楽:クインシー・ジョーンズ
出演:ジャック・レモン、サンディ・デニス、サンディ・バロン ほか
ほんと『大災難』の上をいく運の悪さ。観るほうはあらかじめ予定の時間にはどれも間に合わないってことを
念頭に置いておかないと彼らのストレスがそのまま伝わってきちゃって笑えなくなっちゃう
N.Y.みたいな大都会ならどれもかなりあり得ることばかりだもの。胃潰瘍持ちじゃなくてもこりゃ限界だわ。
S.マーティンのキレ方よりはノーマルだけど、レモンのせっかち男とデニスのおっとり奥さんの組み合わせのバランスも活きてる。
結婚指輪を落として「這い回ってでも探すから、あなたは行ってもいいわよ」ってゆうのも可笑しい。


『STIR CRAZY』(1980)
監督:シドニー・パトラー 出演:ジーン・ワイルダー、リチャード・プライア、ジョージ・スタンフォード・ブラウン ほか
stir=jail の俗語だそうだ。無実の罪で投獄された2人の男が自由になるまでの話。
ワイルダーのunusualなキャラと、プライヤのうろたえぶりが楽しい。
今作の成功でこのカップリングは他にも作られたみたい。
「N.サイモン脚本の映画にも出たんだ」なんて楽屋オチもイイ
脱獄した罪はなしになるのか?って疑問が残るけど、とにかく州の境界線を越えちゃえばいいんだよね、アメリカって。
映画だと罪人の脱獄まで立派なエンタテイメントになっちゃうから怖い。一方で過剰な暴力、酷い刑務所環境を取り上げている。
といっても犯罪の数が減らないんだもの。
互いにひとつのズボンを履いてて「片足の感覚がなくなってる!」てギャグも笑える。


『お熱いのがお好き』(1959)

製作・監督:ビリー・ワイルダー 出演:マリリン・モンロー、トニー・カーティス、ジャック・レモン ほか
これは文句なし面白い。トニーとレモンのコンビもバツグン。性格付けも構成もナイス。
それに脂のノリきったマリリン(当時33歳。役では24歳だけど不自然じゃない)の魅力もタップリ
有名なブブッディドゥ の歌も入っている。彼女の凄さはどんな小さなセクシー演技もすべて計算されているところにある。
哀しみのバラードを歌う声のビブラートも聴けるし。
このガマ口のオヤジは作品を持ち上げてくれる。
そしてレモン モノクロと映画のマジックで2人ともそれなりに女性らしく見えるからフシギ。
あれで誰にもバレなかったんだからもっとフシギ
『笑う映画』で言ってたタンゴを踊っててバラがダフネからひょいとオヤジの口に移ったり、
上がっていった男2人がすぐ下がってきたエレベータでは女になってたりの飛躍の数々が笑える。


『ミナ』(1993)

監督:マルティーヌ・デュゴウソン 出演:ロマーヌ・ボーランジェ ほか

「なぜ画家が死ぬと作品が売れるようになるか、人は皆死ぬと知っているからだ」

寂しい。寂しいなあ。笑いもあるし、新感覚にあふれた、まさに私たちの等身大を描いた女性監督ならではなんだけど。
「美しい友情」なんてジャケにコピーを書いた人、ちょっと違うと思うな。
これを観たら、友情が残酷で嘘っぱちで期待できないって思ってしまう。
それでも一人じゃ生きてゆけず、自分だけで輪を作って踊る人は孤独のために弱り、死んでしまうものなのか?
冒頭のセリフ「結婚しない者は人間じゃない」そこまで言うか!?
ラストのF.カフカ「僕は犬になりたい」
男は手足をついて走り出したってゆうのはいかにも彼らしい言葉だけど直接作品とは結びつかない。
なんだかジャニス・イアンの♪17歳 が流れてきそう。
実際、作品中にもフランスの女性歌手が18歳の初恋を歌う歌がキーとなって何度も流れる。
コンプレックスを抱えて、若さを持て余し、互いに慰めあい、傷を舐めあいながらあがいている。
美しくなきゃ幸せになれないなんて! 女の人生って何なのかしら?
母と娘の関係、これもかなり複雑なんだな。自分よりもっと幸せになってほしい。
でも、言う通りにならない子との間に深い溝が出来てしまう。そして問題は繰り返されていく


『黄金狂時代』(1925)
監督・脚本・音楽・出演:チャーリー・チャップリン 出演:ジョージア・ヘール、マック・スウェイン ほか
数々の名シーンを含んだチャップリン作品。ヒロインは彼の妻じゃなかったっけ?
彼女と会えない寂しいシーンにあのパンのダンスがある。
すごい強風で家が飛ばされて崖にひっかかってる!どこまで特撮なのか目を見張るハラハラシーン。
チャーリーのナレーションで他の出演者、女性の分までもセリフを言っているというフシギな作り方。
笑ったのはダンス中、ズボンが下がっちゃって、身近にあるヒモでくくったはいいが、
それは犬につないであったっていうのに大笑い。
ダンスにひきずり回されて迷惑そうな犬の表情がなんともいえない


『給料日』(1922)
製作・監督・脚本・音楽・出演:チャーリー・チャップリン 出演:フィリス・アレン、エドナ・パーヴィアンス、シドニー・チャップリン ほか
たった22分の中にもギャグがたっくさん詰まっている今作。
レンガを放り投げては階上のチャーリーが見事なポーズで受け取るシーンや、
エレベータが上がったり下がったりで、いろんな食べものがお弁当のないチャーリーのもとに届けられるとか。
貧乏に苦しんだ時代があった彼の作品には食べものへの強い執着がある。
とにかくたいへんな1日だったこと!


『モダン・タイムス』(1936)
監督・脚本・音楽・出演:チャーリー・チャップリン 出演:ポーレット・ゴダード、ヘンリー・バーグマン ほか

「人間が機械化されることに反対し、個人の幸福を求める物語りである」

という口上の通り、何もかもオートメーションになって、機械に振り回される人間、
そしてチャップリン作品を通じて訴えられる人々の慢性的貧困、失業者問題をとことん追及した作品。
ヒロイン役は当時共演から結婚に発展したポーレット。
美しい容姿で貧困の狂気をチャーリーと共に演じている「永遠のtrump」のパートナーといったところ。
ラスト、手をつないで未来の幸福に向けて歩いてゆく後ろ姿は私生活にも通じていそうだ。
こうなるとチャーリーの伝記も気になってくる。

チャーリーが歌うなんて、キートンが笑うシーンと同じく本当に貴重で珍しいシーン
でも音楽もいつも自分で作っているようだし、歌もうまい!?
デパートでのローラースケートで穴に落ちそうで落ちない妙技は、
前作で、杖を通気口の網について、はまりそうではまらないってシーン等に通じる。
本人が知らないところで起きている災難ってギャグは面白い。


『あなただけ今晩は』(1963)

監督:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモンシャーリー・マクレーン、ハーシェル・バナディ ほか
これは文句なく面白い。レモン、マクレーンコンビで再度共演させたワイルダー作品の味わいを存分に楽しめる。
ストーリーももちろん、ギャグがたっくさん詰まった豪華版。最初から終わりまでたっぷり楽しめる逸品。
ワイルダーの粋なストーリーに、マクレーンのキュートなコケティッシュさと、レモンのコメディ演技、
それぞれの個性がほどよくミックスされた大人のコメディ。


『シリアル・ママ』(1994)
監督:ジョン・ウォーターズ 出演:キャスリーン・ターナー ほか
ちょっと待った、これって実話? それともキツイジョーク?
フィクションでもノンフィクションでも今作は笑えるけど、もし本当なら世の中狂ってる!
“Natural born killers”の世界じゃない? 確かに殺してやりたくなる奴は多いけど、本当に殺っちゃったら犯罪だよ
それならせめて殺す前に本人に理由を言ってあげれば改心したかも!? しないか? 完璧な人なんかいないもの。
このアドレナリン放出量と速さはやっぱ普通じゃない。

久々ターナーの活躍で映画としては娯楽性が高くて、いかにも現代風刺コメディのノリなんだけど、
彼女もここまであっけらかんと演じることに多少、微妙な迷いが生じただろうね。
とにかく被害者にはまだ賠償金は払われてないそうで一応無実となったワケだし、
作品は主婦が殺していくシーンそのまんまだけど真実は犯人のみぞ知る。

主婦感覚の犯罪ばかりだから、どうなるってものでもないけど、すべては人のモラルの問題。
さて罰するとしたらどっちなのか。モラルや常識、法や規則を守らず横柄に生きている連中か?
天に代わって罰したママか!?このキレ具合といい、怪事件としてXファイル行きかもよ

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