■『調べよう カビのふしぎ』(汐文社)
伊沢尚子/著
本シリーズ監修者・細矢剛さんは国立科学博物館の先生。
先日読んだ『人をたすけるミクロの虫』(汐文社)とも若干かぶるけど、カビ=腐敗って悪いイメージがちょっと変わる1冊。
今じゃ、どこもかしこもコンクリートで土を塗りこめちゃうけど、その上に落ちたものは土に還れずゴミになるんだ。
カビキラーなどは、カビを殺す&水質も汚染してるんじゃないか?
さり気なく描かれているイラストは、、、もしや「もやしもん」!?
【内容抜粋メモ】
現在、カビだけで45000種、菌類全体で97000種が確認されているが、
実際は、地球上に150万種の菌類がいると言われる/驚
********************自然界を3つに分けると「動物・植物・菌類」
注意:「菌」は細菌や菌類などをまとめた言い方で科学的用語ではない。
【菌類(カビの仲間)】
「オピストコンタ界」カビの仲間は動物の仲間に近い。
・カビ 菌糸がキノコを作らない。多細胞生物。
・キノコ 菌糸がキノコをつくる。
・酵母 単細胞生物。コウボという名前の生きものがいるのではなく、いろんな種類をまとめた呼び方。
その他
「粘菌」「卵菌」 菌とつくが菌類ではない。
「バクテリア」 乳酸菌、納豆菌というが菌類ではない。
「微生物」 目に見えない小さな生き物のこと。菌類・バクテリア・プランクトンなど。
「バイ菌」「雑菌」 菌を悪者扱いする時の言い方で科学的用語ではない。
「種」 リンネは、生きものを「二命法」(属と種)に分けた。
【植物の仲間】
【動物の仲間】
********************イチゴハイイロカビの例
イチゴハイイロカビの胞子
「菌糸」
“カビには根がある”とよく言われるが、根はなく「菌糸」をたとえたもの。
カビの体は菌糸でできている。ものに入り込んで栄養をとりこむ。
「胞子」(カビの種)
イチゴハイイロカビの成長のようす
1.胞子から発芽する。(ちなみに、芽が出ることを萌えるとも言う。豆の芽、麹も「モヤシ(萌やし)」と呼ぶ。
2.芽がのびて菌糸になる。
3.菌糸が上下にどんどん増える。
4.菌糸の先に胞子ができて、外に撒き散らされる。
3.で菌糸の塊ができて立ち上がるのが「キノコ」。
「コロニー」
生きものの集まり。胞子や菌糸は、たくさん増えると目に見えるようになる。
「休眠」
温度が低い、乾燥している時などでは、成長や活動を休む。
********************カビの歴史とカビを使った食べ物
菌類の最古の化石の一部。4億年前の地層から見つかった。
直径1m×高さ9mのもあったから、針葉樹かと思われていた/驚
菌類の祖先の誕生は、10億年前。
世界中の人々は、カビを使って美味しいものを作ってきた。
「発酵」
カビのおかげで美味しくなったこと。その食品を発酵食品という。
変ななニオイがしたら、腐らせる微生物がついているから注意
【世界の発酵食品の例】
・ブルーチーズ、カマンベールチーズ
「アオカビ」が、牛乳や羊乳をヒトが消化しやすい栄養にかえてくれている。
「酵素」体の中で作られ、化学反応を助ける。唾液、腸液など。
・テンペ
「クモノスカビ」でピーナッツやココナッツを発酵させたもの。
・金華ハム
中国の金華市で作られる豚肉のハム。世界三大ハムのひとつ。スープのだしとして使われることが多い。
【日本の発酵食品の例】
・鰹節(世界一硬い食べ物と言われる)
うまみのもと「イノシン酸」は、カツオブシカビが分解して作っている。
・味噌、醤油 「キコウジカビ」を使う。和名がついている。カビが育つ様子を花が咲くのに例えて「糀」と言われた。
・焼酎 「クロコウジカビ」を使う。
・カニカマボコなどを赤くする赤い色素 「ベニコウジカビ」を使う。
●色のうつりかわり
寒天の真ん中に置いたカビが成長し、広がる(胞子が熟す)につれて色が変わる様子
「培養」
人工的に増やすこと。動物は飼育、植物は栽培、微生物は培養という。
「培地」
培養するための場所。カビは寒天を使う。
********************コウジカビと日本人
・奈良時代 お酒をつくった?
「麹」は麦でつくる中国からきた漢字。米から作る日本では「糀」と言われた(国字)。
・平安時代 麹売りは女性の仕事だった。
・鎌倉時代 酒造りが禁止された
農民が米から酒をつくると、米が不足するから。一部に特権を与える代わりに税金をとって収入にした。
・江戸時代 甘酒売りがいた。暑い夏をのりきる“栄養ドリンク”。アルコール成分はない。
「粥占判断」
福岡、佐賀、大分県には、豊作をカビで占う祭りがある。カビが紫色なら麦作が吉、黄色なら稲作が大吉。
・明治時代 「タカジアスターゼ」はお腹の薬として売れた。
・昭和 菌塚が建てられた(京都・曼殊院門跡)
・平成 「アスペルギルス・オリゼー(キコウジカビの学名)」が「国菌」になる。
********************病を治したり、悪さをする時もある
コウジカビにはたくさんの種類があり、パンを腐らせたり、カビ性肺炎、アレルギー症状をおこす種もいる。
「馬鹿苗病」のカビから作ったジベレリンという液にブドウの実を浸すと「タネなしブドウ」になる。
●常在菌と日和見菌
「常在菌」元気な時は悪さをしない。
「日和見菌」体力が落ち、免疫力が弱ると増えて病を起こす。
例:「カンジタ菌」「白癬菌」(水虫など)
「ペニシリン」
皮膚にいる常在菌「ブドウ球菌」というバクテリアは、傷口で増えて悪化させる日和見菌。
1929年、科学者フレミングは、ブドウ球菌にアオカビが生えて、カビの周りにブドウ球菌がいないことからペニシリンを見つけた。
ペニシリンは、第二次世界大戦で、傷が膿んだ重傷の戦士を救った。
「抗生物質」
ペニシリンのように、他の生きもののの成長を抑える物質。
使い過ぎると、効き目がなくなり、より強い菌が出てきてしまう
かつては生物が作るものだけを言ったが、最近は化学合成が可能になった。
筑波大学の出川さん
「クサレケカビ」ダンゴムシなどの死体を分解する
「遺伝子が分かるにつれて、すべての生きものが新しいグループ分けに変わりつつある。
カビは、これまで見つかっている種の10倍はいるだろうと予測されている」
東京大学の高橋さん
茶色に見えるのが枯れたナラの木/ナラ枯れの原因カビ
「木を食べないキクイムシもいます。木でコウボを育てて食べている。
日本中で“ナラ枯れ”が起きていて大変なんですよ」
********************つながる生きもの「腐生・寄生・共生」
カビは自分で栄養を作れない代わりに、他の生きものとつながって栄養をもらう。つながり方は「腐生・寄生・共生」の3つに分けられる。
コンクリートの上の落ち葉。くりかえしの輪に入らないものをゴミと呼ぶ。
まわりつづける栄養は、窒素・リン・カリウム・炭素など。
くりかえしの輪(炭素の例)
「光合成」植物は、二酸化炭素+水で「単糖類」をつくる。
・単糖類=炭水化物の中で単糖が1つのもの。(ブドウ糖・果糖など)
ブドウ糖は、甘いものに含まれ、吸収されやすく、エネルギーになりやすい。
・二糖類=炭水化物の中で単糖が2つくっついたもの。(麦芽糖・砂糖など)
・多糖類=炭水化物の中で単糖がたくさんくっついたもの。(デンプン・セルロースなど)
調理前の生のデンプンを「βデンプン」、水を加えて温めると「αデンプン」となる。「αデンプン」でないと消化されない。
セルロースは、ヒトの酵素では栄養にできない。
「糞生菌」はフンをを栄養にかえて豊かな土をつくる。最初にカビ、次にキノコが生えてくる。
例:ミズタマカビ
ペット用のエサにはカビが生えないよう作られている。それを食べたペットのフンにはカビが生えないことが多い。
●「腐生」
自分の栄養とするため、死んだものを腐らせること。
・イチゴハイイロカビ ブドウにつくと高級な“貴腐ワイン”となる。
・アオカビ ペニシリンという薬になる。
・ミズタマカビ 野生の鹿やウサギの糞にまず最初に生えるカビ。
・トリコデルマ 湿り気の多い弱った木などでよく見られる。畑に混ぜたり、農作物の傷口に塗ると病原菌を抑えてくれる。
・フサリウム 甘くて栄養たっぷりな樹液にはいろんな微生物が集まる。その代表。
●「寄生」
自分の栄養とするため、生きた相手にとりついて栄養を奪うこと。相手を殺してしまうこともある。
増えすぎた植物や虫を穏やかに減らしてバランスをとってくれる。
・白きょう病菌(カビにとりつかれて死んだカマキリ)
セルロース(植物のかたいすじ)、キチン質(虫のかたい体)も分解してミイラにしてしまう。
・ハエカビ(カビがついたバッタは茎の上まで登るため、胞子が遠くまで飛ぶ)
これらは、害虫を殺す「生物農薬」として研究中。
・うどんこ病菌(カビの生えたマサキの葉)
このカビは、生きた植物の上でしか生きられないから、マサキは枯らさない。
・ツツジもち病菌(葉の一部が焼いた餅のようにふくらむ)
●「共生」
相手の栄養をもらって、相手にも利益を与える。
「地衣類」(藻類と共生する菌類)
栄養が作れない菌類×岩や木にしがみつけない藻類が協力している。
南極の昭和基地の周囲でさえ60種以上見つかっているのに、
都会ではクルマの量が増えただけですぐ枯れてしまう。大気汚染には耐えられないのだ。
・ウメノキゴケ リトマスという色素があるため、昔はこれでリトマス紙を作っていた。
「菌根菌」(菌根と共生する菌類)菌根=菌類+根の共生
植物の根から栄養をもらう代わりに、根が届かない土の栄養を根にあげている。
植物が陸にあがった頃、岩だらけの大地にしがみつくため、菌根菌の力を借りたおかげで緑の地球ができたと言える。
********************生きものは、みんな栄養でつながっている
【栄養の流れ】
カビの仲間(分解者)
動物の死骸、フンを栄養に分解する。
植物(生産者)
カビたちが分解した栄養をとりこむ。
動物(消費者)
植物を食べて栄養にして、フンをする(そっか私たちヒトは消費者なんだ
カビを死滅させたら、つながりが切れて、地球上のすべての生きものの命が危険になるだろう
********************カビに関する書籍・施設
●『もやしもん』
『もやしもん』(全11話)は面白かったな。「オリゼー」さんがカワイイ!
●『風の谷のナウシカ』
汚れてしまった腐海をキレイにしてくれているのはだれ?
●『カビ図鑑』
●『菌類の世界』
●国立科学博物館
●生命の星・地球博物館
などなど。
伊沢尚子/著
本シリーズ監修者・細矢剛さんは国立科学博物館の先生。
先日読んだ『人をたすけるミクロの虫』(汐文社)とも若干かぶるけど、カビ=腐敗って悪いイメージがちょっと変わる1冊。
今じゃ、どこもかしこもコンクリートで土を塗りこめちゃうけど、その上に落ちたものは土に還れずゴミになるんだ。
カビキラーなどは、カビを殺す&水質も汚染してるんじゃないか?
さり気なく描かれているイラストは、、、もしや「もやしもん」!?
【内容抜粋メモ】
現在、カビだけで45000種、菌類全体で97000種が確認されているが、
実際は、地球上に150万種の菌類がいると言われる/驚
********************自然界を3つに分けると「動物・植物・菌類」
注意:「菌」は細菌や菌類などをまとめた言い方で科学的用語ではない。
【菌類(カビの仲間)】
「オピストコンタ界」カビの仲間は動物の仲間に近い。
・カビ 菌糸がキノコを作らない。多細胞生物。
・キノコ 菌糸がキノコをつくる。
・酵母 単細胞生物。コウボという名前の生きものがいるのではなく、いろんな種類をまとめた呼び方。
その他
「粘菌」「卵菌」 菌とつくが菌類ではない。
「バクテリア」 乳酸菌、納豆菌というが菌類ではない。
「微生物」 目に見えない小さな生き物のこと。菌類・バクテリア・プランクトンなど。
「バイ菌」「雑菌」 菌を悪者扱いする時の言い方で科学的用語ではない。
「種」 リンネは、生きものを「二命法」(属と種)に分けた。
【植物の仲間】
【動物の仲間】
********************イチゴハイイロカビの例
イチゴハイイロカビの胞子
「菌糸」
“カビには根がある”とよく言われるが、根はなく「菌糸」をたとえたもの。
カビの体は菌糸でできている。ものに入り込んで栄養をとりこむ。
「胞子」(カビの種)
イチゴハイイロカビの成長のようす
1.胞子から発芽する。(ちなみに、芽が出ることを萌えるとも言う。豆の芽、麹も「モヤシ(萌やし)」と呼ぶ。
2.芽がのびて菌糸になる。
3.菌糸が上下にどんどん増える。
4.菌糸の先に胞子ができて、外に撒き散らされる。
3.で菌糸の塊ができて立ち上がるのが「キノコ」。
「コロニー」
生きものの集まり。胞子や菌糸は、たくさん増えると目に見えるようになる。
「休眠」
温度が低い、乾燥している時などでは、成長や活動を休む。
********************カビの歴史とカビを使った食べ物
菌類の最古の化石の一部。4億年前の地層から見つかった。
直径1m×高さ9mのもあったから、針葉樹かと思われていた/驚
菌類の祖先の誕生は、10億年前。
世界中の人々は、カビを使って美味しいものを作ってきた。
「発酵」
カビのおかげで美味しくなったこと。その食品を発酵食品という。
変ななニオイがしたら、腐らせる微生物がついているから注意
【世界の発酵食品の例】
・ブルーチーズ、カマンベールチーズ
「アオカビ」が、牛乳や羊乳をヒトが消化しやすい栄養にかえてくれている。
「酵素」体の中で作られ、化学反応を助ける。唾液、腸液など。
・テンペ
「クモノスカビ」でピーナッツやココナッツを発酵させたもの。
・金華ハム
中国の金華市で作られる豚肉のハム。世界三大ハムのひとつ。スープのだしとして使われることが多い。
【日本の発酵食品の例】
・鰹節(世界一硬い食べ物と言われる)
うまみのもと「イノシン酸」は、カツオブシカビが分解して作っている。
・味噌、醤油 「キコウジカビ」を使う。和名がついている。カビが育つ様子を花が咲くのに例えて「糀」と言われた。
・焼酎 「クロコウジカビ」を使う。
・カニカマボコなどを赤くする赤い色素 「ベニコウジカビ」を使う。
●色のうつりかわり
寒天の真ん中に置いたカビが成長し、広がる(胞子が熟す)につれて色が変わる様子
「培養」
人工的に増やすこと。動物は飼育、植物は栽培、微生物は培養という。
「培地」
培養するための場所。カビは寒天を使う。
********************コウジカビと日本人
・奈良時代 お酒をつくった?
「麹」は麦でつくる中国からきた漢字。米から作る日本では「糀」と言われた(国字)。
・平安時代 麹売りは女性の仕事だった。
・鎌倉時代 酒造りが禁止された
農民が米から酒をつくると、米が不足するから。一部に特権を与える代わりに税金をとって収入にした。
・江戸時代 甘酒売りがいた。暑い夏をのりきる“栄養ドリンク”。アルコール成分はない。
「粥占判断」
福岡、佐賀、大分県には、豊作をカビで占う祭りがある。カビが紫色なら麦作が吉、黄色なら稲作が大吉。
・明治時代 「タカジアスターゼ」はお腹の薬として売れた。
・昭和 菌塚が建てられた(京都・曼殊院門跡)
・平成 「アスペルギルス・オリゼー(キコウジカビの学名)」が「国菌」になる。
********************病を治したり、悪さをする時もある
コウジカビにはたくさんの種類があり、パンを腐らせたり、カビ性肺炎、アレルギー症状をおこす種もいる。
「馬鹿苗病」のカビから作ったジベレリンという液にブドウの実を浸すと「タネなしブドウ」になる。
●常在菌と日和見菌
「常在菌」元気な時は悪さをしない。
「日和見菌」体力が落ち、免疫力が弱ると増えて病を起こす。
例:「カンジタ菌」「白癬菌」(水虫など)
「ペニシリン」
皮膚にいる常在菌「ブドウ球菌」というバクテリアは、傷口で増えて悪化させる日和見菌。
1929年、科学者フレミングは、ブドウ球菌にアオカビが生えて、カビの周りにブドウ球菌がいないことからペニシリンを見つけた。
ペニシリンは、第二次世界大戦で、傷が膿んだ重傷の戦士を救った。
「抗生物質」
ペニシリンのように、他の生きもののの成長を抑える物質。
使い過ぎると、効き目がなくなり、より強い菌が出てきてしまう
かつては生物が作るものだけを言ったが、最近は化学合成が可能になった。
筑波大学の出川さん
「クサレケカビ」ダンゴムシなどの死体を分解する
「遺伝子が分かるにつれて、すべての生きものが新しいグループ分けに変わりつつある。
カビは、これまで見つかっている種の10倍はいるだろうと予測されている」
東京大学の高橋さん
茶色に見えるのが枯れたナラの木/ナラ枯れの原因カビ
「木を食べないキクイムシもいます。木でコウボを育てて食べている。
日本中で“ナラ枯れ”が起きていて大変なんですよ」
********************つながる生きもの「腐生・寄生・共生」
カビは自分で栄養を作れない代わりに、他の生きものとつながって栄養をもらう。つながり方は「腐生・寄生・共生」の3つに分けられる。
コンクリートの上の落ち葉。くりかえしの輪に入らないものをゴミと呼ぶ。
まわりつづける栄養は、窒素・リン・カリウム・炭素など。
くりかえしの輪(炭素の例)
「光合成」植物は、二酸化炭素+水で「単糖類」をつくる。
・単糖類=炭水化物の中で単糖が1つのもの。(ブドウ糖・果糖など)
ブドウ糖は、甘いものに含まれ、吸収されやすく、エネルギーになりやすい。
・二糖類=炭水化物の中で単糖が2つくっついたもの。(麦芽糖・砂糖など)
・多糖類=炭水化物の中で単糖がたくさんくっついたもの。(デンプン・セルロースなど)
調理前の生のデンプンを「βデンプン」、水を加えて温めると「αデンプン」となる。「αデンプン」でないと消化されない。
セルロースは、ヒトの酵素では栄養にできない。
「糞生菌」はフンをを栄養にかえて豊かな土をつくる。最初にカビ、次にキノコが生えてくる。
例:ミズタマカビ
ペット用のエサにはカビが生えないよう作られている。それを食べたペットのフンにはカビが生えないことが多い。
●「腐生」
自分の栄養とするため、死んだものを腐らせること。
・イチゴハイイロカビ ブドウにつくと高級な“貴腐ワイン”となる。
・アオカビ ペニシリンという薬になる。
・ミズタマカビ 野生の鹿やウサギの糞にまず最初に生えるカビ。
・トリコデルマ 湿り気の多い弱った木などでよく見られる。畑に混ぜたり、農作物の傷口に塗ると病原菌を抑えてくれる。
・フサリウム 甘くて栄養たっぷりな樹液にはいろんな微生物が集まる。その代表。
●「寄生」
自分の栄養とするため、生きた相手にとりついて栄養を奪うこと。相手を殺してしまうこともある。
増えすぎた植物や虫を穏やかに減らしてバランスをとってくれる。
・白きょう病菌(カビにとりつかれて死んだカマキリ)
セルロース(植物のかたいすじ)、キチン質(虫のかたい体)も分解してミイラにしてしまう。
・ハエカビ(カビがついたバッタは茎の上まで登るため、胞子が遠くまで飛ぶ)
これらは、害虫を殺す「生物農薬」として研究中。
・うどんこ病菌(カビの生えたマサキの葉)
このカビは、生きた植物の上でしか生きられないから、マサキは枯らさない。
・ツツジもち病菌(葉の一部が焼いた餅のようにふくらむ)
●「共生」
相手の栄養をもらって、相手にも利益を与える。
「地衣類」(藻類と共生する菌類)
栄養が作れない菌類×岩や木にしがみつけない藻類が協力している。
南極の昭和基地の周囲でさえ60種以上見つかっているのに、
都会ではクルマの量が増えただけですぐ枯れてしまう。大気汚染には耐えられないのだ。
・ウメノキゴケ リトマスという色素があるため、昔はこれでリトマス紙を作っていた。
「菌根菌」(菌根と共生する菌類)菌根=菌類+根の共生
植物の根から栄養をもらう代わりに、根が届かない土の栄養を根にあげている。
植物が陸にあがった頃、岩だらけの大地にしがみつくため、菌根菌の力を借りたおかげで緑の地球ができたと言える。
********************生きものは、みんな栄養でつながっている
【栄養の流れ】
カビの仲間(分解者)
動物の死骸、フンを栄養に分解する。
植物(生産者)
カビたちが分解した栄養をとりこむ。
動物(消費者)
植物を食べて栄養にして、フンをする(そっか私たちヒトは消費者なんだ
カビを死滅させたら、つながりが切れて、地球上のすべての生きものの命が危険になるだろう
********************カビに関する書籍・施設
●『もやしもん』
『もやしもん』(全11話)は面白かったな。「オリゼー」さんがカワイイ!
●『風の谷のナウシカ』
汚れてしまった腐海をキレイにしてくれているのはだれ?
●『カビ図鑑』
●『菌類の世界』
●国立科学博物館
●生命の星・地球博物館
などなど。