メランコリア

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『死刑台のエレベーター』(2010)

2013-04-26 14:00:26 | 映画
『死刑台のエレベーター』(2010)
原作:ノエル・カレフ 監督:緒方明
出演:吉瀬美智子、阿部寛、玉山鉄二、北川景子、平泉成、りょう、津川雅彦、柄本明、笹野高史、田中哲司 ほか
主題歌:♪ベッドタイムストーリー/YUKI 編曲:Jazztronik

ルイ・マル監督、ジャンヌ・モロー主演のあの名作を邦画でリメイクするなんて思い切ったことするなあ
監督も、ヒロイン役の吉瀬美智子さんもそうとうプレッシャーだったろうけど、
かなり頑張ってて、邦画なりの余韻が残り、これはこれでとてもイイ映画だった。

阿部ちゃんは、こうゆうシリアス演技ももちろん素晴らしいのだが、
彼がなにかトラブってると「コメディか」と一瞬思ってしまうのはわたしだけ?w
ここにも守衛役でこっそり笹野さんが出てるのも嬉しい あと、田中哲司さんとか、かなり豪華キャスト。


▼story
手都グループ会長・手都孝光は、戦前戦後からつながりがある暴力団組長・神健太郎と
手都のビルを売る、売らないで意見が分かれていた。
手都孝光の妻・手都芽衣子と、昔、孝光に世話になった忠実な部下・時籐隆彦は不倫関係にあり、
芽衣子は、わたしを愛しているなら夫を殺してほしいと言い、完全犯罪の計画を立て、時籐に実行させる。

タイムリミットは、要人の集まる行事の間、警官がほぼ出払う午後5時からきっかり15分。
しかし、関係者からの電話が入って5分遅れ、ベランダにかけたロープが外れずにまた遅れ、
会社の電源がすべて落とされて、時籐はエレベーターの中に閉じ込められてしまった。

一方、交番勤務の警官・赤城邦衛は、暴力団に拳銃を奪われ、
神健太郎および共にいる情婦・中井朔美が元恋人と分かり後を追う。
赤城の恋人・松本美加代もついてゆき、2人は停めてあった時籐の車を盗んでいく。

時籐が待ち合い場所に来ないため、不安がよぎる芽衣子は、走って行った時籐の車と助手席の美加代を見て動揺する。
こうして、完全犯罪だったはずの計画はゆっくりと確実にズレてゆく・・・


「誰かを愛してしまったら、人はその証を何かの形で残す。
 だから愛が絡んだ完全犯罪なんてこの世にはないんです。
 犯人は必ず証拠を残す」

刑事が柄本明さんじゃ逃げられっこないよね
また埠頭で犯罪発生 だから始終監視カメラかなにか設置しといたほうがいいってば!

日本人に「愛している」なんてセリフはまず似合わないし、無理してフランス映画風の邦画にしなくてもいいんじゃないか、とか、
そもそも誰にもジャンヌ・モローにはなれないし、とか思っていたけど、若干の違和感も気にならなくなるほど、
やっぱり元々のプロットが超一流ミステリーだから、ずいずい引き込まれていく。



ハリウッドに負けない風景は、日本橋あたりぐらいしかないんじゃないかと思って観ていたけど、
ロケは「横浜郵船ビル」だって。昔の建築はデザインもすべて素晴らしいなあ

女の計画は、映画の勧善懲悪の法則に従って失敗したけれども、男の自分への愛はとりあえず確認できた。
だけど、女の最後のセリフには、自分がこれからただただ無駄に老いてゆく虚無感に支配されているのに対して、
男のほうは、自分の弱さについて虚無感を抱いて放心しているっていう、男女の観念の違いを表しているところがフランス映画らしい。


「いや、そんなんじゃない。
 俺はなにもかも自分の意思で決めてきた。
 僕は弱くない。弱くないんだ」


「あの人がいないのにわたしは眠りにつき、そして冷たい檻の中一人で目が覚める。
 ずっとわたしはそれを繰り返す。
 彼はいない、わたしは老いてゆく。
 わたしは老いてゆく。老いてゆく・・・」





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