昭和45年初版 矢川澄子/訳 ドロテア・シュテフラ/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
荒唐無稽だけれども
動物や自然と話す描写は、宮沢賢治作品ではよくあるし
子どもの世界では、フツーのことかもしれない
厳しすぎる叔母のもとで、性格が2局に分かれた少女の心理描写ともとれる
イラストは私の大好きなミヒャエル・ゾーヴァみたいでとっても好みv
【内容抜粋メモ】
登場人物
ベーバ
クリスチャン 兄
おばさん
●第1部 やってはいけないことをやってしまったとすると
“ふた親がいない”ベーバは厳しすぎる叔母のもとで
6歳上の兄クリスチャンといっしょに住んでいる
学校に行く道すがら、どんな突飛な話にも真面目に付き合ってくれるクリスチャン
なぜベーバという名前になったかを説明してくれる
パリで生まれた母が、パリの守り神ゲノベーバからとってつけてくれた
ゲノベーバは雨からパリを守る話を聞いて
大きな傘をさしてくれるのを想像するベーバ
クリスチャンは迷子になった女の子を探していた母親が
足から血が出て、そこからケシの花が咲いた話をする
秋になったら、クリスチャンはパリで勉強するため
ベーバはヘビの抜け殻などの宝物をトランクに入れるが
おばさんは全部、窓から投げ捨ててしまう
クリスチャン:
おばさんは僕たちのお母さんも同然なんだから
言いつけを守らなきゃ
ベーバ:おばさんは私のために足を血だらけにするもんですか!
クリスチャンが行ってしまうと、ベーバは学校に遅刻したりして
おばさんは外出を禁止したり、食事抜きで部屋に閉じこめるが
窓から逃げ出して、隣りの納屋から麦つぶを盗み、ネズミにあげる
ある日、大きな黒ヘビがネズミの子を食おうとしていたのを
天敵のトビの鳴きマネをして救ったお礼に木の根っこをくれる
それはベーバの身代わりになってくれるが
あまり長い間放っておいてはいけないと注意される
●根っこのベーバ
ベーバが抜け出して森を冒険している間
もう1人のベーバは机に向かって静かに勉強している!
ベーバが近づくと消えてしまうが、詩は暗唱できるし、宿題も済んでいる
道なおしのペーターじいさんは、長雨が続くと神経痛がひどくなるとぼやく
パリには良い医者がいるし、守り神のお陰で雨も降らないと教えてあげる
足を持ってもらい、逆立ちをして見せると、市長が通りかかって呆れる
仲良しのネズミのかあさんは、子どもを連れて引っ越すことになり
根っこのベーバをあまり長いこと身代わりにさせないようにと再三注意する
動物が大好きなベーバは、猟師のウサギ小屋に閉じこめられた子ギツネが
あまり泣くので、かんぬきを外して逃がしてあげる
番犬が吠えて、猟師が家に来て、おばさんはベーバに家庭教師をつける
まるぽちゃ女史:あなたを立派な人間に仕立てて差し上げましょうね
クリスチャンの手紙:
お母さんの妹がパラグアイから帰ってきて、パリに住んでいる
お前もぜひパリへ呼びたいと言っている
いっときも待てないベーバは、ペーターじいさんからあるだけお金を借りて
根っこのベーバを身代わりにして、汽車に乗る
同じ二等席にいる男女がいちゃいちゃしているのがガマンできずに
あてこすりを言うと怒って車掌を呼ぶ
●キツネたち
パリがどっちか分からないが、とにかく当てずっぽうに歩いていると
いつか助けたキツネに会い、洞穴に招待してくれる
結婚して、子ギツネもいて、ひと晩泊めてくれる
翌日、パリの動物園から逃げたキツネが案内するが
パリまで歩いて14日もかかるから、百姓の家に泊まるよう言う
●でぶのベルタ
キツネに教えてもらった家の台所を任されているベルタは
クリスチャンが話していた、昔、パリに大砲を撃った“でぶのベルタ”じゃないかと思い
スカートをめくってみるが、足が2本あっただけ
その夜、正体を見破られたベルタに、パリに行きたいと頼むと
試しにパリまでベーバを撃ってくれる
●空をとぶ弾
気づくと、弾に乗って、すごいスピードでパリに向かって飛んでいる!
弾:
おふくろの所に寄りたい
僕たち弾は、人間よりかよっぽど親孝行なんだよ
まっ平な土地に着くと、いろんな弾に囲まれて
みんな並んで転がりながら話す
ビー玉:人間て、ぼくたちとどうやって遊ぶの?
ベーバは地面に穴を掘ると、ビー玉たちは転がりこんで出られなくなる
穴から出してあげて、前掛けのポケットに入れると
弾にバレてしまう
弾:
君たち人間はいつでも、なんでも自分たちのもので
何をとっても構わないと思ってるんだ
穴をすぐ元通りにしなさい!
子どもたちがはまったら、誰が助けてあげる?
弾とベーバはすぐ仲直りして、パリに着くと、弾はすぐ飛び去ってしまう
●おまわりさん
気づくと立ち入り禁止の花壇の中に寝ていて、老人に怒られる
ベーバは花壇をキレイに直して、倒れたチューリップを摘む
パリの街はみんな忙しくて、ベーバはまた眠り、起きると交番
ベーバの話を聞いて、非番のおまわりさんは、クリスチャンのもとへ送る約束をして
ついでにパリで遊ぶことにする
初めてエスカレーターに乗ったり、エッフェル塔にのぼったり
ボートに乗ったり、露店を見たり
ベーバは間違えておまわりさんのビールを飲んで酔っ払い
頭から水を浴びせられてびしょぬれになる
ようやくクリスチャンと再会
お母さんの妹を大好きなガマガエルと同じイザベラと呼ぶ
クリスチャンに根っこのベーバの話をして
これからずっとイザベラのもとでいっしょに暮らすためにも
世界にベーバが2人いてはならないと説得する
クリスチャン:
ベーバが世界に1人しかいないと分からないうちは
お前を信用するわけにいかないもの
根っこは僕たち2人で燃やすことにしよう
●ネズミのいったこと
2人で叔母の家に戻ると、根っこのベーバがとんでもない悪さをしていたと分かる
まるぽちゃ女史は逃げだし、学校でも騒ぎを起こし
おまけにペーターのシャベルを隠して仕事はクビになったが
根っこのベーバは逃げたまま帰ってこない
ベーバはペーターに説明してやっと仲直りする
●第2部 とんでもないめにあうことがままあるものです
いったんパリの家に戻ったベーバのもとに手紙がくる
大きな森に盗賊が住みついて、非道のかぎりをつくしている
いちばん性悪なのはベーバにそっくりな女の子
クリスチャンとベーバが行くと、叔母は周りから子どもを甘やかしたせいだと責めらて泣いている
ベーバは「私は盗賊むすめとは別人です」というポスターを描いて市場に貼る
クリスチャン:盗賊も読んだら、アジトに行っても逃げだした後だろう
根っこのベーバは本物のベーバのバッグも盗む
市長に聞いた盗賊の隠れ家に行ってみると、すでに逃げた後
●市長さん
市長を訪ねると、捜索に使うモーターカーを貸してくれる
目的地にもうすぐの所でモーターカーが壊れて
クリスチャンが修理していると、男が通りかかりベーバを見つめている
洞穴のアジトに行くと、またもぬけのから
さっきの男は仲間の1人だった
ベーバは顔を見られないよう帽子で隠す
男の子は根っこのベーバに子羊をとられたと泣いている
子羊は見つかったが、根っこのベーバはさらに西へ逃げた後
宿に泊まると、イザベラが病気でクリスチャンは看病に帰るから
ベーバは一人でじっとしているようにと注意する
●サーカス
宿の前を散歩していると、サーカスが来ていると分かって大興奮し
高い席の切符を買ってショーを見ていると
根っこのベーバが向かいの席でからかって合図している
それから激しい鬼ごっことなり、教会の塔に追い詰めたと思ったが
鐘のひき綱でおりて逃げられ、ベーバはおまわりさんに捕まる
おまわりさん:どろぼうは決まってオレじゃないっていいやがるのさ
市長がやって来るが、最初の太った市長とは違い、ぺらぺらに瘠せた小男で
町の監獄へ送れと命令し、独房に入れられる
独房の窓枠にとまった点々を盗まれたテントウムシが話しかける
点を外して寝ていたら、毛虫に点を盗まれた!
毛虫から点を取り戻して、テントウムシは飛び去る
テントウムシは幸せをもたらすことを思い出す
クリスチャンが迎えに来て、独房にかあさんネズミがやって来たことを話す
ネズミかあさん:
私たち動物はおしゃべり好きなんです
人間がしょっちゅう面白いことをやるのを見て
お互いに話し合うから、どうしたら根っこ娘を捕まえられるか相談してみます
人間よりニュースが速いことがお分かりになると思いますよ
●動物たち
ベーバは髪を短く切って、クリスチャンの弟に変身する
ツバメ、ガチョウ、クモなどのおしゃべりを聞くが
どうすればいいかは教えてもらえない
ネズミかあさん:あの子をどこか高い所に誘きこまなくちゃなりません
ヤマネの一族は、根っこのベーバが飛行機でアメリカに飛ぶ話をしていたと教える
ベーバは飛行機の小部屋に隠れ、根っこのベーバはそうとは知らず乗客として乗り
空を飛んでいる時に部屋から出て、敵に近づくと、木の根っこに戻る
クリスチャンと原っぱで焚火を準備していると
稲妻が火をつけてくれて、根は燃え、煙となって漂う
ベーバ:二度と私たちにいたずらもできないわよ
ツバメ:
世の中にゃ、あらゆることがあるもんだ
どんなことも起こらないと思ったら大間違いさ!
■訳者あとがき
本書はエリカ・リレッグの代表作
第二次世界大戦後最初の本格的なファンタジーとして評判となった
1955年は、戦後10年目にあたり、ドイツでは、リレッグに続いて
ミヒャエル・エンデ、ジェームズ・クリュス、オトフリート・プロイスラーらが登場した
『ベーバ』に次いで発表した『火の友』で
リレッグは1958年度のドイツ児童図書大賞を受賞
1人の人間の心の中の矛盾が、現実に2つの姿としてあらわれ
相争うというテーマは、ヨーロッパ文学では目新しくないが
物語をいきいきとさせているのは、全編にちりばめられた会話
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
荒唐無稽だけれども
動物や自然と話す描写は、宮沢賢治作品ではよくあるし
子どもの世界では、フツーのことかもしれない
厳しすぎる叔母のもとで、性格が2局に分かれた少女の心理描写ともとれる
イラストは私の大好きなミヒャエル・ゾーヴァみたいでとっても好みv
【内容抜粋メモ】
登場人物
ベーバ
クリスチャン 兄
おばさん
●第1部 やってはいけないことをやってしまったとすると
“ふた親がいない”ベーバは厳しすぎる叔母のもとで
6歳上の兄クリスチャンといっしょに住んでいる
学校に行く道すがら、どんな突飛な話にも真面目に付き合ってくれるクリスチャン
なぜベーバという名前になったかを説明してくれる
パリで生まれた母が、パリの守り神ゲノベーバからとってつけてくれた
ゲノベーバは雨からパリを守る話を聞いて
大きな傘をさしてくれるのを想像するベーバ
クリスチャンは迷子になった女の子を探していた母親が
足から血が出て、そこからケシの花が咲いた話をする
秋になったら、クリスチャンはパリで勉強するため
ベーバはヘビの抜け殻などの宝物をトランクに入れるが
おばさんは全部、窓から投げ捨ててしまう
クリスチャン:
おばさんは僕たちのお母さんも同然なんだから
言いつけを守らなきゃ
ベーバ:おばさんは私のために足を血だらけにするもんですか!
クリスチャンが行ってしまうと、ベーバは学校に遅刻したりして
おばさんは外出を禁止したり、食事抜きで部屋に閉じこめるが
窓から逃げ出して、隣りの納屋から麦つぶを盗み、ネズミにあげる
ある日、大きな黒ヘビがネズミの子を食おうとしていたのを
天敵のトビの鳴きマネをして救ったお礼に木の根っこをくれる
それはベーバの身代わりになってくれるが
あまり長い間放っておいてはいけないと注意される
●根っこのベーバ
ベーバが抜け出して森を冒険している間
もう1人のベーバは机に向かって静かに勉強している!
ベーバが近づくと消えてしまうが、詩は暗唱できるし、宿題も済んでいる
道なおしのペーターじいさんは、長雨が続くと神経痛がひどくなるとぼやく
パリには良い医者がいるし、守り神のお陰で雨も降らないと教えてあげる
足を持ってもらい、逆立ちをして見せると、市長が通りかかって呆れる
仲良しのネズミのかあさんは、子どもを連れて引っ越すことになり
根っこのベーバをあまり長いこと身代わりにさせないようにと再三注意する
動物が大好きなベーバは、猟師のウサギ小屋に閉じこめられた子ギツネが
あまり泣くので、かんぬきを外して逃がしてあげる
番犬が吠えて、猟師が家に来て、おばさんはベーバに家庭教師をつける
まるぽちゃ女史:あなたを立派な人間に仕立てて差し上げましょうね
クリスチャンの手紙:
お母さんの妹がパラグアイから帰ってきて、パリに住んでいる
お前もぜひパリへ呼びたいと言っている
いっときも待てないベーバは、ペーターじいさんからあるだけお金を借りて
根っこのベーバを身代わりにして、汽車に乗る
同じ二等席にいる男女がいちゃいちゃしているのがガマンできずに
あてこすりを言うと怒って車掌を呼ぶ
●キツネたち
パリがどっちか分からないが、とにかく当てずっぽうに歩いていると
いつか助けたキツネに会い、洞穴に招待してくれる
結婚して、子ギツネもいて、ひと晩泊めてくれる
翌日、パリの動物園から逃げたキツネが案内するが
パリまで歩いて14日もかかるから、百姓の家に泊まるよう言う
●でぶのベルタ
キツネに教えてもらった家の台所を任されているベルタは
クリスチャンが話していた、昔、パリに大砲を撃った“でぶのベルタ”じゃないかと思い
スカートをめくってみるが、足が2本あっただけ
その夜、正体を見破られたベルタに、パリに行きたいと頼むと
試しにパリまでベーバを撃ってくれる
●空をとぶ弾
気づくと、弾に乗って、すごいスピードでパリに向かって飛んでいる!
弾:
おふくろの所に寄りたい
僕たち弾は、人間よりかよっぽど親孝行なんだよ
まっ平な土地に着くと、いろんな弾に囲まれて
みんな並んで転がりながら話す
ビー玉:人間て、ぼくたちとどうやって遊ぶの?
ベーバは地面に穴を掘ると、ビー玉たちは転がりこんで出られなくなる
穴から出してあげて、前掛けのポケットに入れると
弾にバレてしまう
弾:
君たち人間はいつでも、なんでも自分たちのもので
何をとっても構わないと思ってるんだ
穴をすぐ元通りにしなさい!
子どもたちがはまったら、誰が助けてあげる?
弾とベーバはすぐ仲直りして、パリに着くと、弾はすぐ飛び去ってしまう
●おまわりさん
気づくと立ち入り禁止の花壇の中に寝ていて、老人に怒られる
ベーバは花壇をキレイに直して、倒れたチューリップを摘む
パリの街はみんな忙しくて、ベーバはまた眠り、起きると交番
ベーバの話を聞いて、非番のおまわりさんは、クリスチャンのもとへ送る約束をして
ついでにパリで遊ぶことにする
初めてエスカレーターに乗ったり、エッフェル塔にのぼったり
ボートに乗ったり、露店を見たり
ベーバは間違えておまわりさんのビールを飲んで酔っ払い
頭から水を浴びせられてびしょぬれになる
ようやくクリスチャンと再会
お母さんの妹を大好きなガマガエルと同じイザベラと呼ぶ
クリスチャンに根っこのベーバの話をして
これからずっとイザベラのもとでいっしょに暮らすためにも
世界にベーバが2人いてはならないと説得する
クリスチャン:
ベーバが世界に1人しかいないと分からないうちは
お前を信用するわけにいかないもの
根っこは僕たち2人で燃やすことにしよう
●ネズミのいったこと
2人で叔母の家に戻ると、根っこのベーバがとんでもない悪さをしていたと分かる
まるぽちゃ女史は逃げだし、学校でも騒ぎを起こし
おまけにペーターのシャベルを隠して仕事はクビになったが
根っこのベーバは逃げたまま帰ってこない
ベーバはペーターに説明してやっと仲直りする
●第2部 とんでもないめにあうことがままあるものです
いったんパリの家に戻ったベーバのもとに手紙がくる
大きな森に盗賊が住みついて、非道のかぎりをつくしている
いちばん性悪なのはベーバにそっくりな女の子
クリスチャンとベーバが行くと、叔母は周りから子どもを甘やかしたせいだと責めらて泣いている
ベーバは「私は盗賊むすめとは別人です」というポスターを描いて市場に貼る
クリスチャン:盗賊も読んだら、アジトに行っても逃げだした後だろう
根っこのベーバは本物のベーバのバッグも盗む
市長に聞いた盗賊の隠れ家に行ってみると、すでに逃げた後
●市長さん
市長を訪ねると、捜索に使うモーターカーを貸してくれる
目的地にもうすぐの所でモーターカーが壊れて
クリスチャンが修理していると、男が通りかかりベーバを見つめている
洞穴のアジトに行くと、またもぬけのから
さっきの男は仲間の1人だった
ベーバは顔を見られないよう帽子で隠す
男の子は根っこのベーバに子羊をとられたと泣いている
子羊は見つかったが、根っこのベーバはさらに西へ逃げた後
宿に泊まると、イザベラが病気でクリスチャンは看病に帰るから
ベーバは一人でじっとしているようにと注意する
●サーカス
宿の前を散歩していると、サーカスが来ていると分かって大興奮し
高い席の切符を買ってショーを見ていると
根っこのベーバが向かいの席でからかって合図している
それから激しい鬼ごっことなり、教会の塔に追い詰めたと思ったが
鐘のひき綱でおりて逃げられ、ベーバはおまわりさんに捕まる
おまわりさん:どろぼうは決まってオレじゃないっていいやがるのさ
市長がやって来るが、最初の太った市長とは違い、ぺらぺらに瘠せた小男で
町の監獄へ送れと命令し、独房に入れられる
独房の窓枠にとまった点々を盗まれたテントウムシが話しかける
点を外して寝ていたら、毛虫に点を盗まれた!
毛虫から点を取り戻して、テントウムシは飛び去る
テントウムシは幸せをもたらすことを思い出す
クリスチャンが迎えに来て、独房にかあさんネズミがやって来たことを話す
ネズミかあさん:
私たち動物はおしゃべり好きなんです
人間がしょっちゅう面白いことをやるのを見て
お互いに話し合うから、どうしたら根っこ娘を捕まえられるか相談してみます
人間よりニュースが速いことがお分かりになると思いますよ
●動物たち
ベーバは髪を短く切って、クリスチャンの弟に変身する
ツバメ、ガチョウ、クモなどのおしゃべりを聞くが
どうすればいいかは教えてもらえない
ネズミかあさん:あの子をどこか高い所に誘きこまなくちゃなりません
ヤマネの一族は、根っこのベーバが飛行機でアメリカに飛ぶ話をしていたと教える
ベーバは飛行機の小部屋に隠れ、根っこのベーバはそうとは知らず乗客として乗り
空を飛んでいる時に部屋から出て、敵に近づくと、木の根っこに戻る
クリスチャンと原っぱで焚火を準備していると
稲妻が火をつけてくれて、根は燃え、煙となって漂う
ベーバ:二度と私たちにいたずらもできないわよ
ツバメ:
世の中にゃ、あらゆることがあるもんだ
どんなことも起こらないと思ったら大間違いさ!
■訳者あとがき
本書はエリカ・リレッグの代表作
第二次世界大戦後最初の本格的なファンタジーとして評判となった
1955年は、戦後10年目にあたり、ドイツでは、リレッグに続いて
ミヒャエル・エンデ、ジェームズ・クリュス、オトフリート・プロイスラーらが登場した
『ベーバ』に次いで発表した『火の友』で
リレッグは1958年度のドイツ児童図書大賞を受賞
1人の人間の心の中の矛盾が、現実に2つの姿としてあらわれ
相争うというテーマは、ヨーロッパ文学では目新しくないが
物語をいきいきとさせているのは、全編にちりばめられた会話