太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ブラトップは足から

2019-05-27 17:40:08 | 日記
職場のユニフォームは、ハワイアンプリントのノースリーブだ。
職場は自然の中にあり、エアコンはないので夏は暑い。
汗をかくので、ユニフォームの下にキャミソールを着る。
以前は、ブラとキャミソールをつけていたが、
ここ2年ほどは、もっぱらユニクロのブラトップだ。
ガラガラと洗濯機で洗って、そのまま乾燥機に放り込める。
ブラは締め付けられる感じがあるし、乾燥機には入れられない。

このブラトップ。
最近わかったことは、着る時は足から穿くといい。
シャツのように上から着ようとすると、
カップの部分がべらべらとするわ、肩紐がこんがらがるわ、
やっと正しい位置に腕を入れて着たと思えば、
めくれたカップを戻したりしなければならない。
足から穿くと、間違いなく正しい位置に体が入り、カップは自然に
正しい場所に落ち着く。
今では、仕事以外の時にもブラトップばかりで
本物のブラは滅多に使わなくなった。
これは私がささやかな胸の持ち主だからできることで、
メロンを二つ胸に抱えているような同僚達を見て、
あれじゃブラトップじゃ支えきれないだろうと思う。

そういえば昔、ブラスリップというものがあった。
私が子供の頃は、中学生になってもブラをつける子は少なかった。
今の子供と違って、発育が遅かったのだろうと思う。
私もゴボウのように細い子供で、ブラなど到底必要ではなかったが、
ブラへの憧れはあって
ブラの細い肩紐が、体操着を透かして見える上級生がまぶしかった。
ブラはまさしく大人の女の象徴であり、
早くブラを着けるようになりたい、と強く思っていた。
そんな時、姉がブラスリップを着るようになった。
名前の通り、ブラとスリップが合体したもので、
ブラの部分は木綿だったような覚えがある。
姉がいないときに、こっそりブラスリップを着てみたが、
のっぺらな胸の部分がスカスカだった。

今でもブラスリップはあるのだろうか。
誰かの洋服から透ける肩紐を見ると、肩紐に憧れた自分を思い出すのである。






庭仕事

2019-05-27 11:59:09 | ハワイの自然
休日の午後、夫と二人で庭仕事をした。
普段は、義両親が庭を手入れしてくれているのだが、
義両親は今、バケーションで1ヶ月ほど留守をしているのだ。
庭木に水をやるのと、石垣塀の草取りで、
15分もやれば終わるだろうと思ったのに、始めてみたら1時間以上たっぷりかかってしまった。
月に2回、庭の手入れをしてくれる人達が来てくれるのだけれど
植物はどんどん育って、庭に出てみたら、ここ数日であらゆるところから
竹が伸びていて、放っておくと竹林になりかねないので
それも刈り取るはめになった。

石垣塀に伸び放題の草や茎を全部刈り取る。
5分もたっていないのに、汗だくになる。
虫除けスプレーが行き渡っていない部分を蚊にくわれる。
タンジェリンの木

ライムの木

夫は、毎日仕事で植物を育てているので
驚くほど手際がよい。
チーズケーキ(オス)
庭仕事をしている間、猫たちを庭に放す。
彼らはウサギのように跳ね回って、ジャングルの入り口まで探検にゆく。
左側の坂になった一帯に竹が伸び放題になっていた。
義父が出かける前に植えていった、インゲン豆。
半月もしたら食べきれないほどのまめが採れる。
キッチンの窓の外にある多肉植物は、シュートメが大事にしているもの。
枯らせたら大変だ。
たくさんのアンスリュームは、こんな半日陰が大好きで、
つやっつやの花を咲かせている。
バナナ群があるところ。
この下のほうには、1度も行ったことがない。
何年か前、夫はこの奥で妖精を見た。

1時間後、汗まみれでへとへとになった。
重労働のわりに、成果があまりわからないのが庭仕事のガッカリなところ。
義両親は、ほぼ毎日のように庭で何かの作業をしているが、
こんなに大変だとは思わなかった。
ひろびろとした庭があるのは目に楽しいけれど、
美しく保つのは楽じゃない。
毎日、パパイヤの実のチェックもしなくてはならないし、
バナナの実も大きくなってきた。
インゲン豆も、ライムも、アボカドも、ハーブ類も目を離せない。
あと3週間以上、休日のたびに庭仕事が待っている。




アフター5

2019-05-26 13:51:35 | 日記
奥田英朗氏の本を読んでいたら、小説の舞台は全部オフィスで、
日本の会社勤め時代を懐かしく思い出した。
テレビ局にいたときは、独身の実家通いで、時はバブル。
仕事のあとは焼き鳥屋、串カツ屋、誰かがみつけてきた新しい店に行き、
そのまま同僚の母親がやっているBARに流れることが多かった。
歓迎会や送別会、忘年会や新年会、
なんのかんの理由をつけては、夜の街に繰り出していたように思う。

父の会社に入ってからは、会社がある場所が田舎だったこともあり
以前ほどには出歩かなくなったけれど、社員で積み立てをして、
溜まるとみんなで飲みに行っていたし、歓送迎会は必ずあった。

そういうアフター5は、日本では当たり前の風習だったけれど
日本の外ではそうでもないようで、
特に歓送迎会や、職場単位の飲み会などは日本独特のものかもしれない。

日本に住んでいた時、義兄が日本に出張にきたついでに我が家に来たことがある。
私達は義兄を港の近くの寿司屋に連れていった。
通されたお座敷に座っていると、いかにも仕事帰りの一団が隣のテーブルにいた。
年齢もさまざまな男女が、ぎこちない笑顔で座っているのを見た義兄が
「あれはいったいどういう集まりなんだと思う?」
と聞いたので、
「送別会か、上司に誘われて飲みに来たんじゃないの」
「仕事のあとに?」
「日本じゃ普通だよ。行きたくなくても行かなきゃいけない雰囲気あり」
「それじゃあ仕事みたいなもんじゃない」
義兄はシアトルの商社でばりばりのビジネスマン。
歓迎会のようなものをやるとしたら、オフィスの1室でケータリングなどを頼んで立食式にやるそうだ。
アメリカじゃ、仕事が終われば個人の時間。
アフター5に拘束するようなことはない、という。
仕事仲間で飲みに行くなんてこともないし、ましてや断れない上司の誘いとは無縁の世界だ。

私はハワイでかれこれ7年あまり働いているけれど、
職場の仲間とアフター5に顔を合わせるのはクリスマスパーティだけだ。
日本の企業に勤めている友人は、歓迎会や送別会を外の店でやるというから、
これはやっぱり日本独特のものなのだと思う。


とんと、夜の街に出なくなった。
もっとも私が住む地域は田舎で、出歩くような場所もないけども。
ときどき、ブルーノートでコンサートを聴いたあと、夜のワイキキを数分歩く。
8時過ぎだというのに、昼間のように明るく、
たくさんの車が行きかい、人でごった返している。
早くこの場を去りたくて、駐車場までの数分を早足で歩く。
うちの方じゃ、8時を過ぎればもう夜中みたいなものだ。
朝が早いし、夜は人と会うより、家でのんびりしているほうがいい。
田舎暮らしと、職場単位のしがらみが一切ない個人主義の社会は、
今の私に心地よい。

 






「ガール」

2019-05-24 19:21:27 | 本とか
作家・奥田英朗氏は、女性なのではないかと思った。
ネットで探してお顔を拝見してみた。
なかなか味のある、穏やかそうなお顔の奥田氏を眺め、それでもなお、
いやこれはかりそめの姿で、本当は女なのではなかろうかと、まだ思っている。
そうでなければ、どうしてここまで女の気持ちがわかるのか。

『ガール』には5つの短編が入っている。
どの物語も、三十代の女性が主人公だ。
四大卒で入社して14年目の大手不動産会社で、異例の抜擢を受けて課長になった武田聖子。
三期先輩の男が部下になり、女の上司を認めたくない男との間の葛藤に悩むが
胸のすくような最後に、読者のほうが溜飲をさげる。

同期の独身の女友達がマンションを買ったことで、自分もマンション探しをする34歳の石原ゆかり。
38歳のシングルマザーである平井孝子、
一回り年下のイケメンの指導係になった34歳の小阪容子。
表題作「ガール」に出てくる、32歳独身の主人公、由紀子は
もうガールではいられなくなったことを日々感じつつも
歳相応になるのも嫌で、宙ぶらりんのところにいる。
それに比べ、6歳年上の先輩社員、通称オミツは、思い切りガールのままで
自分が大好き、オミツは周囲を圧倒させながら、なぜか愛されている。
このオミツのキャラクターが、とてもいい。

それぞれが向き合う、さまざまな感情、葛藤、よろこび、落胆、
そのどれもが、まさに手にとるように伝わってきて、心が震える。

 

最後に、一回り年下のイケメンの指導係になった容子の、
イケメンの気を惹こうとする同性たちに対する観察眼が、なかなかおもしろい。
少しだけ抜粋する。
イケメンに近づくのが菜穂子。

菜穂子は黒髪を後ろで束ね、化粧は薄めだった。一見すると清楚な感じで
消費者金融のCMに出てきそうな顔立ちだ。男がいうところの「守ってあげたい」タイプというやつだ。
ただ同性にはわかる。
この手の女は結構計算している。カマトト風の裏にある本性はわかったものではない。
(中略)
きっと菜穂子はすぐにメールしてくる。『さっきはいきなり失礼しました。
これからもよろしくお願いします』などという文面だ。
最後に絵文字が入っている。そうに決まっている。
(中略)
美樹は家庭的な女作戦で、「クッキー焼いたんですぅ」と課のみんなに
配ったりする。容子はクッキーをつまみながら、
「炊事は親任せでもお菓子は作るんだね」とつい意地悪を言ってしまった。

ここには、正直で見得っぱりで、頑張りやでかわいくて、ちょっと意地悪な「ガール」たちがいる。
女ってかわいいなと思う。
女に生まれてよかったと、思う。

この本はぜひ、三十代のガールよりむしろ、四十代、五十代の元・ガール達に
読んでほしい。


そういえば、
奥田英朗氏の、「マドンナ」という本は、オジサンの短編が詰まっている。
これはこれで、オジサンたちの心模様がいじらしく、特に表題作「マドンナ」など
恋するオジサンに、なぜか自分が重なって、一緒にどきどきしてしまう。


たかがワード地区でおのぼりさん

2019-05-21 18:52:22 | 日記
ホノルル美術館で、浮世絵の特別展をやっているので見に行った。
知らずに行ったら、その日はファミリーデーで、
入場料が無料の日だった。なんてラッキー。

ホノルル美術館は、たたずまいが素敵だ。
趣のある中庭がいくつもある。
サンドペーパーフラワー、と呼んでいる、紫の花が咲く木。
以前、うちの庭にもあったのだけれど、切り倒してしまった。
こうやって軒下に這わせるというやりかたもいいかも。
香りはしないけれど、藤の花のような紫色の花がとてもきれい。

北斎の浅草
カラフルな浮世絵もきれいだけど、
こういう藍色の浮世絵もすてきだ。
浮世絵の構図は独特で、何度みても興味深い。

街に出たついでに、ちょっと買い物。

ワード地区は、かつてのどかなショッピング地域だった。
以前は公園だったり、広々とした駐車場だったところに、
雨後のタケノコのように高級コンドミニアムができ、
すっかり変わってしまった。
上を見上げながらキョロキョロして歩く私達は、まるきりおのぼりさんだ。

このコンドミニアムの真ん中の部分に、プールが突き出している。
この角度から見るとわかるかな。
プールの床が透明ガラスになっていて、下からは泳いでいる人が見え、
泳ぐ人はまるで宙を泳いでいるような感じなのだろう。
東京タワーの展望台の、床が一部ガラスになったところに立つのもこわごわ、
スカイツリーなど、その上にも立てなかった私には、
とてもじゃないがこんなプールには入れない。


WHOLE FOODSでルバーブがあるか見てきて、とシュートメに言われたので
新しいビルにできたWHOLE FOODSに初めて行った。
が。
あまりに広くて、あまりに人が多すぎる。
カハラモールの中の店も、いつも混んでいて、あまり好きではないけれど
ここはカハラの比ではない。
買ったものを食べるテーブルも、人がわさわさ通る通路にあって
落ち着かない。
日本からの旅行者もとても多い。
せっかく来たから、店内を見て歩こうと思っていたのだったが、
人に酔ってしまい、店員にルバーブはあるかどうかを聞いて、
ないと知るとサッサと店を後にした。
普段行くカイルアのWHOLE FOODSのほうが遥かにのんびりしていて
私には合っている。

そびえたつ高層コンドミニアムはどれも凝ったデザインで、
壁面がカーブしていたり、上に行くに従って斜めになっていく、逆台形だったり。
逆台形の上の方の階に住むのは、不安定な感じで落ち着かないんじゃないかしら。
まあどうせ億単位ばかりで、まったく関係ないんだけども。
高くても2階建ての、いろんなお店がちょこまかと入っていた、
昔のワード地区がしみじみと懐かしい。
どうかもう開発しないで、地元民に田舎っぽい場所を残してほしい、と
願うばかりである。