夫が仕事を辞めるとき、私はその理由を改めて聞いたことはない。
ハワイに戻ってきて最初の仕事は、最初からストレスが多かったことはわかっていて
よく2年近くも続いたと思う。ここでウツがドカンと出てきた。
次の仕事は半官半民の、わりといい仕事だったけれど、パートタイムのポジションしかあいていなかった。
いつフルタイムになれるかわからず、1年以上続けたところで次の仕事が決まった。
そこは仕事内容も待遇も破格によかった。
ああもうこれで安泰だと思った。
ちょうど私達の家を建て増しした時で、ハワイに戻って3年、やっと定住したという気持ちだった。
1年半ちょっとは元気に行っていたが、だんだん怪しくなってきた。
こんな良い仕事を辞めませんように、という私の願いもむなしく、2年余続けて夫はその会社を辞めた。
そこまでが、夫の専門分野のオフィスワークの仕事で
その次がアイスクリームファクトリーで1年半、1日14時間働くレンタカーオフィスで半月、プラントナーサリーに至る。
既に辞めてしまったものを、辞めた理由を聞いたところでどうしようもない。
もしも聞いて、その内容によって私がストレスを抱えるのは嫌なのだ。
私と夫は違う人間で、なにがどれだけ嫌なのかという基準はまったく違う。
「そんなことぐらい、なんで我慢できないの」と思うのも嫌だし、
そう思うことで夫を見下すような気分になるのは、もっと嫌だ。
だから、理由なんかどうだっていい。大事なのはこれからどうするかだ。
ところが昨日、なにかの話の弾みで、聞いてもないのに夫がレンタカーオフィスを辞めた理由を話した。
そこは安くて人気があるレンタカーなのだが、カスタマーサービスがひどい。
安いから、貸す車の状態もそれなりで、車を見た客が他の車に変えてほしいということがある。
夫は客の希望に沿うよう、走り回って車を手配したり、窓口でいろんな相談に乗ったりするのだが
そこで上司がやってきて
「この車が嫌なら返金するからどこかよそに行ってくれ、話はそれだけ、はい次!」
客が怒ろうがお構いなし。
そして夫には、客が何を言おうが適当に聞き流しとけ、サービスより金だ、と言う。
「だから給料はいいけど、ぼくはとてもそういうところにはいられないと思ったんだよ」
そういうことだったか。
私もそういうところでは働きたくないかも。
おとといから、夫はプラントナーサリーに行き始めた。
初日は1日で日に焼けて帰ってきた。
「どうだった?」
「楽しかった、みんないい人ばかりだし」
「妖精、いた?」
「まだ見てない」
今日になって夫は、
この仕事は日本で英語を教えていたのと同じぐらい好きだ
と言った。
夫にとって日本で暮らした5年間は夢のように楽しい時間で、
ふるさとであるハワイに来ても3年ほどは、日本に戻りたいと言っていた。
長く続きますようにと願うのはもうやめる。
夫が健康で楽しい気分でいますように。
私は自分がそうありたいと思うように、結局私が夫に願うのもそこなのだ。
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ハワイに戻ってきて最初の仕事は、最初からストレスが多かったことはわかっていて
よく2年近くも続いたと思う。ここでウツがドカンと出てきた。
次の仕事は半官半民の、わりといい仕事だったけれど、パートタイムのポジションしかあいていなかった。
いつフルタイムになれるかわからず、1年以上続けたところで次の仕事が決まった。
そこは仕事内容も待遇も破格によかった。
ああもうこれで安泰だと思った。
ちょうど私達の家を建て増しした時で、ハワイに戻って3年、やっと定住したという気持ちだった。
1年半ちょっとは元気に行っていたが、だんだん怪しくなってきた。
こんな良い仕事を辞めませんように、という私の願いもむなしく、2年余続けて夫はその会社を辞めた。
そこまでが、夫の専門分野のオフィスワークの仕事で
その次がアイスクリームファクトリーで1年半、1日14時間働くレンタカーオフィスで半月、プラントナーサリーに至る。
既に辞めてしまったものを、辞めた理由を聞いたところでどうしようもない。
もしも聞いて、その内容によって私がストレスを抱えるのは嫌なのだ。
私と夫は違う人間で、なにがどれだけ嫌なのかという基準はまったく違う。
「そんなことぐらい、なんで我慢できないの」と思うのも嫌だし、
そう思うことで夫を見下すような気分になるのは、もっと嫌だ。
だから、理由なんかどうだっていい。大事なのはこれからどうするかだ。
ところが昨日、なにかの話の弾みで、聞いてもないのに夫がレンタカーオフィスを辞めた理由を話した。
そこは安くて人気があるレンタカーなのだが、カスタマーサービスがひどい。
安いから、貸す車の状態もそれなりで、車を見た客が他の車に変えてほしいということがある。
夫は客の希望に沿うよう、走り回って車を手配したり、窓口でいろんな相談に乗ったりするのだが
そこで上司がやってきて
「この車が嫌なら返金するからどこかよそに行ってくれ、話はそれだけ、はい次!」
客が怒ろうがお構いなし。
そして夫には、客が何を言おうが適当に聞き流しとけ、サービスより金だ、と言う。
「だから給料はいいけど、ぼくはとてもそういうところにはいられないと思ったんだよ」
そういうことだったか。
私もそういうところでは働きたくないかも。
おとといから、夫はプラントナーサリーに行き始めた。
初日は1日で日に焼けて帰ってきた。
「どうだった?」
「楽しかった、みんないい人ばかりだし」
「妖精、いた?」
「まだ見てない」
今日になって夫は、
この仕事は日本で英語を教えていたのと同じぐらい好きだ
と言った。
夫にとって日本で暮らした5年間は夢のように楽しい時間で、
ふるさとであるハワイに来ても3年ほどは、日本に戻りたいと言っていた。
長く続きますようにと願うのはもうやめる。
夫が健康で楽しい気分でいますように。
私は自分がそうありたいと思うように、結局私が夫に願うのもそこなのだ。
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