むらくも

四国の山歩き

東之川~瓶ヶ森ヒュッテ~西之川周回…愛媛県

2013-06-28 | 石鎚山脈

瓶ヶ森ヒュッテ、瓶壷(山頂を踏まない山旅記)



山行日       2013年6月25日
標高        おおよそ1730m、1660m
登山口       西条市東之川
下山口          西之川名古瀬
駐車場       なし(広い路肩)
トイレ       なし
水場        瓶壷、十郎アレ(常住下)
メンバー      坊主さんとむらくも




石堂山の尾根歩きであのグロテスクなマダニに食いつかれて以来、ダニ・アレルギーになってしまった。
このジトッとしたクソ暑い時期は、ヤブ歩きはしばらく控えよう。
西之川から登って御塔石を眺めながら石鎚山へ登ろう。
古いが立派な登山道がある。
ここなら草むらへ入らない限りはダニは大丈夫。
ロングコースだが、しんどいようであれば、夜明峠までにして、八丁から周回下山、それでもしんどいようならロープウェイを利用すれば楽勝だ。
そう思って、二日前から準備をし、当日になればチャチャッと出かけるだけにしていた。

そんなところに坊主さんからメールが着いた。
わたしったら読まずにゴミ箱へ捨てた
仕方がないのでメールを書いた
さっきのメールのご用事なあに♪

なんのこっちゃ?

東之川から登って瓶ヶ森へ行き、西之川へ下ろうというお誘いだった。
西之川ルートはまだ歩いたことがない。
初体験だ、そういうのに弱い。
浮気心の虫が眼を覚ました。
目の前を綺麗なねーちゃんが、ツンと澄ました顔で歩かれると、たちまちに心が動いてしまう。
オヤジ譲りの生まれ持った病気だ。
二度とするまいと誓っても、ねーちゃんのあの誘惑の目にはまったく通用しない。
わたしはこれで仕事を辞めた。
嘘のような本当のような、小指を立てて、こんなコマーシャル昔にあったよな。
わたしは行く気満々でそわそわしてた石鎚山をこれで止めた。



と言うわけで、梅雨空のどんよりした早朝に、ヤブ山スタイルの色気もへったくれもない坊主さんと待ち合わせをして、自宅を出発。
なんの因果で坊主とこうなるのか、前世から手繰ってみないと分からない。

西条市のとあるコンビニでぬくぬくおにぎり弁当を買った。
早朝に買うといっつもあったかい。
爆弾おにぎりもあるでよ。
ヨーグルトも買った、腸に優しいビフィズス菌入り、ピロリ菌に勝て!
カルシウムたっぷり、骨粗鬆症にも勝つ!

加茂川を遡って、石鎚登山ロープウェイ山麓下谷駅という長ったらしい石鎚登山駅を通り過ぎて、石鎚西之川登山口の三叉路を右に入る。
くねくねと走り、やがて前日の雨でぬかるんだダート道に入る。
前方から古びた大きなダンプカーがやってきた。
交わすところがない。
ダンプには大きな岩をゴロゴロ積んでた。

バックバック、バックオーライ。
どっちが、もち、わたしたちが。
ウンちゃんが窓から首を突きだして、意外とキリッとした男だった。
「この先行き止まりじゃで~」
「瓶が森へ登るんじゃて、通しておくんなまし」
「そっかそっか、わしゃ、東之川で住んどった人間じゃ、ここをこう行って、あ~行って、ここに車を止めて上がるといい」
猿には見えんかったので信用したが、聞き手側は人間かにわとりか分からない、ノンコがいまひとつ薄くて理解できないまま引っ返す。
しばらくダンプの後ろについて走ってると、ウンちゃんが、堪りかねてダンプを止め、降りてきて、おみゃーたち馬鹿か、とは言わなかったが、あー行って、こー行って、ここだよ。
親切な方でした。

8:20、西之川瓶ヶ森下登山口(林道沿いに上と下と登山口が二つある、このときは知らなかったのだが)傍の教えてもらった貯水場傍に車を止めて、大きな水たまりに浸りながら自転車で元来た道を引き返す。

平組の小学校跡地の柱に自転車を括りつけて、8:41、東之川登山口へ向けてスタート。




通行止めの看板を横目に入っていくと、すぐに道が寸断されていた。
左下は復旧工事のためのダート道が出来、その先で人といくつかの重機が動いている。
アスファルトの道を進むと、おとろしげな大岩が前方に立ちふさがり、道は崩れている。
昨年の9月のゲリラ豪雨のときに崩れ、当時の姿のまま残っている。
あきまへん、とっとと引き返す。




復旧工事は道の上に被さった大岩を取り除くことを諦めている様子。
新しく迂回路を造成していた。
崩落したところを見ると、なるほど、100mに及んで崩れた崖は、修復しても再び崩落を繰り返すだろうと思った。

橋脚らしいものが造成されているそのすぐ横の道を歩いて、右に曲がるようにして奥へと進むと、林道へと繋ぐ応急的踏み跡があった。




トラロープを張ってあり、すぐに林道と合流する。




林道から後ろを振り返ってみると、崩落した崖の上部が見えていた。
普段はしっかりして落ち着いている山の斜面だが、ひとたび豪雨に曝されるといとも簡単に斜面が爪で引っ掻いたように剥ぎ取られる。
あなおとろしや。

当時、崩落上部の集落に住んでた方は一時的に避難されているのだろうか、アスファルトの小さなひび割れからは雑草がちょこちょこ生え、畑地も雑草が繁っている。
当時、一世帯だけ住んでた集落だったが、親切な方で、あれやこれや山の状態や駐車場所を教えてくれたりしたことを思い出す。

9:11、その集落のすぐ下にある小さな橋を渡って、山道に入っていく。
橋の山側入口にはイノシシやシカが人家に入り込めないように小さな鉄の門扉で閉じられていた。
塩ビの針金で括っただけのものなので、簡単に開け閉めができる。




整備の行き届いた植林地を縫うように登山道は続いているが、最近草刈りが行われたのか、刈られた下草がまだ青かった。
青い甲羅のサワガニが健気にもハサミを振りかざして威嚇する。
山の神じゃ敬えよ!




やがて伐採地になり、そこからは東向かいの李ノ高や高森、菖蒲峠が見え、蔭地の林道も一本の線のように山陰を瓶ヶ森方向に伸びている。
早朝は一面ガスだったが、この時刻には山頂辺りを被っている程度に退いた。

まだ木の匂いがするような真新しい小さな橋。
この後もいくつも掛け替えられていた。
遠くでカッコーの鳴く声を耳にしながらゆっくりと歩く。




10:56、東之川新道の分岐に着いたが、この新道はいまは廃道になっていて崩壊ヶ所もあり歩くことができない。
道標の指す方向の尾根筋を確かめたが、踏み跡は消えているようだ。
ここから瓶ヶ森まではまだ3kmあって、エアリアマップでは2時間20分と記載されている。
西之川からここまですでに2時間15分経過しているので、ほぼエアリアマップのタイムと同じペース。

東之川からの登山者が結構多いのか、道はかなり整備されている。




やがて植林帯を抜け、自然林に入ったが、ここから急斜面が続き息が切れ出す。
ヒーッ!足が上がらず何度も立ち止まり、坊主さんに先に行ってもらう。
その都度時計を確認した。
お昼ご飯はまだかっ!




12:09、やっとこさ台ヶ森の鞍部に到着。
右100m先は山頂だが、坊主さんは行かないと言う。
なんでなんもないサンチョーにわざわざ行かないかんのや。
そこまで言う。
仕舞いにサンチョだのポンチョだのと言って、人を小パカにするあるよ。
わたしゃも行くの止めた。
めしやめしっ!ハラへったが。

辺りはカジカとエゾハルゼミ(たぶん)の大合唱。
うるへ~っ!

休憩はたっぷり取った。
むすびも食った。
12:45、再び腰を上げる。




上がらんかった足が調子よく上がりだした。
日本人はやっぱ米や、ごはんをターンと食わなあかん。
お陰で銅長やけどな、アハハ

たっぷりと降った雨で小さな沢も水がターンと流れとるわい。




下界は雲海だ。




氷見二千石原に到着。
登山道足下には白、黄色入り混じってニガナの花。




雌山、雄山はガスの中。
たっぷりメシのお陰で、山頂に行く元気はあったが、坊主さんは行く気がないのでわたしも声を掛けないことにした。
声を掛けるとまたまたサンチョだのポンチョだのと言い出すに決まってる。
わけわからんわ。
まあ、登ってもなんも見えんし、わたしもサンチョに拘りはないほうだし。
ただ、オオヤマレンゲが咲いてるかどうかが少し気になった。

白石小屋。




サンチョへ行かないとなったら、あとは下るのみ、こりゃ楽ちん。

澄んだ水を湛える瓶壷を眺めて、笹原から林の中へ。
おや、シカの鳴き声、石鎚山系にも居るとは聞いていたが、間違いなく居ますね。




緑一色ですよ。
ここはお花畑かな?
オヨヨ、小さな道標が向きは合ってるがサカサマだ。




苔蒸した岩場が次々と現れる。
イワタバコの葉などがびっしりと着いてるものも。




秋はどうなんでしょうね。
いい感じですよ。




渓の景色にうっとり。
ときおり、小鳥の綺麗な鳴き声が聞こえてくる。
語りかけるような鳴き方をする。




足下でカエルがピョン。
14:59、鳥越に到着。
変な形の岩ですね。




別の方向から…鳥に見立ててるのかな?
見えなくもない。




深い谷にはどなたが作ったのかケルンがあちこちに。




大きな岩がオロンゴロン。
やがて人工の石垣が現れた。
長さおおよそ15mほど、ここには昔、住居があったのだろうか、畑やもしくは炭焼き窯などではないような気がしたが、よくは分からない。




東之川と同様に、この道も綺麗に整備されている。
登りに差し掛かった。
ここで初めて地図で位置を確認する。
南側の渓谷はシロジ谷、かすかに沢水の流れる音が聞こえているような、気のせいかもしれない。
上から手を振るオヤジ。




これまでの道中でポツンと一つだけあったお地蔵さん。
三月という字だけが読めたが、あとは不明。

 


15:48、常住に到着。
成就ではない。
何か繋がりでもあるのだろうか、それとも、他に意味がこめられているのだろうか、気になるが分からないものは分からない。

雨が降り出し、雨具を着用。
ここからは十郎アレと呼ばれているらしい。




16:40、林道に飛び出した。
朝見た登山口とは違う。
どういうこと???
坊主さんも頭の中はクエスチョンだらけ。
とりあえず林道を下ることにした。




やがて見覚えのある登山口に着いた。
どうやら登山道をあとから造成した林道がぶった切ったために、上と下とに別れたものらしかった。




16:59、駐車地点に辿り着き、雨具を脱いで、濡れたシャツも着替え、車に乗り込む。
よく整備された古の道、自然がいっぱいで、特に瓶壷から下った釜床谷、そして常住手前までの谷筋は素晴らしいの一言でした。
体力があればの話ですが、秋に紅葉を見にもう一度行きたい気持でいっぱいでした。
思いを抱くだけなら、いくらでも出来ますっていうことで、今回の山歩きはチャンチャン。
いつかまたの日に。

珍しい花、ショウキラン。




西之川下登山口8:20-<自転車>-小学校跡地8:41-東之川登山口9:11-12:09台ヶ森鞍部12:45-白石小屋13:49-瓶壷13:56-鳥越岩14:59-常住15:48-西之川上登山口16:40-16:59西之川下登山口


※地図上左クリック→グーグルマップへ移動

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風呂塔~石堂山周回…徳島県

2013-06-11 | 祖谷山系

風呂塔、火打山、白滝山、石堂山    ふろんとう、ひうちやま、しらたきやま、いしどうやま



山行日                2013年6月8日
標高                 1401.5m、1424.5m、1526m、1636m
取りつき地点             東祖谷落合ながお橋林道奥
下山地点               ながお橋より南へおおよそ1kmの県道44号線沿い
駐車場                なし
トイレ                なし
水場                 火打山より南、1378mP間の鞍部から15分西に下ったところ
                   (道標有り)
メンバー               つむじかぜさん、佐々連さん、坊主さん、むらくも




昨年に行った鹿島槍のメンバー4人がそろって風呂塔~石堂山を周回することになった。
先日、佐々連さんと二人だけで歩いた兵庫山~野地峰の大失態があって、一斉に山仲間から惚けにされ、総スカン喰らわされた。
いつもなら、どんまいどんまいで済ますのだが、今回は通用しない。
当然に励ましなど一つもない。
当たり前か。

ザックの中味や持ち物の総点検をした。
ヘッドランプ、ツェルト、ガスバーナー、医薬品、靴紐、細引きロープ、カッパ、エマ・シート、飲み水、食糧、ラジオ、笛、GPS、皮手袋、防虫ネット、ライター、時計、殺虫スプレー、タオル、ペーパーなどなど。
コンパスは首にかけられるように、地図も首掛けと思ったがそれようの地図入れを買ってなかったのでポケットに。

これであとシュラフとマットを用意したらテント泊が出来てしまう。
ビバーク完璧、準備万端いつでもOKよ。
(とか言いながら、いざそのときになったら、ビビッてしまう癖に…心の声)

事前に坊主さんから、祖谷山系のクマ情報がメールで届いた。
何年か前に風呂塔キャンプ場にクマが現れて、キャンプ場の施設などがワヤクソにされたとか…。
ウソッ!
祖谷山系にクマ出没と言う話は聞いたことない。
アナグマかハクビシンの間違いじゃないの?
猿も悪戯するよな。

坊主さんの言うことには、クマは1日50kmは移動するから、居てもおかしくないという。
う~ん、剱さんから牛の背にかけて棲息してるので、そこから50kmといえば、余ってお釣りが来るわ。
なんだかポッチャン便所みたいな話やな。



頼りないわたしと佐々連さん(済まん佐々連さん、話の成り行きからそうなってしまった)二人に任せられんというわけで、つむじかぜさんと坊主さんが仕方なくご一緒してくれることとなった。

周回ルートはながお橋林道奥から取りついて、風呂塔から派生する南尾根を登り、下りは石堂山北から左に弧を描くように派生する尾根を歩く。
上り下り両尾根ともに踏み跡はないものと思われた。
問題はヤブがどの程度か、当たって砕けろだ。
エスケープルートは火打山と1378mPの鞍部から下る破線の道があって、しばらくで林道に出合い、出発点のながお橋へ容易に辿り着ける。

午前5:30自宅出発-6:00道の駅たからだの里さいたで佐々連さんと待ち合わせ-6:30東みよし町役場でつむじかぜさんと坊主さん待ち合わせ~桟敷峠を越えて7:10県道44号線のながお橋への入口付近。

前日は31°の猛暑日だったが、今日の空は全体に薄く雲が蔽っていて、涼しい。
うっすらと青空もところどころに覗いているが、熱中症の心配はなさそうだ。

県道44号線の車が3台ほど駐車できそうな路肩に車を止め、7:19準備を済ませて出発。
県道から左への道を下りて、ピチピチと滑らかに流れる透明な川に架かるながお橋を渡る。
梅雨とは思えない爽やかな空気が辺りを包んでいた。

橋を渡って歩く林道はしばらくは山側に岩の崖が続く。
つむじかぜさんがここから登れるな、と言うが止めておこう、ショッテッパナで崖からおっこちて、骨折でもしたら大変だ。
年寄りは骨がモロくかすかすだわ。

やがて崖も途絶え、適当な位置から山手へ取りつく。
斜面はやや急登だが、伐採跡で、桧の若い木があとに植林されていて、比較的登りやすい。
忽ち汗が吹き出した身体を休めるために、足を止め、後ろを振り返る。
昨年、松尾川ダムから登った烏帽子山への稜線とその山肌に林道が走っているのが見えた。




奥に霞んで聳える山は石堂山だろうか、矢筈山は後ろに隠れている。
あらたに植林した斜面には無数の獣道が刻まれていて、ところどころに茅が敷き詰められたイノシシのベッドがある。
先ほどまでいたと思われる足跡と、ところどころで獣の匂いがプンと鼻を突いてくる。




尾根の肩に乗った。
座り込んで一息入れながら、石堂山を眺めると、西に派生する尾根には随分上まで林道が切り開かれている。
この尾根が石堂山から西へ下る破線のある尾根のようでしたが、わたしたちが下ろうとしている尾根は、手前にある尾根のようでした。

岩場が行く手を遮るが、回り込まずにそのまま木や岩角を摑み這い上がる。




1318mPが近づいた。
風呂塔山頂までおおよそ半分程度のところ、8:54分に1318を通過。
斜面は緩やかになって、距離が稼げた。
ところどころにピンクのテープ、たぶん林業関係の方たちが施したものだろう。




9:19、ジャスト2時間で風呂塔山頂到着。
景色はない。

足が重たいこと。
涼しいのにやたらと汗が吹き出す。
長袖のシャツを脱いで、半袖一枚になった。

石堂山まで行けるかしゃん、ちょっぴし不安。
え~い!ここはがんばるっきゃないぞ。
三人に迷惑を掛けないようにしなきゃ。
20分ほど休みを入れて、東に聳える火打山へ向かって再スタート。

稜線は木の階段や道標が設置されたりして、整備された歩きよい道が続いている。
ちょっとした遊歩道のようだ。




9:53、風呂塔と1322mPの中間に位置する小ピークのところに、西に向いて下るこざっぱりとした踏み跡があった。
早速、3人のヤブスキーたちが集合して、何処へ行く道だろうかなどとうんだら話を開始。
地図には載っていない道だ。
位置的にはながお橋から、東へと延びている林道へ下りる道ではないかと想像したが、実際には分からない。

前方に火打山らしいピークが見えてきた。
1322mPへと歩く間に二つほど北への踏み跡があったが、これは風呂塔山頂を巻いて風呂塔キャンプ場(施設老朽化のため閉鎖)へ行く道のようだった。




10:29、やや崩れかけの石で組み立てられた祠のようなものがあった。
内を覗いたがなにもない。
10:32、火打山山頂に着く。
下りや平道だと問題ないが、ちょっと登りになるとすぐに息が上がる、もうバテバテだわ。
予定にはなかったが、ザックを投げ出し、へたり込んで休息を入れさせて貰った。
他の三人は涼しい顔をして三角点で写真を撮ったりして遊んでいる。

あかん、もう年やわ。
しかし、ここまで来たら、白滝山まで1時間、石堂山までさらに1時間弱、あとは下り2時間の尾根歩きが待っているだけ。
キアイダーキアイダーキアイダー!死んでもキアイダー!!

コンビニで買ってきた黒糖みるくパウンドを口に放り込み、ポカリをぐい飲みして出発。




火打山から先はササヤブだとばかりに思っていたが、整備された道が続く。
当てが外れてしまって、不意打ちを食らったオンビキみたいな気持になった。

やがて、立てられている立派過ぎる道標には「水場15分」と書かれていて、右手やや引き返す方向に踏み跡があった。
地図で確かめると、これがながお橋から西奥へと伸びている林道終点への破線の道らしかった。
そこまでの途中のどこかに沢水が流れているのだろう。




水場の道標の位置が火打山から白滝山までの間の最低鞍部、火打山からおおよそ150mほど下って、白滝山まで250mほど登り返すようになる。
普段ならどうってことない標高差だが、今日はやたらとしんどい。
ときどき立ち止まっては息を整える。
歩く道には膝までの背丈の低い笹が生えていたが、6月のこの時期には新葉で青々と茂っているはずだのに、葉は形を保ったまま枯れているのが目立った。

何処の山も笹枯れが起きているが、シカの食害だけでは説明できないような現象だ。
シカ食害に加えて、地球温暖化と中国からの酸性雨やpm2.5などの影響もあるのかもしれない。
日本列島は過去に比べて小雨傾向にあるともいわれているが、環境が大きく変化していることには間違いがなさそうだ。




風呂塔~白滝山間での最高のビューポイントに着いた。
そこから眺める景色は、北東に開け、半田そーめんの有名どころの半田町で、半田川上流に点在する集落が一望できた。




11:57、展望のない白滝山山頂到着。
やれやれ、待望の休憩とお昼ごはんだ~、この歳になると欲望はほとんど無くなるが、食欲だけは旺盛。
きっとまだまだ生きていたいという証なんでしょう。
おにぎりをパクついた。

食事中のうんだら話は、観音寺市でロト7に当籤した16億円というとてつもなく幸運な話。
そして、途中で見たという熊の足跡。
ロト7はいいとしても、熊足?ほんとかよ、見たのはつむじかぜさんと坊主さん、佐々連さんとわたしは見ていない。
う~ん、見たという二人はなんだか怪しいな~、口裏合わせてるんじゃないの?
ウソばっかりこいてたら、閻魔さんに舌抜かれるわい。
なぬ!
エンマさんに会ってみたいじゃと!
地獄へ行け!!

笹枯れの山頂で、まるで研究者のように三角点をシゲシゲと観察する坊主さん。




クッタ食った、久しぶりにたらふく食った。
これでエネルギーが補充できたぞ。
ファイトイッパーツ。

歩き出してすぐに石堂神社から上がってくる道に合流。




辺りは植林などなく、自然が濃い。
溜息が出るほどに新緑がいっぱいで、いままでの荒く吐いてた息が止まってしまいそうな感覚。

祠のような自然に出来た大工小屋石。




小屋石から5分と経たずに御塔石へ。
若い頃はこれを見たときに、ふ~んと一言感心しただけで、素通りしてしまったが、この年になるとやたらと感動してすり寄ってしまう。




右側面に設置されている祠にお参りした。
なにとぞ宝くじかロト7たらいう籤が当たりますように。

少し歩いて、再び御塔石を振り返った。
当たりそうな気がした。




13:17、石堂山山頂に到着。
これで登りは終わった、あとは下るだけだが、実はここからが本日の本番が始まる。
とりあえず、座り込んでコーヒーで寛ぐことにした。

20分ほどして、西への薄い踏み跡を辿ったあと、向きを北に変え、腰の低い密生した笹藪に入っていく。
人の歩いた道はなく、やたらと入り組んだあるやないやら判らない程度の獣道を追う。
テープは一切無い、こんな尾根滅多とあるもんじゃない。




ワオ~っ!景色は緑一色。
身体が染まりそうだ。




テンニンソウの群生地が広がる。
ブナ林もある。




しかし、いい夢はここまで、高度を下げるに従って、灌木が密生してくる。
振り返って見た石堂山。

灌木ヤブはとにかく酷い状態で、前を塞ぐ枝を潜ったりかき分けたり、おおよそ1時間半以上におよんで、石堂山から1259mPを挟んで林道が見えるところまで続いた。
イヤと言うほど引っ掻き傷を作りながら、引き返そうかと思うほどげんなりした。
ルート取りも難しかった。
小さな枝尾根が進む方向にいくつも現れ、その都度コンパスと睨めっこ。
握りしめたコンパスと地図が埃と汗でよれよれになる。
ときおり現在地をGPSで確認した。

1259m近辺で坊主さんが比較的灌木の空いている南側へ降りようと言い出した。
つむじかぜさんが首を横に振った。
なるほど、地図を見ると南下には破線の道がある。
しかし、詰まった等高線に崖の表示。
坊主さんは少し未練があったに違いない、やや躊躇しながら、腰をかがめて再び灌木尾根に突入した。




我慢に我慢を重ねて、やっと灌木ヤブが空き、やがて斜面下に林道が見えてくる。




地図にはない林道だった。
予定ではそのまま真っ直ぐ尾根を歩いて、破線の道に合流する計画だったが、その尾根は植林地だったが酷いヤブ、気持が萎えた。
林道を南東に歩いたところ、沢に出た。
山手沢左岸に薄い踏み跡が確認出来た。
破線の道のようだ。
ところが林道はその登山道を切断した形になっており、下る入口は塞がれ入り込む余地がないほどに荒れていた。
(後に少し後悔した、強引に突っ込んで、ヤブをかき分ければ、破線の道に出たものと思われる)




林道を進むと鹿避けネットと鉄門。
開けさせていただいてさらに林道を歩く。
上から作業を終えた地元の方が軽トラで降りてきた。
道を尋ねた。
林道を下ると細い道があるとのこと。
お礼を言って、横道へと入っていく。

小さな沢に出た。
渡った対岸の少し上に、その山道があった。
坊主さんは以前にこの破線のルートを辿ったことがあるのだが、破線そのものではなくて、沢を歩いたらしい。
沢を見ると、水は流れているし、石でゴロゴロだった。
よくこんな歩きにくい沢を一人で下ったもんだ、感心して唸った。




道はほどなく沢右岸に降り、左岸へ渡渉して県道に飛び出る。
沢を渡るときにはヌメった石で足を滑らし、佐々連さんと(訂正、坊主さんでした)二人でバシャバシャと派手な音をたてた。
靴下がたちまちに濡れる。
沢にはワイヤーがあった、昔は簡単な橋でも在ったのだろうか。(訂正、橋ではなく、ワイヤーを岸から岸へ川を横切るように張って渡りよいようにしていたらしい) 

出た県道から沢への入口の写真を撮ってみたが、道標もなにかの印もなくこれでは判らないわ。




廃屋を眺めながら、1km先の駐車地点まで、酷い尾根歩きの感想を呟きながら、今日の山歩きの手応えにニンマリ。
もう、二度と歩かんわいや。

帰りに運転する車の中で、右足に痒みを感じた。
指で触ってみた。
硬い小さなしこりがある。
何思わず引っ張った。
取れたものを見た。
小さな黒っぽいゴミのようなもの、よく見ると細い足が何本か見えた。

うあ~っ!急いで車を止めて、気持ち悪いので手を振り払った。
間違いなくマダニだった。
二度ほど妻にくっついたマダニを見たことがある。

咬まれたところは靴下と皮膚の境目だった。
スパッツを着けていたのだが、ダニはそれをくぐり抜けて這い上がったようだ。

いま話題のSFTS(重症熱性血小板減少症候群)、致死率は低いが、先ほどのダニ、このウィルスを持っていたら…ゲボゲボ。
いまのところワクチンは開発されていない。
もしもの場合、帰宅して発症するのを待つしかないが、とりあえず、御塔石で祈願したロト7の当籤は取り止めて、ウィルスがないように、勝手なお願いだが、こちらに差し替えてもらうことにした。

欲に満ちたお願いをして罰が当たったんだわ。
ヤブは止めよう。
大嫌いだ。




駐車地点7:19-取りつき地点7:25-1318mP8:54-9:19風呂塔9:39-10:32火打山10:50-11:57白滝山12:35-13:17石堂山13:35-1259mP14:51-県道44号線16:17-16:32駐車地点


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