滝下の天狗塚、大茶山 たきしたのてんぐづか、おおちゃやま
山行日 2018年5月24日
標高 1445m、1419.4m
登山口 三好市東祖谷落合東
駐車場 なし(林道丸見線広い路肩)
トイレ なし
水場 丸見谷上流標高おおよそ1000m付近、大茶山北西標高おおよそ1100m林道沿い
メンバー ピオーネ、むらくも
祖谷山系の主峰、標高1848.8mの矢筈山が聳えている。
その南西にある矢筈山前衛峰から、南に派生する主尾根を下るとサガリハゲ山があって、さらに下ってゆくと南側が崖で、空に突き上げた形の滝下の天狗塚がある。
6年前にこの山の南の国道439号線から犬に吠えられながら登り、ニホンカモシカの棲む崖を東に迂回し、標高1424.8m△滝下北を経て周回したことがあるが、当時の記憶は山頂直下にある滝下上部集落が廃屋だったということ。
山頂に小さな祠があって、そこから眺める景色が意外とよかったということ。
帰り道にサガリハゲ山の東麓に流れる霧谷川へほんの少し入り込み、林道の状態を確かめたこと、それ以外の細かい記憶はほとんど残っていない。
当時は、霧谷川からサガリハゲ山に登り、黒笠山へ周回したいという思いがあったようだが、体力的に厳しいということもあって夢叶わずにいる。
というわけで、年齢不相応の大それたことはきっぱりと捨て去った今、落合東の丸見谷からチマチマッと周回することにした。
コースは林道丸見線の入り口から奥まで歩き、破線の道を辿って廃屋まで行き、滝下の天狗塚の北尾根鞍部に乗っかり、山頂に立つ。
そこから稜線を西へ辿り、標高1419.4m大茶山を経て林道を下って周回することにした。
気象庁は真夏日の予報を出している。
飲料水2.5L、うち1本は凍らせた。
リュックザックの重量は、出来る限り軽量化を図ってきたが、鍛錬のためにツェルトやガス器具、ポンチョ、ロープなども入れ、以前の重さに戻した。
国道439号線沿いにある「そば道場」を左折し県道44号線へ。
おおよそ2.6km、アスファルト舗装が途切れ、ダート道の丸見線入口になった三叉路のところで、広い空き地に駐車。
駐車地点 林道丸見線
深夜まで降り続いた雨は上がり、すっかり晴れ渡った。
ダート道は入口のところでやや荒れていたので、車に乗るのを諦めて駐車したが、ゆっくり走ればオフロード車なら大丈夫な様子だった。
足元でまだ乾ききっていない濡れ石の間からサワガニが顔を出し、コチョコチョッと小走りに逃げていった。
谷を挟んで北側の尾根がすっきり見えている。
ピンカーブを二つ折れ曲がったちょい先で山手右への林道があった。
推測だが蔓原集落へと続く破線の道ではないだろうか。
サワガニ サガリハゲ山への支尾根
駐車地点からおおよそ1.8kmのところで三叉路になった。
林道は右に大きくカーブを切って、上へと延びている。
踏み跡が直進方向に続いていて、道標はないが、どうやらここから破線の道で登山口のようだったので林道から離れ、直進した。
サガリハゲ山が見えた。
右のやや尖がり気味の頂は、サガリハゲ山の手前にあるピークのようです。
破線の道(登山口) サガリハゲ山(中央)
この時季の透けるような若葉が道いっぱいに広がり、気持ちのいいところです。
寒峰台地のちょい下にある寒峰登山口から尾根へ向かって登っているような、そんな雰囲気に少し似ている。
破線の道 木の実
歩きだして40分ほど、標高おおよそ880mのところで谷を跨ぐ橋が見えた。
地図で確認すると対岸には3軒の民家らしき建物が描かれている。
後日に調べてみると、いずれも廃屋のようでしたが、そこへ通じる橋のようです。
その3軒の奥にある支尾根を東北に辿って登っていくと、標高1449.8△切禿に至る。
えっ!切禿ってなに、サガリハゲの下に切禿?
うーん、まじストレス感じるなー。
そちらへは行かずに、破線の道を直進し、グレーチングの橋を渡る。
廃屋3軒への橋 破線の道<グレーチング橋>
小さな小屋があって、そのすぐ先に四電の松一取水設備があった。
澄んだ水の中でなにかの影がすっと過ぎった。
小屋 丸見谷渓流取水設備
フタリシズカの花が咲いている先で、苔むしていまにも壊れそうな丸太の橋がある。
渡らずに上へ巻いた。
ミツマタが茂りんだんと道が怪しくなってきて、上へ行ったり下へ行ったり右往左往。
丸太の橋 ミツマタ
茂みを避け空いている方へ歩いていると、再び踏み跡に合流。
ホッと一安心して後方を振り返ると谷間の向こうに寒峰方面が見え、寒峰落合林道だろうか、山肌に車道らしき筋も走っている。
谷のあちこちに白い花が冠のように樹の頂に乗っかっている。
目の前に真っ白な花が手の届く位置にあった。
妻が、アサガラであることを諭してくれた。
丸見谷と寒峰方面 アサガラ
標高おおよそ1050m、道は無くなり、石ころの涸れ沢を上り詰める。
キツツキのドラミング音がココココーンと山に木霊する。
沢の先に建物の形が次第に大きくなり、11:08、廃屋に到着。
涸れ沢 廃屋
前庭に立ち、後方を振り返ると寒峰と前烏帽子山への支尾根だろうか、の景色が開け息をのむ。
その右手前には先ほどの3軒の廃屋奥から切禿への支尾根が迫るようにして上へ延びている。
中央左奥寒峰、右前烏帽子
廃屋は立っているのがやっとの容子。
内側を覗くと襖や障子が傾いでおり、かつては生活していたことが伺われた。
廃屋
草刈り用だろうか、長い鉈のような鎌のようなものが落ちていたので、妻にかざしてもらったが、錆びていてもう切れそうにない。
廃屋の栗の木が生えている左奥から、隣の尾根に乗り、植林地を突っ切ると伐採地に出た。
長鉈 伐採地
蕨など下草が茂っていて、歩きよい。
尾根手前にトタン仕立ての何かの看板が転がっていた。
伐採地 看板
11:54、尾根鞍部に到着。
座り込んで一休みしたあと、いよいよ天狗塚への急登に、上へ行くにつれますますきつくなる。
尾根鞍部 急登
なんと、鞍部から50分も掛かってようやく山頂へ。
時刻は12:54、昼食とした。
滝下の天狗塚山頂
主に南に開けた景色は三嶺とその麓にあるいやしの温泉郷が見え、駐車場にはバイクなどが止まっている。
三嶺
こちらは寒峰、そしてこちらは剣山。
寒峰 剣山
天狗峠をズームアップ、地蔵の頭と天狗塚が耳、なんとなく熊の頭を後方から撮った形をしている。
30分余り休んで、尾根を南西に進むが、滝下の天狗塚から下る斜面のきついこと。
6年前にここを下ってるが、記憶に残っていない。
ロープを出して、長い急勾配をなんとか凌いだ。
一つコブを越して、次のコブは北側に切れ落ちた岩峰だった。
南に巻いた。
天狗塚と地蔵の頭 岩峰
岩峰を下って振り向き加減に右側を覗くと、こんな感じ。
再びピークを登って振り返りみた滝下の天狗塚。
崖 滝下の天狗塚
滝下の天狗塚と標高1419.4mの大茶山との中間にあるおおよそ1390mピーク付近からはサガリハゲ山と右奥にほんの少し矢筈山の頂が覗き見えた。
手前のはおおよそ1640mの三角ピーク。
尾根には絶えず冷たい風が吹き抜け、心地よい。
遠くからピューッとシカの鳴き声がして、妻がそちらに向かって「おーい、こっちだよー」と叫ぶ。
どういうこと?
サガリハゲ山 尾根
15:20、大茶山手前にある小さなコブを越え、ゆるゆると下ったところで尾根の真ん中で立ちふさがるようにして立っている大きなブナに出合った。
15:35、大茶山山頂到着。
なんと読むのか、「おおちゃやま」だろうか、それとも「おおさやま」だろうか?
他には茶をタとも読むので「おおたやま」というのもありなのだが、下山後もどなたにも出会えずお訊ねする機会が得られなかった。
※後日(6/14)に読みが判明<おおちゃやま>でした。
ブナ 大茶山山頂
稜線からの最後の眺めを楽しんだあと、林道に向かって下山開始。
三嶺&天狗塚方面 ヤマシャクヤクとトリカブト
ヤマシャクヤクの群生があちこちに見られる。
大きめのヌタ場でしきりとカエルが鳴いていた。
タネ ヌタ場
下山開始から10分ほどで東西に延びる林道に合流した。
間違って西へ下ろうとしたが、妻に呼び止められ、東方向へと向きを変える。
下る方向は、やや登り気味なので、間違えやすい。
林床には、密集こそしていないが、びっくりするほど広範囲にヤマシャクヤクが群生している。
林道 ヤマシャクヤク
下る林道沿いの斜面に延々と続いているのです。
ヤマシャクだけでなく、フタリシズカやトリカブトなども多い。
標高おおよそ1100m、カツラの木の根元ではこんこんと沢水が流れていて、林道にしみ出している。
ヤマシャクヤク カツラの木と沢水
植林はきれいに手入れされていて、こもれびが床に降り注いでいた。
林道はオフロード車が走れる程度に整っていた。
林床 林道
長い長い林道歩き、足が嵓びれ、陽がだいぶ西に傾いた。
やっと、やっと登山口に下り立ち、さてまだ駐車地点まで1.8kmほどの歩きが残っている。
林道 サガリハゲ山
お月さんが東の樹の上に…。
麓から6時のみおつくしのチャイムが鳴り響いてきた。
18:10、駐車地点に戻った。
ウツギ 月
駐車地点(丸見線入口)9:20-登山口9:51-11:08廃屋11:17-11:54尾根分岐12:06-12:54滝下の天狗塚13:27-15:35大茶山15:47-林道合流16:12ー17:47登山口ー18:10駐車地点
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