むらくも

四国の山歩き

滝下の天狗塚・大茶山…徳島県

2018-05-26 | 祖谷山系

滝下の天狗塚、大茶山         たきしたのてんぐづか、おおちゃやま 


山行日                2018年5月24日
標高                 1445m、1419.4m
登山口                三好市東祖谷落合東
駐車場                なし(林道丸見線広い路肩)
トイレ                なし
水場                 丸見谷上流標高おおよそ1000m付近、大茶山北西標高おおよそ1100m林道沿い
メンバー               ピオーネ、むらくも




祖谷山系の主峰、標高1848.8mの矢筈山が聳えている。
その南西にある矢筈山前衛峰から、南に派生する主尾根を下るとサガリハゲ山があって、さらに下ってゆくと南側が崖で、空に突き上げた形の滝下の天狗塚がある。

6年前にこの山の南の国道439号線から犬に吠えられながら登り、ニホンカモシカの棲む崖を東に迂回し、標高1424.8m△滝下北を経て周回したことがあるが、当時の記憶は山頂直下にある滝下上部集落が廃屋だったということ。
山頂に小さな祠があって、そこから眺める景色が意外とよかったということ。
帰り道にサガリハゲ山の東麓に流れる霧谷川へほんの少し入り込み、林道の状態を確かめたこと、それ以外の細かい記憶はほとんど残っていない。
当時は、霧谷川からサガリハゲ山に登り、黒笠山へ周回したいという思いがあったようだが、体力的に厳しいということもあって夢叶わずにいる。
というわけで、年齢不相応の大それたことはきっぱりと捨て去った今、落合東の丸見谷からチマチマッと周回することにした。




コースは林道丸見線の入り口から奥まで歩き、破線の道を辿って廃屋まで行き、滝下の天狗塚の北尾根鞍部に乗っかり、山頂に立つ。
そこから稜線を西へ辿り、標高1419.4m大茶山を経て林道を下って周回することにした。

気象庁は真夏日の予報を出している。
飲料水2.5L、うち1本は凍らせた。
リュックザックの重量は、出来る限り軽量化を図ってきたが、鍛錬のためにツェルトやガス器具、ポンチョ、ロープなども入れ、以前の重さに戻した。

国道439号線沿いにある「そば道場」を左折し県道44号線へ。
おおよそ2.6km、アスファルト舗装が途切れ、ダート道の丸見線入口になった三叉路のところで、広い空き地に駐車。

 
               駐車地点               林道丸見線

深夜まで降り続いた雨は上がり、すっかり晴れ渡った。
ダート道は入口のところでやや荒れていたので、車に乗るのを諦めて駐車したが、ゆっくり走ればオフロード車なら大丈夫な様子だった。
足元でまだ乾ききっていない濡れ石の間からサワガニが顔を出し、コチョコチョッと小走りに逃げていった。
谷を挟んで北側の尾根がすっきり見えている。

ピンカーブを二つ折れ曲がったちょい先で山手右への林道があった。
推測だが蔓原集落へと続く破線の道ではないだろうか。

 
              サワガニ                    サガリハゲ山への支尾根

駐車地点からおおよそ1.8kmのところで三叉路になった。
林道は右に大きくカーブを切って、上へと延びている。
踏み跡が直進方向に続いていて、道標はないが、どうやらここから破線の道で登山口のようだったので林道から離れ、直進した。
サガリハゲ山が見えた。
右のやや尖がり気味の頂は、サガリハゲ山の手前にあるピークのようです。

 
             破線の道(登山口)                 サガリハゲ山(中央)

この時季の透けるような若葉が道いっぱいに広がり、気持ちのいいところです。
寒峰台地のちょい下にある寒峰登山口から尾根へ向かって登っているような、そんな雰囲気に少し似ている。

 
             破線の道                       木の実

歩きだして40分ほど、標高おおよそ880mのところで谷を跨ぐ橋が見えた。
地図で確認すると対岸には3軒の民家らしき建物が描かれている。
後日に調べてみると、いずれも廃屋のようでしたが、そこへ通じる橋のようです。
その3軒の奥にある支尾根を東北に辿って登っていくと、標高1449.8△切禿に至る。

えっ!切禿ってなに、サガリハゲの下に切禿?
うーん、まじストレス感じるなー。
そちらへは行かずに、破線の道を直進し、グレーチングの橋を渡る。

 
             廃屋3軒への橋                  破線の道<グレーチング橋>

小さな小屋があって、そのすぐ先に四電の松一取水設備があった。
澄んだ水の中でなにかの影がすっと過ぎった。

 
             小屋                        丸見谷渓流取水設備

フタリシズカの花が咲いている先で、苔むしていまにも壊れそうな丸太の橋がある。
渡らずに上へ巻いた。
ミツマタが茂りんだんと道が怪しくなってきて、上へ行ったり下へ行ったり右往左往。

 
             丸太の橋                       ミツマタ

茂みを避け空いている方へ歩いていると、再び踏み跡に合流。
ホッと一安心して後方を振り返ると谷間の向こうに寒峰方面が見え、寒峰落合林道だろうか、山肌に車道らしき筋も走っている。

谷のあちこちに白い花が冠のように樹の頂に乗っかっている。
目の前に真っ白な花が手の届く位置にあった。
妻が、アサガラであることを諭してくれた。

 
             丸見谷と寒峰方面                      アサガラ

標高おおよそ1050m、道は無くなり、石ころの涸れ沢を上り詰める。
キツツキのドラミング音がココココーンと山に木霊する。

沢の先に建物の形が次第に大きくなり、11:08、廃屋に到着。

 
              涸れ沢                          廃屋

前庭に立ち、後方を振り返ると寒峰と前烏帽子山への支尾根だろうか、の景色が開け息をのむ。
その右手前には先ほどの3軒の廃屋奥から切禿への支尾根が迫るようにして上へ延びている。


                            中央左奥寒峰、右前烏帽子

廃屋は立っているのがやっとの容子。
内側を覗くと襖や障子が傾いでおり、かつては生活していたことが伺われた。


                             廃屋

草刈り用だろうか、長い鉈のような鎌のようなものが落ちていたので、妻にかざしてもらったが、錆びていてもう切れそうにない。
廃屋の栗の木が生えている左奥から、隣の尾根に乗り、植林地を突っ切ると伐採地に出た。

 
                長鉈                          伐採地

蕨など下草が茂っていて、歩きよい。
尾根手前にトタン仕立ての何かの看板が転がっていた。

 
                伐採地                         看板

11:54、尾根鞍部に到着。
座り込んで一休みしたあと、いよいよ天狗塚への急登に、上へ行くにつれますますきつくなる。

 
                尾根鞍部                        急登

なんと、鞍部から50分も掛かってようやく山頂へ。
時刻は12:54、昼食とした。


                                滝下の天狗塚山頂
                 
主に南に開けた景色は三嶺とその麓にあるいやしの温泉郷が見え、駐車場にはバイクなどが止まっている。


                                三嶺

こちらは寒峰、そしてこちらは剣山。

 
                   寒峰                     剣山

天狗峠をズームアップ、地蔵の頭と天狗塚が耳、なんとなく熊の頭を後方から撮った形をしている。
30分余り休んで、尾根を南西に進むが、滝下の天狗塚から下る斜面のきついこと。
6年前にここを下ってるが、記憶に残っていない。
ロープを出して、長い急勾配をなんとか凌いだ。

一つコブを越して、次のコブは北側に切れ落ちた岩峰だった。
南に巻いた。

 
                 天狗塚と地蔵の頭                  岩峰

岩峰を下って振り向き加減に右側を覗くと、こんな感じ。
再びピークを登って振り返りみた滝下の天狗塚。

 
                   崖                      滝下の天狗塚

滝下の天狗塚と標高1419.4mの大茶山との中間にあるおおよそ1390mピーク付近からはサガリハゲ山と右奥にほんの少し矢筈山の頂が覗き見えた。
手前のはおおよそ1640mの三角ピーク。
尾根には絶えず冷たい風が吹き抜け、心地よい。
遠くからピューッとシカの鳴き声がして、妻がそちらに向かって「おーい、こっちだよー」と叫ぶ。
どういうこと?

 
                    サガリハゲ山                  尾根

15:20、大茶山手前にある小さなコブを越え、ゆるゆると下ったところで尾根の真ん中で立ちふさがるようにして立っている大きなブナに出合った。
15:35、大茶山山頂到着。
なんと読むのか、「おおちゃやま」だろうか、それとも「おおさやま」だろうか?
他には茶をタとも読むので「おおたやま」というのもありなのだが、下山後もどなたにも出会えずお訊ねする機会が得られなかった。
※後日(6/14)に読みが判明<おおちゃやま>でした。
 
                   ブナ                       大茶山山頂

稜線からの最後の眺めを楽しんだあと、林道に向かって下山開始。

 
                  三嶺&天狗塚方面              ヤマシャクヤクとトリカブト

ヤマシャクヤクの群生があちこちに見られる。
大きめのヌタ場でしきりとカエルが鳴いていた。

 
                 タネ                         ヌタ場

下山開始から10分ほどで東西に延びる林道に合流した。
間違って西へ下ろうとしたが、妻に呼び止められ、東方向へと向きを変える。
下る方向は、やや登り気味なので、間違えやすい。
林床には、密集こそしていないが、びっくりするほど広範囲にヤマシャクヤクが群生している。

 
                 林道                        ヤマシャクヤク

下る林道沿いの斜面に延々と続いているのです。
ヤマシャクだけでなく、フタリシズカやトリカブトなども多い。

標高おおよそ1100m、カツラの木の根元ではこんこんと沢水が流れていて、林道にしみ出している。

 
                 ヤマシャクヤク                  カツラの木と沢水

植林はきれいに手入れされていて、こもれびが床に降り注いでいた。
林道はオフロード車が走れる程度に整っていた。

 
                 林床                        林道

長い長い林道歩き、足が嵓びれ、陽がだいぶ西に傾いた。
やっと、やっと登山口に下り立ち、さてまだ駐車地点まで1.8kmほどの歩きが残っている。

 
                 林道                        サガリハゲ山

お月さんが東の樹の上に…。
麓から6時のみおつくしのチャイムが鳴り響いてきた。
18:10、駐車地点に戻った。

 
                ウツギ                     月

駐車地点(丸見線入口)9:20-登山口9:51-11:08廃屋11:17-11:54尾根分岐12:06-12:54滝下の天狗塚13:27-15:35大茶山15:47-林道合流16:12ー17:47登山口ー18:10駐車地点


左クリック地図拡大

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三方山・鶏足山…高知県・徳島県

2018-05-02 | 祖谷山系

三方山、鶏足山            さんぽうやま、けいそくさん


山行日                2018年4月29日
標高                 1303.3m、955m
登山口                西祖谷山村有瀬
下山口                鶏足山キャンプ場
駐車場                登山口側なし(林道路肩)、下山口側鶏足山キャンプ場
トイレ                鶏足山キャンプ場
水場                 登山口から20分弱のところにある沢水(標高950m)
メンバー               glicoさん、biscoさん、ピオーネ、むらくも



先週の坊主谷山行の折に、江崎隊のglicoさん、biscoさんたちと約束した三方山を歩くことになった。
山と渓谷社の分県登山ガイドでは、北側の今久保および中尾が登山口として紹介されていて、そちらから登るのが一般的なようだ。
今回は有瀬地区の方たちによって整備された三方山の西側の有瀬登山口から登る。
有瀬登山口は、林道有瀬中尾線といって、有瀬地区から延びている林道で、まだ造成中ということもあって登山口近辺はダート道だが、途中まで舗装されており、普通車でも快適に走らすことが出来る。

昔、今久保から歩いたときに、熊谷峠から南西に有瀬へ延びる破線の道をちょっぴし探ったことがあるが、倒木があったりして荒れていた。
この道を利用すれば、有瀬登山口を起点にして、標高1069m三角点・花山ー三方山ー熊谷峠ー有瀬登山口へと周回(江崎隊レポートカテゴリー三方山を参照→こちら)できるのだが、熊谷峠から西北西に派生する尾根途中に位置する鶏足山を入れて歩くことにした。

鶏足山登山口の鶏足山キャンプ場から有瀬登山口間は車で繋ぐことにして、調整した結果、有瀬登山口から登り、キャンプ場まで反時計回りで半周する形になった。
このコースをギッチャンさん(HP→こちら)が2年前(2016年4月)にショウジョウバカマが咲き、ほんの少し福寿草が咲き残る頃に歩かれているので参考にさせていただきました。
林道や登山道のあちこちから眺めることのできる山里の素晴らしい風景が楽しみです。



早朝4時半、赤いお月さんが西に沈むころ、自宅を出発。
明日は15夜の満月だ。
猪鼻トンネルでは気温が9度。
日中は夏日の予報が出ていたので、ペットボトルのお茶を1本凍らせたのをザックに入れた。
今年の4月は夏日がこれで8回を数えることになる。


                        落窪雲海展望所風景Ⅰ

6:40、鶏足山キャンプ場に到着し、ラジオ体操とストレッチをやっている間に妻は花を探しに、行場登山口から奥へと入っていく。
6:50、江崎隊のglicoさんbiscoさんのお二人がにっこり、ペコちゃん風でやってきました。
有瀬登山口へ移動、途中で落窪雲海展望所にて停車。

biscoさんによると、徳島県側の有瀬から吉野川方向に高知県の岩原や大久保辺りを眺めていることになる。
杖立山や梶ヶ森の山並が見えているらしいのだが、ピンとこない。
土地勘のないものには、貴重な話も豚に真珠、一番高いところが梶ヶ森で右に緩やかに下って、ちょこんとなったところが杖立山だろうか。

この風景を眺めながら、お茶を飲みながら茶菓子をつまみたい気分にさせられた。
お茶菓子には、甘いあんこ玉がいい。


                        落窪雲海展望所風景Ⅱ


7:38、有瀬登山口に着いた。
あれが鶏足山よとbiscoさんに教えられ、写真を撮るが、どれ?頭の中は??
蛙の面に水状態。
写真真ん中の鞍部から少し左の高いところで、その左のちょこんと尖がったところが眺望のある岩場でしょうか?


                         鶏足山

今日は作業はお休みのようでしたので、重機の置いてあるちょっとした広場に車を止め、7:50、道標のある登山口を出発。


             駐車地点                   三方山登山口

手入れされた植林の道を上がってゆく。


             取水タンク                   沢

ホウチャクソウ、シコクチャルメルソウ、ヤマルリソウだとかタニギキョウなどなど。
前を歩くお二人は観察に余念がない。
glicoさんとわたしは蚊帳の外、虫に咬まれ放題だ。

妻がオトシブミを見つけた。
すかさずbiscoさんが説明をしてくれる。
男二人は黙って聞き耳をピクピクさせる。

主にはなんたらオトシブミと呼ばれている首の長い小さな昆虫だが、なんたらチョッキリという名のオトシブミもいる。
その昆虫が、葉を丸めて中に1mmの卵を1個産んだものが、オトシブミだ。
調べると、作り方は、まるで折り紙のように工夫をし正確。
オトシブミを作るのはメス、作っている間にオスがやってきて、なんどもちょっかいを出すが、メスは知ってか知らずか知らぬ顔で夢中になって1時間近くかけて作り続ける。
メスは偉い。
辺りには直径3cm程度のたくさんのオニグルミの殻が落ちていた。
中身はリスなどに食べられたのか、空っぽ、殻と殻をこすり合わせるとクリクリッと乾いた音がした。


             ミヤマハコベ                 オニグルミの殻とオトシブミ

トリカブト群生地にやってきた。
採取禁止と書いた立札が立てられている。
珍しいトリカブトなのか、それとも毒なのでとったらあかんという意味なのか。
ひょっとして、コソッと採りに来るお人がいてるのかもしれない。
毒の犠牲者は、高額な保険金を掛けられた夫、オットット。
そのうち、biscoさんか妻かが採りに来る、くわばらー。
glicoさん気いつけや、わしはいつ死んでもええ、長生きしたし、山も足るばぁ歩いた。


            トリカブト                    道標

ふね経由三方山の道標に従って歩くと、ヤマシャクの群生地に出合う。
数は少ないが薄く淡いクリームイエローの花も見受けられた。


                       ヤマシャクヤク


            フクジュソウ                  ニリンソウ

尾根手前にある「ふね」という窪地は船底のような形をしている。
9:30、尾根に乗り、1166mPを経て、9:55、標高1069m四等三角点・花山に到着。
これから歩く三方山から鶏足山への尾根が、ハリギリの若葉の間から奥に見えた。


            ふね                      三角点・花山

1166mPへ引き返している途中、動物の糞のような妙ちくりんなものを足元に発見した。
妻のストックを借りて、突いてみると、木の皮のキメ細い繊維のようで、フワフワして柔らかい。
biscoさんがモモンガの巣で、ダニなどが湧いて不要になったものを、木の上から巣の外へ捨てたものだ教えてくれた。
木の上を見上げたが、巣穴はない。
他の場所から風に乗って飛んできた可能性もあるとのこと。
リスの巣もよく似ているが、繊維がもう少し太く、木の葉なども雑じったりしているようだ。

あれやこれやと話したり考えているうちに1166mPを下り、登山口から登ってきた分岐も過ぎ、山姥伝説の池に着いた。
biscoさんの説明によると、熊谷峠にある地蔵尊が、山姥をこの池に封じ込めたそうな。
池の中を覗き込んだが、水はなくから池。
底付近の斜面にはヤマシャクの花がちらほら、静まりかえっていた。


           モモンガの巣                    山姥伝説の池                     

再びヤマシャクの群生地でしばらく花を楽しんで、道標に従って尾根を進んでいく。
切株に書かれた風変わりな道標もあって、三方山まで25分と書かれていたりする。


           ヤマシャクヤク                    切株

気持ちのよい自然林が続き、開けているところからは登山口の林道が見え、奥には針葉樹林と広葉樹林の若葉で斑模様の黒滝山や野鹿池山がある。


                       黒滝山・野鹿池山方面

楽校の宿あるせと書かれた、道標が落ちていた。
有瀬をあるせと読むらしい。
ありせと読んでいた。

一人のトレラン風の男性に出会った後、11:50、三方山山頂に到着。


            道標                       三方山

三方山からは南に展望が開け、奥左から土佐矢筈山、小檜曽山、画面から外れているが高板山が見えている。
少し移動して、林の中でお弁当を広げた。

        
三方山からの展望   
                          
30分余り寛いだ後、三方山への尾根から見えていたツツジの咲く場所を通過し、ブナの尾根へ。


           熊谷峠へ                        ブナ
 
先行する女性お二人が、ブナの木を見上げてカメラを構えた。
淡黄緑色の小さい花をつけたヤシャビシャクは落葉草状低木で、主にブナの木に着生し、大きくならない。

13:20、山姥を封じ込めた地蔵尊のある熊谷峠に着く。
安政の文字が読み取れた。
ペリーが来航したあと、安政の大獄があったり、桜田門外の変が起きたり、なにかと不安定な時代の頃のもの。
この頃のお地蔵さんをときどき山中などで見かけたりする。


            ヤシャビシャク                   お地蔵さん

鼻息荒く登りたがっていたglicoさんを二人の女性が諫め、標高1154mの丸山を右上に見てやり過ごしたあと、丸太の架かった小さな橋に。
尾根道と、大久保登山口への分岐点だ。
渡って右に行くじゃの、いや尾根への階段を上るのじゃのと小さな諍いが4人の間で起きた。
glicoさんの話では、右へ行くと尾根への巻道があるとのこと。
なんだーかんだー、すったもんだで尾根に戻った。

小さなコブをいくつか乗り越えて、鞍部で小休止。
glicoさんが冷えたコーラをザックから2本取り出し、4人で分けた。
冷たくておいしい。
これからの季節は冷たいのに限ります。
もう少し気温が上がった頃には、アイスキャンデーかソフトクリームなどを持参しようではないか。
そういう特殊な保冷剤を売っているらしい。

glicoさんが烏帽子山西尾根山行計画を持ちかけた。
うん?なんのこと??
わたし(むらくも)が計画したものだと言う。
うん?思い出さない。
石堂山とはき違えてしまったわたしは、あの西尾根は鹿除けネットが延々と張られていて、歩けたもんじゃないと答えてしまった。
いかん、すっかり耄碌してる。


            丸太の木橋                     小さなコブ                                                                

その後、再び歩き出したが、耄碌爺はますますボケてしまってゲンナリだ。
14:30、標高1173.6m四等三角点・有瀬北に到着。
右手には鹿除けネットが張られ、ときどき網目に足をとられる。


           三角点・有瀬北                   鹿除けネット          

15:25、標高1129.8m四等三角点・重末南に着いたが、かつて伐採された北斜面はウリハダカエデが繁り、以前に来たときと様子が変わっていた。


           ウリハダカエデ                   三角点・重末南

重末南では北に景色が開け、祖谷山系の風景を楽しめた。
写真には写り込んでないが左に国見山があって、祖谷川に向かって先週に歩いた田丸の尾根が下っている。
祖谷渓温泉の建物が見え、右へ中津山、マドの天狗、寒峰台地、寒峰、烏帽子山、サガリハゲの右手には尖がった滝下の天狗がくっきり。

glicoさん、眺めながら41度の心地よいお風呂に浸かったときのように、ふんわりしたいい顔をしている。
熱過ぎるお風呂に入ると「あ”~あ”~はっふーっ!」となって顔に力が入り、体には良くない。
祖谷山系の山並を眺めながら、ツバメのように鋭く後ろに折れた翼をキューっと操り、空を切ってあの頂まで飛んでゆきたい。
そんな気持ちで飽きずに見つめていた。


                       祖谷山系

烏帽子山からサガリハゲと滝下の天狗をズーム。
右のほうに小さく塔ノ丸や剣山系と思われる頂がわずかに写り込んでおり、トギの頂きも左側手前にちょこん。
トギの山頂からは熊谷峠へ伸びる尾根があるが、手強いヤブに阻まれていたのを記憶している。


           ズーム                     ヌタバ

どこからかポポーと、ツツドリのほんの少し寂しそうな鳴き声が聴こえてくる。
用意していた国土地理院の地図を山以外のどこかで紛失。
登山口から心もとない気持ちで歩き続けているが、間違った細尾根に踏み込みそうになったときには、すかさず後ろから助け舟を出してくれる。

鶏足山手前の鞍部分岐まで降りてきたときに、glicoさんがいないことに気づいた。
カメラの偏光レンズを落とし、歩いてきた尾根を探しに引き返したらしい。
レンズの値段は高額、見つかればいいが…と思いつつザックを降ろし待っていると、500mほど引き返したところで見つかり、すぐに戻ってきて一同ホッとした。

ザックを鞍部に置いたまま、標高955mの鶏足山に登り、西にある岩場に向かった。


           快適な尾根                    吉野川    

岩場に上がって、眼下の吉野川を覗き込むようにして眺め、梶ヶ森や三方山登山口のある林道有瀬中尾線を確かめた。


                       パノラマ   

三方山登山口をズームアップ。
青い重機と登山口が小さく写りこんでいる。
風が下から吹き上げてきて、帽子が飛ばされそう。


           三方山登山口                  ザイフリボク        

岩場を下りる。
わたしと女性二人はおとろっしゃーのへっぴり腰で。
glicoさんはひょいぽん、跳ねて降りた。
目を見張った。
体力も脚力も、体のしなやかさとバランスも、バネのような筋力もなにもかも持ってるものがわたしたちと違う。

鞍部へ引き返し下る。
小さな小さな何とかリンドウと花たち。


             岩場                     ○○リンドウ


          ニョイ(別名ツボ)スミレ                   ヒトリシズカ            

17:30、西日が当たりカキドオシの咲くキャンプ場に下りてきた。
三方山登山口へ車を回収しに行くため、glicoさん、biscoさんとはここでお別れ。
最後までお世話になりっぱなしで申し訳ない。

帰り道、ころころと車道を横切って山の斜面に駆け上がる二匹の狸が印象的でした。


         カキドオシ                     鶏足山キャンプ場

三方山登山口7:50-三角点・花山9:55-11:50三方山12:25-熊谷峠13:20-三角点・有瀬北14:30-三角点・重末南15:25-鶏足山16:35ー17:30鶏足山キャンプ場
※途中寄り道等多くの時間を割いた為、あくまでも参考タイムとしてください。


拡大地図→こちら

コメント (16)
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坊主谷ー国見山ー田丸…徳島県

2018-04-26 | 祖谷山系

国見山               くにみやま


山行日               2018年4月22日
標高                1409.1m
登山口               三好市池田町松尾(祖谷渓温泉より2.1km南32号線カーブミラー)
駐車場               なし(道沿い広い路肩)
トイレ               なし
水場                坊主谷に流れる沢水
メンバー              佐々連さん、glicoさん、biscoさん、むらくも

江崎隊レポ             同行して頂いたbiscoさんのレポは→こちら「カテゴリー国見山(徳島)」




ボウズダニ、ダニの仲間ではなく、ちゃんと漢字があって坊主谷と書く。
こういう書き出しはセンスが悪くて、感じが良くない。
筆者の脳みそがどの程度のものかよくわかるのだが、やめられない。
大歩危・小歩危の名勝地がある吉野川と、祖谷渓谷で知られる祖谷川に挟まれるようにして標高1409.1mの国見山が聳えている。
その国見山の山頂東にはスプーンでえぐったようなカール状の谷があって、標高900mあたりから切り立った岩峰のU字谷となり、標高270mを流れる祖谷川へと落ち込んでいるところが坊主谷だ。
おらが村のカールおじさんが石垣の陰からひょこっと現れそうな雰囲気のあるところです。

ここへ行くには、祖谷川を渡って対岸の田丸地区へ行き、そこから山道を西へ辿る。
我がチマチマ隊の隊長であるシマチマおいちゃんは、以前は坊主さんと呼ばれていたが、その坊主さんから坊主谷の様子を知りたくて一枚の写真を送ってもらっていた。
送ってもらった写真は、田丸へ渡る橋の無残な崩落風景だった。
橋は吊り橋で、橋台のほかにケーブルとハンガーロープのワイヤーが残っており、橋桁に使われていた床板は川の上にぶら下がり、風に揺れていて、いまでは猿しか渡れない。
3月に一度下見に行ったのだが、川を歩いて渡るしかなく、水量の少ないときを狙って渡ってみた。
水は浅いところで脛までだった。

帰宅して早速計画を立てた。
田丸から坊主谷へ下りて、少し遡ったところで西の尾根に乗り、国見山の南東にある1370m峰に出て、国見山山頂へ。
そして、川崎への稜線を歩き、途中の1343m峰から東の尾根を辿って田丸へ下る。
歩く距離はおおよそ11kmほどだったし、以前に吉野川にある二つの橋を使って国見山を周回したときには8時間20分ほどで周回した経緯もあって、行けるだろうと判断した。



国見山には東西に古の道があって、いずれも川崎が起点で、西の道は西祖谷山村徳善(大歩危)に通じ、東の道は西祖谷山村戸ノ谷に通じていた。
どちらかというと、西の道がいまでいう国道に当たる道で、東の道は村から村への生活道であったようだ。
しかし、どちらの道も廃道もしくは新しい車道によって寸断され、荒れて昔日の面影はないようです。

阿波池田から高知へ向かう国道32号線途中にある青い祖谷口橋を渡り、県道32号線を祖谷渓温泉方向へと走らす。
目的地へは道ナビではじき出した所要時間より早めに着きそうなので、途中小便小僧を撮影したり、道沿いから坊主谷を撮ったりしながらゆるゆる走った。

写真は左から、1370m峰、右奥に国見山、坊主谷を詰めた稜線鞍部、1352m峰、1343m峰、右端には三角点・川崎のある1200.3mPが…。
坊主谷は上部はU字、下部はV字型で、大雨のときなどには降った雨水を集め、岩や土砂を一気に押し流していることが伺えます。


                      坊主谷と国見山稜線

集合予定時刻より30分ほど早く着き、佐々連さんと二人で体操やストレッチをしながら待っていると、やってきました。
なにがなんだかわからぬうちにチマチマ隊高知支部を名乗り出た江崎隊のお二人が、カーブミラーのある車道路肩にドンと車を乗りつけた。

本当のところを言うと、体力脚力もさることながら、歩く山のレベルも圧倒的に本部支部が逆転しているのです。
チマチマ隊香川本部は本部でありませぬ。
チマチマ隊ヨボヨボ香川支部という名称が妥当ではないやろか…。

準備をしてヨタヨタよろけながら、7:35、なぜか声を震わせてスタートの号令。
祖谷川への踏み跡を下ってゆく。
尾根を右に下って川床に近づいたところでおぼつかない踏み跡を左に進むと、橋の袂に石仏がある。
お参りに来られる方がおられるのだろう、お地蔵さんの頭には苔むしてはいたが毛糸で編んだ帽子が被せられていた。


             崩落した吊り橋                  お地蔵さん

20分ほどで降り、川床から眺めた坊主谷の上部尾根は車道から眺めた風貌とは異なり、尖がってゴツゴツしている。
下から仰ぎ見た結果、優しい嫋やかな稜線は、峻険な岩峰の後方に隠れてしまっている。
靴を脱いで、浅瀬を選んで渡渉。
カジカがヒューヒューと女の子を誘うような鳴き声をたてている。
きっとヤンキー座りして、タバコの煙を下あごを突き出しながら、ヒューっと頭の上に向かって吐き出しているに違いない。

川床はヌルヌルした苔の生えた石ころが多く、滑りやすい。
できるだけ砂地を選んで歩く。
ここのところ気温が上がっているが、水温は3月に歩いたときとさほど変らないような気がした。


             祖谷川川床                     渡渉

対岸のできる限り、橋寄りのところから上った。
(注)橋より右手側よりは左手側からが、ゆるい傾斜で上がりよいことを復路で気づく。
橋脚台の袂に上がり、往時、ここを渡っていた人たちをイメージする。


                          橋脚             

家が建っていたのだろうか、石垣がたくさん残されている。
建物跡と思われる平らなところを左手に抜けて、適当に上ると、しばらくで踏み跡に合流する。
国土地理院に記載されている破線の道はもっと下にあるが、おそらく上にあるこの踏み跡が破線としての元々の道でないだろうか、これより下側の斜面は谷へと切れ落ちていて、踏み跡もなく簡単には歩けそうにない。


               石垣                       道

8:56、坊主谷に近づき、ほぼ地図上の破線に合流した位置あたりで右上は岩、そしてまた石垣が現れた。
石組の様子から、炭焼き窯と季節的な仮住まいの小屋跡だったのではないだろうかと憶測したが、どうだろう?
ひょっとすると住居跡だったのかもしれない。


               岩                       石垣

石垣のすぐ奥は苔むした岩ゴロの沢、坊主谷だ。
地図を見ると、右手に標高900mあたりまで崖マークが続いている。


              坊主谷                    カツラの木

台風や大雨のときには大量の流水があると思われるのだが、川床にはところどころ高いところがあって、カツラの大木が立っていたり、綺麗な石垣が残されていたりするので、谷全部を埋め尽くして流してしまうほどのものではなさそうだ。、


             岩ゴロ           標高600m付近の石垣(都合により、下の岩壁写真より先に配置)

標高560m付近で右岸に高い岩壁が現れた。
地図上では丁度、谷を跨いぐ破線の上辺りだが、右岸の岩壁下方は急斜面のうえ踏み跡はない。

当初、坊主谷南の尾根へ登って、1370m峰から一般道を歩いて国見山へ登るという計画だったが、江崎隊の元気なお二人のご意見に従って予定変更をした。
坊主谷を最後まで詰めて、国見山ちょい北の鞍部に乗る。
4人で話をした結果、これで行こうということになった。


                          岩壁

3月末にここを訪れたときにはまだ固い蕾だったヤマシャクは、花が咲き、すでにタネになっているものもある。
リンドウは里山でよく見かけるハルリンドウやフデリンドウよりやや小さくて、高さが3cmほどしかない。
コケリンドウかと思ったが、花弁が細く尖り星のような形をしていて容姿が異なる。
葉の形状はフデリンドウなのだが…?


             ヤマシャクヤク                 ??リンドウ


            ジロボウエンゴサク               シロバナネコノメソウ

小さくて目立たないトサコバイモ発見。
そしてbiscoさんが、ヤマウツボを見つけてくれて、上を歩いていたわたしを呼び止めてくれた。
トサコバイモもヤマウツボも初めて見る花、このときはうれしかった。
特にヤマウツボは寄生植物で、滅多矢鱈とお目にかかることのできない花だそうだ。
見れば見るほどに、変った花でした。


              トサコバイモ                  ヤマウツボ      

標高670m地点で、谷は二つに分かれ、ザレてくる。
右手を見上げると急峻な岩場でゴロゴロしていた。
左手の谷を登るが、大きな浮石が増え、ますます急登になる。
斜面は内側から見た大きな丼の縁のように、そっくり返っていた。
写真を撮る余裕がなくなった。



                沢を詰める(黙々と前を歩く佐々連さんとglicoさん)

ときおり、ガラーッと音を立てて、石が上から崩れ落ちてくる。
斜度が35度から40度くらいだと、乾いた砂地のような土に落石はすぐに潜り込んで止まってくれるが、50度前後にもなると危険だ。
岩ゴロの谷を離れ、左の小さな尾根に逃げた。


             ツツジがちらり                  斜度40度~45度超 

glicoさんはよほど谷へ戻って、最後まで坊主谷を攻めたかったらしくて、独特の言い回しで伝えてきたが、世の中の何の役にも立たないどころか卑しく飯ばかり喰らうクソジジイとはいえ、ここで怪我をしたり、命をむやみに捨てたくはなかったので言葉を濁して無視した。

前を行くglicoさんと佐々連さんには水をあけられ、後方からは迫られ、息はゼコゼコ、足は罪人につけられた鉄鎖を引きずるような重さで、動かなくなってしまった。
しばしば、立ち止まって息を整えないと、年寄はもたない。


              後方から詰められる               シハイスミレ

13:17、国見山山頂ちょい北の1360mの稜線に出た。
疲れて、足元ばかり見ながら歩いてると、biscoさんがカラマツがきれいだと声をかけてくれる。
そうだった、3年前にも国見山から川崎までこの稜線を歩いた。
同行者とカラマツ林を眺めながら、秋にばきれいな黄葉が見られるなと話したものです。

13:26、国見山山頂でリュックを投げ捨てるようにして、仰向けにへたり込む。
glicoさんが保冷剤にくるんで、山頂まで持ってきてくれたコーラを手渡してくれた。
有難い。
体を動かしたあと、のどがカラカラになったときに飲む炭酸飲料は格別にうまくて、のどの渇きがすぐに止まる。

この日は気温が全国的に高く、32度超えのところも。
山頂からの風景は青く霞み、天狗塚や野鹿池山も見えたが、写真の写りはよくない。


              カラマツ林                    国見山

記念撮影し、14:13、下山開始。

川崎方向に歩いて1343m峰から東北東の尾根を下った。
わたし、方向を間違えてしまい3人を南東に誘導してしまった。
そこは谷側で、景色が一気に開け、覗き込むようにして眼下を眺めた。
坊主谷は残念ながら見えなかったが、出発点付近の県道32号線が見えた。


              下山開始                     自然林

方向を東北東にとり、自然林がいっぱいの尾根を1200mまで下ったとき、右手に展望がありそうなコブがあったので、寄ってみた。
そこからは登る予定にしていた1370m峰への、結構、きつそうな尾根が見えた。
ここを登る機会が、のちにあるだろうか。
この年齢になると、たぶん、ない。
まだ、他にも行きたいところがたくさんあるし…。


                      1370峰東尾根

国土調査と記された白い頭の杭と、赤い頭の境界杭が尾根に沿って埋設されている。
それを追うようにして下ると、1200.3mPにある、三等三角点・川崎があった。


              境界杭                     1200.3m峰

自然林の気持ちのいい尾根で、ややバカ尾根っぽくて、方向がとりにくく外しやすい。
誤って、東南東へ下ってしまった。
向きを北へと修正しながら、黙々と下る。
お疲れ気味。


              林床                       林床

バカ尾根を過ぎてしばらく下ると、植林杉がちらほらし、踏み跡が現れた。
下る斜面の勾配がきつくなってきて、日がだいぶ傾いたのだろう日光が入らず、やや暗い。
やがて何軒かの廃屋の傍を通過し、17:05、狛犬が鎮座する妙見神社跡に到着。


              バカ尾根                    妙見神社跡

そこからほんの少し下がったところに小さな四等三角点のある田丸に到着。
座ってお茶を所望。
biscoさんによると、ここまで歩いた距離は約10kmほど。
いやー、たった10kmしか歩いてないんだー、異常に疲れ過ぎてます。

少し上には境内だろうか、そこには桜の木が一本あった。
3月29日の下見のときには、桜の花が丁度満開だったが、いまは若葉が茂っていた。


             狛犬                        559.2mP

一息入れた後、折り返すようにして西に下り、出逢った踏み跡を南に折れて下る。
途中に西へ直進する踏み跡もあるので注意を要するが、たぶん、その踏み跡は坊主谷への上部の道ではないかと思ったが、確認はできていない。
やがて谷筋に出る。
そこはザレていて道は消えており、適当に下ると再び踏み跡が現れ、さらに下ってゆく。
途中で小鳥の鳴き声を静かに聴きながら一息入れた。

三叉路に差し掛かるが、ここも左に下りる。
(右に行くと、朝歩いた坊主谷への下の道に繋がるのではないかと当て推量をした)
民家跡だろうか、いくつもの石垣の傍を下ってゆく。


             道                        石垣
             
17:52、やれやれ、やっと川床に着きました。
朝、渡渉した後、石の上に置いておいたクロックスに履き替えて、同じく保管しておいたストックを突いて冷たい水の中を、へっぴり腰で渡った。
着いた対岸で、濡れた足をタオルで拭きながら、陽が落ちそうになり暗くなった坊主谷右上部の峻険な岩峰をカメラに収める。


           祖谷川川床                      坊主谷の山

急斜面を登り返して、18:35、県道32号線沿いの駐車地点に帰り着いた。
佐々連さんがホッとしたように、「明るいうちに帰り着いてよかったー」という言葉が印象的でした。
glicoさんbiscoさんは、「やったね、達成感あるー」との感想。
わたし、「疲れすぎて、達成感なし、明日になっても(絶対に)感じれんわ」

距離の割に時間がかかり、疲労が激しい。
坊主谷はやはり手強かった。

佐々連さん、glicoさん、biscoさんお疲れさんでした。
三人が同行してくれてなかったら、周回することができたかどうか、甚だ怪しかった。
それと、江崎隊のお二人が、南の尾根周りを上がるのでなく、坊主谷奥の奥まで詰めて登ろうと言ってくれなかったら、どうなってたのか、これも気になって仕方がない。
今回はそいう山行でした。

帰宅して、ビールも飲めなくて、バタンキューでした。


           駐車場への斜面                   ヤマツツジ

駐車地点7:35-川床7:58-坊主谷8:58-稜線13:17ー13:26国見山14:13ー1343m峰14:48ー1200.3(三角点・川崎)15:35-559.2mP(妙見神社跡)17:05-川床17:52-18:35駐車地点


グーグルマップ(登山口など位置の分かる地図)→こちら
ルートラボ(距離・所要時間などがわかる地図)→こちら

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寒峰ーマドの天狗…徳島県

2017-06-22 | 祖谷山系

西寒峰、寒峰、マドの天狗     にしかんぽう、かんぽう、まどのてんぐ

山行日              2017年6月18日
標高               1518m、1604.8m、1245.7m
取りつき地点           林道日和茶坂瀬線沿い
下山口              高野
駐車場              取りつき地点なし(林道広い路肩、トラック走るため注意)、下山口なし(路肩)
トイレ              なし
水場               小島谷川上流
メンバー             アンジーパパさん、佐々連さん、むらくも



退職したのはいつだろう。
あの頃は、なにをやっても面白くない仕事に見切りをつけていた。
それになによりも冷え切った人間関係が、傾く退職への気持ちに拍車をかけていた。
原因は自分にあったが修復する気持ちなどさらさらなく、日々無駄な時間が過ぎて行くばかり。
活気が失われ、目が虚ろになった姿を鏡で発見したとき、もうこれは駄目だなと思った。
退職願を出した。
誰も何も云わなかった。
どこかへ働きに行こうという気持ちも起きず、しばらく退職金で食いつなぐことにした。
妻にこのことを告げたが、何も云わなかった。
このときに悟った。
誰かに何かを云ったとき、何も反応がないというのが一番辛いことだ。
退職後、休日以外はパソコンの前に座って、株のチャートをぼんやり眺めるようになった。
それまでの虚ろな顔に、ぼんやりの陰が加わった。
見かねた妻がこんな仕事があるよとか、シルバー人材センターへ行ってみればと云った。
おまえ、ようもこんな覇気のない生活力のない男と結婚する気になったなー、と云ったところ、少し間をおいて、明るく楽しく生きようねと云いニタッと笑った。
そのとおりだ。
そのとおりだけど腹が立ったので頭をシバいてやった
誰かに何かを云ったとき、黙られるのも辛いが、返事に間が空くというのも真意がどういうことなのかということを学ぶことができた。
人生は弛むことのない教育現場のようだ。

おかげさまで、12年余り経たいま、何をしても幸せだと感じるようになった。
ご飯を食べてゆっくり咀嚼をしているときも、寝そべって本を読んでいても、トイレで腰かけていても、あー、幸せだなーと心底思う。
たぶん、少々呆けてきたんだろう。
69才、昔ならいざ知らず、長寿社会の現代ではまだ若い。
それなのにもう恍惚の世界で朦朧と漂っている。
そのうち、「あの爺さん死んだがー」「えっ!いつ?」「呆けてのー」「どこで?」「いつの間にか山に入って、骨だけが見つかったがー、DNA鑑定したら爺さんじゃった」「ひえー、どしたこっちゃ」「何日も徘徊しとったらしい」「呆けて山で徘徊なんぞされた日にゃー、探すの困ったじゃろなー」「んだんだ、あんたも気をつけろや」「気をつけろゆわれてものー、呆けたんじゃわからまいて」「んだわのー」。




というわけで、この4月末でめでたく退職した、佐々連さんのお祝い山行をすることにした。
佐々連さんはわたしとは出来が違う。
しっかり退職年齢まで勤め上げ、そして嘱望されて再雇用、以前と変わらずいまも現役バリバリで働いている。


 林道日和茶坂瀬線取りつき付近の様子            取りつき地点

目指す山は、前日に妻たち6人が歩いた寒峰だ。
西寒峰の西尾根を歩いて1156m峰ー1339m峰ー西寒峰ー寒峰ー寒峰登山口ー寒峰台地ーマドの天狗ー高野へ下山。
取りつきは佐野集落の上を走っている、林道日和茶坂瀬線沿いにある。

AM5:00に自宅を出発し、佐々連さん宅5:15、アンジーパパさんと7:00に祖谷ふれあい公園で待ち合わせ。
高野へ車を一台デポし、7:30取りつき地点北側の林道路肩に駐車。
林道は木材搬出作業のため普段大型トラックが走っており、邪魔にならない位置に止める。

多くはないがすでにブヨが飛んでおり、赤いスーパー森林香に火を点け、ザックに括り付けた。
一年ぶり、プーンと独特の匂いの、わずかに立ちのぼる煙が山間の静かなアスファルト車道に漂う。

昨日6人が取りついた急斜面には蹴散らかせた足跡が残されていた。
6人の内訳は女五匹の中に男一匹、両手に花どころじゃない、実もならん。
筋肉隆々の口五つには、太刀打ちできんちゃ。

8:12、取りつき開始。


          境界杭                       TVアンテナ

驚いたことに、斜面を上がると目の前にワイヤーがとぐろを巻いており、シカ罠が仕掛けられている。
慎重に避けて尾根上に出るとすぐに境界杭が目に入った。
杭を追いつつ1156mピークを過ぎて間もなく、標高おおよそ1170m辺りで佐野集落の民家のものだろうか、VHFアンテナがあった。
役目を終えたのかいまは繋がっていないようだった。

9:00、1339m峰通過。


   アオテンナンショウ?             ヤマブドウ

山間での生活はテレビがあるのとないのとでは随分と違うんでしょうね。
夜になっても寂しくないように思う。
ラジオしかなかった頃は、浪花節や落語などに人気があったようだが、わたしらの年代になるとヤンリク(ヤングリクエスト)とかヤンタン(ヤングタウン)、いまでもやってるそうだがオールナイトニッポンなんてのが流行ってて、手作りのラジオで深夜まで聴いていた。


  西寒峰山頂手前の尾根の様子                  カマツカ

お年寄りになると、話しが病気や体のことになっていけない。
うちで飼ってた犬はもう亡くなったが、佐々連さんも飼ってるし、アンジーパパさんもアンジーというわんちゃんを飼っている。
犬も結構病気に罹って大変、人間と違って原因不明の場合が多い。
言葉がしゃべれないから病状がわからないのだ。
そんなときは大概が点滴をするらしいのだが、健康保険などない。
窓口で、はい、治療費ん万円ねと云われてギョッとする。
わんちゃんの病気の話から夜のおしっこの話になってしまった。
頻尿やパンツにおしっこがヨボウて濡らすことなど、わざわざ山でする話かと思う。


           中津山                   テンニンソウ群生

遠くからかすかにセミたちやシカの鳴き声が聞こえてくる。
やがてテンニンソウの下草が現れ、緑ゝした風景になった。


                  三嶺、天狗塚、牛ノ背

動物たちのたくさんの足跡が残るちょっとした裸地からは、南東に三嶺や天狗塚、牛ノ背が見渡せ、立ち止まった三人、しばらく眼前に広がる景色に見とれる。


         西寒峰山頂                       寒峰

9:44、西寒峰山頂に到着したようだ。
そこはただ平たく、山頂らしくないところで、小さな杭と赤とピンクのテープがそれぞれの木の枝に括り付けられているだけだった。
前方に寒峰が見えてきた。
寒峰へは住吉神社から登るのが一般的で、登山道は西寒峰の山頂を通過するものと思い込んでいたが、違っていた。
一般道は西寒峰の東を巻いていたのだ。
何度か一般道を歩いているのに…、今日そのことに気がついた。
お粗末。


        西寒峰・寒峰鞍部                 ギンリョウソウ

適当に尾根を辿って、鞍部へ下り、9:54、一般道と合流した。


             ブナ                      メギの花
    
久しぶりに見上げる大ブナ。


        ベニドウダン?                   滝下の天狗

もう少しで山頂、寒峰峠を過ぎ、早春に咲くフクジュソウの群生地を越え、笹原へ。
10:25、山頂に立つ。


                       寒峰山頂
                 
烏帽子山、剣山、天狗塚、腕山、国見山などなど三角点そばの草地に腰を下ろし360度鳥の目になる。
※写真を撮り忘れた。
 前日に登った妻の写真を拝借、空の雲の容子がだいぶ違っている。


                    烏帽子山・落合峠方面

この写真も妻の写真を拝借した。


      寒峰台地方向への笹原              寒峰峠への古の道

20分ほど景色を楽しんだあと、台地方面への笹原を下る。
しばらく獣道を辿って樹林帯に入り、慎重に進んだつもりだったが、尾根を間違えてしまった。
この尾根、過去に上り下り併せて4回歩いているが、下りでは一度はまともな尾根に、二度目は北の尾根に、そして三度目の今日南西尾根に迷い込んだ。
尾根を幾分登り返して北へ振ったところ、しっかりした踏み跡に乗った。
これがラッキーなことにまだ歩いたことのない寒峰峠への古の道だった。
昔、どんな人たちがここを歩いたのだろうか。
佐々連さんの話では一日で山道を30kmを超えて歩いていたらしい。
スピードは相当なもので、重い荷物を背負って、いまのわたしたちの倍以上の距離を同等もしくは短い時間で歩く。
当時の幹線道は山道しかなく、スポドリや甘いお菓子もなく、山水を飲んで、一個の梅干しの入ったおにぎりでさえ贅沢でなかったかと思われる。
いまのように車でゴトゴト走った山の中腹かそれ以上の高い位置に登山口があるわけでなく、村から村、麓から麓を繋いで歩き、出来る限り一日で行って帰ってくる。
そらおとろしい。


     木漏れ日の下で一休み           寒峰登山口ちょっこし手前にて…

やがて見覚えのある尾根に乗っかり、ホッとした。
地図に記されている崖マークのちょい先で、尾根から外れて谷へと下り、小さなケルンのある気持ちのいい場所でお昼ご飯とした。
20分ほど休んで再び歩きだす。
すぐに沢へと突き当たるが、左岸に沿って下ってゆくと前方に小さな沢が行く手を遮るので、そこから右手本沢を渡って右岸へ。
本沢を渡る箇所には前日に歩いた妻たちが、わたしたちへの目印にと、小さな石を二か所積み重ねていた。
アンジーパパさんが、この目印はわたしたちへの妻からのほんに小さな愛情だねと云う。
アンジーパパさんは優しい人だなー。
わたしゃ、なんだか背中がムニョムニョした。


         ヤマボウシ                   フタリシズカ

テンニンソウが蔽い茂る場所を適当に突っ切って、12:06、日和茶坂瀬林道に降り立つ。
そこは伐採地の真下(筒で保護された若い苗木が植えられている)、丁度ヤブウツギの紅い花が咲く場所で、昔はここにはっきりした登山口があったらしいのだが、いまはヤブ化してわかりにくくなっている。

林道を歩いて橋を渡り、伐採林の貯木場となっている台地鞍部へ。
途中、オフロード仕様のワンボックスカーに出合った。
いい車だなーと思いつつ見送ろうとしたら、すぐ横にとまって窓から話しかけてきた。
「どちらへ」「寒峰から降りてきて、これからマドの天狗へ」「ヘー、ホー、ところで寒峰への尾根で花は咲いてなかった?」「いんにゃ、見かけんかった。テンニンソウくらいじゃね」「ホーナー、ところでムニョムニョムニョ」「へー、ほんとに、いい情報ありがとう、ほいじゃね」ってなもんで、思いがけないところでいいお話を聞かせてもらいました。
それはなんたらという山で、こったらという花が咲いているというおいしい情報でした。
同じ徳島の山で一度登ったことがあるが、ルートが異なっており、山頂へ行くには難儀しそうなところだった。
うーん、残念ながらお返しできるいいネタを、わたしたちは持ち合わせていない。

貯木場では山積みされた貯木が置かれていたが、今日は日曜日で作業は行われていない。


       寒峰台地尾根                      ウツギ

フタリシズカの咲く林道から緩やかな尾根に乗り、台地を歩く。
少し歩いたところで四方峠を通過し、なおも嫋やかなコブをいくつか越えて…



                 寒峰・西寒峰および西尾根

途中で台地の腹にべったり腰かけて、持参してきたスイカやパイナップルをつまむ。
山で食べる水分たっぷりの果物は格別においしくて、すきっとする。
果物から摂取した冷たい水分が身体全体に染み込み、木蔭から吹いてくる風が辺りを包み込むようにしてふわりと通り抜けてゆく。

ヒーコラ!
重い脚を引きずりながら、何度か立ち止まりしては後ろを振り返る。、


                     マドの天狗

14:13、これで四度目となる山頂に立った。
木蔭で一休みしながら、スマホ談義。
佐々連さんとわたしはガラケー派、スマホを持っているアンジーパパさんは自称アナログ派。
パパさんはスマホの操作を奥方のがあべらさんに教授してもらってるそうだ。
三度同じことを訊くとさすがに優しいがあべらさんもたちまち鬼の形相になり、カミナリを落とす。
ところがご子息は大変によくできた子で、何度訊いても丁寧に詳しく教えてくれるという。
ほんとうか、信じられねえ、単なる親バカでねえのか、根性の悪いハラグロな私はそう思ったが、口にはしなかった。
いやいや、奥さんが正しい。

アンジーパパさんは、池田大橋の袂にパソコン教室の看板があって「何度でも聞いてください100回でもお教えします」という宣伝文句があるのやが、あれいいねーと感心してた。
パパさんの気持ちが素直に伝わってきた。


         高野の民家                   薔薇のアーチ

どっこいしょ、さて車の待つ高野へ下りますか。
小さなコブを何度もエスカレーターのように、上がったり下りたりしながら、ジャスト1時間で青い屋根のある高野へ降り、真っ赤な薔薇のアーチをくぐった。
朝、お会いした民家の方に駐車のお礼を述べて、車に乗り込み佐野へと走った。

取りつき地点8:12-西寒峰9:44-10:25寒峰10:44ー<途中昼食20分>-寒峰登山口12:06ー寒峰台地ー<途中休息13分>-14:13マドの天狗14:22-15:22高野


グーグルマップ(取りつき地点などの位置がわかる地図)→こちら
ルートラボ(時間・距離などがわかりやすい地図)→こちら

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国見山…徳島県

2017-04-26 | 祖谷山系

国見山                くにみやま



山行日                2017年4月23日
標高                 1409.1m
登山口                三好市山城町国政橋
下山口                三好市山城町西宇赤川橋
駐車場                なし(国道32号線沿い拾い路肩)
トイレ                なし
水場                 ウッチョキから300mほど破線の道を北へ歩いたところ
メンバー               単独




国政橋から赤川橋へのコースをチマチマ隊長(旧HN・坊主)に教えてもらい、国見山を目指して歩いたのは昨年の12月、このときは時間がなくて稜線へ出て国見山へ登るのをを諦め、横掛道を歩いて赤川橋へと下ってしまった。
年が明け、雪は解けて、いまは随分と日が長くなった。
近くの公園や、ご近所さんの屋根の上では鯉のぼりが風に吹かれて泳いでいる。
比較的距離の短い横掛道に要した時間は8時間20分、国見山まで歩くとなると距離は随分と長くなるので、所要時間をざっと10時間と見積もった。
前回より1時間ほど早めて自宅を出発。



ところがどっこい、山本町の外れにあるコンビニへ寄ったところ、財布と運転免許証を忘れてきたことに気づいた。
引き返して、30分のロス。
7時40分、国政橋付近、32号線の広い路肩に駐車。



国政橋を渡りながら小歩危峡を覗くと吉野川を流れる水は深い青緑色、岸辺の岩場にはピンク色をしたキシツツジが満開。
足元の隙間から下を覗くとめまいがするくらいに高度感があって、足がすくんだ。
怖いもの見たさで再び覗き、足を震わす。
朝の光は斜めに降り注ぎ、まだ川床には達せず、国道より上にある山肌を照らしているが、新緑の落葉広葉樹と濃い緑の針葉樹が斑模様に浮かび上がっていた。

渡り終えて、左に踏み跡がないか確かめてみた。
前回来た時には気づかなかったが、わずかに左上に向かって踏み跡が確認できた。
辿ってみると、すぐに滝があって、踏み跡はなおも左方向にわずかに下っている。
道には落ち葉が積もっていて、最近に歩かれた形跡はなかったが、おそらく標高550m付近にある正木集落への道だったものと思われるが、確かめたわけではなく推測だ。
確認するのはまたの日にすることにして、滝の右手、南東への尾根に取り付いた。



斜面を登っていくと、石垣や潰れた小さな小屋が現れたりで、なんにもない植林の急勾配ばかりだと思ってたので少し驚いた。
クロモジの黄色い花が咲き、お茶の木が一面に茂っている所に出て、なおも石垣が続くその先には廃小屋が一軒ポツリ。



陽はだいぶ高くなった。
杉の林床に茂る光沢のあるお茶の葉を照らし出す。
そこからちょっとばかし上へ進むとカーブミラーのある車道に飛び出した。
車道は標高540m付近にあって、川崎から延びている林道川崎・国見山線だ。
どうやら、廃小屋の少し上からは前回歩いたところと同じコースを辿ったようで見覚えがあった。
前回のように林道を辿らず、自然林の尾根を前進。
すぐに正木から延びている破線の道に合流。
電信柱の折れたものが転がり、道はY字に分岐、一方は右に下り、一方はやや左に上っている。
左にとり、さらに踏み跡を外して尾根に乗り、標高897.5mの△正木方向を目指す。



9:13、再び川崎から延びている上の破線の道に合流したが、横切り尾根を直進する。
9:34、三度川崎から延びる三段目の一番上にある破線の踏み跡に乗った。
この踏み跡は2年前にアンジーパパさん、佐々連さんと三人で国見山から川崎へと縦走したときに歩いた道だった。
三角点正木へは寄らずに、縦走路を歩くと、ほどなく見覚えのある「打置」の地名板が立てられているところに出る。
傍には「ウッチョキ」と記された板が横たわっていた。

歳が寄った所為だろうか、2年前の記憶は残っているのだが、5年も6年も昔に思えて仕方がない。
なにしろ、国見山へ行けずに敗退した昨年12月はわずか5か月も経ってないにもかかわらず、一年以上も経ったような感じなのです。
原因はたぶん記憶力の減退による影響が大きいのだと思う。
わかりやすく言うとボケが始まってるのではないかと懸念している。



9:43、△正木の南鞍部で林道に合流。
林道は東西に跨り、稜線上南にも延びている。
否が応でも林道歩きをせざるを得ない。



しばらくは我慢の林道歩きだが、幸いハラハラと風に舞って散る山桜の花びらやシロモジの花を楽しむことが出来た。
ミツバツツジのピンクの花も満開、ただし、ミツバツツジは四国には自生しておらず、正確にはミツバツツジ類というべきなのですが、種類がいろいろあって詳しいことはわからない。
うんこらどっこいしょ、林道にへたり込んで10分ほどの間バナナ休憩。
10:23、1018mピークのちょい手前で「風穴」の地名板の立った地点に到着。
2分で1018mピークだったがなにもない。



暖かくなってくると野鳥も冬鳥から夏鳥へ、そして巣作りを始めたりして活発になる。
この日も鷹だろうか、高いところからピーッと警戒音を挙げていたり、ヤマガラがジージーと鳴いたり、ヒガラだろうかツツピーと鳴いたりで、あー、春の山に来たなと思う。
だが、悲しいかな目が悪くて、近くの木の枝に止まっていてもどの鳥なのか判別できないでいる。
10:41、1018mピーク西南西にあるおおよそ1160mピークに差し掛かるちょい手前で伐採地跡に植林されたスギかヒノキかの若い苗が筒に入れられ林立している所を通過。
その先で林道はなくなり、自然林の稜線を歩くようになる。
1160mピークの林の向こうにはこれからゆく1343mと1352mピークが並んで見えていた。



1160mピークから南に下った鞍部には「宝殿」の地名板。
そこから真東には中津富士と呼ばれている中津山が端正な姿を見せている。
高い梢には真っ白なタムシバの花が咲く。
2年前、4月のこの時期に来たが、タムシバの花は見かけなかったし、ヤマザクラはとっくに終わっていた。
今年は開花がやや遅れているようだ。



アセビが花を咲かせているところを過ぎて、ひと踏ん張りで1343mピーク、時刻は11:31。
予定より早くて、順調、稜線の道は歩きよく快適だ



大きなヌタ場らしいものがあったが、動物の足跡はない。
11:51、1352mピーク通過。



一旦40m余り下って、東側の中津山を眺めながら国見山へのブナ尾根を登る。




12:07、先客お二人がいる国見山山頂に到着。
午後2時頃までに着けばなんとかなると思ってたが、2時間早く到着することが出来、万々歳、復路は随分と余裕が出来ました。
山頂から南東には天狗塚辺りが見えています。



休憩している間に3名の方たちが到着し、少し賑やかに。
アケボノツツジの咲く山域情報やカタクリが咲きだしたことなどお話したりして、12:34、山頂を後にした。
写真の右後方には1352mピークが写っており、植林帯がモヒカン刈りのような頭をしている。
あの植林帯と自然林の境目を西に下るのが、今日予定している復路のコース。



1352mピークをほんの少し西に巻いて尾根を下るが、意外と急斜面だ。
13:02、少し緩やかなところに差し掛かかったところで作業用モノレールに出くわした。
標高おおよそ1120mの位置だ。
モノレールは南から向かってきていて、この位置で終わっている。
何に使ったのか不明だが、そういえば国見山から大歩危へと続く破線の道のある尾根にはモノレールがあったことを思い出した。
あのモノレールの延長だろうか?
そんなことを考えながら歩いていると、やがて方向が南へズレていることに気がついた。
修正して北西への尾根へと進む。
ところがこの北西の尾根は曲者で、放置された伐採林が所狭しといわんばかりにゴロゴロ横たわっていて、進みたい方向に下れない。



伐採地は長く続く。
倒木の切れ目ではニョイと着きだしたハシリドコロの花が咲き、心を和ましてくれる。
やっとこさ倒木が少なくなったなと思ってたら、今度は茂った灌木や一面ミツマタの林。
少し開けたところに出てホッとする。



ホットしたのもつかの間、またまたミツマタの花咲くヤブに突入。
14:11、廃車の棄てられた林道に出たのでそれに沿って少し下ってみた。



林道から見た対面の山と集落。
西宇の集落と思われる。
林道は南へと下っていたので止めて、引き返し気味に踏み跡のない北西への尾根を下る。



14:29、標高おおよそ560mで再び林道に出合った。
ヤブに嫌気がさしていたこともあって、林道に従った。
最初は石がごろごろしている荒れた道だったが、次第に歩きよくなり、やがて椿の花の咲き残る歩きよい道になり、ユキモチソウがほんの二輪ほど道端に咲いたりしていた。



長い林道歩きをして、やっとのことで谷に流れる水音が響く麓まで下りてきて、見覚えのあるオフロード車が棄てられた赤川橋の袂へ到着。
橋の袂の地べたに座り込んで、熱いコーヒーを淹れて一息。



飲んだコーヒーの美味しかったこと。
15:16、自分の体重でほんの少し揺れる橋を渡り、川床のキシツツジを眺めながら駐車地点へ帰りついたのが16:00でした。
車のドアを開けて、シートに座り、帽子やチョッキを脱いだとたん、白いものがいくつもパラパラ落ちた。
ミツマタの花びらだった。

<後記>
国政橋から国見山へは歩きよく、特に宝殿手前のおおよそ1160mピークあたりから気持ちの良い自然林が続くが、1352mピークから西尾根を下って、標高おおよそ1100mから北西へ派生する尾根筋は伐採した倒木が長く続き、灌木やミツマタの茂るヤブが待ち構えている。
最後は長い荒れた林道歩きを余儀なくされる。
歩けないことはないが、避けたほうがいい。
国政橋から周回をするのであれば、国見山から大歩危へと下り、大歩危駅から小歩危駅へとJRで繋いで国政橋へと車道歩きをするのも一案だと思った。

国政橋7:41-林道川崎・国見山線8:49ー打置(ウッチョキ)9:36ー風穴10:23-宝殿10:54-1343mピーク11:31-1352mピーク11:51ー12:07国見山12:34-1352mピーク西尾根12:46-北西尾根13:11ー15:07赤川橋15:16ー16:00国政橋駐車地点


グーグルマップ(登山口など位置のわかる地図)→こちら
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