むらくも

四国の山歩き

蓼科山…八ヶ岳連峰

2018-07-31 | 日本百名山

蓼科山                 たてしなやま

 

山行日                 2018年7月24日
標高                  2540.7m
登山口                 長野県茅野市北山すずらん峠女乃神茶屋
下山口                     〃   竜源橋
駐車場                 登山口近く、おおよそ20台
水場                  なし(飲み物等、蓼科山頂ヒュッテおよび蓼科山荘にて販売)
トイレ                 登山口駐車場、ヒュッテおよび山荘(有料)
メンバー                坊主さん、ピオーネ、むらくも


       連日の猛暑の最中、ちまちまっと蓼科山へ出かける。
       蓼科山は諏訪富士とも呼ばれていて、麓から眺める姿、特に晴れた日の女神湖に映る逆さ富士は美しい。
       地図を眺めると、八ヶ岳山塊は北の蓼科山から南の編笠山までが一つの大きな塊に見える。
       その山塊は北八ヶ岳と南八ヶ岳にわけられているが、北八ヶ岳にはなぜか蓼科山は含まれておらず、コ
       ースは大河原峠から夏沢峠までとなっており、北八ヶ岳登山マップから外れている。
       北八ヶ岳の主峰は日本200名山の天狗岳で標高2646mの西天狗となっている。
       一方、南八ヶ岳は夏沢峠から南で、主峰は標高2899.4mの赤岳で八ヶ岳連峰の象徴、日本百名山
       の一つだ。

       日本百名山の一つ蓼科山は北横岳との間に流れる滝の湯川によって、別格の存在になっている。
       とはいっても、滝の湯川の上流にある蓼科山・北横岳を最短コースで繋ぐ天祥寺原にある分岐地点2カ所
       の標高は1950m~1980mの間にあり、西日本最高峰の石鎚山および第二の剣山の標高に匹敵する。
       少し長いコースにはなるが、蓼科山ー大河原峠ー双子池ー大岳ー北横岳は、一番低い双子池で標高おおよ
       そ2030mある。
       どのコースを選んでどこまで歩くかはその人をとりまく環境と、脚力・体力次第だ。


 

       坊主さんを除いて、金欠に加えて三つとも欠けているわたしたちはチマチマ隊の本領を発揮。
       香川を23日午前中に出発し白樺湖畔で前泊、翌日、すずらん峠に近い蓼科山登山口から登り、蓼科山ー将
       軍平(蓼科山荘)-天祥寺原ー北横岳を経て蓼科ロープウェイを使って下山。
       深夜の高速を走り、25日未明に帰宅。
       それぞれの家庭事情を考慮し、許される範囲の日程で日帰り登山で歩くことにした。 

 
駐車場                    女乃神茶屋

                     23日9時前に香川を出発し、一日運転したが、途中多治見市に入る直前のところで、車内の外気温計は
       41℃を示した。
       熊谷では41.1℃を記録、2013年に国内最高気温を出した高知・江川崎の41℃を上回った。
       地球温暖化が世界的な問題となって、第1回世界気候会議が1979年に開催されたが、その頃の国内
       最高気温は40℃に届いてなかった。
       年を追うごとに、記録を更新し、猛暑日数は増えてきている。

       前泊は白樺湖畔の宿、エアコンをがんがん掛けて寝ようと構えてたが、さすがは避暑地、夜の宿は窓を
       開けるとひんやりした空気が入ってきて、ヘソ天で寝ようものなら風邪を引きそうな気温だった。
       早朝4時半、夜明け前の白樺湖を後にしてビーナスラインを走り、すずらん峠付近にある標高おおよそ1
       720mの蓼科山登山口へ向かう。
       駐車場はおおよそ20台ほどのスペース、清潔なトイレも設置されていて、すでに2台止まっていた。

 
蓼科山登山口               笹の茂る登山道


                    気温は16℃、ひんやりした空気の中、駐車場より少し下った女乃神茶屋のむかいにある登山口から
                    登山道へ入ってゆく。
                    熊笹が茂っていて、四国の山と変らぬ風景だったが、白樺樹林が趣を異にしている。
                    近くのウグイスはしきりと警戒音を挙げ、遠くのウグイスはあの耳慣れた間のあるのんびりした声で鳴く。

 
白樺樹林                   登山道

                     一人の男性が軽い挨拶を投げかけて慣れたストックさばきで追い抜いて行った。
       樹林はやがて針葉樹が混ざり、40分ほどで登山道は勾配がやや急になり、石がごろごろ転がっている。

 
オトギリソウ              キバナオダマキ

                    標高1950m付近で、耳慣れない鳥の鳴き声が聴こえてきた。
       四国の山を歩いていると、この時季語りかけるようにピッピリピと鳴くオオルリがいるが、この山の
       あちこちでチュリチュリチュリリリと鳴く。
       姿を探したが見えない。
       多くの野鳥は人が歩いていると警戒して姿を現さない。
       動かずに木陰などでジッと隠れるようにして座っていると現してくれるが、せっかちな性格にはむかない。
          
       スマホのボイスメモを立ち上げ、鳴き声を録音して持ち帰り、家でじっくり再生してみた。
       どうやらサメビタキかコサメビタキのどちらかのようで、高山の針広葉樹林帯で暮らしている夏鳥のようで、
       可愛い目をした小鳥のようです。

 
雲海                    ヒガラ

        足元にオトギリソウやキバナオダマキなどの花がぽとぽち咲いていて、ときどき足を休め、喘ぐ息
       を整える。
       ちょっとした岩場では景色が開けて、車山だろうか、雲海の下は諏訪市のようです。
       3mほど先で小鳥が足元でしきりとなにかをついばんでいる。
       シジュウカラとヒガラをよく間違えてしまうのですが、モヒカン刈りのような頭に白い筋毛があ
       るのでヒガラのようでした。

 
2113.7m三角点               シラビソ林

                     気温も低く空気も爽やかなのですが、高山病体質の妻と私は息が上がりゼーハー、足も重たい。
       坊主さんは涼しい顔して登ってます。
       登りだして1時間半後、標高2113.7mにある点名蓼科麦草の三角点に到着。
       三角点の傍にはシラビソでしょうか、葉の裏が白く見える。
       四国の石鎚山系や剣山系にはシコクシラベという針葉樹があるが、このシラビソの変種でほとんど
       見分けがつかないらしい。
       よく似た樹にウラジロモミがあるが、シラビソよりは少し低山に生えており、別名ダケモミという。

 
コケモモ                    幸徳平

                     ここで15分ほど休息し、朝食。
       昨夜、コンビニで買っておいた冷麺をいただく。
       塩分補給を兼ねて、からしを混ぜた掛け汁を全部飲み干した。
       ングッ ガラーイ!
       三角点から20分ほどで「幸徳平」というところに着いたがなんと読むのか、コウトクダイラ?
       坊主さんが、コウノリヘイと読んだ。
       三木のり平という俳優さんは知っているが…?
       わしゃ知らん。
       まだ赤く染まっていない赤とんぼがたくさん飛んでいる。

 
南八ヶ岳                   ダケカンバ

       岩ゴロの登山道はますます急勾配になり、後ろを振り返ると八ヶ岳最高峰の赤岳や阿弥陀岳、編笠山
       が望めた。
       この高度になるとさすがに白樺は見えなくなったが、代わりにダケカンバの樹林となる。
                   7:20、標高2230m、左手に大きく崩れ落ちた斜面が見えた。
       地理院地図にも載っているのでこの傷痕は古いようだ。

 
早くも…                   〇〇〇イチヤク

                  7:35、標高おおよそ2300m、登山口間もなくして追い抜いて行ったソロ男性が下山してきた。
      標高差800mを、おおよそ2時間ほどで山頂に行ったことになる。
      平均、上り100m15分だ。
      男性は若くはないようだったので、年齢のわりには速い! 
      写真はベニバナイチヤクソウだろうか、葉が丸くて花弁に赤みが差している。

 
蓼科湖                      白骨樹

                    8:00、横に帯状になった立ち枯れの白骨樹林に入った。
       8:07、南西にある蓼科湖が見えてきた。
       8:10、再び帯状の白骨樹林帯に入った。
       北横岳の南に縞枯山があるが、この八ヶ岳の山域にはところどころにシラビソの立ち枯れがある。
       縞模様になって枯れていることから縞枯れと呼ばれているようだ。

 
縞枯れ                   岩場

                    縞枯れの原因はシラビソの生えた地が岩稜帯で、強い風、瘠せた岩場、厳しい環境がゆえに立ち枯れ
       したと考えられている。
       頂上が近づいてきたようで、岩の間からはところどころにハイマツが覗く登山道が続く。

 
岩場                   山荘付近

                     標高2450mに達したところで、西側に開けている風景を堪能するため岩場に腰を降ろした。
       白樺湖の奥に車山高原スキー場が見え、遥か遠くに北アルプスの嶺が霞んでいる。
       
       ハイマツの陰からライチョウが顔を出さないか、坊主さんがそんなことを呟きながらきょときょと
       目をしょぼつかせながら歩く。

 
山荘付近                     山頂へ

       目の前にヒュッテが見えてきた。
       山頂はここからゆっくり歩いて3分のところにある。

 
一等三角点                 岩だらけ

                    8:45、標高2530.7m、一等三角点・蓼科山
       後方は北横岳
       山頂周辺は岩だらけの広い平坦地。


蓼科神社

                     蓼科山は富士山と同じくコニーデ型火山。
       この広い岩だらけの風景は溶岩円頂丘というらしいのですが、わかりやすく言うと溶岩台地という
       ことでしょうか?
       岩だらけの真ん中辺りには鳥居と小さな祠がある。


山頂西端

       なんとも不思議な光景だ。
       神社から岩の上をよたよたと酔っ払いが歩くようにして、西端まで行ってみた。
                  何かはわからかったがコンクリートの円柱があって、素晴らしい眺望が得られた。

 
北方向                 白樺湖・車山

       浅間山だろうか?
       西には、昨夜、泊まった白樺湖と車山のスキー場らしい緑緑した山肌が見えている。


八ヶ岳主峰

                    南に目を転じると、左から横岳、赤岳、阿弥陀岳、権現岳、編笠山などの南八ヶ岳の峰々が並ぶ。
                     右側遠くに見える山並は南アルプスの一角のようでした。


溶岩円頂丘

       再び、ごろごろ岩をクキクキと避けながらヒュッテ方向に歩く。
       この歳になって冬場に来ることは叶わないのですが、もし仮に来たとしても、ここを歩きたいとは思わない。
       岩間に雪が覆い被さり、踏み抜いた途端に足が穴に落ち込み、ねん挫する事故が起きそうだ。

 
ヘリ                    蓼科山頂ヒュッテ

       ヒュッテに近づくと、谷の向こうからヘリが飛んできた。
       ヘルメットを被ったヒュッテの方と思われる人が、大きく手で伏せろの合図を送ってくる。
       道にしゃがみこんだ。
       バタバタバター!
       ヒュッテの屋根すれすれにホバリングしたヘリは瞬く間に荷物を降ろし、空荷を積んで谷間へと消えた。
       立ち上がって荷下ろし現場へ近づいてみると、それはビールばっかりだった。
       ヒュッテの方は忙しそうにして、荷を小屋の中へ運んでいる。


将軍平・大河原峠方向へ

       うーむ!
       冷えたビールが…。
       ウマいだろうな。
       なんでも、ここのヒュッテ内にはピアノが置いてあったりして、季節のおりおりにイベントが催され
       てるそうで、料理もいけるという話だ。
       後ろ髪を曳かれ乍ら将軍平へと下る。

 
鞍部に蓼科山荘が…                 ミヤマホツツジ

       蓼科山は日本百名山の一つですが、日帰りで簡単に上り下りできるので、泊まる登山者はわりと少
       なく、この時季の他の山小屋のように一つの布団で二人とかいう混雑はなさそうで、ゆっくり出来
       る。
       こういう山が四国にもあれば、朝出会ったソロの方のようにたびたび訪れることができる。
       たかだか2000m程度で、高山病に悩まされるわたしたちもいい高所訓練になるのだが。

 
ハクサンフウロ              蓼科山荘

        将軍平にある蓼科山荘に下りる間の、岩ゴロの登山道をたくさんの人たちが登ってくる。
       たぶん、蓼科山へ登るのに最も手頃なコースの大河原峠かもしくは白樺高原国際スキー場の上にある
       七合目登山口から出発された方たちのようでした。
       9:45、シシウドの咲く蓼科山荘に到着。

                   
山菜きのこラーメンに長門牧場アイスクリーム                   分岐

        太陽がカンカンに照りつけ、じわっと気温が上がってきた。
       おいしそうなアイスクリームの看板がいやでも目に付く。
       中に入って注文し、ご主人らしき方としばらくお話をさせていただいた。
       
       アイスクリームは濃厚だ。
       麓にある長門牧場で搾りたての牛の乳で作ったアイスでした。
       山菜きのこラーメンとかも気になりまする。

 
アキアカネ                ヒメキマダラヒカゲ

        将軍平からは右折して、岩ゴロの道を天祥寺原へ下った。
       標高が下がり、時刻がお昼に近づくにつれ、やけに暑くなってきた。
       アイスクリーム効果は失せ、ふつふつと頭から湯気が立つ。   

 
ソロ縦走者                 蓼科山

        ヘルメットを背に括り付けた単独のすらりとした若い女性が登ってきた。
       阿弥陀岳から縦走してきたとのこと。
       蓼科山へ登り、下山後、3時半の最終バスを使って、登山口に駐車している車を回収するのだという。
       さすがに足が重たそうで、3時半の最終便が気がかりで、今回の山登りの一番の難所だとおっしゃってた。

 
北横岳                  天祥寺原

        11:20、標高おおよそ1960m、熊笹茂る天祥寺原分岐に到着したが、暑さも手伝ってグタグタ。
       妻もわたしも頭痛がしてきた。
       高山病持ちは、もっとも弱い人は1500mから1800mあたりで発症するといわれている。
       4~5時間経過したころに頭痛やむくみなどの症状が出ることを考えると、わたしたちはいまから
       遡って6時か7時くらいには高山病の原因となる高度に達していたことになる。
       その時刻に歩いていた高度は、2000mから2100m近辺だ。
       過去の経験からも2000m前後が濃厚。
       情けないことです。

 
苔                       竜源橋

        北横へ登り返すのは難儀と思いながら歩いてたら、なんと坊主さんまでもが、行くのを止めようと
       いいだした。
       暑さでやられたらしい。
       このーっ!軟弱者めがっ!!
       ホシガラスのガーガーという喚き声とともに、唸り声が北横の方から聞こえてきたような…?
       木陰にへたり込んでお昼ごはん。
       食後、とっとと苔道を下り、下山したとな。

 
女乃神展望台                 ビーナスライン

        ひと足早く下山したわたくしめは、焼けたアスファルトを歩き、車を回収したとさ。
       歩く途中、車の窓から男の子が「がんばって~!」エールを送ってくれた。
       マイッタなー。
       後から下山した二人を迎えるため、女乃神展望台へと車を回したが、後方のドアを開けたまま走っていた。
       二人にはボケがアホがと罵られてしまった。
       ワリに合わん。
       
       ビーナスラインをシャワーっと走り抜けるロードバイクの若者たちを尻目に、温泉までひとっ走り。
       いやー、連日のこの暑さ、堪えました。


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<コースタイム>

登山口5:05-6:30四等三角点蓼科麦草(標高2113.7m)6:45-8:45蓼科山山頂9:10-蓼科山頂ヒュッテ9:15-9:45蓼科山荘10:00-11:20天祥寺原分岐12:00-竜源橋13:20ー登山口13:40-13:45女乃神展望台

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