むらくも

四国の山歩き

直島の山…香川県

2017-02-23 | その他<香川の山>

地蔵山、チキリ峰、風戸山        じぞうやま、ちきりほう、せとやま


山行日                 2017年2月16日
標高                  122.9m、119m、116.5m
船の時刻など              四国汽船→こちら
島町営バス時刻表・レンタサイクルなど       
                    ベネッセアートサイト→こちら
登山口                 地蔵山<中学校前の道沿い生垣の間>、ちぎり峰<貯水槽右側>
                     風戸山<三菱マテリアル擂鉢谷堆積場フェンス右>
トイレ                 宮浦港および宮浦港から直島小・中への道沿いにコンビニ有り
水場など                宮浦港売店・自動販売機、上記コンビニ
メンバー                ピオーネ、むらくも



ピロリ菌がいなくなってほぼ4年、体重が増え続けトータル5kg増。
菌を放牧していた10年前と比べると、8kg増。
20年前比10kg増。
ピロリ菌による栄養横取りは微小なもので、主な原因は基礎代謝の低下。

危機感を感じて断食によるダイエットを始めた。
1回目4食抜き2kg減、1kgリバウンド。
2回目4食抜き1.5kg減、0.5kgリバウンド。
トータル2kg減。
目標はBMI22を目指して6kg減、やっと目標の数値の1/3に達したところ。

BMI22という数字がいいのかどうか、よくわからない。
最も病気になりにくい適正体重はBMI22だが、長寿体重となるとBMI25~30未満のちょいデブがよい。
しかし、単に長寿と健康長寿とは異なっており、病気をして寝たきり長生きというのも長寿に入るので話しはややこしい。
ならば健康長寿で長生きというのが一番いいのだが、それはもうちょい医学の進歩を待つ必要がありそうです。

断食によるダイエットがいいとは言えないかもしれないが、とにかく始めてしまった。
明日から2日間のダイエット宣言、もう止まらない。
そんな日に山へ行くことになった。
お天気がいい日には島の里山に遊ぶ、それとも断食、どっちを選ぶ?
どっちも選んだ。
行く島は直島。

2日間の断食、内心無理かもしれないなと思ったが、なぜかともに実行すると宣言した妻は絶対無理やと呟いた。
矛盾がある、宣言したことにはならん。
ならば、いけるところまで…。
この言葉は山での禁句用語、ギリギリまで行動してはならないことを意味しているが、山のことではないのでオゲンタイだ。



直島の一番高い山は標高122.9mの地蔵山。
行きたい山リストの一つとしてノートに記して、かれこれ10年以上になる。
やっと行く気になった。
前日の夕方、赤星山から帰ってきてすぐに寝てしまった。
日付が変わって間なしの、丑ひとつ時に目を覚まし、こもれびさんreikoさんエムテック松本さんの直島レポートを急いでちら読みした。
地蔵山はサルトリイバラやシダの茂るヤブ山、登山口には道標もなくわかりにくい。
大丈夫かなーと思いつつ、船便や島のバスなどアクセスを確認し、地蔵山以外のチキリ峰と風戸山の位置を押さえた。
他に京ノ山、鎧山、姫泊山がエムテック松本さんのレポで紹介されていたがいずれも酷いヤブ山、地蔵山はこの島の顔的存在なので外すことはできないが、妻からのブーイング必至、体力・時間制限も考え割愛した。


        高松港                    宮浦港
今日から二日間の断食の始まり、妻も減量につき合ってくれるので、小さなリュックに非常食だけを入れて自宅を6時に出発。
行動中の飲み物はお茶のみ、一応念のためにスポーツドリンクはリュックの底に入れたが、これも非常用、この日は本当に身軽でした。
高松港から1kmほど西側にある一日490円の駐車場に車を停め、コトコト歩いて四国汽船切符売場へ。

8:12、高松港出港、9:02直島宮浦港着岸。
着いて驚いた。
今まで行った瀬戸内の島と趣も雰囲気も少し違う。
港には大きなターミナルがドンと建っている。
建物は海の駅「なおしま」、フェリーターミナルだけでなくバスターミナル、待合室、インフォメーション、観光物産売り場、そしていいカフェがある。
なによりも意外と便数の多い町営バスが走っていて、便利そう。
すぐに発車する便があったが、肝心の登山口がはっきりせず、下車するバス停を把握できていない。


       みやんだ池                 直島小学校
取り敢えず、地蔵山の聳える東方向に車道を歩いた。
途中にコンビニがあった。
ないものと思いこんでたのでこれにもびっくりした。
コンビニの隣には大きなガソリンスタンドもある。
思わずコンビニに入りそうになったが、断食を思い出し、止した。

散歩をしていた方がおいでたので、地蔵山登山口を訊ねてみた。
昔はみやんだ池右奥から尾根へと通じる道があって、山頂へ子どもを連れてよく行ったもんだが、いまは道はなくなり、山頂へは行けなくなっている。
イノシシがはびこったり、過去にこの近くで山火事があってね、歩いたり整備する人がいなくなったりで、入れる状態ではない。
わたしも山が好きで、槍ヶ岳や剣岳へも行ったりしたんだがねー。
随分と懐かしそうに話しをしてくれたが、地蔵山に関しては無理とのこと。

お礼を云って、教えていただいたみやんだ池土手のフェンス右側から尾根へと入って、しばらくそれらしいところを探したが、シダの大藪でとても踏み込める状態ではなかった。
場所を替えて、エムテック松本さんが取り付いた火葬場奥の尾根を探ったが、ここも同じくシダの大藪で駄目だった。

この様子なら、こもれびさんやreikoさんが歩いた、中学校付近からの登山口も駄目かもしれん。
ほぼ諦めつつ、ダメもとで中学校へと向かった。
小学校前にある広い運動場を横切って…。


         登山口                   シダ
ありました。
中学校前の道沿いに生垣があって、その隙間から山手奥に延びる踏み跡。
すぐに踏み跡は途切れるだろうと思ってたが、意外にもところどころに赤テープが施されている。
上るにしたがい踏み跡は心もとないものになり、やがてシダが覆いかぶさってきた。



         鎧山                   サルトリイバラ
足元はかつての登山道を示すわずかな窪みが残されていて、シダが心持ち薄くなっている。
上から目線では踏み跡は分らないので、手でシダを分け、足元を見つめながら判断する。
シダの中から乾いた埃が舞い上がり、喉が痛くて咳が出る。
サルトリイバラもすごい勢いではびこっていて、シャツやズボンをパリパリと引っ掻く。
少し開けたところで後ろを振り返ると、鎧山が見えていた。
前方のシダ藪の中で何かが動く音。
逃げて行った。


         鉄柱                     三角点
登山口から40分ほどのところでシダに埋もれていた錆びた鉄アングルに足をとられた。
上を向くと同じように傾いだアングルがニョッと突っ立っている。
ほんの少し進むとシダの中から二等三角点が現れた。
点名直島。
古い山頂標識が木の枝に括りつけられていたが、文字は消え板だけ。


        シダジイ                    シダバア
西側にあるお地蔵さんと鉄塔ピーク方向を探った。
極わずかな隙間がある。
ちょこっとだけ進もうとしたが、後ろから妻の怒声が…。
「行かへんで!ここまでや!わたしは行かんきんなっ!」
   ……
「下りよう」

足元には人の手が加わった長い石が落ち葉の中で横たわっている。
辺りはシーンとして静か、少し間を置いたあと、押し倒してきたシダヤブを下る。


        ピースバア                  中学校(右側)
上りと変わらない時間で登山口に着く。
途中の、こもれびさん、reikoさんのレポートにあった大岩は登山道からは見えず、寄ることが出来なかった。

運動場を横切り、車道に出た後、チキリ峰に向かう。
小学校隣に直島幼児学園があってその前に北へ向かっているアスファルトの細い道があった。
その道がチキリ峰への最も近い道なのかもしれないと思ったが、止めた。
だいぶ遠回りになるが幹線道路を歩き才ノ神へ行き、北側から回り込むことにした。
効率が悪いと思ったが、地図を持ってきていないことと、下調べが不十分なことが原因でした。


        チキリ峰へ                 コンクリート道
途中、風戸山への登山口があるのでそちらを先に登れば効率がいいはずなのに、なぜかそれをしようとしない二人、あっちでもないこっちでもない、迷いながらチキリ峰への道を歩く。
この夫婦、特に夫の方は頭が固くて禿げてるし、少しも融通が効かない。
ちーと馬鹿でないかと…。
僻みド根性人生をまっしぐらに突き進んでいる感じ。
世の中にはいろんな人がいて、ゴミゴミしてるねー。


       貯水タンク                    登山道
民家の前を通り、左へのコンクリート道へ入ってすぐのところに貯水槽があった。
貯水槽の右フェンス側(南側)の道を上る。


     三菱マテリアル煙突              無線中継所
歩きよい尾根道をほんの少し上がると眺望のある岩場があって、そこからは三菱マテリァルの紅白の高い煙突を見ることが出来る。
NTTの無線中継所があった。
施設名板にはチギリ峰無線中継所と書かれており、ギが濁っている。
国土地理院地図に記されたこの山の山名は濁ってなくて、キだ。
どちらが正しいのか、それともどちらも正しいのか、判断がつかないので、一先ず、国土地理院の山名を採用させてもらうことにした。


       山頂の様子                   風戸山
登山口からわずかに14分で山頂に着いたが、なにもない。
岩場に戻り、次に行く山の風戸山を眺める。


        地蔵山                  擂鉢谷堆積場
先ほど登った地蔵山も見えていた。

歩いてきた道を戻って、風戸山登山口の擂鉢谷堆積場へ行く。


       フェンス右外側               コンクリート道
堆積場門のフェンス右側を上がってゆくと、すぐにコンクリー道に出る。


     チキリ峰と地蔵山            三菱マテリアル精錬所
コンクリート道はまだできたばかりの新しい道で、景色は非常にいい。
南東方向にはチキリ峰と地蔵山。
そして、北には鶴石ノ鼻、獅子渡ノ鼻がちらりと見え隠れし、雨で流され地肌が出た尾根上には破線の道があって、地図で破線を辿ると才ノ神にある南北に細長い池の北側車道に辿り着くようになっている。


       貯水タンク                   三角点
登山口から20分ほどで貯水槽、その左側を奥へと進むとほどなく風戸山四等三角点・風戸山が埋設されている箇所に出る。
山頂は三角点以外にはなにもないが…。


                   山頂南西側岩場
ほんの少し南西側に足を運ぶと岩場が現れ…。


                    荒神島
絶景を楽しむことが出来る。


                       大岩                
角の取れた丸まっちい、いまにも海に転げ落ちそうな団子のような大岩の横に座り込む。


         葛島                     高速艇
眼下には穏やかな直島水道と荒神島や葛島、対岸には宇野港や三井造船所の工場群と鉄塔などを眺めることが出来る。


         貨物船                   トンビ
高速艇や貨物船が海面を走り、空ではトンビやミサゴたちが舞う。
人間は過去、現在、未来という時間の中で生きているが、ここでは現在その一点だけがいつまでも留まっていて、動いているようにはみえない。


       トンビと巣                    巻雲
ほとんど平坦な尾根を南に歩いてみた。
電波塔が下のほうに見え、トンビがピーと一声甲高く鳴き、空へ舞い上がった。
塔の先丸まったところには巣があった。
空高くやや乱れた巻雲があり、白っぽく広がる傾向にある。
お天気は下り坂なのかもしれない。


       柔らかい土                登山道のある尾根
台地上のふんわりした土の尾根を三角点のある山頂へと戻り、下山することにした。


        五剣山                  浄願寺山、勝賀山
遠くに一本の角の生えた五剣山と、高松周辺の山が霞んだようにして見えている。


      山火事の跡                    家島
尾根筋には若くて丈の低い松などの木しか生えてないところがあって、黒っぽく焦げ跡が残っている。
過去にあった山火事の現場だ。
14:38下山。
次の高松行きフェリーは17時ジャスト、時間が余ったので、宮浦港の東側にある直島港側へと回ることにした。
湾に出ると家島と向島の間に赤茶けた井島、その右奥に豊島の壇山が見える。


     直島町営バス                 ヒラメ料理のお店
景色はいいのだが車道歩きはやっぱり退屈で、朝からお茶しか飲んでない身にはやや辛かった。
だんだんと足が草臥れ、肩で息をするようになったので、中学校バス停前で丁度来合わせたバスに乗り港へ。

ターミナルのベンチにへたり込み、お茶を飲み続ける。
しかし、ときどきスポドリを飲んだり、お菓子を齧っていた妻は元気で、一人でターミナル付近の街角ウォッチングに出かけた。


                  島食DOみやんだ
撮ってきた写真はレストランや銭湯がほとんどで、やはりお腹が空いていたのだろう。


         直島銭湯                魚河岸7070
お腹がグー、それでも我慢のジジババだった。


       赤カボチャ               大崎の鼻、小槌島夕景
ターミナルの待合室は次第に混み、ベンチはいっぱいになった。
若い人が多く、ほとんど観光客のようで、話す言葉も韓国語に中国、台湾など国際的。
船を待っている間はスマホをいじくっている方がほとんどだったが、船に乗ると打って変わって賑やかに、甲板などを元気に胸を張って歩き回る。
うーん、日本人はおとなしくて負けているな。
生活習慣や文化の違いもあるが、食べ物の違いが一番大きな原因ではないかと思ってしまった。


        カモメ                     漁船
ああー、おらっちも外国に旅してみたいよな。
一生に一度といわずに、二度も三度も、チマチマと山を歩いている場合じゃないぞなもし。
そのためには、ゼニじゃゼニゼニ!
待てよ。
命が…もう老い先は長くないぞなもし。

高松港8:12===宮浦港9:02-<ロス60分>ー地蔵山登山口10:43-山頂11:21-地蔵山登山口12:00-チキリ峰登山口12:49-山頂13:03-チキリ峰登山口13:21-風戸山登山口13:32-山頂13:55ー<岩場にて休憩21分>ー<寄り道10分>-風戸山下山口14:38-直島港15:07-15:23中学校前バス停15:25==<バス>==15:28宮浦港17:00===18:00高松港


YAMAPログ(登山口の位置、距離、時間などがわかる地図)→こちら


男木島…香川県

2017-02-11 | その他<香川の山>

ズッコ山、コミ山、ミ山    ずっこやま、こみやま、みやま


山行日            2017年2月8日
標高             185m、212.8m、39.5m
取り付き地点         回遊道東周り途中
下山地点           男木島灯台
フェリー時刻表        こちら
フェリー料金表        こちら
トイレ            男木港、男木島灯台
水場など           男木港および灯台に自動販売機有り
メンバー           ピオーネ、むらくも



1月下旬ころに男木島に咲く水仙の花便りが届けられた。
それ以来、妻の大きなお尻がむずむずそわそわと落ち着きがない。
アラカン(55歳以上64才の年代の呼称)を過ぎたころから、それなりにスマートだった妻が体重を増し続けた。
しかし、このときばかりは柳腰のように、花という微風にふわふわと揺れ動く。

2月のある日、隣に寝る妻の布団の中から「男木島の水仙、もう満開やろな~」と嚊交じりに聞こえてきた。
オットットー、普段、優しくない夫ではありますが、こんな寝言を聴いてしまうと行かないわけにはいきません。
訊かなくとも返事は解かってはいるのですが、翌日妻に、阿讃山脈の相栗峠の西に標高889mの鷹林山という山があるのだが、この山へ行くのと、男木島にあるズッコ山、コミ山へ行くのとどちらへ行きたいかと尋ねてみた。
しかし、意外なことにすぐには返事がなく、少し間を置いた後に「男木島」と呟いた。
間が空いたのは、酉年である今年の干支の山、そして雪山にも魅力あってのことらしい。
要するに妻は欲の皮が突っ張ってお腹の肉がぶ厚いのだ。
本人は口を閉ざしていわないが、腹回りの脂肪には、普段から気にしている。
いったい何センチだろう?まさかの1m超え?



島の地図をパソコンの画面で広げてみた。
灯台は北の端でトウガ鼻にあって、水仙郷はその付近の山手側にある。
島一番の高い山が標高212.8mのコミ山、そして南に2番目に高い標高185mのズッコ山がある。
さらに南にはコモガハマという砂浜の海岸の上にデン山があって、南端に三角点のある標高わずかに39.5mのミ山がある。
一先ずズッコ山からコミ山へ抜けて灯台へ下り、時間があればデン山とミ山へ寄ることにした。

6時自宅を出発し、7時過ぎ、高松港西にある一日490円の駐車場に車を停める。
400円というのもあったが、少し遠くて、駐車スペースが小さい。
トコトコ歩いて切符売場へ。
第三桟橋には大勢の人が並んで乗船を待っていたが、それは小豆島行きの高速艇だった。
国鉄宇高連絡船がなくなって久しいが、当時の賑わいには及ばないものの、港にはまだまだ人が多く活気がある。


         高松港                 めおん甲板
8時ジャスト、女木島、男木島行きのめおん2号の赤いフェリーは出港した。
めは女木島のメ、おんは男木島のオンらしいのだが…?
ほんとうだとしたら、なんとも俗っぽ過ぎるが、覚えやすい。


          女木港                 豊玉姫神社鳥居
20分で女木港に着いた。
草刈用の鋏を持って登山靴を履き、リュックサックを背負った団体の方たちがワサーッと一斉に下船した。
登山道などを整備しに来たのだろうか。
妻が切符を買う時に、女木島にも寄りたそうにしていたが、低山とはいえ男木島の山を北から南まで歩いて、その後に女木島にある山歩きは無理だ。
そういえば、女木島の山は一つはカタカナでタカト、もう一つは鷲ヶ峰、今年の干支の山だわ。
どおりで寄りたいというはずです。
やはり妻は根っからの欲張りだ。

8:40、男木港に着いた。
山へ登る人はわたしたち二人だけのようで、フエリーから降りた人たちの姿は三々五々、あっという間に港から消えていった。
とりあえず、港すぐのところにある豊玉姫神社の鳥居をくぐり、坂の参道を上がってゆく。


    女木島へ向かうフェリー               寒桜?
急な石段の先にはもう一つの鳥居が見えており、社はそこにあるようだったが、登る途中で振り返ると丁度わたしたちが乗ってきたフェリーが港から出て、女木島へ行くところが瓦越しに見えた。

寒桜だろうか、それとも寒緋桜だろうか、早咲きの桜にもたくさんの種類があってよくは判らないが、時期的に見て、少なくとも川津桜や寒桜よりも早い。
この時期だと普通は緋寒桜とも緋桜ともいわれている寒緋桜が妥当だが、島で咲く花は早いので、寒桜かもしれない。
どちらにしても花や木の肌から観察できるような知識は持っていない。
島はもう春だ。


        島の猫                   あんた笑ってるの?
船から降りた時にも猫はちょろちょろしてたが、細い道を連ねている家陰のあちこちからのそっと出てくる。
瀬戸内の島は猫が多い。
昔、ねずみ対策のために、船には猫を積み航海していたらしい。
特に外国からくるオランダ船は法律で義務付けられていたとか。
長崎に上陸し、やがて瀬戸の島々や港へと…。
そのうち尾曲がり猫はインドネシア出身というのが分かっている。


       東周り回遊道                  島々
神社の傍にある豊玉姫神社の由来が書いてある案内板を読んだり、サイカチの木や大きなウバメガシを見学したりしていると、島の男性がなにか作業をしていたので、ズッコ山に登る登山口を訊ねてみた。
いまはヤブだらけでイノシシの柵を施しており登り口はないとのこと。
危険なので、もし登るなら注意してくださいねと云われた。
東周りの回遊道を歩き、それらしいところを探ってみた。


       紅梅・白梅                  イノシシ柵
道端には荒れた畑ばかり、そこからは瀬戸内の島々が見え、畑に残された梅の木には紅白の花が咲き、いい匂いを放っている。
山手にはいくつもの畑へと通じるコンクリートの上り口があったが、どれもイノシシ柵が施され、その先はすぐに踏み跡は途絶えカヤや灌木が生い茂っている。
おいそれとは入れない状態だ。

島の半分ほどのところまで回遊道を歩いて念入りに探したが、見当たらない。
引き返して、エイヤッという気持ちで、一つの入り口から上がって、イノシシ柵の扉を開けて入った。
すぐに藪になった。


         ヤブ                    ズッコ山
上がっても上がっても石垣が現れ、灌木と、カヤと、イバラとクスドイゲと笹ばかり。
ズボンや上着がピリパリ音を立て破ける。
妻がときどき棘で手や顔をひっかく。
それでも先頭になって大きな体をこじりながら懸命に上へ上へと登る。
ちょんまいわたしは後ろからついてゆく。

やがて、上が透けて見え、笹ヤブを突っ切るとそこはズッコ山だった。
いま思い返せば、山頂近くまで畑はあったようで、そこここにイノシシの掘り返した跡と、笹をサークル状にきれいに寝かしつけたイノシシのベッドがいくつも見受けられた。


        ヤブ尾根                     石垣
山頂の回り、特に南側に踏み跡がどこかについてないか確かめてみたが、北への尾根筋にわずかにテープと極めて薄い踏み跡がついているだけで、他には見当たらなかった。
尾根筋を北に向かってコミ山の途中にある鞍部へと下った。
それはほとんどヤブ同然だった。

やがて鞍部へ着いたが、国土地理院に記されている東西から上がってくる破線の道は、これも見あたらなかった。
推測だが、イノシシ柵を施した結果、わざわざ入って歩く人はなくなり、次第にヤブ化してしまったのでは思われる。

鞍部から少しコミ山へ上がったところに石垣があってテープとロープが施されていた。
手前で座り込み一休み。
野菜スムージーとポンカンを食べる。


        五剣山                三等三角点・男木島
汗が噴き出し、上着を脱いで尾根を北へ追う。
コミ山に近づくに連れ次第に踏み跡がはっきりしてきた。
途中、見晴らしがいいところがあって、そこからは明瞭な尾根道が続く。

11:21、三等三角点のあるコミ山に到着。
点名は男木島。


     小さな山頂標識                  西へ下る
北尾根に下るルートがないか探りに行ったがヤブだった。
もし下ったとしてもタンク岩あたりの崖へ行くのではないかと思われた。
西側に明瞭な踏み跡が続いていたので、それを下る。


                     展望台
10分ほどで東屋のある展望台へ降りてきた。
ちょっと見にはコミ山への踏み跡がどこにあるかよくわからないようになっていて、逆取りコースを辿るときは要注意箇所かもしれない。
※写真の東屋奥の低い笹ヤブのところに薄い踏み跡有り。


                    直島、玉野方面
東屋からは岡山方面の景色が開けていた。


        ジイの穴                   水仙ロード
道標に従いジイの穴へ向かう。
女性4人が穴の入り口から奥を覗きこんでいたが、お一人が中へ入った。
わたしも中へ入ってみた。
奥左側に出口があって、外の光が暗い洞窟の中に差し込んでいる。
入り口から出口へ小さく1周して外へ出て、洞窟の説明板を読んだところ、危険につき穴には入らないでください、アチャー。
この穴は、鬼ヶ島から逃げてきた副大将のジイという鬼が逃げ込んだところらしい。


                      タンク岩
木段の道を下ってタンク岩へ。
道には水仙の花が咲きとてもきれいで、その先には第一水仙郷の水仙群生地が山手側にあって満開だった
黒っぽい石(玄武岩)がガラガラ崩れた先に大きく尖った柱状節理のタンク岩があった。
ホー、大きな溜息一つついて元来た道を引き返す。


                 灯台への遊歩道
灯台へと下った。


                第二水仙郷と灯台
第二水仙郷には木のベンチがあって、そこからは抜群の景色。
お昼ご飯とした。
観光客がワンサか、傍を賑やかに話しながら通り過ぎてゆく。

こちらにも回遊道があるぞ、港まで何分かかるんだろね、知らないかい。
おー、いいところでお弁当を食べてるねー、おいしさも2倍ですな。
上へ行くとジイの穴があるぞ、バアの穴はないのかや。


                 水仙郷と遊歩道
水仙の匂いがプンプンする。


                     男木島灯台
灯台は「喜びも悲しみも幾歳月」という映画の舞台になったところ。
一人の男性が、主題歌のテープが擦り切れてさ、聴くことが出来ないから、スマホでユーチューブで聴きながら歩いてんだよ。

それではお聴きください。
喜びも悲しみも幾歳月→こちら
※この歌を聴いて懐かしいと思った人、涙が出た人、年齢がわたしと変わらないかもしくは大先輩です。            


       西周り回遊道                じょうごカフェ
ツワブキの群生する海岸沿いの道を歩き、港へと帰る。
途中に、放牧場の跡があったり、人生をヨットに捧げた方の碑があったり、カフェがあったり、梅の花が咲いてたり、退屈しない。


                    男木港
男木港に着いたが、時刻は13:10、高松行きの船は10分前に出たばかりで、次の便は15時丁度。
予定していたミ山へ寄ることにした。
※デン山はイノシシ柵のため近寄ることが難しく思われたので断念


       加茂神社鳥居             ミ山山頂と三角点
墓地を過ぎ、しばらく歩いたところで加茂神社の鳥居に出た。
鳥居をくぐり本殿へ。
社左奥にダンチクか竹かのようなトンネル状の入り口があって、踏み跡を辿ってゆくと、やはりイノシシ柵が張り巡らされている。
一か所柵の扉があったので開けて中へ入り、ヤブをかき分けてゆくと、一番高いところに三角点があった。
標高39.5mミ山山頂、四等三角点・男木島南で、傍らには〇米さんの黄色い点票が木の幹に括りつけられていた。


         南端                   五剣山と屋島
ミ山からさらに南へ下り、海岸縁に立つ。
そこは男木島最南端の位置で、一本の角を生やしたような五剣山と屋島が見えており…


    おむすび三山と勝賀山               ミ山の岸壁
女木島の右手奥まったところには六ッ目山などのおむすび三山と、三角錐の袋山や勝賀山などがシルエットで浮かんでいた。


     男木漁港赤灯台            加茂神社鳥居とズッコ山
港へ引き返す。

      えんどう豆の花                神井戸
神井戸と書いて、しんどと読む。
その昔、山幸彦と豊玉姫が出会ったと云われている井戸だ。


                     猫たち
港に帰ると、係長と呼ばれている猫たちがうろうろしていて、犬で言えばノラクロ模様の…こういうのフェリックスっていうんだろうか、他の猫たちもぞろりと集まってくる。


          男木港                   フェリー
時刻は14:14、船の出港時刻にはまだ46分ある。
猫たちを相手にコーヒーを淹れて待っている間に、乗船する人たちがあちこちからそろりと集合してきた。

春のような陽光を浴びて島歩きをしたあと、翌日には今季一番の寒気がやってきて、一転して冷たい風が吹き、空は鈍色の冬空になり、二日後、そして今日もだが粉雪が舞った。
桜や水仙、えんどう豆の花も、そして島の猫たちも、いまごろ震え上がっていることでしょうにね。

高松港8:00-女木港8:20-男木港8:40-取り付き地点9:43-ズッコ山10:33-コミ山11:21-展望台(東屋)11:
30-ジイの穴11:35-第一水仙郷11:42ータンク岩11:54-12:06第二水仙郷12:31-男木灯台12:37-男木港13:10-ミ山13:39-男木島南端13:51-14:14男木港15:00-15:40高松港


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