むらくも

四国の山歩き

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坊ガツル…九州

2019-05-31 | その他<四国外の山>

黒岩山、上泉水山、下泉水山、沓掛山


山行日  2019年5月16日・17日
標高   1502.5m、1447m、1296m、1503m
登山口  牧ノ戸峠および長者原くじゅう登山口
駐車場  牧ノ戸峠
トイレ  牧ノ戸峠、長者原、坊ガツル、法華院温泉、久住分れ避難小屋
水場   牧ノ戸峠、長者原、法華院温泉
メンバー 坊主さん、ピオーネ、むらくも


梅雨前線が日本列島南海上付近で停滞し、二つの高気圧に挟まれて怪しい動きをしている。
湿った空気が南から吹き上げ、九州から東北にかけていつ雨が降ってもおかしくない状態だ。
気象庁の週間予報も日をかえ、地域によってころころ変化し予想がつきにくく、北陸の山へ行ったらいいものか、それとも九州の山にしたほうがいいのか、悩ませた。

出発する前々日にも決まらず、沖縄地方が梅雨入りしそうだというニュースもあったりでとうとう投げてしまい、坊主さんに下駄を預けた。
「雨が降ってもしゃーない、わしゃ知らんし、後悔するな」捨て台詞を吐いていた坊主さんから、前日になって、九州・くじゅうに行くとの連絡を受けた。
こういう場合は、下駄を預けたほうが無責任というもので、雨覚悟で出かけることにした。

雨具の点検と、カメラの器具ややバッテリー類、靴、衣類などを入れるビニール袋を確保。
15日、佐田岬の三崎港から船に乗って佐賀関港で下船し、スーパーボランティア尾畠春夫さん縁の山、由布岳を眺めながら大分道を走る。
夕方、長者原の温泉に入り、宿泊。

16日 晴れ
この日、沖縄が梅雨入り。
お天気次第では福井の荒島岳へ行くことを考えていたが、山は雷雨の予報。
南無大明神、坊主さんの念力が通じてくれた。
まんまんちゃんあん。
これまで坊主さんのネーミングはいろいろと変遷してきた。
ちまちま隊長→しまちまおいちゃん、そして今後はまんまんちゃん大明神に。

大昔、片岡千恵蔵扮する名探偵多羅尾伴内の「七つの顔の男」という映画があったが、四つの顔を持つ男まんまんちゃん大明神だ。
あるときは運転手、あるときはマドロス、あるときは手品師…、しかしてその実態は悪を暴く正義と真実の使者……。
なーんていうのがあった。


         黒岩山登山口                    ハルリンドウ

標高1330mにある牧ノ戸峠駐車場に移動、長者原に向けて黒岩山登山口を出発。

当初の計画は庄内町にある男池湧水群登山口から登り「かくし水ーソババッケー風穴ー高塚山ー天狗岩ー風穴ー段原ー坊ガツル」へ、そして翌日はうどん越を経て平治岳を歩く予定だったが、登山口付近に前泊する適切な場所がなく黒岩山に変更した。



すぐに展望所があって、ノリウツギやアセビなどの灌木が群生する平坦な尾根を過ぎると黒岩山への急登が始まる。
高度を稼ぎ後方を振り返るとパラパラと駐車した牧ノ戸峠が見え、足元にはハルリンドウが咲き、ところどころにミヤマキリシマの鮮やかな花が咲き始めていて、右手はるか後方には雲の上に阿蘇山が聳えている。


                         黒岩山山頂

登山口から40分ほどのところに道標があって、右へ行くと黒岩山を巻いて泉水山へ直行。
左へ行くと黒岩山山頂を経て、泉水山へ。
迷わず山頂へ向かう。
道標から8分でシャクナゲが咲く三等三角点・黒岩山に到着し、岩の上に立つ。
眺望は抜群、東には平治岳、三俣山、久住の山並。
わずかに硫黄山から火山性の煙が立ちのぼっている。



西眼下には八丁原地熱発電所や温泉からの湯けむりが立ちのぼり、後方には風力発電の大きな羽根がゆっくり回っている。
方角としてはちょうど有明海方面を眺めていることになるが、幾重もの山並みの後方が海かどうかはよくわからなかった。



岩の上から眺望を楽しみ、山頂をあとにして上泉水山へと進むが、手前にイワカガミの咲く小さく尖がった岩場があって、
リュックを根元に置いてそこに登ってみた。


          黒岩山                  三俣山・星生山方面

ソロの女性がゴゾゴゾと踏み跡のないところから這い上がってきた。
ウオーっ、とんでもないところからと思ったが、どうやら道をはずし、迷いそうになってたらしい。


         上泉水山方面                  長者原・タデ湿原方面

女性の方にお尋ねすると、牧ノ戸峠から黒岩山・泉水山を経て長者原へ下っての半日の山行予定で歩いているとのこと。
長者原には広い駐車場があり、牧ノ戸峠へのバス便がある。
便は少ないが、これを利用すればこのコースは手軽に歩けて、しかも展望がいいので地元では結構人気があるようだ。
因みにバスを利用しない場合、長者原・牧ノ戸峠間は歩きよい遊歩道が整備されているようだ。
眼下には星生温泉など、くじゅうの各温泉施設の煙突からは湯煙が上がっていた。



風はほとんどなく、空気が沈滞しているのだろう。
硫黄の匂いがかすかに鼻を衝く。
中には満開に近いミヤマキリシマの株もポツポツ散見されたが、まだまだこれから、それでもわずかではあったが風景に彩を添えてくれていた。



         上泉水山                     大崩ノ辻方面

大崩ノ辻を左にして分岐を右にとり、9:51、標高1447m、山頂標識のある上泉水山に到着。
ここから長者原までは下る一方で、途中にある下泉水山は標高1296m、登るというほどのものではなく、下った先にある肩程度の山。
馬酔木のトンネルを抜け、ちょっとした岩場のところが下泉水山だった。



下泉水山を下り、ほぼ直角に曲がると左手は草原が広がっており、たくさんのキスミレやハルリンドウなどが咲いていて、
柵がないので牧場でもない。
九州にスキー場?と思ったが、牧ノ戸峠の西側に合頭山があって、さらにその西に九州森林公園スキー場というのがあって、リフトも設置されている。



見渡したがここにはリフトはなく、春になると野焼きが行われている場所のようでした。



下る方向を東から南へと変え、奥郷川に架かる細い橋を渡る。




ちょうど満開のフジやガマズミの花を眺めながら川を越えると、長者原に到着でした。
朝、出がけに宿泊した施設に預けていたテントなどの荷物を受け取り、公園のベンチでおにぎり弁当を頬張る。



リュックを整え、飲料水を確保したあと、硫黄山を眺めながらタデ湿原へと入り、久住登山口へと向かう。
硫黄山を眺めるとそこへ至る中腹には、鉱山道がくっきり見えていた。



サワオグルマの咲くタデ湿原の木道を歩きながら、他に花が咲いていないか湿原の中を目でキョロキョロ探してみたが、目ぼしいものはなかった。
夏になるとキスゲやヒゴタイ、ハンカイソウなどが咲くようだ。
登山口から奥へ入ってゆくと、足元にはたくさんのユキザサが茂っており、木漏れ日を受けて白く愛らしい花を咲かせていた。
植生は素晴らしく、ミズナラ、サワフタギ、サルナシ、コシアブラなど、たくさんの樹木が茂っている。


                                   
ところどころで白い花の咲く樹木があったが、オトコヨウゾメのような花の形をしていたが、葉の下に房がぶら下がっていて、
よくはわからなかった。
口の悪いやつはこの木を男用済みと呼んで茶化す。
いったい誰のことだっぺ(全国被害妄想狂教会一会員)。
右に三俣山への道を分けて直進する。

写真を撮るために後方から歩いていると、唐突に、坊主さんから先に歩いてくれと云われることがある。
いやいや、どうぞ、遠慮なく先にどうぞと言い返したが、「爆発するきん先に歩いてくれ」と遣り返される。
顔も体も黄色くなりそうないやな感じだ。


                                  
14:06、雨ヶ池越の木道を渡る。
雨の降る季節にはこの湿原は池になり、景観が随分と異なって見えるらしい。
また、ノハナショウブが咲く場所らしい。
雨ヶ池を越えると、ほどなく眼下に坊ガツルが現れ、左に大船山を仰ぎ見る。



4年ほど前に、吉部登山口から鳴子川を遡るようにしてつけられた登山道を歩き、坊ガツルへやってきたことがあるが、その登山道と合流し、その頃と変らない懐かしい風景に再び出合った。
季節も同じく5月で、山がヤマキリシマで赤く染まるにはまだ早く、どの山も緑緑している。



道端にはどちらもバラ科キジムシロ属だが、ミツバツチグリかもしくはキジムシロ(たぶんこちら)の小さく黄色い花が咲き、ハルリンドウが群生している。




ハルリンドウの白花やミヤマハコベもあったりして、目を楽しませてくれ、ときおりフモトスミレがポツポツと散見された。




いくつかのテントが張られている坊ガツルのテン場を過ぎ、15:12、川の傍に立つ法華院温泉に到着した。
ここでテントを張る坊主さんとは一旦別れ、わたしたちは山荘に宿泊。



その後、夕食までには随分と時間があったので、山荘で調達した生ビールを持参し、山荘に近いテン場を訪問。
テントは二張りのみ、大船山の上には十三夜月が昇っており、山頂近くにわずか一株のミヤマキリシマの鮮やかな色が、これからのこの山の燃えるような彩を想像させてくれた。


17日
山荘で朝食を済ませて北千里浜に向けて出発。



前夜、山荘に泊まった二人は、温泉に浸かったあと、朝までぐっすり。
テント泊の坊主さんは、隣のテント泊の方が3時ごろに起きて、ラジオを掛けるわ、歌を唄うわでマイッタそうな。
だいぶ高齢なご夫婦だったようで、いまどきテントを担いで登るのはすごいなと感心したのだが…。
その方たちはだからこそ無理して重たいリュックを担いででもテント泊を選んだのだろうが、うーむむ、やはり迷惑この上ない行為であることには間違いない。



この日は前日とは打って変わってガスの中の歩き。
4年前に坊ガツルから大船山を目指したときは雨に祟られたことを思い出した。
大船山は諦め、北大船山から平治岳(ひいじだけ)へと歩いたが、その平治岳も諦め、大戸越(うとんこし)からぬかるむ道に足を滑らしながら下山したのです。

すがもり越への分岐点から南への道を辿るのですが、ここからは北千里浜という地名で呼ばれており、田中澄江さんの著書花の百名山によると、昭和38年元旦に、ここ北千里浜で7名の遭難死者が出たと記述されている。
2名の女性は避難小屋にたどり着き命をとりとめたとされている。
以来、避難小屋傍には遭難者慰霊の鐘が併設されているとのこと。



ところどころにケルンもあり、岩には黄色く鮮やかなペンキが施されている。



岡山から来られたご夫婦が登ってゆくが、100m先はガスで見えない。
ときおり、強い風が吹き、久住へ登れるだろうかと少し不安そうだったが、足元を確認しつつ元気よく歩かれていた。



9:40、久住の分れに着き、少し先にある避難小屋の傍にあるトイレで用を済ます。
先ほどのご夫婦は久住へ登って行ったが、牧ノ戸峠から来られた方たちもガスと強風のためやはり不安そうにしながら久住へ歩いて行った。



わたしたちはヘタレと言えばそれまでだが、このガスの中で、久住へも星生山へもそして扇ヶ鼻へも行く気持ちは起きない。




若者や東京からの団体さんがわんさ登ってきたりして、挨拶を重ねながら西千里浜をとっとと下った。
中には「こんな日は登らない。またの日にしましょ」などと言いつつ牧ノ戸峠へ引き返すグループもあった。




沓掛山がすぐ目の前に近づく。
小さな梯子段やロープを伝って登ると、シャクナゲが出迎えてくれた。
葉も花もやや小ぶりのようだったが、これがツクシシャクナゲなのだろうか?



山頂の岩の上に立ち、合間を抜け東屋のある展望台に。
くじゅうで最も人気のあるコース、平日にもかかわらず多くの人たちとすれ違い、その数に圧倒された。
ミヤマキリシマが咲く5月下旬から6月上旬には、混雑するのでしょうね。



11:28、予定に入れていた星生山に登らなかった分、早く下山してしまったが、これが四国までの家路の道中を楽にしてくれた。
この日、大洲から松山までの自動車道が夜間通行止めで、もしも予定通りに下山していたら、帰宅は日が変わっていたと思われたが、その日のうちに帰ることが出来た。
日付が変わるのと変らないのでは、旅の疲れも随分と異なるようです。




16日
牧ノ戸峠7:55-8:41黒岩山8:51-9:51上泉水山10:01-下泉水山10:20-11:16長者原11:41ー雨ヶ池越14:06-15:12法華院温泉

17日
法華院温泉7:33-すがもり越・北千里浜分岐8:31ー久住分れ9:40-扇ヶ鼻分岐10:19ー沓掛山11:08-11:28牧ノ戸峠

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北奥千丈岳・国師ヶ岳、瑞牆山…奥秩父

2019-04-22 | 日本百名山

北奥千丈岳、国師ヶ岳、瑞牆山     きたおくせんじょうだけ、こくしがたけ、みずがきやま

 

山行日                2018年9月27日~28日
標高                 2601m、2591.9m、2230m
登山口                ①北奥千丈岳・国師ヶ岳…大弛峠
                   ②瑞牆山…瑞牆山荘
駐車場                ①大弛峠20台
                   ②瑞牆山荘前林道奥50台
トイレ                それぞれ駐車場および小屋にあり
水場                 ①大弛小屋傍
                   ②富士見平小屋付近および天鳥川沢
メンバー               坊主さん、むらくも

 日本百名山の金峰山と瑞牆山へ登るつもりで、坊主さんと二人で出かけた。
天気は27日は曇り、28日は晴れの予報だった。
事前の計画では、27日廻り目平にある金峰山登山口から登り、金峰山山頂に立ち、同じ道を下山し、再び車に乗ってみずがき山自然公園で車中泊。
そして28日には瑞牆山荘手前にある駐車場に車を止め、瑞牆山山頂へ。
その予定で、26日はJR清里駅駐車場に車を止めて前泊した。
ところが朝起きてみればザザブリの雨。
止みそうにない。
午後には雨は止むだろうとの判断で、急遽、計画を変更し、高速を使って南の甲府市側に回り込み、大弛峠から国師ヶ岳へ登ることにした。


<27日>

 国師ヶ岳へは大弛峠から1時間5分のところにあって、途中、北奥千丈岳へ寄り道しても往復わずかに2時間10分。
甲府昭和ICで高速を降り、甲州葡萄の一大産地であるきれいな畑を眺めつつ、笛吹川を遡り、途中で峰越林道川上牧丘線を時間を掛けてくねくねと走ってゆく。
大弛峠には何時ごろに着いただろうか、駐車場には4~5台の車が止まっており、まだ雨が降っている。
止まっている車には人が乗っていて、雨が上がるのを待っている様子。 

 やがて小降りになり、12時過ぎだったろうか、待ちかねたようにして3~4名のグループが金峰山への登山道へ入って行った。
ピストンする計画とのこと。
往路2時間30分、復路2時間、合計4時間半かかるコースだ。
この時刻には、出発しないと遅くなってしまう。
わたしたちは雨が止んだのを見計らって、12:46スタート。

 

 大弛峠の標高はおおよそ2360m、標高2591.9mの国師ヶ岳まで標高差わずかに231mそこそこしかない。
厳しい冬山はこの標高差でも注意を払わないといけないが、5月から10月の無雪季ならば低い里山歩きとあまり変らない。
傍にきれいな水が流れる大弛小屋は峠からすぐのところにあった。
右手から、登山道へと入ると、針葉樹林の間を縫うようにして木道がつけられていて、心地よく歩ける。 



雨上がりのしっとりした道を登り、夢の庭園への道を右にして左へと進む。
木道を過ぎ高度を上げると次第に木々の丈が低くまばらになるが、ガスが立ち込め景色は得られない。

峠から40分弱で標高おおよそ2570mの前国師岳に着いた。
岩のゴロゴロする山頂だが、この日は残念ながら展望なく、あいかわらずガスの中。
 



前国師岳から一旦下ると三叉路になっている三繋平。
右手に取り北奥千丈岳へと進む。
分岐から12分で標高2601mの奥秩父最高峰北奥千丈岳山頂に到着。
もう少し晴れていれば山頂のワイドな写真が撮れるのだが、ガスっていると気持ちが縮こまってしまい、撮る写真はなんとなくしょぼくれてしまう。

東側には奥多摩方面の雲取山、南西には北岳や間ノ岳が見ることができるようですが、仕方なく方位盤を眺めて写真に収めた。
西側には晴れていれば登ったであろうオベリスク風の金峰山が見え、その左側に甲斐駒ヶ岳が見える…はず。




北奥千丈から三繋平へ引き返して、国師ヶ岳への道を取り、歩くこと20分弱で国師ヶ岳山頂に到着。

雲が少しだけ薄れ、富士山の頂がぽっかり浮かんだ。
急いで写真を撮ったが、残念、写り込んでいない。

食事を摂っていないので、ラーメンを作り遅い昼食とした。
この山は眺望もよく、大弛峠から短時間で登れることもあって、富士山の撮影ポイントになっているようで、多くのカメラマンが朝まだ暗いうちから登り、朝日に照らされた絶景を撮っているようです。

14:20、下山開始。
道端ではゴゼンタチバナの紅い実が生り、癒してくれる。
 

同じ道を引き返すのも面白みが少ないので、途中、夢の庭園側に道を取り木段を下った。
この自然の庭園はシャクナゲがたくさんあって、花崗岩の間にハイマツが茂っている。
 

道沿いでは紅葉がぽちぽちと始まっていた。
15:00、車に乗って川上牧丘線の林道をくねくねと下って、瑞牆山登山口を目指した。
途中、車を止めて金峰山方面の尾根を眺めると、一瞬ガスが退き五丈岩が見えたようだったが、気のせいだろうか。
再びガスが稜線を覆った。

国師ヶ岳は三百名山の一つだが、田中澄江さんによって、花の百名山に選ばれていて、5月になるとピンク色の花を咲かせるクモイコザクラが有名だ。
四国ではよく似た花にサクラソウがあって、女性の方たちの人気の花でもある。


大弛峠12:46-前国師岳13:22ー北奥千丈岳13:34-13:53国師ヶ岳14:20-15:00大弛峠

※国師ヶ岳下山後の夜食に博多ラーメンを食べ、温泉に浸かって、みずがき湖の駐車場で車中泊。



<28日>
4時に起き、本谷川を遡るようにして、瑞牆山荘近くにある駐車場へ移動。

駐車場は50台ほどのスペースがあるが、止まっている車は4台ほど。
駐車場から林道を歩いて登山口へ移動し、5:39、月光の残照が白樺に影を映す林の中を歩く。

何人かに追い越されたが、そのうちのお一人は、10時間かけて瑞牆山~金峰山を歩く予定だという。
行けるだろうか?
少し不安そうにおっしゃってたが、健脚な方のようでしたので大丈夫でしょう。

30分ほどで、尾根の肩に出て、眼前にまだ明けて間なしのブルー色を帯びた瑞牆山の岩峰が聳えていた。
見るからに急峻で、岩だらけだ。 

6:22、テントを2張りほど設営している富士見平に到着。
富士見平小屋がすぐ上に見え、その右脇に金峰山への登山口があるようで、ひと足早く到着していたソロの男性がゆっくり登っていく姿が見えた。
ベンチに座って、コンビニで買ったおにぎりでの朝食をしながら、コーヒータイム。

6:40、小屋左側の道から瑞牆山を目指す。
勾配はゆるやか、途中、分岐があって右に折れると小川山へ辿る道があった。
地図で調べてみると小川山は標高2418mで、大日岩から北に派生する尾根上にある。
この分岐から八丁平に登って、尾根を左折すると小川山に行けるのだが、距離がある。
廻り目平から小川山を経て大日小屋もしくは金峰山へのルートがあるようだ。

7:06、天鳥川に出た。

渡渉してすぐのところに丸い岩を真っ二つに割ったような、桃太郎岩があった。
岩の基部には役に立ちそうもないたくさんの細いつっかい棒がほどこされている。

声に出しては言わないが、バーカめがなどと腹の中で罵りながら、右わきから登ってゆく。
おれって、随分と腹黒いなーと思ったが、つっかい棒をして楽しむ連中も結構稚拙だ。

しばらく沢沿いの道を歩くが、その先からは岩場の急登の連続。
カケス、ヤマガラの鳴き声に混じって、八ヶ岳で耳にしたあのチリチリ―っという謎の鳥の鳴き声も聞こえてきた。

 

 喘ぎながら登ってゆくと、目の前にドーン!
 登山口で出会った金峰山日帰りを目指す男性が早くも降りてきた。
「速いですね」と声を掛けると、ニコッとして岩場をひょいひょいと下りて行った。

大やすり岩の基部を右に巻くようにしてさらに上へ上へ。

8:31、尾根を越え、北側を巻くようにして黒森コースからの道を左に見て、ひと登りすると山頂に出た。
 

360度の大展望が待ち構えていた。
南東方向には金峰山、オベリスク風のとんがった岩が見えている。
 

北東方向には金峰山から続く小川山。
 

北西には八ヶ岳。
わずかに左後方に雪を頂いて見えているのは北アルプスだろうか?
 

いよーっ!日本一富士山。
 

大やすり岩の頭部がちょこん。
そのはるか後方には南アルプスと、さらに後方に中央アルプスの秀麗な山並が…。
もう、いつ死んでもいい。
とか言いながら、いつかはあの山に、この山にと思いは尽きない。
人間は欲望の塊で生きているのでごわす。

坊主さん、三角点を探して、あっちにうろー、こっちにうろー。
いくら探してもない。
在ったのは黄色いキノコだけー。

ドローンを飛ばして山頂付近の風景を撮影をしていた男性が、ドローンに向かって手を振ってくれてもいいですよーなどと声を掛けてくれたが、無視。
どうせインスタバエを狙っての声掛けでやんしょ!
こちとら、お腹が空いていて、食べるのに夢中なのでありまして、ラーメンが流れ込むお腹は真っ黒のクロスケであります。
というのはウソ、ニッコリ笑って、バンザーイ。

名残惜しかったが、下山開始。

ところが、来る途中にあった黒川コースの分岐のところで、右手の踏み跡に下りてしまった。
しばらく歩いたところで坊主さんがいつまで経っても来ないことに気づいて、オーイと叫んだところ、妙ちくりんな方向から返事があった。
なんしょんじゃ、どこにおるんじゃ、道をまちごうたらいかんがーと怒鳴った。
アホかいな!
まちごうとんはお前じゃろが!
すったもんだで、元へ返り、天鳥川方向への道に下った。
あ~あ~…だ。
 

お天気よく、紅葉もわずかにはじまっており、秋らしくキノコもニョキニョキとご機嫌さん。
 

もう一度、天鳥川を渡って、針葉樹の茂る木漏れ日の中をのんびり歩く。
 

富士見平キャンプ場にはテントの数が増えておりました。
登ってくるもの多数、キノコ採りの方たちの賑わしい 声も山に響く。

11:25、瑞牆山荘前を通り駐車場へ。
帰りに増冨温泉に寄り、25度、35度、37度、41度とそれぞれの温度の浴槽に浸かり、疲れを癒したのであります。

 瑞牆山荘登山口5:39-6:22富士見平小屋6:40-天鳥川7:06ー8:31瑞牆山9:05-天鳥川10:20-富士見平小屋10:52-11:25瑞牆山荘登山口

※ちょい編集後記 
雨が降らなければ、金峰山から眺めた瑞牆山と八ヶ岳が、こんな風に撮れたかもしれないという写真でごわす。


                                     <写真はwkipediaより拝借>

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高御位山(播磨アルプス)…兵庫県

2019-04-11 | その他<四国外の山>

大平山、鷹ノ巣山東峰、高御位山


標高   155.5m、264m、299.7m
山行日  2019年4月6日
登山口  豆崎登山口
下山口  北山登山口
トイレ  高御位山
水場   なし


川土手に西洋からし菜の鮮やかな黄色い花が咲きだし、オオイヌフグリが星を散りばめたように青く小さい花を風に揺らしている。
むかし、じいさんが、田の畔に〇〇の花が咲くと田んぼの準備をし、△△の花が咲くと畑の準備をする。
などと言ってるのを聞いたことがあるが、〇も△も忘れてしまって覚えていない。
冬鳥の鴨たちがいなくなって、6~70cmもあるような大きな鯉が卵を産むためにヌモ―ッと川面を群れだすと、四国八十八ヶ寺巡りの白衣装を身につけたお遍路さんが次々と歩く姿が目立つようになる。

この季節になると、それまで寒さに耐えていた桜の花のつぼみは一気に膨らみ始め、一斉にわさーっと開花し、たちまちにピンク色に染めてしまう。
一説によると、さーという山の神様が里へ降りてきて、木の上に座って花を咲かすのがさくらだという。
それを見た人々が、田の神様が山から降りてこなされたぞー、さー、田んぼを始めるだべよ。
と言ったとか言わなかったとか。

青春18きっぷを使って、乗った電車の車窓から眺める風景は里山も川岸もピンク色。
というわけで、前回の須磨アルプスに続いて、播磨アルプスと云われている高御位山へ。



まだ明けやらぬ早朝5時、一番電車に乗ってJR観音寺駅を出発。
ひと時と比べて随分と暖かくなっているが、始発で止まっている車内は暖房が効いていて、足元と腰かけたシートからホクホクと温かい。
空は漆黒から少しずつ明るさを増してゆくブルーアワーと云われる時間帯で、乗り換えの坂出に着く頃にはすっかり明けていた。
ゴトーンゴトーンと瀬戸大橋を響かせながら電車は走り、岡山、網干で慌ただしく乗り換え、9時前に曽根駅に到着。
駅から歩いて、国道2号線の歩道橋を渡り、右に折れて少し中へ入ったところの民家横にある豆崎登山口から登りだす。
躑躅咲く岩場の斜面を、国道2号線やJR神戸線が走る高砂市の町並みを振り返りながら登る。



展望はいいのだが、生憎、この日は黄砂が飛び、空気がやや霞んでいて、瀬戸内海方面の島々が見えない。
すぐに竪穴の経塚山古墳の石室に出合った。
4~5世紀の古墳時代のものらしい。

古墳から少し登ると、三等三角点が埋設された大平山。
ここからほぼ北へと進み、小さなアップダウンを繰り返し、大谷山、地徳山を目指す。



先日まで花冷えで最低気温が3度前後だったが、今日は一転急上昇して、12度を超え、最高気温も20度を超える予報だ。
枝から枝へヒーヨヒーヨとヒヨドリが低空飛翔、他の鳥にはまねのできない鮮やかな滑空だ。
ウグイスなんかは藪の中に隠れていて、鳴き声だけを届けてくれる。
稜線の道は小気味よく続き、一目でそれとわかる。 やがてコバノミツバツツジだろうか、鮮やかな花色の奥下には竿池が見えてくる。

這い上がる岩場の頭上から春爛漫の光が降りそそぎ、後ろを振り返ると街の中を新幹線がピューと走り抜け、ヤマモモの赤いさび色の花が咲いていた。
6月になると赤い実が成り、少し渋いがそのまま食べることもでき、ジャムにするとなおおいしい。



地徳山からは別所奥山や、鷹ノ巣山を望むことが出来、鷹ノ巣山東峰から鹿島神社前バス停へと下る馬ノ背の尾根が連なっている。
馬ノ背を2~3人の登山者が歩いているのが見えたので、ズームして撮ってみたが、険しくはなく歩きよさそうな尾根のようだ。



地徳山から鞍部の鹿嶋神社分岐へ下り、展望台へと登り返して、そこから百閒岩を目指す。




百閒岩は、まるで山全体が一つの岩の塊のような様相で、距離にして鉄塔までの間、おおよそ300m強続いてるだろうか。
女性と連れ合いのわんちゃんもジグザグを切ってゆっくり登ってくる。



岩場からは東に高御位山が見えているが、まだまだ遠い。




尾根の道は別所奥山を経て双耳峰である鷹ノ巣山とその東峰へと続くが、鷹ノ巣山の南下側には岩壁があって洞窟のようなものがある。
馬ノ背は鷹ノ巣山東峰から派生する尾根筋のようだ。

福山から来られてたグループと乗換駅の網干で出会い、百間岩まで姿が見えていたが、その後どんどん先へ行ってしまって見えなくなった。
グループは山行計画を立てると時間通りに歩くようで、のんびりとしておれないようだ。



別所への分岐を過ぎて、マルバアオダモの泡っぽく薄黄やサルトリイバラの花を眺め、鷹ノ巣山への登りに差し掛かる。
そこからは鹿嶋神社への参詣道があるのだろう、桜並木が続き、ちょうど満開のようでした。
右側にはこれまで歩いてきた大平山などが霞見えている。



馬ノ背が行く手右下方に見え、歩きたい気持ちをそそられる。
時間があればここを下り、神社前にある登山口から桜並木を堪能しながら再び稜線へ登り返したいものです。



鷹ノ巣山を越え、鞍部へ少し下ると東峰は目前。




東峰から後方を振り返った。
これまで歩いてきた尾根道がくっきり。
ほんの少し下ったところで馬の背の森と書かれた道標が立っていたので、そこが馬ノ背分岐だったのだろう。
わずかに登り返すと左桶居山方向への分岐がある。
今日は行かないが、この桶居山へのルート上には面白い形の岩があったりして、面白いコースらしい。

この山一帯は一部に植栽されたところはあるが、大きな杉の木や桧が見当たらない。
かつて山火事でもあったのだろうか?
マツの木やツツジ、ソヨゴやヤマモモが多く、ところどころでヒサカキの匂いが漂ったりしている。




ヒサカキで思い出すのがヨクソミネバリの木。
別名ミズメと呼ばれているが、メチルの匂いがしてヒサカキと同じくだいぶ臭いらしいのだが、嗅いだことはない。

東峰から高御位山まで途中長尾山を挟んで、まだ少し距離が残っている。



東峰から小一時間掛かって小さな祠のある高御位山の岩場に到着。
足が竦むような岩場ではみなさん思い思いに食事をしたり、景色を楽しんだり賑わしい。



山頂では大己貴命(オオナムチノミコト)と少彦名命(スクナヒコナノミコト)が祀られる高御座神社が建ち、方位盤と石柱がある。
ガイドブックによるとこの岩頭からは瀬戸内海に浮かぶ淡路島や家島諸島、小豆島を眺めることができるそうだが、黄砂のために霞んでいて観ることが出来なかった。


    <下山方向の小高御位山と中塚山>       <中塚山登り途中から振り返り見た高御位山>

山頂での休憩が終わって時計を見ると、時刻はすでに午後1時、周回平均コースタイムは4時間なので、ゆっくりし過ぎたようだ。
山頂からすぐ降りたところにベンチがある見晴らしのいい場所があったが、スルーして急いで北山へ下山することにした。
百閒岩や高御位山山頂付近と比べて、このルートを歩く人数は圧倒的に少なく静かだ。



中塚山からさらに尾根伝いに歩けば北山奥山へ行き、左折ししばらく歩くと展望のいい太閤岩があって、その手前には昔の大阪堂島の米相場の旗振り中継所がある。
時間があれば寄ってみたかったが、諦めて、北山鹿島神社へと下った。



途中、左手に石切り場と思われる場所に出て、分岐を左にとってさらに下ってゆくと亀の甲岩といわれるところに出た。
播磨アルプスはほんとうに岩場の多いところで、しかもゴロゴロした岩ではなく一枚岩だ。
長い間、山を歩き続けているが、あとにも先にもこんなにもエキセントリックな風景を見るのは初めてのこと。



14:05、イノシシ除けの柵の扉を開け北山鹿島神社に降り立ち、国道2号線が走る南への車道を辿り、曽根駅へ。
歩く道、アケビの花が咲いていたり…。



足元にもトウダイグサが咲いていたりする。
目に青葉 山ホトトギス 初鰹
正確には初夏を詠んだ句、もう少しこの季節にふさわしい句はないものかとさがしてみればありました。
春の雲 結びて解けて 風のまま
雲の代わりの黄砂飛ぶ日でしたが、そんな季節の山歩きでした。



JR曽根駅9:00-豆崎登山口9:10-百閒岩展望台10:30-高御位山12:30-北山登山口14:05-14:55JR曽根駅

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須磨アルプス…兵庫県

2019-03-27 | その他<四国外の山>

鉢伏山、旗振山、鉄拐山、栂尾山、横尾山、東山

標高   248m、252.6m、234m、274m、312m、おおよそ250m
山行日  2019年3月23日
登山口  須磨浦公園
下山口  板宿
駐車場  須磨浦公園
トイレ  鉢伏山、おらが茶屋
水場   なし


青春18きっぷを使って、駅から周回できる山旅、前回は岡山県備前の天狗山に登ったが、前々回は和気富士でここは通称、和気アルプスと呼ばれている。
今回登る山は神戸の六甲山縦走路の一部で西側の山を歩くのだが、通称、須磨アルプスと呼ばれている。
和気富士と須磨はアルプス繋がりで、天狗山と須磨は米相場繋がり。
天狗山の岩場の山頂は360度の展望があって、昔、江戸中期から大正初期にかけて、大阪堂島の米相場を伝える旗振りの中継地点だったそうだ。
須磨アルプスのコース上にも、標高253mの旗振山という同じく米相場を伝える旗振りの山がある。

当時は弁当持参で毎日山に登って、旗を振ったそうで、竿の長さが最大3m、旗は小さいもので60cm、大きいもので2m、風がある日は相当に力がいったでしょう。
旗の振り方はきめ細かくて、おおよそ21種類、しかも他人に読み取られないよう、あらかじめ決められた信号を用いたそうだ。

逸話が残っていて、明治26年に電話が大阪に開通したが、当時の電話代は高額過ぎて、しかも回線が繋がらず、郵便よりも遅いと皮肉られたそうだ。
因みに伝搬時間は、米相場の堂島から京都まで3分、神戸まで7分、岡山まで15分、広島まで27分だった。
当時は電話よりも安くて早い、面白いですねー。

晴れた日には白旗、曇った日には黒旗、ときには赤も使ったそうだが、夜には提灯。
望遠鏡や双眼鏡も使われたそうだ。
これを始めた淀屋は、100万石の大名を凌ぐ天下の豪商になった。



電車に乗ったのが早朝5時、乗り換え乗り換えして、山陽電鉄・須磨浦公園に着いたのが9時半。
18きっぷの不便なところは、特急など新幹線に乗れず、自動改札口を通れないこと。
便利なところはJRであれば、一日中どこでもかしこでも乗り降りできること。
改札口で、駅員さんに水戸黄門よろしく、これが見えぬかっ、はっはーっ!てな按配できっぷを見せて通過できること。
ただし、無人駅ではなんとも頼りない感じで、野球でいえば空振り三振しヘルメットが飛んだとき、サッカーだと空蹴りして足と体が宙に浮いたとき、柔道だと背負い投げが相手の体重で潰されたときの印象を受ける。



次に困ることが、トイレだ。
乗り継ぎの乗り継ぎのため、電車の待ち時間が非常に気になって、おちおちトイレに行けないことが起きる。
電車の中のを使えばいいじゃないかといわれそうだが、最悪、その電車丸ごとついてないものもあったり、ついていても満員混みこみで身動きできないこともある。
そういう場合は、すいませんの連発で、押しのけ掻き分けして、無理クソ、トイレのある車両へ移動しないといけない。
パンツのぐしょぐしょだけはなんとしても避けなければならないので、相手の迷惑顔など気にしていては、世間は渡れない。
こちとら頻尿なのだ。

須磨浦公園には、敦盛塚や敦盛桜通りがあったり、芭蕉、蕪村、播水の句碑が建ってたりで退屈しない。
公園内の階段はやや急で、息が切れる。
年間50万人もの登山者が訪れるという六甲は、なかでも須磨アルプスは人気コースの一つ。
多くの若者が歩き、息を弾ませながら「うわっ、ハイキングコースやと思うてたけど、舐めてた、ほんと舐めすぎてたわ」、ここは神戸、関西弁丸出しの会話、親しみを覚える。

ところどころに休憩所があり、ツツジや一部早咲きの桜が咲き、春グミが実をつけている。
眼下には海釣り公園のある須磨海岸が見え、いい風景だ。



鉢伏山からほんの少し歩くと旗振茶屋のある旗振山山頂に着く。
昔、この山頂を分けて、東が摂津、西が播磨の国境で、現在は須磨区と垂水区の区境になっている。



眺望がすばらしくて、西側には垂水の町並みと舞子浜から延びる明石大橋と淡路島が見えている。
この旗振山から振られた相場の旗は、淡路島をも経由して徳島へも伝わったそうだ。
写真はズーム撮影しているので淡路島が近くに見えているが、直接、島から手旗信号が読み取れたかどうか、それとももう一か所櫓を組んだ中継所などが舞子辺りにあったのだろうか?



東には須磨海岸やポートアイランド、神戸空港も見える。
米相場の堂島、および淀屋の縁の地淀川や中之島は六甲アイランドの東にあり、遠くに霞んでいる。
豪商淀屋はどのくらいの蓄財を成したのだろうか。
1705年、闕所(けっしょ)により没収された淀屋の財産は金12万両、銀12.5万貫、北浜の土地2万坪、その他伏見・和泉など400町歩、家屋、北浜1万坪と176戸、土蔵730戸、大名や公家などへの貸付金が1億銀貫目(現在の貨幣にしておおよそ100兆円)などというから、現在の日本の税収を大幅に上回る赤字体質の国家予算並みだ。



旗振り山からウバメガシの茂る尾根筋(六甲縦走路)を歩いてゆくと、鉄拐山に到着する。
三等多角点が埋設されたちょっとした見晴らしのいい広場とベンチがあって、神戸の街や海岸が一望できる。
傍らにはフジバカマが植えられているようで、花の咲く10月頃にはアサギマダラが飛翔してくるとのこと。



やがて勢揃松というところにやってきて、ちょうどこの辺りだろうか、この下にトンネルがあって第二神明高速が東西に走っている。
傍らの石に彫られた道案内は右に須磨寺とあった。
源平一の谷合戦の舞台となった須磨寺に寄り、敦盛首塚や弁慶の鐘などを見たかったが、時間がなく諦めて、高倉台を経て横尾山への道を辿る。

15分ほどで高倉台にあるおらが茶屋に到着したが、この日はあいにく閉店で、楽しみにしていた独特カレーとコーヒーはポシャッた。
仕方なく、ベンチに座って小さなカップうどんをすすった。
団体さんがわさーっとやってきて、ズルズルすする傍で記念撮影。



高倉台からは団地越しに栂尾山が見え、急な階段を上る登山者の姿がちらほら。
その高尾台団地に下りる鉄製の手すりの付いた、人一人すれ違うのにやっとという細いくねくねした階段も、長くて急だった。

団地の弁当屋さんで昼食を摂ったのち、県道65号線を跨ぐ陸橋を越え、喘ぎながらコンクリートの階段を上がる。



階段をだいぶ上がったところで後ろを振り返ると、高倉台にあるおらが茶屋の白い建物と、その後方にこれまで歩いてきた鉄拐山や旗振山、鉢伏山が見える。

栂尾山には展望台があって、ここからも明石大橋や神戸の街が見下ろせる。
再びおらが茶屋で出会った団体さんがやってきて、にぎやかに記念撮影。

ウバメガシの他、カクレミノ、ヒサカキ、アセビ、コナラ、キハギ、ソヨゴなどが茂った登山道を歩く。
麓からマーチングバンドの素晴らしい演奏が聴こえてきた。
マーチングバンドといえば横須賀が有名だが、ここ神戸も盛んなところ。

二等三角点・須磨のある標高312mの横尾山に到着。



横尾山からは東山への鞍部へと下るが、次第にそれらしい雰囲気の岩場が現れた。



ここからが核心部の馬ノ背といわれているところで、それほど身の危険は感じないが、それでもおっとり刀のへっぴり腰。
注意しないと、特に雨で濡れていたりするとスリップし滑落することもある。



おそるおそる階段を下り、底にたどり着き、再び崖を這い上がる。
前を歩いている女性の方が、「わし、歩道橋を歩くのも恐いのに、これ、もっと怖いがな」「あんた、はよ先へ行ってよ、わし、立ち止まるの怖過ぎるし」



渡り終えると「あー、面白かった」「怖かったけど、来て良かった」と安堵の表情を浮かべてにっこり。



東山からは六甲縦走路を離れて板宿へと下るが、道沿いの木々は若葉が芽吹き、アオキには花芽がつき、足元にはオオイヌフグリやヒメオドリコソウ、ハコベ、ムラサキハナナなどが咲き、ヤブツバキは登山道一杯に真っ赤な花を落としていた。



ラッキーなことにコバノミツバツツジの、花開いているのに出合った。
板宿神社には、道を誤って偶然に立ち寄り、参拝。

都会では山道よりも街歩きが難解で、こういうときはスマホが便利。
妻のスマホアプリ、yamapが板宿駅まで難なく案内してくれた。



山陽電鉄からJRに乗り換える際に寄った駅からは明石城が見え、築城当初から天守閣のないお城として有名。
しかし、なぜ天守閣がないのか、原因や理由はわかってないそうだ。




山陽電鉄・須磨浦公園駅9:50-鉢伏山10:40-旗振山10:45-鉄拐山11:00-おらが茶屋11:25-11:40高倉台団地12:15-栂尾山12:35-横尾山12:55-東山13:30-板宿八幡神社14:20-14:40山陽電鉄・板宿駅

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天狗山…岡山県

2019-03-18 | 中国地方の山

天狗山                  てんぐやま

標高                   392.3m
山行日                  2019年3月8日
登山口                  備前市寒河「寒河八幡宮」
駐車場                  なし
トイレ                  なし
水場                   なし
メンバー                 単独

天狗塚、天狗岳、天狗山、天狗峰、天狗岩などなど、全国に天狗を冠した山は数え切れないほどある。
因みに四国の有名どころ霊峰石鎚山にも天狗岳が聳えており、三嶺の西にも天狗塚が ある。
わが町香川・観音寺にも琴弾山の西側に天狗山がある。
日本では天狗とは神や妖怪とされているが、古くは中国において流星を指したらしい。
ウィキペディアによると大気圏を突入し、地表近くまで落下ししばしば空中で爆発し、大音響を発する火球のことだったようだ。
隕石落下も含めての天狗だったのかもしれない。
中国の場合、それは凶事を意味しているが、日本ではいつの頃からかその山の神域の守護神的なものだったようで、有名な四十八天狗は、そのなかには島も含まれているが、そのほとんどが山に縁があって、特に日本を代表する八天狗は愛宕山太郎坊、比良山次郎坊、飯綱三郎、鞍馬山僧正坊、大山伯耆坊、彦山豊前坊、大峰山前鬼坊、白峰相模坊であり、さらに別格の石鎚山法起坊を加えることもある記されていて、これらはすべて山岳信仰と深いつながりがあるようです。
というわけで、青春18きっぷを使って、岡山県備前市にある天狗山に登ることにした。
この山は、電車で、駅から登って周回できる。



朝6時半、東の空が明るくなったばかりの電車で、坂出で乗り継ぎ、JR岡山へ出て、そこからさらに赤穂線に乗り換え、ごとごと揺られて15駅先にある寒河駅で下車。
ローカルな赤穂線は東岡山の少し先で山陽本線とわかれ、裸祭りで有名な西大寺を過ぎ、瀬戸内海岸線近くを走る。
赤穂を過ぎてしばらく走ったところで相生に到着するが、そこで新幹線と合流し、再び山陽本線となる。
寒河駅は岡山駅と相生駅の中間地点から、少し相生側に寄ったところにある小さな無人駅だ。
当然のことに改札口には駅員さんはおらず、切符はポケットに仕舞い込んだまま通過。
学生の頃の国鉄時代にはどの駅にも必ず駅員さんがいて(たぶん)、定期券を出したり、切符を渡したりしてたのですが、当時とは違って人と人の触れ合いがなく、こんなのでいいのかという一抹の寂しさを感じる。

駅前の桜並木はまだまだ固い蕾、袂に梅が咲く小さな橋を渡って、傍にお地蔵さんのある国道250号線沿いを横切って細い路地をお寺方向へと入ってゆく。



民家のベランダ陰から、鳥が飛び立った。
一瞬のチャンス!
イソヒヨドリだった。
日本でこそ港や磯近くに生息する野鳥だが、外国では標高2000~4000mの岩石地帯に棲む鳥らしい。
鳴き声は、ツツピーコピー、ヒーチョイチョピーチョ、ちょい聴きヒバリに似てるが美声だ。

八幡神社鳥居のある参詣道入り口に着いた。
ここが天狗山への登山口。



鳥居をくぐって、先ずは本殿右横にある台座に座っている石を拝観。
第25次南極観測隊が持ち帰った、南極の石が埋め込まれている。
白く硬い石で花崗岩の一種だろうか?
本殿左手に行くと、いくつかの社を過ぎたところに登山口があって、そこからジグザグと登りだすが、足元にはウラジロかコシダかと思われるシダが茂っている。

プーンと春山独特の匂いが漂ってくる。
ヒサカキの花が咲きだしたようで、まだ開ききってはいなくて硬い蕾が多い。



途中ロープが施された急な岩の斜面を攀じ登ると、だいぶ高度が上がったようで、景色が開けた。
眼下には寒河の町並みが見え、ちょうど山裾を走る赤穂線の電車が先ほど下車した寒河駅に着くところだった。



ところどころに気の早いツツジの花が咲いていて、今年が暖冬だったことを伺わせてくれた。
あと1.2kmという道標のある4合目を過ぎ、やがて6合目に到着。


         小天狗                       天狗山         
歩く尾根はほぼ北方向。
10:40、ガイドブックには前山と記されていたが、標高370mの小天狗に到着。
ここから一旦小さな鞍部に下って、一登りすると天狗山。
周りの樹木は松やネズミサシ(ネズの木)の他にソヨゴも多く、とりわけヒサカキの木がダントツに多い。
花が満開になる3月下旬から4月頃には、この山はあの独特の匂いでむせ返ることでしょう。



10:50、岩に埋め込まれた四等三角点・天狗山の山頂に立った。
360度の眺望だ。
電話など通信技術が発達してなかった江戸中期から大正時代までには、中継地点となるこの岩場から旗を振り、大阪堂島の米相場を全国に伝えたらしい。



コンパスで確かめることを失念したが、この景色は東北東方向だろうか?

相場を伝える旗はどうやって振られていたのか、すでにこの頃にはローソク足を使ったチャートが編み出されていて、やれ長い上ひげだの下ひげだの、やれ赤三兵だの三羽烏だのと、その頃の相場師を賑わしていたのでしょう。
いまの株相場はすべてAI技術で売り買いされているようで、旗振りのような悠長のことをやっている暇などない。
全世界の資産家や金融関係などのディーラーが参加し、わずかコンマ何千何万分の一秒とかのタイムで勝負を競っている。
そのために、動きは大きく荒くたくなっているようです。
まあ、最近ではアベノミクスたらで、公的年金資金も株式市場に投入しているわけですから、もうめちゃくちゃですわ。



岩場は2カ所あり、こちらは鹿久居島など、日生諸島が見下ろせる場所。
写真中央上部に小さく薄っすらと、備前日生大橋が見えている。
鹿久居の奥には頭島が陰になっていて、景色のいい、たぬき山展望台がある。
鹿久居島と頭島も橋が架けられているので、自転車で島巡りなんていうのも乙かもしれない。

日生諸島のさらに奥には小豆島が幽かに見えていて、瀬戸内の島最高峰でもある小豆島最高峰の星ヶ城山が望める。
星ヶ城山左手には、吉田富士や内海ロックも見えているようだ。



こちらは周回コースの下り方面尾根筋の山々。



南東には家島諸島がポカポカ浮かんでいる。
この日はあいにく霞んでいたが、空気の澄んでいる日には東に明石大橋も見えるそうだ。


         天狗山・小天狗                    西峰

山頂で一休みした後、北への踏み跡を下り、三峰越えを目指す。
神社からの往路とは違って、踏み跡は心もち細く、茂っているようだ。

三峰越えから西へ折れ、中峰へ、途中で左手に見える天狗山と小天狗を振り返った。
11:35、西峰到着。



西峰からほんの僅か歩いたところで、きれいな湖面の三つ池の一つ、奥池が見下ろせた。
ここまで誰にも遇わなかったが、下から話し声が聞こえ…。



やがて休憩中の三人グループにばったり。
足音を忍ばせたわけではないのだが、こんにちはと声を掛けると、飛び跳ねるようにして驚かれていた。
やあ、突然に後ろから現れて、悪い悪い。

 
             奥池から歩いてきた尾根を振り返る             

奥池と中池の土手を歩き、さらに下池へと下り、下池を右手下にして谷筋への踏み跡を辿る。
いくつものイノシシの足跡が残されていた。



谷筋の登山道はこんなところだ。



ガイドブックには増水時には要注意と書かれていたが、まさしく川底を歩くようにして登山道が続いている。


                   鷹ノ巣山
谷筋の先に寒河平野の一部が見える場所まで降りてきたが、そこは鷹ノ巣山の真下で、見上げると今にも崩れ落ちそうな脆い岩崖。
いつ崩落が起きてもおかしくない場所だ。



やがて民家に降り立ち、畑では梅の花が咲いておりました。
とぼとぼ西願寺まで歩き、13:05、寒河駅に着く。
次の岡山行き電車は13:48、誰もいない駅のベンチに腰掛け、ほろ苦い抹茶を飲みながらしばし駅前の風景を眺め時間待ち。



JR寒河駅9:28-天狗山登山口9:40-前山(小天狗山)10:44-10:52天狗山11:17-奥池11:50-舗装道路出合12:40ー13:05JR寒河駅

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