むらくも

四国の山歩き

豊受山・赤星山(愛媛県)…4/17

2010-04-20 | 法皇山系

豊受山・赤星山    とようけやま・あかぼしやま



標高         1247.4m、1453.2m
登山口        四国中央市土居町野田
駐車場        林道終点に7台程度
トイレ        なし
水場         皇子渓谷沢、水量豊富

登山者        つむじかぜさん&HANA、むらくも




花の季節になって、俄然、山が賑わいだした。
しかし、山野草やハイキングだけが目的ではないようで、登山口を通り過ぎる車もあれば、
山頂とはかけ離れた林道に車を止めている車もある。
そんなとき、ふと沢とか辺りを見ると、手提げ袋とか籠とか持った方達がのんびり山菜採りに勤しんでいる。

翌日からの食卓は数日間、山菜尽くし。
ワラビ、フキ、ゼンマイ、ウド、タラの芽、イタドリは定番だが、笹竹、みず、せり、アザミそして、極めつけはたんぽぽの花、うるい(オオバギボウシ)、あけびの若芽などがあるらしい。

今までに食したことがあるのは定番のもので、これ以外にはコゴミがある。
どれも香りがあったりして美味しいが、特にコゴミはあっさりしてシャキシャキッとしてすごく歯ざわりがいい。
しかし、コゴミは四国では滅多と食べられない。

先日から我が家の食卓にも山菜尽くし。
ワラビ、イタドリ、そしてタケノコが大鍋いっぱい、食べきれないほどの量がドンと食卓に乗った。
雨後のタケノコ、今年は雨が多くて、一般の野菜類は不作で高騰を招いているが、タケノコだけは例年より早く生産されているとみえて、連日、ゲップが出るほど食べている。
好きなので、いくらでも食べられる。

イタドリはシャキシャキッとして美味しい。
歯ざわりがいい。
ビールによく合う。

ですが、このシャキッとした歯ざわりに仕立て上げるにはちょっとした料理の工夫がいるようで、里山でちょこちょこっと採って来て(香川ではOKです、誰も咎める人はいません)、さっと熱湯にとおして、皮をむくのですが、うまく剥けないし、なによりもあの歯ごたえのあるシャキシャキ感が出ないのです。




というわけで、今日は山菜採りに豊受山から赤星山へ。
嘘でーす。
山菜採りは近くの里山に出かけるとして、つむじかぜさんのご要望に応えて、山桜と躑躅を見に豊受山北西尾根から三角点へ直登して、赤星山へ、そして稜線上から小さい尾根を下り、皇子渓谷へのコース取りです。
山野草もちょこっと期待大です。

家からのアプローチが短いので寝坊ができる。
5時50分に家を出て、大野原ICから高速、土居ICで降り、国道11号で左折、直ぐに一つ目の信号で赤星山への大きな案内版に従い、細い道へ左折し、高速下まで直進し、あとは赤星山への案内版に従って、南奥へと入っていく。

渓谷沿いの奥まった林道終点が登山口になっている。
7時に待ち合わせだったが、20分も早く着いてしまい、つむじかぜさんを待つ間に、準備をする。

すでに軽トラが一台止まってた。
この山を整備されている方の車のようだった。
早朝からご苦労様です。
4~5年前の台風の影響で、この林道や渓谷に大きなダメージがあったのですが、その後再び整備されて安心して登ることができるようになりました。
おかげさまです。

7時前、つむじかぜさん&HANAが元気な姿でやってきた。
椿の赤い花びらがいっぱい散って、躑躅が頭の上で咲き誇る登山口から丸太橋を渉って出発。




ヤマブキの朝露に濡れた艶やかな花びらを横目に沢を登っていく。




ふと見上げる山腹には覚めたばかりの朝陽を受けて、白く薄いピンク色に輝いている。
足元ではイチリンソウがこれもまだ目が覚めてないらしくて、うつむき加減にしっとりと咲いていた。




少し行過ぎたので引き返して、適当なところで尾根に取り付く。
急な斜面、息も絶え絶えに登って行く。

斜面にはタチツボスミレ、頭上にはシキミの花。




幾分登ったところで、樹幹越しに土居の町と瀬戸内が見えた。
なおも上り詰めていく。

つむじかぜさんが獣のベッドを見つけた。
鹿の寝床だろうかそれとも猪の寝床だろうか?

(カメラのレンズにゴミが付着、しばらく見苦しい写真が続く)




しばらくそのままヤブ尾根をつむじかぜさんがナタを使いながら登ると、二つ目の獣の寝床。
笹などが綺麗に敷き詰められている。

寝床の周りに落ちている糞を確かめた。
糞はコロコロしていて、一見、鹿の糞にも見えたが、よく見ると艶やかでないし、黒くないしで、どうやらイノシシのようでした。

鹿の糞はもう少し黒く(新しいのはやや緑色)小さくて、雄鹿は丸くて細長い、雌鹿はやはり黒くてやや楕円形。
因みにカモシカは鹿の糞のようにパラパラではなく、黒くて丸くて小さいのが集合して固まっているようです。

HANAが寝床の直ぐ傍でマーキングをした。
これでここの主はもう二度とこの寝床に帰ってこないだろうと思った。




動物の寝床は種種様々でおもしろい。
樹の祠、梢、地面の穴、岩の棚や隙間、川床などなど、住む主もムジナ、テン、キツネ、ヤマネ、フクロウ、ミミズク、ウサギ、キジ、サル、タヌキ、イノシシ、リス、ムササビなどなど。

しかし、実際に出会うのは難しい。
残念ながら、まだウサギ、イノシシ、シカ、フクロウしか出会ったことがない。

やがて大きな崖のような切り立った岩場に行き着く。
右に左に、そして岩と岩間をすり抜けるようにして力任せに登る。




すると横切るように歩きよい道に合流。
無視して上へと登る。
そしてまたまた歩きよい登山道が横切る。
この上で合流した道が国土地理院の地図に載っている破線の道かと思われた。

三つ目の獣の寝床に遭遇。

やがて、植林から自然林に変わり、展望の良い処に出る。
タムシバの白い花が見えたが、先日の冷え込みと重たい雪で、花が痛み、茶色く変色している。





山頂が近くなったのだろうか、だんだんと苔石の多い痩せ尾根になり、ところどころ雪が残っている。




シャクナゲの木が増えてきた。
いままでになかった赤テープがところどころに目立ってきたなと思った頃に豊受山三角点に到着。
11時5分。

HANAと記念写真を撮った後、赤星山へ向かう。




縦走路は春の陽光を浴びて、ほかほかと暖かい。
足元にはシハイスミレだろうか、やや赤みがかった花びらが綺麗だ。





展望の良い岩の上で三度ケ崖を眺め、そして赤星山を見る。

単独の女性が赤星からやってきた。
中尾から登り、鋸山へ縦走。
連れがいたが、赤星山から下山してしまったとのこと。




鞍部の野田登山口分岐に着く。
周りにはヤマシャクヤクのまだ小さな葉と蕾がちょっぴし顔を覗かせている。




歩きよい縦走路が続く。
やがてハルトラノオの群生。





赤星山への登り斜面に差し掛かる。
だんだんときつくなり息が弾む。




ヒョー!
やっとこさ山頂。
5~6人の方たちが思い思いに休憩をとっている。

登山口で出会った、二人の男性にも再会。




カタクリはまだ葉っぱが出たところで、花はこれからのようだ。
どっこいしょ、私達もお昼ご飯にすることにした。
今日は風もほとんどなく、山頂は気持ちがいい。

ここで思いがけずに3年(?)ほど以前に高知県の苓北・白髪山で出会った「今日も山へ」の仙ちゃんに再開。
ひゃー♪懐かしい。




再開した皆さんにそれぞれにお別れして、下山。
豊受山方面へと元来た道を引き返し、しばらくのところで小さな尾根を下る。

植林地帯で四つ目の獣の寝床を確認。
踏み跡のない尾根を下って、登山道に合流。




千丈滝の下分岐に到着。
この分岐標識はつむじかぜさん作でした。




お~っ!
本日の目的の花、キバナのショウジョウバカマに出会えました。

ショウジョウバカマは白、赤、ピンクっぽい薄紫、そしてこのキバナがある。
ショウジョウバカマは開花の終わりが近づくと、薄い緑色から茶色になるのですが、ここのショウジョウバカマは咲き始めから鮮やかな黄色です。




懸命に撮るつむじかぜさんのベロンチョ赤舌後姿。
HANAは沢の音に耳を澄ましながら、主の撮影をジッと耐えて待つ。




シロバナネコノメソウ     マルバコンロンソウ




ワチガイソウ     ジロボウエンゴサク




陽春の沢




降りてきた仙ちゃんに再開。
橋を渡って、布引の滝。




エイザンスミレ     ヤマルリソウ




しばし機滝に見とれ、そして撮影。




山桜もこれで見納めかな。




あちこちうろうろしながら名残惜しそうに下る。




躑躅と開花した元気なイチリンソウ




ミヤマカタバミの清楚な花。

今日は少し賑やかで、懐かしい方にも巡り合えて、たくさんの花にも出会え、そして素晴らしい滝を眺めながらの一日遊山でした。




林道終点登山口7:14-急峻な岩場9:35-豊受山三角点11:05-赤星山分岐11:15-野田分岐11:32-12:18赤星山山頂13:29-千丈滝下分岐14:27-機滝15:08-15:39林道終点登山口

(注意)渓谷沢から豊受山への尾根上には踏み跡はありません。また、下山時に歩いた稜線から外れて渓谷へ下る小さな尾根上にも踏み跡はありません。

コメント (4)
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鋸山~赤星山(愛媛)…1/30・一人

2010-02-01 | 法皇山系

鋸山・高山(七々木山)・豊受山・赤星山
のこぎりやま・たかやま(ななぎやま)・とようけやま・あかぼしやま


標高    1017.3m、1145.2m、1247.4m、1453.2m
登山口   四国中央市林道法皇線
駐車場   なし
トイレ   なし
水場    なし




先週から花粉症が始まってる。犬みたいに鼻が乾く、目が痒い、クシャミが出る、頭が重たくて考え事が出来ない、憂鬱な季節だ。
暖冬の影響か発症が例年より1週間早い。
不思議なことですが、花粉症だからといって、杉林を歩いてもその時点では特に酷い症状はでない。酷くなるのは山を降りて、車がたくさん行き交う道路に出てから。
杉花粉が飛び交う時期に併せて症状が出るので花粉症には間違いないけど、これと排気ガスとの因果関係ってあるのかな?なにも排気ガスだけが原因ではないようにも思えるし、中国から飛んでくる工場のさまざまな煤煙やガスなども一因があるかもしれない。昔、話題になった有吉佐和子さんの著書「複合汚染」を思い出す。

豊受山にある豊受神社、もう一度お参りしようと思った。
年が明けた1月4日に豊受神社にお参りし、自転車仲間の先輩の、足の障害の根治とツーリング復帰を祈願した。
すると思いがけず、2週間後のツーリングに先輩は復帰した。
しかし、喜んではいられない。
50kmばかし走り終えたとき、先輩は寂しそうにポツリ「やっぱり、今後は参加するのは無理かもな」と…。

もう一度、行ってみよう。





というわけで、先輩の足の障害、その根治祈願と体力復帰にかこつけて、再度豊受山へ。
前回と同じく翠波高原から登山口へ行き、鋸山からの縦走を選ぶ。
ですが、同じコースでは面白くない。縦走路の延長線上には赤星山がある。
赤星山への往路でお参りし、帰路でもう一度神社にお参りできる。

えっ?一日に二度も…いつからこんなにも信心深くなったのかな~。
多少、疑わしい部分もありますが、これも凡人の所為です、大目に見てくれるでしょう。^^;

いつものように川之江・三島ICで高速を降りて、別子銅山方面へと走り、法皇トンネルを抜けて金砂湖方面へ少し下ったところで、左折し、翠波高原へと行く。
翠波高原展望所を過ぎ、もう一つ上の小さめの東屋展望所のところで、一番左よりの道へと進入する。下って、三差路で左折、すぐに「3km先では通行止め」の看板があるが、かまわず進む。ほんの少し下ったところでダートな道(七々木林道)が左にあるので、そこへ入り、ガタゴト2~300mほどで登山口。広めの路肩に駐車。(1/6UP鋸山~豊受山レポート参照のこと)

空が少し鴇色になりかけた頃にフクロウが、まん丸な鋭い眼差しをこちらに一瞥して、バサッと羽音を立て、飛んでいった。一瞬にして鴇色の空は茜色へと変わっていく。
今日も車は一台もなく、準備をして7時21分登山口を出発。右手に瀬戸内がチラホラ見える。





エンジンが掛からないままでの急登に、汗をしたたらせながら鋸山の三角点、すぐに展望の良いテーブル岩。近くでは早くもホオジロの鳴き声、鳥音痴の私でも、この子は分かる。澄んだ声で「イッピツケイジョウツカマツリソウロウ」と鳴いている。




岩の上に立つと風が少し強い。変わり映えのしない写真を何枚か収め、そしてコブを2ヶ所ほど越えて、高山(七々木山)へ。ここにも三角点がある。




少し左手前方に法皇湖とその向こうに野地峰~東光森山辺りの稜線が朝日を受けて眩しく輝いている。正面にはこれから行く豊受山と赤星山、その左奥には二ッ岳の山々。




前回来たときには雪の上に一杯動物の足跡があった明るい林の鞍部。雪はまったくない。頭上から幹の皮がパラパラと落ちてきた。バリバリと音がする方に目を遣る。ニホンリスが木の実を食べていたようだ。いそいでカメラを出して撮るが、写った写真は周りの木の色に溶け込んでまったく分からない。豊受山の頂がすぐに見えるところまで来た。




後ろを振り返ると先ほど通過した高山が、なるほどと思える姿をしているのが見えた。見覚えのある豊坂分岐に到着。




直進して、鳥居、そしてすぐ傍にある豊受神社と刻まれた小さな祠。




前回には妻が「フライパンがパーン」と言いながら叩いたフライパンのシシ脅し。三つ叩いて「パンパカパーン」、昔そんな風な大阪府知事がいた。フライパンは風に揺られたのかその後も小さく鳴り続けた。鳴りやんだと思ってるとまた風に煽られて小さくコンと鳴る。神社に到着、柏手を打ってお参りをする。




岩の根っこにある小さな祠へもお参り。豊受山山頂には寄らずに、そのまま赤星山への道標に従い西へと進む。




赤星山への稜線は歩きよくて気持ちのいい縦走路になっている。後ろを振り返ると三度ヶ崖が「帰りには寄れよ~」と叫ぶ。(@_@)




小さな岩場に着く。見下ろすと深い渓谷だ。山肌の色合いがなんともいえない。




正面奥の少し突こつとした山は登岐山かな。白髪山~野地峰までの山並みが続いている。




ほどなく鞍部の野田分岐。凍りついた雪が稜線にマダラに残っていて、注意しないと滑る。やがて急登に差し掛かり、一気に登ると、待っていたのはなんとイノシシ。目の前をドドドドーッと怒濤のように駆け走っていく。距離は2mもあったろうか(体高1mくらい)ビックリして「ウワーッ!」と大声を上げてしまった。




気持ちのいい稜線を抜け、やっとこさ山頂に着いた。まだ胸の鼓動が鳴っている。ドドドーッと走り抜けた音が身体に残って、地響きを立てている。単独の男性が野田から登って来ていた。気温は1度を少し切っているが氷点下ではない。




二ッ岳と東赤石山への稜線をパチリ。




男性とお話ししながら、小春日和の山頂でお昼ごはん。幾滝などの滝もまったく氷ってなくて、勢いよく水が流れ落ちているとのこと。定番の昼食を終え、デザートに甘くて美味しいあんぽ柿(誤りにつき訂正<市田柿>でしたm(_ _)m)。男性は一足先に豊受方面へと降りていった。
しばし、瀬戸内を眺めて楽しんだあと、追いかけるようにして、元来た道を引き返す。





シャクナゲは陽をいっぱいに浴びているが蕾はない。気温がなおもジワリッと上昇しているようだ。暖かい。
野田分岐では先ほどの男性が休んでおられました。下山するには早すぎるので豊受山へ寄ってみるとのこと。

登り返して、三度ヶ崖へ。途中、赤いザックと赤いオーバーヤッケの男性とすれちがう。




神社上の稜線では三角点へ向かってるご夫婦らしいペアの後ろ姿。何人かの人を見かけるとやっぱり寂しくなくて、なんとなく元気が出る。高山手前のコブで後ろを振り返り再度三度ヶ崖を撮ろうとヤブ尾根を上がったが、木の小枝が跳ね返り目に入る。年だね~、若いときは咄嗟に瞼を閉じられたものだが、反応が鈍った。




テーブル岩に到着。岩の上でザックを降ろし、しばし、景色を楽しむ。眼下には春霞?の瀬戸内海とポッカリ遠くに浮かぶ島々。三度ヶ崖で出会った男性も到着。一段高い大岩の上で景色を楽しんでいました。




いつもになく早い下山。翠波高原でカメラ散策をしたあと、帰路につく。菜の花が小さく芽を出し、黄色い花芽がちょっぴり顔を覗かせていた。





登山口7:21-鋸山山頂7:46-高山(七々木山)8:30-豊坂分岐9:01-豊受神社9:31-野田分岐9:55-10:55赤星山山頂11:36-野田分岐12:15-三度ヶ崖12:39-豊坂分岐12:55-高山(七々木山)13:13-テーブル岩13:41-14:01登山口


(注)GPSログではなく、イメージ図です。

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鋸山~豊受山(愛媛県)

2010-01-06 | 法皇山系

鋸山・高山(七々木山)・豊受山    
のこぎりやま・たかやま(ななぎやま)・とようけやま
標高     1017.4m、1145.2m、1247.4m


登山者    二人
登山口    四国中央市林道法皇線
駐車場    なし
トイレ    なし
水場     なし




年が明けて、一人仲間が去った、といっても山の話ではありません。
毎月、定例日に自転車でツーリングするサイクリング・クラブのことです。
このクラブは40年近く続いていて、わたしが参加したのが今から20年前、去った方はクラブ結成時からの大先輩。
クラブ発足時はみな好青年でしたし、一日60kmから70kmは普通、中には200km走る人もいて、兵ぞろい。
しかし、40年近く経ったいまでは好好爺さんばかり、走る距離もスピードもグンと落ちました。
去った先輩は一昨年あたりから、みんなについていけなくなった、としきりにつぶやくようになってた。
それでも去年一年間は、止めたらいかん、止めたら終わりぞといいながら懸命に参加して走ってた。
他のメンバーも先輩の足に合わせて走るスピードと距離を微妙に調整しながら元気づけた。
しかし、とうとう年末にはいよいよ足が弱り、立つことが困難な状態になって、年明けには参加できなくなった。

寄る年波と病気には勝てず、一人去り二人去り、次第に寂しくなっていく、中にはすでにお亡くなりになった方もおいでるくらいに高齢メンバーなんです。
今年もいつものように年明け二日に集まって、金毘羅さんまで走り初詣、その後、新年会。ビールで乾杯し、飲み干しては酒に切り替え、次第に顔を赤く染める。
去った人をつまにしては飲み、そして寂しがる、しかし、それは仕方のないこととして誰もが割り切って受け止めている。

独楽は回り続けないと倒れる。
一度、倒れるともう自らは立つことができない。
不思議なもので回り続けている限り立っていられる。
だからぎりぎりまで自ら回ることを止めちゃいけない、なんだってそうだ。
芯の先に油などを注して、ギザギザの床を磨いて硬くして、時には自ら頭をくるっと回して勢いをつけて、いつまでも回転が滑らかになるようあれやこれやと努力や工夫…。
それを痛いほど分かっているから、みんな止めないで70になっても80になっても頑張り続けている、くたばって動けなくなるまで。
こんなこといっちゃ-なんだけど、稀に道行く車の中から血気盛んな若い連中から、こら~、くそじじいどもが~と怒鳴られようが。
そんなときは怒鳴り返すことにしている。
なんだとこのくそがきが、降りて来い!と。
腕まくりはしないことにしている。
肉が垂れてぷるんぷるんたるたるの腕など見せたら返り討ちに合わされる。
負けないのは口だけだ。
そんなことを思いながら、今年も山へ。
どうせ行くなら、<山での初詣と願わくは大先輩の復帰を祈願すること>を兼ねての山歩きにしよう。





お参りするのに威厳があってご利益がありそうな石鎚山は今回はパス、ロープウェイと駐車料金はやっぱり痛い。なので近くの豊受山にした。今日はすでに4日、金毘羅さんや善通寺お大師さんはまだ混んでても、ここ豊受神社は静か…ひょっとすると誰もいないかもしれない。

川之江・伊予三島ICを降りて、別子銅山方面へ走り、法皇トンネルを越えて少し下ったところで翠波高原へと左折する。翠波高原の駐車場を過ぎ、高原を見下ろす展望台上のところで左への道へと進入。西へと下って電波塔も過ぎ、三叉路を左折し、少し下ったところで未舗装の林道へと左折する。ほんの少しガタガタ道を走れば登山口。車は一台もいません、広めの路肩に駐車して、8時12分スタート。尾根の右手、土居や伊予三島の街と瀬戸内を眺めながら歩きます。




ところどころまばらに雪があって、落ち葉やいがぐりがたくさん落ちている。30分余りで三角点のある鋸山山頂、そしてすぐに大きな松の木があって、そこがすこぶる展望のいいテーブル状の岩場。




一度このテーブル岩に立つと、何度でも来たくなるほどの絶景で、近くに住んでいれば散歩コースにしたいくらいです。西にこれから行く高山(七々木山)と豊受山。松の木が朝陽に輝いてとても綺麗だ。




眼下には伊予三島寒川の街。瀬戸内の青くて穏やかな海、船と小島、そして荘内半島が小さく遠くに見えている。




ところどころに黒い小さな動物の糞が石の上にたくさん転がっている。夜行性の動物たちだろうか。高度を上げるにつれ、雪の白さが目立つようになるが、例年よりうんと少ないような気がする。三角になった四つの点、これはウサギの足跡。




大き目の足跡の右横に車が止まってたような、小さな小さな四つの足跡、なんだろう?ネズミにしては大きくて、リスにしては小さい。これくらいの大きさはヤマネくらいしか思い浮かばない。左の大きいのはテンとか、タヌキとか、イタチにしては大きい。時間帯が異なるのだろうが、幾つかの固体が同じ方向、同じ道筋に足跡を残している。




豊受山が間近に見えてきた。ここが高山(七々木山)だろうか、三角点があるはずですが確認できていません。




そして豊坂分岐。鳥居をくぐって、小さな祠の横をとおり、参道へ。すると木の枝にぶら下がったフライパンとトンカチ。カーンと二つ鳴らして先へ進む。やや遅れて来た妻が「フライパンでパーン」と言いながら一つカーンと鳴らす。これは神社近辺にいるかもしれない動物たちへの注意喚起の合図。今頃、ブヒブヒいいながら慌ててイノシシたちが逃げているかも?




ここは雪の吹きだまりなんですが、それでも20cmあるかないか程度。冷え込んだ割には少ない。引きずったような鳥の足跡、こうやって長く歩くのはカラス臭い。




見覚えのある神社に着いた。




岩の前に鎮座している小さな祠にお参りする。願い事は二つだけ、今年一年の山歩きの安全と先輩の復帰。この神社の神様は五穀豊穣の神様、願い事は叶うかな~。




神社の裏から尾根へ上がって、ザックをデポして、痩せ尾根を右に進む。赤星山への分岐を右に折れ、さらに尾根を進んで行くと三角点に着く。シャクナゲの木があるが芽は付いていない。




引き返して再度赤星山の分岐点。赤星山への道がおいでをしているような気がして仕方なかったが、今日は思いの外、足が重くて、少ししんどい。




神社の上まで戻り、ザックを背負って尾根を直進。三度ヶ崖上の絶好のビューポイントにやってくる。足元にはいくつもの小動物たちの足跡。ここでシートを広げてお昼ごはん。





赤星山とたおやかな稜線。





左奥には二ッ岳~ハネズル山、さらにその左奥には大座礼山と東光森山。




ハネズル山からググーっと落ち込んだ先にはキラリと光る法皇湖。




東には翠波の山並みと歩いてきた鋸山~の稜線。




伊予三島・川之江の製紙工場の大きなエントツからは風がないため真っ直ぐに白い煙が立ちのぼる。




今日はホットドッグとわかめ入りのミニカップラーメン。昔はわかめを食べると髪の毛が黒々フサフサすると言っては食べてたものだが、いまこれを信じる人はいない。翠波高原をズームアップ。




こちらは大森山・佐々連尾山、右奥は白髪山。




風がなく、ポカポカして気持ちいい。午後からは半袖で過ごせそうな気温だ。コーヒーを飲んで、ひっくり返ってうたた寝。誰も来ないし静か、時間が止まったような感覚になるが、そろそろ帰ろうか。




振り返って三度ヶ崖。もう一度動物たちの足跡を追いながら稜線を辿る。




岩のテラスに帰り着き、ひっくり返って横になる。ここからの景色はほんと飽きない。目の前には岩と松と佐々連尾山方面の山並み、素晴らしい日本庭園だ。




名残惜しいが帰らなきゃな。誰かが登ってくる、高知からのご夫婦でしたが、お伺いすると登山口が分かり難くてこの時間になったそうです。たしか、以前にも同じような方がおいでた。今年の初登り、ポカポカ陽気の中ののんびり尾根歩きでした。さーて、次の山、どこにしようか。




登山口8:12-鋸山8:47ー8:49テーブル岩9:00-高山(七々木山)10:07ー豊坂分岐10:30ー豊受神社10:54ー三角点11:10ー11:29三度ケ崖展望所12:22-豊坂分岐12:46-14:00テーブル岩14:11-14:32登山口


(注)実際に歩いたログではなく、イメージ図です。



<参考>

登山口へのアプローチは翠波高原展望所から少し上で左への道にとり、電波塔を過ぎて三差路に出る。




三差路ガードレールには「寒川方面→」黄色い小さな標識があるのでこれには従わず左折。左折するとすぐに3km先は行き止まりの大きな看板があるがそのまま進む。




少し下ると未舗装の道が左にあるので、ここへ入っていく。ほんの少し先に登山口。登山口まで行ってしまうと道は細く車の向きを変えるのに苦労するので、その手前の直角カーブになった路肩の広いところで向きを変えて止めるとよい。



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赤星山(愛媛県)

2009-11-02 | 法皇山系

赤星山 あかぼしやま

登山日 10月31日
標高  1453.2m
登山口 愛媛県四国中央市土居町野田
駐車場 林道野田線終点の広場6~7台
トイレ なし
水場  登山口沢沿い~千丈滝下沢まで




四国の山の紅葉は転げ落ちるように下り、高山ではすでに冬支度。紅葉前線の標高は700から1200m辺りだろうか。気象庁も来週は気温がグッと下がり、東北・北海道の山では雪が舞うところもあるだろうとのこと。10月も今日で最後、明日からは11月になる。さて、どこの山に行こうか、前日の床に入るまで祖谷山系にしようか、それとも法皇山系の1000mから1200m辺りの稜線歩きにしようか、いつものように愚かな思考は迷走していた。ほぼ90%、豊受山~赤星山の稜線歩きで固まったと思っていたが、寝る直前に「そうだ、紅葉の滝だ、ならば赤星山の五滝巡りがあるじゃない…」パチン、突然の閃きに指が鳴った。ふむふむ、我ながらいいアイデアだ。ならば出かけようじゃあ-りませんか。




今日は妻は仕事、なので一人、いそいそと準備し、羨ましがる視線を思いっきり背中に感じつつ、心を鬼にして熱い眼差しを振り払い、家を出発。う~ん、我ながらキリリとして男らしい姿だ。行ってくるぞ!コホン!

土居ICを降り、国道11号で左折、すぐに「赤星山へ」の大きな青い看板のある交差点を左折し、高速下をくぐり標識に従って林道野田線をごとごと走る。やがて終点の登山口広場に到着。車は一台もない。準備をして7:45、広場に生えるアキチョウジを撮りながら出発。





広場奥にある岩に掛け渡した小さな橋を渡り、右岸へ。岩陰にはジンジソウが白い特徴のある花を咲かせている。




5分ほどで再度木の小さな橋を渡り左岸へ。小さな滝を眺めながら幾度か同じような橋を縫うように渡る。右岸、左岸、右岸。




沢から中型の真っ黒な鳥が飛び立つ、急いでカメラを構えるが逃げられた。まさか、カワガラス?鳥を撮影するのは難しい。特定の場所でテントを張るなどして、物陰でじっと待つしかないのかも。お馴染みのハガクレツリフネにノコンギク。やがて右沢向こうに切り立った岩崖が見えてきて、ぐっと一登りすると…。




本日、最大の目的の幾滝。早速、三脚をザックから外して、じっくり構えて撮影タイム、と思いきや、雲底に取り付けるカメラ台を忘れているではありませんか。苦心惨憺四苦八苦、小枝でカメラが雲底から滑り落ちないように、工夫をして撮影。しかし、やはり駄目。おそるおそる撮った写真はタイムバリュー不足で、面白くありません。しかも、滝の周りの紅葉もまったくなくて、ガックリ。それでもやはりこの滝は最高のロケーション、幾滝の意味を考えながら、なんとなく得心したような気持ちで少しの時間を過ごす。




上を見上げると、うっすらと紅葉した木が見える。そこの木、ここへ降りてきてくれんか。ムリッ!そうかいそうかい、なんだ、最近の若い娘のような突き放した話しだわい。ひとつ上の「紅葉滝」も名ばかり。




当然に「布引滝」も駄目。紅葉どころか、気のせいか緑の葉が活き活きとして見える。あ~あ…、…でも綺麗やな。




またまた小さな橋を左岸へ右岸へ、そうこうしている内に造林小屋跡に着いた。




8:51、豊受山への分岐に着く。分岐を示す比較的新しい道標があって、「でも山野草がいっぱい見れます」と書かれた小さな札が括り付けられていた。「…でも…?」裏(正確には表)にはなんかの文章が書かれていてその続きかな、ひっくり返そうとしたが、止めの括りが固いので止めた。そして稲妻滝も過ぎ…。




千丈滝下の分岐に着く。ここから右折し千丈滝へ向かう。「滝と紅葉」、期待する最後の滝になるのだが…。なぜか「先生」の歌詞が頭をよぎる。涸れた沢から小型の鷹が飛び立つ。チョウゲンボウだろうか?沢は涸れてはいるが、水の音が岩の下辺りから聞こえてき、やがて左岸・右岸・左岸と移動。水量もちょろちょろした流れからだんだんと豊富になってくる。




分岐から左への踏み跡の濃い道に比べて、こちらは踏み跡の少ない道。よたよたしながらやっと着いた。やはり期待した紅葉にはほど遠く、淡い初恋消えた恋…いや淡い黄葉でした。…幼い私が胸焦がし慕い続けたその人は…♪滝の右岸あたりで動物の走る音。滝上部は明るい陽射しを受け、野鳥がピーチクピーチクピー。




ほどなく左からの本道と合流。右に折れ、山頂へ。こうなったら今日の紅葉は山頂から豊受山への稜線に期待しよう。気を取り直してビシッ!




コハウチワカエデだろうか、黄葉しているが、本来は赤くなる樹木?のはず。気のせいか黄から枯れ葉色に変色しているようだった。苔むした階段状の石を登っていく。




木組みの小さな梯子を上り、あと1kmの標識のあるところで一息入れて、ソイジョイ1本を囓り、バナナを頬張る。道ぶちにはところどころに30cmの穴が空いている。猪は一体なんの餌を探り当ててるんだろうか?植林地からシャクナゲ尾根へ出る。クロモジ、シロモジ、リョウブなどの疎林。




落葉していて、歩く道はフ-カフカのガ-サゴソ。逆三角形の大きな山頂標識のある三角点に着く。




二ツ岳と東赤石山への稜線。




土居から新居浜にかけての街並み




弁当を食べコーヒーを沸かしていると、野田からご夫婦が登ってこられた。女性の方は少し疲れたご様子だったのでお話しは伺わなかったのですが、どうやら宮崎から来られた方のようでした。「ごゆっくり」と声を掛け、豊受山への稜線に入る。




樹木は葉をすっかり落とし、冬姿になっていた。この時点で豊受山への縦走は断念した。ふかふかの落ち葉を踏みしめて、稜線歩きをするのも乙なものだが、当初の目的から外れてしまった時点で萎えてしまい、気持ちを切り替えることができなかった。人間てこんなものかな、弱いというか、勝手なもんだな。




それでもところどころにある木やツルリンドウの赤い実に心を躍らせ、秋の陽射しを浴びながら、稜線を下って行く。やがて独標1251mを越え、もう一つ小さなコブを越える。目前に豊受山の稜線が迫ってきた。




ブナ、リョウブ、ツツジなどの樹木がいっぱいだ。鞍部に近づくにつれシロモジなどの黄葉が目立ってきた。野田への分岐は標高1185mくらいだろうか、この稜線の最低鞍部ではなさそうだった。左折し稜線を離れる。




すぐにこもれびのある明るい植林帯に入る。踏み跡と赤テープを目で追いながらの下りだ。やがてお花畑らしいところを過ぎ、もうすぐこの下が朝に確かめた分岐だろうと思われる位置で休息することにした。朝、家を出しなに妻が「これ食べな」と渡してくれたみかん二個とあんぽ柿を一個。あんぽ柿は先週も山でいただいたが、その時よりもやや色が黒く変色していた。味は変わらずに美味しかった。




この道、登りに使うとややきつい道かな、お花畑があるとはいえ、女性陣にとっては厳しいコースになるだろうと思った。分岐に降り立ち、沢の冷たい水で顔を洗う。ヒョエ~~♪




布引滝を上からの角度で撮る。ヤブニッケイ?だろうか、楠の木に似た実をつけている。




もう一度上から眺めた幾滝。わたしは四国屈指の滝だと思っているがどうだろう。





<参考>
登山口7:45-8:18幾滝8:45-豊受山分岐8:51-千丈滝下分岐9:08-千丈滝上分岐9:56-11:00赤星山山頂11:40-赤星山・豊受山稜線鞍部分岐12:20-豊受山分岐13:11-13:43登山口


(注)実際に歩いたログではありません。概念図です。

コメント
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