むらくも

四国の山歩き

坊主谷ー国見山ー田丸…徳島県

2018-04-26 | 祖谷山系

国見山               くにみやま


山行日               2018年4月22日
標高                1409.1m
登山口               三好市池田町松尾(祖谷渓温泉より2.1km南32号線カーブミラー)
駐車場               なし(道沿い広い路肩)
トイレ               なし
水場                坊主谷に流れる沢水
メンバー              佐々連さん、glicoさん、biscoさん、むらくも

江崎隊レポ             同行して頂いたbiscoさんのレポは→こちら「カテゴリー国見山(徳島)」




ボウズダニ、ダニの仲間ではなく、ちゃんと漢字があって坊主谷と書く。
こういう書き出しはセンスが悪くて、感じが良くない。
筆者の脳みそがどの程度のものかよくわかるのだが、やめられない。
大歩危・小歩危の名勝地がある吉野川と、祖谷渓谷で知られる祖谷川に挟まれるようにして標高1409.1mの国見山が聳えている。
その国見山の山頂東にはスプーンでえぐったようなカール状の谷があって、標高900mあたりから切り立った岩峰のU字谷となり、標高270mを流れる祖谷川へと落ち込んでいるところが坊主谷だ。
おらが村のカールおじさんが石垣の陰からひょこっと現れそうな雰囲気のあるところです。

ここへ行くには、祖谷川を渡って対岸の田丸地区へ行き、そこから山道を西へ辿る。
我がチマチマ隊の隊長であるシマチマおいちゃんは、以前は坊主さんと呼ばれていたが、その坊主さんから坊主谷の様子を知りたくて一枚の写真を送ってもらっていた。
送ってもらった写真は、田丸へ渡る橋の無残な崩落風景だった。
橋は吊り橋で、橋台のほかにケーブルとハンガーロープのワイヤーが残っており、橋桁に使われていた床板は川の上にぶら下がり、風に揺れていて、いまでは猿しか渡れない。
3月に一度下見に行ったのだが、川を歩いて渡るしかなく、水量の少ないときを狙って渡ってみた。
水は浅いところで脛までだった。

帰宅して早速計画を立てた。
田丸から坊主谷へ下りて、少し遡ったところで西の尾根に乗り、国見山の南東にある1370m峰に出て、国見山山頂へ。
そして、川崎への稜線を歩き、途中の1343m峰から東の尾根を辿って田丸へ下る。
歩く距離はおおよそ11kmほどだったし、以前に吉野川にある二つの橋を使って国見山を周回したときには8時間20分ほどで周回した経緯もあって、行けるだろうと判断した。



国見山には東西に古の道があって、いずれも川崎が起点で、西の道は西祖谷山村徳善(大歩危)に通じ、東の道は西祖谷山村戸ノ谷に通じていた。
どちらかというと、西の道がいまでいう国道に当たる道で、東の道は村から村への生活道であったようだ。
しかし、どちらの道も廃道もしくは新しい車道によって寸断され、荒れて昔日の面影はないようです。

阿波池田から高知へ向かう国道32号線途中にある青い祖谷口橋を渡り、県道32号線を祖谷渓温泉方向へと走らす。
目的地へは道ナビではじき出した所要時間より早めに着きそうなので、途中小便小僧を撮影したり、道沿いから坊主谷を撮ったりしながらゆるゆる走った。

写真は左から、1370m峰、右奥に国見山、坊主谷を詰めた稜線鞍部、1352m峰、1343m峰、右端には三角点・川崎のある1200.3mPが…。
坊主谷は上部はU字、下部はV字型で、大雨のときなどには降った雨水を集め、岩や土砂を一気に押し流していることが伺えます。


                      坊主谷と国見山稜線

集合予定時刻より30分ほど早く着き、佐々連さんと二人で体操やストレッチをしながら待っていると、やってきました。
なにがなんだかわからぬうちにチマチマ隊高知支部を名乗り出た江崎隊のお二人が、カーブミラーのある車道路肩にドンと車を乗りつけた。

本当のところを言うと、体力脚力もさることながら、歩く山のレベルも圧倒的に本部支部が逆転しているのです。
チマチマ隊香川本部は本部でありませぬ。
チマチマ隊ヨボヨボ香川支部という名称が妥当ではないやろか…。

準備をしてヨタヨタよろけながら、7:35、なぜか声を震わせてスタートの号令。
祖谷川への踏み跡を下ってゆく。
尾根を右に下って川床に近づいたところでおぼつかない踏み跡を左に進むと、橋の袂に石仏がある。
お参りに来られる方がおられるのだろう、お地蔵さんの頭には苔むしてはいたが毛糸で編んだ帽子が被せられていた。


             崩落した吊り橋                  お地蔵さん

20分ほどで降り、川床から眺めた坊主谷の上部尾根は車道から眺めた風貌とは異なり、尖がってゴツゴツしている。
下から仰ぎ見た結果、優しい嫋やかな稜線は、峻険な岩峰の後方に隠れてしまっている。
靴を脱いで、浅瀬を選んで渡渉。
カジカがヒューヒューと女の子を誘うような鳴き声をたてている。
きっとヤンキー座りして、タバコの煙を下あごを突き出しながら、ヒューっと頭の上に向かって吐き出しているに違いない。

川床はヌルヌルした苔の生えた石ころが多く、滑りやすい。
できるだけ砂地を選んで歩く。
ここのところ気温が上がっているが、水温は3月に歩いたときとさほど変らないような気がした。


             祖谷川川床                     渡渉

対岸のできる限り、橋寄りのところから上った。
(注)橋より右手側よりは左手側からが、ゆるい傾斜で上がりよいことを復路で気づく。
橋脚台の袂に上がり、往時、ここを渡っていた人たちをイメージする。


                          橋脚             

家が建っていたのだろうか、石垣がたくさん残されている。
建物跡と思われる平らなところを左手に抜けて、適当に上ると、しばらくで踏み跡に合流する。
国土地理院に記載されている破線の道はもっと下にあるが、おそらく上にあるこの踏み跡が破線としての元々の道でないだろうか、これより下側の斜面は谷へと切れ落ちていて、踏み跡もなく簡単には歩けそうにない。


               石垣                       道

8:56、坊主谷に近づき、ほぼ地図上の破線に合流した位置あたりで右上は岩、そしてまた石垣が現れた。
石組の様子から、炭焼き窯と季節的な仮住まいの小屋跡だったのではないだろうかと憶測したが、どうだろう?
ひょっとすると住居跡だったのかもしれない。


               岩                       石垣

石垣のすぐ奥は苔むした岩ゴロの沢、坊主谷だ。
地図を見ると、右手に標高900mあたりまで崖マークが続いている。


              坊主谷                    カツラの木

台風や大雨のときには大量の流水があると思われるのだが、川床にはところどころ高いところがあって、カツラの大木が立っていたり、綺麗な石垣が残されていたりするので、谷全部を埋め尽くして流してしまうほどのものではなさそうだ。、


             岩ゴロ           標高600m付近の石垣(都合により、下の岩壁写真より先に配置)

標高560m付近で右岸に高い岩壁が現れた。
地図上では丁度、谷を跨いぐ破線の上辺りだが、右岸の岩壁下方は急斜面のうえ踏み跡はない。

当初、坊主谷南の尾根へ登って、1370m峰から一般道を歩いて国見山へ登るという計画だったが、江崎隊の元気なお二人のご意見に従って予定変更をした。
坊主谷を最後まで詰めて、国見山ちょい北の鞍部に乗る。
4人で話をした結果、これで行こうということになった。


                          岩壁

3月末にここを訪れたときにはまだ固い蕾だったヤマシャクは、花が咲き、すでにタネになっているものもある。
リンドウは里山でよく見かけるハルリンドウやフデリンドウよりやや小さくて、高さが3cmほどしかない。
コケリンドウかと思ったが、花弁が細く尖り星のような形をしていて容姿が異なる。
葉の形状はフデリンドウなのだが…?


             ヤマシャクヤク                 ??リンドウ


            ジロボウエンゴサク               シロバナネコノメソウ

小さくて目立たないトサコバイモ発見。
そしてbiscoさんが、ヤマウツボを見つけてくれて、上を歩いていたわたしを呼び止めてくれた。
トサコバイモもヤマウツボも初めて見る花、このときはうれしかった。
特にヤマウツボは寄生植物で、滅多矢鱈とお目にかかることのできない花だそうだ。
見れば見るほどに、変った花でした。


              トサコバイモ                  ヤマウツボ      

標高670m地点で、谷は二つに分かれ、ザレてくる。
右手を見上げると急峻な岩場でゴロゴロしていた。
左手の谷を登るが、大きな浮石が増え、ますます急登になる。
斜面は内側から見た大きな丼の縁のように、そっくり返っていた。
写真を撮る余裕がなくなった。



                沢を詰める(黙々と前を歩く佐々連さんとglicoさん)

ときおり、ガラーッと音を立てて、石が上から崩れ落ちてくる。
斜度が35度から40度くらいだと、乾いた砂地のような土に落石はすぐに潜り込んで止まってくれるが、50度前後にもなると危険だ。
岩ゴロの谷を離れ、左の小さな尾根に逃げた。


             ツツジがちらり                  斜度40度~45度超 

glicoさんはよほど谷へ戻って、最後まで坊主谷を攻めたかったらしくて、独特の言い回しで伝えてきたが、世の中の何の役にも立たないどころか卑しく飯ばかり喰らうクソジジイとはいえ、ここで怪我をしたり、命をむやみに捨てたくはなかったので言葉を濁して無視した。

前を行くglicoさんと佐々連さんには水をあけられ、後方からは迫られ、息はゼコゼコ、足は罪人につけられた鉄鎖を引きずるような重さで、動かなくなってしまった。
しばしば、立ち止まって息を整えないと、年寄はもたない。


              後方から詰められる               シハイスミレ

13:17、国見山山頂ちょい北の1360mの稜線に出た。
疲れて、足元ばかり見ながら歩いてると、biscoさんがカラマツがきれいだと声をかけてくれる。
そうだった、3年前にも国見山から川崎までこの稜線を歩いた。
同行者とカラマツ林を眺めながら、秋にばきれいな黄葉が見られるなと話したものです。

13:26、国見山山頂でリュックを投げ捨てるようにして、仰向けにへたり込む。
glicoさんが保冷剤にくるんで、山頂まで持ってきてくれたコーラを手渡してくれた。
有難い。
体を動かしたあと、のどがカラカラになったときに飲む炭酸飲料は格別にうまくて、のどの渇きがすぐに止まる。

この日は気温が全国的に高く、32度超えのところも。
山頂からの風景は青く霞み、天狗塚や野鹿池山も見えたが、写真の写りはよくない。


              カラマツ林                    国見山

記念撮影し、14:13、下山開始。

川崎方向に歩いて1343m峰から東北東の尾根を下った。
わたし、方向を間違えてしまい3人を南東に誘導してしまった。
そこは谷側で、景色が一気に開け、覗き込むようにして眼下を眺めた。
坊主谷は残念ながら見えなかったが、出発点付近の県道32号線が見えた。


              下山開始                     自然林

方向を東北東にとり、自然林がいっぱいの尾根を1200mまで下ったとき、右手に展望がありそうなコブがあったので、寄ってみた。
そこからは登る予定にしていた1370m峰への、結構、きつそうな尾根が見えた。
ここを登る機会が、のちにあるだろうか。
この年齢になると、たぶん、ない。
まだ、他にも行きたいところがたくさんあるし…。


                      1370峰東尾根

国土調査と記された白い頭の杭と、赤い頭の境界杭が尾根に沿って埋設されている。
それを追うようにして下ると、1200.3mPにある、三等三角点・川崎があった。


              境界杭                     1200.3m峰

自然林の気持ちのいい尾根で、ややバカ尾根っぽくて、方向がとりにくく外しやすい。
誤って、東南東へ下ってしまった。
向きを北へと修正しながら、黙々と下る。
お疲れ気味。


              林床                       林床

バカ尾根を過ぎてしばらく下ると、植林杉がちらほらし、踏み跡が現れた。
下る斜面の勾配がきつくなってきて、日がだいぶ傾いたのだろう日光が入らず、やや暗い。
やがて何軒かの廃屋の傍を通過し、17:05、狛犬が鎮座する妙見神社跡に到着。


              バカ尾根                    妙見神社跡

そこからほんの少し下がったところに小さな四等三角点のある田丸に到着。
座ってお茶を所望。
biscoさんによると、ここまで歩いた距離は約10kmほど。
いやー、たった10kmしか歩いてないんだー、異常に疲れ過ぎてます。

少し上には境内だろうか、そこには桜の木が一本あった。
3月29日の下見のときには、桜の花が丁度満開だったが、いまは若葉が茂っていた。


             狛犬                        559.2mP

一息入れた後、折り返すようにして西に下り、出逢った踏み跡を南に折れて下る。
途中に西へ直進する踏み跡もあるので注意を要するが、たぶん、その踏み跡は坊主谷への上部の道ではないかと思ったが、確認はできていない。
やがて谷筋に出る。
そこはザレていて道は消えており、適当に下ると再び踏み跡が現れ、さらに下ってゆく。
途中で小鳥の鳴き声を静かに聴きながら一息入れた。

三叉路に差し掛かるが、ここも左に下りる。
(右に行くと、朝歩いた坊主谷への下の道に繋がるのではないかと当て推量をした)
民家跡だろうか、いくつもの石垣の傍を下ってゆく。


             道                        石垣
             
17:52、やれやれ、やっと川床に着きました。
朝、渡渉した後、石の上に置いておいたクロックスに履き替えて、同じく保管しておいたストックを突いて冷たい水の中を、へっぴり腰で渡った。
着いた対岸で、濡れた足をタオルで拭きながら、陽が落ちそうになり暗くなった坊主谷右上部の峻険な岩峰をカメラに収める。


           祖谷川川床                      坊主谷の山

急斜面を登り返して、18:35、県道32号線沿いの駐車地点に帰り着いた。
佐々連さんがホッとしたように、「明るいうちに帰り着いてよかったー」という言葉が印象的でした。
glicoさんbiscoさんは、「やったね、達成感あるー」との感想。
わたし、「疲れすぎて、達成感なし、明日になっても(絶対に)感じれんわ」

距離の割に時間がかかり、疲労が激しい。
坊主谷はやはり手強かった。

佐々連さん、glicoさん、biscoさんお疲れさんでした。
三人が同行してくれてなかったら、周回することができたかどうか、甚だ怪しかった。
それと、江崎隊のお二人が、南の尾根周りを上がるのでなく、坊主谷奥の奥まで詰めて登ろうと言ってくれなかったら、どうなってたのか、これも気になって仕方がない。
今回はそいう山行でした。

帰宅して、ビールも飲めなくて、バタンキューでした。


           駐車場への斜面                   ヤマツツジ

駐車地点7:35-川床7:58-坊主谷8:58-稜線13:17ー13:26国見山14:13ー1343m峰14:48ー1200.3(三角点・川崎)15:35-559.2mP(妙見神社跡)17:05-川床17:52-18:35駐車地点


グーグルマップ(登山口など位置の分かる地図)→こちら
ルートラボ(距離・所要時間などがわかる地図)→こちら

コメント (23)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黒岩山ー下川峠…愛媛県・高知県

2018-04-18 | 石鎚山脈

黒岩山、下川峠           くろいわやま、しもかわとうげ


山行日               2018年4月16日
標高                1341.7m、おおよそ1330m
登山口               四国中央市富郷町落合
駐車場               なし
トイレ               なし
水場                下川峠から落合方面に下っておおよそ標高950mの沢
メンバー              単独




季節の移ろいは早い。
つい3~4週間ほど前は、山では雪が残り、尾根に噴き上げてくる風は冷たかった。
その後、早春の花たちが次々と咲き、あれよと言う間に桜が咲き、散った。
いまではツツジたちが山間を彩り、クロバイも白い花を木の上を覆うようにして一杯に広げている。
花が好きな人たちは、蜜蜂か熊のようにして、あちこちの山を寸暇を惜しんで飛んだり徘徊したりしている。
忙しいことだ。

山で歩き疲れて帰ってきて、やれフーと大きく息を吐きながら風呂に入ったりしたとき、足や腕にピリピリっときて、そこを見るとひっかき傷や、打撲したりして、赤く腫れたりしていることがよくある。
あるいは翌日になって痛みが出て、見るとオリンピックの1000円記念硬貨ほどの青痣ができてたりする。
特に男は女性に比べて、鈍感にできている。
古来、男は肉を得るための狩人であって、敵から村を護るための戦士なのだ。
少々傷ついたり、咬まれたからといって、いちいち敏感にハヒーなどと反応して、痛がったりしてたのではいけない。
ちょっとたんま、血が出てる、手当せにゃいかんなどといってかまったりしていては、死につながってしまう。
男は、ごめんなさいするわけにはいかない、血が流れていても、肉が削げ落ちても、闘い続けなければならないのだ。

ところがどうだ、なぜか普段の男は、血を見て卒倒する。
手術をして内臓を切り開いている場面などは怖くて顔をそむけてしまうのだ。
女はその点、血など平気で、手術には、ふんふんと頷きながら、しっかり見ている。
このメスオスの違いはどうなんだと不思議に思ったりしている。

というわけで、前回の山歩きでこしらえた打ち身の痣がようやく癒えた頃に、再び山を歩くことにした。
向かう山は、愛媛高知県境にある兵庫山と野地峰の間にある黒岩山だ。
前回に続いて、富郷町落合に車を止めて、林道から黒岩山を直登し、下川峠へ出て落合へ下る。



下川峠はわたしにとって、懐かしい匂いがするところで、5年のブランク、今回で4度目に訪ねることになる。
最近、杜仲茶を飲むようになって、腸のお花畑が改善されたのか、朝から快腸。
毎年ひどく悩まされていた杉・桧花粉アレルギーは、今年はほんの心持目に痒みがある程度で、大した症状は出ずに過ごしている。

裏山で山鳩がクークーと鳴いているが天気はすこぶるいい。
6時自宅出発。
黄砂とPM2.5の影響だろう、すぐ近くの山でさえ霞んで見える。
川之江、伊予三島の製紙工場の煙突から出る白い煙は、真っ直ぐ天に立ちのぼっている。

津根山大橋を渡って、通り過ぎる落合の民家では鮮やかなハナズオウが満開だ。
落合橋を渡って500mほどのところの沢の手前にある広い路肩に車を止めた。
ここから先への林道は住友林業の所有地で、普段はチエーンが張られているが、平日は木材が切り出されており、作業者などが出入りしているため、今日はチェーンが解除されている。
しかし、作業が終わった夕方には再びチェーンが張られロックされるため、車は立ち入ることはできない。

7:35、林道入り口からザックを担いでスタート。


    津根山大橋袂から黒岩山方面を…                    林道入り口

1分ほどで富郷景勝地「雌蛇渕」へ。
ザワザワ流れるツツジの咲く渓を覗き込むと、浅葱色(あさぎいろ)を少し濃くしたような色合いの水を湛えた渕が見えた。

取りつき地点までの道のりは4kmほどある。
後ろから荷を積んだトラックがやってきた。
道の端に避けて、運転席と助手席に乗っている二人に軽く会釈。
1時間弱で林道三叉路に差し掛かる。
渓より上の山一帯は伐採地で、裸地となっている。
直進方向には下山口があるが、右折してさらに進む。


             雄蛇渕                       林道三叉路          

伐採作業が始まっていて、チェーンソーの音と重機の音が重なり合うようにして、山間に響く。
突然、バリバリッと烈しい音がして、渓の上をワイヤーロープに吊るされた木材が山から山へ渡ってゆく。
索道の元へと歩いてゆくと、そこは重機が動き、木材が積まれた集積場、重機はいま刈り出されたばかりの木を鷲掴みにし、いとも簡単にチュワーンという音を残して輪切りにする。

最近の伐採する重機はすごい。
切り出しから、枝打ち、輪切りまで一つの重機でやってしまう。
ジュジュワーン、ウィーン、スパパパーン、チュワーンで一連作業の終わりだ。
一本の煙草を吸っている間に終わってしまう、アッアッだ、実にあっけない。

北西方向にハネズル山と小箱越、二ツ岳と鯛の頭がわずかに霞んで見えている。


             伐採材集積場                    ハネズル山

標高860mから900mにある林道沿いでは、瑞々しい花弁のツツジが丁度見ごろを迎えていた。
標高890m付近で一筋の沢が目に留まった。
傾斜が少し急だが、登れそうだ。
8:50、林道を離れ、岩ゴロの沢に取りつく。


             ツツジ                       取りつき

思ったより急斜面で、木を掴み、休み休みしながら這い上がる。
黒岩山まで直登するか、それとも黒岩山のほんの少し西にある北尾根を登るか戸惑いながら登ったが、9:31、うまい具合に横掛けの作業道に出合った。
左りへの道には何本かの倒木があったが、潜り抜け、支尾根を回り込むようにして谷へと進む。
鹿の鳴き声が響く。


             作業道(右)                      作業道(左)

作業道は谷突き当りで消えていたが、わずかに水の流れる沢を跨ぎ、黒岩山山頂直下へ続く尾根に乗った。
やれやれ、一安心、ザックを下ろして一休み入れることにした。
サイドポケットに入れていた杜仲茶のペットボトルを取り出し、飲む、うまい!
かつて胃の中でピロリ菌を飼っていた身分としては、沢水は飲めないが、山で飲む水などはかわりなくおいしいと感じるものです。

ジッとして座っていると、必ずといっていいほど小鳥がやってきて、梢から梢へと渡り飛ぶのですが、いつも持参している軽いコンパクトカメラでは残念ながらズームが利かず撮れない。
落ち葉の上に座って、眺める樹木の間からは、東北方面に先日登った兵庫山と、その南にある大登岐山らしい山容が垣間見えた。


              谷                         兵庫山方面

再び腰を上げて歩き出す。
ヤマドリがバタバタバターっと10mほど先のヤブから飛び立ち、驚かされる。

笹を敷き詰めたイノシシベッドがあった。
だんだんと足が重くなってきた。
歩きだしがいつもより軽快だったので、こういう日はなぜだか途中で早バテするのがいつものパターンなので、意識的にスローで歩いたつもりなのですが、やっぱりなのでした。

たくさんのブナの木が現れ、雷に打たれたのでしょうか、幹の途中で無くなっているモミの木があった。
山頂にだいぶ近づいたようです。


             ベッド                         ブナ

10:43、黒岩山山頂東の稜線に出た。
5年前と変わらず健在な八方ブナを眺め、黒岩山及び、10:56、その南、高知側にある三等三角点・麻谷山へ寄った。


            八方ブナ                      黒岩山三角点・麻谷山

以前に歩いた三角点から少しヤブ気味の上津川へ下りる踏み跡を確認して、黒岩山へ引き返す。
途中で展望のよいところから、野地峰を眺めた。
反射板が小さく写り込んでいて、左端奥の山合いから東光森山の三角頭がうっすら頭を覗かせている。


                          野地峰                       

ブナの葉芽が大きく膨らんでいた。
八方ブナを右に見ながら尾根を下って、石柱の立った分岐の目印のあるところで前方にヤブ気味の薄い踏み跡があるのを気にしつつ、右の濃い踏み跡を追った。
あっと、思い出した。
いま歩いてるこの踏み跡は、高知側へ下る道だった。
分岐へ引き返してヤブ気味の尾根道へ入る。


            ブナの葉芽                       分岐

ジワリっとヤブが濃くなってくるが、プラスティックの県境杭を確かめながら稜線を追う。
1231mポイントを過ぎた辺りまではまだ歩きよい。
次のおおよそ1260mピークはスズタケのない北側を巻いて、バイケイソウの芽吹いた辺りで腰を降ろし、弁当を広げてお昼ご飯とした。
牛乳を飲みながら、視線を下に泳がすと、ピンクのテープが付けられた細引きの白い紐が幹に括られ揺れているのが見えた。
この北に伸びる支尾根の先には、今朝歩いた林道がある。
下りることが出来るなと思ったが、今日の目的は下川峠なので、思いは振り払った。

20分ほど休憩して、稜線へ上がると、スズタケブッシュが待ち構えていた。
我慢しながらかき分けていくと、展望のいい小さな岩棚があって、そこからは先ほどまでいた黒岩山や、眼科には吉野川の上流がちらり。


            バイケイソウ                      黒岩山

南には吉野川沿いの高知の山がずらり、中でも早天山が格好いいですね。
右奥には能谷山から東門山などが見えてるのですが、靄っていてはっきりしない。
駐車してる車に細かい砂埃が幕のように積もってたりしてるので、この時期特有の黄砂とかPM2.5でしょうね。


                          早天山

スズタケはますますひどくなってきた。
ヤブの中にストックの先や、コンパスの蓋のようなものが落ちてたりで、縦走者がスズタケや木に引っ掛けて盗られたのでしょう。
1369m峰のちょい先でもう一つの小さな岩場があって、そこも展望よく、登岐山から大己屋山の尾根を望むことが出来た。
ところがその少し先から様子ががらりと変わった。
スズタケがすっかり枯れてしまって、まるで寒峰台地(カヤト)のような雰囲気になっていて、以前と比べてあまりの違いにびっくりしてしまいました。


             スズタケ                       大登岐山
            
あれほど生い茂っていたスズタケはない。
13:00丁度に下川峠に着いたのですが、ここにも密集していたスズタケはありません。
高知の下川へ下りる踏み跡は容易に見つけることが出来ました。
なんという変わりようでしょうか。


              峠手前                       下川峠

シカたちが増えて、比較的シカが歩きよいところにある笹の葉を食べてしまって、笹が枯れ、こういう風景になってしまったんでしょう。
この山域の鞍部とか平らなところは全滅かもしれませんね。
しかし、1369峰あたりの高いところはスズタケは健在な様子ですので、大登岐山への登り斜面は残ってると判断していいのではないだろうか。

5分ほどうろっとした後、峠から愛媛側に折り返すようにしてついている薄い踏み跡を下ってゆく。
踏み跡は少し先で消えてしまうので、尾根を忠実に下った。
13:20、標高1250m付近で尖がった大岩に突き当たったので左に巻いて下る。

14:00、横道に突き当たった。
尾根には下らず、左に折れて、しばらく横道の西側の様子を探ってみた。


              大岩                        横道

保安林の黄色い看板が道沿いに立っていたりして、なおも追ってゆくと沢に突き当り、その先は踏み跡が消えていたが、しばらく先でまた現れるかもしれないと思った。
沢を渡ったその先の尾根は、丁度お昼ご飯を食べたところの上にあるおおよそ1260mピークから派生している。

引き返して、たぶん保安林の黄色い看板が取れてどこかへいってしまったのだろう、鉄杭だけが残っているところに着いた。
上下三段のピンクのリボンや赤テープが巻きつけられていた。
この杭には見覚えがあって、過去二度、ここを通過して林道へ下りたり、峠へ登ったりしている。
尾根を外さないようにしながら北西に下った。


              沢                         鉄杭

しばらくして、右下に沢、左下にも沢で、それが前方で交わるどん詰まり(尾根先端)の急斜面に差し掛かった。
左の緩い斜面を選んで、沢合流地点に下り立つ。


         沢合流地点への下り                      尾根端             

沢右岸に踏み跡があって、その踏み跡は上(東)に向かって左沢の右岸を上部へ延びているが、どこへ続いているのかはわからない。
合流して一本になった沢右岸をしばらく下る。
やがて、2枚の保安林の黄色看板があって、しばらく先の標高おおよそ910mのところで左岸へ渡渉し(対岸にテープあり)、そのまま左岸沿いの道を下れば林道の高い法面に突き当たる。
ちょい戻った左側にトラロープがあるので、これを頼りに下って、14:50、林道関係の方のオフロード車が止めてあるところに下りた。


           沢下り                         林道合流地点        

林道は崩れた沢を跨いで上へ延びているが、沢には応急処置の丸太が4本渡されているだけで、当然、重機やトラックは渡ることはできない。
林業の人は、この手前に車を止めて、歩いて丸太の橋を渡り、上の伐採地で作業をしているようです。

さて、林道を歩いて駐車地点へ下ることにしよう。
林道沿いではミソサザイが雲雀のような元気のいい、小さな体に似合わない鳴き声で谷中に響かせていたり、ヤマルリソウが群生していたり、カケスが青い羽を見せびらかせてくれたりで、退屈はしない。
ところによっては、道は今にも崩れ落ちそうな高い岩場を切り開いていたり、そういうところでは必ず道に小石が落ちてるんだよな。
ほんま、恐いわー。


           流された林道                     ヤマルリソウ

やっとこさ、朝通過した壊れそうな小屋まで降りてきた。
この小屋の右奥から、川床に下りて、少し川を遡って歩くと、右岸に兵庫山の手前鞍部分岐へ登ることが出来る踏み跡がある。
かつて、この道を2度歩いたことのある懐かしい場所だ。

15:40、道左の山側に梯子があって、斜面の上にはピンクのテープや保安林の黄色い看板が立っている。
推測だが、822m峰への尾根伝いに野地峰へ繋がっている道ではないだろうか?


            小屋                         丸太梯子

駐車地点の沢右岸にもピンクのテープが何本か括り付けられており、そこには踏み跡がある。
沢沿いに野地峰へと繋がっている道だ。

15:50、車にたどり着きました、ほっ!


          野地峰への道                       駐車地点

車に乗って、落合橋を渡ったところで、道の真ん中に大きなトラックがドーンと立ちふさがっていた。
車には誰も乗っていない。
ありゃー、困った、帰れない。
車を降りて、トラックの後方を覗いてみると、よかったー、作業服を着た運転手がいました。
すみません、動かすことが出来ますかと訊いたところ、女の子だった。
にっこり笑ってすぐに動かしてくれた。

以前、テレビで林業に携わる若い男の子や女の子が紹介されてたが、うーん、しゃきしゃき動いて大型トラックを難なく運転する。
格好よすぎる。


            津根山大橋奥に聳える大登岐山ー1369m峰ー黒岩山(左から右へ)

駐車地点7:35-沢取りつき地点8:50-稜線10:43-黒岩山三角点10:56-(休憩20分)-1369m峰12:37ー13:00下川峠13:05-二股沢(標高おおよそ950m)14:20ー林道へ下山14:50-15:50駐車地点


グーグルマップ(登山口など位置がわかる地図)→こちら
ルートラボ(距離・所要時間がわかる地図)→こちら

コメント (23)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天堤山ー兵庫山周回…愛媛県

2018-04-11 | 石鎚山脈

天堤山、兵庫山              あまつつみやま、ひょうごやま


山行日                  2018年4月8日
標高                   1146.6m、1303.2m
登山口                  四国中央市富郷町葛川「葛川トンネル」手前
下山口                       〃  落合 雌蛇渕方面への林道入り口付近
駐車場                  津根山大橋葛川側袂もしくは葛川トンネル付近の広い路肩
トイレ                  なし
水場                   なし
メンバー                 単独




自宅から比較的近い天堤山・兵庫山を周回するプランを立ててみた。
取りつきは銅山川の上流にある富郷ダムによって造られた法皇湖に架かる津根山大橋を渡った葛川というところから。
葛川トンネル手前から支尾根に乗り、標高702m、903mを経て天堤山へと考えていた。
天堤山から兵庫山へ至り、兵庫山の手前おおよそ1230m鞍部にある分岐点から西尾根を辿って落合橋へ下山。
距離は林道歩きも含めておおよそ11km、わたしの経験知からも8時間以内で歩けるだろうと判断した。

前日に降った雪が少し残ってるかもしれないと思い、簡易アイゼンをザックに入れ、真冬並みとまではいかないが、早春の頃に着用する服装にした。
13年も着古した藪歩き用の衣類で、上着はささくれていて、ズボンはところどころひっかけキズで小さな穴が開いてたりする。
こんな姿でコンビニなどのお店に入って買い物をしたりするのだから、疎んじられても仕方がないのだが、本人はしらんぷりな顔をでうろうろする。
缶ビールなんぞ買った日には、店員さんに仏頂面で「はい、画面にタッチして」と邪険に扱われたりしてるのだ。



寒の戻りで、ここのところ春を通り越して初夏のような気温が続いてたが、一気に冷え込んだ。
草叢で鳴いていた雉は、今日は寒くてジッとしているのかシーンとしている。
玄関の古い門灯に、忙しく巣づくりしていた雀も、ちゅんともいわない。

am6時に家を出て、道沿いに山桜が多少咲き残っているR319号の法皇トンネルを抜け、金砂湖に架かる平野橋を渡って銅山川を遡る。
ハネズル山登山口のある湖畔の館を過ぎたところで、法皇湖に架かる津根山大橋を渡り、その橋の袂にある駐車場に一旦は車を止めたが、思い直して、葛川トンネル手前まで移動し、広い路肩に駐車した。


          葛川トンネル                    石垣  

7:50、一軒の民家のすぐトンネル側にあるコンクリートの低い法面を伝って山に入った。
すぐに石垣が現れ、踏み跡が見つかる。
辿ると、朽ちかけた民家があった。
位置的には葛川トンネルの真上だろうか、そういえばトンネルのすぐ右側に道があったな。
一部屋根も塀も大きく崩れ落ち、大きく育った杉の木が屋根を突き抜けている。
杉の幹の太さからいっても、30年以上は経っているものと思われる。


          朽ちた民家                      ハリバン

標高702mPへの尾根はこの民家の裏から北東に歩けば辿り着けるのだが、民家の姿に目を奪われてしまって、このときは頭が空っぽ状態。
そのまま歩きよい道をスタコラ東へ。
地図を広げてみると702mP裾を巻くようにして谷へ向かっている。
この道は、そのうち尾根へ上がるようになるのかもしれないという淡い期待を抱いた。
小さな沢にはハリバンが架かっていたが、黒いホースが跨ぐ木に沿っている。
その長いホースは途中で抜けていて、一方から水が流れ出ていた。
先ほどの民家へ引き込まれていたものだろう。
人が住むこともなくなって、そのまま放置されている。


          貯水槽                       急斜面

沢にはコンクリートの古い貯水槽があった。
その先は道が途絶えている。
淡い期待は消えた。
702mへの尾根へは沢を登るのが一番手っ取り早いのだが、ザレた沢登りをする気持ちは起きず、すぐ南にある尾根へ行き、そこから903mPを目指すことにした。
急斜面を攀じ上がる。
やや緩慢な斜面では林業の方が残していったものだろう、瓶やビール缶が転がったり、弁当のおかずを入れたりするプラスチックの箱が散らかったりしている。


          野地峰方面?                    椎茸栽培

標高780m、樹の間に景色が開けた。
野地峰方面だと思うのだが、定かでない。
標高800mのところで前方に石垣が見えてきた。
あたりの風景や平坦な地形になんとなく見覚えがある。
さらに20mほど上がると小屋にしては大きすぎる一軒の民家があった。
傍らには椎茸栽培の木とホダ場が青いネットとともに広がっている。
ここへは4年半ほど以前に坊主さんと天堤山から津根山へと歩いた折に通過した場所だ。
いつの間にか当時と同じ場所に合流し、歩いていることに少し驚いた。


           小屋                       大森山方面?

4年半前と同じ場所を歩くのは、なんとなくおもしろみに欠けるので、903mPの先にある尾根を目指し登ったところ、905m付近に小さな小屋があり、水場跡と思われる小さな堀穴があった。

当初、702mから903mの尾根を歩こうと思って机上でイメージをしていた計画は、ここまでの過程で、自らが見事に崩してしまった。
意志薄弱というか、安易に歩きよい道を辿る悪癖は、死ぬまで直りそうにもない。
イメージをトレースすることの難しさをあらためて思い知らされる。


           杭                         天堤山

9:38、天堤山への稜線に乗る直前で「国・調・多・角」と記された小さな青い頭の杭が現れた。
稜線に乗ると、左斜面下に伐採地があり、樹間からわずかに東にある山並がこもれ見えている。
9:50、三等三角点・天堤のある山頂に到着。
キティ山岳会の割れた山頂標識が幹に括り付けられていた。
4年半前の2013年10月にはこの標識はすでに半分に割れていたのを確認しているが、その後誰かが補修したのだろう、赤テープで割れたところを上下で繋いでいた。

次の1224m峰を目指して南へと少しだけ歩いたところで、山と記された杭があって、動物の生態調査に使っているカメラ(だと思うのだが)を取り付ける器具などが地面に転がったり、幹にぶら下がっていたりしている。
この辺りから、1224m峰手前の1180m付近までは今回初めて歩くことになる。


           岩尾根                       林床

尾根には岩や林床があったり、地面にはなにものかが大きな固まりやパラパラのフンを転がしていたり、動物たちの足跡の残るプールがあったり、自然豊かで活気がある。


          ブナ                         瘠せ尾根

シャクナゲの瘠せ尾根かと思えば、しばらくでシカの角研ぎの残るブナや桧が現れたり、イタチの足跡があったり変化に富んでいる。
雪が薄化粧をしたシャクナゲ尾根では、地面が少し凍ていて、滑って転んでしまった。
切れ落ちた谷へ転がり落ちないように咄嗟に幹にしがみついた。
いててー!イデーよ
昔、ハリー・ベラフォンテがバナナボートソングと言って、ジャマイカのバナナを運ぶ労働歌が流行ったことを思いだした。
日本では浜村美智子がカバーし大ヒット、その後美空ひばりや江利チエミなどたくさんの歌手がカバーした。

バナナの荷揚げだよ デ、イデーデーオ、荷揚げが終わったら、待ってな、飛んで帰るから、イデデ イデデーオ


           玉取山                        桧

特に有名なのが、シックスフット、セブンフット、エイトフットバンチ、デライト、カマンミー、ワンゴーホームというところ。
ここしか覚えていないので、バカみたいに腕をさすりながら繰り返し歌ってると、10:45、1224m峰に到着。
ここは7年前につむじ風さんと佐々連さんとで猿田から登って来ている。
山頂標識はなく、幹に赤テープが巻かれているだけだった。
順調だ、この様子だと、兵庫山には12時前には着くと思った。
1224m峰を過ぎて、シャクナゲや桧の瘠せ尾根が続き、玉取山と兵庫山までの途中にある岩峰がくっきり見えてきた。


                         兵庫山

11:30、1230mにある鞍部分岐で、復路を確認し、11:45、兵庫山の山頂に立つ。
2年ぶりのことだ。
山頂の奥に聳えるのは薄く雪化粧した大登岐山。
山頂付近のアケボノツツジの花芽は、まだ小さく硬い。
ザックを置いて、しばし休憩。


           縦走記念板                      白髪山・工石山

46年前の、高松一高OB・OG会の石鎚~剣の縦走記念プレートは字がほとんど消えかかっている。
12:05、休憩を終え下山開始。


        1230m鞍部分岐                     支尾根

樅、ブナの木の間を抜け、1230m鞍部へ。
そこから左への踏み跡を辿って、西尾根へ下ってゆく。
計画して今日まで、この尾根を下るのは初めてのことだと思い込んでいた。
ところが帰宅して調べてみると、1230mの鞍部からおおよそ1110mにある分岐までの間は過去に2度も歩いている。
記憶にございません。
思い出しもしません。
わしはどこの誰じゃ。

下りながら逡巡した。
当初計画どおりに尾根通しで国土地理院の地図に記された破線を下るか、それともおおよそ960m付近に描かれている実線の林道へ下るか。


           銅山川                        1060m

尾根からは銅山川の一部が見え、奥には二ツ岳らしい山が認められた。
1180m地点まで尾根を辿り、そこから960mにある林道を目指すことにした。
踏み跡はなく、傾斜30度から45度ほどの急斜面を一気に下る。
すると標高おおよそ1060m付近で、はっきりした横掛け道に当たった。

軟弱者は一転してその道を辿り西南西に歩く。
ゆるやかな上りだった。
左に折れず、右へと下れば実線の林道へ下りれたのだろうか?


           指導標                        1110m分岐

おおよそ1110mまで登り返した。
そこには兵庫山への指導標が幹に括り付けられていて、保安林の黄色い看板が設置されていた。
尾根通しに双方向にも踏み跡があり、南東にも踏み跡がある。
帰宅して調べたところ、ここは5年前と8年前に、南西尾根から谷へと続く道をそれぞれに登ったり下ったりしていた。
あまりの記憶のなさに、嫌気がさしてきた。


          快適な道                        保安林

道は尾根から少し離れてはいたが快適で、距離が捗る。
標高おおよそ890mで、合計3枚の保安林の看板が一つは倒れ、二つは立っていた。
複数設置されているのはなにかの理由があってのことで、そこは古い踏み跡があって、たぶん分岐じゃないかと思ったのだが、はっきりとしたことはわからなかった。


           赤松尾根                      810m分岐

杉は素晴らしく手入れが行き届いており、高くまでシュッシュッと伸びている。
大きな赤松林が現れた。
尾根上には落ちた松葉が敷き詰められていて、座って一休みいれた。

13:15、おおよそ810mまで下ったところで、右下からの林道と合流した。
後日に気がついたのですが、この右からの林道を辿ってゆくと実線の林道でヘアピンカーブへ出るものと思われた。


          植林帯                        2枚の看板

13:27、またまた二枚の保安林の看板に出合った。
破線のS字カーブのところらしいのだが、細くやや荒れ気味の踏み跡へ直進した。


                      二ツ岳                        

沢を流れる水音が聴こえてくる。
沢に沿って林道があるはずなのだが、ここからはそれらしいものが見えない。
前方に一本の山桜が咲いていて、奥に険峻な姿の二ツ岳が天に向かって突き出していた。
鯛の頭も見えていて、その右手に小箱越とハネズル山がちまちまっと姿を見せていた。


                     1224m峰

後ろを振り返ってみた。
真ん中に1224m峰があって、その右手に1250mPが続いている。


          崩落                      林道

やがて道は細くなり、林道が右手下に見えてくるが、崩落していて、下りられない。
迂回しながら、赤テープのあるところから下って、14:04、林道に降り立つ。


          下山地点                    チェーン

やれやれ、これで本日の周回は終わりました。
下山地点が写真のとおりなので、逆回りですと、林道の上にある破線の道を探しながら歩くのは少し手こずるかもわかりません。
林道を落合橋へと歩くと、交差点の出口にはチェーンが張ってあり、傍には立ち入りご遠慮くださいと書かれた住友林業の看板が設置されておりました。


          雌蛇渕                      川床

「立ち入りご遠慮」の看板の横には、富郷名勝「雌蛇渕」の看板があって、矢印の方向はチェーンの張られた道でした。
あらら、と思いましたが、この道は住友林業の私有地のようでした。
あらためて看板をよく読むと、無断で立ち入りして事故が起きても当社は責任を負いませんとのことでした。

川床を覗くと、岸にはツツジがちらほら咲いております。


                        東赤石山~二ツ岳

車道からは東赤石山から権現越、エビラ山、二ツ岳の稜線が、アケボノツツジの季節が近づいてますよと囁いているような…。


                      天堤山ー兵庫山ー大登岐山

車に乗って、今日歩いた稜線が見えるところに移動して、パチリ。
左端の嫋やかな山容が天堤山、右へ1224m峰、1250mP、そして真ん中少し右手に兵庫山と続く。
奥右端は大登岐山のようです。

葛川トンネル北側7:50-天堤山9:50-1224m10:45-尾根分岐(標高1230m付近鞍部)11:30-11:45兵庫山12:05-尾根分岐(標高1230m付近鞍部)12:10ー支尾根分岐(標高1110m)12:45―標高810m付近分岐13:15-林道合流(標高490m付近)14:04ー落合橋14:07ー14:30葛川トンネル北側駐車地点

グーグルマップ(登山口など位置がわかる地図)→こちら
ルートラボ(距離・時間などがわかる地図)→こちら

コメント (9)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする