むらくも

四国の山歩き

黒岩-茶せんぎ-友内山-毘沙門岳…徳島県

2014-11-20 | その他<徳島の山>

黒岩、茶せんぎ、友内山、毘沙門岳   くろいわ、ちゃせんぎ、ともうちやま、びしゃもんだけ



山行日                2014年11月16日
標高                 854m、891m、1073.2m、978.3m
取りつき地点             美馬郡つるぎ町家賀道上、県道255線奥
下山地点               美馬郡つるぎ町一宇剪宇、県道259号線奥
駐車場                なし(道沿い広い路肩)
トイレ                なし
水場                 なし
メンバ-               アンジ-パパさん、坊主さん、ピオ-ネ、むらくも




今年は例年になく随分と紅葉狩りを楽しむことが出来た。
この時期、南アルプスの仙丈ヶ岳に始まってその後四国の山を8座歩いた。
特に印象に残ったのは仙丈ヶ岳の他には大座礼山北西尾根と塔ノ丸北斜面。
行くところ行くところで素晴らしい紅葉が待ち受けていて、柳の下にドジョウが三匹でした。

等圧線の間隔が積んだ低気圧が上空を覆い、木枯らしが吹いたがそれも去り、寒気をともなった高気圧が近づいてきた。
前日には高所で雪が舞いお山は白くなった。
アンジ-パパさんと坊主さん、それぞれに連絡を取り合いながら気の早い忘年会登山を計画していたが、この高気圧が西日本を覆ったことを受けて出かけることにした。



ザックには念のために薄手のダウンや手袋を入れ、その上にはコンロや鍋などを乗せた。
まるでテント泊にでも出かけるようにザックは膨れあがり、大袈裟な姿だったが、見かけほどには重量はなく、せいぜい10kgあるかないかだった。
午前5時過ぎに、近くに流れる川に鴨たちが集まっているが、ときおりグエッグエッという鳴き声を聞きながら妻と二人自宅を出発。

高速の割引制度が変わってからは、できるかぎり平道を走るようになった。
普段、島の貞光へ行くには井川池田ICから美馬ICまで高速を利用して1時間掛かっていた。
平道を走るようになって気がついたのだが、高速を利用しなくとも所要時間は1時間ちょいとあまり変わらない。
高速を利用すると早く着くことができるという間違った観念で、これまでひたすら決して安くはない料金を支払い続けていたのです。
人間て馬鹿ですね、いやそれともわたしだけ?
途中の猪ノ鼻トンネル付近の気温は3度、この時期にしては随分と冷え込んでいた。

午前6時過ぎ、貞光道の駅「ゆうゆう館」で4人が落ち合い、朝のご挨拶、道の駅では泊まり込みの車が結構駐車していて、寝ておられる方たちも。
二人ずつ二台に分乗し剪宇へ。
一台を島県道259号線の奥地路肩にデポし、引き返すようにして国道438号線から島県道255号線<端山調子野線>へ入り、日本原風景の趣のある家賀道上からさらに登って奥地の峠路肩に止めた。
頭上には<川見・三木枋>の道路標識が逆光で眩しい。
木綿麻温泉方面への川見・三木枋へ下る道は舗装されていたが、駐車する前に調子野方面への道と思われた左ダ-ト道に入り込んだが行き止まりだった。




ザックを背負って稜線方向に、三本あるうちの真ん中のダ-ト道を歩いた。
直ぐにそれは左右に分岐していたので、右の山道へと入った。

※後日にわかったことなのですが、この右への山道のログを確かめたところ、グ-グルマップやYAHOO地図での県道255号線真上を歩いていたのです。
まさか、車は通れず人と動物しか歩けないあんな山道が県道だとは驚き、正直、なにかの間違いではないかと思いました。




天気予報では午前中曇りだったが、青空が広がった。
気持ちのよい山道からはところどころで右手に景色が垣間見え、松の梢からは貞光川の対岸上辺りの山裾に横野もしくは吉良の集落が見えている。




駐車地点から歩くこと10分ほどで、目的の稜線に乗った。
木の幹にはところどころにテ-プが施されているが林業関係の方たちが残されたテ-プと思われるピンクだった。
辺りは杉の植林地、よく踏み込まれた山道で掘り割りのように掘れこみ窪んでいたが、次第に自然林に替わり、松の木が多くて、足元には松葉独特の清潔ですぐに燃えそうな落ち葉がほっこり積もっていた。




細尾根や黄葉したシロモジの林床を抜け、稜線はやがて急登になる。
9:08、854mピ-クに到着、そこには小さな木の板で作られた山頂標識が幹に括られていて、黒岩と記されていた。
あまり歩かれていないこの稜線のピ-クには、山名などないものと思っていただけに意外な気がした。
一息入れて喉を潤す。




黒岩という山名から、この山頂付近には黒っぽい大きな岩が存在するのかも知れない。
遠くからこの稜線を眺めてみたいと思った。
ただ、東から眺めるか西から望むか、それが問題で、西だと志貴岳、東だと半平山になる。
黒岩を過ぎるとところどころで紅葉が現れる。
頭上からふりそそぐ暖かい日差しを体中に浴びながら下って、後ろを振り返ると、斜面一面が紅葉の黒岩の姿が映った。




またまた急登に差し掛かった。
黒岩から一旦下って登り返すその標高差はおおよそ80mほどなのだが、急斜面だけにきつい。
登りきったピ-クにはここにも黒岩と同じ小さな板の山頂標識があって、茶せんぎと記されている。
帰宅して茶せんぎをネット検索に掛けてみたが、出てこない。
珍しい山名だけに由来が気になったが、わからないものはわからないので仕方がない。
坊主さんは愛知県に茶筅木という地名があると教えてくれた。
直接間接問わず多少の因果関係があるのかもしれない。




シロモジや倒木のある急斜面を跨いだり潜ったりしながら下った。
鞍部から再び登りに差し掛かったところで羽根のちらばった捕食の跡があった。
羽根の一枚一枚は相当に長く大きい。
フクロウかミミズクかの猛禽類の鳥の羽根模様だと思った。
妻に一部小さな温かそうな羽を拾ってもらってカメラを向けた。
帰宅して調べてみたが、ミミズクともフクロウとも少し違う、鷹の羽根模様により似ていたが、真偽の程はわからない。




小さなコブを何度か登ったり下ったり、どれも急斜面できつく、ボデ-ブロ-のようにジワリッと足に堪えてくる。
アンジ-パパさんも坊主さんも冗談を連発するが、こちとら笑えない、苦しい。
妻はきついといいながらもヘラヘラと笑いながら後ろから平然と着いてくる。
なんなんだこいつら。




またまた急登になるが、アンジ-パパさんも坊主さんも後ろからケツをグイグイつっついてくる。
わしゃ、しんどいが-。
東方面にはこのときにはどこの山かわからなかったのですが、後日調べてみると高越山や奥野々山、その南には半平山の稜線が見えていた。
そして北には大滝山などの阿讃山脈のようでした。




11:06、三等三角点のある友内山山頂に立つ。
傍にある友内神社奥宮にお詣り。




トタン屋根のあるちょっとした展望のある休憩所の傍にはこの山の万葉集で読まれている木綿間山はじめ山名七つが記されている。
屋根の下で大休止。
早速ザックから道具と材料を引っ張り出して、気の早い4人だけの忘年会。
うんだら話しとともに、いい匂いの煙が山頂に立ち込めて、それまでうんと静かだった山懐からシカの間の長い鳴き声が聞こえてきた。




ときおり景色を眺めながらゆるやかな時間を楽しむ。




景色は西に開け、鋭く尖って見える矢筈山から黒笠山の稜線を望むことができ、昨日来の雪で頂上辺りの稜線は斑白い。




三嶺や塔ノ丸とその東中腹にスキ-場が白く光っていた。




1時間半もの長い宴会ののち、友内山を後にした。
南東へと尾根を下るが、やや開けた迷い易い尾根の左に中腹を巻くように踏み跡があり、そこには今日初めて見る山みちと記された小さな道標が木の枝にぶら下がっていた。
その道標に従って進む。




一旦植林地の尾根になるが、すぐに自然林に替わり、紅葉のまっただ中へ突入。
ここで思いも掛けぬカラマツの林に出合った。
見事に黄葉している。




4人が4人ともしばし口あんぐり歩き。




この時ばかりはプロ級のカメラマンになった気持だ。




この標高では紅葉などもう終わってるとばかりに思ってたので、まさかの出合です。




しかも、広葉樹林だけでなく所によっては一面のカラマツ樹林帯です。
日が差し込むフカフカの落ち葉。




おおよそ1060mの小ピ-クでそれまでの南東よりの方向から南西へと向きを変え、1058mピ-クへと進む。
そのピ-クからは東へグッと向きを変えないといけないのだが、なだらかな尾根でどこがピ-クなのかわたしには判らなかった。
おかしいなとどこがピ-クやろなどと呟きながら地図を広げるが、東へ折れる尾根の位置が把握しにくいこともあって、だいぶ行き過ぎてしまったようです。
妻がちょい手前のところで左に開けたところがあったが、方向転換の尾根はそこのようだったと言う。
引き返そうとしたが、アンジ-パパさんと坊主さんが、このまま東へ下って正規の尾根に登り返そうと口を揃えてのたまわった。
多勢に無勢、おとなしく従った。
わたし、気が弱いのです。
谷へと下った。




適当な位置で尾根に登り返した。
するとそこには幹に赤テ-プが施されており、地形的にも間違いなく友内山から剪宇峠への縦走路であることを示していた。
※みなさん立ち止まって、真剣に地図とコンパスをこねくり回している。




境界杭もあって、赤い見出し標もあるでよ。




アセビや松林の尾根を下って行くと…。
目の前に大岩が立ちはだかった。
左に踏み跡があったので巻こうとしたが、アンジ-パパさんが大岩をものともせず突進した。
なんじゃいこれしきの岩、行けるぞ!
三人はおとなしくアンジ-パパさんのお尻にくっついて金魚の糞かカイツブリの親子状態でしたわ。
※大岩の下りでへなへなとへたり込む妻と、その隣で凛々しく立つアンジ-パパさん。




13:59、中谷峠に到着。
そこには古い石の道標が埋設されていた。
右なんたら、左そんたら、なんたら何年八月吉日そんたら、学のないわたし、字が読めない。
そしてはっきりした踏み跡が北方向から延びてきている。
おそらく先ほどの大岩からの巻き道から続いているものだろう。




少し疲れたが、紅葉の自然林に囲まれて、気持ちのよい歩きを続けることができる。
後方を振り返った。
先ほどの1058mピ-クの斜面が紅葉に彩られている。




またまたカラマツの林に突入した。
こんなにも覆いこのカラマツ林は植林だろうか、それとも自然林だろうか?




ときおり地図を眺めるが、毘沙門岳はまだまだ先のようで、コ-ヒ-タイムをどこでとるかが4人の話題の重点項目になった。
ずんやり歩いているのでちょっと疲れてきたようだ。
坊主さんが、休息するかどうか迷ったときは、体が要求してるんだから、休んだ方がいいと助け船を出す。
ザックを放り投げて、ヘタリ込み、急いで熱いコ-ヒ-をたてながら、ランチボックスにいっぱい詰め込んできた甘いおやつを片っ端から口にねじ込んだ。
おいしい~ね~(~o~)
再び腰を上げて、アンジ-パパさんを先頭に毘沙門岳を目指す。




15:27、標高978.2m、毘沙門岳山頂とうちゃこ。
三等三角点・遠見鼻が埋設されている。
ここへはかつて北西尾根を使って、坊主さんが山頂を踏んでいるが、あとの三人は初登頂。
キティ山岳会さんとさぬき山好会さんの山頂標識が括りつけられている。
しげしげと南西方向にある津志岳方面の山並みを眺めた。




あの先端が尖った岩場は石鉄蔵王大権現さんだろうか?




東に見えるこの山は火打山のようでした。
ズ-ムを後ろに引くと、石堂山や白滝山が左に見え、火打山の右には風呂塔も見えているはずですが、はっきりと目視はできなかった。




引き返すようにして15:51、剪宇峠を見下ろすことのできる切り開かれた位置へ。
峠から南への稜線はかつてアンジ-パパさんが八面山から峠まで歩いている。
かなり急斜面のコブコブの山並みが続いていた。

下る斜面の途中には野生動物調査中と書かれた監視カメラが設置されていた。
得体の知れないオス三匹とメス一匹の動物がお邪魔虫、写った写真は即ゴミ箱行きだわ。




一宇片川の渓の上には黒笠山などの祖谷山系が逆光で黒く重なり、今夜から崩れるという空に雲が被さっている。
峠までのんびり下る。




陽がだいぶ傾いたが、それでも紅葉が目を惹く。
峠では大きな杉の木の下でいくつかのお地蔵さんが待っていてくれました。




こちらにも大きな杉の木の傍に石の祠と大師さん。
辺りにはお祭りがあったのか一升瓶が何本か転がっていた。
むか-し、ここに長さ10m、胴回り20cmもある大蛇が棲んどるっちゅうことで新聞でもとりあげられ大騒ぎになったとか。
その後、見たものはいない。




剪宇の集落奥へ向かって、どんどん下って行く。
やがて車道が見え、朝止めた車のフロントガラスが落ち行く夕陽に反射して、眩しく光っていた。




初冬の枯れススキ。
16:28、県道259号線車道に降り立ち、西に傾く夕陽と山並みを眺めながら駐車地点まで歩く。




もう誰も住んでいない茅葺きの家。
すっかり、日が暮れました。
これから家賀道上奥へ車の回収です。
初冬の一日いい天気に恵まれて、ゆったりした山歩きができました、お疲れさんでした。




家賀道上255号線奥8:17-稜線8:28-黒岩9:08-茶せんぎ9:35-11:06友内山12:31-中谷峠13:59-毘沙門岳15:27-剪宇峠16:02-剪宇県道259号線16:33==<車移動>==17:20家賀道上255線奥


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