むらくも

四国の山歩き

大登岐山~兵庫山(愛媛県)…落合から下川峠へそして周回・8/29

2010-08-31 | 石鎚山脈

大登岐山・兵庫山         おおときやま・ひょうごやま



標高               1477m、1303.1m
登山口・下山口          四国中央市富郷町落合
駐車場              林道路肩(治山工事中のため大型トラック通行要注意)
トイレ              なし
水場               登山口沢および下山口下川

メンバー             つむじかぜさん&HANAちゃん




8月5日に落合から登って野地峰~黒岩山~下川峠を周回したときに使用した鉈は、あまり切れずに力任せに振り回した結果、手に豆が出来、肩が腱鞘炎にかかりそうになった。
その後、自宅の台所で、砥石で二度ほど研いで、荒れ放題の庭の木の枝を切ってみたが、うまくいかない。
三度目は夜中に薄暗い電気の下で、30分ほど研いで研いで、汗流して研いで、チョリーン、キラリーン、研いだ刃が光る。
刃に指を当ててみた、う~ん、刃こそ光ってるが、今一かな、髭を剃ってみたが切れない、痛ててえ~。
これ以上研ぐと、また腱鞘炎にかかりそうなので、止めて、日を置いてまた研ぎ直そうと思ってた矢先に、つむじかぜさんからメールが届いた。

お~い!おっさん、元気か、下川峠から登って、大登岐山~兵庫山を縦走して落合へ降りるコースを歩こうと思ってる、どうだい?

鉈をもう一度研ぎ直そうかと思ったが、以前よりは切れるようになってたし、使い慣れてない鉈を振り回して、自分の足を切ってしまうって事もあるので止めにした。
つむじかぜさんに言わせると、鉈や鎌は研いで、紙がスパッと切れるくらいにならないと使い物にならないらしいのですが、山で自分が振り回した鉈で怪我したら、洒落にならんし、もう少し扱いに慣れての方が無難かな。

この山域には三度行った。
三度とも雪もしくは雨もしくはガスで、晴れていれば展望良く、自然が一杯の山だけに、残念な思いをしている。
三度あることは四度ある。
これ、常識…かな?
日曜日のこの日、天気予報は高知県、午後から雨。
この山域は愛媛と高知の県境だし、山は悪い方を考えておくことが常道。

今回もほとんど諦め気分。
しかし、それでもなお、人があまり入っていない山は相当な魅力に溢れている。
やはり、行かずにはおれない。




午前4時起床。
妻もどこか別の山に出かけるつもりなので、起きて散歩して、一緒にご飯を食べる。
いつもよりお茶碗に多めに盛り上げて、味噌汁などと一緒に掻き込む。
少しハードな山は食べておかないと、体力が持たない。
山中で、体力消耗して、熱中症などでへたり込んで、救助を頼むなんていうことはゴメンだ。
準備するザックにもあれやこれや食料以外にも雨に備えて、詰め込む。

6時、いつものところで待ち合わせをして、法皇トンネルを抜け、金砂湖に架かる平野橋を渡り、右折。
法皇ダムの少し上に架かる津根山大橋を渡って、すぐに右折し落合へと進み、アスファルトの続く戸女・折宇へは行かずにダートな林道を直進。

しばらく走ったところのチェーンが張られた手前の路肩に駐車。
写真駐車地点の沢に架かる小さなコンクリート橋の右奥が、野地峰へ上がる作業道。

今回はその小さな橋を渡ったすぐのところのチェーンが張られて、一般車両進入禁止となっている林道を奥へと歩く。

出発6:54、HANAちゃんは鼻息荒く、先へ先へと走るように進んでいく。




今日はアブなどはいない。
しばらくで治山工事中の看板。
なおも進み、林道終点の重機の置かれている場所に着く。
左手下には、工事中の堰堤の基礎部分が見えていた。




工事用の木材などが置かれていたところから、右斜面へと這い上がる。
斜面上にはピンクのテープが施されている。
這い上がった場所は沢左岸、すぐに右岸へ渡り、しばらく右岸踏み跡を進んでいく。
15分ほどで踏み跡から離れ、左岸へ渡り、ピンクのテープのある急登の尾根に取り付く。
ここからは南東方向に急登の尾根が続いているので、途中にある旧い作業道はほぼ無視して登るとよい。




少し登ったところで、つむじかぜさん、落とし物に気づき、沢まで引き返す。
二人ともいつもなんぞかんぞ落とし物がある。
歩きながら落とすことは仕方がないとしても、ザックを降ろしたときなどは出発の際、忘れ物がないかその都度確認が要るようだ。
HANAちゃんはつむじかぜさんについて行かずに、じっと帰ってくるのを待っている。
何も言わなくても、帰ってくるのがあらかじめちゃんと分かっているようです。

8:42、林道行き止まりの登山口から丁度50分、つむじかぜさんが落とし物を探しに引き返した時間を除くと35分程度でしょうか、のところにある旧い作業道に飛び出る。
林業関係の黄色い菱形の標識にピンクのテープ。

ほんのちょっぴし作業道に沿って左へ歩き、すぐに水平の作業道を離れるようにして、直角に、薄い踏み跡のある尾根へと笹を分け入り登っていく。





イノシシのベッドがありました。
このときはシカかと思いましたが、シカの寝床とイノシシの寝床の違いを調べていくうちに、その違いがなんとなく分かってきました。
シカはわざわざ笹を敷き詰めることはないようで、むしろ逆に、草が生えてたりしてるのを食んだりして除き、地べたで寝るようです。
イノシシはその点、柔らかくて贅沢なベッドを自ら作り上げるようです。

ベッドの周りに糞や足跡があれば分かりよいのですが、このベッドの周囲にはありません。
それとこれはわたしの推測にしか過ぎませんが、イノシシはヌタ場で身体を洗ったりして臭いやダニを落とすのですが、シカはそれをしてるのかどうか、多少、臭いがきついようです。
これはあくまで推測ですので間違っているかも分かりません。
豚は清潔な動物で知られていますが、その祖先であるイノシシの血を引いているのでしょうか。

大岩を右に巻いて登ります。




やがて、古の峠への道がぼんやり現れ、それを左へ上り詰めると下川峠です。
(この下川峠道を下りに使う場合は、古の道をそのまま直進しても途中で消えてしまうので注意が必要です。あくまでも地図と磁石により、尾根を追うことが必要。)




下川峠で一休みするHANAちゃん。
ここから先は右も左も深い笹藪。
この日の笹は濡れており、カッパを着用し、夜中の薄明かりの中でヌヒヒと不気味な笑みを浮かべながら研ぎに研いだギラリンチョを腰から抜き、背丈を超える笹の中に突入。

進軍ラッパがややガス気味の稜線に逞しく木霊する。




しかし、突入する軍隊はつむじかぜさんとHANAちゃんは素晴らしい精鋭部隊としても、ギラリンチョおっさんは老兵だ。
戦場では老兵もクソもない、突入あるのみ、負けてはおれん、発破をかける。




やがて、天気予報どおりに雨が降り出す。
写真をたくさん撮りたいところだが、生憎防水でないカメラ、泣く泣くしまい込み、枚数を減らして時折、雨に濡れないように用心しながら撮る。

精鋭であるはずのHANAちゃんが、蔽い繁るスズタケに身体と足を取られ、ギャインと鳴く。





苔むした岩があったり、膝より下のわずかな笹原に出たりすると、その瞬間だけホッとするが、それはほんの一瞬、行く手を阻むスズタケの大群。
がむしゃらに左右に押しのけ、鉈と鎌で切り取り、後になり先になり突進。

スズタケはHANAちゃんの大敵らしい、絶えずギャンとかキャフンとかアイーン(シムケンか)とか鳴く。




直径15cmもある枝が上から頭めがけて倒れ込んできた。
もろに身体ごと押し倒され、起き上がれない。
仰向けにされた亀のようにバタバタもがいて、起き上がり、なおも突進。

しばらく歩いて、頭がえらいスコスコして涼しいので、やっと帽子がどこかへ飛んでいったことに気がつく。
しかし、もう取りには戻れない、前進あるのみ。

スズタケの藪のうえに、急登が続く。
もうどうにもならん、前後しながら進む若者(つむじかぜさんのこと)も老兵もまるで敗残兵のごとし、エライ、シンドイ、もう堪えてくれ~、の連呼。

ウオ~ッ!ここで木の枝に括り付けられた赤いテープが目に入った、元気が出た。
ガオ~ッ!どうやら大登岐山の稜線に近づいたのじゃないかな。
目の前には雨混じりのガスをついて、それらしい山容が見えてきた。




木の枝、笹、なんでも辺り構わず掴みながら、身体を持ち上げて、やっとこさ稜線に。
もんわりと大登岐山の影。




稜線に立ったところで、見覚えのある尖った岩。

つむじかぜさんが、ボソッと一言。
靴に着けていた二本爪のアイゼンを落としたという。

冷たく一言返す。
諦めなさい、あんなヤブじゃ、見つからんよ。




岩陰にはシコクママコナ。




アキノキリンソウ。

登ってきた方向を岩の上から見下ろすHANAちゃん。




山頂より山頂らしい山頂標識のある山頂手前の桧の白骨樹とシャクナゲ。

10mほど先にある本当の山頂には行かず、シャクナゲの陰で雨をよけながら遅い食事。
なんと食べている間に老兵だけにブヨが寄ってくる。
若者はそれを見て、なぜか喜んでいる。

なーんでじゃ、どーしてじゃ???

ビールなどを飲んだ人にはヤブ蚊などがタンと寄ってくるというが、わしの身体からは汗が発酵してアルコールの臭いが発散しているとでも…???




食事を終えて、長居は無用、サッサと雨とガスをついて兵庫山へ。

登ったり…。




下ったり…。




小一時間もかかって、兵庫山に到着。
もう、くたくただわ。
無造作に投げ出されたザックをHANAちゃんが見やる。




ここから右への道は玉取山への稜線歩き。
落合への下りは左の踏み跡を辿る。




濡れた木の根に足を滑らし、どってんずってん、下っていく。
途中で左右に広い作業道のある交差点。
磁石の方向どおりに、前方尾根左の道へ。




痩せたシャクナゲとアセビ尾根、しばらく進んで再度作業道のある交差点、直進。




またまた分岐に。
右下りは落合集落への道らしい。
左尾根広い道へと直進。

やがて、倒木があって、道がふさがれている。
直進してしまったが、道がなくなったので、倒木のある広い道まで引き返し、右側の谷へと
目をやると、踏み跡がジグザグに谷方向へと続いているのが見えた、これだ。





谷沢には一つの炭焼き釜の跡、左岸を下る。




一旦沢に降り立ち、すぐにテープのある左岸を上り返すようにして下る。




小さな滝などもいくつか過ぎて、開けた明るい沢本流に降り立つ。




川を石伝いに渡って、林道へと駆け上がる。




朝歩いた林道の待避所③の標識と小さな小屋に飛び出た。





林道歩き15分。




渕を覗き込むと滝と綺麗な青く清む水。
お疲れさんでした~♪




林道駐車地点6:54-林道終点登山口7:52-尾根取付8:08-大岩9:42-9:56下川峠10:06-稜線合流点12:50-13:00大登岐山山頂13:30-14:29兵庫山山頂14:43-峠14:52-作業道合流点15:33-沢16:16-林道下山口16:48-17:04林道駐車地点



(補足説明)林道駐車地点を起点に反時計回りで周回、下川峠は赤線最下部稜線上、大登岐山山頂は登岐山の「登」の字の上、兵庫山から西へ下ってしばらくのところで落合集落へ下る分岐(破線)に合流するので左への広い道へと直進し、その道が倒木で妨げられた地点で右の谷へと続いた比較的細い道をジグザグに下る。
しばらく歩いて沢が右手下に見えてくるのでそれに沿って左岸を下っていく。やがて一旦沢に降り立ち、すぐに再度左岸の道へ。
やがて川本流に合流、対岸へと渡り、林道へと駆け上がると小さな小屋。
右折し駐車地点へ15分。