笑顔をあげる！

　　　　　　　　　　　『 笑顔をあげる！ 』　墨＋パステル　19cm×26.5cm

もう10数年前に描いた作品です。
個展を始めいろいろな展示会が重なって、きっと心身ともに参っていたのでしょう。
思い切りの遊び心に身を任せて、手にした毛筆の動くままに・・・。　そうしたら、こんな子が出来上がっていました。　
色まで遊んでみました。 こんな子がいたら楽しいだろうなぁ・・・と。
そしてタイトルは・・・その時の私が一番望んでいたことだったのでしょう。
その後何度か個展で展示販売をしましたが、新たな落ち着き場所には出逢わないまま。
いつの間にか制作中の私を真正面から見下ろす場所がこの子の定位置になってしまいました。

新型コロナウィルスの流行による様々な影響で、すっかり笑顔を忘れてしまった自分に気付いてハッとすることがあります。
そんな時は伏し目がちな視線をちょっと上げて、この子から笑顔を分けてもらっています。
こんな時でも、こんな時だからこそ、笑顔の持つ力を信じたいと思います。
皆さんにもささやかながら笑顔のお裾分けを・・・！

瞳に映るもの・・・Ⅲ

　　　　　　　　　『 瞳に映るもの・・・Ⅲ 』　パステル（擦筆彩色） 10cm×10cm


同じ絵でも、展示する場所・時期・環境などによって違って見えることがあります。
しかしそれらの条件以上に大きく影響するのが、見る人自身の心・・・だと思うのです。
その時の心の持ちようで、楽しそうに見えたり、時には悲しそうにも見えたり・・・。
ある意味で、絵はそれを見る人の心を映す鏡なのかもしれません。

今回ご紹介するこの『 瞳に映るもの・・・Ⅲ 』は、このひと月ほどの間に数作連続して描いた10㎝四方の擦筆彩色画の中で、唯一 “ 我が家の元さん ” を描いたものです。
制作中はすでに新型コロナウィルスが問題になってはいましたが、まだ現在のような状況は想像できない頃で、しっかり予防対策をして4月17日からの個展開催を目標に頑張っていました。　そういう精神状態で描いたので、この絵の元さんは厳しい状況の中でも目標に向かっている前向きな表情をしていました。
ところがその後状況は急激に悪化し、個展も延期になってしまいました。　その影響でしょうか・・・、改めてこの絵を見た時に感じたのは、元さんが悲しそうな顔をしている・・・ということでした。
そんなこともあって、この絵のご紹介を躊躇っている自分がいました。
しかし何とか気持ちを切り替えながら少しずつ今できることをやり始めると、元さんが絵の中からそっと背中を押してくれているような気がしました。

正直なところ、私には今もまだ少し元さんの表情が悲しげに見えます。　それでもあえて今日皆さんにこの作品をご紹介することにしました。
今はまだ先行きの見通しが付かない厳しい状況が続いていますが、感染拡大を収束させるべくできる限りのことをしながら、一日も早く心置きなく絵を楽しんでご覧いただける時が来ることを信じて描き続けたいと思います。
この絵の元さんの瞳に、明るく希望に満ちた明日が映ることを祈りながら・・・！

オイラの気持ち

　　 　　　　　　『 オイラの気持ち 』　ペン描＋パステル　8cm×8cm

前回に引き続き、目つきの悪い癒し猫の第二弾をお届けします。

これもだいぶ前に描いた作品で、思い切りの遊び心で、ペン描にパステルでラフに彩色しました。
現在もミニミニ額作品シリーズでご好評をいただいているハートを持った作品シリーズの走りとも言ってよい作品です。

なかなか終息の気配さえ感じられない新型コロナウィルスと最前線で戦ってくださっている医療従事者の方々、そしてそれを支えてくださっている関係者の方々、本当に本当に心からの感謝と敬意を表します。　

私と同じ思いを抱いている方がきっとたくさんいらっしゃることと思います。
ちょっと目つきは悪いけど、この子の持つ心(ハート)にその全ての思いを込めて・・・！

赤いクッション

　　　　　　　『 赤いクッション 』 パステル　25㎝×19㎝

新作ではありません。
絵の世界に飛び込んでいくらの経っていない頃の、懐かしい、懐かしい作品です。

何せこの目つき・・・。　初めて個展に出品する時には、さすがに心配でした。　ところが蓋を開けてみれば一番の人気者に！
原画は初期のころからずっと応援してくださっているＯさんのもとでお世話になっていますが、カードや一筆箋になってもずっと人気者に変わりありません。
個展の際にたまたま在庫がなかったりすると、「赤いクッションの子は・・・？」とよく訊かれます。　
どうやらこの独特な目つきには、人を笑顔にしてしまう不思議な力があるようです。

ということで、これまでにも何度かご紹介したことがあるかもしれませんが、いつも以上に笑顔に成れる時間が大切なこの時期だからこそとＵＰすることにしました。
ほんの一瞬でも笑顔に・・・免疫力ＵＰの手助けになれれば嬉しいです！

桃花色の光

　　　　　　　　　　『 桃花色の光 』 パステル（擦筆彩色） 14cm×14cm

擦筆彩色でロシアンブルーを描きました。
春のイメージカラーの一つを背景の光に入れてみました。
「桃花色」という素敵な名前を日本の伝統色の中に見つけてタイトルにしました。

戸外の景色は少しずつこのような「桃色・桜色」から新芽の若緑に変わりつつあります。
人類が大変な状況に陥っていても、自然は何事もないかのように季節の移り変わりを繰り返していきます。
その “ 当たり前 ” が、どんなにありがたく幸せなことかを今改めて痛感している人たちが、私自身も含めてきっとたくさん居ることと思います。
その “ 当たり前 ” の日々を取り戻すためにも、今は我慢、我慢・・・！

天色の光

　　　　　　　 　『 天色の光 』　パステル（擦筆彩色）　10cm×10cm

オッドアイの白猫さんを擦筆彩色で描いてみました。
天色の光の中に願うのは、平穏な日々。
一日も早くゆっくりと原画を楽しんでいただける毎日が戻ってきてくれますように・・・！

最前線で戦ってくださっている医療関係者の皆様に心からエールを送ります。
それしかできなくて・・・ごめんなさい。
私たちがすべきなのは、一人でも感染者を少なくするためにできる限りのことを精いっぱい実行すること！

時にはリラックス

　　　　　　　　　　『顔デカッ！』　ペン描＋パステル　

TVを点ければ、新型コロナウィルスのことばかり・・・。　
確かに情報は大切で目を背けてはいけない…ということは分かっているけれど、さすがに気持ちが滅入り、体調までおかしくなってしまいそう。

そんな時はちょっと気分転換を！
肩の力を抜いて、リラックスタイム。
そのお伴（？）に、この作品をお届けします。
笑いは免疫力をUPしてくれるとか。
ほんのひとときでも笑顔になっていただければ嬉しいです！

大林宣彦監督とのたった60秒の想い出

大林宣彦監督ご逝去の報道を目にした瞬間、うめき声にも似た何とも言いようのない声が出た。　それを追うようにして、あの夢のようなひとときがはっきりと蘇ってきた。

あれはもう何年前になるのだろうか・・・。
確か大林監督が肺がんを患ったという記事を見てからいくらも経っていない頃だったと思う。
毎年恒例となった聖路加個展会期中のある日、17時の終了時間が近づいていた頃だった。
少しずつ帰り支度を始めていた私の前に、ふっと誰かが立ち止まった気配を感じた。
「 どなたが描かれた絵なんですか？」
そのなんとも優しい声に顔を上げると、そこには柔和な笑みを浮かべたあの大林宣彦監督が立っていた。
一気に顔中がかぁ～っと熱くなるのを感じた。
「 わ、わ、私が・・・描きました」
何とか声を絞り出した。
「 そうですか。 あなたが描かれたのですか」
「 は、はい・・・」
いったい何を言われるのかと、頭がパニック状態になった。
確か数回うなずかれた覚えがある。
そのあとの言葉を私は信じられないような思いで聞いた。
「 私はあの一番奥の絵が好きです」
そう言って大林監督の右手が指差したのは、黒猫の子三匹がじゃれあう姿を描いた作品『 光の中で・・・再び』だった。　それは今から20年余り前、私が絵の世界に飛び込むきっかけとなった作品群 “ 光の中で・・・シリーズ ” のうちの一作を、10年近く前に再現するつもりで描いた思い入れの強い作品だった。
「 何か物語を感じさせてくれる・・・。　いいですねぇ 」
「 う、嬉しいです！　とても大切な絵なので・・・」
「 そうでしたか。　これからも頑張って描き続けてください 」
「 あ、あ、ありがとうございます。　お会いできて光栄でした」
うん、うん、と優しくうなずきながら、大林監督は静かに私の視界から遠ざかっていった。
今にして思えば、もっともっといろいろなお話ができただろうに。　しかし、当時はあれが精いっぱいだった。
まさに夢のようなひとときだった。　もちろんその時間を計っていたわけではないが、長くても1分にも満たないほどの会話だった。　それでもあの時大林監督と交わした言葉の一つ一つは、何とも言いようのないやさしさに満ち溢れたオーラに包まれ、私の大切な宝物になった。
「 いいですねぇ」
この言葉に私は勇気をもらい、今も、そしてこれからも描き続けることができる。

大林宣彦監督
あの時は本当にありがとうございました。
どうかゆっくりお休みください。
心よりご冥福をお祈りいたします。

萌黄色の瞳 Ⅱ

　　　　　　　　　　『 萌黄色の瞳 Ⅱ 』　パステル　15cm×21cm

TACT個展は延期になってしまったけれど、出品を予定していた瞳シリーズの新作を完成させました。
瞳シリーズで三毛猫を描くのは久し振りです。

一度でも気持ちを切らしたら、なかなか戻れなくなってしまいそう・・・。
焦る思いは追い払い、それでもしっかりと気を張って制作を続けたいと思います。

今はまさにタイトルにも使った萌黄色の季節。
元気の象徴ともいえるその美しく力強い色。 それを心から愛でることのできる日が早く戻ってくることを願いながら、今はただただ耐え忍びたいと思います。

瞳に映るもの・・・Ⅴ

　　　　　　　　　　　『 瞳に映るもの・・・Ⅴ 』　パステル（擦筆彩色） 20cm×29cm

「新作の紹介って・・・、今どんな時か知ってる？」
そう思われる方も多いかもしれません。
新型コロナウィルスの状況は未だ先行きがわからないまま、ついに緊急事態宣言が発動されました。それを機に、既に延期を決めた自分自身の個展のみならず、これまで何とか頑張って開催を目指していた企画展が次々に延期・中止と苦渋の決断を余儀なくされています。

でもだからと言って、ただ落ち込んでいても何にもなりません。
「私にできることは何？」　
これまでの絵描き人生の中で何度か直面した窮地に立った時、その問いに対して辿り着いた答えはいつも同じでした。
そして、今回も同じ！
「今の私にできることは・・・いや、今だからこそ私がすべきことは、ただただ心を込めて絵を描き続けること！」

絵を見ることで空腹を満たすことはできません。　
しかし、こんな時だからこそ心を満たすということがとても大切だと思うのです。
絵の世界だけでなく様々な分野のアーティストたちが、厳しい状況にも拘わらずに立ち上がり、一人でも多くの人たちに笑顔を届けようと動き始めています。
その笑顔に必要な “ 心の栄養 ” を創り出す者の一人であるという誇りを持ち続けたいと思います。

今は何よりも先ずしっかりと予防のための行動を取り、一日も早いコロナウィルスの終息を願いながら一作一作を描き続けたいと思います。

TACT個展 延期のお知らせ

4月16日から予定していた銀座ギャラリーサロンTACTにおける個展を延期させていただきます。

つい10日ほど前までは、すでにイベントページでご案内した予定通りに開催する思い一心で突き進んでいました。　作品等の制作はもちろん、できる限りの除菌消毒剤等を用意し、DMの発送準備もすっかり終わっていました。
しかしその後の急激な状況の悪化と、様々な今後の予想を耳にするたびに、変えるつもりがなかった決心が揺らぎ始めました。 同時に、それまでかなりハードなスケジュールにもかかわらず集中し続けていた制作の手が、少しずつ動かなくなってしまいました。
ここ数日熟慮を重ねた結果、「延期」という決断をいたしました。

楽しみにして下さっていた皆さん、本当に申し訳ございません。　私自身も残念でなりません。 ただ、不安のない中でゆっくりと楽しんでいただきたい…という思いからの判断とご理解ください。
ギャラリーのオーナーさんとも相談させていただき、一応6月のどこかで開催できればと思っています。　もちろん今後の状況次第で何とも流動的ではありますが、詳しい予定が決まりましたら、また改めてご案内させていただきます。

今はできる限りの予防をしていただき、ウィルス終息の時までお元気で過ごされることを願っております。
一日も早く平穏な日々が戻ってきますように・・・！

希望の光

　　　　　　　　　　『 希望の光 』 パステル（擦筆彩色） 14cm×14cm


擦筆彩色による新作のご紹介。

銀座TACT個展に出品する予定で、まさに今の思いを込めて描きました。
しかし、状況は一向に好転の兆しさえ無く・・・。　いよいよ決断しなくてはならない時が来たのかもしれません。
夜は気持ちが暗くなりそうだから、一晩寝て朝になってからその決断をしようと思います。
どんな形になっても、希望の光が消えることはありません。
この絵をご覧いただける時が少しでも早く来ることを願いながら、さらに新たな作品を描き続けたいと思います。

最期のお別れも許されないなんて残酷すぎる！
犠牲になってしまった方々のご冥福を心からお祈り致します。
そしてそんな残酷な思いをする人がこれ以上増えないことを、ただただ祈ります。

2020年4月のカレンダー

　　　　　　　　　　　 　　 　　『春色のハーモニー』 水彩＋パステル　40cm×28.5cm

満開の桜の花を愛でながら、それぞれの希望に胸を膨らませて歩き出す。　今年もそんな気持ちで迎えるはずだった4月・・・。
16日から予定している毎年恒例のTACT個展も、辛い決断をしなくてはならないようです。
今のこの状況を誰が想像できたでしょうか。

こんな時に絵…？
あの時もそうでした。 2011年3月の大震災・・・。
もちろん、その内容も状況も全く違っていて比べることなどできません。　ただ、あの時に感じた何とも言いようのない無力感と同じような感覚が蘇りました。
「自分にできることは何か？」あれこれ思い悩んだ末にたどり着いたのは、「こんな時に絵？？？」ではなく、「こういう時だからこそ絵！」でした。
自分が何よりも一番心を込めてできること・・・絵を描くことで、不安を抱く方々にほんの少しでも安らぎを感じていただければと思い、歩き出すことができました。

繰り返しになりますが、9年前と現在起こっていることは全く違い、まだ先行きが全く分からない不安な状況が続いています。 それでもあの時の思いを少しでも今に生かしたいと思います。
ただただ少しでも早く皆さんに心からの笑顔が戻ることを願いながら、自分にできることをしっかりとやり続けたいと思います。

ご自身のために、そして大切なご家族、友人知人、仲間たちのためにしっかりと予防を怠らずにお元気でお過ごしください。
5月が明るい気持ちで迎えられますように！

最後に恒例となっている、今月の作品『春色のハーモニー』に添えたコメントをご紹介します。

のら猫シリーズのモデルになってもらったノラたちは数知れず･･･。　その中でも、谷中で出逢ったこの子の存在感はなかなかのものだった。 厳しい冬の数か月を乗り越えてようやく迎えた春のある日、優雅に身づくろいをするその姿からは、何とも言いようのない喜びがあふれていた。　思わず･･･太い幹から直接咲いている桜の花を添えてあげたくなった