夢の中で･･･

　　　　　 　　　 『 ひろゆきさん 夢の中で･･･ 』　ペン描＋パステル　10cm×15cm


前回アップした擦筆淡彩で描いた肖像画のモデル “ ひろゆきさん ”をラフタッチで描いたもう一作の肖像画のご紹介。

このラフタッチで描いた小品には、前作の依頼者 F さんへの弟さんのお気持ちが込められている。
F さんのお住いが遠路ということもあって、個展に毎回お出かけいただけるわけにはいかない。 そんなある個展会場に F さんの弟さんが来てくださり、あるご依頼をいただいた。
「 姉がお願いしている ひろゆきさん の肖像画とは別に、小さなサイズでもう1点描いて欲しいのですが･･･」とのこと。　更に･･･、「 サプライズで贈りたいので、姉にはくれぐれも内緒で･･･」という言葉に、私の方がとても幸せな気持ちにさせていただいた。
絵については全てお任せいただいた。 F さんからはたくさんのお写真を預かっていたので、前作とはまた違った雰囲気の ひろゆきさん を･･･ということで、この寝姿を選んだ。
F さん始めご家族皆さんの愛情の中にどっぷりと浸かって眠っているように見えた。

本来なら弟さんご自身が直接 F さんに手渡すつもりだったと思う。　しかし、お仕事の関係かちょうど長期に渡って海外へ行かれる時期と重なり、二作を一緒に F さん宛にお送りすることとなった。
「 お願いしていた ひろゆきさん の絵だけでも嬉しいのに、もう一つ嬉しいことが重なって･･･」
F さんのお言葉に、私の方がウルウルしてしまった。
姉弟同士のお気持ちをもちろん私は知る由もなく、それでもとても温かい何かを感ぜずにはいられなかった。
お姉さんへの気持ちを伝えるきっかけとして私の絵を思いついていただいたことに、絵描きとしての喜びと、感謝の気持ちでいっぱいになった。
ありがとうございました！

ひろゆきさん いつも心の中に･･･

『 いつも心の中に･･･』 パステル（擦筆淡彩画）　20cm×29cm


この子の名前は「 ひろゆきさん 」。　「 ひろゆき 」ではなく、「 さん 」まで入る。　正確に言うなら「 ひろゆきさん 君」ということになるのかな？？？

肖像画のご依頼をいただくきっかけになったのは元さんの絵。
もう3年余り前から、日本橋の（株）ハイマートさんのご厚意で自社ビル1階のスぺースを使って15点ほどの私の作品を常設展示していただいている。　その紹介記事の中で元さんの絵をご覧になり、そのどこかに既に天国へ旅立っていた ひろゆきさん の面影を感じてくださった F さんが、お住いの長野県から遠路出向いていただいたのだった。　
その後何度か個展にもお出かけいただき、ひろゆきさん の肖像画制作のお話をいただいた。
「どんなに時間がかかっても構いませんから･･･」とのお言葉をいただきながらも、既に1年を越えて･･･、先日ようやくお届けすることが出来た。

私にとっては比較的新しい描法である擦筆淡彩を希望され、先ずはモノトーンでしっかりと描き込んだ上で、ポイントとなる部分を中心に淡い色彩を施した。
「 どこか愁いのある表情を時折見せる･･･」「 繊細で、でもどっしりとして、黙って寄り添っていてくれた･･･」　ひろゆきさん を想い出す F さんのお言葉を心の中で繰り返しながら、その思いを淡い色彩の中に籠めた。

最後に瞳のハイライトを入れた時、光と陰をはっきりさせた背景の中でその眼がきらっと光ったように感じた。 その瞬間、ひろゆきさん と F さんのお互いを想う気持ちがこの絵を描かせてくれたのだと思った。
ひろゆきさん　絵の中からいつも F さんを見守ってあげてね･･･。

「愛しのこねこ展」のご案内

7月後半に予定している私自身の個展に先だって、来週6月29日～7月11日の2週間、湘南 鵠沼海岸のギャラリー山猫屋さんで開催される「愛しのこねこ展」に参加させていただきます。

私が出品する4点は、全て正方形の額に入っています。
ＤＭに掲載していただいた『 赤い首輪 』ともう1点が30㎝額に･･･。　その他20㎝額と15㎝額に入った作品は、どちらもラフタッチで描いた新作です。　
作品画像はまた改めてご紹介させていただきます。

ご一緒させていただく5人の作家さんたちの こねこも楽しみです。
皆さんの愛猫の子猫写真展も同時開催されるとのこと。
常設の作品・グッズ類も、猫好きさん垂涎のものばかり！
ぜひお出かけください。

ずっとそばにいるよ

　　　　　　 　　　　　『 ずっとそばにいるよ 』　ペン描＋パステル　10cm×15cm


「 以前に個展で拝見したことがあります 」
O さんから頂いたお電話の最初のお言葉･･･。
失礼ながら、お名前に覚えはあるものの、すぐにお顔を思い浮かべることが出来なかった。
「 うちのチャチャが亡くなってしまって、ぜひ山中さんに描いていただこうと思って･･･」とのこと。
ありがたいことだと思いながら、いろいろとお話を伺ってみると、ずいぶん以前から聖路加病院に通われていて、現在も続いているとのこと。
3年余り前に偶然個展会期中だったことでご覧いただいたらしい。
珍しいお名前なのでその“お名前”だけは記憶に残っていた。 その後何回か続けてDMを送らせていただいたが、記録によるとお見えになったことはなかった。
それでも私の絵のことを覚えていてくださったことが本当に嬉しかった。

もちろん喜んでお受けすることに･･･。
「 小さなサイズしかお願いできないんですが･･･」と申し訳なさそうな口調でおっしゃっていたが、どんなサイズでも描く時の気持ちは同じ！
依頼者のお気持ちと共に、与えられた大きさの中で精いっぱい描かせていただくのが肖像画だと思っている。

少々お待たせしたが、先日完成した絵をお送りした。
「 うわぁぁぁ、チャチャちゃんです～～～！」
頂いたお電話の声に私の方が癒された。
お身体に関して詳しいことは分からないが、この絵をご覧いただくことで、O さんが少しでも元気に日々を過ごしていただければと願っている。
ありがとうございました。

ミー お気に入りの場所

　　　　　　　『 お気に入りの場所 』　パステル　32cm×24cm


長らくお待たせしてようやく先日お届けすることが出来た。
モデルはノルウェージャンフォレストキャットのミックス猫さん ミーちゃん。　男の子。
5
冊の写真集をお預かりした。　その中から依頼者 N さんのご希望の副うものを選び、更に活かす部分、カットした方が良い部分を確認。　
例えば、「全身で･･･」「顔はこの顔で･･･」「目の色はこれで･･･」「毛の色はこんな感じで･･･」「こんなポーズで･･･」等々、それらをまとめて1枚のデッサンを描き、それをもとにして本番に･･･。

19歳で旅立ったミーちゃん。
作品が到着早々に N さんからメールをいただいた。　ご主人とお二人で再会を喜んでいただけたとのこと。　いつものことながら、ホッとすると同時に、ようやく完成したという実感に浸ることが出来た。

ミーちゃん、これからはお気に入りの場所からいつも N さんを見守ってあげてね･･･。
　

春に kiss！

　　　　　 　　　 『 春に kiss！』　パステル　32cm×24cm


ちょっと季節がずれてしまったけれど、雨にも負けずに頑張っているノラ猫さんたちへエールを送るつもりで、この作品を･･･！
ボザール・ミューで毎春恒例になっていたノラ猫個展の初期作品。
深川あたりのノラ猫さんがモデル。　この子はまだ大人に成りきっていない中猫さんで、何に対しても旺盛な好奇心を見せていた。

この頃は背景をできる限り簡略化していた。　
今は製造中止になってしまったケナフを原料とした水彩画紙の生成りの白がお気に入りだった。　あたたかさを感じさせてくれるその白をそのまま残して活かすのが好きだった。
この大胆さを想い出しながら、今に取り入れてみたいような気がする。

この子は既に10歳をかなり超えていることになる。
今も元気でいることをただただ願っている。

寝たままストレッチ

　　　　　　　　　　　　『 寝たままストレッチ 』　水彩＋パステル　24cm×32cm


いよいよ入梅。　
これからしばらくは、人間のみならず戸外のノラたちにとっても鬱陶しい雨の毎日が･･･と思ったら、今日は気持ちの良い晴れの一日だった。
梅雨入り宣言が出された途端の良い天気･･･はよくあること。　
間違いなく訪れる雨に備えて、ノラたちも今日一日は思いきり太陽を楽しんでいたことだろう･･･などと考えていたら、この懐かしい作品が頭に浮かんだ。

今回ご紹介するのは、もう10年以上も前になるボザール・ミュー時代のノラ猫個展に出品した一作。
強い日差しにもめげることなくお昼寝中の谷中のノラさんがモデル。
邪魔をしないように出来るだけ静かに近づいたつもりだったが･･･、そこはさすがにノラだけあってこちらの気配を察知。
うっすら目を開けると同時に、寝たままポーズで思い切りのストレッチ！
「 気持ちよく寝てたのに、邪魔すんじゃねぇ～よ 」
そう言われたような気がした。

今日もきっとあちらこちらで、こんなノラたちの姿を見ることが出来たのではないだろうか。
梅雨本番が心配だけれど、逞しい彼らのこと。　元気に乗り切って欲しいと祈るしかない。

6月のカレンダー

　　　　　　　　　　　　　　　　『 ゆっくり　ゆっくり 』　パステル＋水彩　32cm×24cm

早くも今年前半最後の月となった。
6月は雨の月。　そこで今年のカレンダーに選んだ作品が、この『 ゆっくり ゆっくり 』。
以前に一度ご紹介したことのある作品だが、カレンダーに添えたコメント（↓）と共に、改めてご紹介させていただく。

「 雨の季節･･･。　雨上がりの一場面。　ゆっくりと移動するカタツムリと、それをじっと見つめているノラ黒が醸し出す、何ともまったりとした雰囲気を描いてみた。　それにしても、最近はすっかりカタツムリの姿を見ることがなくなってしまった。　ノラ猫も然り･･･。　何とも寂しい限り。　どちらも平和な日常の象徴ともいえる存在なのに･･･　」

いよいよ来週には梅雨入りとなりそう･･･。　またひと月余りの間は鬱陶しい毎日が続くことになるのだろう。
だからと言って、ダラダラとしている訳にはいかない。
カタツムリのように、たとへゆっくりでも少しずつ確実に進み続けたいと思う。

体調を崩しやすいこの時期、皆さまどうかくれぐれもご自愛ください。
佳きひと月となりますように･･･！