神原ワールド稽古場日誌

神原ワールドが繰りひろげる劇の世界・公演のお知らせ・稽古場の模様を皆様にお届けします♡

ピッコロ

2016-03-28 22:08:50 | 日記

 私事で申し訳ありません。私、ピッコロ演劇学校生の5期生でした。30年ほど前の話です。私は「バイオレンス5期」と呼んでいます(何故かは直接私に聞いてください)。本科の卒業、研究科中退です(何故中退かは直接私に聞いてください)。

 昨日、当時(その後も)大変お世話になった照明の大先輩が逝去されました。残念です。劇団で、よく座長と先に逝かれた方の話になると、「悔しいなぁ」という言葉が出ます。「残念」なのはもとより、「悔しい」のです。その人の無念が自分の無念のように思えます。

 当時、こんなことがありました。大ホールで大勢稽古をしているとき、照明のブースから声が飛びました。「誰だ!今、袖幕蹴ったのは!」大勢いる中で、一人無意識に袖幕を(軽くですが)蹴っている者がいたのです。「謝れ!俺たちはそれに食べさせてもらってんだ、粗末に扱うな。幕に謝れ!」その者は素直に幕に土下座しました。舞台上にいた者は誰もが尤もだと納得していました。舞台にあるものを大事にする。舞台人として大切なことです。その「謝れ!」と言った方が昨日息を引き取られた先輩です。

 いろんなことを教えてもらいました。誰もが劇の世界の先輩として、兄貴として慕っておりました。人一倍情熱的で頼りになる朗らかな方でした。果たして、私はそんな風にはなれませんでした。嫌われこそすれ、誰からも慕われることなく今日まで来ました。しかし、今からでも、少しでも近づけたらと思っております。

 作家は作品を残しますが、ほとんどの演劇人は人の記憶の中にしか残りません。私を演劇人として記憶してくれている人はどれだけいるのでしょうか?先輩の百分の一にも満たないかもしれません。少しでもお客様や仲間の記憶に残れる自分でありたいと切に思っております。

                                 

 


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