神原ワールド稽古場日誌

神原ワールドが繰りひろげる劇の世界・公演のお知らせ・稽古場の模様を皆様にお届けします♡

幸せの記憶

2022-03-31 01:01:55 | 演劇

 うち(劇団 浮狼舎)の作家である神原が口にすることばに「幸せの記憶」というのがある。

 幸せだった時の記憶。それはいつ立ち昇るかわからない、その人の思いがこもった記憶だ。きっかけは何かわからない。ことばなのか、景色なのか、音楽なのか、匂いなのか・・・。その人固有のものであるのは間違いないのである。

 私にも少しばかりある。だいぶ薄れてきているが、それは記憶の隅にある。あればそれがどんなに小さなものでも、大事に持って生きてゆける。・・・あなたにはありますか?

 

              

 「ベルファスト」を観た。主人公の少年の「人生」がそこにはあった。こんな家族がよかったなと詮無いことを思った。北アイルランドのベルファストはまるで当時の日本の下町のようだった。1969年頃はあんなだったのだ(私は当時8歳)。彼の「幸せの記憶」は間違いなく家族とのベルファストでの暮らしだったろう。素敵な作品だった。アカデミーの脚本賞を取った(個人的には脚本賞は「ドライブマイカー」かなと予想していた)。監督ケネスプラナーの自叙伝的なお話。「ナイル殺人事件」といい、「ベルファスト」といい、やるな!ケネスプラナー!

 ※ご覧になるのでしたら、前もって北アイルランドの紛争の歴史を予習しておくと、より一層楽しめます。

 主人公と祖父のやり取りの中、彼(祖父)のことばが今も心に響き続けている。

   「答えが一つなら、紛争など起きんよ。」

 

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理解の外

2022-03-25 22:16:44 | 演劇

 人間は目の前のものを理解しようとします。 当たり前ですよね。

 人は論理的にせよ感覚的にせよ、思考による理解をしようとします。そしてその思考は既に私たちの知っていることが基となっています。しかし、もし私たちが私たちの知らないものを理解しようとして、理解できないとしたら?

 異なるものをどう捉えるのでしょう? 果たして捉えられるのでしょうか?

 「恋せぬふたり」 「僕らは奇跡でできている」

 その点、興味深かったのは、TVドラマの「恋せぬふたり」とちょっと古いですが「僕らは奇跡でできている」の2作品。「恋せぬ~」は恋愛感情が理解できないアロマンティック・アセクシュアルの二人が主人公。「僕らは~」は、良く言えば独特な個性。違う角度から見れば、いわゆる発達障害ともとれる男性が主人公。

 周りの人たちは、彼らが理解できない。しかし、彼らを感じるように捉える人たちは少しずつ気が付き始めるのです。こういうのも「ある」のだということを。

※アロマンティックとは、恋愛的指向の一つで他者に恋愛感情を抱かないこと。アセクシュアルとは、性的指向の一つで他者に性的に惹かれないこと。どちらの面でも他者に惹かれない人を、アロマンティック・アセクシュアルと呼ぶ。

 人は何でも自分の中の型(思考)にはめて理解しようとする。でもできない。でもわかろうとする。でもわからない。しかしそこには、今まで知らなかった世界が拓けるキッカケがあるのではないでしょうか。

 体験としての演劇はそれをやっちゃうのです。怪異もまた理解を超えたものでしょう。理解を超えたものを既成の知識や思考で理解しようとするのではなく、感じて味わうことで後から思考が追いかけて来る…これが演劇の面白いところだと思います。

       

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ザ・バットマンと終日稽古

2022-03-21 23:48:05 | 演劇

 昨日日曜日は終日稽古でした。さすがに一日中稽古すると体にこたえる歳になりました。前日の寝不足のせいか、午後からぐったりしちゃいました。あと少しで物語も完結です。果たして彼ら登場人物の運命や如何に…。

 芝居は客観的な観点が重要ですが、それだけでは成り立ちません。キャラクターの主観も存在していなければ嘘になります。お客様にとって客観的視点は重要です(話がわからんかったらあかんや~ん)。しかし、個々のキャラクターの主観(独自性)もまた…ないとね。面白いことにある人物のキャラクターは他のキャラクターによって知らされることが多いのです。登場人物が自分語りをするお話は最低です。いろんな別の角度から、そのキャラクターを表す伏線が張り巡らされているようなお話が良いのです。今回の「カネヨの小鳥」はそんな感じ(^^)

  一夜明けて「ザ・バットマン」が観たくなり、足を運びました。

         

 この前の「ウエストサイドストーリー」もそうでしたが、今回のバットマンが、今までで一番リアルバットマンでした。こんなリアルで人間臭い、ミステリー仕立てのようなバットマンは初めてで、3時間弱の上映時間が長くは感じませんでした。面白かったです。ただ、これもまた、「バットマン」でなくてもよかったのではないか…と思うくらい物語としてしっかりとしていました。私の中で初めて、ブルースウェインとバットマンがはっきり同一人物になったような気がしました。そんなバットマン。爽快感は微塵もなく、特殊な境遇の男が体験する目覚めの物語でありました。

 しかしながら、今年に入って15本以上観た映画の中で、「ナイル殺人事件」の冒頭とラスト以上のインパクトをもった映画は、今のところありませんでしたね。

                             

 

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チラシ見てやってください

2022-03-15 23:58:42 | 演劇

 4月の劇団 浮狼舎公演のチラシです。

 いつもチラシの写真は神原自ら撮影します。構成や加工は佐賀依久子氏にお願いしております。神原にはこだわりがあり、チラシ製作に我々は口を挟みません。写真の選定の時に意見を述べるくらいです。作家神原は神原ワールドの創造者なので、その点は徹底しております。作品然り。何せこの物語がどうなっていくのか、まだ当の本人ですらわからないのですから。帰着点は見えているはずですが、どこをどう通るかわからないのです。ま、私たちも要は面白ければよいのです。完成まで残す所あと約三分の一(四分の一?)ほどでしょうか。楽しみです(^^♪

 

 

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スピルバーグの West side story

2022-03-11 21:39:08 | 演劇

 スピルバーグの「ウエストサイドストーリー」を観ました。これはスピルバーグのリアル「ウエストサイドストーリー」でした。ユダヤ系のスピルバーグが父親にささげた、今まで見たことのない繊細な「物語」でした。良質のストレートプレイを観たような感じです。

            

 しかし、ミュージカルでなくてもよかったのではなかったか、と思うほど「物語」として存在感があった。

 ロバートワイズ監督のも、スピルバーグ監督のも両方劇場で観ました。前者はミュージカルとしてあまりに美しかった。と同時に当時違和感を私は感じていた。後者はその違和感を解消してくれる生活感と人間臭さを感じた。だが、あの美しさと爽快感はなかった。この二つの「ウエストサイド」は同じ物語でありながら、全く違う作品なのである。どちらも間違いなく傑作です。

 当時この二人は吹き替えでしたダンスは今よりキレッキレでした

                

 ミュージカルとしてはロバートワイズ、物語としてはスピルバーグというのが私の感想でした。

 スピルバーグ版のヒロインだけは規格外でした!あの人はTheミュージカルでした(86歳で歌っていたリタ・ヘイワーズは別格)

                   

 

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