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アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「野党共闘」・共産党とれいわの違いは何を示しているか

2025年07月07日 | 野党共闘
   

 今回の参院選における「1人区」の「野党共闘」をめぐって、日本共産党とれいわ新選組の姿勢の違いが際立っています。

 共産党は積極的に立憲民主党との共闘を追求し、32の1人区のうち17で候補者を1本化しました。重大なのはその際、「野党共闘の1丁目1番地」と言っていた「安保法制(戦争法)廃止」を棚上げしたことです(6月28日のブログ参照)。政策よりも「共闘」を優先している姿が鮮明です。

 これに対し、れいわは「候補者調整」(野党共闘)には加わらず、政策の一貫性を貫きました。象徴的なのが沖縄選挙区です。
 「オール沖縄」候補と自公候補の事実上の一騎打ちとなっている同選挙区で、れいわは「オール沖縄」陣営には入っていません。これには経過があります。

 6月22日、沖縄を訪れたれいわの山本太郎代表は、取材に対し、「高良沙哉(オール沖縄)陣営から候補一本化を要請された」としながら合意に至らなかったいきさつをこう述べました。

「(山本氏は)自衛隊の南西シフト問題に絞って条件を提示したと説明。…山本氏は「オール沖縄」勢力内でも立憲民主党が長射程ミサイル保有を容認していることなどを問題視。「その後の議員の態度を縛る」と強調した」(6月23日付琉球新報)

 「オール沖縄」には長射程ミサイル保有を容認(その根源には日米軍事同盟・軍拡支持)の立民がいるから、共闘すれば当選後の議員が立民に縛られて自衛隊の南西シフトに反対できなくなる、だから「オール沖縄」とは共闘できない、というのです。事実、立民は今回の参院選でも、「日米同盟を深化」「防衛力を抜本的に強化」すると政策に明記しています。

 共産党が立民との「共闘」を優先して「安保法制廃止」を棚上げしたのとはきわめて対照的です。この違いの根源は何でしょうか。

 2日の日本記者クラブ主催の党首討論会で、山本氏に対し記者から、れいわは国会内では仲間が少ないようだ(孤立しているように見える)が、という質問がありました。これに対し山本氏はこう答えました。

「永田町は風見鶏が多く、数が多い方を向く。私たちも数を増やすことは追求するが、数が少なくても風穴はあく。19年前に「消費税廃止」を主張していたのは私たちだけだったが、今では自民党以外はみな言うようになった」

 「数が少なくても風穴はあく」―少数政党であっても現実政治を動かすことはできる、という確信です。

 私が知る限り、共産党も1980年代ごろまではその考えでした。国会では少数政党でも(頻繁に「共産党を除く」会談が繰り返されました)、「天皇制廃止」「日米安保条約廃棄」を含め政策を重視し主張し続けました。それが党への支持・信頼を維持・拡大すると確信していたからです。

 ところがとりわけ2000年代以降、政策の一貫性よりも野党第1党と「共闘」を重視することに方向転換しました(写真右は「野党共闘」を牽引した志位和夫氏と小沢一郎氏)。その結果、「天皇制廃止」や「安保条約廃棄」などを選挙では訴えない(事実上棚上げ)という変質を遂げてきました。今日の共産党の凋落はそれと無関係ではないでしょう。

 「数が少なくても風穴はあく」。今は少数政党でも、正しい政策を堅持し、選挙や日常活動で地道に訴えれば、やがて多数派への道が開かれる。それが政党として本道ではないでしょうか。

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山本太郎氏も「野党共闘」見直し、問われる日本共産党

2024年03月20日 | 野党共闘
   

 れいわ新選組の山本太郎代表は今月10日、京都市内で行われた集会で、次の衆院選の「野党共闘」について見解を述べました。報道は次の通りです。

<山本太郎代表は…「今、野党が固まっても仕方がない。党が候補者を降ろすのは筋違いだ」と述べ、野党共闘による候補者の絞り込みに否定的な考えを示した。
 山本代表は「野党が固まらないと(自民党に)勝てないのは理解できる」としつつ、消費税増税を決めた民主党政権を批判し、「名前を変えたように見えるが、(立憲民主党と)一緒に政権をひっくり返そうとはならない。野党が固まって政権交代できても民主政権の再来になる」と指摘。消費税減税などの経済政策を共闘の条件に入れなければ難しいとした。>(11日付京都新聞)

 野党共闘には重要政策での一致が不可欠。まして共闘で政権交代を目指すなら。そうでなければたとえ政権交代しても市民の期待に沿う政権にはならない―というのです。きわめて妥当な主張です。

 同様の趣旨を、「野党共闘」の要となってきた市民連合の中野晃一運営委員(上智大教授)も述べていました。
 中野氏は、「本来、どういう政権になるかは選挙の後にしかわからない」のに「選挙前に踏み込みすぎた面がある」とし、「それぞれの政党が自由活発に独自の政策を訴えて有権者に売り込み…具体的な政策は、各党で主張をし、政権をつくる段階になったら、互いに歩み寄ればいい」と、これまでの「野党共闘」を反省し見直す必要性を強調しました(2月28日のブログ参照)

 山本氏と中野氏の主張は相通じるものがあり、本来の「野党共闘」の在り方、「政権交代」による連立政権の方向性を示したものと言えます。これまで「野党共闘」で中心的な役割を果たしてきた両氏が、ともにその見直しを主張している意味は小さくありません。

 そこで問われるのは、日本共産党です。

 共産党は先の第29回党大会決議でも、「激しい共闘攻撃、反共攻撃は、支配勢力の側が、「市民と野党の共闘」が政治を変える現実的な力であることを認識し恐れている証しである。ひるまず、力をあわせて打ち破ってこそ、政治を変える展望がひらかれる」(1月19日付しんぶん赤旗)と、これまでの「野党共闘」を繰り返し賛美しています。

 しかし、党内がこうした志位和夫前委員長を中心とした党中央の見解に無条件で賛同しているかといえば、そうとは言えないでしょう。
 例えば、大きく後退した先の衆院選直後(2021年11月28日)、党幹部の一人はツイッターで、「共産が「政権に関わる存在」になったときに「全く異なる不安になるのでは」と分析。政権交代を軸にした選挙戦での訴えが「国民の中に広がる不安をつかんだものではなかった」などと省みる投稿をした」(21年12月15日付朝日新聞デジタル)ことがあります。投稿は党の方針と異なるとしてすぐに削除されました。

 投稿の主は田村智子政策委員長(当時)、現在の幹部会委員長です。「政権交代」を訴えた「野党共闘」が有権者・支持者に「不安」を与えたという反省です。

 政党間の共闘が重要であることは言うまでもありません。だからこそ、それはどうあるべきか、とりわけ「政権交代」を訴えるなら、各党の独自政策と共闘、政権(連立政権)との党関係はどうあるべきか、共産党は根本的に見直す必要があります。
 田村委員長はその点でリーダーシップを発揮すべきではないでしょうか。

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市民連合・中野晃一氏の注目すべき「野党共闘」見直し論

2024年02月28日 | 野党共闘
   

 政治改革へ向けて「野党共闘」を追求している市民連合(「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」)の中野晃一運営委員(上智大教授)が朝日新聞のインタビューに答え、注目すべき「野党共闘」見直し論を展開しています(以下抜粋、写真左も)。

< ――野党が存在感を示し、受け皿になるためには何が必要でしょうか。

 本来、どういう政権になるかは選挙の後にしかわからないものなのに、この間、日本では選挙前から誰と誰が組むかということが問われている。

 選挙戦略としてどこと組む、組まないという話はあるが、政権をとった後に政権に入る、入らないを選挙前に決める国は他にない。自民党と公明党が選挙の前から連立政権を前提にすることの方が異常だ。

 ――しかし、2021年衆院選は、立憲が政権を取ったら共産とどうするか、という話になった。本当はすべきではなかったということですか。

 あのときは、あれぐらいやらないと、という意識があったが、選挙前に踏み込みすぎた面がある。各政党が勝ち上がってくることの方が本当は重要だと思う。

 21年選挙の反省点は、比例区での戦略が足りなかったことだ。選挙区で候補者を一本化するのはいいが、それぞれの政党が自由活発に独自の政策を訴えて有権者に売り込み、各党が比例で議席を増やすということも必要だ

 大きな方向性を共有して、選挙協力ができれば、より具体的な政策は、各党で主張をし、政権をつくる段階になったら、互いに歩み寄ればいい。いまは小選挙区制のもとでの「政権選択選挙」に過剰に適用しようとしている。>(22日付朝日新聞デジタル)

 これは明らかに、これまで市民連合が調整役となって試みてきた「野党共闘・連合」の失敗を認めたものであり、共闘の在り方を見直すべきだという表明です。

 2021年の衆院選を前に、立憲民主党と日本共産党は同年9月30日、「総選挙で自公政権を倒し、新しい政治を実現する」「両党は「新政権」において、市民連合と合意した政策を着実に推進するために協力する。その際、日本共産党は合意した政策を実現する範囲で限定的な閣外からの協力とする」などの3点で合意しました。

 これはまさに衆院選を「政権選択選挙」とし、市民連合と共に結んだ「20項目の共通政策」を政権公約としたものです。中野氏が誤りだと指摘する「どういう政権になるか」「誰と誰が組むか」「政権をとった後に政権に入る入らない」を選挙前に公約したのです(2021年10月2日のブログ参照)(写真中、右)。

 中野氏はその誤った「政権選択選挙」によって「それぞれの政党が自由活発に独自の政策を訴えて有権者に売り込み、各党が比例で議席を増やすということ」ができなかったと認めています。共産党が「日米安保条約廃棄」などを選挙戦で事実上封印したことはまさにその表れでした。

 今回の中野氏の「共闘」論見直しは、遅きに失したとはいえ、妥当です。

 しかし、共産党の志位和夫委員長(当時)は衆院選敗北後もこう述べていました。

「共通政策および日本共産党と立憲民主党の党首会談での政権協力の合意は、公党間の合意であり、それを掲げて総選挙をたたかった以上、国民への公約であります。日本共産党は、この合意と公約を誠実に順守し、野党共闘の大道を前進させるために、今後も揺るがずに力をつくすことを表明するものであります」(第4回中央委員会総会幹部会報告、2021年11月29日付しんぶん赤旗)

 今年中にも衆院選が予想される中、共産党は中野氏の指摘を踏まえ、「野党共闘」論の抜本的見直しを行う必要があります。

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「野党共闘」はどこに問題があったのか

2021年11月02日 | 野党共闘

    

 本題に入る前に。自民党の遠藤利明選対委員長は1日、今回の衆院選の「勝因」について、「総裁選で自民党には多様な意見があるということを多くの国民に知ってもらった」と述べました(1日昼のNHKニュース)。きのうのブログで書いたメディアの責任を裏付ける発言です。

 今回の衆院選の最大の特徴は、野党側が候補者を一本化した「野党共闘」にあったと言えるでしょう。それをどう総括するかは、野党自身のみならず有権者にとってもきわめて重要な問題です。

 日本共産党の志位和夫委員長は、31日夜のインタビューや記者会見で、「野党共闘は確かな成果を挙げた。さらに発展させたい」「2回、3回とチャレンジしたい」と述べました。この評価は妥当でしょうか。

 与党と「野党共闘」の一騎打ちとなった選挙区は145ありました。結果は、与党105勝、「野党共闘」40勝。「野党共闘」の勝率は28%にとどまりました(1日の朝日新聞デジタルより)。

 さらに、「野党共闘」の中心となった立憲民主、共産はともに比例の得票を減らし、議席も立憲民主は14減らし(110→96)、共産党は2減らしました(12→10)。

 こうした結果をリアルの見るなら、今回の「野党共闘」は、部分的効果はあったとしても、全体的には有権者から支持されたとはいえません。

 なぜ「野党共闘」は支持されなかったのでしょうか。

 立憲民主、共産は、今回の選挙は「政権交代」を実現する「政権選択」選挙であり、「野党共闘」はそのためだと強調しました。一方、その「野党共闘」の共通政策は、市民連合を仲介に合意した「20項目の共通要求」だと繰り返し説明しました。

 しかしその「20項目」は、「外交・安全保障の基本的な考えや天皇制については含まれていない」(枝野幸男立憲民主代表、10月17日の党首討論会)ものです。志位氏も「日米安保条約廃棄などでは立憲民主党と立場が違う」と公言してきました。

 「政権選択」というなら、その政権が「外交・安全保障」で、具体的には日米軍事同盟(日米安保条約)や自衛隊に対していかなる政策をとるか明らかにする必要があることは当然です。それを棚上げした「20項目」で「政権交代」を求めるのは無理な話です。有権者の目は節穴ではありません。

 「野党共闘」が広い支持を得られなかった最大の理由は、この“政権政策なき政権交代”の主張にあったと言わざるをえません。

 しかもこの「野党共闘」によって、共産党は日米安保廃棄の独自政策を封印しました(例えば選挙公報の「平和外交」の項に記載なし)。同党の対話集会で「選挙に勝ちたい、自民を倒したいだけで、自分たちの信念や理念をないがしろにしている気がする」という声が出た(10月24日の朝日新聞デジタル)のも当然でしょう。

 志位氏は31日夜の記者会見で、「野党がばらばらになったら、自公政治が永遠に続く」(1日付琉球新報=共同)と述べました。この発言は、政党の数合わせで政治を変えようとするもので、そこには政治変革の主体である市民の粘り強い闘いへの信頼はうかがえません。

 志位氏は「ぶれずにこの道(「野党共闘」)を進む」(1日朝のNHKニュース)と言いました。誤りを認め改めることは、けっして「ぶれる」ことではありません。

 共産党は無謬主義から脱し、今回の「野党共闘」を深刻に総括し、誤った方針をただすべきです。執行部にそれを期待するのは無理かもしれませんが、それは一人ひとりの共産党員の責任でもあるはずです。党員、支持者の活発な議論が望まれます。


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「野党共通政策」は自民党政治「チェンジの要」か

2021年10月02日 | 野党共闘

    

 きたる衆院選挙は、安倍・菅政治に象徴される自民党政治を根本的に転換する機会です。
 立憲民主党の枝野幸男代表と日本共産党の志位和夫委員長は30日会談し、「政権協力で合意」(1日付しんぶん赤旗)しました。この「合意」は、自民党政治を根本的に転換するものになるでしょうか。

 「合意」は次の3点です。①総選挙で自公政権を倒し、新しい政治を実現する②両党は「新政権」において、市民連合と合意した政策を着実に推進するために協力する。その際、日本共産党は合意した政策を実現する範囲で限定的な閣外からの協力とする③両党で候補者を一本化した選挙区は双方の立場理解・尊重しながら小選挙区での勝利を目指す(同「赤旗」より)

 志位氏は同日の記者会見で、これは「野党連合政権」だと言っていますから(同「赤旗」)、「市民連合と合意した政策」(以下「共通政策」)は「野党連合政権」の共通政策ということになります(写真左、中は9月8日の合意のもよう=朝日新聞デジタルより)。それはどのようなものでしょうか。

 「共通政策」(写真右)は、6つの項目(①憲法に基づく政治の回復②科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化③格差と貧困を是正する④地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行⑤ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現⑥権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する)と20の小項目からなっています。

 全体的に、「努力する」「進める」「強化する」などが多く具体性に欠け、「市民連合」の看板でもある「安保法制」についても、「違憲部分を廃止」とあいまいさが残ります。とりわけ、「明白な違憲立法」(小林武沖縄大客員教授、9月30日付琉球新報)である「土地規制法」(「住民監視法」)の廃止が含まれていないのは重大な欠陥です。

 なかでも最も問題なのは、「憲法に基づく政治の回復」といいながら、憲法の基本原則(前文、第9条)に反する日米軍事同盟(安保条約)・軍隊(自衛隊)の廃棄・廃止について一言も触れていないことです。
 廃棄・廃止どころか見直し・縮小さえなく、日米地位協定改定もありません。「沖縄辺野古での新基地建設を中止する」とありますが、沖縄の米軍・自衛隊基地を容認(立憲民主など)している以上、辺野古に代わる新基地が問題になるのは必定です。

 5兆円を超えて膨張を続ける軍事費(防衛予算)の削減は、コロナ禍における暮らし・営業・貧困対策とも関係する重要課題ですが、それにもまったく触れていません。

 「野党連合政権」の「共通政策」は、日米軍事同盟(安保条約体制)・自衛隊・軍事費を完全に聖域化したものなのです。

 無理もありません。立憲民主は、「日米同盟を基軸とした現実的な外交・安全保障」(9月24日発表の総選挙政策)を公然と掲げる政党なのですから。
 その立憲民主に共産党、社民党、れいわ新選組が歩調を合わせたのが、「共通政策」にほかなりません。

 共産党はこの「共通政策」を、「安倍・菅政治のチェンジの要となる政策」(30日の志位氏の会見)と最大限の評価をしています。ということは、「共通政策」が聖域化している日米軍事同盟や基地・軍事費問題は自民党政治の「チェンジの要」となる問題ではないという認識です。

 それは正当な評価でしょうか。安保法制(戦争法)はもちろん、「土地規制法」も、膨張する軍事費も、中国・朝鮮敵視政策も、その根源はいずれも対米従属の日米軍事同盟(安保条約体制)です。それは、政治・外交分野のみならず、経済、社会の隅々まで、日本とアジアの平和と民主主義を破壊している諸悪の根源です。ここにメスを入れないで、どうして自民党政治を根本的に「チェンジ」することができるでしょう。

 「民主陣営」の中には、ともかく政権交代を実現することに意味がある、という主張があります。果たしてそうでしょうか。
 「政権交代」によって生まれた3年3カ月の民主党政権(2009年9月15日~12年12月26日)はどうだったか。その間に起こった数々の重大な問題を想起すれば、ただ「政権交代」すればいいというものでないことは明白ではないでしょうか(この点は別途詳述します)。

 たんに政権が変わっただけでは政治の本質は変わりません。基本政策の転換、とりわけ日米軍事同盟(安保条約体制)にメスを入れない限り、日本は変わりません。「日米軍事同盟廃棄」が直ちに一致点にならないとしても、少なくとも「廃棄をめざす」「自衛隊の縮小」「軍事費の大幅削減」の政策は不可欠です。

 短時日で多数派にならなくても(政権交代できなくても)、本当に政治・社会を根本的に変える政策を掲げ、それを多数派にする地道な活動を続ける以外に、日本を変える道はないと考えます。


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連合の出版妨害と立憲民主党・日本共産党

2021年05月29日 | 野党共闘

    
 25日付琉球新報2面最下段に、見過ごせないベタ記事(共同配信)がありました。見出しは<立民と共産議員対談本出版延期 連合の不快感、一因か>。
 翌26日の朝日新聞デジタルには、より詳しい記事が載りました。見出しは<「立憲・共産並ぶ」対談本が発売延期 連合内に反発の声>。この記事を抜粋します(太字は私)。

「立憲民主、共産の両党議員の対談をまとめた本の出版が延期されたことがわかった。衆院選を控えて、立憲と共産が接近していると受け取られると、共産に批判的な立憲の支持団体、連合の内部から反発の声が上がっていた

 本は「政権交代で日本をアップデートする」(大月書店)。6月18日に発売予定だった。立憲からは小川淳也衆院議員ら4人、共産党からは田村智子政策委員長ら4人が参加。政治改革、経済、外交・安保などの計4テーマを取り上げている。

 参加した立憲議員から25日に経緯の説明を受けた立憲幹部は「むちゃくちゃ怒っていた」という。連合関係者は「共産と一緒に本を出すことが、我々や支持者からどう見えるのか」と出版を問題視した

 大月書店は朝日新聞の取材に延期について、「編者の山口二郎・法政大教授から『刊行の最適のタイミングを探りたい』と話があった」と説明」

 短い記事ですが、重大なことがいくつもあります。

  1. 連合(神津里季生会長=写真左)が立憲民主、共産両党議員の対談本の出版に反対し、出版を差し止めた。
  2. 立憲民主幹部も、共産党議員との対談本発行の動きに激怒した。
  3. 編者(仲介者)の山口二郎氏も連合・立憲民主幹部の反対を受けて出版を「延期」した。

 連合の反共主義は周知のことで、先の参院広島再選挙でも共産党の共闘参加を認めませんでしたが(4月27日のブログ参照)、それが出版妨害にまで至ったとは驚くばかりです。これがいやしくも「労働組合」を標榜している団体のすることでしょうか。

 連合が元凶であることは言うまでもありませんが、その連合の反民主的暴挙に同調した立憲民主(幹部)、さらに山口氏の責任も免れません。

 山口氏は広島再選挙の直後、立憲民主を「リベラル路線」だとし、「立憲民主党を中心とするブロック」は「大きな進歩である」と評しました(4月30日付中国新聞)。連合の出版妨害に同調・追随する立憲民主のどこが「リベラル」でしょうか。このような立憲民主を中心とする野党ブロックのどこが「進歩」でしょうか。

 一方、日本共産党は、しんぶん赤旗電子版を見る限り、今回の問題について連合や立憲民主に何の抗議もしていません。志位和夫委員長は常々、同党が目指す「野党共闘」について、「政策的一致」が「一丁目一番地」であり、「違いを認め合い、相互に尊重し合い、リスペクトして、ともにたたかう姿勢があってこそ、政党間の協力・連携・共闘は成り立つ」(4月8日付しんぶん赤旗)と強調しています。出版妨害にまで至った連合の反共主義、それに追随する立憲民主のどこに「相互尊重・リスペクト」があるのでしょうか。

 共産党があくまでも立憲民主との「共闘」「選挙協力」を追求するというなら、今回のことにはっきり抗議し、妨害を跳ね返し、出版・言論の自由を守ることは、最低限の必要条件ではないでしょうか。

 


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共産党は参院広島でなぜ野党候補を「推薦」しなかったのか

2021年04月27日 | 野党共闘

    
 25日投開票の3つの国政選挙(参院広島再選、参院長野補選、衆院北海道2区補選)で、菅・自民党は全敗しました(北海道は候補者も立てられず)。立憲民主党は「候補者1本化の成果」(枝野幸男代表)を強調しています。しかし、3つの選挙の「野党共闘」の実態は単純ではなく、そこには重大な問題が潜んでいました。

 長野では立憲民主の公認候補を共産党、国民民主党、社民党が推薦。北海道は同じく立憲民主の公認候補を国民民主と社民、共産党道委員会(中央委員会ではない)が推薦。そして立憲民主が最も重視した広島では、無所属(諸派)の宮口治子氏を立憲民主、国民民主、社民が推薦し、共産党は「自主支援」(中国新聞)にとどまりました。共産党は宮口氏の選挙母体である統一組織「結集ひろしま」にも加わりませんでした。

 広島再選の告示日に、共産党は「市民と野党の統一候補の勝利に全力を尽くす」(村上昭二党広島県委員長)との党談話を発表し宮口支持を強調しました。事実、選挙戦では「チラシ47万枚の配布、電話や訪問による支持拡大など、できることを全てやった」(村上氏、25日付中国新聞)と、宮口氏当選に大きな役割を果たしました。

 その共産党が、なぜ宮口氏を「推薦」せず、「自主支援」にとどめたのでしょうか。
 その背景には長野補選の経過がありました。

「長野補選では告示直前、立憲の候補者が地元の立憲や共産などと結んだ政策協定が波紋を広げた。共産色の強い内容に国民民主と支持団体の連合が反発立憲の枝野氏が連合に陳謝して収束したものの、国民民主は推薦を一時白紙にした」(26日付朝日新聞)

「立民候補が共産などの県組織と交わした政策協定に原発ゼロや日米同盟見直しが明記され、保守的な議員の多い国民民主党や支援組織の連合が反発。立民の枝野幸男代表らは釈明に追われた」(26日付琉球新報=共同配信)

「立憲はこの騒動以降、共産との距離の取り方に神経をとがらせた」(同朝日)、「立民は連合などへの配慮から、北海道、広島で共産を推薦政党の輪から除外。支援にとどめた共産は不快感を隠さない」(同共同配信)

 共産党は広島で宮口氏を「推薦」しなかったのではなく、できなかったのです。「推薦政党の輪から除外」されたのです。それは反共組織・連合の意向であり、連合に頭が上がらない立憲民主がそれに従った結果です。

 その根底には、「原発ゼロや日米同盟見直し」という、まさに「政権交代し、新しい政権をつくる」(志位和夫委員長、4月23日広島市での講演。24日付「しんぶん赤旗」)うえでの核心的政策において、共産党と連合、国民民主、立憲民主の間には大きな溝があるということ、そしてそれを政策協定に盛り込もうとすれば、連合、国民民主は必ず反発し、共産党の主張は葬られるということです。

 にもかかわらず共産党は、「来るべき総選挙で共闘の勝利を目指す」(26日、小池晃書記局長)と、「野党共闘」に固執しています。一方、連合の幹部は、「長野と同じようなことが衆院選で起きたら、組織の結束にヒビが入る」(26日付朝日新聞)と公言し、総選挙では長野のような「共産色の強い」政策協定は絶対に認めないことを強調しています。

 以上のことは何を意味しているでしょうか。

 立憲民主党がきたる総選挙で目指そうとしている「野党共闘」とは、自民党との「1対1」の選挙で立憲民主が勝つための、連合主導の右派共闘であり、政策的には原発ゼロや日米同盟見直しなどを容認しない、自民党亜流政策に他ならないということです。共産党は、そんな「野党共闘」に固執し続けようとしているのです。

 それがもたらすものは、共産党自身のますますの右傾化にほかなりません。事実、広島の宮口氏は「原発再稼働」について、「反対」ではなく「どちらとも言えない」(20日付中国新聞)と公約しました。共産党(党員・支持者)はこの宮口氏の政策ビラを「全力で」大量に配布することになったのです。

 大事なのは「野党の1本化」なのか、それとも核心的な重要政策の実現・前進なのか。共産党(中央委員会・党員・支持者)は、総選挙を前に、あらためて熟考すべきではないでしょうか。

 


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沖縄県議選の無投票と東京都知事選

2020年05月30日 | 野党共闘

    

 沖縄県議選が29日告示されました(6月7日投開票)。全13選挙区中、4つの選挙区で無投票当選となります。由々しき事態です。そこには7月の東京都知事選(7月5日投開票)に通底する重大な問題があります。

 無投票になるのは、名護市区、石垣市区、浦添市区、うるま市区の4区。名護市は辺野古新基地問題、石垣市は自衛隊ミサイル部隊配備問題、浦添市は米軍軍港移転問題と、それぞれ基地をめぐる重大な問題を抱えている選挙区です。にもかかわらず当該有権者はそれについて選挙で意思表示することができません。

 どうしてこういう事態になるのでしょうか。玉城県政与党の「オール沖縄」陣営と、県政野党の自民が現有議席を維持することで“棲み分け”しているからです。
 例えば、名護市区も石垣市区も定数は2。辺野古新基地・自衛隊基地に基本的に反対の「オール沖縄」陣営と、賛成の自民党現職で議席を分け合っています。「オール沖縄」陣営はなぜ候補者を2名立てないのでしょうか。

 とりわけ姿勢を問いたいのは日本共産党です。共産党は全国の選挙で無投票を避けるため、勝利の展望とは別に、極力候補者を立ててきました。それは有権者に選挙権を保障するためだったはずです。なぜ沖縄ではそれをしないのでしょうか。なぜ名護市や石垣市に独自候補を立てて自民党の議席を奪いに行かないのでしょうか。

 それは、「オール沖縄」という“しばり”があるからではないでしょうか。県政与党(国政野党)の「共闘」という名の下に、独自の選挙活動の手を縛っているのではないでしょうか。

 同じことが危惧されるのが、東京都知事選です。

 自民党はすでに現職の小池百合子氏を支持する方針を固めています。「コロナ対策」でも安倍政権との共同歩調が目につきます。小池氏は来月上旬に正式に出馬表明するとみられています。

 これに対し、国政野党は「統一候補」を模索し、「5月中を目標に対抗馬選びを急ぐ」(25日付共同配信)と報じられていましたが、めどは立っていません。それどころか、国民民主の玉木雄一郎代表は「(コロナ対策の)最前線で取り組んでいる知事を代えることがどうなのか」(18日の記者会見)と、小池知事擁護の姿勢を見せています。もともと国民民主の前身は小池氏がつくった希望の党です。
 また、立憲民主のバックボーンである連合についても、「連合東京も小池氏と関係が良好で『対抗馬を立てる雰囲気ではない』(関係者)との声が上がる」(同共同配信)といいます。

 こんな国民民主や連合との「共闘」で小池氏に対抗する知事候補を立てようとしているのですから、まとまるはずがありません。このままでは小池氏の無投票再選という最悪の事態になる恐れがありました。

 そんな中、宇都宮健児氏が27日、正式に出馬表明しました(写真左)。その勇気に大きな拍手を送ります。政策・見識も素晴らしいです(後日詳述)。これで小池氏の無投票当選という悪夢は消えました。

 ここでも問われるのは共産党です。共産党は4年前の都知事選で、すでに候補者活動をすすめていた宇都宮氏を強引に降ろして、「野党統一候補」として鳥越俊太郎氏を立て、惨敗しました。

 共産党の志位和夫委員長は28日の会見で宇都宮氏の出馬表明について、「基本的な政治姿勢、基本政策は私たちと共有できると思います。日本共産党として、宇都宮さんの出馬表明を歓迎します。今後のたたかいについては、よく話し合っていきたい」(29日付しんぶん赤旗)と述べました。
 ところが志位氏は続けてこうも言いました。「この間、野党の党首間では、都知事選挙で統一候補を立ててたたかうことを何度も合意しています。わが党としては野党共闘でたたかう体制をつくるために努力したい」(同しんぶん赤旗)

 政党間の共闘とは、政策の一致点で行うものです。政策そっちのけで「とにかく一緒に」というのは共闘ではなく野合です。幻の「野党共闘」なるものに足を引っ張られて都知事選の大事な候補者を逃す―共産党は4年前の二の舞いを踏むつもりでしょうか。


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反共主義と野党共闘は相いれない

2020年02月03日 | 野党共闘

   
 2日投開票があった京都市長選は、自民、公明、立憲民主、国民民主、社民の与野党5党が相乗りした門川大作氏(現職)が、共産、れいわ新選組2党が推した福山和人氏に約5万票の差をつけて当選しました。

 今回の京都市長選の特徴は、門川陣営が「過剰とも言える『反共』攻撃を展開した。…対立候補の政策ではなく、政党を否定する戦術で、支持者をあおり立てた」(3日付琉球新報)、「有権者不在の選挙だった」(同)ことです。

 門川陣営の反共宣伝を象徴したものが、1月26日付京都新聞6面のほぼ1ページを使って行った新聞広告でした(写真左)。
 <大切な京都に 共産党の市長は「NO」>の見出しで、「わたしたちの京都を共産党による独善的な市政に陥らせてはいけません」「いまこそONE TEAMで京都を創ろう!」などと書いています。

 新聞広告が出た翌日、日本共産党の小池晃書記局長は国会内で記者会見し、「中身のない古色蒼然たる一方的なレッテル貼りで言語道断だ」(1月28日付しんぶん赤旗)ときびしく批判しました。市民からも「『良識を疑う。ヘイト広告だ』…などの批判が噴出」(同)しました。
 当然です。まったく無内容で低劣な典型的な反共宣伝です。

 問題は、これが自民・公明の反共広告ではなく、自民、公明に立憲民主、国民民主、社民が加わった5党が推す候補の陣営によって行われた反共広告だという事実です。

 自民、公明だけでなく、立憲、国民、社民にもこの反共広告に対する責任があることは言うまでもありません。門川陣営には当然各党から責任者が加わっているはずです。選挙戦の終盤に重大な役割を果たしたこの反共広告を知らないはずがありません。知らなかったではすまされません。

 仮に万一、3党が知らないうちに広告が出たのなら、3党はそれが公になった直後に事実経過の説明も含めて釈明・謝罪すべきです。が、どの党からもそうした声は出ていません。

 京都市長選は終わりましたが、この問題をこのままにしておくことはできません。なぜなら、立憲、国民、社民3党は共産党を含めた「野党共闘」を組むとしており、共産党もこれら3党との共闘を目指しているばかりか、「連合政権」すら追求しようとしているからです。

 政策論議抜きに共産党を「独善的」と決めつけ、「大切な京都に共産党の市長は「NO」」などと叫ぶ反共主義を持った政党と共産党がどうして「共闘」などできるでしょうか。反共主義と野党共闘が相いれないのは明白です。

 立憲、国民、社民3党がこれからも共産党と共闘するなら、今回の反共広告について明確に釈明し謝罪すべきです。
 また、共産党もこの問題を不問に付すことなく、立憲、国民、社民に明確な釈明・謝罪を求めるべきです。それは党員・支持者に対する責任でもあるでしょう。

 双方がこの問題をあいまいにしたまま「野党共闘」をおこなうなら、その「共闘」なるものは、立憲、国民、社民3党が共産党の支持票ほしさに、反共主義の鎧(本音)を衣で隠した粉飾共闘だということになるでしょう。


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肝心なのは「安倍政権の終焉」ではなく「安倍政治の終焉」

2017年09月28日 | 野党共闘

       

 衆議院は今日28日解散され、野党第1党の民進党は、27日に発足したばかりの「希望の党」に吸収されて消滅しようとしています。きわめて奇妙な現象と言わねばなりません。何がそうさせているのでしょうか。

 キーワードは「安倍政権の終焉」です。前原民進党代表の「どんな手段を使ってでも、どんな知恵を絞ってでも安倍政権を終わらせよう」(27日)という言葉がそれを端的に示しています。
 前原氏だけではありません。共産党の志位委員長はじめ野党はすべて「安倍政権を倒す」の1点で「共闘」してきました。「革新的」メディアもまた、「今必要なのは「反安倍」で結集」(27日付沖縄タイムス)することだと後押ししてきました。

 小選挙区制という非民主的な選挙制度の下では、自民党に対抗するには野党が1つになるしかない、というのは単純な論理です。「当選」を至上命題にするなら、「政策の一致」など建前(二の次三の次)で、とにかく1つになること。そして「人気」のある(とみられる)党首を表に立てること。それが小池氏や前原氏がいまやろうとしていることです。

 果たしてそれでいいのでしょうか。

 仮に「希望の党」の下に結集した野党が大勝し、望み通り安倍政権が倒れ、「小池政権」が誕生したとして、それで日本の政治・社会の何が変わるのでしょうか。

 27日の「希望の党」の結党式で、小池氏は「寛容な改革保守」などという抽象的な言葉を並べただけで、具体的な政策は何も述べませんでした。「6項目の綱領」なるものもスローガンの羅列です。票目当てに「反原発」を掲げたものの、あくまで「原発ゼロをめざす」(小池氏、25日の記者会見)というだけで具体性はなく、これから「原発ゼロへの工程表作成」(25日付共同配信記事)をするというだけです。

 すべてが曖昧な中で、小池氏が唯一明確に言い切ったことがあります。それは、民進党議員が「希望の党」へ合流するための「条件」です。
 「北朝鮮情勢も緊迫しており、ただ平和を訴えていればよいというものではありません。極めてリアルな安全保障政策についてこられるかどうかです」(27日、写真左)

 「極めてリアルな安全保障政策」とは、日米安保条約(軍事同盟)と戦争法(安保法制)による日米軍事一体化、北朝鮮敵視政策、「核抑止力」論による核兵器禁止への敵対にほかなりません。

 これこそ「希望の党」の根幹的政策であり、小池氏が譲れない一線です。これまで小池氏が防衛大臣を含め自民党議員として一貫して日米安保体制を推進してきたことから、それは当然の帰結です。安倍首相が「小池さんとは安全保障、基本的な理念は同じだ」(25日の記者会見)と言うのはそのためです。

 「安倍政権」と「小池政権」は、日米安保体制(軍事同盟)を政権の根幹とする点でなんの違いもないのです。

 付け加えれば、小池氏は「日本会議議連」の副会長を務めたこともあり、また都知事として今年の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文を取りやめるなど、日本の植民地政策、侵略戦争の歴史に無反省な「国家観」においても、安倍氏ときわめて相似しています。

 このような小池氏を首班とする「小池政権」が万一誕生しても、これまでの自民党政治は何も変わりません。基本的に自民党政治を踏襲した民主党政権が哀れな末路をたどったことは記憶に新しいところです。「小池政権」が、政治の変革を望む有権者にそれ以上の失望感を与えるのは目に見えています。

 ただ失望させるだけではありません。今の起こっている事態を少しレンズを引いて見れば、自民党政権に代わる、第二自民党政権をつくろうという動きがあり、それに野党第1党はじめ野党各党が吸収され、日本の政界には本当の意味の野党がいなくなる、今日的な国家総動員体制が作られようとしている、といえるのではないでしょうか。

 肝心なのは、「安倍政権の終焉」ではなく、「安倍政治の終焉」です。

 具体的には、戦争法を廃止し、対米従属の日米軍事同盟(安保条約)を廃棄して非核・非同盟・中立の日本へ舵を切ることです。
 安保条約の廃棄がすぐに一致点にならないというなら、次のスローガンでの共闘をすすめるべきです。
 「軍事費を削って、福祉・教育へ回そう
 5兆円を超える軍事費(その多くはアメリカからの巨額の武器・装備購入)を大幅に削れば、消費税を上げなくても社会保障や教育、国の借金返済へ予算を回せます。

 これこそ「安倍政治の終焉」の具体的な方向ではないでしょうか。

 選挙は議席を取るためだけにあるのではありません。真の政治改革を実現するための学習・教育・宣伝の機会でもあります。すぐには当選しなくても、多数派の形成へ向かって妥協せず一歩一歩前進する。それが選挙ではないでしょうか。


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