アリの一言 

オキナワ、天皇制の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

翁長知事はなぜ「高江の機動隊」を引き揚げさせないのか

2016年08月27日 | 沖縄・翁長知事

    

 高江ではヘリパッド建設を強行する安倍政権に対し住民・市民の文字通り体を張った阻止行動が連日繰り広げられています。一方、県外から動員されたかつてない規模の機動隊の排除も激しさを増しています。

 26日には沖縄の市民団体「基地の県内移設に反対する県民会議」が県庁を訪れ、「ヘリパッド建設に関して、翁長知事に反対表明するよう訴え」るとともに、「現地での立ち入り調査を含め、毅然とした態度で取り組んでほしい」(27日付琉球新報)と要請しました。しかし県は担当課長が木で鼻をくくった対応をしただけでした。

 「毅然とした態度」どころか、翁長氏には高江の緊迫した事態を収拾する責任と、その権限があります。
 翁長氏がヘリパッド建設を容認していることは繰り返し指摘してきましたが、それだけでなく、翁長氏は高江に県外から派遣されている機動隊を「本土」へ帰らせることができるにもかかわらず、その責任を放棄し、高江の事態を放置しているのです。

 翁長氏は25日の定例記者会見(これがなんと1年3カ月ぶりの「定例会見」)で、「500人とも800人ともいわれる機動隊の数は過剰な警備であることは間違いない」(26日付沖縄タイムス)と述べました。これが「知事、政府の姿勢批判」(同)と報じられました。

 しかし翁長氏は「数」が「過剰」だと言っているだけで、機動隊の警備自体を批判しているわけではありません。そしてさらに重大なのは次の点です。

 「県外の機動隊員が、翁長知事が任命権を持つ県公安委員会の要請で派遣されている点について、『その意味では大変忸怩たるものがある』と述べた」(26日付琉球新報)

 「忸怩たるもの(はずかしい思い)」ですまされては困ります。ここにこそ知事としての翁長氏の権限と責任があるのですから。

 県外からの機動隊派遣と県知事の関係については、「辺野古」の時に触れました(2015年11月10日のブログ参照 http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20151110)。要点をあらためて示します。

 警察法第60条1項は、「都道府県公安委員会は、警察庁又は他の都道府県警察に対して援助の要求をすることができる」としています。県外からの機動隊の導入はこの条項に基づいて行われています。
 さらに同条3項は、「派遣された警察庁又は都道府県警察の警察官は、援助の要求をした都道府県公安委員会の管理する都道府県警察の管轄区域内において、当該都道府県公安委員会の管理の下に、職権を行うことができる」としています。

 「高江」でも「辺野古」でも、県外からの警察官(機動隊)導入は、沖縄県公安委員会の要求で行われているものであり、その行動(職権)もあくまでも県公安委員会の「管理下」にあるということです。

 では、県公安委員会と県知事の関係はどうでしょうか。
 
 同じく警察法第38条1項は、「都道府県知事の所管の下に、都道府県公安委員会を置く」とし、同第39条は、都道府県公安委員(5人)は、「都道府県知事が都道府県の議会の同意を得て、任命する」としています。さらに同41条は、知事に公安委員の罷免権があることも明記しています。

 以上のことから明確なのは、翁長知事は県公安委員会に対し、他県の警察官派遣要求を撤回させることができるということです。もしも公安委員会が知事の指示に従わない場合は罷免すればいいのです。
 知事は公安委員会を直接指示できない、という説もありますが、その趣旨は「公正中立な警察行政を実現するため」(原野翹氏『警察法入門』有斐閣)であり、この場合に該当しないことは明らかです。

 翁長氏は公安委員会を通じて、県外の警察官(機動隊)を「本土」に返すことができるにもかかわらず、その権限を行使せず、安倍政権による県民弾圧を放置しているのです。

 ここで沖縄タイムス、琉球新報についても一言言わざるをえません。
 
 沖縄タイムスは26日の社説で、県公安委員会に対し、機動隊派遣要請の理由を県民に説明し、撤退させよ、と要求しながら、なぜ翁長氏の責任については一言も触れていないのでしょうか。触れないどころか、先の「過剰警備」発言だけを取り上げて翁長氏を肯定的に評価しているのはなぜでしょうか。

 琉球新報も、前記のように公安委員会に対する「知事の任命権」について触れながら、その権限を行使しようとしない翁長氏を批判せず、「評価」に終始するのはなぜでしょうか。

 「定例会見」が1年3カ月も開かれないという異常事態を、これまで両紙がまったく問題にしてこなかったことも含め、両紙が貴重な沖縄のジャーナリズムとして、翁長知事に対する正当なチェック機能を果たしているのか、あらためて問われていると言わざるをえません。


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事実を歪曲する翁長知事の記者会見

2016年07月23日 | 沖縄・翁長知事

  

 抗議する市民を排除して高江ヘリパッド工事が強行され(写真左・中)、「辺野古」で国が新たな裁判を起こした22日、翁長雄志知事は記者会見でこの事態についての「見解」を述べました(写真右)。見過ごせないのは、この中に重大な事実の歪曲があることです。

 翁長氏は肝心の政府・沖縄県協議会(21日)でヘリパッド工事強行に抗議するどころか「高江」にまったく触れず、「辺野古」でも政府ペースの「和解の有効性」を認めてしまいました(昨日のブログ参照)。
 
 この日も翁長氏は、「強硬に工事に着手する政府の姿勢は到底容認できるものではなく、強く抗議する」(23日付琉球新報「知事一問一答」。以下、引用はすべてここから)とは言いましたが、ヘリパッド建設自体には反対していません。

 反対しないどころか、「ヘリパッドを建設するというSACO合意について知事の立場は」という記者の質問に対しこう答えました。
 「SACO合意を着実に実施することが基地の負担軽減につながっていくというのは、私は一貫している」。これはSACO合意のヘリパッド建設への賛成を表明したものにほかなりません。

 ヘリパッド建設に賛成でありながら、「強く抗議する」などと言ってまるで反対しているかのように振る舞うのは、市民を欺くものです。

 菅官房長官は「翁長知事がマスコミの皆さんの前でそのような発言をすることが極めて残念だ。協議会とは全く違う」(23日付琉球新報)と、翁長氏の態度がメディアや市民の前と政府の前とでは「全く違う」と述べましたが、翁長氏はこれに反論できるでしょうか。

 記者会見での重大な事実の歪曲は2つあります。

 1つは、「多くの選挙を通して、普天間飛行場の県外移設を求める県民の民意が示されている」という発言です。
 これは「県内移設反対(断念)」と「県外移設」の意図的なすりかえです。再三述べてきたように両者の間には大きな違いがあります。「オール沖縄」の一致点は「建白書」にある「県内移設断念」であり「県外移設」ではありません。

 たとえば先の参院選で「オール沖縄」で当選した伊波洋一氏の選挙公約も「普天間飛行場を閉鎖・撤去し、辺野古新基地建設断念を求める」であり、「県外移設」とは一言も言っていません。

 「県外移設」は翁長氏の持論であり、現地の批判を浴びた馬毛島の視察(18日)にもつながるものです。それを県民の総意のように言う翁長氏の歪曲が一向に是正されないのは、「県外移設」に反対の日本共産党などが翁長氏に必要な指摘・抗議をしないからです。

 もう1つの歪曲は、「県外移設」よりもさらに悪質です。
 「日米安保体制というようなものを戦後71年間にわたって、それを支えてきた沖縄県民に何ら配慮もないまま、北部訓練場も強硬に入っていく」
 「沖縄県民は長年にわたり過重な基地負担に耐えながら日米安保体制に尽くしてきているにもかかわらず…」

 「沖縄県民」は戦後71年間、日米安保体制を「支えてきた」のでしょうか。日米安保体制に「尽くしてきている」のでしょうか。
 日米安保体制を信奉する翁長氏や保守・自民党にとってはそうかもしれません。 しかし、沖縄の革新勢力は、「過重な基地負担」の元凶はまさに日米安保(軍事同盟)体制だとして、一貫してその打破・廃棄へ向けてたたかってきたのです。「支える」「尽くす」とはとんでもありません。

 「高江」や「辺野古」の事態にかこつけて、まるで「沖縄県民」全体が日米安保体制に賛成かのように言うのは、歴史の事実を歪曲し、日米安保体制堅持の世論づくりを図ろうとするものと言わねばなりません。

 


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高江・辺野古ー翁長知事のダブル背信は許されない

2016年07月22日 | 沖縄・翁長知事

      

 安倍政権は22日、高江のヘリパッド工事強行、辺野古で新たな訴訟という2つの強権を発動しました。その節目になったのが、前日の11日に翁長知事も出席して行われた政府・沖縄県協議会(写真左)です。
 ここで翁長氏は、「高江」「辺野古」の両方で県民を裏切る背信的姿勢を示し、安倍政権の強権発動に暗黙のGOサインを出してしまいました。

 ★「高江ヘリパッド工事強行」に抗議どころか一言も触れなかったのはなぜか

 協議会後の記者会見で記者から、「高江では連日資材搬入が続いていて、地元の方々が不安に思っている部分もあると思うが、あえて取り上げなかった理由は」と聞かれた翁長氏は、こう答えました。

 「あえてということではない。こういった協議会が開催されるときには大臣もみんなそろうということもあるし、そろうということから時間的な制約もあるし、その前に今日までのいきさつや流れの中での質問ということです。ですから、私もそれは当然のことながら、日ごろ皆さん方と話し合いをしていますから、15分の中でそれを詰めるものもない中でフリー討論はちょっと考えにくいということだった」(22日付琉球新報「一問一答」)

 これを読んで意味が分かる人が何人いるでしょうか。支離滅裂とはこのことです。まるで答えになっていません。いかにまともに答えられないことを翁長氏がしたのかということを逆に示しています。

 唯一分かるのは「15分」という「時間的制約」があったと言いたいのだろうということです。そもそも政府が設定した時間にとらわれること自体問題ですが、この日の協議会は当初30分(双方15分ずつ)と予定されていたものが実際はそれより速く「20分近くで終わった」(同琉球新報)のです。「時間的制約」など真っ赤なウソです。

 しかも翁長氏は限られた時間の中で、「中国海軍軍艦の尖閣諸島接続水域侵入に対する対応について…引き続き万全の体制で取り組んでいただきたい旨申し上げた」(同琉球新報)と、中国脅威論を口実にした先島諸島への自衛隊配備強化を促すような要求を行ったと自ら明らかにしました。

 翁長氏にとっては「高江」よりも「尖閣」なのです。

 ★なぜ「辺野古・和解」の「有効性」を確認してしまったのか

 政府は22日の新たな訴訟は、「和解条項の趣旨に照らして」(菅官房長官)行ったと強弁しています。これは事実を偽るものです。

 「和解」(3月4日)は、第三者機関である「国地方係争処理委員会」が国または沖縄県の主張のどちらかを正しいとした場合に、その後双方が次の訴訟へ向かうという筋書きになっています。
 ところが係争処理委員会は国、県のどちらが正しいとも判断を下しませんでした。これは「和解」が想定していなかった事態であり、「和解」の筋書きはそれより先に進むことはできません。つまり「和解」はその時点で無効になったのです。

 にもかかわらず政府は新たな訴訟を起こしました。それは「確定判決」が出たあとは「和解条項第9項」によって、その後の知事の権限をすべて封じ、埋立工事を強行するという当初の戦略を推し進めるためです。

 これを阻止するには、まず「和解の無効」を宣言することです。その上で、埋立承認の「撤回」という強力な「知事権限」で安倍政権の暴挙を食い止めることです。(6月18日のブログ参照。http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20160618

 ところが翁長氏は協議会で、「和解条項が有効である」(菅官房長官)という確認をしてしまいました。菅氏が協議会後の記者会見で、「このことについて(翁長)知事に確認した」(写真右)「翁長知事から異存がないとの発言があった」(22日付琉球新報)と強調したのは、ここに政府の狙いがあったからです。

 翁長氏は引き続き安倍政権との「話し合い」などと言っていますが、「政府は、もはや対話による解決を放棄したと言わざるを得ない」(22日付沖縄タイムス社説)のは明らかです。さらに言うなら、「話し合いで解決する考えなど、はなからなかった」(同琉球新報社説)のです。

 翁長氏が「話し合い」というカムフラージュでこれ以上逃げることを許さず、「承認の撤回」をはじめ「あらゆる知事権限」を行使させることが今こそ必要です。


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緊迫!翁長知事は「高江」を見殺しにするのか

2016年07月19日 | 沖縄・翁長知事

    

 「高江」(写真中)の情勢が緊迫しています。
 安倍強権政権は米軍北部訓練場(高江など)でのヘリパッド建設を強行するため、11日に資材を搬入、19日から本土の機動隊員も送り込み1日百数十人規模で住民・市民の反対を押さえ、22日に着工する構えです。

 こうした情勢の中で、ヘリパッド建設に反対しない翁長知事に対し、住民・県民の批判が広がってきています。

 「翁長雄志知事に対し、工事に反対する市民からは12日、『ここに来て反対を言ってほしい』『早く対応策を発表して』などと、明確な工事反対表明を求める声が相次いだ」(13日付沖縄タイムス)

 「7月で反対運動開始から10年を迎えた『ヘリパッドいらない住民の会』の宮城勝己さん(63)=東村平良=は『ヘリパッド建設も新基地建設。自然を壊し、周辺住民の負担増になる。反対と言ってほしい』と願う。国からの訴訟や工事強行などを乗り越え、運動を続けており、『行政の長である知事がはっきり反対すれば、国へのけん制になる』と期待を寄せた」(同)

 琉球新報も社説(13日付)でこう主張しています。
 「翁長知事は民意を踏みにじるヘリパッド建設への反対を明確に打ち出してもらいたい。…県民の人権、北部の貴重な自然を守る立場から、毅然としてヘリパッド建設反対を表明すべきだ

 11日の資材搬入に対し、翁長氏が「容認しがたい」と述べたことで、あたかも翁長氏がヘリパッド建設に反対しているかのような報道(しんぶん「赤旗」)がありますが、それは事実に反しています。
 翁長氏が「容認しがたい」と言ったのは、「選挙で民意が示された数時間後に、用意周到にこういうことをやること」(11日の「一問一答」、12日付琉球新報)、つまり搬入の時期についてであり、翁長氏はヘリパッド建設には反対していません。

 それは同じ「一問一答」での翁長氏の次の発言でも明らかです。
 「SACO(日米特別行動委員会)合意を着実に実施することが本県の基地の整理縮小、地元振興につながる」(同琉球新報)。ヘリパッド建設を明記したSACO合意(1996年)実施の考えを重ねて表明したのです。

 しかしSACO合意で北部訓練場の一部返還の交換条件としてヘリパッド建設が盛り込まれたのは、「沖縄県や地元自治体、住民との協議の上で決まったわけではない」(13日付琉球新報社説)のです。

 「一部返還」も、翁長氏が言うように「基地の整理縮小、地元振興につながる」どころか、「(米軍が)自分たちがやりたい訓練をできるようにするための基地の再配置であり、負担軽減はまやかし」(「ヘリパッドいらない住民の会」伊佐真次東村議、19日付沖縄タイムス)です。

 あくまでもSACO合意の実施を求める翁長氏が、いかに住民・県民の声に反しているかは明白です。

 県議会(7月12日)でも、翁長与党の比嘉京子議員(社民・社大・結)が「ヘリパッド建設反対を打ち出すべきではないか」と迫ったのに対し、「知事は直接の回答を避け、謝花公室長が従来通りの答弁をするにとどまった」(14日付沖縄タイムス)。翁長氏は与党議員の質問からも逃げたのです。

 工事強行にあたって、安倍政権・沖縄防衛局は、反対市民の車両を実力撤去させる構えです。これについても翁長氏は反対どころか、市民に対する「文書通告」などを出して排除に手を貸そうとしています。(3月29日のブログ参照。http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20160329

 安倍政権が着工を強行しようとしている22日のまさに前日の21日、政府・沖縄県協議会が翁長氏も出席して行われます。この場で翁長氏がこれまでの態度を改めて「ヘリパッド建設反対」を表明しない限り、安倍政権は知事もGOサインを出したとばかりに着工を強行してくるでしょう。

 翁長氏はこのまま「高江」を見殺しにするつもりでしょうか。
 翁長与党・「オール沖縄」陣営はそれを黙って見ているのでしょうか。


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「平和宣言」で海兵隊の「撤退」を削除した翁長知事

2016年06月24日 | 沖縄・翁長知事

         

 「慰霊の日」の「沖縄全戦没者追悼式典」(県主催)で翁長雄志知事が行った「平和宣言」に対し、「人権と平和守る要求だ」(24日付琉球新報社説)などと、全面的に賛美する論調が蔓延しています。しかし、「平和宣言」の内容をリアルに検証するなら、それはとうてい評価できるものではありません。むしろ、重大な後退を指摘せざるをえません。

 「平和宣言」の中で翁長氏はこう言いました。
 「日米両政府に対し、日米地位協定の抜本的な見直しとともに、海兵隊の削減を含む米軍基地の整理縮小など…直ちに実現するよう強く求める」

 これに対し琉球新報は社説(24日付)で「海兵隊削減を『平和宣言』に盛り込むのは初めてだ」「19日の県民大会も海兵隊撤退を掲げた。『平和宣言』に盛り込むのは自然の流れだ」と手放しで評価しています。
 きわめて奇妙な論説です。県民大会決議が掲げたのは「海兵隊の撤退」。翁長氏が「平和宣言」で言ったのは「海兵隊の削減」。「撤退」と「削減」はまるで違います。その違いを承知の上で、翁長氏が「撤退」から「削減」に変えたことをなぜ見過ごすのでしょう。なぜ批判しないのでしょうか。

 翁長氏は「平和宣言」で、県民大会決議の「海兵隊の撤退」を、あえて「海兵隊の削減」に後退(変質)させたのです。

 21日の当ブログ(「『海兵隊の撤退』に背を向ける翁長知事」)でも書いたように、翁長氏は16日の記者会見で「『海兵隊の撤退』は『全面撤退』ではないと思う」と、県民大会決議の意味を後退させました。そして、大会当日の「あいさつ」ではさすがに「撤退」の言葉を省くわけにいかず、「海兵隊の撤退・削減」と述べ、2つを並列させました。そして「平和宣言」ではついに「撤退」の方を削除し、「削減」だけにしてしまったのです。

 「知事は内容を吟味した上で発する平和宣言で『撤退』ではなく『削減』という言葉を選んだ」(24日付琉球新報)と報じられています。「撤退」削除が翁長氏の深謀遠慮の結果だったことは明らかです。

 「海兵隊の撤退」要求は、「全面撤退」ではじめて一定の意味を持つものです。「削減」ではなんの力にもなりません。米政府ですらすでに在沖米軍海兵隊2万人のうち約9千人を「削減」してグアムなどへ移す計画を持っているのです。
 参院選に立候補している島尻安伊子氏(自民)と伊波洋一氏の「政策比較表」(22日付琉球新報)によると、「在沖海兵隊」の項目では島尻氏でさえ「削減すべき」と答えているのです。伊波氏の主張は「全て撤退すべき」です。翁長氏の主張がどちらの側に立つものであるか明らかでしょう。

 そもそも、県民の怒りの要求は、「基地の全面撤去」です。それが「オール沖縄」主催の県民大会決議で「海兵隊の撤退」に後退し、さらに翁長氏の「平和宣言」で「海兵隊の削減」になったのです。
 この変遷(後退)はきわめて重大であり、けっして容認できるものではありません。
 


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「海兵隊の撤退」に背を向ける翁長知事

2016年06月21日 | 沖縄・翁長知事

      

 19日の「県民大会」の大きな特徴は、タイトルと大会決議に「在沖米海兵隊の撤退」が入ったことです。

 在沖米軍の中で、海兵隊は兵力で6割、面積で7割を占めますが、これをすべて撤退させたとしても、嘉手納空軍基地はじめ重要な米軍基地は沖縄に残ります。「海兵隊の撤退」が「全基地撤去」の代わりにならないことは明らかです。

 同時にしかし、「海兵隊撤退」を「全基地撤去」の中の正しく位置付ければ、当面の措置として大きな意味を持つことも確かです。

 ところが、「県民大会」が決議した「海兵隊撤退」は、その意味が不明確であり、今後のたたかいの具体的な目標にはなりえていません。その状況をつくりだした張本人が、翁長雄志知事です。

 大会名や大会決議の「海兵隊撤退」と聞けば、おそらくほとんどの人が「海兵隊を沖縄から撤退させる」、すなわち「海兵隊の全面撤退」だと思うでしょう。それでこそ「海兵隊撤退」が意味を持ちます。本土のメディアもすべて「全面撤退」のつもりで書いているようです。
 ところが、翁長氏はそうではありません。県民大会への参加を表明した16日の記者会見で、翁長氏はこう述べました。

 「『海兵隊の撤退』という言葉もよく保守の方も使ったりする。『海兵隊の撤退』は『全面撤退』ではないと思う。整理縮小、みんな入っていると思う」(17日付琉球新報)

 そして大会当日の「あいさつ」で、翁長氏はこう述べました。

 「海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理縮小…に取り組んでいく不退転の決意をここに表明し、あいさつとする」

 「海兵隊の撤退」と言い切らず、あえて「撤退・削減」としたのです。

 さらに大会後の記者会見で、「知事として(海兵隊)全面撤退を求めるのではないのか」との質問に、翁長氏は、「私の立場は…普天間基地の県外移設、新辺野古基地は造らせない、オスプレイの配備撤回、以上だ」(20日付琉球新報)と答え、「海兵隊撤退」は「私の立場」ではないとしたのです。

 一連の発言で明らかなように、翁長氏は「海兵隊の撤退」、ましてや「全面撤退」には賛成ではないのです。翁長氏にとって「撤退」は「整理縮小」を含み、これまで「保守」も言っていた「削減」を意味するにすぎないのです。

 米国防総省筋は大会決議の「在沖海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小」について、「具体的に何を指すのか。(日米両政府の)現行計画のようにも受け取れる」(21日付沖縄タイムス)と述べていますが、まさに翁長氏の立場を見透かした発言と言えるでしょう。

 「今回『海兵隊の撤退』という踏み込んだ要求を大会決議に加えたのは、県民の怒りが限界を超え『妥協できない』という声が高まったから」(20日付沖縄タイムス社説)です。その「海兵隊の撤退」に背を向け、従来の枠内(「日米両政府の現行計画」内)の「削減」にとどまる翁長氏は、「限界を超えた県民の怒り」を代表するどころか、大会決議の意味を薄め、県民の怒りに冷水をかけるものと言わねばなりません。

 また、翁長氏は普天間基地の「県外移設」を「大会あいさつ」でも記者会見でも繰り返していますが、これは何度も言うように、「オール沖縄」の「建白書」(2013年1月28日)の「県内移設断念」とは違う勝手な主張です。共産党などが主張する「普天間基地の無条件撤去」にも反します。この違いはわめて重要で、けっして見過ごすことはできません。


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参院選・翁長知事と「オール沖縄」の約束はどうなったのか

2016年06月09日 | 沖縄・翁長知事

    

 沖縄県議選が終わって2日後の7日、「オール沖縄」で参院選沖縄選挙区に立候補する伊波洋一元宜野湾市長(写真中)の選挙事務所開きが行われ、参院選へ向けて動き出しました(写真左=8日付琉球新報)。
 ところが、この場にいるべき人の姿がありませんでした。翁長雄志知事です。

 「参院選で『オール沖縄』勢力が擁立する伊波洋一氏の支持母体の事務所が那覇市内に開設された。共同代表に就任した県選出国会議員らが出席し気勢を上げたが、予定していた翁長知事の姿はなかった」(8日付琉球新報)

 この日の「知事日程」は公表されていません。ということは公務はなかったということです。翁長氏はスケジュールの関係ではなく、あえて伊波氏の事務所開きには行かなかったのです。

 ただ欠席しただけではありません。
 事務所開きと同時に行われた支持母体(「参院選ひやみちか・うまんちゅの会」)の総会で7人の共同代表と3人の顧問、そして事務総長が決まりましたが、翁長氏の名前はどこにもありませんでした。

 これは、翁長氏と「オール沖縄」との間で交わされた約束に明らかに反する行為です。
 なぜなら、宜野湾市長選(1月24日)で、候補者に内定していた伊波氏を、翁長氏が強引に引きずり下ろし、代わりに息のかかった志村恵一郎氏(落選)を擁立した際、そのバーターとして参院選では翁長氏が伊波氏の選対本部長として選挙戦の前面に立つ、というのが、翁長氏と「オール沖縄」会派の約束だったからです。

 「知事側と県政与党の政党関係者らが面会し、『オール沖縄』の枠組みを来年7月の参院選まで維持することを確認した。元県議で知事選出馬経験もあり、全県的な知名度がある伊波氏を参院選、志村氏を市長選という形で決着を見た。伊波氏は志村氏の選対本部長、翁長知事は伊波氏の選対本部長を務める方向で調整しており、双方の連携を強化する考えだ」(2015年9月21日付琉球新報)

 「最終的に『市長選選対本部長は伊波氏、参院選本部長は知事』とのセット人選でようやく態勢が整った。『形の上では伊波氏を参院選で処遇する代わりに志村氏を受け入れるバーターになったが、これで「オール沖縄」で戦える』と地元選考委員の1人は話す」(2015年9月23日付沖縄タイムス)

 この約束(バーター)は、どこへ行ってしまったのでしょう。

 関連して、もう1つ奇妙なことがあります。「3人の顧問」の中に、「オール沖縄会議」共同代表の呉屋守将・金秀グループ会長(写真右の左端)の名前がないことです。
 ただないだけではありません。顧問には長浜徳松・沖縄ハム会長、當山智士・かりゆし社長とともに、金秀グループの古謝光弘副会長が名を連ねています。呉屋氏はあえて自分の代わりに古謝副会長を充てたとしか考えられません。

 呉屋氏は翁長氏の盟友。宜野湾市長選の敗色濃い昨年12月27日には、「伊波洋一さん、もしこの市長選を落とすことがあれば、あなたは参院選を降りる覚悟をここで示すべきではないか」(1月26日付琉球新報)と、伊波氏に責任転嫁しようとした人物です。

 翁長氏と呉屋氏は今回の県議選で、かつて自民党で翁長氏の側近グループ・新風会の仲松寛氏、山城誠司氏の2人を立候補させ、それぞれ「全面支援」(琉球新報)しました。しかし結果は2人とも落選(那覇・南部離島区)。

 「オール沖縄」の中でも日本共産党など「革新」が議席を増やし、新風会が共倒れした県議選の結果が、翁長氏や呉屋氏の「伊波選挙」に対する姿勢に影響を与えているとすれば、きわめて問題です。

 翁長氏は「伊波選挙」の前面に立つとした「オール沖縄」との約束にどう責任をとるのでしょうか。翁長氏や呉屋氏は参院選をどうたたかうつもりなのでしょうか。
 「オール沖縄」の実態が問われています。
 


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沖縄県議選結果は「翁長信任」ではない

2016年06月06日 | 沖縄・翁長知事

     

 5日投開票された沖縄県議選の結果について、翁長雄志知事は、「大勝利だ。1年半の県政運営にご理解いただけた」(6日付琉球新報)と述べました。メディアでも「翁長県政への信任」(6日付朝日新聞社説)だという論調が少なくありません。この評価ははたして妥当でしょうか。

 まず事実を確認しておきましょう。
 選挙の結果、県政与野党の勢力は次のように変わりました。県政与党(共産、社民、社大など)23→27、県政野党(自民など)14→15、中立8→6(6日付沖縄タイムス。写真中はNHKで、無所属の分類などでタイムスと多少違います)
 県政与党が4議席増やしたのは確かですが、政党別にみると共産党、社大党が各1増やし、社民党は8から6に減らしています。一方、翁長野党も1議席増やしています。「県政与党が引き続き過半数を堅持した」(6日付沖縄タイムス社説)という指摘が相当で、「県政与党が地滑り的な大勝を収めた」(6日付琉球新報社説)は過大評価と言わざるをえません。

 重要なのは、県政与党の議席増・過半数確保が、けっして翁長知事への「信任」を意味するものではないということです。

 第1に、県議選は立候補した政党・個人の政策の是非を問うものであり、けっして知事の「公約」や「1年半の県政運営」の是非を問うものではないということです。この点は知事選と明確に違うところです。

 それが、首長と議員を別々に直接選挙する地方自治の「二元代表制」の基本的特徴です。議会選挙の結果で自分の「公約」や「県政運営」が理解・信任されたとする翁長氏の主張は、「二元代表制」の原則を踏まえない我田引水と言わざるをえません。

 第2に、選挙の結果「辺野古新基地反対」の「民意」があらためて確認されたことは間違いありませんが、今回問題になったのは、「辺野古」にとどまらず、基地問題全体だったことです。

 県議選の最大の特徴は、なんといっても告示の8日前に米軍属女性遺棄事件が起こったことでした。「最も注目された論点はやはり米軍基地問題だった」(6日付琉球新報社説)、「相次ぐ事件・事故の発生によって県民の怒りはかつてないほど高まっており、それが選挙結果に影響したものとみられる」(6日付沖縄タイムス社説)とみるのは当然でしょう。

 では、今回の事件で「県民の怒り」は、どこへ向いているでしょうか。
 琉球新報・沖縄テレビ合同の世論調査(3日付)では、「沖縄からの全基地撤去」が42・9%で「在沖米軍基地の整理縮小」(27・1%)を大きく上回っています。さらに、日米安保条約は「破棄すべきだ」(19・2%)と「平和友好条約に改めるべきだ」(42・3%)を合わせると、実に61・5%の県民が日米軍事同盟としての日米安保条約の廃棄を求めています。これが世論調査に表れた沖縄県民の「民意」です。

 ところが翁長氏は、「全基地撤去」にも「日米軍事同盟の廃棄」にも賛成ではありません。「日米地位協定の改定」と「基地の整理・縮小」止まりです。こうした翁長氏の持論・政策が、今回の選挙でどうして「信任された」と言えるでしょうか。

 逆に、「辺野古」を除けば、「全基地撤去」「日米軍事同盟の廃棄」を求める県民世論と「翁長県政」はかけ離れる一方ではないでしょうか。八重山への自衛隊配備・強化、高江ヘリパッドも同様です。

 県議選を終えたいま、次の指摘はきわめて重要です。

 「議会も首長もそれぞれ住民が選ぶ『二元代表制』だ。協働ではなく、対等に競争する関係でなければならない。…議会はそもそも住民の多様な意見を代表する機関だ。…知事を支えるのか反対するのかで争うのではなく、どのような沖縄県をつくるかという点で議論するべきだ。…立法院の伝統を引き継ぐ県議会が自覚的に県知事と対等な緊張関係を築き、積極的に政策形成することを期待したい」(仲地博沖縄大学長、3日付琉球新報)

 「知事と対等な緊張関係」。まさにこれこそ「県政与党」=「オール沖縄」会派に今最も求められているものではないでしょうか。
 議会の質問権を放棄する(2015年12月9日)などのなれあいが言語道断なのはもちろん、「オール沖縄」の名の下に、言うべきことを言わない、主張すべき政策を主張しないことが、いかに民主主義に反し、県民に背を向けるものであるかを、あらためて銘記すべきでしょう。
 


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沖縄県議選でなぜ「自衛隊配備・強化」が争点にならないのか

2016年06月04日 | 沖縄・翁長知事

    

 あす5日は沖縄県議選の投票日です。「米軍普天間飛行場の返還、名護市辺野古への新基地建設の是非、日米地位協定の改定など、施政権返還から44年たっても変わらない基地問題」(5月26日付琉球新報社説)が問われることは間違いありません。

 しかしその一方で、きわめて重大な問題が争点としてクローズアップされないまま投票日を迎えようとしています。与那国、宮古、石垣の「先島諸島への自衛隊配備・強化」です。

 例えば、告示日にあたり県内の8政党(自民、公明、社民、共産、社大、生活、民進、おおさか維新)は「アピール」を出しましたが、その中で「自衛隊配備」に触れた党は1つもありませんでした(5月27日付琉球新報掲載分)。

 政党だけではありません。告示にあたっての琉球新報の社説(26日付)も「自衛隊」には触れていません。沖縄タイムスの社説(30日付)には「自衛隊配備」はありますが、「宮古や八重山では自衛隊配備の問題が重要な論点となっている」と「宮古や八重山」に矮小化しており、かえって問題です。

 先島諸島への自衛隊配備・強化は、日米軍事同盟の新ガイドライン(防衛協力指針)に基づくものであり、戦争法体制を進める安倍政権によって事態は切迫しています。それは与那国への陸上自衛隊配備強行(3月28日)や宮古島、石垣島の現状を見れば明らかです。
 にもかかわらず、沖縄にとっても日本全体にとっても重大なこの問題が県議選の争点になっていないのはなぜでしょうか。

 ここに翁長雄志知事をかつぐ「オール沖縄」の重大な問題があると言わねばなりません。

 翁長氏は今回の県議選の争点について、こう述べました。
 「やはり21世紀ビジョン。その中の第1番目の基地問題、アジア経済戦略構想、子どもの貧困」(5月27日付琉球新報)

 「21世紀ビジョン」とは、仲井真前知事時代に決定された「県のビジョン」です。その「基本計画」(2012年5月)で「基地問題」は、「第4章 克服すべき沖縄の固有問題」の中で「基地問題の解決と駐留軍用地跡地利用」として取り上げられていますが、そこでは基地の「整理・縮小を求めていきます」としているだけで、全基地撤去はありません。さらに、「21世紀ビジョン」の中に「自衛隊問題」は一切ありません。

 そもそも翁長氏自身、自衛隊配備・強化に反対ではありません。最近も中谷防衛相との会談(3月27日)で、与那国への自衛隊配備について、「地域住民の安全管理に万全を期していただきたい」(3月29日付琉球新報)と言うだけで、配備を容認する姿勢を改めて示しました。

 こうした翁長氏を戴く「オール沖縄」の県議選候補らは、当然のことですが、自衛隊配備・強化についての政策(見解)はバラバラです。
 県議選に立候補している「オール沖縄」の翁長与党は37人。その中で、「先島諸島への自衛隊配備」について、「全面撤去」を主張する候補は「革新」を中心に25人(68%)、「縮小すべき」が5人(14%)、「どちらともいえない」が7人(19%)です(6月4日付琉球新報の一覧表から分析)。
 
 つまり、「オール沖縄」候補の3分の2は先島諸島への自衛隊配備に「反対」であるにもかかわらず、翁長氏に同調する残り3分の1に引っ張られる形で、「自衛隊配備・強化反対」を前面に掲げることができない。琉球新報や沖縄タイムスも争点化していない。それが今回の県議選の構図ではないでしょうか。

 永年沖縄で平和活動に尽力している村椿嘉信牧師はこう指摘します。

 「辺野古の代替施設建設の問題ばかりに注目が集まる中、沖縄の軍事要塞化が加速しているのに気づかないなら、辺野古の新基地建設は阻止できても、危険はさらに増すだけだろう。…日米安保条約は容認するという翁長雄志県知事を先頭とするオールオキナワのたたかいの中で、『日米安保反対』とか、『自衛隊基地反対』の声があげにくくなっている。普天間飛行場の『県内移設』に反対するたたかいと、日米の軍隊による沖縄の『軍事要塞化』に反対するたたかい、また東アジア各地の『反戦平和』のたたかいを、いかに結びつけていくかが、今、まさに求められているのではないか」(「靖国・天皇制問題情報センター通信」2016年5月号)

 まったく同感です。

☆当ブログは前タイトル「私の沖縄日記」から通算して、今回が801回になります。お読みいただいた皆様に厚くお礼申し上げます。これからも私なりの「アリの一穴」ならぬ「一言」をめざして書いていきます。今後ともよろしくお願いいたします。
 


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沖縄米軍属女性殺害④オバマ大統領に会って何を言うのか

2016年05月24日 | 沖縄・翁長知事

    

 翁長雄志知事が23日安倍首相と会談した際、「オバマ大統領に直接話をさせてほしい」と発言したことが注目されています。
 翁長氏はオバマ大統領に会って何を言うつもりなのでしょうか。

 問題は会うか会わないかではなく、会って何を主張・要求するのかです。
 ところが肝心のその中身について、翁長氏は何も語っていません。ただ「県民の生命と財産、将来の子や孫の安心安全を守るため」という抽象的な「理由」を述べただけです。
 これでは「日本政府がそれに応じる訳がないと分かってのことだろう」(佐藤学沖縄国際大教授、24日付琉球新報)とみるのが当然で、政治的パフォーマンスであることは見抜かれています。

 仮にオバマ氏と直接話ができたとしても、その場で的確な主張をしなければ、意味がないどころか、かえって事態を誤った方向へ収束させるだけです。
 翁長氏はいま、オバマ大統領に何を言うできでしょうか。

 それは今回の事件によって沖縄県内に広がっている県民の切実な声、「沖縄に暮らす人びとの真に安全な社会を実現するため、沖縄から全ての基地・軍隊の撤退を求める」(「女性16団体要求書」5月20日)、すなわち沖縄からの全基地撤去にほかなりません。

 ところが翁長氏は、安倍首相との会談で、「全基地撤去」については一言も触れませんでした。
  琉球新報は社説(24日付)で、安倍首相と会談した翁長氏に対し、「物足りなさを禁じ得ない」として、こう指摘しています。「大統領との面会要求のほかは地位協定見直しを含めた『実効性ある抜本的対策』を求めたくらいだが、それだけで基地に由来する凶悪事件を根絶できないのは明らかだ。やはり全基地閉鎖要求に踏み込んでほしかった

 首相との会談後の記者会見でも、翁長氏に対し、「全基地撤去の声が高まっている」と水が向けられました。翁長氏はこう答えました。

 「県民がそういう気持ちを持つのは(理解でき)、私も県民の一人として思う。ただ政治は結果でもあるので。こういったこと等を踏まえた上で、今私たちが新辺野古基地は造らせない、普天間基地は県外移設だと訴えている。全県的に基地は要らないということは、そういったことを踏まえた議論の中で、やるべきだろう」(24日付琉球新報)

 例によって明瞭ではありませんが、要は、自分は「全基地撤去(閉鎖)」という主張はしない、ということです。20日の記者会見となんら変わっていません(22日の当ブログ参照)。

 いま、この時に、オバマ大統領に対しても、安倍首相に対しても、「沖縄から全ての基地・軍隊の撤退を求める」という県民の痛切な要求を突きつけることができない人物に、沖縄県知事としての資格があるでしょうか。


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