アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

朝鮮衛星打ち上げ・琉球新報の社説はどこが間違っているか

2023年11月24日 | 日米安保と東アジア
   

 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)が21日に衛星を打ち上げたことに対し、日本の新聞は23日付の社説で一斉に批判しました。その内容は金太郎飴で、いずれも根本的に誤っています(産経、読売、日経は論評外)。

 ここでは琉球新報の社説を取り上げます。沖縄の県紙として、誤りに気付いてほしいという願いを込めて(沖縄タイムスの23日付社説は別テーマ)。

 新報の社説のタイトルは「北朝鮮衛星通過 緊張と混乱を招く愚行だ」。要すれば論点は次の2点です。

「ミサイル技術を用いた衛星発射は国連安保理決議違反だ」

「東アジアに緊張をもたらし、県民生活に混乱を招く愚行をただちにやめるべきだ」「北朝鮮によって引き起こされる緊張激化は県民生活に悪影響を及ぼしている」

 について。日本政府の言い分そのままで、すべての新聞がまず言及するのはこの「安保理決議違反」です。これには2つ問題があります。
 第1に、安保理の決議は、軍事大国である自分たちのミサイル開発・使用を棚に上げて後発国の手を縛る典型的な二重基準だということです。まず自らのミサイルを放棄すべきです。核兵器と同じ構図です。

 第2に、衛星がミサイル技術を使っているからダメだというなら、原発はどうなのでしょうか。原発の「ウラン濃縮」「プルトニウム抽出」が容易に核兵器に転用できることは常識です。核兵器は制限しても原発は野放し。これも明らかに「大国」の二重基準です。核兵器同様、原発もなくさなければなりません。

 について。「北朝鮮によって引き起こされている緊張激化」というのは事実経過を無視した完全な誤りです。

 当ブログでは折に触れ再三述べてきたように、今日の朝鮮の衛星・ミサイル発射実験は、韓米軍事演習に対する対抗措置です。今ではそれに日本(自衛隊)が公然と加わり、日韓米軍事演習(写真中)に拡大しています。

 そもそも朝鮮が核兵器を開発するのは、アメリカが韓国、日本に核を持ち込み、朝鮮に核の脅しをかけていることへの対抗措置です。もちろんそうした核競争を肯定するのではありません。ここで言いたいのは、原因はどちらにあるのかということです。

 「東アジアに緊張をもたらしている」のは、アメリカであり、そのアメリカに軍事同盟で従属している日本、韓国です。この原因と結果を転倒させることは決定的な誤りです。

 そして、上記の誤りの根源とも言える問題があります。それは、朝鮮とアメリカが戦争中だという事実、すなわち朝鮮戦争(1950年~53年休戦協定)はまだ終結していないという事実・認識が完全に欠落していることです。

 朝鮮戦争は日本の朝鮮半島侵略・植民地化が根源であり、日本の敗戦後、アメリカ・ソ連両大国の分割占領によってもたらされたものです。

 そのアメリカが50年当時から核で脅しをかけ続け、隣接する韓国と軍事演習を繰り返し(朝米会談合意違反)、さらに日本まで公然と加担(参戦)してきた。それが朝鮮の根底にある危機感です。

 朝鮮は朝鮮戦争の終結(平和条約締結)を望んでいます。それに一貫して背を向けているのはアメリカであり、日本です。安倍晋三元首相は「(朝鮮戦争の)平和条約締結に反対」と言明しました。

 以上の琉球新報の欠陥・誤りは、繰り返しますが、日本のメディア全体の欠陥・誤りです。その根底には日本政府の「朝鮮敵視」「朝鮮民族蔑視」の感化があると言って過言ではないでしょう。

 朝鮮と同じく日本の侵略・植民地支配を受けた(受けている)歴史を持つ沖縄。少なくとも琉球新報、沖縄タイムスには、朝鮮戦争の歴史、その意味を踏まえ、それがいまだに終結していないという事実に立脚した論評を望みます。



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「旭日旗が再び朝鮮半島に」―日米韓合同演習で危機感

2022年10月17日 | 日米安保と東アジア
   

 先月30日と今月6日、日米韓合同軍事演習が日本海(韓国では東海)で相次いで行われました(写真中)。3ヵ国合同演習は5年ぶりです。これをめぐって、韓国ではユン・ソクヨル(尹錫悦)大統領府と第1野党の間で、激しい論争が起こっています。

 第1野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は7日、合同軍事演習について、「日本の自衛隊を軍隊として公に認める根拠になり得る」としたうえで、こう述べました。

「ユン・ソクヨル大統領が以前、『日本の自衛隊が有事の際に朝鮮半島に入ってくる可能性もあるが』と言ったことが現実化するのではないか懸念される」「国民は韓米日軍事同盟を望んでいない。朝鮮半島情勢にとてつもない危害を加える可能性があると考えているからだ」「国民の間では、このまま行けば再び局地戦が起きかねないという懸念がますます高まっている(8日付ハンギョレ新聞日本語電子版)

 ユン大統領の「有事の際に…」発言は、今年2月,大統領選のテレビ討論の中で飛び出したものです。

 イ代表は10日、このユン大統領発言に関連してさらにこう述べました。

韓国国民が容認できない自衛隊、日本軍が朝鮮半島に進駐(し)、旭日旗が再び朝鮮半島にかかる日、我々には想像できないが、そのようなことが実際に起こりうる」「日本は韓国に侵攻し、武力支配し、まだその侵略の歴史を明白に心から謝罪していない」(11日付ハンギョレ新聞)

 これに対し、大統領室の副報道官は11日、「北朝鮮の核ミサイルの脅威こそが北東アジアの直面する脅威だ」「日本の助けを借りることができるのであれば、当然軍事演習を通じて小さな隙も作らないことこそ大統領がすべきことだ」と反論しました(12日付ハンギョレ新聞)。

 イ代表の発言はきわめて妥当で重要な指摘です。
 
 かつて侵略戦争の文字通り旗印となった旭日旗。それが再び、侵略・植民支配した朝鮮半島にはためく。そんな悪夢のような光景は、けっして夢想ではありません。

 朝鮮半島だけではありません。海上自衛隊(護衛艦「きりさめ」写真右)は太平洋戦争で日本軍が侵攻し激烈な戦場となったソロモン諸島で、米軍との合同演習を行いました(8月8日)。自衛隊がソロモン諸島へ展開したのは初めてです。自衛隊は行動範囲を飛躍的に拡大しています。

 イ代表は「このまま行けば再び局地戦が起きかねない」と述べましたが、この危惧の背景には、日本がアメリカに加担した朝鮮戦争(1950年~)が「停戦」のままいまだに終結していないことがあります。この事実は日本ではあまりにも知られて(知らされて)いません。

 なによりも問題なのは、日米韓合同演習をめぐって韓国で上記のような激しい議論(政治的攻防)が起こっているのに、日本ではほとんど問題になっていない現実です。

 これは、韓国の「共に民主党」のように軍事政策をめぐって保守政権と正面からたたかう野党が存在しない、ハンギョレ新聞のような権力監視の役割を果たしているメディアがないという日本の現状を表していると言えるでしょう。

 日本でこそ、日米韓合同演習阻止、日米軍事同盟(安保条約)廃棄の声を上げていかねばなりません。旭日旗を再び朝鮮半島に翻させないために。


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戦後史画する岸田首相のNATO首脳会議出席

2022年07月01日 | 日米安保と東アジア
   

 NATO(北大西洋条約機構)首脳会議が6月30日終わりました。フィンランド、スウェーデンの加盟にトルコが賛成し、両国の加盟が確実になったことが大きく報じられました。確かにそれも見過ごせませんが、われわれ日本人にとって、そして東アジアにとって、もっと目を向けなければならないのは、岸田文雄首相が日本の首相として初めて同会議に出席(6月29日)したことです。

 これは戦後史に大きな汚点を残す政治的事件と言わねばなりません。なぜなら、日本国憲法が禁じる「集団防衛(軍事同盟)」を地球的規模に拡大するものだからです。

 今回NATOは「戦略概念」でロシアを初めて「最大かつ直接の脅威」と規定。中国についても、「我々の利益、安全保障、価値観への挑戦だ」という表現で初めて言及しました。
 そして、「インド太平洋地域での出来事は、大西洋地域の安全保障に直接影響を与える可能性があり、NATOにとって重要だ」と、「欧州」と「アジア」を結び付けました。

 岸田首相は出発前から、「この機会を捉えてNATOとの連携を新たなステージに引き上げたい」(25日記者団に)と意気込み、会議では「ウクライナは明日の東アジアだ」とNATOの新戦略に積極的に同調しました。

 この意味を、防衛大の広瀬佳一教授は体制側の視点からこう指摘します。
「日本などが初めて参加したのも、中国の脅威を念頭に、グローバル(地球規模)のパートナーとして重要性が増しているためだろう。…日韓や豪州、ニュージーランドとNATOとの協力が進むのは、日本の安全保障にとっても意味がある。日米同盟を中心としてきた日本多国間同盟同盟のマナーやルール、協力関係を学ぶ良い機会にもなるだろう」(6月30日の朝日新聞デジタル)

 自民党政権は「ウクライナ戦争」以前からNATOへの接近を図ってきました。その先頭に立ってきたのが安倍晋三元首相です。

 2013年、NATOのラスムセン事務総長(当時)が来日し、「共同宣言政治」を発表。「グルーバルな安全保障上の共通の課題について緊密に協力する」と表明しました。
 2014年には安倍首相(当時)がNATO本部で演説し、「中国の対外姿勢、軍事動向は我が国を含む国際社会の懸念事項」と中国を名指しで批判。NATOは「必然のパートナーだ」と強調しました。

 同じく2014年にNATOとの間で「パートナーシップ協力計画」を策定。18年、20年に2度改訂し、自衛隊とNATO軍の共同訓練・演習を深めてきました。
 2018年にはNATOに日本政府代表部を開設しました。(以上の経過は6月28日の朝日新聞デジタルより)

 こうして安倍晋三政権が敷いてきたNATOとの一体化路線を、岸田政権は「ウクライナ戦争」に乗じて、まさに「新たなステージに引き上げた」のです。

 NATOは有事即応部隊を現在の4万人から30万人に増強する方針です。その主力は米軍で、バイデン政権は今後欧州へ大きな力を向けざるをえません。その分、同盟国である日本への負担転嫁が増大するのは必至です。米戦略にとって日本がNATO首脳会議に出席した意味はここにあります。

 岸田首相のNATO首脳会議出席は、日本の軍事費膨張(まさにNATO並みのGDP2%)、自衛隊と米軍、さらにNATO軍との一体化、「敵基地攻撃」など集団的自衛権行使という憲法違反の軍事大国化を、さらに「新たなステージに引き上げる」出発点です。


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日米・韓米軍事同盟「拡大抑止」のごまかしと危険

2022年05月24日 | 日米安保と東アジア
   

 岸田文雄首相とバイデン米大統領は23日の会談で、中国を念頭に、日米軍事同盟の「抑止力・対処力」をいっそう強化するとしました。
 岸田氏は自衛隊の軍事力の「抜本的強化」、軍事費の「相当増額」を表明。バイデン氏は「核戦力」「通常戦力」による「抑止力」を日本にも広げる「拡大抑止」を強調しました。
 バイデン氏は21日の韓国ユン・ソクヨル(尹錫悦)大統領との会談でも朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を念頭に、「拡大抑止」を主張しました。
 そして両会談で、日韓米の軍事的連携強化が確認されました。

 こうしてウクライナ情勢に乗じて、日米・韓米両軍事同盟が侵略(戦争)を「抑止」する効果があるかのように喧伝して軍事力強化が図られようとしています。
 これは軍事同盟の本質を真逆に描くまったくのごまかしです。軍事同盟は紛争・戦争を「抑止」するどころか、逆にそれを誘発するものです。

 バイデン氏がユン氏との会談で合意した韓米軍事同盟強化の中心の1つは、合同軍事演習の強化です。ムン・ジェイン(文在寅)前政権は合同演習を縮小してきましたが、ユン政権は大きく方向転換しようとしています。

 韓米合同演習の強化は朝鮮に対するアメリカの明白な背信行為です。なぜなら、トランプ前大統領はキム・ジョンウン(金正恩)氏とのシンガポール会談(2018年6月12日)後の記者会見で、「米韓演習は挑発的。中止により多額の費用を節約できる」(同6月13日付共同通信)と言明していたからです。

 合同軍事演習の強化は朝鮮に対する挑発にほかなりません。韓米軍事同盟が「抑止」どころか紛争・戦争を誘発する危険なものであることが端的に示されています。

 バイデン氏は岸田氏との会談後の記者会見で、「台湾防衛のため軍事的関与の用意があるか」と聞かれ、「ある」と明言しました(写真右)。これは中国・台湾の問題にアメリカが軍事的に介入する意向を公言したもので、きわめて重大です。

 アメリカが台湾問題に軍事的に関与すれば、日本も自衛隊を出動させる、というのが日米軍事同盟です。「抑止」どころかアメリカの軍事戦略・覇権主義に日本を巻き込む。それが日米軍事同盟の本質でありアメリカの本音です。

 核兵器禁止条約第1回締約国会議が来月、オーストリアで開催されます。同国のシャレンベルク外相は共同通信との会見で、「「ロシアの核戦力が(米欧をけん制し)ウクライナ侵攻を容易にした」と述べ、核兵器による抑止力が侵攻の道を開いたと指摘した。核抑止が安全保障に資さないことの証明だとして「軍縮の重要性がかつてなく高まっている」と強調した」(16日付中国新聞=共同電)と報じられています。

 「核抑止力」が逆に軍事侵攻に道を開いたという同外相の発言は、バイデン氏や岸田氏が強調する「拡大抑止」の虚構性を指摘したものと言えるでしょう。

 「核抑止」が虚構であるように、「軍事同盟抑止」も虚構です。
 「核抑止」論の虚構性・まやかしが非核勢力・非核運動の中で明確になってきているように、「軍事同盟抑止」論のごまかし・誤りを国際世論にしていく必要があります。ウクライナ情勢に乗じて各地でアメリカを中心とする軍事同盟の拡大・強化が図られようとしている今、それは焦眉の課題です。

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「台湾有事」煽り、戦争態勢づくり急ぐ安倍・自民

2021年12月28日 | 日米安保と東アジア

    
<南西諸島に攻撃拠点 米軍、台湾有事で展開 住民巻き添えの可能性 日米共同作戦計画原案>(24日付沖縄タイムス)
 24日付の地方紙各紙(共同電)は衝撃的でした。
「自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画の原案を策定したことが分かった」(同)

 この記事と歩調を合わせるように、26日のNHKスペシャルは、「台湾海峡で何が~米中“新冷戦”と日本~」と題し、「米中対立のはざまで日本は何ができるか」と、自衛隊の動向をなどを報じました。

 にわかにクローズアップされてきた「台湾有事」。拍車をかけたのは、安倍晋三元首相です。安倍氏は今月1日、台湾の民間シンクタンクが主催したシンポジウムで、オンラインの基調講演を行い、こう述べました。

「台湾への武力侵攻は日本に対する重大な危機を引き起こす。台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある。この点の認識を(中国の)習近平(シーチンピン)主席は断じて見誤るべきではない」(1日の朝日新聞デジタル、写真中)

 この安倍発言に対し、中国外務省は当然、「「強烈な不満と断固たる反対」を表明。「外交ルーとトを通じて厳正な申し入れをした」と、強く反発」(同)しました。

 「台湾有事」を煽っているのは安倍氏だけではありません。“安倍チルドレン”の高市早苗自民党政調会長も19日、「日本李登輝友の会」主催の都内でのイベントで講演し、「台湾を守るため、地域の安定のために国家として一丸となって取り組む必要が非常に強くなっている」(19日の朝日新聞デジタル)と語りました。

 さらに、「「個人的見解」と前置きしたうえで、「台湾海峡危機に備えた日米共同作戦計画の策定」や「同志国による共同訓練の実施」の必要性に言及」(同)しました。24日付の共同配信記事が報じた「台湾有事」を想定した「日米共同作戦計画原案」はまさに高市氏が「必要」と強調したもので、それは「個人的見解」などではなく、すでに政府・防衛省による公式の「計画案」となっているのです。

 安倍氏や高市氏に煽られ、自民党防衛族、現役・退役自衛隊幹部は、「台湾有事」を想定した動きを強めています。

 26日のNスぺによれば、「日本戦略研究フォーラム」なる組織が、浜田靖一元防衛相ら防衛族や元自衛隊幹部による「台湾有事」を想定した「机上演習」を2日間にわたって実施。「重要影響事態段階で自衛隊に何ができるか」「どの段階で住民を避難させるのか」などを実戦さながらに演習しました(写真右)。

 また、北海道・旭川の陸上自衛隊第2師団(8000人)は、「台湾有事」を想定し、北海道から九州まで、民間の船舶や運送会社を利用して部隊を九州まで移動させる演習を行いました。

 自民党や自衛隊のこうした策動は、「台湾有事」を煽り、日米軍事同盟(安保条約体制)の強化、軍備拡張、戦争法(安保法制)による集団的自衛権行使を図るものであり、その犠牲をまともに受けるのが、沖縄市民であることは言うまでもありません。

 この妄動の中心にいるのが安倍晋三氏です。そもそも岸田文雄政権は、安倍派によってつくられた“安倍傀儡政権”であるうえ、自民党の政策立案責任者である政調会長に高市氏を、防衛相に実弟の岸信夫を据えるなど、安倍氏は政府・自民党の軍事政策部門を直接押さえています。

 東アジアの平和にとって、日米軍事同盟は大きな障害物です。日本が進むべき道は、軍拡・軍事同盟路線ではなく、非同盟・中立による平和外交です。
 それに真っ向から逆行する安倍氏を中心とする戦争態勢づくりは絶対に阻止しなければなりません。


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ミャンマー・軍隊・「4・3事件」

2021年04月03日 | 日米安保と東アジア

    

 クーデターを起こしたミャンマー国軍と治安部隊による市民の弾圧・虐殺は収まるところを知らず、多くの子どもも犠牲になっています。市民は不服従運動(CDM)という非暴力の抗議行動を続けており(2月28日のブログ参照)、国軍はこの不服従運動に「いらだちを募らせている」(3月28日付共同配信)と報じられています。市民の非暴力の抗議行動に対する暴力・武力による弾圧は絶対に許されません。

 一方、ミャンマー国軍を「批判」する側の言動にも、けっして看過できないものがあります。それは「日本や米国など12カ国の参謀総長ら軍トップが「ミャンマー国軍と治安部隊が、非武装の市民に軍事力を行使したことを非難する」との共同声明を発表した」(3月29日付共同配信)ことです。

 「共同声明」(3月28日)を発したのは、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、デンマーク、ギリシャ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国の軍トップで、日本は山崎幸二統合幕僚長が名を連ねています。「声明」の全文は次の通りです。

「我々はミャンマー国軍と関連する治安機関による非武装の民間人に対する軍事力の行使を非難する。およそプロフェッショナルな軍隊は、行動の国際基準に従うべきであり、自らの国民を害するのではなく保護する責任を有する。我々はミャンマー国軍が暴力を止め、その行動によって失ったミャンマーの人々に対する敬意と信頼を回復するために努力することを強く求める」(統合幕僚監部のサイトより)

 「軍隊は…国民を…保護する」。よくも言ったものです。他国の詳しい実情は知りませんが、少なくとも日本に関しては、これは大ウソです。
 
 帝国日本「天皇の軍隊」が、「国民を保護する」どころか、住民を戦闘に巻き込み、避難壕から追い出し、集団強制死させたのが沖縄戦の実相です。軍隊は住民を守らない。守らないどころか死に追いやる。それが沖縄戦の最大の教訓と言っても過言ではありません。
 また、敗戦が確実になると、中国大陸では満蒙開拓団など「日本国民」を置き去りにして軍隊(関東軍)がさっさと逃げ帰ったことも想起されるべきです。
 その「天皇の軍隊」を思想的にも人脈的にも忠実に継承しているのが自衛隊です。現に、基地拡大を図っている沖縄・宮古島の自衛隊は、戦闘時には「島民は守れない(守らない)」と公言しています。

 軍隊は「国民を保護する」どころか、国家権力の都合次第で「国民」を踏みにじり牙をむく。それが軍隊の本質です。ミャンマー国軍の姿はその本質を露呈したものといえるでしょう。だからこそ12カ国の軍トップは、その本質を覆い隠し、軍隊への「敬意と信頼」を確保する必要に迫られ「共同声明」を出したのでしょう。

 きょう4月3日は、韓国・済州島で住民への大虐殺が行われた「4・3事件」(1948年)から73年です(写真右は済州島の平和公園の碑)。「4・3事件」は、「祖国分断に抗って蜂起した祖国統一のための”抗争“」(金石範氏『済州島4・3事件の記憶と文学』平凡社ライブラリー)であり、植民地宗主国だった日本は様々な意味で深く関係しています(2020年4月2日のブログ参照https://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20200402)。
 「4・3事件」で見落としてはならないのは、住民大虐殺の背後にアメリカ軍の存在があったことです。軍隊は抵抗する住民を平気で虐殺する。それが「4・3事件」の教訓の1つです。

 主権在民が民主主義だとすれば、軍隊は民主主義と絶対に相容れない存在です。その本質を隠ぺいして軍隊への「敬意と信頼」を図ろうとした日本・各国の軍トップの「声明」とは逆に、国家権力の武力による市民弾圧をなくするために、軍隊(自衛隊)を解体し非武装の世界へ向かうことこそ、ミャンマーの事態から私たちがくむとるべきことではないでしょうか。


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3・1「朝鮮半島永世中立化宣言」に呼応して

2021年03月01日 | 日米安保と東アジア

    
 3月1日は韓国では「三一節」という祝日です。1919年のこの日、日本の侵略・植民地支配に抗して朝鮮半島の人々が民族の独立を求めて立ち上がった「3・1独立運動」の記念日です。人々は「独立宣言文」を掲げ、非暴力の運動を各地で繰り広げましたが、日本(総督府)は軍隊・警察を出動させ、放火・虐殺でこれを弾圧しました。

 その「独立宣言文」が読み上げられたソウルのタプコル公園(写真左は同公園内の「独立宣言」碑)で、102年後の今日、朗読イベントがあります。朗読されるのは「独立宣言文」ではなく、「朝鮮半島永世中立化宣言文」です。

 ハンギョレ新聞(2月24日付)によれば、同「宣言文」を起草したのは、昨年6月25日(朝鮮戦争勃発の日)に創設された「朝鮮半島の中立化を推進する人々」(中推人)で、イ・ヒョンベ常任代表(写真中、同紙より)らが朗読します。イ氏は朴正煕政権時代に民主化をたたかった「民青学連事件」(1974年)に連座した1人です。

 「宣言文」はこううたっています。

朝鮮半島の中立化だけが、統一を妨げる相互不信と軍事的対峙という障害を解消し、周辺大国の利害関係から始まった抑圧の手綱を断ち切る唯一の道だ。(中略)中立化の道は、単にわが民族の生存だけのためではなく、米国や中国、ロシア、日本などを含む近隣諸国の共同利益にも合致する」(2月24日付ハンギョレ新聞より)

 「中立化」とはどういうことでしょうか。

「簡単に言えば他国の戦争や紛争に介入しないことだ。国際法上、中立国は自衛目的でないいかなる戦争にも参加せず、自国を戦争に引き込むかもしれないいかなる協定も締結してはならない。欧州のスイスやオーストリア、南米のコスタリカなどが代表的な中立国だ。大韓帝国の高宗も日露戦争を控え、中立化を宣言したが、朝鮮半島を狙っていた大国たちはこれを認めなかった」(同)

 「中立化の具体的経路は?」との質問に、イ氏はこう答えています。

1段階は南北の同時中立化宣言です。その次に、南北国家連合を構成して中立化と統一に備える協議を行います。最後に南北と米中など、朝鮮戦争における主交戦国が平和会談を開き、中立化などを含む平和条約を一括妥結します」「南北の人々が大同団結し、大衆運動で中立化を成し遂げてこそ、核問題も解決できます」(同。写真右は2018年4月27日の南北首脳会談)

 「「韓米同盟」がいわゆる国是とされる韓国で、軍事同盟を否定する中立化に現実性があるのか」という質問に、イ氏はこう答えています。

中立化に進む最大の困難は、韓国で人々の意識を(中立化の方に)団結させることです。次に、北朝鮮の人たちに協力を求めることです。その次が外国勢力です。内部勢力に力があれば、外国勢力の問題は解決できます

 イ氏は「多くの韓国人が「停戦麻痺」状態に陷っている」とも語っています。
「朝鮮戦争(1950~53年)の停戦協定後、韓国人たちは日々(停戦協定体制に)縛られて生活しています。にもかかわらず、人々は幸せに暮していると錯覚している。私が今やっているのは、この麻痺状態を壊すことです」

 「中推人」は今後若いメンバーを増やし、アメリカやドイツに支部を置き、運動を広げる計画です。

 上記のイ氏の言葉で、「韓米同盟」を「日米同盟」に、「停戦麻痺」を「日米安保麻痺」に置き換えれば、そっくり日本にあてはまるのではないでしょうか。

 日米安保=軍事同盟体制が「国是」とされ、人々はその下で「幸せに暮らしている」と思っている。しかし、それはアメリカの核戦略の中の「錯覚」にすぎない。その「麻痺状態」を壊して、いかなる戦争にも参加しない、軍事同盟にも加わらない中立国となる。それこそが日本と近隣諸国の「共同利益」に合致する道であり、「団結」すればそれは可能である―。

 日本の植民地支配からの独立に立ち上がった「3・1」に、韓国で「朝鮮半島永世中立化宣言」が行われる意味はきわめて大きいものがあります。植民地支配に歴史的責任を負う私たち日本の市民は、この「宣言」に呼応して、今こそ日米安保条約を廃棄し、「日本永世中立化宣言」をおこない、朝鮮半島の人々と手をとりあって、その道へ踏み出そうではありませんか。

 

 




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官邸は前日から知っていた!Jアラートは憎悪あおる道具

2017年09月16日 | 日米安保と東アジア

     

 15日午前7時0分、東日本の12道県にまたしての「Jアラート」のけたたましい音が鳴り響き、市民を混乱させました。前回(8月29日)批判が噴出したことから「頑丈な建物」の「頑丈な」は削除したものの、「建物の中、または地下へ避難してください」の文言は変わらず、市民は戸惑うばかりです。

 ところで、前回の「Jアラート騒動」が安倍政権が仕組んだ芝居だったことは先に指摘しましたが(8月31日のブログ参照http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20170831)、今回もまったく同じ作為であったことが明らかになりました。

 16日午前8時放送の日本テレビ系列「ウェークアップ」で、日本テレビ政治部国会・官邸キャップの青山和弘記者がこう述べました。
 「官邸はおととい(14日)午後から(ミサイル発射の)情報をつかんでいました。ある(官邸)職員などは(長引く対応に備えて)下着を買いに行ったほどです」

 安倍政権とは昵懇の読売・日テレの官邸キャップがテレビで公言したのですから、まさかウソではないでしょう。

 韓国の文大統領も、「14日の時点で北朝鮮のミサイル発射の兆候があるとの報告を受け」ていたといいます(15日の「報道ステーション」)

 安倍政権は、前日から「ミサイル発射」の情報をつかんでいながら、国民にはそれをひた隠しにし、ミサイル発射(6:57)から3分後にJアラートを鳴らして市民を混乱させたのです。前日から分かっていたのですから、その時点で国民に情報を示していれば大騒ぎする必要はありませんでした。
 しかも政府は、ミサイル発射直後にはその軌道を把握できるのですから、12道県をJアラートの対象にする必要などありません。
 だいいち、Jアラートが鳴って(7:00)ミサイルが上空(宇宙空間)を通過(7:04~06)するまでのわずか4~6分で、どこへ避難しろと言うのでしょうか。

 Jアラートは、市民を混乱させるだけで、実際には何の役にも立たない無用の長物です。

 ではなぜ安倍政権は懲りずに「Jアラート騒動」を演出するのでしょうか。それは市民に対し、「いい加減にしてくれ」「怖い」(テレビで流された市民の声)という感情を引き起こし、「北朝鮮の脅威」を掻き立て「憎悪」をあおるため以外の何ものでもありません。

 15日の日韓首脳電話会談で、安倍首相が「日本国民は強い憤りを覚えている」と国民感情を持ち出して文大統領に「北朝鮮への制裁強化」の同調を求めたことに、その狙いが端的に示されています。(写真中)

 それが教育現場にまで及んでいることはきわめて重大です。子どもたちはJアラートが鳴った時に備えるとして、防空頭巾をかぶった避難訓練をさせられています(写真右)。テレビ局「北朝鮮はこわい」という子どもたちの声を意図的に流しています。

 こうした状況はまさに70~80年前の帝国日本の再現であり、きわめて危険です。

 「第2次世界大戦中は「空襲から逃げるな。消火せよ」と求められ、バケツリレーをしないと非国民扱いされた。国が恐怖や不安を利用して政策を進め、国民の思考が止まった、かつての構図が復活しかねないと心配している」(水島朝穂早稲田大教授、15日付中国新聞)

 こうした安倍戦略に手を貸しているのが、日本のメディアです。

 新聞各紙は16日付1面でも、「ミサイル日本通過」の大見出しを立てました。「日本通過」とは日本の領空侵犯を意味し、北朝鮮が日本の主権を侵したことになります。しかしミサイルは宇宙空間を通過したのであり、領空侵犯ではありません。「日本通過」は明白な誤りです(8月31日のブログ参照)

 今回政府は、当初エムネット(内閣官房から地方自治体への緊急専用回線)で「我が国の領域に侵入」(15日午前7時25分)と流しましたが、3時間後に「修正いたします」(午前10時12分)として「領域に侵入」を削除しました。さすがにウソを通すことができなかったのです。

 ところが、その経過を十分知っている報道機関が、翌日の新聞でまたしても臆面もなく「日本通過」と報じたのです。前回は「知らなかった」という無知が言い訳になったかもしれませんが、今回はそうはいきません。明らかに意図的に「日本通過」と報じたと言わざるをえません。

 安倍政権と呼応し、ウソの大見出しで北朝鮮の「脅威」をあおる(創作する)日本のメディア。報道に携わる者にあるまじき言語道断の権力迎合、腐敗・堕落と言わねばなりません。


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「安倍さんこそ、脅威」―室井佑月さんの勇気ある卓見

2017年08月28日 | 日米安保と東アジア

     

 日本の政界、言論界、メディアが異口同音に「北朝鮮の脅威」を喧伝する中、たいへん注目されるコラムが、27日付の琉球新報1面に掲載されました。筆者は作家の室井佑月さん(写真左は同日の琉球新報より)。
 「真っ先に考えてー米追随の脅威」と題した室井さんのコラムを全文転記します。

 米国が北朝鮮を先制攻撃した場合、阻止に動く。北朝鮮が米国を先制攻撃した結果、米国が報復措置として武力を行使したとしても、中立を保つ。そして、半島有事の際には、米朝どちらにもくみせず、ロシアと協調すると、中国は共産党機関紙を使って宣言した。

 この国もそうしたらいいのに。同盟国の米国が北朝鮮を先制攻撃しないよう説得し、北朝鮮が米国を先制攻撃し、その報復で米国が武力行使したとしても中立であると決め、半島有事が絶対に起きないよう、米朝どちらにもくみせず、この国同様、被害を受けそうな韓国や中国と連携することは難しいことなのか?

 トランプさんと金正恩さんの挑発合戦を、西側諸国だけでなく、共産国のトップだって、非難している。安倍さんだけかも、トランプさんをむやみに支持しているのは

 10日の閉会中審査で、小野寺防衛相は北朝鮮がグアムに向かってミサイルを発射した場合、この国の存立危機事態に当たると言った。よって集団的自衛権行使が可能になると。
 北朝鮮のミサイルが、この国の上空を通過し、グアム沖30~40㌔に着弾したところで、今すぐに米国がどうなるわけでも、この国がどうなるわけでもない。

 こういうことをいうと、「いいや、この先、北朝鮮が米国本土に届くミサイルを開発したら大変だ」という人がいる。そして「米国が北朝鮮の脅威にさらされるということは、日米同盟を結び、米国の核の傘に守られているこの国にとっても脅威なのだ」と。

 しかしあたしは、日米同盟を守るため、今すぐにでもこの国が米国と一緒に戦わなくてはならなくなるほうが脅威なのだ。なので、トランプさんと一緒に拳を振り上げる安倍さんこそ、脅威

 この国のリーダーなら、トランプさんに頭を撫でてもらうことより、この国の国民が犠牲にならないことを真っ先に考えてほしい。権力の私物化、自分だけ、お仲間だけの、彼に言っても無理ですか?    (8月27日付琉球新報1面「日曜の風」より。太字は引用者)

 室井さんの発言の中でもっとも注目したのは、「日米同盟を守るため…米国と一緒に戦わなくてはならなくなるほうが脅威なのだ」という指摘。これこそ日米軍事同盟=日米安保体制の本質です。
 そして室井さんが言う「米国が武力行使したとしても中立であると決め」とは、日米安保条約を廃棄して非同盟中立の日本をつくることにほかなりません。日米安保条約第10条は、「いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後一年で終了する」と明記しています。

 安倍政権に批判的な司会者やコメンテーターが次々番組から降ろされている中、テレビ出演も多い室井さんが公然と鋭い安倍批判を行うことは勇気がいることでしょう。

 朝鮮に対する差別と偏見、日米安保体制(軍事同盟)タブーが蔓延している状況は、朝鮮半島と日本にとっての危機です。室井さんの見識と勇気に、多くの識者・言論人・メディアが続くことを望みます。


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「北朝鮮の脅威」煽って過去最大の軍拡強行

2017年08月26日 | 日米安保と東アジア

     

 防衛省は来年度予算の概算要求で過去最大の大軍拡予算を計上します。主な特徴を挙げてみます。

★総額5兆2551億円(過去最大、17年度当初予算比2・5%増)
★地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」(2基で1600億円。しかし「事項要求」として金額示さず
★最新鋭ステルス戦闘機「F35」(6機、881億円
★改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」(472億円
★垂直離着陸輸送機オスプレイ(4機、457億円
★地対空誘導弾パトリオット「PAC3」改良型「PAC3MSE」(205億円
★弾道ミサイル探知新方式自記警戒管制レーダー(MIMO)開発費(196億円
★現行の自動警戒管制システム改修(107億円
★南西警備部隊の施設整備(552億円
★「島しょ防衛用高速滑空弾」研究費(100億円
★自衛隊初の宇宙部隊創設に向けた監視システム詳細設計(44億円

 こうした巨額の予算(市民の血税)が投じられる装備品はほとんどアメリカからの購入です。社会保障予算が圧迫される(たとえば医療・介護保険制度見直し)の一方で強行される大軍拡。市民の批判を避けるために振りまかれているのが「北朝鮮の脅威」にほかなりません。
 それは産経新聞や読売新聞だけでなく、あらゆるメディアに浸透しています。

 「弾道ミサイルの発射実験を繰り返す北朝鮮は、アジア・太平洋地域の平和と安定に対する脅威となっている。日本への攻撃に備え、防衛力を適切かつ効率的に整備することに異論はない」(25日付東京新聞社説)
 「弾道ミサイル発射で世界を威嚇し続ける北朝鮮の挑発行為は非難されて当然である」(26日付琉球新報社説)

 安倍政権の思うつぼです。一方、外国識者の目はもっと冷静で客観的です。

 「北朝鮮は、グアムから飛来して自分たちの領空近くで実施される米軍爆撃機による演習が、空爆という実戦行動にいつ転化してもおかしくないと受け止め、極度に警戒している」「北朝鮮は…朝鮮戦争休戦協定の平和協定への転換や、核兵器の相互削減や軍備管理、在韓米軍の撤収、または地域の平和維持軍として地位変更などを議論しようとしているとみられる。非核化は強制されるのではなく、核兵器が必要のない安全保障環境になれば、自らの判断で廃棄するという主張だ」(元韓国大統領政策諮問委員・董龍昇氏、16日付中国新聞=共同配信)

 北朝鮮の1回目の「ミサイル発射」が1993年。その18年前の1975年にはすでに米韓合同軍事演習は始まっています(21日のブログ参照 ttp://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20170821)。どちらが「挑発」しどちらが「脅威」かは明白です。

 日米両政府とメディアが振りまく作為的な「北朝鮮の挑発・脅威」論が、過去最大の軍拡の隠れミノになり、日本・東アジアの平和と市民の暮らしを脅かしている事実を、私たちは直視する必要があります。

 


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