牛込・神楽坂 酒問屋 升本総本店の別館「涵清閣」 主人が語る

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私小説の極北、に新川や白鷹が登場していました@嘉村礒多「業苦」

2017-03-01 12:01:29 | 新川大神宮と新川
                           
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こんにちは! 新川通信です。




なんてことをやっていると、問屋仲間から色々新川情報が集まってくるようになりますが、今日は、


こちら


自分より10日くらい年下ながら、業歴は倍以上ある先輩から頂きました。


朝日新聞で連載されている「東京 物語散歩」
都内各地を舞台とする文学作品を紹介しているコラムのようです。

今回のテーマは、

嘉村礒多「業苦」~中央区・新川跡周辺 /東京都

 歌声響く運河と裏腹な憂愁  中央区新川は日本橋川、亀島川、隅田川という3本の川によって区切られたエリアになります。新川1丁目には、かつて新川が流れていました。。。。



まさに、どストライクの新川ネタですね。

しかし、嘉村礒多という名前、久しぶりに見ましたよ。

文学史とかで名前は何となく知っていましたし、ちょっとマニアック系の講談社文芸文庫にも出ていますよね。

こちら

個人的にあまり好きではない、私小説の人ですね。


このコラムで紹介されている短編「業苦」ですが、主人公の職場が酒類の情報を扱う新聞社ということで、新川が舞台になっているようです。


敢えて本を買う気はしなかったのですが、なんと!kindle(や青空文庫j)などで無料で読めるではないですか。



読んでみました、、、、、、、、、、、、、、、、、、、




暗い、、、、、、、、、








あらすじなどはコラムでも紹介されているのですが、暗すぎるので、酒関連の記載を抜粋してみましょう。


冒頭はこうです

 只、かりそめの風邪だと思つてなほざりにしたのがいけなかつた。
たうとう三十九度餘りも熱を出し、圭一郎は、勤め先である濱町の酒新聞社を休まねばならなかつた。


なるほど、浜町にあった酒の新聞社ですね。

逞しい鍾馗髯を生やした主人は色のあせた舊式のフロックを着てゐた。これから大阪で開かれる全國清酒品評會への出席を兼ねて伊勢參宮をするとのことだつた。猶それから白鷹、正宗、月桂冠壜詰の各問屋主人を訪ひ業界の霜枯時に對する感想談話を筆記して來るやうにとのことをもいひつけて置いてそしてあたふたと夫婦連で出て行つた。

品評会のことや、白鷹、正宗、月桂冠が実名報道されています。

ここからしばらく、実家の妹からの手紙の話になり、底抜けに暗い部分が続き、ようやく箸休め的な叙事的な部分となります。

南新川、北新川は大江戸の昔から酒の街といつてるさうだ。その南北新川街の間を流れる新川の河岸には今しがた數艘の酒舟が着いた。滿潮にふくれた河水がぺちやぺちやと石垣をなめる川縁から倉庫までの間に莚を敷き詰めて、その上を問屋の若い衆達が麻の前垂に捩鉢卷で菰冠の四斗樽をころがし乍ら倉庫の中に運んでゐるのが、編輯室の窓から見下された。

昭和3年の小説ですから、まだ新川が埋められずにあった頃です。


圭一郎は社を早目に出て蠣殼町の酒問屋事務所に立寄つて相場を手帳に記し、それから大川端の白鷹正宗の問屋を訪うてそこの主人の額に瘤のある大入道から新聞の種を引出さうとあせつてゐるうちに電氣が來た。屋外へ出るともう四邊は眞つ暗だつた。川口を通ふ船の青い灯、赤い灯が暗い水の面に美しく亂れてゐた。

おっと、ここで「白鷹正宗の問屋」というのが出てきますよ。

大川端というのは隅田川沿いですが、ここにはウチのお店はたぶんなかった、はず。

ただ、その前に彼が寄っている蠣殻町の近辺には揚場の升本「永久橋の出店」があった筈ですから、そこと関係しているのかなぁ。。。。。


まあ、あくまで小説なので、その辺りは良く分かりませんが、、、、、


しかしこの小説、amazonのレビューコメントにも「私小説の極北」とありましたが、本当に暗い、というか救いがない。

最後もこうです。



全體これからどうすればいいのか? 又どうなることだらうか? 圭一郎は幾度も幾度も寢返りを打つた。――



どうすればいい?どうなる?こっちが聞きたいヨ。




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