ぬるい気持ちで、ええんちゃう

頑張ってもどうにもならんこともある。
”しゃーないやん!!”ってぬるい気持ちのときもあるよ。

ゴールデンウィーク前半

2016-05-02 18:52:55 | お山

ゴールデンウィークがスタートし、お休みの方はそれぞれ好きなことをして楽しんでいらっしゃると思う。残念ながらゴールデンウィークは仕事だぜって方も、このお休みの分をどこかで休まれて楽しんでいただけることを祈りたいと思う。
おいらは特に大型の連休でもなく、中程度の連休が中休みを挟んで3連発って感じのお休み。なので本日はその中休みで通常通りに仕事であるが、今朝の通勤時、自転車でいつもの通勤路を走っていても大型のトラックがほとんど走っていないので、様相は土曜日のような感じとなっているみたい。お昼にご飯を食べに外に出てもやっぱり車の量は普段の月曜日から比べると半分くらいではないかなって感じがした。
さておいらのゴールデンウィーク前半はというと、4月28日の夜に大阪を出発してお山登りに行ってきた。それも標高が2500メートルを越える白銀の世界にテントを担いで登ってきた。
その記録を少しだけ残しておきたいと思う。

出発時点での28日は生憎の雨。大阪を出発時点ではそれほどの降りではなかったけど、これから雨雲を追いかけて東に向かうので果たして天気はどうかなって言うのが一番の心配。まぁ行ってみないとわからないし、標高から考えると雨ではなくおそらく雪だとは思った。
なので当初より真冬並みの装備を整えていく。もちろん防寒のダウンとフリース、それに寝るときに寒いので今回初登場の秘密兵器を二つ導入する予定で持参してきた。そのレビューはまた別にしたいと思う。

行き先は富山県の立山。
予定を組んでいただいた行程表だと、初日に一番の便で室堂まで上げてもらい、その後テン場の雷鳥沢まで降りてテントを設営しその足で別山をピストンする予定。
朝の4時半にスタート地点の立山駅に到着。もちろんどんよりと曇っていてときより激しく雨が落ちてくる天候。それにやっぱりここまで来ると寒いではないか。幸いやったのはこの天気のおかげでゴールデンウィーク初日にしてはものごっつい駐車している車が少なくて一番近い駐車場に駐車スペースを確保できたこと。これって喜んでいいのかどうか分からんが、とにかく楽な場所に駐車できたのである。
 

今回お連れいただいメンバーは13名。東京から2名が加わる予定で室堂に上がるのは総勢で15名。内3名の女性が雷鳥沢ヒュッテに泊まるらしく、テントでの宿泊は12名とのこと。結構な大所帯である。まぁ参加の半分の方々がベテランの方々なので、皆さん段取りも手馴れたものである。

一応始発の便を確保するも、6時の出発予定が美女平からのバスが除雪作業の影響でまだ運行できない模様。30分ほど遅れて始発便がスタートした。室堂には7時半も過ぎ8時になろうかって時間に到着。そら美女平から室堂までずっと道路は真っ白の状態やったので仕方ないかと思う。聞くところによると前日の夜から雪が降り続け、深いところで積雪が50センチを越えるとのこと。大雪ではないか。ゴールデンウィークとは言え、まだまだ2000メートルを越える山の上は真冬なのである。

室堂のターミナルでハードシェルの上下を着こんで準備。アイゼンはどうするかなと考えたけど、チームリーダーは女性の方々と男性でも経験の少ない人にはスタート時点から装着を命じてられた。そこそこの経験者は自分の判断にまかすと。
雪の無いシーズンではあるが、雷鳥沢までも何度も来ていておおよその地理も分かる。まずみくりが池温泉のヒュッテまではそれほどの斜面では無かったし、そこから雷鳥荘までが少し下るはず。新雪でふかふかした雪ならば下りでもおそらくアイゼンはいらんかなと様子を見ながら行くことにした。
みくりが池温泉まで行くまで猛烈な吹雪。風も半端無く強く、普通のめがねでは横から風が入ってきて役に立たず。仕方なくサングラスを着用。それでも結構風が入ってくる。ぜんぜん想定していなかったけど、スキー用のゴーグルが必要やったと後悔した。スキーをするのが前提なら忘れることは無かったのにな。

雷鳥荘を過ぎて急坂を雷鳥沢まで降りる。
ヒュッテやロッジの方々がちゃんとルート上にトレースを付けていただいているので迷うことは無いと思ったけど、正直ホワイトアウト状態で踏み後が無ければこんなところでも結構ヤバイなと感じた。まったくの真冬の吹雪状態やし。

雷鳥沢に到着した時点ではまだテントも3張りほどしかなく何処にでも張り放題。出来るだけ管理小屋に近いところに設営することにする。シッコに行くのに近いほうがいいに決まっているので。
とりあえず6人用テントと4人用のテントを2張りの合計3張り設営。30センチほど雪面を掘り下げ、北側に雪の壁を50センチほど雪のブロックで囲んでおいた。とにかく強風なのである。
夕食と言うか昼食と言うか、とりあえずこの天候では別山までのピストンもかなり厳しい感じ。まさかとは思うけど、ルートが分からず遭難することもあるかもしれんなと思ったりしたし、リーダーは即決でテントで停滞を決定。ならばと中途半端な時間やけど宴会を開始することにした。
風除けを設営していろいろとお酒の肴を作っていただきビールで乾杯。でもこの状態でビールはどうもな。寒すぎてぜんぜん進まないではないか。
とりあえず1本いただき、そのあとはワインにチェンジ。それでも寒い寒い。
1時間ほどみんなでワァワァと食べて飲んでいたけども、その後に用意していたお鍋は2班に分かれてテントでいただくことにする。

醤油ベースのもつ鍋。
寒いときにこれはもう絶品である。テントの中は当然風も当たることもないし、中で火をたくとごっつい暖かいのよ。なのでワインももう一度飲み始め、その後焼酎なんかでたいがい飲む。シッコが行きたくなっても管理小屋まで近いのであまり苦にならずいいのである。唯一面倒なのはいちいちテントから出るのに登山靴を履かないとならないこと。雪が無ければスリッパを持ってくるのであるが、この雪でスリッパは役に立たないな。

宴会が済んでもまだ5時にもならない。前日車で移動の際もそれほど寝てないけど、それでも今から寝ましょうかって言うわけにもいかず、ならば雷鳥沢ヒュッテまで温泉に入りに行くことにする。
やっぱり寒いときに温泉に入るとほっこりして生き返る。談話室でビールを飲み、落ち着いてからテントまでもどりとりあえず身体が温まっているうちにシュラフにもぐりこんだ。まだまだ外は明るいけど。
それでもウダウダとシュラフの中でしているうちに寝てしまって、次に目が覚めたらまだ10時。とりあえずシッコ行ってまた寝る。次に目覚めたのが1時。そんな感じで起床時間の5時まで寝たり起きたりの繰り返しですぎる。
1時ごろに目が覚めたときにはまだまだ強風が吹き荒れていて、テントのフライシートもバタバタとうるさかったのに、5時に起きたら風の音もせずテントを出ると快晴ではないか。
 

今回おいらが寝させていただいたのは4人用のテント。雪山用のスノーフライも装備されていたけど、このフライシートのおかげなのかどうか分からんがテント内は意外と暖かい。朝起きた時点でテント内は丁度0度。3人で寝たのでそれなりに暖かくなったのかもしれんけど、外の気温を測ってみるとマイナスの10度ではないか。

この温度差には正直驚いた。あまり結露も無く快適に過ごせたと思う。雪上テント泊にはやっぱりスノーフライがいるかな。フライシートの裾に雪を乗せていると空気が密封されて暖かいのではないかな。

一晩の雪で結構テントが埋まってしまったくらい。

翌日はごっついいい天気だったし、大阪にもどってもまだ1日お休みの猶予があるもんで朝から別山にピストンでって思ったりもしたけど、リーダーの大先輩の判断で、絶対に午後から天気が崩れて荒れるはずやし、ここはいい天気のうちに撤収すると指令が下る。おいらはせっかくの雪山歩きなもんで、ちょっとだけでも登っておきたかったけどなと思ったりしたけど、ここはリーダーの言うことが絶対。文句も言わずさっさとテントを撤収し室堂まで登り返し10時30分のバスで下山。
立山駅からいつもの亀谷温泉でお湯につかり、富山インター近くにある回転寿司のキトキト寿司で昼食をいただき、18時に大阪に帰阪。

今回は真冬並みの厳しい雪山でのテント泊も経験し、翌日に快晴の雪山の景色も堪能させていただき誠に有意義な山行であった。
とにかく風の強さには驚きで、いろいろとやってはならないことを目のあたりにする。
おいら達がテントを設営し終わった後に登ってこられた単独の方、テントを設営しフライシートを掛けるためにご自分の荷物をテント内に移動しようとされた瞬間、手を離されたフライのかかってないテントが中に舞う。それからはテント場をあれよあれよと転がっていき、何人かの人が捕まえようとしてくれたけど、とにかく風が強すぎて捕まえても持ってられないくらい。仮に一人でテントをス構えて持っても、開いたパラシュートをもっているみたいな感じで下手をすると人ごと吹き飛ばされてしまいそうになるくらい。
その後そのテントはどこかへ飛んでいってしまったみたい。
その後の顛末は分らなかったけど、たまたま温泉から上がって談話室でビールを飲んで話していた時、そばにいた方がテント飛ばしたんは自分ですねんとおっしゃる。テントが無いので仕方なくヒュッテのお世話になってはったみたい。
しかしここ雷鳥沢ならヒュッテもあるんでテントを飛ばされても事なきを得るけど、これが小屋も無いところならどうする?一応単独で登るときにはツエルトをもっているので何とか遭難は免れるかもしれんけど、テントの設営もこんな悪天候の時には最新の注意が必要やと考えさせられた。命にかかわるではないか。 

大阪にもどってきて翌日。北アルプスも当然ながら大変大荒れの天気やった模様で、奥穂高や前穂高で滑落やら道迷いで遭難のニュースが。それもおいらが滞在していた立山でも雄山や真砂岳で遭難続出とのこと。あんなに天気が良かったのに午後から急変しておいら達が到着したときのような悪天候になった模様。


この朝日が指しているあたりが確か真砂岳のあたりかな。 
おいら達が室堂に向けて上り返しているとき、向かいの別山乗越まで登るルートにたくさんの人が上ってらした。スキーを担いだ人はおそらくそのまま滑って降りて来るんだと思うけど、歩き装備の人はたぶん雄山まで縦走される目的の方もいるのかなと思った。今思うとあの中のどなたかがまだ真砂岳で遭難されて行方不明の方がいるのかもと思ったりする。 
この写真の日の午後なのである。天候を読む知識が無ければこんないい天気に登らんはずがないやろと思った。おいらがお連れいただいたリーダーは的確に午後から崩れるとおっしゃっていたので、少なからず山での天候を読む知識も養わなければならないと痛感した次第。
何とか遭難された方々が無事に救助されることを節に祈る次第である。