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大腸癌おける分子標的薬治療について~つづき

2012年07月08日 | 自分記事

 大腸癌おける分子標的薬治療について~つづき      

  私見ですが、少し気になる抗癌剤の話をします。「NHKスペシャル日本のがん医療を問う」という番組を見ていて驚きました。日本では新薬臨床試験の補助金制度が、なかなか許可されないのです。少しでも効果の有りそうな見込み案件にも補助金が出る欧米とは大きな違いです。したがって、臨床試験は海外で行うという驚いた事実です(半端な金額では無い)。何故、この様な事態が起きるのか、臨床試験には大きな費用が掛かる事と、日本の縦割り行政の弊害なのです。お金は経済産業省および文部科学省、薬の認可は厚生労働省に成りますが、補助金申請をしても認められるのはハッキリとした効果が有ると思われるものだけです。すなわち、日本では効果が不明確な臨床試験は困難で研究者が自腹を切る覚悟が無ければ出来ないということです。

医学関係者では「死の谷間」と呼んでおり、学者が欧米へ研究拠点を移す事の理由でもあります。

そういえば最近のノーベル賞物理・化学部門など日本人が受賞したと喜んでも研究拠点はアメリカなどです。私も前から不思議に思っていたのが、同じ抗癌剤に一般名と商品名が存在することです。例えば、オキサリプラチンは名古屋市立大学薬学部喜谷研究室で基礎的な研究開発が行われ(喜谷喜徳名誉教授らによる研究者グループ)、オキサリプラチンと命名されました。臨床試験はフランスで行われ、商品名「エルプラット」、一般名「オキサリプラチン」、略語「L-OHP」と成るのです。自国で開発したものが最初に使用することが出来ず、数年後に厚生省(当時)が海外で認可された薬剤を再度認可し使用出来る不思議な我が国です。現在の厚生労働省も同じで名前が変わっただけです。使用出来るまで時間が掛かるのは当然です。また、医師が薬の説明をする時も、商品名・一般名・略語をごちゃ混ぜに使用しています。例えば、前の記事で説明したFOLFOX (フォルフォックス)→オキサリプラチン注と5-FU持続注の併用療法+ロイコボリン注は、オキサリプラチン(一般名:オキサリプラチン、商品名:エルプラット、略語L-OHP)、5-FU(一般名:フルオロウラシル、商品名及び略語:5-FU)、ロイコボリン(一般名:ホリナートカルシウム、商品名:ロイコボリン、略語:LV)となります。補足説明しますが「注」と表記しているのは約30分~2時間位で終える点滴注射を主に病院で行い、「持続注」とは医療機器を体に取り付け約48時間位かけて一般生活の中で持続的に注射することです。通常FOLFOXは1クール2週間です(他の方式もあります)。

厚労省は確固たる信念で「縦割り行政」「死の谷間」を改善すると言うが信用できますか?。担当大臣なんて・・・、官僚主導なのに打破できのでしょうか。

実際、科学者・研究者が未だに海外に研究拠点を移すことが珍しくないのです。

http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/600/115015.html

↑ NHK科学文化部(かぶん)のブログです ↑

大きく横道に反れましたが本題に戻ります。

そもそも分子標的薬を使用するのは、他の抗癌剤治療が効かなくなった進行・再発の結腸・直腸がんの人に行われます。私の場合は、IRIS、XEROX療法が効かず、大腸がんの再発もあり分子標的薬治療を行うことに成ったのですが・・・。

KRAS遺伝子とは、細胞に増殖を促す命令を伝えるKRAS(ケーラス)というたんぱく質を、コントロールする遺伝子です。EGFR抗体にはヒト型と野生型が有りますが問題に成るのは薬の効果が期待される野生型の人です。大方の人に効くヒト型EGFR抗体の分子標的薬アバスチンは、副作用ばかりで何の効果も得られなかったと主治医は判断していましたが辛かったのは私ですし、それにアバスチンは効き目が薄いと最近は考えられているのです(効果が無い場合が多い)、おかげで何度入退院した事か。増殖を促す命令は、EGF(上皮成長因子)と結合したEGFR(上皮成長因子受容体)から発せられますが変異すると、その両者が結合しなくても、細胞に増殖の命令を伝えてしまいます。膵臓がんや肺がん、大腸がんの細胞で変異が起きることがあり、その場合はがん細胞の増殖を速め、がんを進行させることになります。すなわち、寿命が短くなる危険性が高確率で発生します。KRAS遺伝子変異の人はアービタックスやベクティビックスは通常は使用しません。バイオマーカー検査で私は3人中2人しかいない癌細胞に存在するEGFRが陽性でした、でもKRAS遺伝子変異が起きており薬を使わないのが基本です。分子標的薬はEGFRを狙って働く抗癌剤です、例えは悪いですが目標を外さないピンポイントミサイルの様なものです。しかし、最後の対症療法(緩和ケア)しかない私には生命の危険があったとしても、納得して人生を終わりたかったのです。主治医に頼み込んでアービタックスの単独治療を行なったところ、何とCTスキャンで再発がんの陰影が消え、腫瘍マーカーも下がりました。ただし、この薬剤の特徴でもある効果のある人ほど皮膚症状(発疹、皮膚乾燥、皮膚ひび割れ)が強く出ます。また、アレルギー反応、間質性肺疾患(咳が出る、熱がある、息切れする、倦怠感)が少しでも感じたら医師など医療スタッフに、直ぐに相談して下さい。その他の副作用としては患者にもよりますが、電解質の異常、心臓の機能低下、下痢、目の異常(角膜炎など)が現れたら主治医に相談して下さい。

 

 分子標的薬での治療を受けられない患者

1.EGFRが陰性の患者

2.分子標的薬に含まれる成分に対して、アレルギー反応などを起こしたことのある患者

3.全身状態が悪い患者(日常生活に支障をきたす人)

4.妊婦もしくは妊娠している可能性のある患者

5.担当医が不適切と判断した患者(他の薬による治療を受けている人など)

 

基本医療用語

1.レジメン=>用量や用法、治療期間を明記した治療計画のこと。

2.バイタル=>ウィキペディアによると、医学用語で「生きている証」を意味し、人体の現在の状態を示す様々な数値情報で表す。その主対象となるのは、脳神経機能、循環機能、呼吸機能である。一般的には、脈拍あるいは心拍数・呼吸(数)・血圧・体温の4つを指すことが多い。また、救急医学などでは意識レベルなどもバイタルサインとして重要視している。視神経のチェックとして瞳孔の反射を診ることも行われる。さらに、尿量をバイタルサインに含める論者もいる。日本の医療従事者の間では、バイタルサインのことをバイタルと略して呼ぶことがある。

 

 分子標的薬の商品名=>一般名、略号

1.アバスチン(商品名)=>ベバシズマブ{遺伝子組換え}(一般名)、BV(略号)

2.アービタックス(商品名)=>セツキシマブ(一般名)、略号無し

3.ベクティビックス(商品名)=>パニツムマブ(遺伝子組換え)(一般名)、略号無し

 

主な抗癌剤治療方法の使用する薬剤表記を記しておきます。左から一般名、商品名、略号です。

1.FOLFOX-------オキサリプラチン、エルプラット、L-OHP 点滴注射

         フルオロウラシル、5-FU5-FU 持続的注射

         ホリナートカルシウム、ロイコボリン、LV 点滴注射または経口薬

2.FOLFIRI------イリノテカン、カンプト、CPT-11 点滴注射

        イリノテカン、トポテシン、CPT-11 点滴注射

        フルオロウラシル、5-FU5-FU 持続的注射

        ホリナートカルシウム、ロイコボリン、LV 点滴注射または経口薬

3.XEROX--------オキサリプラチン、エルプラット、L-OHP 点滴注射

        カペシタビン、ゼローダ、無し 経口薬

4. IRIS--------イリノテカン、カンプト、CPT-11 点滴注射

        テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、ティーエスワン、TS-1 経口薬

 

私が実際行った抗癌剤治療は、手足の痺れなどが少ない「IRIS」、FOLFOXより新しい治療「XEROX」+「アバスチン」療法です。現在は「アービタックス」の単独治療を行なっています。 

*注意*記事は医師に相談しやすい様にと思い書き込みました。参考程度にしてください。


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