風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-8北海道・青森ドライブ周遊記4

2012-08-24 | 東北
[函館→青森→五所川原→鶴田町→青森]


○ 函館フェリーターミナル

早朝4時50分、バスは予定通りに函館フェリーターミナル前に到着。
乗客はみんなここで降りるものと思いきや、降りたのは私含め3人だけでした。あれ?

夏なので、日こそ上っていないものの、もう辺りは白々と明るく、明かりも必要ありません。
寝ぼけた頭のまま、ボーッと歩き出しながら、ふとポケットに手をやりました。
寝過ごさずに起きられるようにと、夕べケータイをマナーモードにして、ポケットに入れておいたのだけれど
・・・ない!!

まさか、今のバスの中に置き忘れた?うそっ!?
すぐに振り返って走り寄っていきましたが、バスは気づかず走り出します。
めげずに後を追いかけたけれど、バスは全く気づく様子がなく、次第に加速していきます。

うそでしょー。ケータイがないと、連絡取るのが大変。
これから会うイトコたちに(つながらない!)と心配かけちゃう。

待ってーー!と必死に追いかけますが、起きたてで身体が思うように動かず、声も出ず、さらに旅の荷物をしょっている私の足ではバスを追い抜くことはとうていできません。
もう、あきらめるしかないのかしら、ううう~。

と絶望して足を止めたら、バスもなんだかスピードを緩めて、その場に止まりました。
気のせいかな?一時停止かな?と思いましたが、やっぱり止まっているので、淡い期待を抱いて、さらに近寄り続けたら、運転手さんが転がるように走り出してきて、「どうかしましたか?忘れ物でも?」と聞いてくれました。
助かったわ~。

もう涙がでそう。「ケータイを忘れたようで。20番の座席です」と言ったら、バスに戻って私の座席まで行って探してくれました。
そして、私のケータイを差し出してくれたときには、「あなたが落としたのは、金の斧ですか」の女神様に見えました。

運転手さん、どうもありがとうございます~!ご迷惑かけちゃって、ごめんなさい。
ああ、よかったわー(ToT) 明け方に、ひとりど根性ドラマをやってしまいました。
函館フェリーターミナルでの黒髭危機一髪。
もうチャロもユキさんも、一緒ではありません。
一人になると、なにかしらやらかす自分が不安だわー。

眠かったけれど、この騒動でぱっちり目が覚めてしまったため、フェリーで寝ることにして、出航までの時間はターミナルで昨日の日記を書いて過ごしました。
2日目のウトロはネットがつながらず、3日目は夜行を使ったため、ようやくたまった旅日記とメールをこなしました。
早起きのイトコから、「いよいよ今日だね♪」とメールが届きました。

 

フェリー乗り場のウッドデッキには、ハート形のオブジェと鐘がありました。
「恋人の聖地モニュメント」というラブラブな感じですが、(早朝だしいっかー)と、一人寂しく鐘を鳴らしてみました。
ひっそり鳴らしたはずが、思わぬ音量でカラーン♪と鳴り響き、フェリー待ちの人たちに(え…一人で?)と注目されてしまいました。
はずかしーい。

○ 津軽海峡フェリー

 

フェリーの放送が入り、乗船します。
荷物をまとめて、ほかの乗客よりひと呼吸遅れて向かいました。
係員に教えられるままに向かったはずが、トラックが列を作って入り込んでいる口に着いたため、(車の入口に来ちゃって、間違えたかな)と思いましたが、人間も同じ場所から入るとのこと。
私がとてとてと歩いて中に入る間は、トラックに止まってもらいます。
背中に車たちの存在を感じて、(待たせてすまないねえ)と申し訳ない気持ちになりました。

 

客室までの道は、エスカレーターでした。しかも2層になっています。
階段じゃないのね。フェリーの中に電動式があることが、なんだか不思議。
どのブースにしようかなと、船内をひとしきり散策します。
3階の展望客室は、子供連れのファミリーなどがいますが、全般的にかなりまばら。
とーっても空いています。

デッキから見送る函館の町は、霞に覆われていました。

 

眠っていく気満々の私は、外が見られなくてもまったく構いません。
寝られる場所を探して、2階の婦人専用室に行ってみました。
誰もいません。船が出航しても、誰も来ません。
えー、私ひとりきりなんだー。40名用の部屋を悠々と独り占めしました。
そうはいっても、はじっこに陣取り、暗くなるので、カーテンで仕切られた、着替え用の場所の中に入って寝ました。
隅っこが好き。まったく部屋の広さを活用していません。

以前、青函連絡船の最終運行に乗ったときには、とにかく酔って酔って死にそうになり、荒れた津軽海峡を体感しました。
今回、かなり不安だったため、眠って行こうと、早々に横になります。
7:40発のびるご号。びるごってなに?
ヴィゴ・モーテンセンを思い出します。
あとで調べたら、ゼウスとテミスの間に生まれた女神の名前だそうです。

しばらくして、なにかの声で目覚めてみると、係員が部屋をのぞいており「あと少しで到着です」と教えてくれました。
お礼を言いながら、寝ぼけ眼で時計を見たら、11時20分。
熟睡できていました。なにも用意ができていないのに、もう到着時刻。
あわてて身支度をして、降りようとしたら、さっきまで出口近くのソファでスタンバイしていた人たちの姿がありません。
(みんなもう船を降りたのかな)と思ったら、下から上ってきた係員が、私を見て「あ、今動かします」と、鍵をとりだし、エスカレーターを作動させてくれました。
ビリになって、エスカレーターも止められていたなんて、とほほ。遅れてしまってごめんなさい。
そのまま係員にフェリー出口まで誘導してもらいました。

○ イトコたちと再会

もうすっかり日は高くなっています。
青森も暑く、(うー、帽子かぶらなくちゃ。日焼け止めはどこいったかな)とハンドバッグの中を見ながらぽてぽてと歩いていたら、「りかちゃん!」と声が聞こえました。
顔を上げると、イトコのまみちゃんとまきちゃんの笑顔がありました。
「まきちゃーん!まみちゃーん!キャー、久しぶりー!」
待ちきれなくなって、待合室から出てきてくれた様子。
「もうフェリーの底もあげられちゃったし、ちゃんと降りれたかなあって話してたとこ」
ぐっ、さすがに行動パターンを読まれています。ええ、うっかり乗り過ごしかけたの。。。

まみちゃんとまきちゃんとは年が近く、小さい頃から仲良くしてきた、一番身近な親戚。
二人のイトコに会えて、テンションが一気にあがり、堰を切ったようにめいめいがいろいろな話をしました。
親戚が多いため、三人だけでいられるなんて、めったにない機会です。
最後に青森に来たのは、3年前の真冬。葬儀に参列した、悲しみの再会でした。
夏にはじけた感じで観光に訪れるのは、10年ぶりくらいです。

○ 五所川原

はじめは、まきちゃんの車で浅虫水族館に連れて行ってもらう予定でしたが、その後あれこれと計画が動き、新たにジョインしてくれることになったまみちゃんの車で、私がリクエストした鶴の舞橋へと、行き先を変更しました。
楽しいおしゃべりの中、車は快調に進み、五所川原市へ。
リンゴ園の間の道を通っていきます。両側の木々は青青としており、目に爽やか。
「きれいなリンゴはみんなほかの県用になって、私たちは不格好なものばっかり食べているから、たまには美しいリンゴを食べてみたーい」とまきちゃん。
あら、大切なのは見た目じゃなくて味よ!逆に不格好なリンゴを食べてみたーい、と思う私。

 

青森といったらリンゴですが、今ではスチューベンも「NY生まれ、青森育ち」というふれこみで(こういうところがまたミステリアス!笑)、かなり有名になって来ています。
「ほかに、あんまり知られてないけど、カシスも日本一なんだよ」と二人。
えー、そうだったんだー。知らなかったわ。
じゃあこれからは、せっせとカシスソーダを飲むことにしようかな。りんごジュースを飲む方が早いかー。

座席には、ピカピカの「るるぶ・青森版」が置いてありました。
「今日買ったばかりなんだ」とまみちゃん。ああ、お世話をかけます。
かなり郊外の奥まったところに橋はありました。
実際の距離感がよくわからずに、今回「あそこへ行きたい」「ここにも行きたい」と希望を出していたため、かなり二人を悩ませてしまったのではないかと思います。
でも、この橋を写真で見た時から、母と「青森に、こんな美しい橋があるのね」「行ってみたいわー」と心奪われていたのです。
橋好きとして、ぜひとも渡ってみたいと切望した木橋でした。

○ 鶴の舞橋

鶴の舞橋は、青森県鶴田町にある津軽富士見湖に架かっています。
割と大きな湖。本当なら、湖の向こうに岩木山が大きく見えるそうですが、この日は残念ながら、もやがかかったように山は見えませんでした。
なるほど、岩木山のことを津軽富士というからこの湖が命名されたんですね。

 

長さ300mの、日本一長い木造の橋。
青森県産一等材のヒバ製で、橋の上に立つと、ヒバの香りがふわっと立ち上って辺りに漂い、とても気持ちがいいのです。
なによりもヒバの香りが好きな私は、もううっとり。猫のまたたび状態です。ごろにゃーん。

 

橋は優美にアーチを描いて、湖面にたたずんでいるよう。
鶴が舞う様子を模した形だそうです。
橋の真ん中にあるあずまやのようなステージの真ん中にたって手をたたくと、鳴き竜のように音が反響しました。

 

昔の祖母宅もヒバでできており、遊びに行くたびに、そのかぐわしい香りを胸一杯にかいでいたので、ヒバ香はとても懐かしく感じます。
その話を、祖母宅に住んでいたまきちゃんにしたけれど、「えっそうだっけ?」と反応がありません。
香りに慣れすぎて、気付かなくなっているのね、きっと。

 

まきちゃんが以前この橋を訪れた時に、丹頂鶴もいたということで、辺りを探してみました。
すると、ちゃんと2羽、飼われていました。あれ、タンチョウは渡り鳥じゃなかったの?
大きなゲージの中におり、目下、旭山動物園から脱走中のフラミンゴのことを思い出しました。

 

とても暑くて、じりじりして、タンチョウも夏バテしていそう。湖面も少し水が減っているような感じ。
橋を渡ることができて、大満足しました。いつかまた、岩木山がくっきりと見える時に行きたいな。

 

「北海道の旅行の後なら、青森はちっぽけに見えるでしょう」と言われたので、「北海道は雄大な自然に圧倒されるけれど、青森の謎めいたミステリアスなところに惹かれるの」と、チャロに話したことを二人にも伝えましたが、「謎めいてるってー、アハハ」と失笑され、反応はいまいち。
住んでいる人には、外から見ると青森がステキ秘密王国だっていうことが、わからないのねー。
八戸の光星高校が今年の甲子園で銀賞を勝ち取ったとのことで、あちこちで盛り上がっています。
冬のハンデが大きい東北勢が準優勝、しかも3回目なんて、すごい快挙ですね。

青森市内に帰る途中、たか久で遅めのランチをとりました。
「TAKA Q?」と、スーツ屋さんを連想しますが、青森の人気和食レストランなんだとか。
それからまきちゃんは一旦帰宅し、まみちゃんとドライブを続けます。

 

○ 青森市内ドライブ

岩木山だけでなく、青森市内ももやがかかっています。
青森を訪れるたび、親戚宅へ向かうタクシーの中から見つめる東岳さえ、全く見えなくて残念。
関ガラス店の前を通りました。これまで故・ナンシー関のご実家とは知らずに、幾度となく通っていました。

 

父の実家と母の実家の前も通りましたが、今回はおしのび訪問なので、そのまま素通り。
親戚は、みんな元気でいるかしら。
青森駅の夕焼けは、昨日見た北海道の夕焼けとはまた一味違う、郷愁たっぷりの雰囲気でした。

 

○ ワ・ラッセ

今晩のホテル前でおろしてもらい、まみちゃんとも今日はお別れ。
チェックインして一休みしました。
夜はまきちゃんと再会して食事をとる予定。それまでの間はフリーです。
日差しもかげってきた夕方になって、ホテルを出て、駅前を散策しました。

 

駅前の港側には、ワ・ラッセというねぶた博物館ができていました。モダンデザインの赤い建物がおしゃれ。
中に入って、ねぶたを見ました。梅沢富美男の女形のねぶたがすてき。

 

 

お土産コーナーでは、太宰治の「如何せんイカせんべい」があって、笑ってしまいました。

 

「生まれて墨ませんべい」というのがあるのは知っていたけれど、第二弾も出たんだー。

 

ワ・ラッセの隣には、A-Factoryという青森産の食品を取り扱うこぎれいな倉庫風の建物が建っていました。
3年前にここを散歩した時は、この辺り一面は公園で、すべて腿までの雪に覆われ、中に入っていけなかったのに、ウォーターフロントはなんだかとってもおしゃれに変わったのね。

 

○ ラブリッジ

ドライブ中、橋好きだと目覚めたことをイトコたちに告白したら「ラブリッジって知ってる?」と聞かれました。
知っていましたが、前の訪問時は雪に覆われて通行できなかったため、今回通ってみることにしました。
名前の感じから、カップルが渡る橋かなと思いましたが、連れがいないので一人で歩きます。
函館の愛の鐘も一人で鳴らしちゃったしね!(淋)

 

ラブリッジは、海沿いの木の遊歩道で、歩くと心地いい海風が頬を撫でていきます。
青森ベイブリッジの下を歩くような感じ。
思ったよりも長く、(どこまで行くんだろう)と思ったら、アスパムの前まで続いていました。
アスパムでは、にぎやかに盆踊りをやっており、会場裏ではハッピを着た人たちが津軽三味線の練習や調律に励んでいました。

 

そろそろまきちゃんとの待ち合わせ場所に向かおうと、ふたたび橋を戻っていくと、とつぜん一人の男性に「こんばんは。お一人ですか。もしよかったら僕と食事でも」と、明るく声をかけられました。
えっ、やっぱりラブリッジは、一人で歩いちゃいけない橋なの?
それにしても、まさか青森でナンパされるとは思っていませんでした。
実直でシャイな人々だと思っているのに。まあ、旅行者かもしれませんが。
さらにもう一人に声をかけられ、混乱しながら「待ち合わせをしているので」と足を早めて、急いで橋を渡り切りました。

まきちゃんとは駅ビル・ラビナで待ち合わせ。お子さんのヒナちゃんとユウくんも一緒です。
さっそく「ラブリッジって、カップル用の橋なの?」と聞いたら、「夕方はカップルが多いかもね」という答え。
ということは、別にナンパ橋というわけではなさそう。
「いまナンパされたの、ハハ」と軽く話してみましたが、真面目なまきちゃんは、笑わず目を見張っていました。
いや私もびっくりですよ。
ヒナちゃんは私をまじまじと見つめていました。
こんにちは、あなたのママのイトコでーす。

○ 鮨処あすか

まきちゃんが結婚した式場の一階にある「鮨処あすか」に行きました。
建物名はアラスカビル。はっ、アラスカだからあすかなのね!? 洋風から和風への華麗なる変身!
ヒナちゃんは、東京ライフにとっても興味津々のよう。
まきちゃんもまみちゃんもそうだったわー。
ユウくんも、3年前に会った時よりもぐんと大きくなっています。
青森は今日から新学期が始まったとのこと。すくすく育ってねー。

 

青森の海の幸をいただいて3人とお別れし、ホテルでゆっくり休みました。


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