風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

夏休みには庄内の風(新庄) 3-(2) 最終回

2015-10-23 | 東北
3-(1)からの続きです。

○ 白バイ発見

混雑に合うこともなく、緑の田んぼを両側に眺めながらの快適なドライブ。
私たちの車の横を、サーッと白バイが走り抜けていきました。
「わあ、白バイだー!わーい!」とテンションが上がる私。
かっこいいですね~。



でも、アコリンもアヤちゃんも特に反応はなく、落ち着いたまま。
「あれっ?」
「だって、時々見るもの」
お仕事で車を運転する機会が多い二人に比べてさほど道路に出ない私は、箱根駅伝でしか白バイを見たことがありません。
本物を見たら、テンション上がりますよねー。
駅伝選手気分で、道が分かれるまでしばらく一緒に走っていきました。

○ 滝と筋肉痛

なだらかな平地から、再び傾斜の続く山の中へと入っていきます。今度は十二滝へ向かいました。
何回も山のクネクネカーブを上ったり下りたりして、かなり酔いそう。
山道が細くなってもなお、アクセルを踏んでどんどん攻め気味に進み続けるアヤちゃん。
乗り物に強くないと、滝ガールにはなれませんね。

車を降りてから滝までのアクセスも、山の中だとなかなか大変。
ここでは、鬱蒼とした緑の中、細く急な木の段をどんどん下りて行きます。
腱を伸ばすたびに、羽黒山登山の筋肉痛がジンジン響きます。
でも、ここまできたからには、そんなこと言っていられません。





その名の通り大小12の滝から構成されており、ザーザーいう水音もダイナミックです。
滝壺近くまで行けました。素晴らしい滝でした。



頑張って近くまで行く価値があります。滝ガールの情熱に押されて、私も目覚めそう。
アヤちゃんは、こうやってショッカーのように滝ガールを増やしているのかも!

○ 吊り橋とのコラボ

滝のそばに赤い吊り橋を発見。わあ、今回の旅で初めて吊り橋を見ました。
雪国では雪の重みに耐えかねるため、吊り橋は少なく、今回の旅では見られないだろうと思っていました。
長さ28m、幅1.2mのなかなか大きな、立派なものです。



この吊り橋を渡って川の向こう側から見ると、流れ落ちる十二滝の起伏が一望できるみたい。
吊り橋好きの私も、浮かれだします。さっそく渡りましょう。
早く早くー!



アヤちゃんに続き、私まで喜びのあまり我を忘れかけている傍らで、ひとり正常モードのアコリンは苦笑い。
吊り橋と滝をバックに、滝ガールと橋リーナ(命名適当)、2ショットの写真を撮ってくれました。


ところが、橋には「立ち入り禁止」の黄色いテープが貼られていました。
ええー、渡っちゃいけないの~ん?



素敵な吊り橋が目の前にあるのに渡ることができないなんて、がっかりです。
おそらく渡ったところがなにか危険な状態になっているのでしょうけれど。
一気にテンションだだ下がり。

向こう岸に渡って十二滝の全貌を見ることはかなわず、重い足取りで再び急な山道階段を上がって行きます。
上がる途中も木立の間から下をのぞいてみましたが、滝の姿を見ることはできませんでした。
残念ですが、仕方がありません。無茶をして大変なことになっても、簡単には救助が来てくれない山の中ですから。

○ 出羽松山藩のあと

山を下りて再び平地に戻ってから、最上川沿いに東に移動します。
途中、こぎれいに整った町を通りました。
松山というところでした。



ここはかつて松山藩が置かれたところで、当時は松山城もあったようですが、藩は戊辰戦争で奥羽越列藩同盟に参加して敗北したため、廃城となったそうです。
今では酒田市に合併されて、松山という地名さえなくなっていますが、それでも往時の城下町の雰囲気が残っていました。

○ 田舎ドライブ



それからさらにドライブ。広々とした景色です。
北海道にいるような気になってきます。
あっ、いい橋発見。



もしかして、ここを渡るのかな?



橋を渡る時って、ドキドキしますねー。そう、車がゆっくり向きを変える、この瞬間です。(橋リーナ目線)



山あいにも、アーチ形の橋が見られました。
赤く塗られているものが多いのは、緑の中で色が映えるようにでしょうか。



○ 最上川と白糸の滝

最上川沿いに出ました。太い川だけに、長い橋がかかっています。
浅そうに見えても、ここは日本三大急流の一つ。
実際には流れが速く、渡るのは難しそう。
「おしん」の小舟も、結構なスピードで去っていきましたね。



途中の白糸の滝ドライブインで、滝ガールが車を停めました。
買い物するのかな?と思ったら、ここから滝が見えるとのこと。



確かに、川の向こう岸に鳥居とほこらがあり、その後ろに長く細い滝がありました。
この白糸の滝は、日本の滝百選に選ばれており、最上四十八滝の中では最大の滝だそうです。最上川沿いには48も滝があるんですね。
川向こうには、船でしか行けないそうです。まさに聖域。



自然たっぷりの最上峡は、とても絵になる光景でした。
この辺りから、川下りの船も出ています。
「五月雨や集めてはやし」と芭蕉も詠ったように、やっぱりそばで見ると、流れはかなり速かったです。

○ いとこ煮なるもの

いろいろと食べるものが売られている中で気になったのが、「山形・庄内名物、いとこ煮」の文字。
 アヤちゃん「いとこ煮ってなに?」
 アコリン「栗とお芋」
 私「どの辺がいとこなの?」
 アコリン「ホクホクしているところが似ているからじゃない?」
えっ、それで(笑)?
親子丼と他人丼に加えて、いとこ煮もあるんですね~。
名前にびっくりして、食べてみるのを忘れちゃいました。



これまで何度も山形に滝巡りに訪れているアヤちゃんは、土地勘があります。
なんでも、山形は日本一、滝が多い県なんだそう。
そうなんだー。なんだか意外ですが、山が多いから山形県というわけですし、山が多いと滝も多いのでしょう。
「ま、実際のところは誰も数え切れていないから、わからないんだけどね」
その辺は案外アバウトなようです。

となりの「米の娘ぶた(こめのこぶた)」も気になりますね。
こちらは山形県金山産の銘柄豚だそうです。

○ 突然のコリアンタウン

「この先に戸沢村ってあるんだけれど、道の駅がなんだか韓国っぽいんだよね…」と、どこか言いよどむアヤちゃん。
気になったので向かってみると、道の駅は、確かに完全に韓国パビリオンと化していました。
明らかに山形色はなく、もはやここは日本じゃありません。
その名も高麗館



この建物から眺めると、目の前に広がるのは日本の原風景、最上川。不思議すぎる光景です。
建物の外ではチヂミが売られていました。



中に入ると韓国海苔や辛ラーメンなど、韓国の食べ物やお土産が売られていました。
謎の珍スポットだわ~。



あまりに気になったので、3人で調べてみたところ、お嫁さん不足のこの地に韓国から大勢の女性が輿入れして来たため、その人たちの故郷風に作ったものだと分かりました。



日本らしい建物の方が、この辺りの光景には絶対にしっくりくるのにと、建物の前の川景色を見て思います。
まあ、土地の人が決めたことですけれどね。

○ こぶとりじいさま通り

それから、JR新庄駅に行きました。
駅の近くに「こぶとりじいさま通り」がありました。



こぶとりじいさん、なつかしい!すっかり忘れていましたが、あれは山形の民話だったの?
はなさかじいさんとダブってしまうんですよね~。
市内には、他に「金の茶釜とおり」、「かわうそと狐とおり」、「鴨とり源五郎とおり」、「笠地蔵とおり」があるようで、特にここが舞台の民話というわけではなさそうです。

駅前でお茶をしようとお店を探しますが、おしゃれなカフェが見つけられません。
普通の喫茶店すら探せずに、車でうろうろ。
新幹線が止まる駅なので、さぞ駅前はにぎやかだろうと思ってきたのですが、案外そうでもなかったことにみんなで驚きます。

○ ちぇれんこと大蔵村

これはもう駅構内で探すしかないと、駅の建物内に入ってみると、喫茶店「ちぇれんこ」がありました。
お店の名前が気になります。どんな意味なんだろう。
ちゃりんこ? れんこん? シェフチェンコ?
考えてもわからないため、調べてみました。
新庄を代表する『新庄まつり』で山車を引く時に子供たちが言う『チェレンコヤッサー』というかけ声からとったものだそうです。

メニューの中に「牛芋煮鍋定食」を発見。
まあ、これはよしとしましょう。すでに1日目に真夏のいも煮メニューは発見済み、驚愕済みです。
しかし、次に見た料理名に、やっぱり声が上がりました。
牛芋煮ラーメンって書いてありました・・・。
なにそれ~!?
タレが別ものじゃない~?
もはや「混ぜたらキケン」レベルの味になるのでは・・・?
山形を理解するには、この旅だけではまだまだ時間が足りないようです。



他県民の私に真夏の芋煮はハードルが高すぎるため、大蔵産のトマトジュースを頼みました。
といっても、大蔵がどんな場所なのかわかりません。
また調べてみました。この日はわからないことが多すぎて、調べまくり。
山形県大蔵村は「日本で最も美しい村」連合に加盟している、日本有数のトマトの産地だそうです。
トマトジュースと言ったら塩辛いイメージがありますが、全くしょっぱくなく、きちんとフルーティなトマトの味が出ていて、おいしく飲みました。

○ 新庄の山車

駅には、大きくて豪華な山車とそれに乗った人形が飾られていました。
「新庄まつりの山車行事」は、重要無形民俗文化財に指定されている祭りだそう。
夜間にはライトアップされて、とても華やかに練り回るんだとか。
この地は昔から豊かで祭りも盛んだったんだなあとわかります。



○ 三人三様の道へ

私たち3人は、この新庄駅で解散となりました。
今日旅が始まったばかりのアヤちゃんは、これからは一人で車に乗って、滝巡りを続けます。
アコリンと私は、帰途につくため一緒に改札を通りますが、次の用事が待っているアコリンは、ここから新幹線つばさに乗ってまっすぐ帰っていきます。



私はホームから一人でお見送りしました。
また東京で会おうね~。
片手でブンブン手を振りながら、もう片方の手で撮影したら、ブレブレになっちゃいました。



山形駅から帰る私は、奥羽本線に揺られてのんびり山形まで移動しました。
急ぐ旅ではないし、山形駅に降り立ったことがなかったので、一度寄ってみたかったのです。
山形城址に立ち寄ろうと思いましたが、暗くなったため、構内から出ずに一路東京に帰りました。

○ epilogue

暑い夏でしたが、毎日天気に恵まれ、自然の中にいる心地よさを味わいました。
庄内平野の風にそよぐ若緑色を見ていると、都会の喧騒を忘れて心が広~くなりました。
海にも山にも行ける旅っていいですね。
今回は、山形の夏の自然の恵みを存分に受けられた旅でした。

3日間行動を共にしてくれたアコリン、1日目に羽黒山と加茂水族館をガイドしてくれたヨガのマリエさん、3日目に滝に連れて行ってくれたアヤちゃん、みんなキラキラした魅力的な人たちで、毎日楽しく過ごせました。
素敵な旅の思い出を、どうもありがとう。思い出に残るいい夏休みでした。

<追記>

最後にこの旅日記を読んでくれている友人から教えてもらったニュースをご紹介します。
「銅像をCTスキャンしたら中にはミイラが!1,100年前の僧侶のミイラと判明!」
びっくりしました。
オランダにある仏像だそうで、これをスキャンしたオランダ人たちは、もっとびっくりしたことでしょう。

この記事によると、日本では18体の即身仏が確認されていますが、現在は日本で即身仏になることは禁止されているそうです。
もはや、仏になるには修行あるのみ!
さっそくアコリンにこのニュースの話をしたところ「少し前に話題になってたよ」と。
やっぱり知っていました!

結局見ずに終わりましたが、気がつけば知らないうちに即身仏に詳しくなっていた旅でした。
アコリンの即身仏ツアーに参加したい方は、私までどうぞ!
あ、私は中継ぎ担当として、ツアーの時には静かにお留守番してまーす(笑)
(即身仏の話をここまで引っ張るとは。。。😅)



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