風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

信州ゆったり歴史めぐり 3-1

2017-01-23 | 中部(甲信越)
2日目からの続きです。

● ガのいない夏

この日も朝早くに置きました。
朝はまだ涼しくて、冷房いらず。
「爽やかな朝~」と伸びをすると、ミュウが
「ほんと。マイマイガもいないし」と言いました。
「えっ?ガ?」
「そう。蛾。」

この辺りでは、羽を広げると10cm以上になる巨大な蛾が夏に大量出没するそうです。
「洗濯物を取り込むと、ついてたりしてねー」
うわー、血の気が引きそう。一気に爽やかさが遠のきます。
「もう多過ぎていやんなっちゃうんだけど、今年は出ないからよかったー」
話を聞いて私も一安心。朝から蛾の襲撃に悩まされなくて、よかった~。

● 鬼無里のおやき

朝食は、またもやおやき。
でも今度は専門店のものです。
昨日の夕食後に、長野駅でいろは堂のおやきを買っていました。



焼きおにぎりのような見た目です。
沢あざみが気になったので、私はあざみと野菜。
ミュウはみそだれと辛子なすをチョイス。



持つとズッシリとした重みを感じます。
見本のように、具だくさんでした。
こんがりした皮が、温めると香り立って、味もおいしい!
今度長野を訪れた時にも、またここのおやきを食べようっと。

いろは堂があるのは、鬼無里(きなさ)村。
この鬼無里という地名、ワケアリっぽくて気になります。
ミュウに「昔、紅葉という鬼女がいた」という伝説を教えてもらいました。

● ドラマチック・姨捨

食事を済ませて早朝にドライブ出発。
まず訪れたのは、姨捨です。
前にツアーで来たことがあり、また訪れたいなと思っていた場所。
自力で行くにはアクセスが大変そうだと思っていたので、嬉しいです。



姨捨SA「月の里おばすて」は、一昨年に「ドラマチックエリア姨捨」としてリニューアルオープンしたそう。
オシャレな建物にローマ字表記がされているのが、なんだか意外。
ドラマチック・姨捨といったら、思い出すのは…エキゾチック・ジャパーン!

美しい景色が眼下に広がりました。
昨日見とれた善光寺平。まあ言ってしまえば長野盆地なんですが。
「わあ、きれい!」
すぐにはその場を離れられません。
満足するまで、しばらく辺りを眺めていました。



● 西信地方がない

それから一路、松本へ向かいました。
昨日は一日北信地方内を移動しましたが、松本があるのは中信地方。

ところで、こっちの人たちは「北信・中信・東信・南信」と普通に話に出すので、聞き慣れていない私はそのたびに(えっと、どこの話?)とうろたえます。
長野県民には常識なんでしょうけれど、県外民にはよくわからないその分け方。
「西信はないの?」と聞いたら「本当は松本のある地方がそうなんだけど、土地の人たちは自分たちのエリアを中信って呼ぶからね」と。
県外者からすると(西だけないなんてバランス悪いなあ)と思いますが、
「松本は信州の真ん中にあって、うちこそが県下No.1というプライドが高いんだよ」
そうなんだ~。お里の事情がチラ見えします。

かつて長野南部には、筑摩県が存在し、その県の中心だった松本市民は、今でも誇りを持っているそう。
といっても5年間しか存在しなかった、はかない歴史のようですが。
長野県は北信(長野)中心で、筑摩県は中信(松本)中心。
東信(上田・佐久)は大した勢力を持たず、南信(伊那・諏訪)は名古屋圏扱い。
やはり松本は、長野のライバルなのです。

長野新幹線が開通して、長野駅が便利になってから、負けじと松本市は「特急あずさ」の高速化を目指しているそうですが、なかなか実現は難しいんだそう。



お城にたどり着いたのは8時半。
4月に諏訪を訪れた時にもここまで来ましたが、午後だったせいか、駐車場に入るのにも時間がかかりました。
今回はお城の隣の駐車場にすんなり停められて、そのままお城入口に向かいます。
ちょうど開城時間で、すでにできていた長い行列が動き出しました。



● 朝の松本城

4月に訪れた時は、90分待ちで入れなかった松本城。
やっと入城できたわ~!
この時間に合わせて、早目に起きたのです。



平地でも600m近い高さになっているため、結構標高が高い場所なんだなあと思います。
山に囲まれている長野県は、もしかして全体的に標高が高いのかも?

朝一番でないと混んでしまうなんて、すごい人気です。



入り口では、甲冑姿の武士がおでむかえしてくれました。
ポーズを決めてくれて、カッコイイ!
横に自分もいたのですが、余計なので省いちゃいました。



若武者と姫もいました。
これも、真ん中に私がいましたが、余計なので省いちゃいました。

   


● 宇宙ツツジ・宇宙アサガオ

お城の前の庭園で、ふと足を止めて植木に走り寄りました。
「宇宙ツツジ」と書かれているではありませんか!



私は去年から、家で宇宙アサガオを育てています。
ツツジもあるんですね~。

宇宙飛行士の向井千秋さんが宇宙に持って行った種だそうです。
私のアサガオは、山崎直子さんが持っていったものの子孫。
つながりを見つけて、嬉しくなりました。

● 松本のシャチホコ

子供の時に名古屋城でシャチホコを見た時には、恐怖のあまりワンワン泣いたのを覚えています。
あれはこわかった~。
かなり至近距離ですが、松本城のものはこわくありません。そんなに大きくないから。
横にいた欧米人のお兄さんが、熱心に撮影していました。



松本城内に、ガン・コレクションが展示されていました。
種類が豊富。銃戦用のお城だとか?
いろいろある中で、下のものがおもしろいデザインでした。



● 天守閣で城主気分

ぴかぴかに磨かれた木の床を歩き、階段を上って、六階に相当する高さの天守閣へと向かいます。
すごい傾斜で天井も低く、降りるのに少し身をかがめないといけないため、昇る時も降り時のもおっかなびっくり、そろそろ。



外の景色を眺める時には、誰でも城主気分を味わえます。
山の方、ちょっと雲が重いなあ。



● 天上の二十六夜姫

一番上に続く急勾配の細い階段を登ったところに、二十六夜姫が飾られていました。
母親が教えてくれた神さまで、「行ったら二十六夜姫に忘れずにお参りしてきてね」と言われていたのです。
説明板があったので、周りのみんなと一緒に忘れることなく見上げて来れました。
あとで母に話したところ、以前はその表示はなかったそうです。



お堀でくつろぐ白鳥。彼が今では一番城主っぽいですね。



行く時には、開城時間に合わせて猫まっしぐら状態でしたが、天守閣を見学した後では、のんびりお堀の睡蓮を鑑賞する心の余裕もできました。



● 松本のマンホール

ここのマンホールは、カラフル。
あとで見せたら「いつの間に撮ったの?」とミュウに驚かれました。
ふふふ、前に訪れた時からチェックしていたのよー。



大きなミッションをクリアして、なんだか一日が終わった感じ。
いえいえ、これからですよね!
車を停めた駐車場に行くと、既に車の長い列ができて、順番を待っていました。

● 双体道祖神の里

途中の橋で見かけた、私の好きな双体道祖神。
くいつく私に、ミュウは苦笑します。
「こういうの、安曇野にうんとあるよ」
多いそうですね。いつかハイキングしてみたいわ~。



● 雨の奈良井宿

お城を見学した後は、松本を離れてさらに塩尻市まで南下し、一路奈良井宿へと向かいました。
中山道沿いにある宿場の中でも、ここは開発が遅れて一番最後まで残っていたら、重要伝統的建造物群保存地区として整備されることになり、当時の町並みが保存されているのだそう。
世の中、どうなるかわからないものです。

松本にいた時にはとてもいい天気だったのに、奈良井宿に着くと、雨が降ってきました。
どんどん強い雨足になってきたので、(だいじょうぶかな)と気にしつつ、駐車場で傘を借りて歩いていきました。



ここでも見つけた双体道祖神。心がほっこりするわ~。
旧中山道に沿った国道19号を通って山の中へ入っていきます。



中央本線沿いにあり、奈良井駅からもすぐの宿場町ですが、とても山深い中にあります。



昔ながらの自然石の道しるべ。
真ん中に中山道、左上は鳥居峠、右下は奈良井宿と書かれています。



時が停まったような静けさ。
雰囲気たっぷりです。これは楢川歴史民俗資料館。



鮮やかな朱鳥居がありました。ここは鎮(しずめ)神社。
疫病の流行を鎮めるために、千葉の香取神宮から主神をまねいたそうです。
フツヌシの神様が、緑深い信州の山の中でも祀られていたなんて。
金の口紅をしている狛犬から、なかなか目が離せませんでした。



雨はしとしとと降りつづけます。
「木曽路はすべて山の中である」夜明け前の出だしを思い出しました。
「長崎は今日も雨だった」も。長崎は関係ないけど。



「今日は雨の予報じゃなかったのに」と言うと、
「ほかの場所が天気でも、この辺りはいつも結構雨降りが多くって」とミュウ。
山あいにある木曽は、雨が多い場所なんだそう。



山々に囲まれているから、天候が変わりやすいんでしょう。
その分、水が豊かな場所です。
道端の水場からは、水が勢いよく出続けていました。



旅籠や商店が当時の姿のままで立ち並んでおり、街並みの景観保存が行き届いています。
「電線がないのが何より大きいのね」と言うと、
「電線はどうしていると思う?」とミュウ先生に聞かれたので、
「横浜の元町みたいに、電線を地中に埋め込んでいるんじゃない?」と聞くと
「外れー。それだとお金がかかって大工事になるから」と言われました。
正解は「メインの通りからは見えない裏側に通している電線を通している」でした。
わあ、気づかなーい。

大きな傘をさして、犬を入れてあげている小さな子がいました。かわいい。



「和宮行列祭り」のポスターが貼られていました。
ここは山の中を通る中山道。ここを姫様行列が通ったの?

ミュウ先生が解説をしてくれます。
「和宮が京都御所を出て江戸に輿入れした時、反対派の襲撃を避けるために、メジャーな東海道は避けて中山道を通りました」
へえ、そうだったのね。山越え谷越えの、結構大変な行程だったでしょうね。



雨が、地面にたたきつけるように激しくなったので、軒下に避難して、しばらく雨宿りします。
辺りを見回したミュウ、「なんかほかの場所と違うなあと思ったら、のぼりがないね」と言いました。
「うるさくないから、いいなあ。いつかここに泊まってみたいなあ」
たしかにゆっくりできそうです。



この辺りの食べ物として、五平餅が売られており、食べながら散策している人を見かけます。
私たちも食べたかったのですが、もうすぐ昼食タイムなのでぐっと我慢。
ひとしきり散策を終えて、駐車場へ戻り、傘を返すと、ちょうどぱたりと雨もやみました。
奈良井宿の滞在が終わったら、雨がやむなんて、不思議。
狐の嫁入り?

● 長野の薬・百草丸

百草丸という薬があちこちで売られています。
(わあ、渋い)と思ったら、ミュウも愛用しているとのこと。
「長野県民はみんな常備薬にしてるよ。うちにもあるから、帰ったら見せるね」
薬ですが、昔から民間の薬として取り扱われてきたという経緯が重視されて、特別に薬局以外でも売れるんだそうです。
(違ったかな?ミュウからはいろんな話を教えてもらったので、時々記憶が曖昧です)



その2に続きます。



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