風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

島根に友を訪ね・ちょっぴり鳥取2-1

2016-12-01 | 中国(山陰)
1日目からの続きです。

○ まぶしくない朝

翌日は6時に起きました。
泊まった部屋は、西向きのオーシャンビュー。



カーテンを開けてバルコニーに出ても、太平洋岸ならそこにあるはずの朝日は見えません。
新鮮な空気の中、明るい空と海が広がっていました。



○ 駐車場での再会

朝食後、手早く荷物をまとめて車に乗り込みました。
出雲大社そばの駐車場で、Pちゃんと待ち合わせます。
「ちゃんとわかるかなあ」「神主さん顔になってるのかなあ」とドキドキしながら待っていたら、一台の車がやってきました。
ドライバーに注目。
「あっ、Pちゃん!!」さっちゃんと口々に声を上げます。
横顔を見ただけですぐにわかりました。

彼女もすぐに私たちに気付いた様子。
駐車場に自分の車を停めて、私たちの車に乗り込みます。
「久しぶり~!」「元気だった~?」
今日は一日、出雲をガイドしてもらいながら一緒に過ごします。



まず初めに向かったのは、Pちゃんのお勤め先、出雲大社。
天下にその名が鳴り響く出雲大社ですよ。敷居高~い。
ここで働いているなんて、すごいわ。選ばれし人ね。

まだ8時を過ぎたばかり。辺りはさわやかな朝の空気に包まれています。
境内もすいています。参拝客で混雑するのはもう少し後になってからですね。

○ まずは相撲の神様から

境内に新しい小さな祠がありました。
野見宿禰(のみのすくね)神社といいます。のっけから難しい漢字。
相撲場の前に建てられた、相撲の祖とされる神様をお祀りしています。どすこい!
狛犬の位置にはウサギちゃん。清潔な空気が漂っていました。



敷地内の駐車場は、本殿のすぐそばにありましたが、「せっかくなので、正門から案内するね」と二の鳥居のある入り口まで移動しました。
下り参道を通っていきます。
前に来たときは平成の大遷宮だったので、境内はとても混んでいました。
その時には、参拝する人々の長い行列ができており、参拝できなかった境外社を参拝します。
ごひいきの瀬織津姫をお参りできました。



○ 江戸時代の鳥居

出雲大社には4つの大きな鳥居があり、すべて材質が違うそうです。
一の鳥居は、大正時代に建てられた、当時初のコンクリート製。大きさは今でも日本一だそう。
二の鳥居は、境内入口に立つ木造のもの。
三の鳥居は、松の参道の鉄鳥居。
四の鳥居は、青銅製。一番拝殿に近く、1666年に毛利綱広氏が寄進したものです。



四の鳥居の柱の部分には、文字がぎっしりと刻まれています。
私だけなら、たとえ文字に気づいたとしても「わあ、漢字だらけ」で終わるところですが、Pちゃんは「これは鳥居寄進の由来について書かれているのよ」と教えてくれました。



鳥居には「素戔嗚尊者雲陽大社神也」と記されています。
奉納した当時の御祭神は、大国主命ではなく、素盞鳴尊(スサノオノミコト)だったそうです。
お父さんだったり、息子だったり。

出雲大社と言えば、思い出されるのは太いしめ縄ですね。
近くで見ると、お賽銭がたくさんささっています。
取るのが大変そう。よいこは真似しないでね!



○ 息子にご挨拶

拝殿で大国主命に参拝。
門の上にある、波乗りウサギの彫刻も確認しました。
巫女さんの周りの、丸く色がついている箇所は、かつての神殿を支えた宇豆柱(うづばしら)が見つかった場所です。
古い時代の木が、よく腐ってなくならずに残っていたものですね。



境内のあちこちでスタッフと話すPちゃん。駐車場の人とも挨拶を交わします。
職場なので、みんなと顔見知り。
この日は私たちのためにお休みをとってくれました。
どうもありがとう~。



神社内には大きな国旗が掲揚されていました。
日本一の高さを誇る大きさ70何畳分の日の丸だそうです。
じっとカメラを構えて、風が吹いていい感じになびくのを待つヒロポン。
それを見守る私たち。

「境内で国旗にチェックしている人っている?」とPちゃんに聞くと
「いないねー(笑)」と明快な答え。
「NHKの放映終了の画像みたい」
君が代が流れる、あれですね。朝早かったので、そう聞くと急に眠くなってきます。



大国主命と因幡の白ウサギの出逢いのシーン。
ボーイミーツガール、もとい、ボーイミーツラビット!

○ お父さんもパワフル

拝殿を参拝した後は、建物の裏側に回ってぐるりと案内してもらいます。



奥に鎮座するのは、大国主命の義理のお父さんの素鵞社(そがのやしろ)。
さすが神の世の稀代の荒くれもの。パワフルな空気に包まれており、心にびりびり響きました。



出雲大社は南向きですが、神殿の中にある大国主命の祭壇は、参拝者から見て左の西方向に設けられている不思議。
理由ははっきりわからないまま、参拝者は西側からもお参りします。
へそ曲がり?いえいえ。
かなりのパワースポットと言われているそうですが、私がシビレたのは、スサノオ社の方でした。

○ 朝の祝詞

9時半になると、朝の祝詞があげられ、朗々とした声が響き渡ります。
澄んだ心地よい時間。この時間しか聞けない、貴重なものです。
モロッコ滞在中、毎朝夜明けにモスクから流れてきた、エキゾチックな抑揚のアザーンを思い出しました。

神楽殿を訪れました。実は拝殿より、こちらのしめ縄の方が大きいそうです。
そのせいか、こちらの方がガイドブックに載ることが多く、それを見た人たちに拝殿と勘違いされることも多いとか。
結婚式の記念撮影が何式もとり行われていました。



○ 古代出雲歴史博物館

それから駐車場に戻り、車で歴史博物館へ向かいました。
敷地が広いため、歩くよりも車で移動する方がスムーズ。
ガラス張りのエントランスの、明るく開放的な建物でした。

ここで馬の埴輪のレプリカを発見。その名は「石やん」。
名前、必要だったのかしら?
またがってもいいと知って、喜んでそばにいきました。
これ、前々から腰掛けてみたいと思っていたものなのよね~。
木馬サイズの大きなものがあるなんて、ドリームズカムトゥルー!
埴輪気分を味わいました。
子供対象かもしれないと、石やんを壊さないように腰を浮かせているさっちゃんの優しさ。



○ 驚きの宇豆柱

博物館入り口には、先ほどの拝殿前の場所から発掘された3本の宇豆柱がありました。
直径約1mの木が3本束ねられたもの。
巨大神殿を支えるには、このくらい大きな土台が必要だったわけですね。
2000年にこれが発見されたというニュースを聞いた時には、たいそう驚いたものです。
約760年前のものである可能性が高い柱が、未だに残って保存されているのがすごい。
豊富な地下水のおかげで、奇跡的に当時の姿をとどめているのだそうです。
私もこの中に入ったら、700年後もまだ残っているかも。でもきっとミイラ~。



博物館には、この辺りで発掘された古代の品々がずらりと展示されています。
以前学芸員も務めていたPちゃんに、詳しく解説してもらって、すごーくよくわかりました。

もともと考古学専攻だったという彼女は、発掘作業に携わった経験もあるそう。
「なにを発掘したの?土器?恐竜の骨?」
ワクワクしながら聞いたら「貝塚かな!」との返事。
「貝かあ・・・」
いえいえ、それも重要です。

高校でも地学を選択していたというPちゃん。
「そうなの、私たちもよ!」
クラスが離れていたので、わかりませんでしたが、彼女も私たちのように、地中に悠久のロマンを感じたんでしょうね。

○ 神殿模型のロマン

有名な、想像神殿がありました。出雲の特集番組によく登場する復元模型です。



5名の学者が類推する神殿模型。やはりすごいですね。
この5つの中のどれなのか、あるいはどれでもない形だったのか、いろいろと考えて、夢が広がります。



東横線元住吉駅の長いエスカレーターに乗るたびに、いつもかつての出雲大社神殿のことを思い出します。
上階に改札があるので、神様のもとに行く気分で上に上がって、不思議な気分で改札を通っています。



○ 銅鐸のロマン

これまで銅鐸にほとんど興味がありませんでしたが、表面をよく見ると、鹿などが描かれていてユーモラス。
見れば見るほど細緻で、一つ一つに宇宙の物語が詰まっているようです。
うわあ、グイグイ引きこまれそう。
一つ一つをじっくり見ていると、展示部屋を離れられなくなりそうなので、ほどほどにしておきました。



○ 銅剣のロマン

発掘された百の銅剣がずらりと並んでいる様子は、美しく壮観。
最近増えている刀剣女子は、武士の日本刀を堪能したら、古墳時代のものにさかのぼったらいいかも。



王者の刀もありました。模型ですが、金色に輝いていて、とっても王者感があります。
ドキドキしながら持ってみましたよ~。
10cmぐらい持ち上げられるようになっており、かる~く持てちゃいました。
スサノオ効果で突然マッチョになったのかな?



○ たたらを踏む

前日、石見銀山で解説を聞きながら(たたら製鉄を思い出すなあ)と思っていたら、島根にあったことが判明。
「もののけ姫」では奥出雲地方のたたら製鉄をモデルにしているそうです。



「踏鞴(たたら)を踏む」という言葉がありますね。
「もののけ姫」でも、たたら場で「休まず踏みな。火を落とすと取り返しがつかないよ」という台詞が登場します。
そのたたら踏みに少年が挑戦していました。

○ ゆかりの映画

一畑電鉄(ばたでん)が使われた映画『レイルウェイ』の紹介コーナーもありました。
長らく中井貴一のファンだというPちゃん。
「この撮影の時にものすごくラフな格好をした人とすれ違って、その瞬間は気づかなかったけれど、(あ!)と気がついて、ダッシュで後ろを追いかけて握手してもらったんだ~」
役者オーラを消していた時でも、よくわかりましたね~。さすがファン。

博物館の廊下には、空港で見た三代目J Soul Brothersのメンバーのポスターが貼られていました。
「この3人って島根出身なの?」と聞きます。
「いや、違うでしょう」と即答するPちゃん。
「EXILEの中に3人も島根出身者がいるなんて、ありえないって!」
堂々と自虐っぽいことを言われて「うーん、そうかあ」と黙り込む私たち。
そのやりとりが、館内の解説員に聞こえていたようで「彼らは今度公開される『たたら侍』という映画に出演したご縁で、島根の観光ポスターに出ていただいているんですよ」と教えてもらいました。
そういうわけですか~。謎が解けました。
この辺りは、かつてたたら産業が盛んだったんですね!

○ 稲佐の浜のタケミカヅチ

再び車に乗り込みました。
交差点の向こうにある稲佐の浜には降りられず、車中からパチリ。
ここは交通量が多いため、看板が多くてムードがないのが残念。



ここで、タケミカヅチ(鹿島の神様)が剣の切っ先の上に胡坐をかいて座るという、すごいデモンストレーションを行ったんですね~。
私の貧困な想像力では、どう思い描いても中国雑技団っぽいシーンになっちゃいます。
大国主命もびっくりしたことでしょう。

○ 素足の日ノ御碕灯台

海岸線を通ってたどり着いたのは、日ノ御碕灯台。
前回は下から見上げるだけでしたが、今回は上ってみることにしました。



なんと、灯台の中には靴を脱いで入る決まりになっていました。
(えっ)と半信半疑のまま、靴をロッカーに預けます。
細い螺旋階段をソックスで上っていきます。
なんだかつるつるして、滑りそう。
ストッキングじゃなくてよかった~。

前日の予想外の登山@石見銀山が蘇ります。
夜のマリンタラソでかなり復活しましたが、どんどん階段を上がっていくと、昨日の今日なのですぐに筋肉が悲鳴を上げ始めました。

日本一を誇る高さ43.65mの灯塔。一気に上るのは、相当きついです。
でも、階段は小さくて一人しか上れないので、後に続く人や上から降りてくる人を待たせないために、ちゃっちゃと上っていくしかありません。
そうして自分の首を絞めまくった私たち。ゼイゼイ。
なんとか一番上まで辿り着いた時には、消耗して言葉も出ませんでした。
靴を履かずに灯台の上を歩くことに、ちょっと抵抗がありましたが、素晴らしい見晴らしを目の前にして、気にならなくなりました。



強い風にあおられながら、灯台の上から覗き込み、眼下に広がる海に見とれました。
吸い込まれそうな美しさは、夢のよう。
日常を超えたサスペンスドラマが生まれそう。



眺望を満喫して、降り始めましたが、上りよりも下りの方が怖さを感じます。
今度は螺旋階段の手すりを手放せません。
うっかり階段を踏み外したら、前を歩く人たちが将棋倒しになって被害の連鎖が怒ってしまいます。
めいめいが無意識のうちにキャー!とかギャー!とか口走りながら、なんとか転げ落ちず、無事に地表に戻りました。あ~よかった。



○ 日ノ御碕神社アゲイン

次に日ノ御碕神社へ向かいました。
竜宮城のような建物です。



前回参拝したのちに、楼門の中に狛犬がいると知り、(見逃した~!)と残念に思っていたのです。
門を通った時、今度はきちんと中を覗き込みました。
狛犬ちゃんがいた~!



小さく喜びの踊りをしながら「前に見そびれた狛犬発見!」とみんなに説明しました。
「ごついね」「こわいね」「ロボみたいだね」
あら、みんなそんなにテンション上がらないのね。
まあ、たしかにね…。

前の時には、なぜかきちんと参拝できなかったスサノオ社を、今度はきちんと参拝しました。
一度お参りするだけでは、いろいろと不備があるものですね。



○ けいらばこ?

境内に「警ら箱」と書かれた木製の入れものを発見。
えー、見たことありません。これ、なんでしょう?



住民が気付いたことや意見を書いて投函する箱だそうです。
江戸時代、徳川幕府治下の「目安箱」みたい。
「警ら」とはパトロールの意味で、パトロール中の警察官が箱の中身を回収するんだとか。
なじみがないため、そう聞いても、牛乳瓶入れにしか見えませんでした。
びん牛乳、おいしいですよね~。

その2に続きます。



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