風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

南海電車で高野山 1-(1)

2013-07-06 | 近畿(奈良・和歌山)
◆ prologue
◆ 空からの富士山
◆ 関空着、空港急行
◆ 特急サザン「サザンプレミアム」
◆ 特急りんかん
◆ 滝ガールトーク
◆ 空海と真田の九度山
◆ 幸村庵で上田蕎麦
◆ 丹生官省符神社【世界遺産】
◆ 慈尊院【世界遺産】
◆ 真田庵(善名称院)
◆ 九度山散策
◆ 「天空」かぶりつき
◆ ケーブルカー
◆ 高野山駅
-------------------------------------------------

◆ prologue

今回、ライターのアッコさんと、南海電鉄主催の高野山プレスツアーに参加しました。
プレスの方々にちゃっかり混ぜていただけることになって、感激!
皆さんの足を引っ張らないようにしなくっちゃ。
迷惑をかけないよう、借りてきた猫のようにおとなしく過ごそうと思いました。

高野山には、5年ほど前にツアーで行ったことがあります。
でもその時は、下からバスで登っていったため、延々と続くくねくねカーブにすっかり酔ってしまい、(とにかくアクセスが大変)という辛い思い出に。
ただ、毎年新丸ビルで開催される高野山カフェには足繁く通っているため、そろそろ久しぶりに本家本元を訪れたくなりました。
今回は、南海さんに連れて行っていただくため、バスではなく、南海電鉄を使って向かいます。
プチ鉄子の私。楽しみ~。

◆ 空からの富士山

当日は、早朝のフライトに乗り遅れないよう、頑張って4時起きしました。
5時に出発。空いていると思ったのに、空港までのリムジンバスは乗客で満杯。
こんな朝から、空港は賑わっているんですねー。ふわあぁ。
あくびを噛み殺しながら空港に着き、今回ご一緒する皆さんとご挨拶します。
総勢14人でした。



搭乗ゲートに進んでも、まだ目が半分しか開いていない私。
どこかからおいしそうな和の匂いがする~と鼻をひくつかせたら、築地のお寿司屋さんコーナーがありました。

ご挨拶をしたばかりのアヤコさんが、カウンターに近寄り、さらりとお寿司を頼んでいました。
しかも「おまかせ」で。旅慣れているわー。
今回の参加者は、旅行関係のプレスの方々のようです。(私?借りてきたレンタルキャットデス)

離陸後少しして、アッコさんが「そういえば、富士山ってもう過ぎたかな」と言いました。
「まだじゃない?」と言いながら、窓から覗いてみたら、雲海から顔を出す白い山が。
「あ、あれあれ」「え、カメラ出さなきゃ」とごそごそしている間に、飛行機はゆっくり富士山上空を通過して行きました。

いつも新幹線で関西方面に行く時に、富士山を見上げるとテンションが上がります。
飛行機から見下ろしても、やっぱり嬉しくなるものですね。
世界遺産登録、おめでとう!

関空まではあっという間。
アッコさんは仕事をし、私は眠っていくはずが、お喋りをしていたら、もう飛行機は下降体制に入っていました。

◆ 関空着、空港急行

関空に降り立ちます。暑い大阪に気づかぬふりをして、すぐに特急ラピード号に乗り込みます。
いえ、乗り込む・・・予定でしたが、フライトが遅れたため、ラピートには間に合いませんでした。
がっくり。
この車体、深い群青色で窓が丸く、銀河鉄道999かノーチラス号かといった感じで、かっこいいんですよね~。
ああ、乗りたかった~。
「空港急行」に乗り込む足を止めて、名残惜しく、隣のホームに停まっているラピートを激写していたら、「帰りに乗れますから」と慰められました。



関空は海の上にあり、市街へ向かう線路の両側が海で、とても気持ち良いです。
いつも、ヴェネツィアに電車が入っていく時の感覚を思い起こします。

◆ 特急サザン「サザンプレミアム」

泉佐野駅で「特急サザン」に乗り換えました。
関空から高野山までは、南海電車を乗り継いでいきますが、参加者の方々とお話をしていたら、この辺りから、よくわからなくなってしまい、後日、南海電鉄の方にしっかり教えて頂きました。



乗ったのは、特急サザン新型車両12000系の「サザンプレミアム」
おお~。
プラズマクラスター技術搭載の最新式です。



各席の前には大型テーブルノートとコンセントがあって、便利!
ビジネスマンが喜びそう。プレスの皆さんは、さっそくノートパソコンを広げていました。

◆ 特急りんかん

天下茶屋駅で「特急りんかん」に乗り換えました。
天下茶屋って、いい名前ですね。天下を見渡せる茶屋があったのでしょうか。
調べてみたら、秀吉が千利休に茶を点てさせたゆかりの地だそうです。
天下人、秀吉からきた名前だったんですね。
東京の御茶ノ水と由来が似ていますが、あちらは江戸だけに、お茶を飲んだのは家康公でした。



「特急りんかん」は「特急こうや」との併結列車。
こうやとりんかんの違いは行き先で、こうやは極楽橋駅、りんかんは橋本駅行きになるそうです。

◆ 滝ガールトーク

りんかんでは、アヤコさんと隣の席になりました。
前々から「知り合いに滝ガールがいる」とアッコさんに聞いており、今回とうとう初顔合わせができたわけです。
袋田の滝に癒されてきたばかりという彼女と、さっそく滝トーク開始ー、カンカンカーン。

日本の滝がお好みだそうで、海外の大飛瀑はイマイチだそうです。
イグアスの滝の話をしようと思いましたが、それを聞いて(あ...)と話題を引っ込めました。
滝行も好みではなく、あくまで滝のある自然の調和を愛でているとのこと。
「白糸の滝っていう名前がたくさんあって混乱しちゃう」と訴えて?みました。

私が好きな滝は何かしら?と考えます。
日光の「龍頭の滝」と「湯滝」がお気に入り。
「那智の滝」も外せませんが、好きというには神々しすぎて。
屋久島の「大川(おおこ)の滝」が、私の一番でしょうか。

ダムの放水もお好きとのこと。私もー♪
ダムカードのことをご存じなかったので、意気揚々と(笑)説明しました。

吊り橋好きの私とは、ネイチャーな感じが結構近く、話も盛り上がります。
今度、大分の九重“夢”大吊橋に行くと聞いて、うらやましさMAX!
日本一の高さ長さを誇る歩行者用吊り橋!渡りた~い!
「滝と橋で、いつかコラボを組みましょう!」と固く握手をしたところで、終点橋本駅に到着しました。

ここからは「快速急行」に乗り換えて10分。九度山駅で降りました。

◆ 空海と真田の九度山

九度山ですよ、九度山!
真田親子が蟄居していた雌伏の里にとうとう来ました!
前々から訪れたかった場所なので、嬉しさいっぱいです。
真田ファンですが、ここは真田の本拠地、信州上田とはわけが違い、東京からそう簡単に来れる場所ではありません。



名前も不思議で惹かれます。
空海の母君が、息子に会いたさに女人禁制の高野山のそばに住み、空海が月に9回、母の元へ通ったということからついた名前だと、最近知りました。
それまでは、真田のことしか眼中にありませんでしたが、もともと空海ゆかりの地だったわけですね。
歴女から仏女にシフトしていくと、入ってくる情報もまた変わるものです。

◆ 幸村庵で上田蕎麦

真田昌幸・幸村父子が配流された真田庵の隣にある「幸村庵」で昼食をとりました。



古民家を改築しており、全席お座敷。
六文銭の描かれた赤い座布団に、テンションが上がります。



九度山町と長野県上田市は、真田繋がりの姉妹都市。
幸村にちなんで、土地の人達が上田に行き、蕎麦作りを習ったのだそうです。
長野県産の蕎麦粉を使った、もっちりした二八蕎麦。
この味と食感を、真田三代も味わったんでしょうね。
紀州で味わう信州そばも、また乙なものでした。



またこの辺りは、日本一の富有柿の産地ということで、柿の葉寿司も一緒に出てきました。
「奈良のものとは少し味付けが違うんです」とお店の人が言いましたが、本場のものも食べ慣れていないため、味の違いが分かりませーん。
酢飯とキュッと締まった鯖が、おいしかったです。
真田親子は食べたのかしら?富有柿は食べたかもしれませんが。



さらに、高野山ということで、胡麻豆腐も出てきます。
これも親子は食べたのかしら?
つい、真田ファミリーのことばかり考えてしまいます。

つまりこの幸村膳は、高野山・九度山・上田の味がミックスされたものなんですね。
天ぷらのエビがとても新鮮で、忘れられない美味しさでした。



お店の床の間には、真田の鎧甲が飾られていました。
鮮やかな赤揃えは、さぞかし戦場に映えたことでしょう。
「甲冑の前に貼られているのは高野紙で、この地方独特の風習です」と教えていただき、たしかに中国の切り絵のようなものが貼られていることに気が付きました。
真田といったら真田紐ですが、高野紙もあるんですか。
紙と紐のコラボレーションですね。
食事も美味しいし、真田のことも気になるし、チェックしたいことが急に増えて、頭のなかは一気に大忙しです。

◆ 丹生官省符神社【世界遺産】

昼食後は、シティガイドに街を案内してもらいます。
この神社の名前が読めません。じんたん?うに?
「にうかんしょうぶ」神社と読み、丹生都比売大神を祀る、官省符荘にある神社という意味だとのこと。
空海によって816年に慈尊院と共に創建された、この地方の鎮守でした。



神殿横には巨大な絵馬が飾られ、空海を高野山へと導いた白と黒の犬が描かれていました。
「ここの神社には、狛犬が無い、ナイ」とキョロキョロする私に、何人もの人が「あの絵に描かれてるからじゃないの」と言いましたが・・・
あれは犬で、狛犬じゃないのよー。



入り口の鳥居の下には、茅の輪がありました。
見慣れたものよりも、かなり小ぶりで、男性は相当身をかがめなくては通れなさそう。
(あれをぐるぐるくぐるなんて、大柄の人ほど体勢がつらそう)と思ったら、ここは単に通り抜けるだけでした。
関西と関東の風習の違いかしら?



裏参道から神社を参拝したため、はじめは(おや?)と思いましたが、ほどなくしてそのわけがわかりました。
鳥居をくぐったところに、下へと続く石段があったのです。
暑い中、下から上に上がるのは大変なので、下るルートを考えてくれたのでしょう。

降りたところには、慈尊院がありました。

◆ 慈尊院(女人高野・結縁寺)【世界遺産】



空海が丹生都比売大神と一緒に創建した神社です。
もちろん、高野山真言宗の寺院。



空海の母が入滅して弥勒菩薩に化身したとされ、奈良の室生寺などと並ぶ「女人高野の寺」として賑わっています。
女性の厄除けや乳がん治癒祈願のために、無数の乳房形の絵馬が奉納されていました。
女性が作ったものだけに、一切いやらしさはなく、かわいらしい手作り絵馬でした。



古さと伝統の漂う境内。
御朱印をいただこうと思いましたが、ちょうど観光バスが到着して、ご年配の女性たちがワーッと寺務所に押し寄せたところだったので、やめておきました。



◆ 真田庵(善名称院)

寺社の参拝を済ませ、今度は幸村庵の左側にある真田庵を訪れました。
蟄居生活を送った真田父子の屋敷跡に建てられた尼寺。
お寺というよりは、小さな城郭、もしくは大きな古民家のようです。



古めかしい木の山門には、真田の家紋である六文銭が彫り抜かれていました。



もう片方には雁(かり)の家紋が。
真田イコール六文銭のイメージが強いですが、この雁金紋も、真田の家紋です。
六文銭は戦いの時、雁金紋は平和な時に使い分けて用いたそうです。



気のせいか、古めかしさのせいか、門の内側から見えない迫力を感じますが、勇気を出して足を踏み入れます。
境内にお社があり、真田地主大権現が祀られていました。
真田三代の御霊を合祀しているとのこと。



この地で亡くなった真田昌幸も神様になっていたんですね。
慰霊と鎮魂の祈りを捧げました。



上田の後にここを訪れ、これでようやく真田詣でが完結できた気がする私は、大満足。
でも「あれ、カメラのシャッターが降りない。もしやこれは・・・」なんて言い出す人もいました。
いえいえ、真田は神様として祀られているんですから、もう大丈夫。
菅原道真が学問の神様になったように、真田昌幸は武術の神様になったのでしょう。



屋根瓦に、反り返った小さな狛犬が乗っています。
「かわいい!」という声が聞こえたので、思わず「あれは出雲型なんですよ」と言ってしまいました。
「え?それ何ですか?」と聞かれ、真田権現の前でプレスの方々に「狛犬の出雲型とはですね・・・」と説明をしてしまいました。
目立たないようにするはずが、マニアックな人扱いされてしまうわ~。

本堂には「おびんずる様」の像があり、「これは誰ですか?」「なぜこんなところにいるんですか?」という質問に対して、また解説をしました。
ここですっかり歴女・仏女のカミングアウトをしてしまいました。(まあ、時間の問題だったという話も)

◆ 九度山散策

それにしても、暑い!
アスファルトの照り返しと立ち上る熱気にクラクラします。
幸村は、お兄さんの信之に「こっちは雪が降って寒いから、服とか食べ物とか送って」と懇願の手紙を送っていたので、てっきり寒い山の中なのかと思っていましたが、なんなのこの暑さー!

まあある意味、暑くてよかったところはあります。
でないと、私一人で羽が生えたように、「幸村ー♪」とフラフラどこかに行ってしまいかねなかったので。
温度計は30度をさしていたそうで、「九度山のイメージが変わっちゃうね」と話しましたが、東京はもっと暑かったようです。

町には紀ノ川が蛇行して流れており、涼しげです。
紀の国~紀の川~♪
「紀の川」は「モルダウ」や「大地讃唱」と並んで合唱コンクールの定番曲ですが、近くの金剛出身の方は、「歌があるんですか?有吉佐和子の小説しか知りません」という反応でした。
現地の人は歌わないのでしょうか。

九度山散策を終えて、駅へと戻ります。
関東からは、なかなか行きづらそうなイメージがありますが、真田ファンにとっては、ここは特別に訪れたい場所のはず。
九度山は真田以外にも見どころが多い、魅力的な場所でした。

駅のホームに「好きっぷ」のポスターが張ってあり、去年これを使って徳島に行ったことを思い出しました。
そういえば、南海の企画チケットでした。

◆ 「天空」かぶりつき

九度山駅で電車を待っていたら「天空」がやってきたので、小躍りしました。



前々から乗ってみたかった天空。
しかも今回は、一車両目の一番前の席と横の席を確保してもらっています。
うれしい!リアル鉄子のアッコさんと浮かれます。
後ろにはオープンデッキがあり、自然の風を味わえます。



最前列は、やはり子供達に押されぎみ。
最近の子供達は、一眼レフをめいめい首から下げていて、本格的ですね。(そしてリッチ)
ひたむきな目で、車窓を眺めています。



見渡す限り、のどかな里山風景が広がり、緑はどんどん深くなっていきます。
線路はくねくねと蛇行しながら、傾斜を登っていきます。



急勾配トンネルが23もある、山深い路線。
線路は単線で、ところどころですれ違うためにふた手に分かれています。

●YouTube:「天空」に乗って「こうや」とすれ違う


この動画を撮っているところを、激写されていました。ああかぶりつき(笑)。



車両内に「東急車輌」という表示がありました。
おやと思ったら、南海では車輌をいつも東急車輛製造株式会社に依頼して作ってもらっているとのこと。
知りませんでした。まさか、和歌山で東急の名前を見ようとは。
東急ユーザーとして嬉しくなりますが、「でも今は、東急車輛がJRに組み込まれたので、名前が変わって、もうこの表記はなくなったんですよ」という話になりました。

「えっ、東急車輛はもう無いんですか?今は何になったんですか?」
「うーん、JRの子会社になった名前はなんだったかなあ?」
その場にいる人達で考えていたら、そばにいた小学生が「総合車両製作所!」と教えてくれました。
「おお~、さすがは鉄っちゃん!」「将来有望!」「でも学校の勉強もするんだよ!」
みんなで少年をやんやと褒め称えました。



この天空、一日2本しか走らないらしく、予約をとるのが大変な人気列車だそうです。
一番前のかぶりつき席に座れて、本当にラッキーでした。

◆ ケーブルカー
 
天空は終点の極楽橋に到着。名残惜しくも降りて、ケーブルカーに乗り換えます。
駅のそばには朱色の橋がかかっていました。これが極楽橋ですね。
ホームには、無数の風鈴が飾られていて、涼しげでしたが、風が吹かないため、静かなままでした。





ケーブルカーがホームに停まっている段階で、かなりの斜めっぷりに驚きます。
延長0.8km、最高勾配30度。傾斜日本一なんだとか。



動き出してすぐ、スカイツリーの高さを越えたとの表示がありました。
上を見ても下を見ても、バランスを崩しそうなほどの急斜面。
これはすごいです。



かつてルーズベルト大統領夫人は、イグアスの滝を訪れた時に、その巨大さに「かわいそうな私のナイアガラ!」と言ったそうですが、私は「かわいそうな私の大山ケーブル!」と言いたくなりました。

今年二回乗った大山ケーブルカーも、かなりの傾斜でしたが、こちらのほうがはるかにうわて。
5分間で、340m上の高野山駅まで上り詰めました。

◆ 高野山駅

とうとう高野山駅までやって来ました。



九度山はうだるような暑さでしたが、さすがにここまで来ると、肌寒くなって上着をはおりました。
ひたすら山を登ってここまで来たのです。
これから路線バスの臨時便に乗り換え、貸切状態でさらにカーブ道を上がっていきます。



以前訪れたときは、麓からバスで登ったため、死にそうなほどヘビーに酔ってしまいましたが、今回のこの距離では全く問題ありませんでした。
10分程度で、壇上伽藍前に着きました。

1日目その2に続きます。


最新の画像もっと見る

post a comment