風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-9 行方も知らぬ 秋の旅かな1

2012-09-29 | 中部(甲信越)
○ prologue
○ 出発前夜
○ 出発当日
○ 関越へ
○ コスモス畑
○ もう一つの五稜郭
○ この日のお宿
○ 温泉へ


○ prologue

週末を使って旅行に出かけました。
はじめは、ヨウちゃんと山陰の俵山温泉にプチ湯治に行く計画を立てていましたが、そこまでの道のりが相当大変だとわかり、(こんなに行き帰りがハードなら、湯治効果も消えちゃうね)と行き先を変更したのです。
申し込んだのは、行き先不明のバスツアー。
本当に、なにひとつ、知らされません。

出発数日前に添乗員さんから電話があり、
「東京より北ではない」
「日中は東京より気温が上がる」
「逆に朝晩は12、3度まで下がる」
というヒントから、服を決めて下さいと言われました。

普段、旅行に行く時には、割としっかり予定を組んで、訪問先の情報をあれこれ調べていく方ですが、今回はまったくわからないため、心構えのしようがありません。
こういうひみつの旅行は初めて。なんだかとってもワクワクして楽しいものです。
当日まで、(どこに行くのかな~)とあれこれ考えるドキドキ感も、こうした企画の醍醐味でしょう。

その時々に応じて臨機応変に行き先が変わる、かなりフリーダムなものながら、旅行の性質上、今回は具体的な名称をぼかすことにします。
同名プランに申し込んだ人が、できごころで文字検索をしても、引っかからないようにするためです。
行き先がわかっちゃうと、おもしろくありませんからね~。おそらく一緒の場所ではないと思いますが、それでも念のため。
写真は気にせず、いつもどおりに載せるため、そこから訪問地をご推測下さいませ。

○ 出発前夜

出発前、ワクワク感を存分に堪能していましたが、台風17号が日本列島接近中というニュースがかなり本格的になってきたため、さすがに心配になりました。
週末には本土上陸するとのこと。
うーん、旅行は大丈夫なのかしら。長い傘を持っていった方がいいのかな。靴はどうしよう。
目的地がわからないため、対処のしようがありません。
親にも「こんなときに旅行?しかも行き先わからないなんて!?」と、かなり心配されましたが、旅行中止の連絡は入らないため、催行するようです。
まあ、バスが横転しない限りはなんとかなるでしょう。気にしすぎずに、旅を楽しむことにします。
ひみつ旅行のワクワクと、台風接近のドキドキで、なんだか気持ちがはちきれそう。

○ 出発当日

 

出発当日はいい天気。ヨウちゃんと新宿で待ち合わせて、バスに乗り込みました。
添乗員さんの挨拶の段階で「今回はここへ行きまーす、ジャジャーン」と華々しく発表されるのかと思いきや、そうではありません。
誰一人答えを知らない乗客たちを乗せて、バスは出発しました。

座席は一番後ろ。一番最後に申し込んだからです。
その代わり、明日は一番前になります。
車酔いすると知った添乗員さんに、「両日真ん中のお席にしましょうか?後部座席は揺れますから」と言ってもらいましたが、ヨウちゃんと「変化がある方がおもしろいよね」と、予定通りに後ろと前でお願いしました。
最後部は一段上になり、幅も広くて、足がのびのび。酔い止めもしっかり飲んだので、後ろでもきっと大丈夫でしょう。

○ 関越へ

バスは、練馬から高速に乗りました。
「関越に乗りましたね。さあ、どこへ向かうのでしょう?」と添乗員さん。
さーっぱりわかりませーん!
推理は早々にあきらめて、久しぶりに会うヨウちゃんと、近況報告やいろいろなおしゃべりをしていくうちに、バスは群馬に入りました。

 

おぎのやで休憩します。峠の釜めしの釜アイスを発見しました。抹茶味まであります。うーん、斬新・・・。

 

お弁当を車内で食べて、下仁田ICを降ります。
特徴的な岩を見つけて、「あれすごいね」「切り立ってるね」と驚いたら、この辺りで有名な山なんだそうです。
標高1400m。空に伸びる勇ましいシルエットに見とれました。

 

 

○ コスモス畑

それから山道に入ります。くねくねカーブが続きますが、薬のおかげで酔いませんでした。
耳がぽやんとするため、高いところに来たとわかります。着いたのは、1200mの高さにある牧場。
ここのコスモス園を散策しました。

 

 

 

今が盛りの、とても美しいコスモスたち。こんなに広々とした一面のコスモス畑を見るのは、初めて。
ロマンチックな気持ちになって、ヨウちゃんに「ここで一句」と言ったら、「ムリムリ」とするっと逃げられました。
ソフトクリームを食べている人も結構いました。いつもだったら、牧場ソフトははずしませんが、今回は車酔いが少し心配だったのと、食後でまだおなかがいっぱいだったため、スルーしました。

○ もう一つの五稜郭

それからまたくねくねと山道を降りて行き、次に寄ったのは、北海道とここにしかないという幕末の五稜郭でした。
というより、函館以外にも五稜郭があったということは知らなかったので、内心驚愕です。
聞いたことなかったけれど、本当かしら?

五稜郭を案内してくれたガイドさんは御年83歳の大ベテラン。
シャキシャキと解説してくれ、ノンストップトークにみんな圧倒されました。

函館の五稜郭は、江戸幕府が直接築いた最後のお城。
でもこちらは、殿様が作った藩のお城。
函館と違って、タワーがないため、上から見下ろすことができず、本当に星形をしているのかは、写真を見ないと確認できません。
ただ、お堀沿いに組まれている石垣は、角度をもって曲がっているのがわかります。
ここの藩主は「無城格」という城を持てない身分で、築城許可を持っていなかったんだそうな。
それでも、外国の築城に興味を持ち、詳しい知識を持っていた彼は、幕府に願い届けて、城ではなく陣屋という名目で、西洋式城郭を作り始めたそうです。
彼が幕府派だっこと、さらに老中格・陸軍総裁という要の職についていたことから、幕府も許可したそうです。

もともとこのお城は、必要に迫られたわけではなく、藩主の趣味で立てられたようなものなんだとか。
つまり殿様の道楽だったわけですね~。
ノイシュバインシュタイン城を立てて国家財政を傾かせたバイエルンのルートヴィヒ2世を思い出しました。まさか日本にも似たような人がいたとは・・・。
ここのお殿様、道楽三昧だったというわけではなく、明治期には、博愛社(現在の赤十字社)の設立に尽力したとのこと。
大給恒さんに、がぜん興味がわきました。お墓は渋谷にあるとのこと。今度お参りしようかしら。

 

五稜郭は、鋭角の突出した場所に砲台を置くと敵からの死角がなくなる、守り易く攻め難い構造で、実戦に優れた城郭。
ただこのお城、全てを堀で囲まれているわけではありません。
お堀の生け垣は、簡単には敵が侵入できないよう、ぴたりと隙間なく組み込まれていたり、武者返しがあったりするのですが、これではお堀が無いところから、簡単に攻め込まれてしまいそう。
おそらく藩の予算が尽きたせいではないかと、ガイドさんは話していました。
幕末の激動の時代だったからでしょう。

そして、完成前に明治維新をむかえたため、そのままになったんだそうな。
明治政府によって、廃城の憂き目に遭い、石垣の内部の土地は農地になったそうですが、昭和期になって、敷地内に小学校が建てられ、保存会が発足し、今に至るとのことです。
城内に唯一残る「御台所櫓」は、大きすぎて買い手がつかず、払い下げできなかったんだとか。
学校としての使用申請が認められたため、破壊を免れ、人手に渡らなかったことが災い転じて福となり、今では当時の唯一の遺構として保存されています。

 

今では、お城の中全体が小学校になっています。
ここの卒業生は「母校は国指定史跡にあったよ」とのちのち自慢できるのね。いいなあ。

 

 

御台所櫓の中も見学できました。高い天井と太い梁が頑丈。当時の炊事場だったそうです。
城の全景模型がありました。これを見る限りでは、星型というよりは桔梗の花のよう。
桔梗城とも言われるそうです。

 

函館のように、どこか高いところから眺められればいいのにな~。
小学校の屋上からなら見られるのかしら~と、校舎に熱い視線を向けました。

思わぬ歴史の勉強ができて、とってもためになりました。
資料館では、お茶とすももをごちそうになり、おいしくいただきました。
この辺りはプルーンの里として知られているそうです。

○ この日のお宿

バスはまた高速に乗りました。山々に囲まれた地。ずいぶん遠くへ来たなあと思います。
少し眠っている間に、化石が出た湖を過ぎたとヨウちゃんが教えてくれました。

 

また山道をくねくねと上っていき、夕方にこの日の宿へと着きました。
4階建ての建物が何棟かある、横広のリゾートホテル。理系っぽい名前です。
部屋はとても広々としていました。くつろげるわ~。
窓からはまっすぐスキー場のゲレンデが見えます。

 

ここは、私が初めてスキーをした場所。懐かしい~といっても、雪山じゃないのでさっぱり記憶と合いません。
ゲレンデづたいに、トレッキングコースも何本かあるとのこと。
「一日バスに乗って、あまり歩かなかったから、トレッキングしよう!」と言いながらも、居心地のいい部屋でお茶を飲んでのんびりしていたら、あっという間に山の日暮れはきてしまいました。

そこで、レストランに夕食をしに向かいました。
ここは温泉の出るホテルですが、レストランでは浴衣とスリッパは禁止されています。
外国人客が多いのでしょうか。
そのためか、あまりまったりとした感じはありませんでした。

 

木のベンチを上からのぞいて、びっくり。
「これ、木をくりぬいたのかな?」「でもこんな大きな木、無いよね?」
あれこれ考えていたら、ヨウちゃんが「継ぎ目がなければ一本の木」と教えてくれました。
ああ、冷静な判断力。検証したところ、はたして継ぎ目はありました。

バイキングスタイルですが、行ってみてびっくり。
まずは、ふんだんに盛られたカニの脚に驚きました。
すごいわ~。ハサミの数も半端ないわ~。

 

さらに目の前で寿司を握ってくれたり、ローストビーフを切ってくれたりしています。

 

例えほんの一口ずつよそったとしても、とても全ての料理は食べられないほどたくさんのメニュー。
しかもデザートコーナーには、チョコレートファウンテンもありました。
本格的!

 

客層は、家族連れが目立ちました。
ゴルフ場があるからでしょうか。でも子供たちは、ここでなにをして遊ぶのかな?
ホテルの隣には会員リゾートマンションも併設されているようなので、オーナーがファミリーで来ているのかもしれません。
もしかすると、リゾートマンションに近い間取りのため、部屋も広いのかしら、と考えます。

○ 温泉へ

食後は少し外を散策してみます。
外はすっかり真っ暗ですが、ホテルの一階がガラス張りなので、明るく光を放っています。
敷地内に木の教会があります。温水プールもありました。水着を持ってきましたが、無人なので、入るのはやめて、温泉に行きました。

ほかほかになって部屋に戻り、露天風呂で考えた句をヨウちゃんに発表しました。
日中のコスモス畑になぞらえて、「コスモスよ」で始まる折句にしました。

 「コ」このたびは
 「ス」すべて未知の辺(へ)
 「モ」森のなか
 「ス」澄みし野分が
 「よ」寄らむとせむかな

折句を作ってみたのは初めてですし、これで正しいのかまったくわかりません。寄らむ?寄らめ?
どなたかお詳しい方、ご教授下さーい。
こんな遊び心を出せるのも、ゆったりリラックスできている証拠です。
ちなみに、今回の旅行記タイトル「行方も知らぬ 秋の旅かな」は、曾禰好忠の
 「由良の門を 渡る舟人 梶を絶え 行方も知らぬ 恋のみちかな」
からいただきました。

 

お酒の自販機を見つけられなかったため、ソファでお茶を飲みながらアフター温泉のおしゃべりをして、真夜中過ぎに就寝。
夜になり、大雨が降り続いたので(もう台風がやってきたのかな?)と心配します。
翌朝晴れていることを祈りつつ、あっという間に心地よい眠りにつきました。

2日目に続きます。


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