風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

のんびり京都巡り 2-1

2014-10-27 | 近畿(京都・滋賀)
1-2からの続きです。

○ モーニング難民

2日目の朝。アラームで目覚めたけれど、二人とも眠くてすぐに起きられません。
たまった疲れの深さを感じましたが、朝風呂にるとシャッキリ目が覚めました。

関西といえばモーニング。
同志社大学の学食が朝からオープンしていると知って、食べに行きましたが、開いていません。



学内の別の学食も、まだ準備中です。
あれ、おかしいな?
この日は土曜日。平日より遅めに開くとのことでした。がっかり。
後期の大学院入学式の日で、キャンパス内にはスーツ姿の賢そうな学生たちが集っていました。



出町柳駅前でカフェを探したけれど、見つけられず、結局ロッテリアに入りました。
マイコのテンションが落ちていますが、私は(仕方ないもんね)とあまり気にしません。
ほとんどノープランの今回の旅で、完璧をめざすのは無理なのです。

若狭に続く鯖街道を見つけました。


朝のすがすがしい空気に満ちた鴨川を渡って行きました。





駅前のおにぎり屋さんがおいしそうだったので、昼用のおにぎりを買いました。
まずしゃけを選びます。もう一つは、手が滑って落としてしまったものを。
わさびかと思ってドキドキしましたが、わらびでした。山菜だったわ(ホッ)

○ 叡山電鉄・ええきっぷ

この日は叡山電鉄一日乗車券のええきっぷを使って、鞍馬と貴船に行きます。
出町柳から、一路鞍馬に向かいました。
電車はすいています。前に、紅葉電車に乗った時には、通勤ラッシュ以上の混雑で、窓の外の紅葉はほとんど見えないほどでした。
やはり紅葉の季節じゃないからなんでしょうね。



連れがいると、時間がたつのがあっという間。
端から端まで叡山電鉄に乗ったのに、長く感じません。
あと、写真を撮ってもらえるのがいいわ。
一人だと、自分が写り込んだ写真はほぼ皆無なので。
天狗の顔と2ショットを撮ってもらいました。
これで天狗がどれだけ大きいか、わかりますね。



○ 鞍馬ケーブルカー



山門に続く石段を登っただけでも、ヒーヒーの私たち。
「なんか、すでに疲れてるんですけど・・・」
昨日の疲れというより、旅行前にためこんだ疲れの方です。
こんなんで、山の上のお寺まで行けるかしら?



今回は初めてケーブルカーに乗りました。
なぜ?それは、一人でケーブルカーに乗る勇気がなかったからです(涙)!
昨日の男山ケーブルカーにも乗れず、登山して石清水詣でをしました(涙)!
ここは日本でただ一つ、お寺が経営するもの。
男山ケーブルカーも、ほとんど石清水八幡宮のためのものですが、だからといって運営しているのは京阪です。



乗車時間はたった2分間ですが、かなりの勾配。
前は、つづら折りの坂道をうんせうんせと登って行きましたが、これに乗ると、急な坂道を上る必要がなくなりました。
便利だったのねー。

○ お寺の境内でグレゴリオ聖歌

ところで、ケーブルカーの待合室には、なにか男性のコーラスが流れていました。
「これ、グレゴリオ聖歌じゃない?」とマイコ。
耳を傾けてみると、たしかにそのようです。
でも、ここはお寺の敷地内。キリスト教の聖歌は、一番流れてはいけないものでは?



謎すぎてキョロキョロと辺りを見回したら、それらしいCDのポスターがありました。
どうやら、仏教の声明とグレゴリオ聖歌がコラボをしたもののようです。
おもしろい試みをしたんですね。

○ 天狗の鞍馬寺



石段に息切れをするものの、さほど苦労をせずに天狗の鞍馬寺にたどり着きました。
パワーが強いと言われる、中心の岩盤に刻まれた三角形の中で、順番に祈ります。



ここの狛犬は虎。天狗だけでなく、毘沙門天を祀っているからです。
かなり猫背だわ~。



御朱印をいただきました。





ここの灯篭には、弁慶の浮き彫りがされてありました。



見晴らしが良く、とてもいい気持ち。
お弁当を広げている人が大勢いる中で、私たちもベンチに座って、ここでおにぎりを食べました。
気持ちのいい、ランチです。



○ 奥の院への道

ご飯を食べたところで、奥の院へ向かいました。
奥の院へと続く道が近づいてくるにつれ、襟を正す気分になります。
今回、ここを訪れた本当の目的が、これから。
前回、奥の院を通って貴船神社へと抜ける山道を一人で歩いて、遭難しかけたことがあります。
以前のブログにそのことは書きましたが、簡単にまとめると

・貴船神社のライトアップを見たい
・鞍馬寺から午後遅めに山越えすると、夕方近くに貴船到着
・予定通り、日が傾いた頃に山越え開始
・山の中で急に天候が変わり、雨が降りはじめた
・夕暮れ時間がなくなり、一気に夜に
・辺りは真っ暗、どうしよう⇒パニック!

完全に自分の計画の甘さが原因ですが、先が見えず、急速に冷え込んでいく木の根道で一人きり。
ケータイが通じず助けを呼べず、山犬や熊が出てくるかもしれない危険を、ひしひしと感じました。
これまで生きてきた中でも、忘れられないくらいの恐ろしい思いをしました。
1人では、怖くてもう歩けないと思っていた道を、2人で歩いてもらうことで、トラウマを解消したいと思ったのです。

でもやっぱり、こわい・・・。
かつての不安感がよみがえり、ひるみそうになる気持ちを励まして、歩き出します。
マイコが「えー、ここ歩くの?駅に戻ろうよ」とブーブー言うのを、「まあまあ」となだめることで、自分の気持を紛らわせます。

思ったよりも、奥の院への道をゆく人が多くて心強くなります。
人さえいれば、命はなんとかなるもの。
一人きりの時には決して無茶をしてはいけません。(とその時に学びました)

修行時代の義経が、のどをうるおしていたとされる、義経の息つぎの水。



すっかり山の中に入りました。こんな看板を見かけました。



黙っていますが、どんどん不安になってきています。
でも、なにより隣に連れがいることが、こんなにも心強いことなんて。
次第に山道はごつごつした木の根がはびこる歩きづらい道になります。



夕方、雨が降って一気に暗くなり、ほぼ見えなくなった山道で、足を取られそうになりながら必死に道を探して歩いたことを思い出します。



言葉少なになった私に、マイコが「こんなに根っこが出てるのに、踏んづけないでって無理じゃない?」と言いました。
看板に「自然保護のため、木の根は極力踏まないように」と書かれていたからです。
たしかにねー、ふふ。
相手がいると、ほんとうに気が紛れます。

○ かつては恐怖の魔王殿

義経殿を参拝し、なおもしばらく進んで、魔王殿にたどり着きました。
ああ、ここだわ。
以前ここに、よろめきながら来た時の計り知れない恐怖感がよみがえります。
暗い山の中で、魔王と私だけ。



屋根しかないにせよ、建物になっているここで一晩隠れて、獣の襲撃を避けようかとも思いながら、山の寒さに凍死するかもしれないために、先に行くことを選んだ場所です。
ここから貴船への道さえも暗くてなかなか探しだせず、難儀したものでした。

でも、今回、ここには10数名の参拝者がいました。
木々の緑をぬって日光が差し込み、すがすがしい空間になっています。
魔王殿の拝殿には、何人もの人が座って、祈りを捧げていました。
以前感じた怖い場所の雰囲気はなく、今回はすずやかな風が流れています。
あの時とはまったく違う空気でした。



ここに祀られる魔王というのは、650万年前に、金星から地球に降り立った聖なる存在で、私たちの守護神となってくれるもの。
鞍馬寺では、毘沙門天王と千手観世音菩薩と護法魔王尊の三身一体の本尊を合わせて尊天としてお祀りしています。
シューベルトの魔王とは違うんです。

○ チェーンが切れた

ここからは、階段を下って貴船へと向かいます。
前は、真っ暗な中、かろうじて見えるほのかに淡く白く浮き上がる階段の手すりを伝って降りて行きました。
手すりは白いのかと思いましたが、明るい中で見ると、グレーで特に色が浮かぶ風もありません。
でも、これのおかげで、なんとか進むことができたんだなあと考えながら手すりを伝って行くと、突然左腕にひやりとした感触がありました。
見ると、つけていたネックレスが落ちるところでした。
すごく驚きました。
何の前触れもなく、チェーンが切れたのです。



鞍馬山で一番パワーが強いといわれる場所を参拝した後、すぐのことだったので、かなり動揺しました。
霊的なことは信じなさそうなクールなマイコでさえ、
「魔王殿のところで切れるなんて・・・」とつぶやきました。

ペンダントトップが見当たりませんでしたが、跳ねたら下に落ちたので、身体についていたようです。
このネックレスは、小学生の頃に親にもらった、体温で色が変わる、不思議なアクセサリー。
高価なものではありませんが、ずっと大事に持ち続けている、私にとっての宝物です。

自分の身代わりになって、チェーンが切れたんでしょうか。
魔王のパワー・・・?
これで、怖い記憶から開放されたと考えていいのかしら。

○ トラウマさようなら

胸の動悸冷めやらぬまま、さらに山を降りて行くと、かすかに川のせせらぎが聞こえてくました。
貴船が近づいてきたしるしです。もう大丈夫。
山から無事に、舗装の車道に降り立ちました。
やったわ。もう恐怖心はありません。
これで、トラウマを解消できそうです。

2-2へ続きます。

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