風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-8北海道・青森ドライブ周遊記6

2012-08-26 | 東北
[深浦→能代→大館→十和田湖→青森]

○ みちのく温泉

朝、みんなで温泉に入り、ホカホカになって朝食を食べました。
浴場は、男湯へのドアが開いており、まみちゃんが「なぜー?」と閉めに行きました。
男湯・女湯がつながって、壁で遮られている露天風呂にも、下の石の部分に割と大きな穴が開いているし、いろいろと甘い造り。
「見えるかな~見えないや~」とガールズは興味津々でのぞきこんでいました。

五能線が旅館のすぐ横を通るため、一目電車を見たいと思いますが、1時間に1本くらいしか通らないため、なかなかチャンスをつかめません。
昨日サーッと通って行ったリゾートしらかみをまた見たかったのですが、10時台にならないと通りません。
チェックアウトをしてから、線路わきまで出て行って、9:20に通る五能線を待ちかまえて、無事に見ることができました。
あっという間に通り過ぎてしまいましたが、ガタゴトと古めかしい音で、風情がありました。

 

日本一の風車のそばに行ってみてみると、その迫力に圧倒されます。
仕組みがよくわかっていませんが、水は水車の一番高い場所から出て、流れ落ちているんですね。豪快だわ。
ガールズのコーちゃんが「おじいさんとおばあさんが水をくんでいるの」と言いました。
桃太郎の話と混ざってる?「それ大変。かわいそう~」とまみちゃんと笑います。
ガールズは「ふうしゃ?」と、しきりに尋ねます。
水車と風車の違いがまだわからないのでしょう。

 

水車小屋があり、シューベルトの『美しき水車小屋の娘』を思い出します。
近くに観音像もあり、(・・・娘?)と一人でギャップを噛みしめました。

 

宿の入り口には、大きな石のカエルがおり、たくさん小銭が乗っていました。
「おかねもちー」とガールズと私。なぜか、受付前の小さな石ガエルの上にも、同様に小銭が乗っていました。
この辺りは、何かカエル信仰でもあるのかしら?

○ ウェスパ椿山

 

五能線と水車を近くで見られたことに満足して車に乗り込み、出発。
まずは近くのウェスパ椿山へ向かいます。道路を横切って山の上へと続いていく長いスロープを見て、「これ、気になるわー」とまみちゃんが言います。
偵察してみたところ、「スロープカーしらかみ号」ということで、みんなで乗ってみることにしました。

 

中に、こんなダンボールがあり、まじまじと見つめます。
あんぶ・・・ただぎ?
目をパチクリさせて、まみちゃんを見つめると、「この絵でわかるでしょう?」と。
もしや・・・「アブ叩きだよ」

 

父母とも青森市内出身で、まきちゃん・まみちゃんも「私たちは町の子」という言い方をします。
彼女たちの津軽弁は、それほど濃くないため、ほとんど違和感なく理解できますが、町なかで聞く見知らぬ人の言葉はあまりわからなかったりします。
こんなに地方までくると、方言もディープになるようで、まみちゃんも珍しがって、写メを撮っていました。
あとで写真を両親に見せても、やっぱりピンときていなかったので、「町の子」の言葉ではないのでしょう。
ほのぼのとして、いいんですが、これ、地元の人しかピンとこないんじゃない?
外国人には全く通じないだろうし、日本人だって用途にしばらく悩みそう。
そもそも乗客用のアブ叩きがあるっていうのも、ちょっとシュール。
モヤモヤと考えているうちに、発車しました。

 

最高角度25度の急勾配をゆっくりとのぼって、風車の丘展望台へ。
ほかに道はなく、自力で登山しない限りは、このスロープカーを使わないとたどり着けない場所。
そばには白い風車が数機周っています。ガールズに「さっきの丸いのは、すいしゃ。これがふうしゃ。」と教えてあげました。

 

眼下には海。少し海にせり出している場所が椿山で、北限の椿が咲くところ。
今は海沿いにしか咲かなくなったため、人の出入りを禁止しているそうです。みんなが採っちゃって、数が減っているのかしら。

 

ここはウェスパ椿山駅前で、この辺りだけプレイランド風になっており、リゾート施設が集まっているヨーロピアン風のあかぬけた場所になっています。
先ほどまで過ごした、昔ながらの温泉旅館とはがらりと違う雰囲気。

 

何人もの小人が屋根の上にいる物産館コロボックルや、カブトムシの角がついた建物の昆虫博物館、SLなどがあります。
メリーゴーラウンドだと思って近寄ってみたら、2つの小さなねぶたで、「なんで間違ったんだろ~?」とまみちゃんと笑いました。
私たちはやっぱりどこか抜けていて、その具合が似ています。

 

スロープカーの解説お姉さんに紹介された、地元産のふかうら雪人参を使ったキャロットソフトクリームを食べてみました。
冬の極寒期のニンジンなので、ほのかに甘く、シャーベットのようにあっさりしておいしかったです。
ニンジン嫌いでもこれなら大丈夫!

 

○ 能代

それから海岸線沿いの五能線づたいに車を走らせ、ひたすら南へ向かいます。
うとうとして、気がついたら海沿いを離れていました。
「とっくに秋田に入っているよ」とテルさん。
能代のあたりまで来ていました。つまり五能線の終着駅あたりということですね。
五能線を端から端まで車で並走したことになります。
これまでの風景とはがらりと変わり、緑深い中へと入っていきます。

秋田は、ほかの東北県に比べて縁の薄い場所。
「秋田に来るのは、たぶんこれが3回目。1回目は幼稚園の頃、まみちゃんやほかのイトコたちと男鹿半島へ行ったときよ」と話したら「よく覚えてるね」とまみちゃんに驚かれました。
ってことは、まみちゃんは忘れちゃったのかしら?
母にも同様に驚かれましたが、きっとなまはげがこわかったからでしょう。
「なまはげ、私たちと一緒に記念写真に写ってたんだけど、まさかり振り挙げて、今にも襲いかかってきそうでこわかったー」と、当時の恐怖を分かち合おうとしても、「それほんとに人間だった?紙じゃなかった?」と聞いてくるあたり、覚えていないようです。
さびしーい。なぜ紙のなまはげと記念写真を撮るのー(笑)。
「D51もあったじゃーん」と言ったら、「耳なし芳一?」という返しが。
「耳なし芳一じゃなくて、デゴイチ!」ともう一度言ったら、「いや、耳なし芳一の話をみんなでしなかったっけ?」と。
そんな細かな話は覚えてなーい。「ほんと、会話が噛み合ってないな」と、運転席のテルさんが吹きだしました。

大館に入り、さらに延々と車は走ります。6時間くらいかけて、ようやく十和田湖に到着。
昨日も300キロくらい走ってもらったし、今日もテルさんにものすご~く運転してもらいました。
私のリクエストに答えてもらったためで、本当に申し訳なくありがたく、嬉しいです。

○ 十和田湖

車を降りて、遅めの昼食をとりました。
(ここでしか食べられないものにしよう)とメニューをにらんでうんうん悩んだ末に、シャモロックラーメンという迷走したチョイスに。

 

きりたんぽラーメンと、最後まで悩みました。(え)
テルさんはひめます定食、まみちゃんは稲庭うどん。(その手があったか!)

 

 

ヒメマスは、ベニザケが湖に陸封されたもので、阿寒湖原産だと、箸袋に書いてありました。
そういえば、ここの店名は、リゾートレストランひめますでした。

 

「シャモロックなんておしゃれな名前だよねえ、どんなニワトリなのかな」と聞いたら、「ニワトリじゃないよ、しゃもだよ」と言われます。
店内に、りりしい姿のシャモロックポスターが張ってあり、「六戸の誇り」と書かれていたため、「六戸のしゃも・・・シャモロック!」と気がつきました。
シャーロックでもシャルロットでもなかったー。
チャーシューがシャモロック肉で、おいしゅうございました。

 

それから、十和田神社へ向かいます。ヒーちゃんの手を握りながら、木の根の出ている林の中の道を、つまずかないように歩いていきました。
十和田湖も初めての来訪ではありませんが、ここの神社を参拝したことはありませんでした。
パワースポットだそうで、古めかしい、きれいな空気を感じます。狛犬が雰囲気がありました。

 

神社から湖までの開運の道を通ります。
いくつもの自然の岩穴を祠にして、風の神や碑の神などを祀っています。
そのひとつひとつにお賽銭を入れたテリーさんの号令に合わせて、みんなでお参りしました。
お賽銭も弾んだし、開運ピカピカ、間違いなしでしょう。

 

湖畔の乙女の像と対面しました。いつ見ても、やっぱりふくよかー。
ガールズは「ハダカ~」「ももじり~」と、二人とも大はしゃぎ。
なぜ子供ってハダカが好きなんでしょう?(子供は大人のミニチュアだから)

 

ハダカを見ると「ももじり♪」と言って喜ぶ彼女たちに「すべてのお尻が桃尻じゃないのよ。たとえばこの乙女たちは…違うと思うわよ」と教えてあげたかったのですが、変な親戚扱いされそうなので、黙っていました。
でも、その場に居合わせたほかの観光客もみんな、(これは桃尻じゃなーい!)と思っていたことでしょう。
いえ、お尻は関係なく、これは芸術作品ですからね!

○ 遊覧船

 

とても暑い日で湖の反射がまぶしく、目も開けられないほど。
遊覧船に乗ることにします。一周コースではなく、奥入瀬の子の口まで湖を突っ切って行くもので、テルさんはそこまで車で行って先回りしてくれるとのこと。
遊覧船が出そうなので、みんな暑い中を猛ダッシュして乗り込み、桟橋で見送るテルさんに手を振ってしばしのお別れをしました。

 

ガールズは、今生の別れといわんばかりに、「パパ、バイバーイ!」と大声で叫び、ちぎれるほどに手を振っていました。
みんな走ってゼイゼイになったので、冷たいドリンクを飲んでひと心地。ほどなくしてまみちゃんの電話が鳴りました。
どうやら車のキーをまみちゃんのバッグに入れていたらしく、「車を動かせないから戻って来てね」とのこと。
テルさんだって、私たちの仲間じゃなーい。似た者同士だわ。

湖面をわたる風がとても心地いいよく、うっとりします。
乗客は私たちのほか、熟年カップル一組のみというほとんど貸し切り状態で、ゼイタクながらも(いいの?)と思いました。
「久しぶりだな、元気でいたか」「ええ、あの時を思い出すわね」(脳内劇場展開中)
なんだかドラマのワンシーンみたい。
そんなムードは一切お構いなしに、ワーワーと船内を楽しそうに走り回るガールズ。いいのよ、子供だから…。

 

私は「すいてる!」とうれしくなりますが、まみちゃんは「ここまで人がいないと、子供たちが湖に落ちても見ててくれる人がいない」と心配そう。
母の視点だわ。
ほんとに彼女たちは、ダーッとすぐに走り出して、どこかに行ってしまうので、心配はつきないだろうと思います。

 

静かな水面を波立てて、遊覧船は進んでいきます。
昨日の青池ほどに青い箇所もありました。
神秘的な湖に見とれていると、バナナボートに乗った人たちが手を振りながら追い越していきました。
一気にウエストコーストっぽくなります。

 

「ここが湖でいちばん深い辺りです」と放送が入りました。
最大水深327m。「東京タワーがすっぽりと入るくらいです」と言われて、その深さに驚きます。
そんなに深いなんて、きっと湖の底には、いろいろなものが沈んでいるんでしょうね。
・・・と考えていたら、十和田湖から旧陸軍の一式双発高等練習機が引き揚げられたというニュースが入りました。やっぱりー。

十和田湖にはずっと来たかったので、本当にうれしいです。
前は小学生の頃、叔父の車に乗せてもらって、母とまみちゃんと4人で来ました。
初めてきりたんぽを食べたのが、ここでした。
今回もまみちゃんと一緒。本当にかけがえのない身近な親戚です。

子(ね)の口に近づいてきました。あの橋の下が奥入瀬渓流が十和田湖に流れ込む場所でしょう。
素敵な橋だわ。すっかり橋チェッカーになっている私。

 

遊覧船内の表示は、中国語2種(?)、韓国語、ロシア語が併記されていました。
ロシア語が出てくるところで、やっぱりここも北国だなあと思います。
それにしても、世界共通語の英語が登場しないということにビックリ。

 

十分に遊覧を満喫して舟を降りたら、今度はタクシーに乗りこんで、元の場所へと戻ります。
10分の道のりと聞いたけれど、なかなか距離があり、タクシー料金は3000円弱でした。意外に高く、十和田湖の大きさを実感します。
運転手は年配の男性で、助手席のまみちゃんと話をしていますが、正直、言っていることがほとんどわからず、押し黙っていました。
あとでそう言ったら、まみちゃんは「そうだね~。青森市とはまた違う言葉だからね」。それでも言っていることはわかるのねー。
それなりに津軽弁には慣れてきたつもりですが、それでも「けやぐ」が「ともだち」というのは、どうしてもわかりません。
テルさんも「わのけやぐ(=マイフレンド)」とか言うんだそうな。
あとは「仕事をふやかす」とかいうんだそうな。水を吸って増えちゃいそう?

○ 奥入瀬渓流

タクシーを降り、待っていたテルさんと合流して、車に乗り込みます。
「奥入瀬渓流の散策がなくてごめんね」と謝ってもらいましたが、小さい子供たちと一緒なので、木の根が出ている歩きづらい道はかえって不安。
渓流沿いにしばらく上って行ったため、歩かずとも、奥入瀬すがすがしい流れを満喫することができました。

 

本当は、十和田湖現代美術館にもつれていってくれる予定だったそうだけれど、5時閉館のため時間切れ。
青森までも結構距離があるため、そのまままっすぐ帰途につきます。

二日間のドライブ中、ずっと車内ではドラゴンボールのDVDが流れていました。
テルさんが大好きなんだとのこと。
あまり知らない私でも、さすがに頭に入ります。
世界はでっかい宝島なんだなあとか。孫悟空にしっぽがあるので驚いたら「だってサルだもん」そうだったんだー!

2日目の夕方には24HTVが流れていました。
これを見ながらしんみりし、別れの寂しさとリンクしていきます。

青森へ帰る途中、「キリストの墓」の看板がありました。
「あんまりあちこちに行くと、次に案内する場所がなくなるから、今度ね」
ネタ的な、いえ伝説の地として、義経寺参拝ができたので、充分ですー。

ほかに「青龍寺まで車で10分」という表示もあり、五重塔好きとしてチェックしている私は(おお、昭和大仏と五重塔!)と思いましたが、静かにしていました。
またうとうとし、気がつけば車はもう青森新町通り。アスパムが見えます。
駅前近くでおろしてもらい、明日仕事のテルさんだけ先に帰りました。お疲れ様です。本当にどうもありがとう!
私たちは、駅前で女子会食事。すっかりガールズ、特にヒーちゃんがなついてくれているため、(これは別れが寂しくなるなあ)と思いながら、最後の晩餐をいただきます。

女の子たちは、今日一日でごはんのほかに、ソフトを2個、アイスを一皿食べています。
すごい食欲~。太らないのは走りまわっているからねー。
食事が終わり、まみちゃんたちはタクシーで帰宅しました。
今回の旅は、私の分まで全部負担してもらって、大恐縮。
今度東京の方に遊びに来た時には、私がこころゆくまで御接待しますね・・・!

みんなと別れ、一人になって、じんわりと寂しさがこみ上げてきました。
まみちゃんから「ガールズは泣きじゃくっている」と、さっそくメールが入ります。
私も子供なら泣きじゃくりたーい。小さい頃は、別れの悲しみは深かったけれど、今ではネットでも繋がっているし、またきっとそのうち会えると、未来を信じられるようになってきたので、大丈夫。
いい人たちと一緒にいい思い出ができた、いい旅でした。


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