風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-8 箱根・湘南・夏すすき1

2012-08-30 | 神奈川
旅の神様にほほえんでもらったこの夏は、本当に旅行づいています。
夏休み最後のプチ旅行として、箱根に行ってきました。
同行者は、この前一緒に霞ヶ浦一周ドライブをした、ラーさんことLatourさん。
お昼に新横浜で待ち合わせし、プリウスに乗りこみます。
高速に入り、海老名SAで昼食。
「海老名の名物っていったらなんだろう?」
ラーさんはエビカレー、私はエビ塩ラーメンと、結局それぞれ海老ものを選びました。
名前だけという気もしますが・・・。

 

快調に車は進み、箱根道にさしかかると、そこからは道幅も細くなり、道路も混み始めました。
昔の道なので、仕方がないのでしょう。

 

アーチ橋の向こうに、赤い橋が見えて、身を乗り出します。
千歳橋という名前の下に「土木遺産」と書いてありました。土木学的に貴重な建築なんでしょう。
吊り橋好きの私のために、ラーさんはいくつか橋を見つくろってきてくれ、その中の鶴翁橋を渡ってみました。
塔ノ沢の温泉宿専用の吊り橋で、橋からの眺望がいかにも温泉町という風情でした。

 

くねくね道を迷ったりしながらも、予定通り3時に宿にチェックインします。
ガラスの森美術館そばの、去年泊まった、職場の保養所から割と近い場所にありました。

今回の旅は、これまでとは違って、宿でのんびりするのが目的。
宿泊先「仙石原品ノ木一の湯別邸」は、温泉宿の別邸、しかも露天風呂付き離れの広々とした一軒家。

 
 
二階建てで、完全にプライバシーが保たれています。
宿の母屋にも宿泊部屋はありますが、離れは4棟のみ。
最小2人、最大5人まで泊まれるというゆとりの広さです。
旅程をすべてお任せしていたラーさんに「よく予約取れたのね」とため息をついたら、「私もそう思う」と言われました。

 

離れの家の玄関には、名前が書いてありました。私たちの棟は「乙女」。
箱根での宿泊旅行は、これが3回目ですが、そのどれもが「乙女」の部屋でした。
ほかは「足柄」「金時」などです。
女子同士だからでしょうけれど、乙女部屋記録が更新されて、嬉しいわ。

 

 

 

木造の離れは、まだ新しく、すがすがしさが漂っています。
標高が高い箱根も、実際に来てみると下界と変わらない暑さ。
それでも、宿にいるとのんびり、のびのびできます。
今回は、移動せずに居心地いい宿でひたすらゴロゴロしようと身体を伸ばしましたが、ラーさんは違いました。
「一息ついてから仙石原へ行きましょう」

 

今回、箱根に行きたいと言ったのはラーさんですが、それには理由があったようです。
俳句の会に入っているラーさん。会員たちと、飯田蛇笏の

「 をりとりてはらりとおもきすすきかな 」

の句の話になり、「このススキは、秋枯れしたものか、夏の青々としたものか、いったいどっちだろう」と、討論になったとのこと。
専門的すぎる話に(はあ・・・)と聞くしかない私。
個人的には、秋のススキじゃないのかな、と思いますが、「重さがあるから、夏ススキじゃないかっていう意見もあるの」とラーさん。

結局、どちらなのか、実際に折り取ってみて、確認しようと思ったとのことです。
まあ、なんて教養「プラスアルファ」(←こっちが大きい)なんでしょう。
私の友人は、だいたいにおいて凝り性の人が多いのですが、ラーさんもかなり高度だわ~と思いながら(うん)と頷きました。

をりとりて・・・
   

はらりとおもき・・・
 

すすきかな。

さて、この決着はどうつくのでしょうか。

さして俳句のたしなみなど無い私。
ススキといえば秋、秋といえばコスモス、コスモスといえば水原秋桜子と連想しました。
「水原秋桜子は、弟子にも名前の意味を教えなかったそうよ」
ええっ、なぜかしら?

 

シロウト発言しかできない私。「"咳をしてもひとり"の歌の良さが、どうしても分からないの」と言うと、「ああ、尾崎放哉ね。あの人の人生を知ると、なるほどねって思えるわよ」と、かいつまんで教えてくれました。
孤独に愛され、そして疎まれた孤高の俳人だったんですね。
普通の生活からはとうてい生み出せないような、突出した句ですからね。

荻(おぎ)とすすきは似ているけれど違うとも教えてもらいます。
荻と萩の区別もついていない私は、自然観察教室に入っているような気になりながら、折り取ったすすきと一緒に宿に帰りました。

途中で寄ったコンビニは、去年も立ち寄ったお店。
相変わらず、エヴァ一色です。

 

離れに戻ってから、掘りごたつに座ったラーさんが取り出したのは、テープとスケール。
テープでススキを留めて、重さを測っていました。
まるで科学者のよう。すごいわー。
俳句好きの人の情熱(というかなんというか)をまの当たりにした気分でした。
 

 

庭には露天風呂があります。私たちだけの専用のお風呂。
お湯をためる必要がなく、温泉が常時入れる状態になっています。
まだ外は明るかったのですが、さっそく入って汗を流しました。
温泉につかって青い空を眺めるなんて、とっても贅沢だわ。

 

夕刻になり、別邸宿泊客用の別の棟まで夕食を食べに出かけます。
穴子の竜田揚げや湯葉と野菜のせいろ蒸しなど、ヘルシーなメニューでしたが、たくさん出ておなかいっぱいになりました。

 

Latourという名前に恥じずアルコール好きのラーさんは、湘南ビールを頼みます。
鳥が飛んでいるデザインかと思いましたが、えぼし岩だそうです。

 

追加でゼイタクに伊勢海老のお刺身も頼んだら、お店の人が赤身のだしをとってくれました。

 

本館にも大浴場はありましたが、ふたたび露天風呂に入り、別荘気分でのんびり過ごします。
夜になると星が出て、満月に近い丸い月が煌々と輝いていました。さかさウサギの耳までわかります。
まさに月見風呂を堪能しました。

 

コンビニでスイーツも調達していましたが、夕食がボリュームたっぷりだったため、まったく手をつけずにお茶だけ飲んでゆっくりします。
本館にはエステルームもありますが、当日予約は締め切っており、チェックだけして部屋に戻りました。
月見酒ならぬ月見茶を十分に楽しんでから、遅めの寝につきました。


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