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風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

4. 秋山郷:切明温泉

2011-05-28 | 中部(甲信越)

あとは、秋山郷の一番奥にある、この日の宿へと向かうだけ。
見倉橋のそばには「かたくりの宿」がありました。
元廃校で、マロンはここに泊まりたかったそうですが、山菜シーズンのため、満室で取れなかったとのことです。



山菜シーズンなんて、都内にいると、ついぞ聞かない響きで新鮮。
でも、外から見ても、かたくりの宿から人の気配はまったくしませんでした。
みんな、山菜摘み中かしら?それとも宿泊客はみんなゴースト…?

そこから山道に入ります。先の見えないカーブをまた延々と登っていくことに。
シルバーラインもドキドキする道でしたが、あそこはトンネル。
今度の405号は、舗装はしてあるものの、カーブの続く狭い山道なので、下手をするとカーブを切り損ねて、崖の下に転落してしまいかねないスリル満点です。
おりしもこの日、山形県米沢市で車が林道から転落したという事故を聞いたばかりなので、「新潟県でも…ってなったりしてー」と引きつりました。

もう人家などまったくないような道をどんどん登っていくのに、定期バスがやってきたりして、「えっ、すれ違えるの?」とみんなであせります。
今度は下り坂になり、集落を通り過ぎました。
そしてまた上り坂に。つまり山を一つ越えたんですね。
さらに緑は深くなり、うねうね道の途中に分かれ道が時々あると、もはやさっぱり方向感覚がなくなります。
カーナビがなければ、どうにもならなかったかもしれません。
くねくねと続く道の途中で、目指す宿の看板をようやく見つけました。
切明温泉には宿が3つだけあり、私達の宿は、一番奥の、道の最果てにありました。
そこから先は冬季閉鎖中で行き止まり。
木曽路はすべて山の中にあるみちのくだった!(もうごちゃごちゃ)

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車を降りると、そこは完全に山の中。どこを向いても、山々がそびえ立って、私達を見降ろしています。
辿り着いたのは、切明温泉「雪あかり」の宿。ここも、かたくりの宿のような、木造校舎風の建物です。
かわいいネコのトラ吉くんが、お出迎えしてくれました。
とても人懐こくて、首の鈴をチリチリ鳴らして寄ってきます。みんなでなごみました。




荷物を置いてから、建物の外を散策しました。
迫りくる迫力の山々を見上げ、人の手の入っていない雄大な大自然と、その中にいる自分の小ささを感じます。
宿の前は深い渓谷。下は川が流れており、滝が見えます。
ここは温泉が湧き出ており、河原では石を動かして自然の露天風呂が作れるそうです。
そんな場所ってあるんですね。



振り返って、宿の建物を見ると、外についたてが何枚か並べられた場所がありました。
ん?あそこは、もしかして・・・。
「宿の露天風呂、なーんてことないよね」と言いながら、ちょっと近寄ってみたら、ついたての間から、思いっきりお湯につかっているおじ様が見えて、慌ててきびすを返しました。
まさかの露天風呂だったー!あって無きに等しいついたてしかないから、宿の前の道から見えてしまうなんて、なんというゆるさでしょう!
まあ、この辺りにいる人間は、この宿の人だけなんでしょうけれど。



宿に戻ってから、人がいないのを確かめ、露天風呂を見学しに行きました。
母屋から外に出て、建物の下を20mほど歩くと、脱衣所と露天風呂があります。
建物に近いし、ついたては隙間だらけだし、どうも落ち着かなさそう。
まあ、河原には大自然露天風呂があるくらいですから、小さなことは気にしないべきなんでしょうけれど、今まで知っているのは、完全に外からは見られないようになっている造りばかりだったので、ちょっとカルチャーショックでした。



そうこうしているうちに、夕食の時間になり、高天井の食堂へと向かいました。
テーブルは全部で5つ。5組が滞在しています。
親子づれ5人家族に年配のご夫婦二組、そして私達に男性一名。
こんな人里離れた、寂しい場所まで一人でやってきたなんて、それだけでも根性あるなあと思いました。

食事をのせる紙には、「ようこそお越し下さいました」と、手書きで書いてありました。みんなそれぞれ違うメッセージです。
宿の人の暖かい心配りを感じました。
箸袋には「秘境秋山郷 切明温泉秘湯の宿 雪あかり」と書いてありました。
秘境で秘湯。抵抗なく認めます。まさにその通りの場所です。
ここは、日本秘湯を守る会の会員だそうです。そんな会があるんですね。



夕食は、山菜づくし。緑が多くて見るからに健康そうです。
山菜狩りでの取れたてのものを食べられるなんて、嬉しい。焼いた岩魚も出てきました。
宿の人が目の前で山菜を天ぷらに揚げてくれて、カラッと揚げて数秒後のものをいただきました。
うどとか、山ニンジンの葉とか、ふきのとうとか、どれもおいしいものばかり。
山菜メインですから、そんなにおなかにたまらないはずなのに、途中で満腹になり、食べきれませんでした。



温泉は、かすかに硫黄のにおいがしました。ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉とのこと。
温泉には詳しくありませんが、柔らかい感じがしました。
夜になると山の中は冷え込むため、じっくり温まりました。

大都会から、一気に秘境に入り、秘湯を堪能した一日。
すべてが刺激的でした。



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