風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

日光雪景色-1

2014-12-21 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
  ○ prologue ○ 上馬と下馬 ○ 鬼平じゃない羽生PA
  ○ 雪山いろは坂 ○ 中禅寺湖畔の中禅寺 ○ 車を降りるとスケートリンク
  ○ お寺の雪だるま ○ 凍った延命水 ○ 根っこが付いた観音様 ○ 旧イタリア大使館

○ prologue

年末の押し迫った日、アコリンと日光へ出かけました。
かつて紅葉を観に出かけて、いろは坂渋滞にはまり、大変な目に遭ったことがあるため、秋の混雑を避けて季節の変わり目辺りに行こう…と思っていたら、寒波が押し寄せて、日本列島は一気に冷え込んでしまいました。

前日に大雨が降ったので、いろは坂の凍結を恐れて、スタッドレスタイヤをつけたアクアで出発です。
特急スペーシアも好きですが、今回は都心から車で向かいます。
早朝起きると雨はすっかり上がり、きれいな冬晴れの日でした。
お互い晴れ女だものね、レッツゴー!

アクアはプリウスの小型版なので、とても静か。
そういえば、前はスペーシアを降りてから今市でプリウスに乗り換えて中禅寺湖に行ったなあと思い出しました。
あの辺りは低公害バスも通っていて、自然保護のためにエコカーを推奨している一帯です。今回の車も低公害車。たまたまですけどね。

○ 上馬と下馬

上馬から高速に入りました。
「そういえば、下馬っていう所もあるよね」と話します。
「東京の地名は"シモウマ"だけど、宮城に住んでいた時、隣の駅が同じ字で"ゲバ"と読んだから、ついゲバって読んじゃって」
と言うと、アコリンは「ゲバってー!」と笑いました。

昔、塩竈神社に参拝をするお殿様がそこで馬を下りた場所だからですが、響きだけ聞いたら妙ですもんね。
仙石線に乗っていると「エー、次はゲバ~。ゲバゲ~バゲバ~」とアナウンスがかかって、引っ越ししたての私たち家族は、笑いをこらえるのに必死でした。

でも世田谷のシモウマの方は、上馬(カミウマ)もあるので、馬を降りるという意味ではなさそう。
どんな由来なんでしょう。
後で調べてみたところ、もともとこの辺りは上馬引沢村・下馬引沢村と呼ばれており、それが簡略化されたものだそうです。かつては中馬引沢村もあったそうな。
この辺りは駒沢もある、馬ゆかりの地名が多い場所。
源頼朝が遠征途中に訪れ、この辺りの沢で「馬を曳いて渡れ」と命じたのが由来だそうです。

高速はすいています。車はとても少なく、スーイスイ。
いつもこんなにすいていたかしら?前の日が大雨だったから、みんな動き出すのが遅いのかしら?



ピッカピカのタンクローリーの後ろについたら、大きな鏡のようで、私たちが映って見えそうでした。

○ 鬼平じゃない羽生PA

車は東北自動車道へと入ります。
「もしかして、羽生を通る?鬼平PAに行ってみたーい!」
「あそこいいよ~、じゃあ寄って行こう」
勇んで向かいましたが、着いてみると普通の外観です。アレ?
鬼平PAは、反対側の方でした。あらら、じゃあ帰りに忘れずに寄らないと。

羽生つながりで「今年はフィギュアスケートの羽生君が活躍したね」という話になります。
ついでに『ビルマの竪琴』の話をしようかと思いましたが、やめておきました(→埴生の宿)。
年末なので、今年活躍した人の話題になったものの、どうも悪名がとどろいた人ばかり出てきて、輝いた人はあまり思いだせません。
チバットマンくらい?(えー)
年末の「今年はこんな年だった」特集を見なくちゃ。



快調に車は進み、清滝ICに滑り込みました。
天気はいいし、道はすいているし、アコリンの運転は上手だし、アクアも快適。
「これからいろは坂だねー。よし!」
アコリンは気合を入れています。
助手席の私も、なぜかおなかに力が入ります。



だんだん、雪をかぶった山が見えてきました。

○ 雪山いろは坂

いよいよいろは坂です。
少しずつ登って行くと、景色はだんだん雪景色に変わりました。
「道路は凍結してないね」「よかったー」



除雪車が通った後らしく、舗装道路が見えています。
いくらスタッドレスタイヤでも、私たちは雪道に慣れていない都会っ子(?)。
この道が通れないと、中禅寺湖一帯は孤立してしまうので、除雪はきちんと行われるのでしょう。



この道もスイスイです。ほとんど車通りがありません。
途中で自転車で登って行く人を見かけました。す~ご~い~。



途中の見晴らし台で、数台の車が停まっていたので、私たちも降りてみました。
歩き出そうとしたら、足元がつるつるですべりそうに。
薄く積もった雪が氷になっていて、危険です。降りた人たちは、みんなすべり気味に歩いており、記念写真を撮るのにも一苦労でした。



いろは坂、よく見ると、右側車線が少し凍結しています。
「これ、帰り道、完全にアイスバーンじゃない?」「ブレーキきかなそう」
2人で恐怖にひたりかけましたが、考えてみればここは一通道路でした。
こんな時には右側は使わないんでしょうね。



「猿はいるかな~♪」とアコリン。
残念ながら、一匹も姿を現しませんでした。
「寒いから、きっと温泉につかっているんだよ」
猿どころか、鳥もいません。
熊も冬眠に入っているのでしょう。
生物の姿が見えないと、いっそう荒涼とした冬を感じます。



ロープウェイが頭上を通って行きました。
乗客が見ているのは、一面の雪世界でしょう。

ようやく坂を上り終えると、雪は一層分厚くなっており、まさに北国でした。
「あれ、ここ、関東だよね?」
ここまでとは予想しておらず、スノーブーツで来るんだったと後悔する私たち。
道路以外のところは雪が深くて、歩けなさそうです。



ナビに従って曲がろうとしたら、「冬季閉鎖 一般車通行止め」と書いてありました。
えー、ここから先には行けないの~?
「だからといってここから歩いて行くのも無理そうだね」と途方に暮れる私たち。
大回りできるか、別の道を通って行くことにしました。

○ 中禅寺湖畔の中禅寺

長い坂をのぼると、雪国であった。
坂の下にいる時には想像もしていなかった辺り一面の真っ白な光景にあぜんとしましたが、「そ、そうだ、まずはお寺だっけ」と、気を取り直します。
そろそろと車を動かして、まず訪れたのは、中禅寺。



子供の頃から中禅寺湖のことは知っていたのに、このお寺のことはつい最近まで知りませんでした。
考えてみれば、湖にはこのお寺の名前がついているわけなので、たいそうな場所のはず。
なのに「中禅寺に行った」という話を聞きません。
日光のお寺といえば、どうしても東照宮になってしまうからでしょうか。

○ 車を降りるとスケートリンク



お寺の前に広い駐車場がありますが、そこも凍っており、降りたとたんにふらつきます。
運転手側のドアから下りたアコリンが、見えなくなったと思ったら、バランスを崩して転んでしまいました。
「大丈夫?」と車の反対側に向かおうとしますが、自分も足元がツルツルなので走り出せず、よたよたと、車体をつたってそばまで行きます。
まるでスケートリンク上にいる時のよう。



プロ仕様の一眼レフカメラを首から下げていましたが、本人もカメラもとりあえずは無事のようでした。
とにかくかなり足元注意。半分滑りながら、時間をかけてようやく受付まで辿り着きます。
中にいた女性に、慈愛の目で「境内は雪かきをしていますが、十分注意してくださいね」と言ってもらいました。

○ お寺の雪だるま

「海抜1,269m」という表示を見て、驚きます。
「そんなに高いところにあるんだ。どうりで雪に覆われているはずね」
「標高8~900mの高野山よりも高いのね」とアコリン。
あそこもかなりの高さ。そう考えると、なおさらすごいなあと思います。
ちなみに中禅寺湖は、日本の湖で一番標高が高いところにあるそうです。
それで非日常感たっぷりなんですね。



お寺の入り口には、雪だるまがいました。
かわいい!
ニンジン鼻です。
遊び心がありますね~。
後ろの仁王様には見向きもせず、2人でキャッキャッと雪だるま撮影をしました。



○ 凍った延命水

手水舎には、つららがついています。
こんな時には、手を清めるのにも覚悟がいります。
うーん、水に触りたくなーい。(軟弱者)



「延命水」と書いてあるだけで、飲用可能かはわかりませんが、勇気あるアコリンが飲んでみたので、私も口に含んでみました。
雪解け水の味がしました。
ところで、勇気ある人って、長生きするんでしょうか?
確率的に、小心者よりもフグの毒に当たりやすそうな気がしますが…。

境内には、大きな瘤のついた木がありました。
人の病気をここに吸い取ってくれるそうです。
私は、身体はいたって健康ですが、気持ち的にパワーがない状態。
それで、今回日光のパワーをもらいにやってきました。
このメロウな気持ちを吸い取っちゃってほしいものです。



○ 根っこが付いた観音様

本殿で、ご本尊の「十一面千手観世音菩薩」を前に、お坊さんに説明をしてもらいました。
解説付きなんて贅沢です。
なんと、開祖のお坊さんが生きている木を彫って、観音像を作り上げたんだとか。
「いまでも根をはっています」と聞いて、びっくりしました。
足元に注目しましたが、段差があって、根のところは見られないようになっていました。
それで立木観音というんですね。
国重要文化財だそうです。大陸風のお顔でした。

すごいですね。これはおいそれとは動かせません。
なにがあっても火事には気を付けないと!

観音像からは五色のお手綱がのびていました。
いつもあるわけではなく、今年が午年の御開帳年だからだそうです。
それに合わせて坂東巡りをしていましたが、なかなか大変で、今年は半分くらいしか周れなさそうです。
今回は、こちらの御朱印をいただきました。やったあ。

奥には五大堂があり、五大明王像がありました。
ここでも、違うお坊さんに解説してもらいます。
天井には大迫力の龍が描かれていました。
これは、東照宮の鳴き龍と同じ堅山南風画伯の手によるものだそうです。
ここでアコリンは赤い小槌、私は御朱印をいただきました。



お寺の前には中禅寺湖が広がります。
紅葉の季節には、さぞかし美しかったことでしょう。
でも今の、凍てつくような荒涼とした風景もまた、いいものです。

○ 旧イタリア大使館

それから、旧イタリア大使館へ向かおうとしました。
徒歩15分とあるため、歩き出しましたが、車道は除雪車が入っているものの、歩道には入っていないため、歩くのにも一苦労。
50mくらいはがんばって進みましたが、
「・・・これってムリかも?」
「やめとこうか」
ということになり、満場一致で(といっても2人)行くのをやめました。



前にもここを訪れましたが、ちょうど閉館したところで入れなかったし、なかなか縁がありません。
でも、無理はしないのが旅を楽しむコツです。
次回にぜひ~。

その2に続きます。



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