風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

秩父の奥の三峯へ

2013-07-15 | 埼玉
● prologue
● 西武池袋線
● 天下大将軍・地下女将軍
● はげ山の一夜
● 三峯神社線バス
● 秩父湖を越えて
● 山の上の三峯神社へ
● 境内参拝
● 下りもバス
● 秩父駅周辺散策
● 秩父神社と秋葉神社
● レッドアロー号で帰京

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● prologue

今年は、真夏になるのが早い、早い。
7月の段階で、もう35度超えしています。
これはたまりませんね。暑さに弱い仲間のJunと「どこか涼しいところに行こう」ということになりました。
日帰りとなると、関東近県に限られます。
あれこれ考えても、こう暑いと、関東で涼しい場所が思い当たりません。
富士山のあたりは、世界遺産フィーバーで混んでいそうですし。

そこで、三峯に行くことにしました。
秩父にある、山岳神社です。
秩父自体、足を踏み入れたことがなく、はてしなく遠い場所のように思えていました。

● 西武池袋線

当日は、池袋集合。そこから西武池袋線に乗り込みます。
なんだか最近、西武線で埼玉の方に行くことが多くなっています。
5月には川越に、今月頭には狭山に行って来たところ。
どこも馴染みがない場所ばかりで、毎回乗るたびに(次に西武線に乗る機会は、しばらくないだろうな)と思ってばかりいました。
なのに気がつけばこんなにひんぱんに乗っているなんて!このままいくと埼玉博士になれるんじゃないかしら!
いえいえ、今までが知らなすぎただけでした。

「秩父漫遊きっぷ」を購入して行きました。
「ロマンきっぷをください」と言ったJunに、駅員さんは、一瞬黙ってから「ああ、漫遊きっぷですね」と対応してくれました。
浪漫と漫遊。おしい!けど意味は重ならなーい。

ほかに「秩父フリーきっぷ」というものもあり、違いがよくわからないながら「バスにも乗れるしね!」ということで選んだ切符。
練馬を通ります。練馬は、今年になって電車一本で来れるようになりましたが、感覚的には横浜から見るとなかなか遠い場所。
所沢も通ります。この辺りには2週間前に来たばかり。また来ちゃった。
そして飯能で乗り換えました。
飯能は、私の中ではめちゃくちゃ遠い場所認定がされているので、駅名を見て(思えば遠くへ来たもんだ)と遠い目になります。
ひたりかけた私を「さあ、乗り換えしなくちゃ」とJunはずるずる引きずって行きました。
そう、まだ途中なんです。
乗り換えた電車は、西武秩父線。これまでと逆方向へ走っていきます。
あれ、戻っちゃうの?
不思議な線路です。

ここからはぐっと緑が広がります。車窓も青々として、都会を抜けたなあという感じ。
気持ちのよい車窓を楽しみながら、秩父へと近づいていきます。

● 天下大将軍・地下女将軍

電車に乗客は大勢乗っており、誰もが終点まで行くのかとおもいきや、途中の駅ですこしずつ降りていきます。
いかにもレジャーで訪れた風の人ばかりなので、(途中駅も楽しめるのかな)と気になりました。



高麗駅の前を通りました。高麗=こま駅なんて、知らなきゃ読めません。
駅前広場には「天下大将軍」「地下女将軍」と書かれた赤い柱が立っていました。
顔がコワイ・・・なんでしょう、あれは?
韓国色たっぷりでした。



あれは朝鮮半島の道祖神「将軍標」で、高麗神社にちなんでいるそうです。
高麗神社のことも知りませんでした。それが駅名の由来なんですね。

私たちは、終点の西武秩父駅で降りました。
外はさぞ暑いかと思いましたが、涼しくて「あら」という感じ。
高原に来たような感じです。
さすがは秩父。涼を求めてきた勘が当たりました。

● はげ山の一夜

駅に降りて周りを見回すと、ぐるりと山々に囲まれていました。
中でもひときわ大きいのが、武甲山ですが、山頂の岩肌が見えています。
「はげ山の一夜」ですね。
山林が立ち枯れしているのかしら?自然破壊?環境問題では?と思ったら、Junが
「あれはセメントを取っているから。わあ、ああいうの好き!」と、バシバシ写真を撮り始めたので、驚いて見守りました。
いいセメントの材料が採れるそうですが、変わったお好みね。
はげ山も、緑の山々に目もくれずに、自分にズームインするJunに驚いたことでしょう。
「えっ、自分でいいの?」って。



駅に隣接した商店街のあちこちに、アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のポスターが貼られています。
ここ秩父が舞台で、今年の夏に映画公開されるとのこと。
萌え起こしよりも、やっぱり気になるのは下の画像の方。
秩父巡礼です。私たち、趣味が渋すぎー!(泣笑)



お昼になったので、駅で食事をとりました。
秩父ってなにが名産かしら?
わらじのように大きな「わらじかつ」が名物のようですが、それはやめて、蕎麦にしました。
私はサラダうどんにします。
夏になると、そうめんや冷やし中華はよく食べますが、そういえば家でサラダうどんを作ったことってないわ~と思いながら、冷たいうどんをつるつるいただきました。



夜になるとビアガーデンになるステージスペースもありました。
大きなパネルに、秩父夜祭のイラストが描かれていました。



● 三峯神社線バス

それから神社行のバスに乗り込みます。
なんと、このバスは、「秩父漫遊きっぷ」が使えないとのこと。
えー、そのために買ったのにー。
でも、ここまで来たので前進あるのみ。乗り込みました。

途中、行列ができている小さなお店の前を通りました。
わらじかつ屋さんのようです。有名なんですね。
そういえば、ウィーンも「ウィーナーシュニッツェル」っていう大きなカツレツが名物だったなあ。ハンガリーにも「シェルテーシュボルダ」というカツレツがあったなあ・・・と思い、窓の外を眺めると、秩父の山々がアルプス山脈に見えなくもない・・・かな?
いえ、やっぱり見えませんでした。
日本色豊かな秩父です。



バスは、気がつけば山道に入っていました。
橋を通ると、川がかなり下に見えます。
バンジージャンプをやるによさそう。

しばらく進むと、駅がありました。
三峰口駅。よく京急に乗る身としては、つい「三崎口駅」に見え、何度も見直します。
「三峰口と三崎口で、姉妹駅みたいになればいいのに」とつぶやきましたが、ちょっと謎発言だったようで、Junに尖った声で「えっ?」と聞き返されました。
ここが神社に一番近い駅になります。ここからも人が乗り込みました。



ここからの道がすごかった!
山の際にそって、くねくねカーブを進んでいきます。
二車線なのに一車線の幅くらいしかない山間道路に、十津川村を思い出しました。

しばらく進んでいくと、洞窟のようにぽっかりと黒い口を開けた駒ヶ滝トンネルがありました。
これもほぼ一通分の幅。
しかも、分岐があって、90度曲がっています。きき、危険なトンネルだわ~。
自分ではこわくて運転できなーい!!
抜けたところには、秩父湖が広がっていました。

● 秩父湖を越えて

車は、次々と二瀬ダムの上を通っていきます。
十津川でも、ダムの上を車で走って、テンションが上がりましたが、ここでも大興奮。
ただ、これまでのクネクネカーブで、ちょっとぐったりぎみです。



ダムの上からは、ちらりと吊り橋が見えて、さらに浮き足立ちます。
渡ってみたいわ~。
バスは湖にそって山を上がっていき、途中チラリと橋のたもとが見えました。
人影がありました。ああうらやましーい。



ここから延々とバスは高度を上げていきます。
乗る前には「75分で900円」と聞いて、(往復だと倍)と一瞬ためらいましたが、乗ってみると、山道をぐいぐい登っていく運転手の大変さに同情して、高いなんて気持ちはどこかに飛んで行きました。

かつてはロープウェイがあったそうですが、今やもう廃止となっています。
京都の愛宕山もそうですが、ロープウェイがあるときに行きたかったー!
行くまで、どれだけ楽だったことか・・・!
そう考えると、かろうじて運営している山頂神社行きのロープウェイには、今のうちに早めに乗っておいた方がよさそうだなあと思います。

● 山の上の三峯神社へ

1時間以上バスに揺られて、ようやく終点の三峯神社前に到着しました。



降りるとひんやりした空気に包まれます。
わあ、涼しい!
関東でも、埼玉でも、こんなに涼しいんですね。
暑い都心を離れて涼しい場所に行きたいという目的が叶って、ほっとしました。



のんびりした気持ちで、参道へと向かいます。
三峯の特徴的な鳥居がありました。広々と広がっていく感じ。
まさに三峯です。
両脇を守っているのは、お犬様!
狛犬ではなくヤマイヌです。
秋葉神社本宮でも見ましたが、ここは山犬が神の使いとされている場所。
すらりとした狐のようなスタイルです。

● 境内参拝

冷気と霊気に包まれて、心地よさを味わいながら、境内を歩きます。
奥の院拝観口に行きました。
見渡す限り、山、山!
私が鳥だったら、羽を広げて思う存分飛び回りたいような場所でした。

参道にずらりと並ぶ石碑に圧倒されます。
大雄山にもありましたが、そこよりもはるかに大きな石碑ばかり。
みんな「三峰講」と銘打たれています。
三峰講、つまり三峰神社を信奉する人たちは、日本各地におり、熱心に参拝したとのこと。
Junの故郷のものもありました。
山中で石が採れなければ、この石碑は昔はかついでここまで運ばれてきたんだろうなあと思うと、人の信仰心の強さには改めて頭が下がります。

途中、さまざまな神様が祀られた祠があり、一つ一つお参りしました。
どれも、きちんと同じ大きさでまとめられていました。



それらはとてもシンプルな造りですが、三峯神社本殿はとても豪奢でカラフル。
標高1100mの高所に鎮座する壮麗な神殿が、意外でした。





手水舎を見ても、装飾たっぷり。



竜がたくさん顔を出しています。出し過ぎです。



参拝を済ませて、社務所に行きました。
この日はバタバタして、御朱印帳を持ってくるのを忘れてしまい、残念に思っていましたが、Junが「御朱印、いただこうかな」と言いました。
「え、だって御朱印帳持ってきていないでしょう・・・」と言いかけながら、見てみると、そこには模様付きの台紙の御朱印が飾られていました。
うわあ、すてきだわ。
これは、書き置きのものだけなんだそうです。お値段も倍近くしましたが、心惹かれたのでいただくことにしました。
狛犬好きの私はお犬様の柄、Junは菖蒲の柄のものを。
ニコニコです。



境内には、樹齢800年の神木がそびえたち、さわれるようになっていました。
おさわり推奨とは、珍しいなと思います。
人の手が届きやすいあたりは、木の皮もとれて、磨かれた木の家具のようにツヤツヤになっていました。



とても心落ち着く神社です。
それに涼しくて、いつまでもここにいたーい。
でも、バスの時間が近づいてきたので、あとを振り返りながら、神社を離れました。
行きも帰りも、バスはちょうど席が埋まるくらいに盛況。
それは、本数が限られているからでした。

● 下りもバス

帰りももちろん、75分間の行程。
帰りは酔ってしまいました。
ダムの上を通って、三峰口駅前に着く頃にはかなりぐったり。
「行きは平気だったのに、どうしてだろう?」とつぶやいたら、Junが「スピードが出るからじゃない?」と推測していました。



よろよろになって、終点の西武秩父駅に到着。
降りる時にSuicaの調子が変になり、バスの事務所そして西武電鉄の事務所へと、運ちゃんと一緒に歩きまわることになり、びっくりして車酔いも収まってしまいました。
まさにしゃっくりを止める時のショック療法ですね。

● 秩父駅周辺散策

涼しい秩父でも、三峯から降りてくると、蒸し暑さと日差しの強さを感じます。
駅周辺を散策してみることにしました。
駅のそばには、御花畑駅があります。
まあ、なんてファンシーなお名前なんでしょう。

そこを通りすぎて、秩父駅の方へ行きました。
古い町並みが続き、渋い古刹もあります。
ひなびた感がかなり好みのお寺もありました。
ここは、秩父三十四観音巡り第十三番のお寺、慈眼寺。
気になっていながらも、(遠いから)と二の足を踏んでいた秩父巡礼ですが、やってみようかしら。



実際にやってきて、やる気が湧いて来ました。
ここには経輪があり、二人がかりでぐるりと一周させました。
鎌倉の長谷寺のものは、決まった日しか回せなくなっており、この前は指を加えてみているだけだったので、これでスッキリ。
中には本当にぎっしりとお経が詰まっていました。

通り沿いには、古めかしいお屋敷が並びます。
いかにも昔ながらの医院という建物もありました。
すてき!居間には大きな柱時計と使い込まれたピアノ、そして猫脚ソファがありそうです。





更に歩いて行くと、また別の観音巡礼寺、第十五番の少林寺がありました。
そこには半僧坊もあり、Junが歓声を上げて喜んでいました。
あれー?この前大宮の半僧坊を見つけて教えた時には、「別に好きってわけじゃないんだけどね」って言っていたのに・・・
私が撮影しようとしたら、「だめだめっ!」と遮ろうともしました。
あれからいったいどんな心境の変化があったのかしら?Jun、ツンデレ疑惑浮上です。



さらに道を進んでいくと、突き当たりに秩父神社が見えて来ました。
おお、こちらは狛犬が守っています。まっすぐ前を向いた、護国系。



私がさっそく激写しはじめていると、Junは先に手水舎へ向かっていました。
もう撮り終わる私を待ってくれることもなく・・・まあ私も、気にせず撮れるのでいいんですが。
慣れってこういうことですね。

● 秩父神社と秋葉神社

秩父神社には立派な門があり、そこをくぐって行きました。
人はそう多くなく、落ち着いた雰囲気です。
ここにも摂社がいろいろとあり、一つ一つ巡って行きました。



神殿の裏側には、北辰の梟なる彫刻が施されていました。
梟サブレーというものが売られており、(鳩サブレーの方がかわいいな)と思っていましたが、きちんといわれがあったんですね。
素晴らしい彫刻に圧倒されます。



境内では、神主さんの姿を何人も見かけました。



それから駅の方へと戻ります。
次はどこに行こう・・・と地図を見ていたJunが「秋葉神社、発見!」と声を上げ、がぜん早足になりました。

秋葉神社研究家のJun。ここでも見つけたのです。
なぜ事前にチェックしていなかったのかというと、単に今回の三峯行きがドタバタと決まったからです。(当日の3時とかに、、)



秩父の秋葉神社は、大きくて立派でしたが、境内はひと気がなく、シーンとしていました。
どうやら、今しがた参拝したばかりの秩父神社の神主さんが兼任しているようです。
大きな天狗のお面が飾られていました。



半僧坊も秋葉神社もあるなんて、秩父、なかなか充実していますね。

● レッドアロー号で帰京

行きの西武線内が、かなりワサワサしていたため、帰りは特急レッドアロー号の指定席を買ったものの、チケットをどこに入れたかわからなくなり、改札前でじたばた。
ようやく滑り込みました。

快適な特急タイムを満喫して、帰りはあっという間に池袋へ。
さらにそこから埼京線で、スイスイ恵比寿まで帰りました。



遠くて縁がないと思っていた初めての秩父。
緑深い、落ち着いたいい場所でした。
やっぱりイメージだけでは、なにもはじまりませんね。
都心から向かう山岳地帯の中では、アクセスがいい場所なので、また行ってみたいなあと思います。
次は、来年の観音巡礼かな?(渋くてすみませ~ん)


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