風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

博多日帰り歴史探訪 2

2015-10-30 | 九州
その1からの続きです。

○ ポンポン周船寺

さっちゃんと別れた後、私は地下鉄で姪浜駅まで行き、そこからJR筑肥線に乗り換えて周船寺駅まで行きました。
姪浜(めいはま)も変わっていますが、周船寺(すせんじ)って面白い名前ですね。
ポンポン船を連想します。
周船寺というお寺があるのかな?と思いましたが、今はない様子。
奈良時代の大宰府政庁の時代に、船を司る役所(主船司)があったことに由来するといわれているそうです。

小さな駅で、駅員さんにバス停の場所を聞いて、コミュニティバスに乗り込みました。
目指すは九州大学伊都キャンパス。別の駅からも大学行きのバスが出ていますが、一番時間が合いそうだったのです。
小さなマイクロバスに乗客は私一人。20分ほど揺られて、目的地に着きました。

○ 新しい九州大学

かなり山の中までやってきて、びっくり。
3月にも九大に来ましたが、その時は市街中心部にある箱崎キャンパス、今回はアクセスが大変な伊都キャンパス。
計画都市のように、どこを見回してもピカピカです。
広くて迷いそう。
数年後には、大学はすべてこちらに移転するそうで、敷地内では急ピッチで建設工事が進められていました。



ここで開催される勉強会への参加が、今回のメインの目的だったんです。
お勉強を終えた後、ほかの参加者と一緒に市営バスで九州大学学研都市駅に出て、博多方面に向かいました。
ここからぞろぞろとJRに乗り換えましたが、私はひとり、西新駅で降りました。

「元寇防塁を見ようと思って」
「は?」
全く分からないという顔をされたので、電車が駅に停まるまで、急いで説明することになりした。
まあ、興味のない人には全くピンとこないものですものね。

○ 元寇防塁

鎌倉幕府8代執権・北条時宗の代に起こった元寇。
鎌倉を訪れると時宗ゆかりのお寺が多く、往時をしのびながら散策しますが、考えてみると、戦場は鎌倉ではありません。
元の大軍は、九州に上陸しようとしたのです。

鎌倉だけを訪れて、元寇をわかったつもりになっていてはいけませんね。
当時築かれた防塁が、今でも福岡の海沿いにいくつか残っている箇所があります。
九州大学のある糸島半島に立派なものがあるようですが、車がないと移動しづらい場所なので、駅から歩いていけるところにしました。

私は下山門駅そばの防塁をチェックしていましたが、さっちゃんが西新駅そばの方を訪れたと聞いて(やはり趣味嗜好が似ている)、急遽予定を変更し、西新に行ってみることにしたのです。
にぎやかな町でした。

○ サザエさんの町

突然「サザエさんの町」というパネルを発見。



長谷川町子さんは、この辺りゆかりの人なんですね。てっきり桜新町の人だと思っていましたが、佐賀県出身で20代まで福岡に住んでいたそうです。
サザエさん通りを歩きましたが、見たところサザエさん色はありませんでした。記念碑はあるそうです。
そういえば、桜新町の波平さん像の髪の毛はどうなったのかな。

○ 読めない県立校

修猷館高等学校があります。
読めない・・・。「しゅうゆうかん」だそうです。
日光の大猷院(たいゆういん)を思い出しました。



門のデザインからしてすてき。門柱に校名が浮き彫りにされています。
てっきり由緒ある私立だろうと思ったら、校門に「県立」とかかれていたので、驚きました。
レベルが高い学校らしいですが、今からでも入りたーい!

○ 防塁はキャンパス内

元寇防塁は住宅街の中にあると聞いており、ちゃんと見つけられるか不安でしたが、きちんとパネル表示がされていたので迷わずに行けました。
途中、西南学院大学にさしかかります。
ここの校門前にも、元寇防塁のサインがあったので、(おや?)と思って、構内見取り図を見てみました。
すると、なんと敷地内にあると判明。

ちょっと敷居が高かったのですが、勇気を出して、まずはそちらに行ってみることにしました。
この日ふたつめの大学訪問。



もう5時過ぎていたので係の人はいませんが、見学できます。
建物の中に入ってきょろきょろしていたら、標識を見つけました。
元寇絵巻に描かれた武士でしょう。GODIVAのマーク(右)を和風にした感じ。

     


防塁は、建物の中庭にありました。周囲を近代的なビルに囲まれています。



防塁の高さは、2.5~3m。思ったよりもしっかりと残っていて、圧倒されます。



がっちりとした石垣になっています。
迫りくる迫力。これは頑強ですね。



九州の御家人たちは、遠い鎌倉からの命令を受けて頑張ったんだなあと、遠い目になります。



もっと崩れかけているかと思っていましたが、こんなに存在感があるなんて。
実際に防塁に触って、その質感を確認できました。

○ ほかにもあります

キャンパスを出て、近くにある別の防塁にも向かいました。
草ぼうぼうのちょっとした空地のような場所にあり、標識がなければ気付ずに通り過ぎたことでしょう。
説明パネルを見ると、福岡の湾岸にはいくつも防塁が築かれ、現存していることがわかります。



先ほどの元寇マークは、上の絵の赤い武将を反転させたものじゃないでしょうか。
さっきのものとはまたちょっと違う造り。こちらは塀というより溝のようです。



そばには、元寇神社もありました。
コンクリでできている、新しそうな小さい祠。
ええと、何の神様を祀っているんでしょうね?
特に説明がないため、わかりません。
戦いの神様というわけではないでしょうから、元寇で戦い、命を散らした兵士たちを弔っているのかもしれません。



人に話してみても、相当反応の薄い元寇防塁。
福岡出身の人にさえ「なんでわざわざ行くの?」と、真顔で聞かれる始末です。
観光スポットじゃないんですねー。
でも私は感激しました。おそらくさっちゃんもそうでしょう。
鎌倉になじんだ人は、実際に訪れてみると(おお~)と思うんじゃないかと思います。

○ 愛宕登山

再び地下鉄に乗ります。一日乗車券があると、気楽に移動できてとても便利だわ~。
(自分のを落としておいてー)
今度は、逆方向の電車に乗り、室見駅で降りました。



室見川を渡ってすぐに、大きな標識を見かけます。
次に目指すのは、この愛宕神社です。
ここは、日本三大愛宕(京都・東京・福岡)の一つ。
本家本元の京都の方はまだ訪れていませんが、東京都港区の愛宕神社には何度か参拝済み。
福岡でもお参りすることにしました。



しかーし、ご存じの方も多いと思いますが、愛宕神社は山の上にあるもの。
京都にある総本社は、登山に2時間かかるアクセスハードな場所にあるらしく、いつ行けるのか自信がありません。
ここはどうかしら?地図で見るだけではわからないし、福岡の愛宕神社は情報があまりありません。

道を曲がると、あーやっぱり。
急な坂道が目の前にありました。
予想していたことなので、悲嘆にくれずに歩き始めます。

テクテク・・・。
登っていると息切れがして、暑くなりますが、それでも夕方にさしかかっているため、日中よりはずいぶん涼しくなってきています。

しかし、さすがはあたご。急勾配・・・。
車だと、相当気合を入れてアクセルを踏み込まないといけなさそうな坂道。
ゆっくり登っていきます。

ほかに歩いている人はいませんが、道の両脇は住宅地。
市街地ですもんね。
子ネコが数匹遊んでいましたが、こちらの余裕がないのでちょっかいをだせません。



東京の愛宕山も結構な坂で「出世階段」と言われるくらいですが、ここの方が延々と登っていく気がします。
山の上の方まで行くと、大きな鳥居が見え、さらに上に続く石段が見えました。
ひえ~、まだ登るのねー。
登りつづけて、ようやく社殿が見えてきました。
つ、着いたわー。(ゼイゼイ)



○ 展望台からの景色

参拝して、後ろ側に周ってみると、そこは見晴らしのいい開けた場所になっていました。
わあ、きれい。絶景を前に、ここまでの苦労が吹き飛びます。
ベンチがあり、望遠鏡も設置されていて、完全に展望台です。
三脚を据えて眼下の光景を撮影している人もいました。



海の向こうに見えるのは、能古島(のこのしま)。
視線を右にずらしていくと、さらに奥に見えてくるのは、いつか行きたい海ノ中道。
福岡ってあまり海のイメージがありませんが、高台からこうして見ると、ウォーターフロントの町だなあと思います。



さらに右の方には、室見川河口が見えます。
このあと再び地下鉄に乗って、西新駅から訪れようと思っていた、シーサイドももち海浜公園も見渡せます。
城址からも見えていた注射針のような塔は、福岡タワーだとわかりました。



なんだか、海岸まで行くよりも、ここで見下ろしているほうがいいような気になってきました。
今から移動しても、公園に着くころにはもう暗くなっているでしょう。
急いで動くよりも、ここでのんびりしよう。
高台から海を見下ろせるこの場所はとても居心地がよく、ベンチに腰掛けて、しばらく辺りの光景を眺めていました。
鎌倉時代には、先程見た元寇防塁の辺りが波打ち際だったのでしょうけれど、今ではかなり埋め立てられていますね。
そういえばスピッツのマサムネは、福岡に住んでいた頃、毎年初詣にこの神社を参拝していたそうですよ。
こんなニッチな情報を知っているのも、さっちゃんの教育のたまもの。彼が眺めたこの景色、ファンは登って共有しないとね!

薄暗くなり、風が冷たくなってきたので、そろそろ下ることにしました。
拝殿をもう一度お参り。もう夜の面持ちになっています。



下り道で膝が笑って、石段や坂道で転ばないよう、気を付けながら下りて行きました。

○ 音次郎と音二郎

参道途中にある目に鮮やかなたくさんの朱鳥居は、愛宕音次郎稲荷神社。
愛宕神社とは関係はない、民間信仰の神社のようです。



「おとじろう」といったら、新派劇の父、川上音二郎を連想しますが、字がちょっと違いました。
この神社とは関係ないようですが、博多出身の彼の銅像は福岡の川端通商店街前にあります。

帰りの坂道では、まだ先ほどの子猫たちが遊んでいました。
今度はカメラを取り出しましたが、くるくると走り回っていて、うまく写真には撮れませんでした。



下に降りると、先程の標識はもう夜の中。
それでも煌々と目立っています。
夜景を観に上がる人もいるのでしょう。

再び室見橋の上から、福岡タワーを眺めます。
夜景も雰囲気があって、すてきです。



○ 天神で画伯展

地下鉄に乗って、今度は天神駅に向かいました。
さっちゃんとランチを取ったパルコを再び訪れ、上の階へと上がります。
ちょうどこの日から、田辺画伯展が開催されると聞いたからです。
ご存じの方も多いとは思いますが、画伯というのは、あまりに脱力した絵を描くために一周して呼ばれた名前です。
まさかの画伯の個展!うっそ~。



個展というよりは、グッズ売り場といった方が近い感じでしたが、それでも女性のお客さんが結構いました。
画像を見ると、閑散としているようですが、たまたま人が写らないタイミングを狙っただけです。



画伯の書いたもっちーという犬と、お散歩してきましたよ。
さっちゃんも、昼に私と別れた後でここを訪れ、グッズをゲットしたそうです。何を買ったのかしら~。
画伯のサイン発見。額に入っています。いつの間にこんなに大物になったんでしょうね。



店内にはキディランドがありました。
子供が好きそうなかわいいぬいぐるみのお店かと思っていたら、大人が好きそうなスターウォーズ仕様。
ダースベイダーの衣装は、ハロウィン用かしら?



夜になり、空港に行く時間になりました。
パルコは地下鉄天神駅とつながっているから便利。この日最後の地下鉄に乗り込みます。
一日乗車券、十分もとが取れましたー。

○ お土産いろいろ

お土産に、紅白の鶴乃子まんじゅうを買いました。
かもめの玉子に似ていますが、こちらはマシュマロで黄味あんを包んでいます。
タンチョウヅルが来るのは鹿児島の出水ですが、お菓子を出しているのは福岡なんですね。
「ひよこ」の広告があちこちに貼られています。東京ひよこよりも博多ひよこの方が歴史が古いそうですが、それよりもこの鶴乃子は古くからあるんだそうです。



くまモンのものは、まごうことなきさっちゃんからのいただきものです。
勢いあふれた黒糖ピーナッツも!この顔は、ピーナッツ?



男は食べる!食べたら元気になりそうです。



○ epilogue

福岡空港からはスムーズに帰途につきました。
今回はANAの正規便。LCCとは全然違うびっくりのお値段ですが、羽田発着はやっぱり便利で快適です。

日帰りでしたが、一日まるまる使った博多旅行は、天気に恵まれ、友と再会できて、楽しく過ごすことができました。
防塁に、ここまで心動かされるなんて。
これまで鎌倉視点でしかとらえてなかったので、
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」
という、九州の御家人たちの叫びが聞こえた気がします。

いろいろな時代の歴史を確認できた今回の旅。
次は泊まりで訪れたいわ~。


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