弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事コメント】「色のみ」商標出願3倍…?(日経新聞)

2022年05月12日 08時41分06秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
曇り空の@湘南地方です。今日は午後から天気は下り坂とのこと。
週末、なんとか持ち直してくれると良いな。

さて、今日はこんな記事

(日経新聞より引用)
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「色のみ」商標出願3倍 チキンラーメンなど、戦略多彩

色や色の組み合わせで商標を認める「色彩商標」が増えている。特許庁によると、最新データがある2020年に主要国で500件の出願があり、16年(139件)の3.6倍に増えた。色彩商標を認める国は増え、商品のブランド戦略も多彩になっている。

従来の商標はロゴや文字に限られていた。企業のブランディング戦略の多様化を受け、現在は少なくとも67の国・地域で出願できるようになった。00年代に韓国が認め、15年には日本でも出願できるようになった。近年ではカナダ(19年)も導入するなど、裾野の広がりが出願件数を押し上げている。

(以下略)
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(引用終わり)

国際的には増えている、という趣旨の記事。

日本ではどうか?J-Platpatで叩いてみた。
これまで出願された「色彩のみからなる商標」は、全部で563件(うち防護標章が3件)。
出願年別でみると、減少傾向、というより、選択肢として採用されなくなっている。

2015年 448件
2016年  43件
2017年  23件
2018年  20件
2019年  12件
2020年   6件
2021年   8件
2022年   3件

記事の中でもあるように、これらのうち登録に至っているのはわずかに9件。
制度としてはまあ、活用しづらいというのが率直なところ。

それでもなお外国では出願件数は増加トレンド、ということは、
外国では制度として/あるいは運用がユーザフレンドリーになってる、ということなのかなぁ。
そのあたりは、情報収集しておかなきゃ。

「色『のみ』」という表現がちょっと語弊があって、
「色彩の組み合わせで」又は「位置を特定した色彩で」というのが現実的に登録可能なところ
(それでも周知性を有することが前提ではあるのだが)。

企業のブランディングに色彩要素が活用できる状況は好ましいものなのだが、
現状日本ではそうなっていない。
記事中の「新しいタイプの商標は企業のブランディングや権利確保に一役買っている」としている特許庁の担当者さん、
ちょっと認識が違うように思うなぁ。
予見可能性がある制度であれば活用の仕方も考えられるし、当然ブランド戦略立案にあたっても考慮に入れていくのだけれど、
現状は「使えない」制度、という評価にしかならないような。

コメント
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