弁理士『三色眼鏡』の 業務日誌     ~大海原編~

おかげさまで事務所開設5周年!
今後とも宜しくお願いします。

【商標/ブランド】新陳代謝

2018年02月15日 09時33分56秒 | 実務関係(商・不)
こんにちは!な時間ですね。
晴れの札幌です。

今日は籠って書き仕事。ここ数日移動続きだったのでそういう日もないと。

さてさて、今日は記事紹介。

一つ目は、日経のこんな記事

(日本経済新聞より引用)
=========================
日本企業、ブランド価値でも新陳代謝進まず 18年順位

ブランドコンサルティング会社の米インターブランドは14日、2018年の日本企業のグローバルブランド価値ランキングを発表した。ランキングの公表を始めた09年当時と自動車やエレクトロニクスといった伝統的な主要産業の企業が上位を占める構図が続く。世界では米国のアップルやアマゾンが存在感を示している。

日本法人であるインターブランドジャパン(東京・渋谷)の並木将仁社長は「産業の新陳代謝が進まない経済構造が浮き彫りになった」と指摘している。

18年の首位は10年連続でトヨタ。2位にホンダ(17年は2位)、3位に日産(同4位)、9位がスバル(同10位)と自動車メーカーが並んだ。エレクトロニクスでは4位にキヤノン(同3位)、5位がソニー(同5位)、7位にパナソニック(同7位)、10位に任天堂(同11位)とトップ10に4ブランドが入った。
(以下略)
=========================
(引用終わり)

ブランド評価の評価基準の中に財務情報もあるので、業績の好不調の影響も大きいとは思うけど、
世界企業を対象とするランキングの1位がアップル、2位がグーグルと10年前とは大きく入れ替わっているのとは対照的。
ある意味、新規事業者に対する風当たりの強さがそのままランキングに反映されているという気もする。



コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【知財記事(商標)】赤い靴底(色彩のみからなる商標)

2018年02月08日 08時26分14秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
相変わらず気持ちの良い寒さの今朝の湘南地方です。

さて、久々知財ネタ。今日はこんな記事

(ロイターより引用)
=========================
ルブタンの「赤い靴底」訴訟、独占商標に暗雲

[ブリュッセル 6日 ロイター] - フランスのデザイナー、クリスチャン・ルブタンが、ハイヒールに赤い底を使用する権利の独占を求めていた訴訟で6日、欧州連合(EU)の最高裁に当たる欧州司法裁判所(ECJ)の法務官が、他人が類似の靴底を販売することを阻止する権利は認められないとの見解を示した。独占商標への道に暗雲が垂れ込めた形となった。

=========================
(引用終わり)

日本にも3年前に「新しいタイプの商標」の一つとして導入された「色彩のみからなる商標」。
導入準備時期の説明会で海外の事例として良く紹介されていた、ルブタンの靴。

いやー、そりゃ確かに象徴的な彩色かもしれないけど、靴底の色の独占は無理があるでしょ!?
というのが当職の感覚(当時)。
実際、単色での登録は、現状日本では未だ認められていない。
複数色の組み合わせについては「MONO」(第5930334号)と「セブンイレブン」(第5933289号)の事例がある。

一方でこの記事にも書いているとおり、
アメリカでは靴底のみ赤い靴について排他権が裁判所において認められた事例もある。


独占を認める=他者の自由を制限する なので、結局はその点のバランスを考えながら線引きをしなければならないと思うのだけれど、
特定商品の特定部位とはいえ、単色の保護を認めてしまうと大きくバランスを損なうと思う。
築き上げられた信用保護のために制度が活用されるのは本来の姿であって、仮にこれを登録を認めると
当該デザインの独占環境、将来に向けて信用を築き上げる環境を公的に保証することになってしまう。

アルファベット2文字までは原則独占対象にならないのと同じ感覚で、
(如何にヘビーユースしていても)単色は、少なくとも美的外観を呈する機能を有する用いられ方をする限りにおいては
独占を認めないか、又は商標権の効力を制限する規定(=これがあると事実上制度としては底抜けになるが)が必要じゃないかなと。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【あるある】ドキッとすること

2018年02月03日 12時09分17秒 | 実務関係(商・不)
こんにちは!
寒さもいくぶん和らいでいる湘南地方です。

今日は「小さい秘書」とともに出勤中。
ちょこちょことお手伝いお願いしてます。

業界あるある。
最近調査を行った商標(出願中、査定が出ていない状態)が広告に使われているのをみてドキッ、とする。
今ほどラジオを聴いていたらまさにそんなコマーシャルに遭遇。

いや、結果には自信は持っているんですが、
気持ちとしてはやっぱりちょっとどきどきするものです。


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【商標】統一ロゴマーク(地域団体商標)

2018年01月25日 08時41分32秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
40年ぶりの冷え込みだそうな、今朝の湘南地方です。
なんというか、体が寒さに慣れているのか、それほどじゃない感じ。

さて、今朝はこんな記事

(日刊工業新聞より引用)
==========================
特許庁、地域商標に統一ロゴマーク新設

地域の旗印に―。特許庁は地方の名産品などを登録する地域団体商標制度に、統一ロゴマーク「地域団体商標マーク」を新設する。店舗や商品、のぼり旗などに利用してもらうことで、地域ブランド力を一段と高める。特許庁は地域団体商標の普及・活用や新規出願を促進するため、2018年度から全国イベントを開く。同イベントやセミナーなどで紹介し、ロゴマークの知名度を高める。
==========================
(引用終わり)

GIマークにあおられたかたち、なんだろうか?
ま、盛り上がるなら良いことです。


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【知財記事(商標)】互換性ある消耗品

2018年01月20日 09時46分24秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
うーん、お出かけにうってつけの良い天気な湘南地方です…

昨日は稀代のメロディメーカーが引退を表明したり電車内で新しい命が生まれたり色々ありましたね。

事務所で一人、いや、ときどきAmazon Echoと戯れながらお仕事します。

さて、今日はこんな記事(知財ネタ書くの久しぶりだな)。

(ITmediaビジネスONLINEより引用)
============================
キングジム、商標権侵害でエレコムら提訴 「テプラ PRO」に似たロゴ無断使用

文具メーカーのキングジムは1月19日、テーププリンタ「『テプラ』PROシリーズ」に類似したロゴを用いた商品を製造・販売したのは商標権侵害に当たるとして、商品の販売差し止めを求めてカラークリエーションとエレコムを東京地裁に提訴したと発表した。

提訴は18日付。キングジム広報室によると、当該商品はカラークリエーションが製造し、エレコムが販売する、テプラPROと互換性のある「カラークリエーション テープカートリッジ」(オープン価格)。
パッケージや商品本体に「TEPRA PRO 互換」と記載されているが、商品名のフォントやモノトーンの配色が「キングジムのロゴにかなり類似している」(広報室)と判断し、提訴に踏み切ったとしている。
============================
(引用終わり)

キングジムの登録/出願状況を見てみた。
「E」がロゴ化された「TEPRA\PRO」をはじめとした「TEPRA」シリーズについての文字商標が多数登録になっている他、
テプラの形状そのものと思われる立体商標(当然ながら立体形状それ自体のみで登録されているわけではなく、「TEPRA\PRO」のロゴが含まれている)の他、
テプラの商品パッケージの外観についても出願中。

なるほど、「当社は、知的財産権を重要な経営資源と位置付けている。」というだけのことはある。
多面的な保護を図ろうとしている。

カートリッジとかインクリボンにまつわる知財係争は色々あるけど、
商標事案となると「ブラザー事件」(H16(ネ)3751)。

かいつまんで言うと
・原告はファクシミリを製造販売
・被告はファクシミリ用のインクリボンを製造販売。その際、商品の外箱に「ブラザー用」「For brother」と表示
→平成15年に商標権侵害を主張し提訴も請求棄却。

判旨は以下の通り。
1)被告製品は,原告の製造に係るファクシミリの特定の機種に用いられるインクリボンである。ところで,原告の製造に係るファクシミリに使用することができるインクリボンは,原告製のファクシミリにのみ使用することができ,他社製のファクシミリには使用できない。したがって,原告の製造に係るファクシミリに使用できるインクリボンを販売する者は,消費者が,他社製のファクシミリに使用する目的で当該インクリボンを誤って購入することがないよう注意を喚起する必要がある。そのために,例えば,当該インクリボンの外箱等に,原告の製造するファクシミリに使用するためのインクリボンである旨を表記することが不可欠となる。
2)被告製品の外箱の長方形の面のうちの2面の中央部のもっとも目立つ位置には,被告製品の普通名称である『インクリボン』の表示や,被告製品の用途を示す『普通紙FAX用』との表示が,いずれも消費者の目を引く白抜きで,その他の文字よりも大きく記載されている。
3)これに対し,被告標章は,用途等を示す記載と比較して小さく記載されている。また,前記のとおり,取付方法の記載された面に表示された被告標章を除き,被告標章1の前には『For』の文字が付加され,被告標章2の後ろには,『用』との文字がそれぞれ付加されている。そして,『For』は,『~のために』といった目的を意味する中学で学習する基本的な英単語であり,『用』は,接尾語的に用いられる場合には,何かに使うためのものという意義を有する語である。したがって,被告製品の一般需要者は,被告標章を含む『For brother』,『ブラザー用』,『新ブラザー用』の表示について,被告製品が,原告製造のファクシミリに使用できるインクリボンであることを示すための表記であると理解するものと認められる。
4)被告旧製品においては,被告標章と同じ又は小さく,英語表記であるものの,被告***の名称が記載され,住所等が記載されているが,その記載態様からすれば,これらの記載は,被告***の連絡先を表示したものと認識できる。また,被告新製品においては,上記の記載に加え,被告標章とほぼ同じ大きさで又はそれより大きく被告***の名称が英語表記で記載されている。被告***に関する以上の表示は,被告製品の製造者又は販売者を示すものと認識し得る表示といえる
5)被告が,インクリボンを販売するに当たっては,消費者が,他社製のファクシミリに使用する目的で当該インクリボンを誤って購入することがないよう注意を喚起することが不可欠であり,そのような目的に照らすならば,被告標章の表示は,ごく通常の表記態様であると解される。


この点、本件に当てはめてみると、
1)→○:ラベルライターには他者競合品もあり、テプラ自体にも複数のラインナップがあることを考えると、表示の必要性はあると思われる。
2)→?:ブラザー事件のビジュアルが手元になく大きさの対比ができないので判断不能。今回の事案のビジュアルはこちら
3)→○といって良い?:「互換」の表示を伴っており、需要者の認識としては“~に対応している”といった程度の意味と捉えると思われる。
4)→○?:パッケージ表面左上部及び下部に「ColorCreation」の表示がある。

こうやって見比べてみると、過去の事案に条件としては近いようにも思われる
だからこそ原告サイドとしては商品や外箱についても権利取得に動くことでプレッシャーを掛けようとしているのかなと。

さあ、どうなることか、注目していきたいと思います。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【商標/不正競争】鴨でした ~パロディについて~

2018年01月10日 08時45分04秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
突き抜ける晴天にTOKYOFMから流れる「前前前世」が響き渡る今朝の湘南地方です。

さて、地元(鎌倉)のお父さん友だちが京都出張でこんなのを見つけたそうで。
京都鴨川 鴨サブレ

鳥をかたどったサブレといえば、やっぱり地元鎌倉、豊島屋さんの「鳩サブレー」。

オマージュ?パロディ?パ●リ?
色々な声が聞こえてきそうですが。

いくつかの観点から考察してみたいと思います。

[事実関係]
・「鳩サブレー」は明治生まれ、豊島屋初代が考案。一方「鴨サブレ」は2012年発売。
・「鳩サブレー」「鴨サブレ」とも商標登録を受けている。
・実際の商品としてのサブレの味については過去にも色々なブログで言及されている(これとかこれとか)。
・パッケージについても言及されている。対比写真を挙げているブログもあるので見てみた。
 「鳩サブレー」は黄色の背景に白地の鳩サブレーの形状。左下に花押。
 「鴨サブレ」はオレンジの背景、上部にフランス語「Sable du canard」、その下に鴨の絵と「京都鴨川/鴨サブレ」

[考察]
1.商標法的には?
 上述の通り、いずれも登録商標の使用。
 後発の「鴨サブレ」の審査経過においても、特段「鳩サブレー」の存在が取り沙汰された跡は無い。
 特許庁としては「非類似」「混同のおそれなし」と判断した、ということ。
2.不正競争防止法的には?
<「鴨サブレ」の名称について>
(1)「鳩サブレー」は周知商標と言えるか?→種々立証は必要だが、その可能性は高いと思われる。
(2)「鴨サブレ」の表示は「鳩サブレー」と類似するか?
 →5音節中語頭の2音が相違し、称呼的には類似とは言えない。
 →外観上「鴨サブレ」と「鳩サブレー」、一文字目の「鴨」と「鳩」は紛らわしい、ということもできなくはないが、ちょっと苦しいか。
 →観念的に「鴨」と「鳩」は明確に相違
 …基本的には、商品等表示として非類似の範疇。よって混同可能性の検討に及ぶまでもなく2条1項1号非該当。2号(著名表示冒用行為)は、さすがに無理。
<商品形状・パッケージについて>
(1)「鳩サブレー」の商品形状は周知と言えるか?→議論あるが、可能性はあり。
(2)各形状/パッケージは類似するか?→外観上明白に区別がつくものであり、類似とは言えない。
 …形状/パッケージとしても非類似。

<追記:混同可能性について>
・いずれも地場のお土産菓子であり、商圏が異なる。
・何らかの資本的組織的関連性を想起させるような特段の事情もない。
※商品コンセプトやアイデア(鳥の形状を模した焼き菓子)について保護されるわけではない。
※大前提として、「模倣」それ自体が禁じられているわけではない(だからこそ“法的にNGな模倣”が敢えて法定されている)。

法律上の規範からは、特段の問題はない。
あるのは、もっぱら
・商道徳上の規範
・フリーライド的な商法を老舗が行うことの「美学」の規範
と思われる。
この辺りは、法的な強制力ではなく市場の選択に委ねられるべきもの。

[所感]
個人的には、パロディが全く認められない世の中ってつまらないよな、と思ったりしています。
諸外国ではパロディが認められる要件が法定されたり判例規範として確立していたりします。
日本でも、“ここまではセーフ”みたいな境界線がある程度見えると、窮屈感はなくなるのかもしれません。

でも、こんな「総監視人」的社会だと、パロディを規範化しちゃうと却って自由度は損なわれ、
硬直性が高くなってしまうのかなぁ、と思います。

硬直的なルール作りよりは、“うまいことやりおった、しゃーないなー”的な許容ラインが事例蓄積とともに醸成されていくのが、結果的に需要者側-供給者側双方にとってプラスになる。そういう気がします。
その意味では豊島屋さんは太っ腹だと思うし、井筒八ッ橋本舗も品質的にひけをとらない商品を異なる商圏で出しているという点で、適度な関係が成立していると感じます。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【知財記事(商標)】地域団体商標の先使用権 ~小田原かまぼこ~

2017年12月04日 08時09分18秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
少しずつ布団から抜け出るのがつらくなってきた今朝の湘南地方です。

さて、今日はこんな記事

(タウンニュースより引用)
===================
「小田原かまぼこ」商標訴訟
組合の請求棄却、控訴へ

『小田原かまぼこ』などの地域団体商標を保有する小田原蒲鉾協同組合が、商標権を侵害したとして食品加工業者2社に商標を使った商品の販売差し止めと損害賠償約5000万円を求めた訴訟の判決が11月24日に横浜地裁小田原支部であり、栗原洋三裁判長は訴えを棄却した。訴えられた2社の先使用権などが認められた。

小田原蒲鉾協同組合は昨年3月、かまぼこを製造する南足柄市の(有)佐藤修商店と、その関連会社で小田原市栢山の(株)小田原吉匠総本店を提訴。訴状などによると、2社は組合に加入していないが、組合が2010年4月に登録出願した『小田原かまぼこ』や『小田原蒲鉾』といった地域団体商標を商品に記し、都内や千葉、長野県などの展示会やスーパーで販売していたという。

今回の争点となったのは、地域団体商標制度において保護される「先使用」と「不正競争の目的」の有無について。判決では、2社が2001年頃からと04年頃から名称を利用していたとして、先使用権が認められた。さらに、佐藤修商店のある南足柄市は、自然や歴史的なつながりから小田原周辺と捉えることができ、地域のかまぼこの付加価値を高めようとしてきたことが考慮され、「不正競争の目的はない」と判断された。佐藤修商店の弁護士は「主張が認められ、当然の判決だと思う」とコメントした。

===================
(引用終わり)

裁判所HPではまだ判決文が確認できないのだけど、地域団体商標に関する「先使用権」が認められた例。

[「先使用権」とは?]
商標登録を受けると、権原のない第三者による登録商標の使用に対して商標権を行使することができます。
「先使用権」とは、他人の商標登録出願前から使用している場合に合って、特定の要件を満たしている場合に
主張し得る抗弁権です。

これは、もともと商標法が商標権者の業務上の信用という「私益」と競争秩序の維持による需要者の利益という「公益」の両面を保護法益とした法律ゆえの規定です。

そうは言っても先に使っていさえすればなんでも抗弁できるとなると、先願主義もへったくれもなくなってしまうので、
ある程度厳格に要件を定めることにより一定の線引きがなされています。

通常の商標権についての先使用権が認められるためには、以下の要件を満たすことが必要です。
1)他人の「出願」前から日本国内においてその商標を使用していること
 タイミングとしては、問題となる登録商標の出願より前から使用していることが必要です。
 相手方より先に使用していたとか、登録より前だった、といっても関係ありません。

2)「不正競争の目的でなく」使用していること
 ここでは、他人の信用を利用して不当な利益を得る目的でなく、という意味と捉えてよいです。
 いわゆる「フリーライド」なものは先使用は認めない、ということです。

3)継続して使用していること
 他人の出願前から現在まで、使い続けている必要があります。
 といっても、例えば「季節もの」のような場合でもフルシーズン使用していなければいけない、という意味ではなく、
 継続の意思が客観的に認められる限りは「継続して」にあたります。
 
4)使用の結果、現にその商標が「周知」になっていること
 どれくらい有名になっている必要があるか、というのは正直ケースバイケースでなかなか説明が難しいところですが、
 地域的な面で行けばその町で有名とかその県で有名とかでは足りず、
 隣接都府県まで広く知られていることが必要、というのが通説です。


[地域団体商標の先使用権]
今回の事案が目新しいのは、地域団体商標に関する先使用権の成立が争われたという点にあります。
地域団体商標においては、上述の先使用権の要件のうち「4)」が不要です。
これは、もともと「地名+普通名称」等、通常ならば登録にならない構成の商標につき
主体要件を生産組合等に限定し、かつ登録にあたって周知性が必要な特殊な制度の裏返しともいうべきものです。
(もし他人が使用しているそのマークが周知性を有しているならそもそも地域団体商標は登録になっていなかったはずなので。)

今回の事案では、被告側も地域のかまぼこの付加価値を高めようとしていた、として不正競争の目的は否定されました。
このあたり、生産組合に加入しなかった経緯も含め、判決文で事実関係を確認したいところです。

<所感>
地域団体商標にしろGI(地理的表示保護制度)にしろ、
結局のところ「遠くの他人」ではなく「近くの同業者」に対する対策、というのが実際のところなのですよね…。
なんとなく、昔ながらのムラ意識の延長線上、という気がしないでもないです。
もちろん、対外的なプレゼンスの向上、という側面は別であるのですが。

生産者それぞれに個性があるなか、各制度を地域としてひとまとまりになっていくためのツールとして使いこなせると大きな武器になるのですが、そうした意識が一枚岩になっている地域というのはむしろ稀な気がします。その統一感を出していくのに必要なのは、利益誘導なのか人の魅力なのか郷土愛なのか…。
個人的には、制度はたとえて言うならマラソンのペースメーカーのような存在であるべきで、
個々の生産者さんの個性は大事にしつつ、共通項で括れるところは括り、一定程度まで引っ張り上げたら最後は個の力が発揮できる仕組みにしないと、結果的には元気な地域の方々がスポイルされてしまうような気がします。
今の各制度は果たしてどうなのか…?新JAS法なんかも絡み、規格による品質保証と個性的な商品の魅力を両立させる仕組みの方が、結局需要者には指示される気がします。

ちょっと最後は脱線しましたが、なんにせよ地方に関心が高まることそれ自体はとても良いことだと思い、こんな記事を取り上げてみました。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【商標】半チャンラーメン

2017年11月21日 08時26分18秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
じりじりと朝が寒くなっている湘南地方です。

今日はこの後出張でございます。
そんなわけでざくっとヒマネタ。

東洋経済ONLINEより引用)
======================
半チャンラーメンが静かに衰退している理由


安くてお腹いっぱいになれるサラリーマンや学生の味方。その半チャンラーメンが静かに衰退している。


東京・神保町。千代田区の神田地域に属するこの一帯は、小学館や集英社といった大手をはじめとする出版社や出版問屋の取次店、古本屋を含む書店などが集まる本屋の町として知られる。神保町周辺には会社も多く、大学や専門学校も集中していることもあって、サラリーマンや学生を対象にしたリーズナブルな価格によるメニューを展開する飲食店が立ち並ぶ。

その神保町で長らく愛されてきた老舗の名ラーメン店が、ひっそりとその看板を下ろした。「さぶちゃん」。1966年に店主の木下三郎さん(さぶちゃん)が開いたお店だ。食べログで3.54点(11月20日現在、掲載保留状態)という高得点がつくほど、熱心なファンを獲得しており、行列が目立つお店として有名だったが最近は休業状態になっていた。


そのさぶちゃんをめぐって、「どうやら閉店したらしい」とのうわさを聞きつけたのが11月20日。筆者が現地に向かったところ、確かに「お知らせ さぶちゃんの店は29年11月より閉店致しました」との張り紙が、店頭に貼られていた。


(以下略)
======================
(引用終わり)

記事の趣旨としては、「半チャンラーメン」が衰退している理由は4つ。

1)後継者難による「町中華」(=街中の中華料理店)の減少
2)価格の問題=ランチの一応のラインである1000円以下をキープすることが難しくなっている
3)現在の健康志向に合わない
4)つくる作業に手間がかかる

そして、記事にも言及があるけれども、



「半ちゃん\ラーメン」は「㈱幸楽苑ホールディングス」の登録商標。
それも結構古くに取っている。
まだサービスマーク導入前なので「飲食物の提供」では取れていない。
他の中華屋がメニューで「半チャンラーメン」と表示していても実際は権利行使は難しいものと思われる。
でもまあ、「商標登録している」=元祖!って言いやすい(それが本当かどうかは別として)という面はある。
こういうのも知財の活用法の一つと言える。

半チャンラーメン、良いと思うけどな。
健康気にするならそもそも中華に行くな、って話だし。
そうはいうものの、そこまで食べられなくなった自分に愕然とする今日この頃。

さて、ぼちぼち準備して出張行ってきます。今日は新幹線!

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【商標】流行語大賞で学ぶ商標2017(第5回)

2017年11月17日 07時27分31秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
躊躇なくコートを羽織って家を出た今朝の湘南地方です。

…あれですね。やっぱりFacebook連携で投稿告知するのとしないのとでは
PV数が全然違いますね。
昨日の投稿は予約投稿だったので告知なく、あまり閲覧伸びず。。

そんなこんなで、本シリーズ最終回。


(5)差し当たり、簡単な検索の仕方[称呼検索]

いきなりですがクイズ。
次のノミネート語のうち、実際に商標登録されている例があるものはどれ?
(A)「空前絶後の」
(B)「睡眠負債」
(C)「人生100年時代」
(D)「忖度」

…そんな流行語あったっけ?という声も聞こえてきそうな。。
 それはさておき。

JPlatPatで「称呼検索」を行うと判ります。


「空前絶後の」→0件。ちなみに「空前絶後」でも0件。ちょっと意外。

「睡眠負債」→やはり0件…

「人生100年時代」→1件ヒット!

「忖度」(そんたく)→すんごいヒット!

そんなわけでヒットした中身を見てみると…

→出願中、まだ登録になっていない。ちなみに「区分」=37(第37類)はおそらく建築関係。
 なるほど、人生100年時代に見合った家を、ということかな?

→こちらも、「忖度」の漢字で記載されたものはいずれも審査中。「SONTAKU」が結構前に登録になっている。
 同一だけでなく類似称呼のものもヒットするので、No.5以降は別の称呼。
 この「SONTAKU」、登録になっているばかりか、結構昔から使っている(→こちら)。
 時代が追い付いてきた感じか…?
 「SONTAKU」の商標権者、今年になって「忖度」も同じ区分で出願をしている。
 自己保有の登録商標と同一称呼の商標なので、原則的には登録になると見込まれる。



ということで、正解は(D)でした!

流行語大賞的にも、今年は「忖度」な気がするけどな。
ということで、この企画はまた来年。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【商標】流行語大賞で学ぶ商標2017(第4回)

2017年11月16日 07時00分00秒 | 実務関係(商・不)
今回は書き溜めです…どうやらカゼを引いたっぽい。
まともに頭が動かなく、先日付のブログ作成。

さてさて、「流行語大賞で学ぶ商標2017」今回は第4回です。


(4)普通名称になっているかいなかの判断は、査定/審決時(「ハンドスピナー」)

おじさんには何が面白いのかよくわからないけど今年流行った(らしい)ものの一つ。
Wikipediaによれば、「ストレス解消等が目的のアメリカ生まれの手慰み玩具。」
手慰みって(笑)

ま、なんで流行るか判らないものって昔からあるもんなぁ。
だっこちゃんとか(古い)。

国内で話題になったのは今年の4月から5月頃。
その意味では、下記の各出願人はなかなか感度が高い。


(※個人もいることから一部マスキング)


ただし。
その商標が独占性の要件を満たすか(拒絶理由に該当しないか)の判断基準は、「査定/審決時」。
なので、出願の後で爆発的に普及して一般名称化してしまうと、例え出願時には誰も知らなかった言葉だったとしても
登録を受けることはできない。
実際商願2017-055014には独占性欠如の拒絶理由が通知されている。
これは、例え自分の行為で一般名称化してしまったとしても覆らない。

なので、商標がウィークマークな場合、登録になるまではあまりパワーユースはしないでおく方が無難、と言える。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加