から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

舞妓はレディ 【感想】

2015-04-05 22:27:56 | 映画


舞妓はレディ 【65点】
想定外にハマってしまい、面白かった。舞妓を目指す女の子の奮闘記であるが、京ことばを中心に、方言が持つ発話の面白さと美しさにフォーカスした興味深い内容だった。主人公の女子は、ネイティブな鹿児島弁と津軽弁を話す「バイリンガル」だ。舞妓を目指すために必要な京ことばの体得は困難を極めるが、それを教えるイケメン学者への恋の芽生えに発展する。「舞妓がなぜ京ことばを覚えるのか?」という疑問に対して、以前にテレビ番組で「文化の継承もあるが、様々な地方からやってくる女子たちの方言を同一にするため」という解説を聞いたことがあった。しかし、本作で示すのは第3の答えだ。それはイケメン学者が劇中で「そよぐ風のようで心地いい」と称した、京ことばの響きの美しさである。聴いていて美しいから、京ことばを話すのだ。それを証明するのは、主人公の女子よりも、女将さんだ。そのことばの美しさにすっかり魅了された。主人公を支える温もりも加わって何とも優しい気持ちになる。女将さん演じる富司純子が素晴らしい助演ぶりで、ホント素敵だった。ミュージカルの描き方は、とても正統派であり、京都のセットと着物を着た日本人が歌うミュージカルには当初やや違和感をもったが、次第にすんなり受け入れられた。主人公演じた上白石萌音の見事な歌唱力によるところが大きく、ラストの大団円ではちゃんと高揚感を得られた。脇役のキャストを含め、徹底したプロの役作りも印象的だった。
美しい若さとはひたむきさであり、主人公の夢の実現はその結晶のようだった。最後のセリフまで普通に可愛いじゃない。

ステイ・コネクテッド つながりたい僕らの世界 【60点】
ジェイソン・ライトマンの最新作。アメリカで興収、評価ともに振るわなかったせいか、同監督の長編作としては日本で初のDVDスル―。SNSを始めとするオンラインコミュニケーションをテーマに、今どきのアメリカの高校生たちのリアルと、その家族たちのリアルを描く。母親から過剰な監視を受ける女子高生、母親が家族を捨てたことをきっかけにアメフトのスター選手から、ゲームオタクになった男子高生、過剰なダイエットに成功し、意中の男子高生に弄ばれる女子高生、不倫サイトにハマる母親、エスコート嬢にハマる父親・・・などなど、1つのハイスクールを舞台に多くの人間模様が交錯する群像劇だ。笑いはなく、あくまでシリアスに徹した内容だ。およそライトマンが撮った映画とは思えない。前作の「とらわれて夏」に続き、ライトマンが新たな境地を開拓。。。というよりは模索中といった感じがする。SNSを巡る「あるある」のケーススタディをただ並べただけ、という印象が否めない。「ショートターム」のケイトリン・デヴァーと、「きっと、星のせいじゃない」のアンセル・ゴードンが本作でも繊細な演技で光っている。

オーバー・ザ・ブルー・スカイ 【65点】
カントリーミュージシャンの男と、タトゥー屋で働く女の愛の軌跡を追ったドラマ。あまり馴染みのないベルギー映画だが、質感はアメリカ映画と全く変わらない。映画の構成は「ブルーバレンタイン」に近く、過去と現在を交互に映し出し、2人の温度が変わりゆく過程を冷静に見つめる。男は「アメリカ好き」で、アメリカのカントリーミュージックを大小様々なステージで歌う。女は全身タトゥーだらけで、人生のトレンドに合わせて自身の体にその印を刻んでいく。常識人ではあるが、一般人ではない2人が出会い、愛を燃え上がらせ、家族になる。そして、埋めることのできない大きな傷を負ったことで、2人の世界が崩れ去っていく。本作で描かれるのは「悲劇」の何物でもなく、観る者にも痛みと悲しみを伴わせる。そんな物語の傍らに常にあるのが音楽だ。ベルギーで歌われるカントリーミュージックが人生の機微を照らし出して味わい深い。ラストカットの、女が刻んだタトゥーが余韻を残した。
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