国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

尖閣諸島での漁船衝突事件の背景

2010年09月20日 | 中国
●“故意に衝突”ビデオで裏付け NHKニュース 9月18日

沖縄県の尖閣諸島の日本の領海内で中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件で、漁船は進路を変えずに一定の速度で走っていた巡視船に斜め後ろから近づき、大きくかじを切って衝突する様子が現場で撮影されたビデオに映っていたことがわかりました。海上保安庁は、漁船が故意に巡視船に衝突したことを裏付けるものとして、さらに詳しく調べています。

この事件で、海上保安庁は公務執行妨害の疑いで逮捕した41歳の船長の取り調べを進めていて、19日に10日間のこう留期限を迎えます。船長は、漁船と巡視船が接触したことは認めているということですが、故意に漁船を衝突させたことは認めていないということです。海上保安庁が、衝突の様子を撮影したビデオを詳しく分析した結果、漁船は衝突の直前、巡視船の斜め後ろにいて、巡視船は進路を変えずに一定の速度で航行していたことがわかりました。映像では、そのあと漁船が速度を上げて前を走る巡視船に近づき、大きくかじを切って衝突する様子が確認できるということです。海上保安庁は、漁船が故意に巡視船に衝突したことを裏付けるものとして、漁船と巡視船双方のGPSの航跡データとも照らし合わせて衝突の経緯をさらに詳しく捜査しています。この事件で、前原前国土交通大臣は衝突時の状況について「ビデオで撮影しており、どちらが体当たりしてきたか一目りょう然にわかる」と述べていて、日本の法律に基づいて、きぜんと対応していく考えを示しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100918/k10014074001000.html





●反日デモ スローガン、行進コース…警察が管理して“ガス抜き” - 産経新聞 2010.9.18

 【北京=矢板明夫】北京の日本大使館前などで18日に行われた反日デモは、時間やスローガン、行進コースなどすべてが警察によって管理されたもので、国民の不満をガス抜きさせるための「官製デモ」であったことを強く印象づけた。

 北京の大使館前では警戒線が張られ、立ち入りが規制されるなかデモが実施された。手製の日の丸を燃やそうとする過激な行為は警官が中止させるなど、デモがエスカレートしないように注意が払われていた。

 デモ参加者の中心は、30代後半から40代半ばまでの中年男性。ある大学関係者によると、1989年の天安門事件を招いた大規模な民主化運動では、10代後半から20代前半の若者が中心だったため、中国当局はそれ以降、大学生を政治絡みの社会運動に参加させないように監視を強めている。

 17日夜に湖南省から列車で上京したという男性(20)は「中国政府はあまりにも弱腰なので、私たちが声をあげなければいけない」と興奮気味に話していた。中国当局が警戒するのもこうした若者だ。

 北京のデモ隊はこの日、日本大使館周辺で「日本人を中国から追い出せ」といったスローガンを叫んでいる間は、ほとんど警察に干渉されなかった。しかし、デモ隊が市内の中国外務省のビルに向けて行進し、「中国の外交は弱腰だ」などと叫び始めると、すぐに警察が介入して外務省への行進を阻止した。

 デモ隊の中に、「深●(=土へんに川)市の腐敗問題を追及しよう」と大書された紙を突然高く掲げた中年男性がいた。地方から来た陳情者とみられ、近くにいた私服警察とみられる複数の男性にすぐに取り押さえられた。

 デモが終わったこの日午後、市内で警察幹部らが握手し、計画通り、批判の矛先を政府に転化させず、デモの過激化を防いだことを祝う場面もみられた。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100918/chn1009182350002-n1.htm





●朝日新聞に「謝罪」要求  民族主義団体が反日デモを否認   大紀元日本9月17日

中国の民族主義団体、民間保釣連合会(尖閣諸島の中国名・釣魚島を守衛する会)が16日、インターネット上で声明を出し、今週の18日に北京で大規模な反日デモを行うとの情報を否認した。

 声明の中で、「18日のデモを計画したことはなく、いかなる部門に対しても申し込みをしたこともない」とデモ計画説を否認した。また、これを最初に報道した朝日新聞に対して「デマであり、我々を中傷する行為。背後に悪質な政治的思惑があり、日本政府に協力して中国の安定を撹乱している」と主張。朝日新聞に謝罪と100万元の名誉損失に対する賠償を求め、同団体の要求に応じなければ朝日新聞により強い攻勢に出ると声明で明記。

 また同時に、現在、あらゆる手段を使って各地で日本へ責任追及の運動をするよう呼びかけているとし、日本に対して「強力に反撃し、釣魚島を回収するように中国政府と軍部に強く要求する」と主張している。

 同団体のホームページは昨日、一時的にアクセスできない状態になり、デモに関する発言も削除された。日本との関係が悪くなることを警戒する中国当局が、ネット上の反日発言に対して検閲していると、シンガポールの中国語紙「聯合早報」は報道している。

 日中戦争のきっかけとなった柳条湖事件から79年を迎える今月18日、北京で大規模な反日デモが行われる可能性があると15日付けの朝日新聞が報じたが、デモの真実性について16日、中国外交部報道官の姜瑜氏は、「中国の民衆は理性と合法的な方式で自分の考えを表現すると信じている」と述べ、明確な回答は避けた。
http://www.epochtimes.jp/jp/2010/09/html/d87962.html






【私のコメント】
9月7日に発生した海上保安庁の巡視船「よなくに」と中国国籍のトロール漁船が接触した事件は、NHKの報道によると漁船側が故意に衝突した様である。漁船は福建省泉州市が母港であった。この事件は一体誰が何の目的で起こしたのだろうか?

NHKの報道の根拠はビデオである。ただし、これは今後の訴訟への対応のため公表はされていない。中国側では日本船が衝突したという報道が行われているようだが、それを示す客観的証拠は存在しない。日本側も、ビデオを捏造する様なことは考え難い。(9月23日追記:毎日新聞の9月22日付け記事によれば、海上保安庁が撮影した衝突時のビデオについて中国側は「ビデオに証拠能力がない」と主張している。これは中国船が衝突していることを帰国した船員たちから中国当局が確認したためと思われる。)従って、事件は中国側が故意に起こしたとほぼ断定できる。また、このような重大な事件が偶発的に起きるとは考え難く、かなり高位の政府関係者の指示のもとに事件が起こされた可能性が高いと思われる。

ただ、中国の国益にとってこの事件がどれだけ有益であったのかという観点から見ると話は微妙である。中国の漁船が日本の海上保安庁の船舶によって拿捕され国内法で裁かれようとしているという事態は、尖閣諸島が日本の実効支配下にあるという事実を世界に公表することになり、中国にとっては不利益である。漁船が故意に海保の船に衝突すれば拿捕される可能性があるのは明らかである。拿捕を逃れるための高速船仕様でもなかった様である。中国船は拿捕覚悟で故意に衝突したのだと思われる。

また、事件後の中国政府の行動も一貫性がない。表向きは日本に対して強硬な主張を繰り返しているが、国内の反日デモは警察により管理されている様である。民間団体の中国民間保釣連合会のウェブサイトも9月20日時点でアクセス不能となっており、Googleでは9月16日のキャッシュが最後の情報である。これ以後にウェブサイトが閉鎖されたのだと思われる。その目的は、反日感情が中国政府の弱腰に対する批判に変化することを抑制するためだと思われる。中国政府の強硬な発言は国内に対して政府の威信を保つことが主目的であり、逆に言うとその様な強硬姿勢なしには威信を保てない中国政府の弱さの証拠である。

尖閣諸島は日米安保条約の対象となることを米国政府は明言している。このため、中国は日本に対して軍事的手段をとることができない。中国で活動する日本企業に制裁を行うこともできるが、それは中国経済にとってダメージが大きすぎて困難なのか、現時点では実行されていない。結局、交流中止やガス田の単独開発などの形式的な対抗処置しか行われていないのだ。このことは、中国人民に「政府は弱腰だ」という批判を惹起させる可能性が高く、中国の国益に合致しないと思われる。中国が海洋での権益拡大を追求するならば、尖閣諸島のように日本の領有権に関する国際条約や米国との軍事同盟条約が存在する場所ではなく、領有権に関する国際条約や軍事同盟条約が存在しない、そして日本と比較して海軍力が圧倒的に弱い南シナ海の南沙諸島をターゲットにする方がずっと賢明であり、実際に中国はその様な国益に合致する行動をとり続けてきた。今回の尖閣での事件はそれらとは対照的に中国の国益を損なっている。

では、なぜ中国政府は国益に反するような行動をとったのだろうか?私は、今回の事件の裏には上海閥と北京閥の権力闘争があるのではないかと考えている。上海は貧しい内陸部に搾取されることを嫌がっており独立したいと考えている。北京閥は中国の統一を維持することで権益を維持したいと考えている。今回の事件の漁船は福建省所属だが、福建省は上海と同じく貧しい内陸に搾取されることを嫌がっていると思われる。そこで、上海閥が福建省に働きかけて、北京政府の威信を低下させるためにわざと漁船を日本政府に拿捕させたのではないか、というのが私の想像である。そして、上海閥は日本政府や米国政府にも事前に計画を通知していたのではないかと思われる。

今後の事件の行方であるが、日本政府は中国の東シナ海ガス田単独開発に抗議しており、対抗して独自に開発を実行する事を検討している。もし日本政府が独自開発に踏み切れば、中国は軍艦を出すしかなくなり、日中両国が東シナ海で軍事的に対峙することになるだろう。しかし、日本の海軍力の高さや日米安保条約の存在から考えて中国が実力行使することは困難と思われ、北京政府の威信は地に落ちると思われる。更に、今年11月2日に控えた米国の中間選挙では与党・民主党の苦戦が予想されており、オバマ大統領は人気取りのために、通貨の大幅切り上げを拒否し続ける中国に対して制裁関税をかけることが予想される。この制裁関税は欧州やカナダ、日本なども追随すると想像され、中国人の反外国感情を煽ると共に、制裁に対して何ら対抗できない北京政府への威信は更に低下することだろう。

このように考えれば、北京政府からの独立を目指す上海閥にとっては今回の事件は場所・タイミングともに最適であると思われる。上海閥が日本や米国と手を組んで今回の事件を起こした、というのが私の結論である。





【9月22日追記】
●宮崎正弘の国際ニュース・早読み(今度はトヨタに難癖、中国の嫌がらせ、拡大)発行日:9/22


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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇
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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)9月22日(水曜日)
        通巻3070号  
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 中国、進出日本企業への露骨な嫌がらせを開始
  まずはトヨタに販売促進費用を「賄賂」と断定して罰金を科すそうな
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 中国は、こういう場合、徹底的にやる。死者を墓場からだしてきてむち打ち刑にするように相手の立場を考えない。まさに「相手に悪いとおもう日本人と相手が悪いとおもう中国人」。この「に」と「が」の差違は大きい。
 悪智恵にかけては天才的である。

 石原都知事につづいて国土交通大臣がようやく中国要人との会談を拒否したが、中国側のエスカレートはSMAP公演中止に追い込み、訪中使節団は軒並み足止め。この嫌がらせはAPEC直前まで継続されるだろう。
むしろ、このチャンスをいかに政治的に生かすかが管政権に危機管理能力があるか、ないかが試されるのだが、危機の認識がない総理ゆえ、いま靖国神社へ参拝するとかの発想は考えもつかないだろう。

まずは中国からの帰化申請の受付を一時的に中断したらどうか。中国人留学生を全員所轄官庁に呼び出して状況の審査を行い、在日中国企業に税務査察を送り込んだり、このチャンスを生かし、日頃の不正を暴く必要があるのではないか。

しかし先手必勝。中国のアクションのほうが速かった。
中国へ進出した日本企業をねらい打ちし、その象徴的存在であるトヨタに販売促進費用を「賄賂」と断定、なんと罰金を科すと決めたのである(ウォールストリートジャーナル、9月22日)。

 まだまだ緊張の日々が続く。
http://www.melma.com/backnumber_45206_4972768/




●広島サミットにダライ・ラマら 核廃絶に向け提言発表へ 2010/09/21 共同通信

 広島市は21日、同市で11月に開催される「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」に、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世やゴルバチョフ元ソ連大統領ら平和賞を受賞した9人と13団体が参加すると発表した。

 市によると、サミットのテーマは「ヒロシマの遺産・核兵器のない世界」。11月12、13日に「安全保障に核兵器は必要か?」「核兵器が持つ法的、倫理的、経済的意味合い」など六つの議題について受賞者らが議論する。14日に核廃絶に向けた提言をまとめた最終宣言を発表する。

 昨年受賞したオバマ米大統領にはゴルバチョフ氏らが出席を求めているが、これまで回答はないという。オバマ氏は11月13、14日に横浜市で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に参加する予定で、市は広島県などと近くサミット出席を要請する方針。

 同サミットは1999年に始まり、今回で11回目。国内での開催は初めて。
http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010092101000618.html




【コメント追記】
どうやら日中間の対立は制裁合戦に突入したようだ。中国は日本の象徴であるトヨタに罰金を科す。状況によっては他の企業への波及も十分あり得るだろう。日本は中国の最大の弱みであるチベット問題でダライラマを日本に呼ぶ。日本政府要人との会見を行うと表明するならば中国は大きく面目を失うことになる。米国の対中制裁関税が可決されるであろう11月2日の米国中間選挙直前の10月下旬頃にこの制裁合戦のピークを持ってくれば、中国人民の反日感情・反米感情は暴発し、弱腰の中国政府に対する反政府暴動に容易に転化すると思われる。これが日本にとって最も好ましいシナリオである。





【9月23日追記】
●【正論】評論家・鳥居民 中国の反日では権力闘争も疑え 2010.9.22
 ≪05年デモで仕掛けた陳良宇≫

 満州事変の発端である柳条湖事件の発生記念日の9月18日、瀋陽、北京、重慶、広州など中国各都市は平穏だった。菅直人首相、前原誠司外相がほっとしたのであれば、中国の胡錦濤国家主席、温家宝首相もまずは良かったと思ったはずだ。さて、ここに私が書こうとする主題は、胡主席、温首相が今、何を考え、何をしようとしているのか、ということだ。

 7日に中国漁船が日本の巡視船に衝突してから、両者が落ち着かない日々を送り、ネット論壇と軍の反日論議に注意を払ってきたことは間違いない。そして、2人が一度ならず思い出した顔があったはずだ。陳良宇氏である。

 現在、北京の秦城監獄で服役中の陳氏は5年前には上海市党委書記、党中央政治局員だった。江沢民前国家主席が率いた上海閥の国家老的存在であり、2012年党大会で党総書記ともなり得た人物だ。その男が汚職をしたといった罪で失脚したのはなぜか。

 05年4月、党中央は日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りを阻止する口実を作ろうとし、国民の反対の声が大きいことを無視できないと唱えようとして、どの国のテレビにでも放映されるように反日の街頭デモをやらせた。35の都市に学生デモが広がって不平不満分子がそれに便乗、たちまち手が付けられなくなった。

 ≪胡、温体制が復讐に出る≫

 党は慌て、学生たちを押さえるのに懸命になった。その時、陳党委書記が支配する上海の党機関紙が社説を掲げた。学生たちを激しく非難して挑発し、怒らせようとしたのである。当時、海外にいて、党がデモ収拾に乗り出した事実を知らずに学生デモを激励した温首相に全責任を負わせて辞任に追い込み、陳自身が首相になるハラだったのだろう。そのための手の込んだ“仕掛け”だった。

 暴動は起こらなかった。胡、温のチームが陳氏に復讐(ふくしゅう)に出た。中国の最高機関、中央政治局常務委員会の江沢民派の陳擁護の動きを封じるため、彼らの子弟の汚職を立件するぞ、といった構えを見せつけたことから、江陣営は陳党委書記を救えずに終わった。

 現在、第二の陳良宇はいない。それでも、胡、温チームにとり頭が痛いのは、最初に触れた通りネット論壇と軍部の存在だ。

 2年前の08年5月、自衛隊機が大地震に見舞われた四川省に救援物資を運ぶのを中央書記処が認めたとき、軍部が騒ぎだして、江前主席が胡現主席に警告する事があった。翌月、日中両国が東シナ海ガス田の共同開発に合意したら、軍首脳は、日本にどこまで忍耐するのか、と悲憤慷慨(こうがい)した。

 胡主席、温首相と、中央政治局常務委員の面々は、南シナ海、東シナ海、黄海で中国海軍がゴタゴタを起こすごとに、そして、海軍提督が米国との太平洋分割支配といったたぐいの勇ましい話をするたびに、中国の強大な力を誇示してやったと喜び、主権と海洋資源確保の任務を果たしている、と満足しているのであろうか。

 ≪ネット論壇と軍部の存在≫

 中国の最高首脳たちが、軍部の派手なパフォーマンスにもろ手を挙げて賛成しているはずはない。軍部の宣伝が、党と国民向けであることは分かっているからだ。国防費を増やし続けることは何としても必要だ、2けたの伸びでなければならない、削減など絶対に許さないという意思表示なのだ。

 米国にとっても、欧州諸国にとっても、自らの軍事予算は、触れることのできない聖域ではない。いずれの国も、財政が悪化しており、国防費を削らなければならなくなっている状況にある。

 中国は全く別であり、「チャイナ・モデル」は見事な成功を収めて、年々の国防費の増額は我慢できる、ということなのか。

 中国の最高首脳たちは、そう思ってはいまい。中国経済は構造的な変化に直面している。ひとつだけ、例を挙げよう。中国が「世界の工場」として発展するさなか、地方の党委書記が支配するシステムの下で、膨大な都市建設が進められてきた。そのひずみが表面化するのは間もなくである。

 中国にとって死活的な必要性のない国防費は、削減するか、せめて増やさないようにしなければならないということは、中国の最高首脳陣の本音であるはずだ。江沢民時代の1999年に、郭伯雄氏が中央軍事委員会副主席になってからのこの10年余で、国防費は実に4倍以上に膨らんでいる。これこそ、江氏が後継の胡・温体制に残していった最大の負の遺産のひとつなのだといっていい。

 ここまで見てきたように、党指導者になっていたかもしれない陳良宇はもはやいない。中央政治局常務委員会の江沢民派はすでに少数派である。来月に予定される五中全会(第十七期中央委員会第五回全体会議)で、江時代からの最高級軍人たち、70歳の年齢制限に触れる者、それに近い者のすべてを引退させることが可能なのか。それとも、それは来年の六中全会に先延ばしされるのか。胡、温両氏の力量にかかっている。(とりい たみ)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100922/chn1009220300000-n1.htm





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5 コメント

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Unknown (ゴエモンオレンジ)
2010-09-21 00:39:27
何時も興味深く拝見させて頂いております。
中国の分裂に関して何時も思うのですが
軍事面でのバランスはどうなのでしょうか。
軍事に関して北京閥が握っているならば
上海閥に限らず絶対に分裂など出来ません。
核所有の点からもアメリカやまして日本が軍を出すとは思えませんし。

上海閥とやらと組んでる諸外国はつまるところ
北京と上海のプロレスに踊らされていると私は思います
返信する
中国のメッセージ (竜吉)
2010-09-21 04:17:45
当然民主党代表選へのメッセージだったのでしょう。

首相が誰になろうが、日本には厳しく当たる。
また、現段階では、日中間に緊張状態があるほうが都合が良いので、そのムードを見るためのアドバルーンでしょう。
返信する
Unknown (76号)
2010-09-22 14:31:06
前原、
国交(海保)から外務、絶妙なタイミングで、、、、
さすが戦争屋D・ロックの走狗!
温おじさん、
同じ穴の狢、これまた絶妙なタイミングで、、、、
返信する
いったん (罰当り特亜)
2010-09-22 15:52:45
>上海閥とやらと組んでる諸外国はつまるところ
>北京と上海のプロレスに踊らされていると私は思います
友愛日本は別として、普通の国はプロレス観戦。
欧米は日本に参戦してもらって弱体化を目論むかもしれませんが。

上海閥やら北京閥やらが分裂しなくても、軍事面でのバランスなど関係なしに、
内戦あるいは内乱のことが明るみに出たら、果てしなく崩壊していくかと。戦った時点で双方とも負け確定。
外資は逃げ出すし、物は輸出できなくなるし。

実質の分裂状態になると思います。

現状ですら毎年何万件のデモ暴動が起きているのですから、破裂寸前なのでしょう。
返信する
Unknown (深読み)
2010-09-22 20:18:39
>上海閥が福建省に働きかけて、北京政府の威信を低下させるためにわざと漁船を日本政府に拿捕させたのではないか、というのが私の想像である。

9月14日の代表選前の9月7日の事件、北京政府が小沢を負けさせるための工作と考えられる。北京閥李克強の政敵上海閥の習近平の評価を下げ、李克強を支持する北京閥の作戦とも考えられる。

習近平に寝返った小沢は胡錦濤に裏切り者だと思われたのだ。


12月4日から日本訪問中の中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家副主席(56)は、天皇陛下との会見の日程調整をめぐり、強引に要請し特例扱いを受けた問題でクローズアップされた。国家元首ではない習氏は今回、天皇陛下と会う外交上の必要性は何もなかったが、会見にここまでこだわった背景には、自身が胡錦濤(こ・きんとう)国家主席(66)の最有力後継者であることを内外に印象づけ、ライバルの李克強(り・こくきょう)筆頭副首相(54)に対し優位に立ちたいとの国内の権力闘争が絡んでいるとみられる。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/336265/
返信する

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