盛期ルネッサンスの画家にして “ 聖母子の画家 ” の異名をもつラファエロ・サンティ(1483-1520)。
異名に相応しく、僅か十二年の画業の中で実に三十点ほどの聖母子を描いたとされるが、一体どのような聖母子像を描いたのだろうか?
作品に入る前にこれまでに出会った作品を追ってみた、少し長くなるがお付き合いを。
年代順に、「<大公の聖母>」(1504/フィレンツェ・ピッティ宮)、「<コネスタービレの聖母>」(04/エルミタージュ美術館)、「玉座の聖母子と五聖人(コロンナの祭壇画)」(04-05/メトロポリタン美術館)、「<玉座の聖母子と二聖人>(アンシディの祭壇画)」(04-06/ロンドン・ナショナル・ギャラリー)、「子羊のいる聖家族」(07/プラド美術館)など07年迄に描かれた作品。
また、「<アルバの聖母>」(1511/ワシントン・ナショナル・ギャラリー)、「フォリーニョの聖母(聖会話)」(12/ヴチカン絵画館)、「サン・シストの聖母(聖会話システィーナの聖母)」(12-14頃/ドレスデン絵画館)、「椅子の聖母」(14/ピッティ宮)など、それ以降に描かれた作品、その他にも九点、二十点余りの作品と出会っていた。
その彼の 「聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ」、通称 「美しき女庭師」(07/上)が今回の作品。
本作は、「ベルヴェデーレの聖母」、通称 「牧場の聖母」(06/ウィーン美術史美術館蔵/下左)、「<カニジャーニの聖家族>」(07/アルテ・ピナコテーク蔵/下右)とともにフィレンツェ滞在の終わり頃、風景を背景に、三角形の動的な構図の中に聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネを描く、という表現形式を締め括るものともされている。
ところで、拡大すれば、イエスが母マリアの足を踏んづけているのが判ります。
何故、足を踏ませてるのかって? それは 「<カルデリーノの聖母>」、通称 「鶸(ひわ)の聖母」(07/ウフィツィ美術館蔵)に少し書いたのでご参考に。
ちなみに、葦の十字架を持っているのが、聖母子の親類(ルカ/1章36)にあたる幼き洗礼者聖ヨハネです。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1041
※ 「駆け足ルーヴル(13) ‐ ラファエロ」へは、<コチラ>からも入れます。
旅も長く続けると、再登場が多くなるのですね。
これから名前の知れた画家たちが登場するのだろうと楽しみにしています。
元気に旅を続けて下さい。